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萩原委員 総体的に非常に厳しい、ないしは一層の
健全化、
効率化が必要だという御
認識、ありがとうございます。
御案内のとおり、今
大臣の
お答えにもありましたように、
地方公営企業は一応
独立採算制をとっていまして、そして、その
独立採算制の中で、この間いただいた資料によりますと、このところ安定的に
黒字基調だということにはなっています。内容を見ますと、
公営企業全体で一千五百から二千億
程度の
黒字がこの数年間出ているようであります。しかしながら、
公営企業の
収入というものの定義の中に、
御存じのとおり、
一般会計等からの
負担金や
補助金が含まれているということになっていますので、そして、その
負担金、
補助金というのを見ますと、額でいうと、
補助金で約四千億
程度で推移をしていて、
負担金でいうと一兆円弱でありますので、これを考慮しますと、先ほどの一千五百から二千五百の
黒字というのが本当の
意味の
黒字じゃなくて、少なくとも、
一般会計に
企業会計から貢献をしているという姿にはほとんどなっていない、逆だろうということになっております。
私も、前職、
岡山市長をやっておりまして、その
関係でいうと、
公営企業の
経営については本当に
苦労がありました。大変な
苦労というか、まあ、楽しかったんですけれ
ども。
病院はやはり大変でして、
累積が約百億あったんです。ずっと毎年十億ふえているんですよ。どうするんだということで、これはいろいろ考えた結果、まず、
地方公営企業法を全部
適用させていただいて、立派な
管理者に来てもらって、その
管理者と折衝した結果、
赤字改善ないし
黒字化できた場合の
一定割合を
成功報酬としてボーナスでお支払いするということで気合いを入れたんですね。当初、五%ぐらいでいいかなと思ったら、二割くれというので、二割出したんですけれ
ども。まず起こったことは、物すごく
意識が変わりました。結果として、二年後には
黒字になっちゃったんです。
なっちゃったんですけれ
ども、その後、オンブズマンの
方々が
訴訟を起こしまして、
成功報酬型の支払いというのが
地方自治法上、
給与法定主義、
条例主義との
関係でおかしいじゃないかと。
条例には
成功報酬と書いてあるんですけれ
ども、それでもその
条例自身が
自治法に違反しているじゃないかというので
裁判を起こされまして、結局負けちゃいました、かわいそうに。本当に申しわけなかったんですけれ
ども。頑張っていただいた
病院管理者の方が
返還請求に遭って、ひどい目に遭っちゃったという
経験をして、今からでも本当におわびをしたいぐらいの気持ちです。
それから、次に、
卸売市場事業、これも大変です。何で一市町村がやるのかわからないぐらいの大変さなんですけれ
ども、これも全部
適用してやりました。これについては、そろそろいい
成果が出つつあるんですけれ
ども、大幅な
改善には至っていない。
水道事業については、これは
値上げです。
値上げをする。
水道料金の
値上げとか、あるいは
水道の
徴収漏れの
徴収というのは大変なんです。
裁判をするわ何やかんやでいろいろなことをして、弁護士をいっぱい頼んでやりまして、これは随分
改善をしました。
最も
苦労したのは、実は
下水道なんです。
下水道は大変でございました。
就任直後に、
平成十一年の三月の末ですけれ
ども、当時の
下水道局長が来まして、
市長、実は
岡山市の
下水道普及率は公表より少ないんですよと。当時五〇・五と言ったんですね。えっと言って、何ぼ少ないの、二、三%でも違うのかと言ったら、もう
一声と。五%でも違うのか。いや、もう
一声。一〇かと言ったら、いや、もう
一声と言って、結局一五違って、実際三五のものが五〇・五ぐらい出ていたんですよ。これはいけない、何でそんなことになるのかという後の
議論になるんですけれ
ども。
下水道というのは、当然でありますけれ
ども、たしか
交付税の
裏側に入っているというか単価が入っていますから、えらいことになるぞというので、まず
情報公開をしないかぬと。その上で
整理をしていこうということで、
情報公開をしました。当時何が起こったかといいますと、
総務省、前は
自治省だったんです、
自治省に言ったら、何でそういう話を黙って
情報公開したんだと言われて。もう
時代は変わりましたね、本当に。大変でしたけれ
ども。
それで、
総務省といろいろ
整理をして、
錯誤じゃないということを言われて、
錯誤じゃないものですから
返還プラス違約金みたいな
金利がつくんです。
返還分が二十一億で、
違約金みたいなのが、懲罰的な
金利のところが十九億か何かで、結局、たしか四十一億お支払いしたんですよ、そのときに。きれいさっぱり、耳をそろえて、ぼんと国にお返しをして、後、きれいに
