○古本
委員 民主党の
古本伸一郎でございます。
民主党・無所属クラブを代表いたしまして、
日本政策投資銀行の民営化に関します今般の法案につきまして、反対の立場から討論を行うものでございます。
反対
理由の一つ目は、国民のためになる民営化ではないという点でございます。
民にできることは民で、この議論は公的機関の肥大化を懸念する国民的な関心事でもあります。国会としても丁寧な審議を重ねてまいりました。
長期での
事業資金を求める鉄道、電力、港湾、町づくりなど国民生活を支える
事業は、大型でかつ多額の
資金を要することから、長期、固定そして低利の
資金を前提としてまいりました。民営化後は、こうした
融資が円滑には行われない可能性があり、国民生活の便益はむしろ不利益となるおそれが大であります。
次に、新たに補助金や利子補給の形で法的な
措置を含め手当てすることが明らかになってまいりました。
政投銀の試算ではありますが、二十年間で約四千三百億円、新たに国庫からの持ち出しのおそれも明らかになりました。財政の健全化という
意味では全く逆の財政負担増となるわけでありまして、民営化におつき合いした代償は余りにも大きいと言わざるを得ません。
次に、公的部門のスリム化が図れるのか、この点も懸念が深まるばかりであります。現在の政策
融資を判断する仕組みは、民営化に伴いまして、各省が個別に特別法を持ち、あるいは補助金などを新たに創設し、民営化した方が逆に新たな利権が生まれるおそれも明らかになりました。
さらに、現在、役職員のうち若干名が役所からの再就職となっておりますが、こうした各省との
関係が補助金で結びつくことにより、現在、政府から提出されているいわゆる天下りバンク法案と重なり合えば、いわば相思相愛の名のもとに押しつけ増となるのではないか、懸念が拡大いたしております。
大きな反対
理由の二つ目に、
政投銀は今のままで役割を十分に果たしているという点であります。
長期での
事業資金提供という政策使命を果たしつつ、必要経費は収支相償の原則により国庫補給は受けず、
事業運営を行っておられます。さらに、累計七千億円を超える国庫納付を重ね、ほぼ毎年、財政に
貢献をされている
状況であります。
財投改革におつき合いし、とにかく民営化というのであれば、せめて民営化に伴う経済性検討も慎重に行った上で、
数字も示し、国会の場に御提案をなさるべきではなかったでしょうか。
反対
理由の大きな点の最後に、閣議決定と法律が矛盾している点でございます。
我が国の金融市場における長期での
事業資金の調達のあり方については、ユーザーによる起債や
民間金融機関の新規参入など、さまざまな
資金調達が考えられる中、政府も、恐らくこうした流れを受け、平成十七年十二月の閣議で、政策金融として行う必要がなくなったと決定したのではなかったでしょうか。
ところが、平成十八年の行革推進法では一転し、
政投銀の有する長期の
事業資金に係る投
融資機能の根幹が維持されることとなるよう必要な
措置を講ずると、新しく民営化の船出を決定された
民間会社である
政投銀にその役割を背負わせることとなりました。
政投銀の名は体をあらわしております。我が国金融市場で他に類を見ない、公の政策を政府保証を背景に実現する特別な存在ではなかったのでしょうか。
関係各位は、
事業の継続性を担保せざるを得ない中、結果として窮屈かつ国民負担増につながるおそれのある仕掛けを忍ばせるに至った今回の法案は、反対せざるを得ません。
最後に、我が国金融市場における長期での
事業資金を今後どのように確保していくのか、国家的な議論を深めるべく、そうした議論を強く当
委員会に求めつつ、討論を終わります。
以上です。(拍手)