○佐々木(隆)
委員 今お話をいただいたところは、ちょっと農政の本質論議になっていっちゃうと、これはきょうの時間の中では少し難しいところもあるんですが。
ただ、一点
指摘をさせていただきたいのは、例えば、今観光というのも、私、北海道なものですから、大変大きな産業化しつつあるわけでありますが、そのときに、観光主体、観光客体、観光媒体という、産業用語なんでしょうけれ
ども、三つに分けるんですね。
それで、観光主体というのはだれかというと、観光客のことを言うんですね。観光客体というのは受け入れる側の方を言うんですね。私は、それは間違いだと思うんですよ。観光主体は受け入れる側であって、客体は客だと思うんですよ。その
地域ではぐくんできた歴史と
文化にお邪魔をさせていただくのが観光客だと思うんですよ。観光客のために我々は
地域をつくってきたわけじゃないんですよね。
それと同じ結果に、結果にというか
目的が、今、
定住していただくとか交流していただく人のために
農村があるわけではないということを、観光のときも、観光客のために
地域があるというふうな今の考え方というのは私は違うというふうに思っているものですから、観光客は
地域に金を払っていけと私は言いたいぐらいなんですが、そういう
地域の営みということが一番大切なんだということをあえてここは
指摘をさせていただきたいというふうに思います。
私は、
基本法農政に比べて、出てくる施策がどうしても少し違うという気がしているんですね。
基本法の理念が必ずしも一つ一つの
政策に生かされているのかというふうにいうと、申しわけないんですが、結果、出てくる
政策というのは、
先ほどの品目横断で産業
政策だというお話がありましたが、結果、選別が進んでしまったり、あるいは、
補助金農政を脱却すると言いながら、脱却し切れたとはとても言えないし、もう一つ、やはり私は一番問題だと思うのは、
農業政策というのが結果主義なんですね。本当は
政策というのは
計画主義でなければいけないのに結果主義。
それはどういうことかというと、産地づくり
交付金のように、配分する方は
農業団体か地元にお任せします、あるいは品目横断も、作付したものについて上げてきなさい、そうすれば
補助金上げます。これは、結果については責任を持っているんですが、
計画のところに全く責任を持っていない。
政策というのは、私は
計画に責任を持って初めて
政策だというふうに思うんですが、
計画のところに余り国がきちんと責任を持っていないというところが、
基本法の理念が必ずしもきちっと生かされない結果になっているのではないかというふうに思うわけであります。この点については、時間がなくなりましたので
指摘にとどめさせていただきます。
この九
法案を含めた
活性化法、それから、国全体でいいますと再チャレンジだとかイノベーションだとか経済底上げ
戦略とかいうものが一気に今回出てきているわけですが、私風に言わせていただくと、これは政府による
格差対策だというふうに思っております。
格差是正という言葉を使いたくないがゆえに、こういういろいろな
政策が出てきたのではないかというふうに思っているんです。
私は、この五年間の改革というものを否定はしていません。否定するものではありません。ただ、何が一番間違っていたかというと、セーフティーネットを張らないままに改革を進めた、それも意図的にと言ってはちょっと怒られるかもしれませんが、そこは結果としてそうなったではなくて、そういうふうにやってきたのではないかというふうに思っているんです。
規制はいろいろ外すからいろいろなわざに挑戦してみろと言われて、このごろ例え話をするといろいろ危険ですから、余り例え話もできないんですが、サーカスをやって、規制をいろいろ外すからいろいろなわざにチャレンジしてみろと言って、いろいろなわざにチャレンジしてみたら、下にネットはなかったというのが今日までの改革だったと思うんです。そして、そのネットがないがゆえに地面にたたきつけられた人が、次の再チャレンジをしろと言われても、再チャレンジするそのチャンスさえないというのが今の
状況ではないかというふうに思うんですね。
安倍総理も、結果平等よりも機会平等だと言うんですが、その機会平等がきちっとつくられていないというところに大変大きな問題があるのではないかというふうに思うわけです。
今度の
地域活性化も、そういった意味では、機会平等の一つとしてもしこれを位置づけるのであれば、
地域活性化の中の一つである農山村
活性化法というものも、だれに対してセーフティーネットを張っているのかということが実は明確ではないのではないか。
定住化していただく人のためや交流
人口のためにセーフティーネットを張っても、それは
農村のセーフティーネットにはならないわけですね。そこを私は申し上げているんですが、そういうふうに運用していくためにぜひお知恵を出していただかないと、これはだれのためのセーフティーネットなんだと。これは多分、そのセーフティーネットの一つとして出てきた
政策であるとするならば、あるはずなんですが、だとすれば、セーフティーネットを張るところを間違っているのではないかというふうに私は思っておりまして、本当の意味での、そこにずっと営々と続けてきた
農村が、これから先もきちっと維持をしていけて、そこに住んできた人たちがこれからも住み続けることができるというのが私はセーフティーネットだと思うんですよ。
そういった意味でいうと、
活性化法という名前がせっかくついているわけですから、
定住していただく方やそれから交流をしていただく方のためだけのものではなくて、そこに住み続けている人のためのセーフティーネットとして、ぜひこの
制度を充実していっていただきたいということを申し上げて、私の
質問を終わらせていただきます。
〔金子(恭)
委員長代理退席、
委員長着席〕