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尾身国務大臣 今後の
財政政策等につきましては、先般の
財政演説において所信を申し述べたところでありますが、本
委員会において、重ねて所信の一端として、今後取り組むべき
課題等について申し述べます。
我が国経済は、長期停滞のトンネルを抜け出し、民間需要に支えられた
景気回復を続けており、
政府としては、イノベーションによる成長力
強化とオープンな姿勢で、引き続き、物価安定のもとでの民間需要中心の持続的な成長を図ってまいります。
目を外に転じますと、
経済がグローバル化する中で、その活性化を図っていくためには、アジアを中心とする世界の成長と活力を取り込んでいくことが必要であり、アジアを含めた世界
経済に貢献し、互いに発展していく関係を築いていくことが求められます。このため、G7、アジア諸国、国際機関等と協力を進めていくとともに、多角的自由貿易体制の
強化及び
経済連携協定の積極的な
推進や
平成十九年度関税改正における通関
制度の改革、租税条約の改定等を行い、
我が国の
経済社会をオープンなものにしてまいります。
平成十九年度予算編成に当たっては、
財政の健全化をさらに進めるとの
考え方のもと、徹底した歳出の削減、見直しに
取り組み、一般会計全体の予算
規模を八十二兆九千八十八億円といたしました。
税収については、五十三兆四千六百七十億円と、
平成十八年度当初予算に比べ七兆五千八百九十億円の
増加を見込んでおります。その一方で、一般歳出について、徹底した歳出削減
方針を貫き、四十六兆九千七百八十四億円にとどめております。これは、電源開発特別会計の仕組みの変更に伴う三千百七十九億円の歳出
増加を除けば、
平成十八年度当初予算に比べ、二千九百四十五億円の
増加にとどまっております。
この結果、新規国債発行額は、
平成十八年度当初予算に比べ、四兆五千四百十億円減の二十五兆四千三百二十億円となり、過去最大の減額を実現いたしました。これに加え、交付税特別会計における国負担分の借入金を一般会計に承継した上で、その償還を開始することにより、実質的に
平成十八年度当初予算を上回る約六兆三千億円の
財政健全化を図りました。
また、この交付税特別会計借入金の一般会計への承継や電源開発特別会計における仕組みの変更は、透明性の向上や
財政資金の効果的な活用にも資するものであり、質的な面に留意した改革となっております。
特別会計については、
行政改革
推進法で定められた特別会計の統廃合などを実施に移すため、本国会において、特別会計に関する
法律案を提出しており、本
委員会におきましても御審議をお願いいたします。
簡素で効率的な
政府を実現する
観点から、資産・債務改革に取り組む一環として、
財政投
融資については、対象
事業の重点化、効率化等を図り、総額の抑制に努めた結果、
平成十九年度
財政投
融資計画の
規模は、対前年度五・六%減の十四兆一千六百二十二億円となりました。一般庁舎、宿舎などの国有財産については、民間の知見を活用した有効活用をさらに
推進してまいります。
国債発行総額は、百四十三兆八千三百八十億円と、
平成十八年度と比べ二十一兆五千九百七十一億円減少し、過去最大の減額となりました。しかし、国債
残高は依然として多額に上り、引き続き、国債管理
政策を
財政運営と一体として適切に運営していく必要があります。このため、国債発行に当たっては、安定消化とともに、中長期的な調達コストの抑制に努めることを基本とし、
市場のニーズ、動向等を踏まえた発行に取り組んでまいります。
税制については、現下の
経済財政状況等を踏まえ、持続的な
経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制を構築してまいります。
企業が国を選ぶ時代となる中で、税制も国際的なイコールフッティングを確保する必要があり、
平成十九年度において、
我が国経済の成長基盤を整備する
観点から、減価償却
制度について償却可能限度額を廃止するなど、国際的に遜色のない
制度とするよう見直しを行います。また、
我が国中小企業の資本蓄積を促進するため、留保金課税
制度の適用対象から
中小企業を除外することや、税源移譲後も中低所得者の減税額を確保するため、住宅ローン減税の特例を創設するなど、
国民生活等に配慮した
中小企業関係税制や住宅・土地税制等の改正を行います。
次に、
我が国財政の現状と
財政運営の基本的な
考え方について申し述べます。
平成十九年度予算では、税収の
増加を見込む一方で、歳出削減を徹底することにより、
財政健全化に向けて確実な一歩を踏み出しました。しかし、
我が国財政の現状を見れば、国、地方を合わせた長期債務
残高が主要先進国の中で最高の水準にある一方、所得の中で、租税及び医療保険等の保険料の支払いの比率をあらわす
我が国の
国民負担率は、主要先進国の中で実質的に最低の水準であるなど、決して楽観視できるような状態ではありません。
こうした
状況を踏まえれば、子供や孫の世代に負担を先送りしないためにも、
財政健全化に向けた
取り組みを着実に進めていかなければなりません。したがって、二〇一〇年代半ばに向け、債務
残高対GDP比を安定的に引き下げることを目指し、まずは、二〇一一年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化することを目標に、歳出歳入一体改革に取り組んでまいります。
しかしながら、歳出歳入一体改革を進めるに当たり、非効率的な歳出を放置したまま負担増を求めることになれば、
国民の理解を得ることは困難であり、
国民負担の最小化を目標に、歳出削減を引き続き徹底していく必要があります。それとともに、今後とも
増加する社会保障給付や少子化への
対応等について、
国民が広く公平に負担を分かち合う
観点に留意しつつ、基礎年金国庫負担割合の引き上げのための財源を含め、安定的な財源を確保するため、抜本的、一体的な税制改革を
推進いたします。
こうした
考え方のもと、さきに述べましたとおり、
平成十九年度予算では徹底した歳出削減を行ったところでありますが、さらに、七月ごろに判明する
平成十八年度決算の
状況や医療
制度改革を受けた社会保障給付の実績等を踏まえ、本年秋以降、税制改革の本格的、具体的な議論を行い、
平成十九年度を目途に、
消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく、取り組んでまいります。
最後に、本国会に提出しております
財務省の
法律案について御
説明いたします。
第一に、先ほど御
説明いたしました、特別会計に関する
法律案でございます。
第二に、
平成十九年度における公債の発行の特例措置及び年金
事業等の事務費に係る負担の特例措置を定める、
平成十九年度における
財政運営のための公債の発行の
特例等に関する
法律案でございます。
第三に、先ほど御
説明いたしました
平成十九年度税制改正における諸措置を盛り込んだ、
所得税法等の一部を改正する
法律案でございます。
第四に、暫定税率の適用期限の延長のほか、国際競争力の
強化、利便性向上のための通関
制度の改革等を内容とする、関税定率法等の一部を改正する
法律案でございます。
第五に、
行政改革
推進法等に基づき、株式会社日本
政策投資
銀行を設立するとともに、その業務内容等を定める、株式会社日本
政策投資
銀行法案でございます。
今後、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
以上、
財政政策等に関する私の所信の一端を申し述べました。今後とも、皆様のお力添えを得て
政策運営に最善を尽くしてまいる所存であります。
伊藤委員長を初め
委員各位におかれましては、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。