○
福田(昭)
委員 それは違うと思いますね。
私、ここに「新 協同組合とは」ということで、協同組合経営研究所、もちろん農協や生活協同組合ですね、協同組合がみんなして参加してつくっている協同組合経営研究所でつくっている協同組合の教科書を買ってきました。これを読んでみます。全く
認識が違うと思います。
協同組合と政治の
関係については、二つのポイントがあります。
第一は、組合員個々の政治的信条が尊重されるべきであると同時に、組合全体が特定の政党や政治運動に従属するものであってはならない
と書いてあります。
その
意味で政治的に自立した存在であるべきだということです。協同組合は、どんな政治的信条をもつ人であっても、ともに集まり、ともに行動する開かれた組織でなければなりません。
こう第一に書いてあります。
二つ目のポイントでありますが、
第二は、組合内部で意見の統一がはかられる限りでは、いつでも政治に対して自由に発言し、自由に行動すべきだということです。協同組合は、単に経済的利益のみを追い求める利益集団ではなく、人びとの協同によって社会を少しでもよくしていく運動体として、市民運動などとも協力しながら、政治にも積極的にかかわっていくことが求められます。したがって政治への発言も、単に自分たちだけの利益という狭い
観点でなく、よりよい社会への接近をめざす
立場から行なわれるべきです。
ということで、まさに、政治的にも経済的にも自由な
立場でやるんだというのが協同組合の自治、自立の原則だということです。
したがって、特定の候補者を応援するということじゃなくて、農協がやる政治活動というのは、それこそ皆さん方、
農林水産省の
大臣初め役人の方々に
日本の
農業かくあるべしという提言をするのは、これはまさに農政活動、農協の政治活動ですよ。それと、特定の候補者を応援するのは政治活動じゃない。これは選挙運動なんです。(発言する者あり)選挙運動なんですよ。
だから、今はここの問題を、農協の問題、それは今厳しい環境の中にあって、農協の存続そのものも危ぶまれている、そういう
状況の中にあって、この後の
議論の中でちょっとさせていただきますが、農協をこれからしっかり活性化させて、本当に
日本の
食料・
農業・農村を守るためには、やはり原点に返るほかないと私は思うんですよ。原点に立ち返って、農協を再生させるほかないと思うんですよ。
そういった
意味から、さっき御紹介したように、
政府の強烈な抱擁はしばしば死の接吻に終わるということわざがヨーロッパにあると紹介いたしましたが、まさに、農協が特定の政党、特定の候補者にこだわるとそういうこともあり得るという経験をヨーロッパでは既にしてきたということなんです、これは。
ですから、そういったことをやはり念頭に置いて、原点に返って農協をしっかりと再生しなければ、これからの大変な時代に、農協はそれこそつぶれるほかないというふうに私は思うんですよ。事実、私の地元の農協の専務さんなんかは、もう農協はだめだわということで、専務さんをやめて、自分でみずから
農業をやる会社なんかを立ち上げちゃいましたけれ
ども、実は、現場ではそんな実態もあるわけです。そんなことを
考えると、やはりここはしっかりとやらなくちゃだめだと思うんですね。
問題は、農協中央会からの回答がここにあるんです。これは我が県の中央会でありますが、こう書いてあるんですね。「農協は、
農業生産力の増進、あるいは
農業者の社会的・経済的な地位の向上を図ることを目的とした団体であり、他の法人と同様、公職選挙法、政治資金規正法に反しない範囲で、目的を達成するための政治活動は認められるものと
考えている。」ここは私もいいと思うんですよ。さっき私が申し上げたように、農水省やあるいは都道府県や市町村に対して、我々の
農業はこうあるべきだ、我々こう頑張るから、ぜひ行政でも理解して応援してほしい、そういう農政活動というのは十分やっていいことだと思うんです。
その後、こう書いてあるんですね。「選挙活動については、志を同じくする
農業者等が結集する政治団体によって行われるべきだと
考えており、」だから、農協もちゃんとこれは危ないということを承知しているんですよ。承知しているから、こうした志を同じくする人たちが集まって、「栃木県興農政治連盟をつくり活動しており、何ら問題はない。」こう書いてあるんですよ。しかし、問題はないんじゃなくて、私に言わせれば問題がいっぱいあるんですね。
それは、先ほど申し上げたように、全く、すべてのものが興農政治連盟のものによって行われればいいんですよ。ところが、名前だけが興農政治連盟で、実際に使っているのは農協の建物であったり電話であったり、すべて農協の財産を使って、あるいは組織も使ってやっているのが実際の選挙運動でして、ですから、そういった
意味で本当に問題があるんですよ。
ですから、政治資金規正法上からいえば、ともすると、二十六条の四の寄附等のあっせんに係る威迫的行為の禁止違反の疑いなんかもある。これは、ある農協では何か無理やり千円か二千円カンパさせられたとか、そういうような苦情があったり、あるいは二十六条の五で、意思に反するチェックオフの禁止違反の疑いの声もある。何か給料から後援会費を天引きされちゃったというような話もある。
ということになると、これは本当に一人一人の自由な意思に基づいて選挙運動が行われているとは思えないんですね。そういう事実があるから、それこそ、単に農協の経営がまずいからだけじゃなくて、そんなこともあって農協離れがどんどん進んでいるということなんですね。
ですから、そうした
状況をやはりしっかりと直していくというのが農協を再生させるに当たって大変重要な点だ、私は実はこう
考えているんですね。これから我々もちょっと確認をしてみたいと思っていますが、もしこんなことが本当だったら、完全に捕まっちゃうんですよ。本当だったらこれは逮捕されちゃうんですよ。
ですから、全く、私もそんな被害者は出したくありませんから、そういう
意味で、先日、実は、紳士的に農協の皆さんと意見交換してきたんです。でも、残念ながら、この辺はよく理解していない。先ほどから理解していない言葉も議員さんからも出ていますけれ
ども、農協自身がよく理解していないんですよ。だから、この辺はしっかり農水省としても指導していく必要があるんじゃないかというふうに私は
考えておりますが、いかがですか。