○枝野
議員 公務員であったから不祥事があった、そして、
公務員であった状況のときになぜそれを防げなかったのか。
社会保険庁の歴史の中で、自由
民主党が管理
監督をしていなかった時期というのは多分二年間しかなかったと思いますが、その管理
監督者の
能力の問題だと私は思っております。
不祥事を起こした役所は民営化した方がいいんだったら、防衛庁も民営化するんですかという話になるわけでありまして、民営化をしたらすべてが解決するという幻想は大きな間違いだというふうに思います。
その上で申し上げますと、
公務員とは何なのかということを前提にお尋ねになっているのかよくわからないんですけれども、
政府案は非
公務員化と一生懸命おっしゃっておられるんですが、どこが非
公務員なのか全く私には理解できません。与党案も
公務員ではないんでしょうか。形式的
意味の国家
公務員法上の
公務員ではないですが、
政府案で置かれているこの
年金機構と称するところの
職員は、明らかに実質的
意味では
公務員であります。
私も、小さな
政府論者であります。できるだけ役所は小さい方がいい、
民間の方がいい。
民間の方がいいというのには二つ
理由があるわけでありまして、
一つは、
民間であれば基本的にはそのコストについて税金を使わないでいいということが
一つ。もう
一つは、
民間であれば競争原理が働くというのが二つです。
ところが、この
年金機構の
政府案による非
公務員と称するものは、この
民間であることのメリット、二つともありません。その賃金、給与は税金プラス
年金保険料から支払われるということでありまして、つまり、民営化をしたら人件費が税金じゃなくなるんじゃないかと結構有権者の皆さんは勘違いをしておりまして、その勘違いに乗っかっているちょっとこそくなやり方だなというふうに思いますけれども、この部分のところ、本当に
民間会社だったら、自分たちの自助努力で人件費を稼ぐのが
民間会社だというふうに思います。
それからもう
一つ。競争原理が働くから
民間企業は頑張るんです、コスト意識が働くんです。つまり、変な経営をして、ばかな経営をすれば会社がつぶれる、賃金が下がるということになるわけです。おかしなことをすれば、最終的には倒産をするということが
民間の競争の裏づけになっているわけです。どんなことをやっても倒産しない
民間企業というのがあれば、それはもはや
民間企業としての競争原理は働きません。
年金機構は、変な
運営をしたら倒産させるんでしょうか。それならば
民間企業だと思います。
それから、競争相手はあるんでしょうか。消費者からの選択というものにさらされるんでしょうか。A
年金機構とB
年金機構があって、ああ、こちらの方が
サービスがいいからユーザーはこっちを選びますよ、そういう選択があるから資本主義、自由主義における競争原理が働くのであって、
年金機構は
一つしかない、競争相手がいない、そして何をやっても倒産しない、つぶれない、そんな
民間企業って
民間企業じゃないんですね。
したがって、非
公務員というのは全くのでっち上げであって、
政府案も実質的には全くの
公務員であるということは、全く変わっていない。
しかも、国家
公務員法上の
公務員でなくなるということによるマイナスも大変大きいんですね。
一つは、天下り規制、これまた骨抜きの天下り規制を
政府の中で一生懸命検討しているようでありますが、この骨抜きの天下り規制すら、この
年金機構に天下ることについて、そして
年金機構からの天下りについて全く及ばなくなるんですね。実質的に
公務員でありながら、天下り規制は全く適用されない。焼け太りと言われても仕方がないんじゃないのかなというふうに言わざるを得ないと思います。
それから、民営化すると効率が上がってコストがよくなるという話も一説ありますけれども、これは、きのう、本
会議場で
山井提案者からもお話をさせていただきましたが、厚労省
職員の平均給与は六百六十三万円です、厚労省所管独立行政
法人職員の平均給与は七百九十六万円です、特殊
法人の
事務、技術
職員の平均給与は八百六万円です。つまり、
公務員であれば、これは
国会とかあるいは世の中の目ということで、その給与についてはそれなりに厳しい目で今見られている世の中でありますから、それなりの抑制は働くのですが、そこから遠くなれば遠くなるほど、
国民や議会によるチェック、監視が働かないで実は人件費コストは上がっていったりするということになるわけですね。ですから、何のための非
公務員化と称するものなのか、私にはさっぱりわからないと言わざるを得ません。
そもそも、今回の
改革のスタートになっているのは、グリーンピアを初めとする悪名高きいわゆる
福祉施設の問題ですけれども、これをやったのはどこかというと、みんな特殊
法人なんですよ。特殊
法人にしたらよくなるのか。全くわけのわからない話であります。
しかも、
情報公開の話などについても、形式的に非
公務員になるということで、形式的
公務員のような縛りがかからなくなるということでございまして、いや、本当に非
公務員化するんだったら、失敗したら倒産するというような仕組みにされたらいいし、それから、人件費その他について一切税金を使わない、それならば、民営化あるいは非
公務員化として認めますよ。でも、税金で給料を払いながら、そして競争が働かない分野に置きながら、非
公務員というのは全くのまやかしであるということで、公務に当たる以上は
公務員であるのは当たり前だ、こういう答えになるわけです。