○大島(敦)
委員 多分、
労働行政というのは受け身の立場が強いと思うんです。一番の
雇用対策は景気回復でして、ですから、職業能力をどうやってつけるかというのはなかなか難しいんだと思うんですよ。
大臣がおっしゃった高度な能力が求められるというのは、今、通説のように皆さん話されるんだけれ
ども、本当に会社の中で高度な能力というのが求められるのかということを皆さん考えてほしいんです。
自分は、会社員としてそんなに難しい仕事はなかったと思っている。朝しっかりと九時に来ること、集中力を五時まで、六時まで持って、プラス残業するということ、そんなに高度な知識とかレベルというのは求められないですよ。
これは高度な技術、高度な能力を求められるから、能力を持っていない人は安い
賃金でいいという、非常に今そのような見方をされているわけです。それは、例えば中国との関係で、中国の
労働賃金が非常に安いから日本の低
賃金労働は中国に収れんしていく、確かに理屈はそうかもしれない。でも、会社の中でそんなに難しい仕事というのはあるんですか。そんなにないはずですよ、会社の中で。それは
経営側が言っている。
僕はサラリーマンの立場からいうと、一九九五年からのリストラが始まって相当皆さん苦労したわけですよ。苦労したというのは、希望退職を募り、多くの方が、団塊の世代がやめられて、かつ、
賃金も定昇も落とし、ボーナスも返上し、相当な
努力をして一九九〇年代を乗り切ったわけですよ、日本の会社というのは。ここに来て今会社側が非常にもうかっていることと、今
大臣がおっしゃった、より能力のある人がより高い
賃金をもらうということ、余り能力のない方は
賃金を上げなくてもいいという考え方が通説のように思われているんだけれ
ども、僕は違うと思う。
それは、サラリーマンから見ると、一九九〇年代、経済誌と経済新聞を読みながら皆さん会社に通われるわけですよ。そこの新聞の中には何が書いてあるかというと、リストラが正しいと書いてあるわけですよ。それで会社に行ったときに
経営側から、あなた、やめてくれよと肩たたきに遭ったときに、そうかなと思ってしまって一言も言えないこの日本のサラリーマンの弱さをやはり考えてもらわないと困るなと思う。そこを割り切ってしまうと、非常に冷たい政策になっていくんです。
だから、僕は、今回の日興コーディアル、聞いたところによると、社長の年収が三億円ですか。日本の会社というのは従業員の中から選ばれて役員になるわけですよ。皆さんの協力を得て役員とか社長になっていくんだから、やはり新入社員の十倍ぐらいが社長とか役員の適度な給与かなと僕は思う。そういうよき伝統というのが私
たちの社会の中で失われているということが、僕は今非常に危険だなと思っているんです。ですから、より能力がある方、そんなに能力というのは差があるのかどうかなんですよ。
大臣がおっしゃっていた、ホワイトカラーエグゼンプションのときに能力評価の話をされておりました。本当に会社の中で正しい能力評価があるんですか。いろいろな仕事の仕方があるわけですよ。メーカーの仕事の仕方、商社の仕事の仕方、
保険の外交員の仕事の仕方。いろいろな仕事の仕方があって、
保険の外務員のフルコミッションの方は能力評価ですよ、売り上げに応じて給与が連動しますから。メーカーというのは余り能力評価がなじまないところでもあるわけですよ。技術者の方もいれば研究者の方もいる。現場、要は
作業系の、一生懸命働いてくれる、改善活動、JK、QC、TPM活動をしている方がいる。そして、
事務系の営業マンがいる。みんなチームとして活動をしているからそんなに給与差はつけないというのが、要は日本のこれまでの
企業の伝統だった。そういう働き方。
ですから、能力に見合った給与をつけようということを、そうかもしれないけれ
ども、それが正しいというのは余り、ちょっと疑問を抱いてほしいなと私は
大臣に思うんですよ。ちょっと気になったものですから。
それで、ちょっと話は戻しまして、今回の教育訓練
給付で何ゆえに四割を二割に下げたかという理屈が欲しいんです。前は八割から四割に下げて、今回二割に下げたその理屈をお願いします。