○谷口(隆)
委員 まさに
大臣が今おっしゃっていただいたように、そういうような
監査は好ましくないんだというようにやっていかなければなりませんが、一方で、あらゆるところでプレッシャーがかかってまいりますと、そうではなくて、どうしても過度に保守的になりがちでございます。私はそれを大変心配しておるところでございます。
また、
公認会計士の
監査というのは、先ほど
藤沼会長もおっしゃっておられたわけでありますが、直接クライアントから報酬をいただいておりますけれ
ども、クライアントに対して
批判的な
意見を述べるということで、ほかの、弁護士、医師なんかとは若干違うところがあるわけでございます。
そこに求められるのは公正不偏な高い精神性が求められるわけでありまして、そういうような高い精神性を業界の
皆さんに持っていただくような指導もいたしておるわけでございます。
だから、先ほ
ども刑事罰の問題が出ておりましたが、このような
刑事罰も、どうも、いろいろな
金融審議会の取りまとめの
状況を見ておりますと、非違を抑制するために
刑事罰を科すんだ、こういうように言うわけですね。非違を抑制するために
刑事罰と。
もう既に御存じのとおり、現行法でも、
中央青山監査法人が崩壊をし、その後を引き継いだ
みすず監査法人、あらた
監査法人、この
みすず監査法人はまた事業
継続ができなくなってしまいまして、大手の
監査法人を中心に
公認会計士の
皆さんが今移りつつある、こういう
状況で、現行法におきましても大変厳しい
状況にあるということをよく知らなければならないと私は思います。
これをあえてつけ加えて
刑事罰と言っていらっしゃる方、どの方が言っていらっしゃるのか。ほとんど、この
公認会計士協会のいわば
監査の現場を知らない方、マスコミの報道によって、どうも私から申し上げますと誤った方向に行っていらっしゃる、こういうような声だと思うわけでございます。ですから、方向をしっかり見きわめて、正しい方向に向けていかなければ大変な事態になるんだろうと私は思うわけでございます。
お配りをいたしました三ページに、我が国と
米国における
監査事務所の比較というものをつけておるわけでございます。今、アメリカ流のいわゆる組織的
監査、大量に人を投入してやったらいいと。現に、アメリカにおきましては
公認会計士は約三十三万人、我が国では二万三千人ほどでございます。
今、この準
会員が、
会計士補というんですが、十三ページを見ていただきますと
公認会計士等の
登録状況というところがございますが、十八年の三月末現在で、
公認会計士登録者が一万六千二百二十二人、
会計士補が六千四百十九人でございます。合計二万二千名強なんですね。このうち、
監査法人に所属しておる
公認会計士の数が八千八百人ですから、大体、
公認会計士の
登録者の約半数が
監査法人に所属して頑張っているというような
状況でございます。
それで、現行の
日本の
監査法人は、ほとんど資格を持った方でやっておるわけでございます。ところが、アメリカの方は、試験そのものが、大学を卒業すれば、
一定程度の学力があれば合格できるという比較的易しい試験がありまして、まずはその試験に合格をして、
監査事務所に入ってトレーニングを受けて、残っていく方とそうでない方と分かれてくる。我が国の
公認会計士というのは、これは大学を卒業されてすぐに職業を選択しないで、しばらく勉強して、資格を取られて入っていらっしゃる方が非常に多い。このような違いもあるわけでございます。
私は、必ずしもアメリカのような
監査のしぶりに合わせる必要はない。今の
公認会計士の
皆さんの、いわば非常にレベルの高い
皆さんが集まってやっていらっしゃるわけでありますから、そこで切磋琢磨をしていただいて、現行の
日本の
企業の
監査に励んでいただきたいというように思っておるわけでございますけれ
ども、これも一緒くたにしてアメリカ的な
監査を行えというのもちょっとおかしい。その詳細なことを本当に
理解されて今回の
法案の基礎になりました
金融審議会が行われたのかどうか、私は大変な疑問を持っておるところでございます。
また一方で、
監査報酬におきましても、これは二ページにありますけれ
ども、
監査報酬の日米の違いというのはなかなか比較しにくいところがあるわけでございますが、主に大きな
企業のところを中心にして比較いたしますと、大体、
日本の
監査法人の約四倍の報酬をアメリカでは取っているというようなことがあるわけでございまして、いろいろなところに違いがあります。
このような
状況の中で、数万時間に及ぶような
品質管理レビューが要求されて、そこに投入をしておる人たちにそれなりのお給料を支払うということになりますと、これは収益性が当然ながらどんどん圧迫されますから、
監査報酬の値上げということになるわけでございまして、このことについては余り今のところは議論されておらない。ですから、今の
公認会計士また
監査法人が置かれておる総体的な
状況をよく知っていただかなければならないと私は思う次第であります。
それで次に、
品質管理レビューの一端を担っておる
公認会計士・
監査審査会の検査について私は申し上げたいわけでありますが、今回の
法案で、むやみやたらに、いたずらに検査に入らないというようなことになったと
理解しておりますが、
公認会計士・
監査審査会の検査のやりぶりについて、どういう
状況なのか、御
報告をいただきたいと思います。
〔宮下
委員長代理退席、
委員長着席〕