○下条
委員 ありがとうございます。
本当に
一つ一つ、皆さんが知能を使い、そして知識を使い、経験を使ってつくった法律を、実を言うと、網になっていれば抜けていってしまうということです。僕は、このダブルチェックはすばらしい法律だと思いますけれども、私は直に耳にしましたものですから、えっと思って、これはダブルチェックじゃなくてワンチェックだ、ぶん投げて丸投げになっちゃうといけないと思って、あえて
現状を御提案させていただきました。ぜひ引き続き徹底的に奨励していただきたいというふうに思います。
次に、法律ができてかなりたってからの問題について、ちょっと御提案をさせていただきたいと思います。それはどういうことかといいますと、
大臣も所信で、密集市街地を
解消する必要があるとか、国民の住生活の安定の確保、向上の
促進とおっしゃっておりました。そのとおりでございます。私は、その中で商業
地域という点についてちょっと申し上げていきたいと思います。
釈迦に説法でございますけれども、商業
地域というのは、
都市計画法に基づく用途
地域の
一つであり、商業、業務の利便性を増進させるために自治体が定める。
都市計画は各都道府県、
市町村、それぞれの
都市計画審議会を経て決定する。商業
地域は、その
地域の歴史、経緯、
実態等を踏まえて設定されると聞いております。
その中で、日照権について、建築
基準法では、一定の高さの建築物を建築する際に、近隣住民の日照権を侵害しないよう用途
地域別に日影規制を設けている、これは昭和五十一年の改正によって定められた、商業
地域、工業
地域、工業専用
地域は日影規制の
対象外になっている、こういうことでございます。住宅
地域ということに限られている。
私もちょっと法律審議を、不勉強なんですが、いろいろ繰り返し読みまして、建築
基準法の一部を改正する
法律案における国会
質問が、昭和五十年の十二月三日の衆議院の建設
委員会であって、中村茂
委員というのがこうおっしゃっています。
商業
地域でも工業
地域でも住宅があって人間が住んでいます。特に商業
地域の場合には家が密集している、逆に密集している。商業
地域だから人間は住んではいけないというわけではないのでありますし、現実にこの商業
地域ほど多くの人が住んでいる。なぜ商業
地域や工業
地域は規制の
対象外なんだというふうに
議論を持ちかけた。
そのときに、時の山岡住宅
局長という方ですか、随分昔の方だと思いますけれども、今回の日影規制については、いわゆる日照権を全般的に確保しようという趣旨ではなくて、日照を確保しながらその他の通風、採光、プライバシーを守りながら環境のいい住宅をつくっていくための公法的な規制を行うものであり、住宅系
地域における紛争はますます熾烈になっており、それを念頭に置いた公法的規制が必要だと
考える。そこで、日影規制は住居系の
地域に限るという答弁を
局長がなさっています。
これはもう僕も全部見ました。つまり、昭和五十年、今から三十二年前においては、紛争が多くなっているのは住宅
地域だよ、だから住宅
地域に限って公法的なものをやったんだ、こういうことだと思うんですね。
では、現在、三十何年たってどうなっているかということになると、やはり商業
地域ほど建て主と住民の紛争が物すごく多発しているんです。これはある程度お耳に入っていると思いますけれども、密集住宅の耐震問題、それから災害、いろいろなものを含めて物すごい問題が住民と建て主さんの間で起きちゃっている。
商業
地域というのは、ともかく、もともとは商業、業務の
活性化のために容積率を最高限度まで高く設定して、それに加えて建築
基準法の日影規制が適用されない、高層をどんどん建てて容積率を高くしてという方法ですよね。ところがこれは、実を言うと、マンション業者にとっては最高の、絶好の場所でありまして、住宅がいろいろあったとしても、ともかくどんどん建てられるわけです。それによって、各地区でいろいろな、建て主さんと、五十年の以前から住んでいる方もいらっしゃいますし、その後に住んでいる方もいらっしゃいますけれども、そこは住居になっているわけですね、それによっていろいろ今問題が出てきている、こういう問題の提起でございます。
