○
甘利国務大臣 先生御自身も、農水省時代、いわゆる通商交渉、WTO交渉の現場で大変御苦労された御経験をお持ちということを私も承知しております。
昔の私の記憶をたどりますと、WTO、世界全体の交渉があって、エリア交渉があって、個別交渉があって、
日本は、とにかくWTO、世界ルールをつくるのが先であって、余りエリアとか二国間というのは、それをやっていくとこっちがなおざりになるというようなことを昔通商
関係者から言われたことを思い起こすんですけれ
ども、実はそうしていると、世界の潮流は、多国間もあればエリア間もあれば二国間もあれば、手をかえ品をかえ、関税そして関税外障壁を取り除いていくという競争になってきたわけでありますから、これはいろいろな組み合わせで確かにいいんだと思います。しかし、最終的にはWTO交渉が一番のメーンであります。
この交渉の中で、先生御自身も今までの経験でお感じになっていらっしゃると思うんですけれ
ども、必ずどこかリードしていく国がありますね、インナーメンバーがあって。要はインナーメンバーから外れちゃって、決まったことだけ通告されるというのが一番都合が悪いわけであります。特に農業問題について
議論にほとんど参画できないままに何かが決まって、こういうふうに決まりましたから、嫌ならもう脱会するしかないですよみたいなことになっちゃうのが一番まずいわけであります。
ですから、インナーメンバーにどうやって、招かれざる客であろうとも乗り込んでいくかということがかぎなのでありまして、御案内のとおり、今はいわゆるG4主流体制ですね。
アメリカ、EU、ブラジルそれからインド。そのもうちょっと大きい枠にG6という、
日本とオーストラリアが入っている枠組みがある。
ですから、我々としては、G4を開くならG6を開けということをいつも言い続けていなきゃならないですし、呼ばれなくたって、はっきり申せば、出かけていって、チャンスあらばそこに突っ込んでいくということをやらなきゃならない。これは、いわゆる事務レ
ベルでもそうですし、閣僚レ
ベルでもそうなわけなんですね。
G4メンバーの中で、G6でもいいじゃないかと言ってくれるところもあれば、国の数が多くなればなるほど話はまとまらないよ、ややこしくなるから、とにかくインナーメンバー、G4でまとめて、それを後で、こうしてくれ、
協力してくれと言えばいいじゃないかという主張の国もある。ですから、
日本としては、
日本が入らなきゃまずいよということをどうやって言わせるかということなんであります。
これに続いて
理解をしてくれている国も当然次第に出てきているわけでありまして、余り交渉の中身を言うのは、まだ交渉の駆け引きの最中でありますからどうかと思いますが、インド等は、
日本が参画することについて、
日本を入れるべきだという主張を一生懸命してくれているわけです。ですから、ここへ来る前に、インドのナート
大臣と公邸で一緒にあの辛いインド料理を食べて、それで十五分前にここに来たのでありますけれ
ども、きょうはマンゴー・フェスティバルというのもありますから、ぜひ皆さんで御参加いただければインド側も意を強くすると思うのでありますけれ
ども、そうやってとにかくインナーメンバーの中にどんどん入っていく。
G6がずっと開かれないでG4ばかりだったんですが、しつこくやった結果、G6が二回開かれたわけですね。先月のニューデリーと、この間私が行きましたパリで、二回G6が開かれたわけです。そこでは表に高らかに発表できるような
合意というところまではいきませんでしたけれ
ども、
最初のG6の
会合で、年内妥結はみんなで確認したわけです。
これは、みんなで期間を共有するということですね。それから、その年内妥結ということを考えると、夏休み前に
一つの山を越えていなきゃならない。その具体的なものについてはなかなか表現しづらいのでありますけれ
ども、とにかく年内妥結をみんなで確認する、そのために、もう時間がないぞという危機感を共有する、そしてそのためには、夏休み前にはある
一つの山を越えていないとタイムスケジュールとして間に合わぬぞという意識は何とか共有をしていると思うんです。
それと、あと、中身について私の口から許される範囲で申し上げれば、今農業交渉だけが先行しているわけですね。もちろん、ここがどこの国にとっても一番大きな問題でありますし、特に農業輸出途上国は死活問題でもありますから、このハードルを先進国に下げろという
要求。あるいは、
アメリカにしてみれば、国内支持について、いかに被害を少なく、よそから多くとるか。みんなそういう思惑でぶつかっているのでありますが、農業だけが先行しているけれ
ども、実は、いわゆる生、工業製品を中心とした農産品以外の物の貿易もおくれをとっちゃいけません。
それだけじゃないです。あとはそのルール。
日本にとって大事なことは、アンチダンピングを不当にどんどん発動されている、これはちゃんとしたルールを決めようね、発動したらいつまでもそのままとかはおかしいよと。それから、サービスの貿易。
これらを全部セットで、多少のタイムラグがあっても、セットで最後のしっぽはそろうようにということが我々の主張でありまして、その辺は、そうですねという大体の感じにはなりつつある。ただ、個別のことに関してはまだまだ隔たりがそれぞれありますから、何度か、国会の御
理解をいただいて、国会開会中に急遽ということがあるかもしれないというのが現状でございます。