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小林参考人 財団法人ひょうご
環境創造協会、
小林でございます。
このたび、私にこのような場で
発言の
機会を与えていただいたことに
感謝を申し上げたいと思います。
私は、地方におきまして、
兵庫県の職員という
立場で実務を行ってきた経験を踏まえまして、
兵庫県の
状況を考えながら
意見を述べさせていただきたいと考えてございます。
兵庫県では、国道四十三号線の往復十
車線、
阪神高速道路神戸線の四
車線、合計十四
車線を
中心とします
阪神・
神戸地域の
自動車公害による
NOx・
PMを初め、騒音、低
周波振動等の
公害に悩まされてきたわけでございます。
阪神高速神戸線が開通して以来、
交通量は飛躍的に伸び、
NOxや
浮遊粉じんによります
ぜんそく患者が増加し、大きな問題となりました。
公害訴訟にも発展していったわけでございます。国を初め、
関係の府県、市は、
排ガス規制の
自動車単体対策を初め、多くの
対策をとってまいったわけでございますが、
自動車交通量の増加に追いつけず、その
対策、
改善は
遅々として進まず、地元におきましては大きな苦情の種となっていたわけでございます。
しかし、
平成七年の
阪神・淡路大震災をきっかけといたしまして、また同年七月の西淀川訴訟の判決が
推進役となりまして、ソフト事業といたしましては、
自動車NOx・
PM法の改正によります
車種規制の
強化が進み、またハード事業では、国道四十三号線の大幅な
車線削減等の
道路構造の
対策、また
環境防災緑地の整備等沿道
対策、
NOxの土壌浄化実験等、各種
対策が進みました。また、有料
道路におきましてはロードプライシングによります実験が始まったわけでございます。
このような中から、
阪神間の
大気環境は少しずつ
改善し、
自動車排ガスに起因する浮遊
粒子状物質や一酸化炭素につきましては、近年、すべての地域で
環境基準を
達成するか、または
改善の傾向が見られております。
ただ、
窒素酸化物につきましては、まだ
改善の傾向が見られず、昭和六十一年ごろまで上昇傾向にありましたものが、その後横ばいの
状況、
平成七年の
阪神・淡路大震災後、少し
改善の
状況にはありますが、
環境基準を
達成するという
状況にはなってございません。しかし、これらの
対策を積極的に進めようとする姿勢が
評価されつつあり、
環境保護団体等とも今までの対立姿勢から協調姿勢へと変わりつつあるというふうに
認識しております。
兵庫県では、
平成五年に
兵庫県
自動車排出窒素酸化物総量削減計画を
策定し、実情に合わせてその後改正を進めたわけでございますが、具体的には、国土交通省等の
関係者と協調しながら、
車種規制の徹底指導、低
公害車、低
NOx車のテスト導入、民間
事業者へのモデル貸与等の普及啓発、また系統管制等によります交通
規制の高度化、公共交通機関によりますノーマイカー通勤の実践、日本初の条例によりますアイドリングの禁止、またそのアイドリングをした場合の違反時の罰金つきというような新たな施策を展開し、普及に努めたわけでございます。
またさらに、
兵庫県では、
阪神地域におきます
自動車公害は地域内に車庫を有する
自動車以外の他の地域からの流入による
自動車に起因していることが多いということも考えまして、
自動車排ガス規制、また
自動車NOx・
PM法によります
規制のみでは
対策が不十分であると考えまして、条例によります他地域からの
流入車両の
規制をするということになったわけでございます。具体的には、
自動車NOx・
PM法の
排出基準を満たさない
車両重量八トン以上の
自動車が
阪神東南部地域の一般道に流入することを禁止するという
措置をとらせていただいたわけでございます。
規制は厳格に行い、
規制対象地域内の
道路でカメラによる監視を行う、また立入検査を行う等々、行ったわけでございます。
既にカメラの検査では百二十万台を検査いたしました。運行
規制対象車両が、県内
車両で五万五千台、その中で、違反
車両が二百八十台、〇・五%、県外
車両が十一万六千台、そのうち違反車が九百三十台ということで、〇・八%の違反を確認した
状況にございます。また、街頭調査で千台について検査をさせていただきましたが、違反車が十二台ということで、一・二%というふうに考えてございます。これは違反が高いとは言えませんが、事前の想定では大体一〇%ぐらいが違反車ではないかというふうに考えたところから考えますと、この対応が
十分効果を発揮しているというふうに考えてございます。
また、国道四十三号線の
自動車公害の地域ぐるみでの
対策を進めるということで、近畿地方整備局が
中心になりまして、
関係する国の機関、
兵庫県、周辺の市、それから地元の自治会、社会福祉
協議会、また
裁判の
原告団等の
環境団体、商工
会議所、それから沿線の大手企業と、それに学識者が入りました国道四十三号周辺
環境会議というのを設置いたしまして、
現状の
認識確認、また
対策の
措置状況の確認等々を進め、対応をさせていただいてございます。
平成十六年七月の設立以来、既に十回が開催され、多くの成果が得られているというふうに考えてございます。
今までの
自動車公害対策の
進展によりまして、
大都市地域での
道路環境の
改善、これはほとんどの地域におきまして
環境基準が
達成され、また
環境が
改善されるというふうに
期待しておるわけでございます。しかし、
大都市の
自動車交通量の多い
道路の交差点付近の
局地汚染については、依然
改善がなされず、
局地対策が必要というふうに考えてございます。特に、排ガス量が多い
大型車の交通が多い地域や、また排ガスがたまりやすい
道路構造のある地域につきましては、さらなる要求があると考えてございます。
今回の
法改正によりまして、このような
大気汚染が著しい地域を重点
対策地域として指定し、都道府県がその
対策計画を定めるとともに、地域内の建物を新設する際の
措置、また、
流入車対策といたしまして周辺地域の
事業者に
対策計画を
策定させることは、これまで進めてきた
自動車公害対策の中で、今後
課題の残る
局地汚染地域の
対策としては重要な施策でございまして、これらの施策が、従前から行われてきた
車種規制等、また
兵庫県等が行っております独自の
対策と相まって相乗
効果が発揮されるということを
期待するものでございます。
ただ、これらの施策、
対策につきましても、例えば都道府県が
対策計画を
策定したとしましても、その事業の実施に当たっての事業費が確保できなければ、この
計画は絵にかいたもちになるわけでございます。また、周辺
事業者におきましても、この
状況は同様でございます。
そのようなことから、
政府におかれましては、この
対策の遂行に必要な財源の確保、また
対策に係る直営事業の実施、府県等に対する交付金の確保、
事業者に対する税制上の優遇
措置等について要望する次第でございます。
以上でございます。(
拍手)