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崎田参考人 おはようございます。
崎田裕子と申します。
私は
環境分野の
ジャーナリストとして
仕事をしておりますが、それとともに、
環境分野は
市民の暮らしの
見直し、あるいは
仕事の仕方の
見直しというのが大変重要だと思い、
環境カウンセラーとして
普及啓発、
環境学習の
推進なども担っております。
私は、この
食品リサイクルのさまざまな
検討に関しましては、
平成十七年九月から開催されました
環境省の
審議会や、その後の昨年九月から
中央環境審議会と
農林水産省合同で行われました
検討会、このような
食品リサイクル制度の
議論全般にわたって
委員として
参加させていただきました。その中で、特に
消費者、
生活者としての
立場で
参加をさせていただいてまいりました。
今回、この長い
議論を振り返ってみますと、大変強く
印象に残っているのは、やはり
循環資源の
利用というのが大変広まってきているんですけれども、それには
業界ごとに差がある、そして、特に私
たち消費者に近い
小売業や
外食産業、このようなところでの進み方が弱いというようなことが大変強く
印象に残っております。
それとともに、私
たち市民がこういうことに
関心を持っていくということがこういう全体の
食品リサイクルの
制度の
推進には大変重要なのではないかということを強く考えております。そういう
意味を込めまして、これからの私からの
意見につきまして、特に
消費者からの
視点ということを強調いたしまして
意見陳述をさせていただきたいと思っております。
特に、今回の
見直しの中で出てまいりました二つの点に関して発言させていただきたいと思っておりますが、一番目は、
食品関連事業者の方への
定期報告の
義務づけという新しい
制度の創設を提案しております。これに関してと、
フランチャイズチェーン事業を
一体のものとみなす、こういう
事業者の方に強く
責任を求めている
部分に関しまして発言させていただきたいということと、もう
一つ、
リサイクルループということで新たな
再生利用事業計画制度というのを提案させていただいておりますが、この二点に関して
意見を申し上げたいと思っております。
特に、第一点目の
食品関連事業者の方に対する
定期報告の
義務づけというのは、
循環利用が大変進んでいくということは重要だというふうに思っていますけれども、それだけではなくて、私
たち消費者への
情報提供あるいは
意識啓発、そういうものと直結するものとして期待しております。
具体的に申し上げますと、私
たちから見ると、私
たちが食べている食材を購入するようなお店とか
外食産業なんですけれども、こういうところの
取り組みというところにまず
関心を持つというのは当然のことだと思いますし、もっと
関心を持たなければいけないというふうに思っております。
それはどういう
関心かといいますと、やはり売り手、買い手ということだけではなくて、積極的な
取り組みをされているようなお店の
商品を選択し、購入するとか、先ほどの発表のようなサービスをできるだけ
関心を持って選ばせていただく、こういうようなすぐれた
取り組みに対して
消費者が評価して選択するということにつなげていくということが大事だと思っております。これが最近言われております
環境に対する投資とか、そういうものを
経済活性化につなげていく、こういうような
消費市場をつくっていくことの
重要性に直結するような
動きだと考えております。
どういうふうにこれを起こしていくかということなんですけれども、
行政の
皆さんがやはり私
たちへの
普及啓発を熱心にやっていただきたいというのはもちろんなんですけれども、先ほどのような
事業者の
皆さんの
取り組み、こういうものをもっと積極的に発信していただく。今、
環境報告書とかありますし、先ほどの
お話のように、積極的に
市民の
見学会を受け入れるような
お話もありました。こういうふうに積極的に
利用し、
制度が厳しくなったということで大変だということではなくて、この
制度によって
事業者の方は、
食品廃棄物の
発生抑制とか
再生利用、こういうものの数字を明確に出して発信していかなければいけないわけですけれども、これを逆に積極的に発信をして、
信頼関係の醸成、
ブランド価値の
向上に使っていただければありがたいというふうに思っております。
また、
フランチャイズチェーンのことについてもかなり
検討がありましたけれども、私
たち消費者から見れば、同じお店、同じ看板を出しているお店というのは、やはり同じような
視点で見ております。ですから、一軒一軒での
排出量というのは少ない、そして
再生利用は難しいということがもしあったとしても、本部がきちんと指導をするというような体制を整えれば、きちんと全体的に進めていただくということは可能になると考えております。
そういう
意味でも実はさまざまな
動きが進んでいますということを、
審議会の中でもかなり発表いただきました。そういうことをきちんと
消費者もわかっていくということを考えるためにも、
フランチャイズチェーンが
一体となって取り組むというようなことも大事なことだというふうに思っております。
次に、二点目なんですけれども、