整理をしてやっていたんです。
今度はこれが、だんだんこういう傾向が出てきたんですけれ
ども、その十九億について、
原因者である前の
市長さんその他に対して市から
返還請求をしなきゃいけないじゃないかという
訴訟が起きて、僕はしなかったことについて被告になって、今でも係争しているんですけれ
ども、本当にこれには
苦労をさせていただいておるわけです。
ただ、もう
一つの
苦労は、やはりそういった
情報公開並びに問題の是正をした後、今度は
財政面で、
下水道との
関係で
一般会計から
繰り出ししますね。この
繰り出しが、例の
公共事業で
景気対策をしたときにやったものの
裏側が一気に
返還時期になってきたものですから、
繰り出し額が年間二千億の
財政の中で百五十になるんですよ。
一般会計から
下水道に繰り出す額が、二千億の
財政規模で百五十億になる、これはもうもたないぞということで、よう言ったんです。
下水は大切なんだけれ
ども、市の
財政や
市民生活が
下水道に吸い込まれて流れてしまう、
下水道に沈没する
岡山市というようなことになっているのでは、これはいけませんなという強い
意識がありました。
そこで、そういう
問題意識について
全国市長会でも
いろいろ話をしておりましたら、それはそのとおりだという声が非常に多くて、
下水道についてはどうするんだという
議論がありました。もちろん、
下水道の
有効性ということにつきましては、これはもうみんな異論がない、だれもそのとおりだと思っておりますし、
住民の
皆さんからも
下水道の
整備については非常に強い要望があります。しかし、先ほ
ども言いましたように、
下水道で町がつぶれたのでは元も子もないという気もするわけであります。
したがって、持続可能な
下水道にするためにいろいろなことが必要です。
制度面でも、例えばどういう
整備の仕方をするか、
面的整備をするかどうかとか、
技術面あるいは
資金面、いろいろな点で
改善をしないと、
人口減少下でこれは本当に今後大変だなという気がいたしまして、そのときにやったことは、まず、
下水道については
料金算定のベースが
水道料になっていますから、
水道局と一緒にしたらどうかと思って、
上水道と
一体化した
地方公営企業に最終的になるのが
一つの方向じゃないかなというので、
水道局の
経理担当を
下水道に行ってもらうんです。
これがまた疎外されまして、同じ市役所ですから疎外とは言えないんですけれ
ども、肌が合わないということで、
水道局から行ったやつが音を上げまして、へとへとです、こんなところで
経理の話をしても聞く耳を持ってくれませんというような訴えがある。これは大変だなということでございました。
公営企業法の問題に若干移りますけれ
ども、
公営企業法では、
上水道と
工業用水道をやるときには
一体でやれ、
一体性をもともと念頭に置いています。しかし、
下水につきましては、まず
公営企業法が
任意適用、つまり
財務の
適用もないし
税務適用もない、やるんならやってもいいよというぐらいのことになっている、そういう
状況であります。
そこで、さっき申し上げたように、
下水道について最終的に
一体化した
地方公営企業を目指すという話をしたときに、
下水道局の方から、資産の
状況もよくわからないし、まずは
財務について
適用する
準備をするのに五年は欲しい、こういう話なんですね。当時、
下水道局の方からまじめな
反応として、
財務の
準備をするだけで五年は欲しいと言ってくる。どういうことなのかなと思って内部の若手の話を聞くと、
技術系の方が多いんですけれ
ども、
下水道をつくることだけでもう精いっぱい、
財務のことなんか考えたこともないというのが基本的な当時の
反応ということでありました。
これが
岡山市における
下水道の
実態だったわけですけれ
ども、一方で、こういう
実態が
岡山市だけではないんですね。ほかのところに聞いてみると、同じような
状況がいろいろ起こっている。
そこで、今度は
国土交通省にお話をお伺いしたいわけでありますけれ
ども、たしか、私
どもが
市長をしていたときに、
国交省の
下水道部長にも
お願いして、
経営問題を少し勉強しようよということで提案をしたことがありました。それはそうだという話になって、このところ
国土交通省としても、
下水道の持続可能な
経営という
観点からいろいろ
検討されている、あるいはそれが加速されているものと信じておりますけれ
ども、そういう
意味で、
経営の
観点からの
下水道事業についての
国交省としての
現状認識、そして
検討に当たっての
問題意識や現在の
検討状況あるいは
成果について、ぜひお聞かせいただきますように
お願いをいたします。