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白須政府参考人 ただいまのITQ制度の導入の
関係でございます。
委員からも
お話しのとおり、個別の譲渡可能漁獲割り当て、いわゆるITQでございますが、これは、いわゆる個別の割り当て、IQと言っておりますけれ
ども、これに譲渡性を付与するといったようなことで、その割り当て量を他の
漁業者に譲渡することができる、そういった仕組みでございます。
お話のとおり、このITQにつきましては、過剰な投資を抑制いたしますとか、あるいは操業の効率性が
改善される、また無駄のない
資源利用が
期待できる、そういった利点ももちろんあるわけでございます。
他方、反面、割り当て量の超過に伴います虚偽の報告というものも大変多い。あるいはまた、価値が低い小型魚、混獲をいたしますとそういうものを捨ててしまうといったようなことで、非常に
資源の面で無駄になる。あるいはまた、譲渡を通じまして、特定の
漁業者に割り当て量が、どちらかというと大規模な
漁業者に割り当て量が集中をいたすといったような問題点も実は
指摘をされているわけでございます。
例えば、これを導入いたしましたアラスカにおきましては、ギンダラとかオヒョウとか、そういうITQの導入によりまして、漁船の統合は進んだわけでございますが、
加工場がこれまた閉鎖されるとか、あるいは
水揚げ港の集中が進みまして
漁村が崩壊をするといったようなことで、実は、ITQの譲渡につきましては、個人ごとの保有量の制限といったような制約
条件も課されているというふうに聞いているわけでございます。
実は、私
どもとしても、
我が国におきましても、ミナミマグロにつきましては、ITQじゃございません、IQ、個別の割り当てにつきましては既に導入をいたしているわけでございますが、これは、ミナミマグロにつきましては
関係の
漁業者とかあるいは
水揚げ港も少ないということで、水産庁の監督官を常時駐在させる、そういうことでこれの管理というものが、取り締まりということが十分できるから導入しておるというふうな理由もあるわけでございます。
いずれにいたしましても、
我が国におきましては、一般的には、ただいま
お話のございましたITQを導入しておりますような諸外国と比べますと、
魚種も非常に多うございます。また、遠洋から沖合から沿岸から、大変に多様な
漁業も存在をいたしており、また、漁船なり
水揚げ港も諸外国と比べますと一段と多いわけでございまして、なかなかそこの取り締まりのところが難しいというふうな基本的な問題もあるわけでございます。
しかしながら、
委員からも
お話がございましたような、そういうメリットというものも十分考えられるわけでございますので、そういったメリット、デメリットというものも十分検討しながら、あるいはまた
関係の
漁業者団体とも十分相談をいたしまして、今後、その導入につきまして検討してまいりたいと考えている次第でございます。