○亀井(久)
委員 国民新党の亀井
久興でございます。
答弁される
皆様方も、また
委員の
皆様方もかなりお疲れだと
思いますけれども、最後の
質問でございますから、もうしばらく御辛抱いただきたいと
思います。
今、いろいろな
議論を聞いておりましたけれども、
NHKが重大な岐路に立たされているな、そういう印象を大変強く持ちました。
国民の信頼をどうやって回復していくか、そのことは、一に
NHKばかりではなく、私ども
国会としても、またあるいは
政府としても真剣に考えていかなくてはいけないことだと
思います。
そこで、
NHKのいわゆるあるべき姿といいますか、それをどういうように考えるかということ、非常に基本的な問題だと
思いますけれども、私は、どうも
菅大臣と
NHKのイメージが少し違っている点があるのかな、そういう感じが率直にいたします。
私、この
委員会で、ちょうど一年前でございますが、当時は竹中前
大臣でございました、竹中さんにいろいろな御
質問をいたしました。
NHKが第二次世界大戦前に民間法人として出発をした、それが、言ってみれば
公共放送としての役割を十分に果たせずに、いわば国営
放送的な道を進んでしまった、そして戦争への道を進んでしまうことについて、軍部に引きずられる当時の流れというものをせきとめることができなかった、そのことも、戦後の反省として新しい
放送法がつくられ、新しい財団法人
日本放送協会が出発をしたということも申し上げたわけでございますし、また、よく比較されますけれども、イギリスのBBCの姿というものと比べていろいろなことも申し上げたわけでございます。
その中で、やはり私は、先ほど来
議論になっておりますけれども、政治権力と常に
NHKが一定の距離を保つということは、
公共放送として非常に大事なことだと
思います。今、民放との二元体制ということについては、これはもう
大臣もお認めになるわけだし、
NHK自体もそのことは十分にわかっていることだと
思いますが、前に民放連の前
会長の日枝さんをこの
委員会でお呼びして
お話を伺ったときに、
放送というのはエンターテインメントとジャーナリズムが二本の柱で、その二本の柱をうまく両立させるために、強い公共性、公益性の自覚というものがなくてはいかぬ、そういうことを言われたんですね。これは、まさに電波は
国民の共有の資産でございますから、それを免許
事業として占有をしている、そしてまた
放送メディアの持つ影響力、電波媒体の持つ影響力というのは非常に大きいということから考えれば、当然、公益性、公共性の自覚というものがなくてはいけない。
ところが、今の民放の姿というものを見ておりまして、
番組の中身を見ても、公共性、公益性というものを十分に考えておられるなというようには必ずしも思えない。それは当然だと思うんです。民放の場合には、収益を追求する営利
事業でございますから、どうしても視聴率競争の世界に入ってしまう、そういう中で大衆迎合的な
番組をつくらざるを得ない。また、報道についての
中立性ということを保とうと思っても、権力が、時の政権が圧倒的な人気があれば、やはりそこにすり寄ると言うと変な言い方ですけれども、強い批判ができにくくなってくるということはあるし、また逆に、その政治権力がある程度弱まってくると猛烈な批判をする、そういうこともある。だから、なかなか民放の場合には報道の
中立性というものを保つということは難しいんだろうと
思いますね。そういう中で、
NHKの役割というのは極めて大きい。
また同時に、民放の場合にはどうしても採算性を重視しますから、人口の多い大都市を中心にした
一つの
考え方というものが強く出てくる、地方軽視というものにどうしてもなりやすい。片や、
NHKの場合には、あまねく
放送をする、そういう使命を負っておりますから、それだけ地方にもしっかりとした拠点があるわけで、そこで
NHKと民放というものがいい
意味での補完関係を持って、それで
国民のために一定の役割を果たす、そういうことだろうと思うんです。
政治との距離ということについて、これは少し話が長くなりますけれども、私はちょうど一年前に
竹中大臣に同じことを
質問したんです。そのときに
竹中大臣はこういうことを言われている。
実は、今の
お話を聞いて
一つ思い出すことがございますのですが、イングランド銀行のマービン・キング総裁、中央銀行のある種の見本ですけれども、
お話ししましたときに、実は中央銀行の歴史は
政府からの独立の歴史であったと。実はそのとき、マービン・キング・イングランド銀行総裁はBBCについても同じだという話をされました。
政府から独立して物事を考えるということが私は本当に必要なんだと
思います。
同時に、これはニーマン・ファンデーションというハーバードのジャーナリスト養成講座のトップが言っておられたことですが、常にジャーナリズム、メディアというのは権力からも距離を置いて、そして大衆からも距離を置かなければいけない、それがメディアの役割である。私は、大変重い言葉であるというふうに
思います。
NHKにおかれても、そういう志を持って、しっかりと前に進んでいただけるというふうに思っております。
こういう答弁をされているんですが、この認識は
菅大臣も同じでしょうか。