例えば、ある程度のマンションが建っていたとします。そこの北側には何もなかったから、それは争いになっていなかった。だけれども、その後に、そのマンションから物すごい間近にまたマンションが建つことになった。それが真南であれば、完全にそこの前回建っているマンション、これは、商業
地域でも住んでいる戸数は一般の住宅より多いわけですよ。私のところに入っている幾つかのあれでは本当に多くの方が住んでいて、商業
地域だからそのマンションを買った。でも、買った後にまた違うマンションが建って、採光、プライバシー、それからいろいろなプレッシャーを受けた。その上、交通
渋滞も下で起きたりして、子供が危なかったり老人も歩けなくなっちゃった、いろいろな問題が起きちゃっている。
そこで、いろいろなケースを私はさらに細かく追っていきますと、確かに商業
地域は法律的にそうだ。だけれども、それを細かくおろしていくと、自治体によっては、もうちょっとしっかりやろうじゃないか、そんな勝手にやっていいんかいなというのが出てきています。
例えば、千葉市、函館市、横浜市、静岡市、仙台市、岐阜市とか、私の
地元、松本もそうですけれども、良好な近隣関係を保持するために、安全で快適な居住環境を保全するためにという目的によって、中高層建築物の建築にかかわるものについて条例をしいています。これはあくまでも市の条例でありますね。
これは、今ので追っていくと、近隣住民に対して、建築計画や文書の配布、その他適切な方法で説明しなければならないよという程度ですごく弱い。もともとの法律が商業地はいいよとなっちゃっていますから、だから争いが大変多発しているので、自治体の方で、それについて、いや、こんなに多発したんじゃ、あっちこっちで裁判起きて大変なことになっちゃう、だから、ある程度条例をしいて、もう少し良好に近隣関係やりなさいよという、弱い自治体からの要請条例なんですね。
そこで、私が追っていって、
地元を含めていろいろなところから、いろいろな非難そして悲鳴が聞こえてきているのは、商業
地域というのは人間は住んじゃいけないのかいと。もともとは、実際は、商業やっている場所というのは、釈迦に説法ですけれども、お店があって、その後ろに人が住んでいたり、いろいろな
方々が住んでいるところを商業
地域でばんと指定して、そこに、三十年前はいいですよ、三十年前はいろいろまだあった。
でも昨今は、もうマンション業者が、あえて名前は言いませんが、いろいろな業者がいて、いろいろな悪者がいて、ともかくいいじゃないか、やっちゃえと。自分たちは説明会もやらないで、検査機関に判こを押してもらえば、自治体の建築指導課長はぽんと押さざるを得ないんですね、今の
システムは。そこで、紛争が余りにありますから、各自治体が仕方なくて条例をしいて、これはちょっとどうだいなというのが、実を言うと今の
現状でございます。
これは、法律の大専門家である
大臣は、もうお耳に相当御自身の周りでも入っていらっしゃるでしょうし、民事問題でもいろいろ起きております。
私は、これは、今までの法律がどうだというんじゃないんです。僕は批判しているわけじゃない。これだけ時間がたって、これだけ非難が起きて、個別に今自治体が制定をしている中で、もう少し司令塔である御省の方から指示を出してもいいんじゃないかなと私は思っています。
つまり、もう一度最後に申し上げますと、日照権はもちろんのことでございますけれども、プライバシーの侵害があったり、騒音があったり、景観がなくなったり、そこにマンションが乱立すれば
道路だって物すごいことになります。そういう部分について、もう少し住民の環境に
配慮したり、良好な近隣関係を保つための指導を国が自治体に対して行う必要性が少し高くなってきたと私は思います。
ぜひ、そういうのを含めて、
大臣の方から指導性を持っていただいて、法律を改正しろと僕は言っているわけじゃないです、指導していただいて、これは、実を言うと、問題が起きれば、すごくそこの自治体が膨らませて条例を置き、これから起きるところをねらって業者がどんどんマンションを今建てています。これは、私のところに全国からばんばんに入ってきております。
ですから、ぜひここで、もうちょっと良好にしなきゃいかぬぞというふうに、そうしなきゃ法改正になっちゃうよというぐらいの強いメッセージを送れたらなと思っておりますが、この辺、
大臣からぜひ前向きな御答弁をいただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。