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市村委員 まさに、
大臣がおっしゃったように、あのチャリティーコミッションみたいなものが一朝一夕にできるはずがないわけですね。
それこそ、御批判を受けておりますがマグナカルタなどというものを私どもの党が言っているようでございますが、まさにそのころからの伝統があってこそ、あのチャリティー
委員会というのはあるわけであって、それこそ
公益という言葉ではないわけですが、英語で多分いろいろな表現をこの何百
年間されてきていると
思いますが、いずれにしても、現実に即して、特にイギリスは、いわゆる非常に機能的な国だと言われていますから、現実に即して、その時代その時代に即して多分判断してきたと思うんです。これは確かにこの時代においては
公益に資する、もしくは
社会のためになることだな、だからみんなで支えていこう、こういうことを多分大
議論していきながらやってきたはずなんですね。もちろん、そのベースにはコモンローがあって、常識というものがあって、しかし、コモンローがありながらも大
議論をして、今日を迎えながら、積み上げてきているわけです。それに一気に
日本がなれといったって、それは無理な話であります。
ただ一方で、
日本の歴史を考えていただいても、実は江戸時代を見ていただいたら、非常に
NPO社会なんですね、あそこは。消防も
警察も教育も、
NPOがやってきた
社会なんです、
日本は。決して
日本に
NPOの伝統がないというわけじゃない、いやいや、あるんです。つまり、
日本だって知恵としては実は残っていると私は思っています。
ただ、先ほど申し上げたように、特に戦後の高度経済成長期に、何でもかんでも、まさにここが
大臣がおっしゃる官製土壌ができてしまったきっかけなんですけれども、
一つの大きな
流れになっているわけですが、すなわち、高度経済成長期にはどんどん税収が伸びた、一方で公害問題のような
社会問題がどんどん発生してきた。住民の方も、これは役所が何とかしなさいと国や県や市にわっと言ったわけですね。そのときはそのときで、それで正しかった、税収もあったから。ところが、その結果どうなったか。何でも
行政に言えば何とかなるというような、ある
意味でいえば、住民の方も国民の方も甘えの構造ができたと私は
思います。
行政の方も、それを受けて何か、
最初は、こんなことをうちに言ってこられてたまらぬなと思ったけれども、結局税収が伸びたし、どんどん言ってこられることを考えたら、予算がとりやすいな、理屈が立つなとなってくると、
行政の方もそれになれっこになっちゃったんですね。そうなると、それがだんだん慣性の法則で、改められないまま今日を迎えた。結果、残ったのは何か。膨大な赤字、無駄ですよ。
結局、実は
NPOのことを私が申し上げているときは、単にボランティア
団体をどうかしようという話だけじゃないんです。まさに、
社会の
仕組みを大きく変える突破口を開くのがこの
NPOの
議論なんです。すなわち、民の公、この間
大臣もその言葉を使っていただきました。民の公を考えることこそが、実は、今の
社会のあり方を大きく考えてとらえ直す、そして、
日本の
記憶を呼び覚ます、過去の
記憶を呼び覚ます、
日本の伝統文化にもっと注目をさらに向けていく、こういうきっかけになるんです、
NPOのことを考えることは。
そういう観点から実は私は
NPOという言葉をずっとこの二十年近く使い続けているわけでありまして、そういった
意味では、まさに今
大臣が取り組もうとされている、厚い岩盤を破ろうとするこの取り組みについて、私は大賛同するわけであります。
ただ、そのためには、やはり手段が必要なんです。単に
思いだけじゃだめなんです。だから、そのときに、この
NPOというものをきちっと考えていくことが実は
大臣の大きな後押しになるということを私はここで強く強調させていただきたいんです。この
議論、つまり、民の公をどうするかという
議論をすることが、官とは何か、そして営利企業とは何かということに実はつながっていくんです。
また、
日本の司法はどうか。この前ここで
議論しましたけれども、つまり、
行政的手法で解決してきた手法ではなくて、これから司法じゃないかとか、そういうことまで突き詰めて考えていかないといけないような話にこれはなってくるんです。
または、
税制上でも、きょうはここは税の話じゃありませんが、
日本の税の取り方は、収益
事業に関しては三十三項目の列挙主義というのを挙げています。これは世界で極めて珍しいというか、ない、
日本だけの
制度です。これで本当にいいのか。この
NPOの
議論をすると、実はこういうところまで考え直さなくちゃいけない話になってくるんです。
この間もちょっと
議論しましたけれども、
法人の一般
寄附金枠というのも、実はこれは
日本だけのものなんですね。これも、しかし
NPOの
議論をするからこういうことが、へえ、そうだったのかということになってくるわけです。
というふうに、この
NPOの
議論をしていただくこと、つまり、民の公のセクターをどうつくっていくか、その主体となる
NPOをどう育てていくかという
議論をすることが、すなわち、
日本の今の
制度の不可思議さ、おかしさ、問題点を明るみに出すことになるんです。だから、私ここで、これだけ熱を持って言っているわけなんです。
単に、ボランティア
団体を、
市民社会をどうかという話だけじゃないんです。まさに
日本のあり方、
日本の
仕組み、形をどう考えていくかということにつながっていくからこそ、これだけ何度もこの
内閣委員会の貴重なお時間をおかりして
議論をしているんです。
だから、そういう立場に立って、ぜひとも
高市大臣、
渡辺大臣、そして林副
大臣も、これは極めて重要なんです。単に、もう八年たって、少し大きくなってきているからまだいいんじゃないのとか、まだ発展途上じゃないのとかいう
認識で済ませてもらっては実はこれは困るんです。これは、まさに我々の時代をどうしていくか、それから、我々の子供
たち、孫
たちの時代をどうしていくかという根幹にかかわる
議論なものですから。
しかも、土壌をつくったって、いい木はそうは育たないんです。それはやはり何十年もかかるんです、木が育つには。花だって、いい花をつくろうと思ったら、それはそんな簡単に育ちません。ほったらかしで育つようなものじゃないです。
というふうに、やはりまず土壌をつくるということから始めなくちゃいけない、そのための
議論だということでありますし、ぜひともその観点から、
公益認定等委員会も、本当に
公益認定というものを、
大臣の
思いはわからぬでもないし、一応わかるところがあるんです、現実に即してみたらこうだろうというお気持ちもわかるんですが、しかし、将来にもっと大きな花を咲かせるためには、やはり土壌のところ、
基盤のところ、基礎のところで曲がると、幾らいい家を建てても、土台がおかしかったら家は倒れてしまうんですね。
だから、まず土台のところで、ぜひとも民の公をどうつくるかというところから
議論をもう一度スタートしていただいて、そうしていただければ、いわゆる
特定非
営利活動法人について私が申し上げていることも、ああ、なるほどなと多分僕は納得していただけると思うんです。それから、なぜ僕がここまで
公益認定等委員会についてかみつくかというのも、これも納得していただけると
思います。
あと一分ですが、
最後、一言だけいただきたいんですが、結局、そういう観点からいくと、この間の、私企業から私企業への
寄附に
税制優遇措置を与えるというのがいかにおかしなことかということを、苦心の策ということはもう重々受けとめた上で、僕は、この
議論の
流れからすると、いかにやはりこれはおかしかったかなと。苦心の策だということかもしれませんが、僕はやはり問題があると
思います。
そのことについて
最後に御指摘申し上げ、
大臣から一言いただいて、私の質問を終わらせていただきます。