○
藤村委員 我々の
日本国
教育基本法でも、
伊吹大臣にもそれなりに評価をいただいたとおり、やはり
教育の権限は最終的に国が責任を持つ、こういうことを我々は主張しているわけであります。その中で、説明しましたように、幾つかは財政ですね、これをきちっと国が面倒を見る。
我々は、補助金が全部いけないというんじゃなしに、一括交付金として
教育の費用、公
教育財政というものを、これは後ほどま
たちょっとやりますが、政府支出の何%とかあるいはGDPの何%、そういうしかるべき指標をもって確保するのが国の
一つの大きな責任だということは何度もお答えしているので、もうこれ以上申しません。
それで、今おっしゃったように、
地方自治体のやり方によって差が出ているというのは事実であります。その事実を、私はきょう資料をお配りしているので、最初の一ページ目の資料で、これは
一つの本当に狭い
分野の例だけを申します。
これは、さっきおっしゃった
義務教育費国庫負担の話。
伊吹大臣は、
義務教育費国庫負担をきちっと国が責任を持つというお立場だと思うんですね。我々も基本的にそうです。ところが、過去、例えば今例に出ているのは、教材費とか旅費の話で、これは大分前、昭和六十年、このときに教材費とか
教員旅費がいわゆる
義務教育費国庫負担費の中から外されて、外されたらなくなるのかというと、いやそうではありません、
地方交付税交付金できちっと、各都道府県によって指数があって、それに基づいて負担をしますと。だから、ちゃんと国が面倒を見るというところであったわけです。
そのときに、指標で見ると、
地方はもうちょっと頑張っていたということですね。左の一〇〇のところが
一つの標準で、それだけはしてくださいよと、教材費とか旅費。その当時はまだ頑張っていて、旅費は一〇五とか、あるいは教材費は一二〇とか、
地方はさらにそれに加えていたわけですね。ところが、見ていただくと、
平成八年ですか、ここで教材費なんか一〇〇になってきましたね。それでやっと、何とかそれで標準は保っていたんですが、その後だあっと下がってきました。
ですから、ちゃんと
地方交付税交付金で手当てされますというときに、それは
地方の責任でそういうふうにしてきたといえばそうなんですが、やはり国がきちっと、そこはちゃんとやってくださいと言うことと同時に、本当は国できちっと
義務教育費国庫負担、我々は
教育一括交付金という言い方をしますが、それで手当てすべき対象ではないだろうか、こう思うわけですね。
これはなぜこうなってきたかというのは、
地方債、
地方がいろいろ
事業をするのに、国の補助金とともに手当てして、箱物が多いんですが、いろいろつくっている、それで借金をしている。実はその当時自治省は、借金も、今後の返済についてはきちっと交付税で手当てしますと言っていた。ところが、今度は交付税をシーリングで切ってきたわけでしょう。そうすると、それはできなくなるわけですね、
地方の側から言うとね。
これは過去に一般財源化された教材費と
教員旅費だけを言っていますが、もう
一つ、しょっちゅう言われるのが図書費ですね。図書費の件も、調べてみますと、私
ども、これは超党派の国
会議員連盟がありまして、図書費を調べましたら、これは答えてもらう必要はないんですが、前回の
委員会でもあったと
思いますが、図書費をきちんと手当てしているというのは、
小学校で多分三十数%、
中学校でも四十数%、半分まで行っていないんですね、標準より。それでも、費用はちゃんと手当てしているはずです。
だから、ここに、さっき申しましたように、自治体の財政事情によって、これは
子供たちはどこに住んでいてもそんなの知らないんです、でも、財政事情のいいところ、大半が悪いですが、いいところならまだ比較的いいし、財政事情が非常に悪いところなら物すごく悪いし。夕張市なんかは
学校までなくなる、こういう事態に今なっていることが、これが
一つの格差ではないだろうかということを申し上げたかったわけです。
それから、次に。
さっき私、格差の基本の話を申し上げました、考え方を。外国との差というのは、これは格差とは多分言わないと
思います。差と言った方がいいと思うんですが。この外国との差において
一つだけ注意しておきたいのが、きょうお配りした図表二ということです。
日本と諸外国との差というので、このごろ非常に話題になっているのが例のPISA。学力が下がっているのではないかと言われているわけです。これは、資料はおつけしませんでしたが、二〇〇〇年のPISAの
調査で、例えば、読解力は
日本は八位であった。一位はフィンランドなんですね。あるいは、数学的リテラシーでは、当時、二〇〇〇年、
日本は一位であった。あるいは、科学的リテラシーでは
日本は二位であった。それが、二〇〇三年の同じPISA
調査で、時を経たときに、読解力は
日本が十四位になった。すなわち八位から十四位に下がった。それから、数学的リテラシーも、トップであったのが六位に下がった。科学的リテラシーも、あっ、これは変わっていませんね、二位ですね。
というふうに、何か下がったことがえらく注目されるんですが、これはしかし、OECD諸国の中で、きょうお配りした資料でいえば、これは結局、公財政
教育支出ということで言っていますが、
日本は公財政
教育支出が非常に低いところにあるんですよね。例えば、一般政府支出に占める割合でいえば、これは下の方ですね、一〇・七%。よく使われるのは、この右の表のGDPに占める割合ですね。これも一番下、実は、二十九カ国中二十八位、
日本とトルコが三・七%、GDP。
GDPというのはその国のやはり経済力の規模ですから、単純には言えませんけれ
ども、ただ、こういう指標がある、比較がある中で、
日本は公財政
教育支出が低い割にはPISAの成績は高いとむしろ言えるわけで、健闘しているわけですね、お金が少ない中で。こういう比較もしていかないといけないだろうと
思います。
それから
一つだけ、これは
質問としてお伺いしたいんですが、さっき申しましたように、やはり個々人のというか、家庭の経済力の差がスタートとかあるいは
教育の
機会の差になってはいけない。このことを手当てするのは、多分、特に高等
教育では
奨学金が非常に大きな
役割を果たすと思うんですね。
これは、
質問で、通告もしなかったので、ちょっと数字だけ答えちゃいますけれ
ども、私、今、緊急にこの格差に対応するときに、この点だけはどうしてもしないといけないと思うんです。
大学の
奨学金を受けたいと希望する、そして受ける基準に合格している、これは
平成十七年度、文科省からいただいた資料で、実は、基準適格申請者、
大学奨学金十一万一千人でありました、しかし採用は九万二千人しかできませんでした、そこで残存適格者が二万人残りました。これは数字としていただいたんですね。
残存適格者というのは何かというと、つまり、受ける資格はあるんだけれ
ども、この無利子
奨学金は、結局、予算枠ではみ出た分はだめでしたと、こうなったと。じゃ、それはどう
選択したかというと、一行だけあるんですが、予算枠があるため家計要件重視で採用したと。より厳しい人から採用したという。枠があるからそうせざるを得なかったということでしょうが。この際、十一万人の中で二万人ぐらいですから、これはぜひ本当に格差解消の大きな、緊急措置として考えていただけないか。