○西村(康)
委員 地理空間情報活用推進基本法案の起草案につきまして、提案者を代表して、その趣旨及び内容について御
説明申し上げます。
平成七年一月、私の
地元で発生いたしました阪神・淡路大震災以降、
政府において、地図データと地図上に位置づけられるさまざまな情報を用いて、視覚的な表現、高度な分析、迅速な判断を可能とする地理情報システム、いわゆるGISを
推進しており、道路などの位置、土地の境界に至る基本的な
国土における
地理空間情報は次第にデジタル化されつつありますが、同じ基盤的なデータがさまざまな機関や
団体により重複して整備され、互いに重なり合わない等の現状があります。そのため、各システムの連携の強化を図り、さまざまな情報の重ね合わせを可能とするため、より高精度で新鮮な共通白地図が必要となっています。
また、人工衛星を使った米国の全地球測位システム、いわゆるGPS等の衛星測位は
国民生活や
国民経済に深く浸透し、重要な社会基盤となっているとともに、
我が国でも準天頂衛星システム計画が
推進されています。
平成十四年の測量法改正等により、
日本測地系から世界測地系への移行が行われ、これら地理情報システムに係る施策及び衛星測位に係る施策の連携の可能性が拡大しており、二つの施策の
相乗効果等を柱とした立法を行うことは時宜にかなうものとなっております。
本法律案は、このような状況を踏まえ、
地理空間情報の
活用の
推進に関する施策に関し、基本理念を定め、並びに国及び
地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、
地理空間情報の
活用の
推進に関する施策の基本となる事項を定めようとするもので、以下、その概要について御
説明申し上げます。
第一に、米国等では、
地理空間情報の
活用に関する技術、人材、
制度等を包含する概念を
国土空間データ基盤、すなわちNSDIと称しておりますが、
我が国においてもこれに対応する
国土空間データ基盤を
形成するため、総合的、体系的に施策を実施し、
関係する施策の
相乗効果を発揮すること、信頼性の高い衛星測位サービスを安定的に享受できる環境の確保、その他防災対策の
推進、行政運営の効率化、高度化、多様な事業の創出、民間事業者の技術提案、創意
工夫の
活用、個人の権利利益及び国の安全への配慮等の基本理念を定めることとしております。
第二に、国及び
地方公共団体並びに
関係事業者の責務について規定しております。
第三に、
政府は、これらの基本理念を実現するため、
地理空間情報活用推進基本計画を新たに策定し、
地理空間情報の
活用の
推進に関する施策を総合的、計画的に
推進するとともに、計画の策定及び施策の実施に関し、
関係行政機関の協力
体制の整備をすることとしております。
第四に、国は、
地理空間情報の
活用の
推進に関する施策全体に
関係するものとして、
政策研究、知識普及、人材育成、行政における
地理空間情報の
活用、個人情報の保護のために必要な施策を講じることとしております。
第五に、国は、地理情報システムに係る施策として、電子地図上における位置を定めるための基準となる情報で電子化されたものであり、道路や鉄道の位置、三角点などのようにさまざまな情報の位置決めの基準となる基盤地図情報の整備や地籍や登記などの行政の各
事務と基盤地図情報の相互
活用、国が保有する基盤地図情報等の原則無償提供などに関する施策を
推進することとしております。
第六に、国は、衛星測位に係る施策として、GPSを運用している米国
政府等の地球全体にわたるシステムの運営主体との連絡調整、衛星測位に係る研究開発、技術実証、利用実証、その成果を踏まえた利用
促進を
推進することとしております。
これらの施策の実施により整備される
地理空間情報を
活用して、例えば、社会的弱者に対するより効果的な行政サービスの実施、災害時におけるより迅速、正確な対応、民間事業者による新たなサービスの創出など、
国民生活の
向上に寄与するものと期待されるところであります。
その他、附則において、公布の日から起算して三月を超えない
範囲内において政令で定める日から施行するものとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。
何とぞ速やかに御賛同いただきますよう
お願い申し上げます。
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地理空間情報活用推進基本法案
〔本号末尾に掲載〕
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