リサイクルループ、こういうような新しい
制度の導入について
お話をさせていただきたいというふうに思っております。
やはり
食品関連事業者の方と、
農業や
畜産、こういうような
事業者の
皆さんが連携して、先進的な
取り組みというのは既に進みつつありますが、そういう方の
お話を伺っても、それを
最後まで、
収集運搬の業の方から、
再生利用をしてそれをまたお店に戻して
消費者に
販売する、そういう全体の
ループをつくっていくのに大変な時間、労力、
行政との交渉などもあるというふうに伺っております。こういうことがきちんとできるようになっていって、顔の見える
リサイクルループをきちんと早くつくれるように、そういうようなことは、
消費者にとって安心、安全ということにもつながりますので、そういうような
制度、積極的に取り組む方の
制度というのは必要だというふうに思っております。
そのときに、ぜひ、そういうきちんとした
リサイクルループをつないででき上がったものだということを私
たち消費者にもわかりやすいように表示していただくとか、やはりそういうことをひとつ国の中で、
環境省あるいは
農林水産省などの
制度の中で
施策をきちんと展開していただければありがたいなというふうに思っております。
今回、こういうような
制度を
もとに、例えば
飼料の
自給率の
向上とか
堆肥による
土づくりをきちんとした
環境保全型の
農業、こういうものが全体的に広がっていけば、今、持続可能な
循環型地域づくりということが大変重要だというふうに言われておりますが、そういうものをきちんとつくって、
地域活性化を重視した
環境立国の創造、こういう
方向性にもしっかりと合うものではないかというふうに感じております。
今、この二点に関して、私の
消費者としての
意見を申し上げたのですけれども、実際、今回の
審議に
参加をさせていただいて、強く感じたことが幾つかあります。
それを
お話しさせていただきたいのですが、第一点は、今度の
審議に関しては、
食品の
事業者の方、そして
廃棄物の
処理業の方、
行政の
皆さん、私のような
消費者の
立場の者、さまざまな者が
一緒になってテーブルを囲んで話し合うという状況だったんですが、それぞれがよりよくするために何ができるかということをきちんと話し合う、そういうような雰囲気で話し合いが進んだということを大変うれしく思っておりますし、そういう
動きがきちんと反映できるような
内容になっているのではないかというふうに思っています。
こういうような
動きというのは、結局は
再生利用の
取り組みがおくれているというのが私
たち消費者に近い
小売とか
外食産業というところなんですけれども、そういうところが
消費者と
一体となってきちんと進んでいくということにもつながっていくというふうに感じております。
ですから、この
法律の範囲の外なんですけれども、今、
食育とか
環境教育、
環境学習、こういったことが大変重要だと言われておりますので、こういうようなこともぜひ
行政の
施策としてもより強く取り組んでいただきたいというふうに考えておりますし、私
たち、そういうものを
地域で取り組んでいる者も
一緒に取り組んでいきたいというふうに思っております。
具体的に申しますと、やはり私
たち自身がもっともったいないという気持ちをきちんと常に取り入れて、
消費行動をとるとき、そしてお
野菜とか
食物を使ってお料理をつくるとき、そういうようなすべての
生活の中で、きちんと
食物とのつき合いというものを考えていけるようになればすばらしいのではないか、
事業者の
皆さんと
消費者の
取り組み、そういうものが
一体となった
食物を大切にする社会ができるのではないかなというふうに思っております。
ここのところ、新聞などを拝見しておりますと、世界的な
人口爆発の
危険性とか
途上国の
経済成長によって、やはり
食料が需要が増大しているということ、あるいは農作物をエネルギーに使うというようなことで、
食料の
重要性が高まっている、こういうことは
皆さんももう十分御承知で御
審議をされていると思いますけれども、
食物の六割を輸入に頼っているというこの日本の中で、
食物の大量廃棄というのが残念ながらまだ続いている。こういうことをやはり直していくというのは、国益とか地球
環境益、こういうものを考えたときに大変重要なことだというふうに感じております。
私ども、
市民の身近な
視点から考えましても、今
関心のある人は、
自分の身近なところで、生
ごみを
堆肥化して近所の方とお花をつくっていくとか、公園を整備する、いろいろな
動きもできております。ただし、全体的に見ると、家庭の生
ごみもきちんと
リサイクルをするということが大変重要な
施策となっております。こういう将来のことを考えると、将来の家庭の生
ごみということも視野に入れながら、こういう今回の
事業者の方を中心とした
食品リサイクル制度ですが、今回の
見直しをきっかけに、社会全体で
食物を大切にし、そして
循環利用していく、こういうようなさまざまな
動きの盛り上がりのきっかけに、ともにしていただければありがたいというふうに思っております。
どうもありがとうございました。(
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