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野田(佳)
委員 民主党の
野田佳彦でございます。
少し自分のポリティカルメモリーから話をさせていただきたいと思います。
私が初めて
政治を意識した瞬間というのは三歳半でございまして、昭和三十五年十月、当時の社会党の
委員長の浅沼稲次郎さんが右翼の少年に日比谷公会堂で刺されて亡くなるというシーンが当時の白黒のテレビで何度も放映されて、大きなおじさんが眼鏡を飛ばして倒れる、すごい怖いシーンが続きまして、
政治家というのは怖いんだなと。もちろん、これはその後の沢木耕太郎さんの本なんかを読んで追体験もしているんですが。その後、保育園に入ったころに、今度は海の向こうのジョン・F・ケネディの暗殺が入ってきて、内外ともに
政治家というのは命がけの怖い仕事なんだというのが私の幼児体験です。
しかし、長じて、社会に
関心を持ち始めたころ、高校生のころだったと思いますが、田中金脈問題が明らかになり、続いてロッキード事件が起こり、加えて、私の住んでいる千葉県では、林幹雄さんもいらっしゃいますけれ
ども、金権風土を象徴する事件が続いたころでありまして、どうも命がけで
政治をやっているというよりも、
政治を通じて金をもうけるような風潮が日本ではあるんではないか、そういう
印象を強く持ちながら、いずれは立花隆のようにペンを通じて
政治を正していきたい、これが自分の大志とは言えないんですが、寸志ぐらいの最初の志の芽生えであります。
そのうちに、学校に入って
政治学の勉強をしているときに、ある注目すべき
政治家の存在を知りました。ヘンリー・ジェームズといいます。これはイギリスの十九世紀の
政治家です。ロイド・ジョージやピットやディズレーリだったら知っている方はたくさんいますが、今はイギリスの
国民も知らないヘンリー・ジェームズという
政治家は、一八八三年に腐敗防止法をつくったときの立て役者であります。私はこの人をとても尊敬いたしました。当時の英国の
政治風土は、例えば三千票の票をとるのに日本円にして一億五千万円もお金を使う、一票五万円で票の売り買いが買収、供応等で行われていた。その時代に、その金権
政治をやめようと立ち上がった
政治家がヘンリー・ジェームズであって、私はこの人を物すごく尊敬しています。
そういう
政治家になりたいと思って初めてチャレンジした選挙が、九三年のあのときの国政選挙、
政治改革が最大の課題でございました。そして、何とか当選をさせていただいて、百二十八国会だったと思いますが、選挙制度改革、
政治資金規正法と腐敗防止、そして
政党助成、この三つを柱とする
政治改革関連法の
審議に入りました。
いろいろ紆余曲折がありました。もともと
政治改革は、リクルート事件で倒れた竹下内閣の後の海部内閣、宮沢内閣、そして九三年当時できた細川連立内閣、三内閣にまたがる六年越しの
政治課題でございましたから、本当に熱い
議論がありました。衆議院で修正が行われて、そして参議院では否決をされたと記憶をしています。そして、両院協議会で衆議院の
修正案どおり通った。しかも、その後にも、
法案が成立した後も、施行前のさらなる修正があって、総総合意ですよね、与野党が真摯な
議論を
政治改革協議会を経て行って、最後は、細川総理と当時の河野総裁の間でサインを交わして、お互いが最後に万年筆を交換したという大変感動的な場面がありました。
私は、
政治改革というのはかくあるべきだと思います。
政治資金規正法あるいは
公職選挙法、与野党がやはり共通の土俵に上って、いろいろ立場を超えて成案を得ていく努力を丁寧にやっていくというのが
政治改革の
議論の基本だと思います。
たまたま、この倫選特のキーパーソンは、細川
理事、そして
井上理事、そのときの
政治改革関連法のまさに成立に向けて努力をされた人たち。答弁に立っている東さんも大口さんもそうですよね。そういう
関係者がいながら、何できょうのような職権で立つような事態になるのか。
最後に申し上げたいと思いますが、
今井宏
委員長もまさにそのときの同志でございまして、私は、あの同じ
政党の中で、
政治改革と地方分権に熱心な
今井委員長を当時同僚として大変心服し、尊敬をしていましたが、そういう共通体験がありながら、その基本を忘れて何できょうは職権で
審議をするんですか。金曜日に
審議が始まったばかり、わずかな時間でした。きのう筆頭間協議があったそうです。まだ緒についたばかりです。しかも、与野党合意して
委員会を立てていくべきです、これは定例日があるわけじゃないわけですから。きちっとそれをやっていって、
審議が煮詰まったら採決だと思いますが、どうやらきょうは場内では採決をするかどうかという協議もするという不穏な動きであります。
ぜひ、
委員長、なぜ職権で
委員会を立てたのか、抗議だけではなく、
理事会では御
説明があったんでしょうけれ
ども、この
委員会でも御
説明をいただきたいと思います。