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石毛政府参考人 お答えいたします。
二つの大きな問題をいただいたと思います。最初に、後の方の問題からお答えしたいと思います。交流をもっと深めていかないと
人材はなかなか育たないぞ、そういうお話だったと思います。
御案内のとおり、
少子化が進行して団塊の世代の退職ということを考えると、ものづくりの
人材の
育成というのは、今
先生がおっしゃったように、待ったなしの課題になっている。そういう中で、実践的な
人材育成というのが非常に重要だというふうに思っております。こういう認識のもとに、私ども、三つの段階で
製造現場と
企業の間の交流を深めて
人材育成をしていこうということに取り組んでおります。
ちょっと時系列的に申し上げますと、最初に、
工業高等専門学校、いわゆる高専でございますけれども、
平成十八年度から、
地域の
産業界と高専が
連携をして
中小の
製造現場を担っていく
若手技術者を
育成する、そういう
事業を始めております。
地元の
企業のニーズを踏まえまして、特に高専の場合は割合いい研究設備を持っているものですから、例えばクリーンルームなんかを持っている高専もございます、そういう場所で
中小企業の
若手技術者を訓練するというような
事業を立ち上げております。
それから、本年度からでございますけれども、
地元の
産業界あるいは教育
委員会、そういうものの協力を得まして、文部科学省と
連携をして、工業高校にものづくり
人材を
育成するための実践的な教育を導入する
事業を立ち上げております。具体的には、
企業の技術者を高校へ派遣して実践教育をするとか、それから、生徒あるいは教員の方が
生産現場に行って研修を受けるとか、そういったような
事業を始めようとしております。
それからもう一点、大学のレベルに
関係するわけですけれども、
製造現場の中核になる
人材を育てようということで、
産業界と大学が
連携をしまして実践的な
人材育成を行うという
事業を、これも十八年度からですけれども、行っております。
こういう形で、ものづくり
人材のところにつきましては、単に教育の施設でやるだけでは不十分なものですから、
企業と密接な
連携をとって、それから、
関係の省庁、とりわけ文部科学省と
連携をとってそういう
人材育成に努めていきたいというふうに思っております。
それからもう一点、
事業承継といいますか、後継者
不足の点について御質問がございました。
中小企業の場合は、数の多いことはパワーであります。そういう
中小企業をふやしていくこと、無駄に減らさないこと、そういうことが必要だと思っております。そういう中で、私ども、
事業承継の円滑化というのは非常に重要だというふうに認識をしております。
そういう
事業承継、そういう
人材をきちっと
確保するということが必要だという認識を強く持っておりまして、私ども、二つの場所でそういう後継者の
育成というものに取り組んでおります。
一つは、
商工会議所、商工会。こういうところでは、大体二十時間から三十時間ぐらいの研修で後継者を養成しようということで、今まで一万人ぐらいの方がそういう研修を受けております。それから、もうちょっとインテンシブに研修を受けるという形のものとして、
中小企業大学校で、後継者を
育成するセミナーをずっと実施してきております。
中小企業大学校の場合、十カ月ぐらいかけてそこで訓練をしていくというようなことをやっております。
それから、
事業承継を現実にやっていくということになりますと、いろいろな問題が出てまいります。大畠
先生も御案内のとおり、
事業承継に係る税制面の改正というのを累次行ってきているわけですけれども、これに加えまして、昨年度、
事業承継ガイドラインというものを公表しております。この中で、後継者の教育は早く始めなくてはいけない、後継者への資産の引き継ぎ方はどうするのか、種類株の使い方だとか
法律の問題等々、そういうようなものをその
事業承継ガイドラインの中でお示しをしているわけでございます。
それから、
平成十九年度からでございますけれども、後継者問題にさらに突っ込んで
対応しようということで、専門家によるネットワークを組んで、
法律問題であればこの
先生、会計問題であればこの
先生、そういうような形で、ネットワークを組んで
対応するということのための予算
措置を講じてきております。
それから、先ほど、例えば
事業を売却するというようなケースもあるんじゃないかというお話がございました。
御
指摘のとおり、
事業承継の形も随分変わってまいりまして、二十年ぐらい前ですと、大体自分の息子さん、お嬢さん、あるいは親族の方に引き継ぐというのが九十数%でございました。ところが、最近時点で見てみますと、そういうふうに親族に引き継ぐというのは大体六〇%ぐらいになっておりまして、四〇%が親族外に引き継ぐという形になってきております。そういうことを受けまして、私たちは、外に
事業を譲渡する、そういうような場合に、その譲渡を受けようとする者に、お金が
不足しているだろうということで、そういう面での制度的な金融をつけるというような
措置を十九年度から実行するということをやろうとしております。
こういったような形で、
事業承継にかかわるものは、
人材面だけではなくて広い範囲の問題をいろいろ含んでおるものですから、さらに検討を進めて、役に立つ承継制度をつくっていきたいというふうに思っております。