○
中川(正)
委員 非常に漠とした話で、それだけ
日本の中に実際の北朝鮮の情報が入っていない、あるいは恐らく
日本政府もそういう努力をしていないんじゃないか。これは、私自身がいろいろな活動をしていく中で
感じているところなんで、しっかりつかんでいく必要があるんだろうと思います。
これは簡単な資料ですが、私、手元に配付をさせていただいたものがあります。
これは、出どころはこの本なんですよ。これはつい最近出た本で、ハガードというのとノーランドという
経済学者ですが、
アメリカの議会の中でもしょっちゅう証言をしながら今の北朝鮮の状況というのを
説明をしている人なんですけれども、その中に象徴的なデータが出ていましたので、ちょっととってきました。
まず一ページ目は、
日本の貿易額です。これはIMFだとかKIEPのデータからとってきているものなんですが、黒い濃い方が北朝鮮から
日本への
輸入、薄い方が輸出という形なんですが、二〇〇五年までにこんな形で下がってきました。今はもっと下がっているんだろうと思います。
それから、二ページ目なんですが、これは逆に、韓国から北朝鮮への
関係なんですけれども、韓国の場合は、北朝鮮からの
輸入というのが二〇〇五年にかけて非常に伸びてきています。これはさらに伸びるんだというふうに思うんですね。開城の工業団地や何かを含めて、下請で、韓国の
企業から北朝鮮で物をつくらせて、韓国に戻している、こういうことがあるんだろうと思うんです。
このノーランドが
指摘していたのは、次の中国と比べると、三番目が中国なんですが、中国の場合は、単位が違うんですね。
日本円ですると一千三百億、どんどんまだ伸びていると思うんですが、そういう単位で貿易が伸びています。中国の場合は
民間貿易で額が伸びているということなんですが、韓国の場合は
民間貿易よりも
政府による支援活動、
援助という形で伸びている、ここに違いがあるんですけれども、中国にしたって韓国にしたって、非常に
関係が強いものになってきている、特に
経済分野での
関係が強いものになってきているということです。
それに比べて、四番目、ナンバー四は
ロシアなんですが、
ロシアの場合は、一九九二年を境にして、もうほとんど何もないという状況まで下がってきているということであります。
ちょっと時間が足りなくなってきたので。
そんな状況を
考えていったときに、韓国だとか中国が
考えていること、これはやはり、体制崩壊に対して非常に危機感を持っている。そんな中で、
経済分野でできるところはやっていこうということを注意深く
考えていきながら、その対応を既に始めているというふうに理解していかなければならないんだろうというふうに私は思うんです。そういうことを
指摘しておきたい。
これに対していろいろ聞きたかったんですけれども、一番大事なところがもう
一つあるものですから、時間がなくなったので、この問題についてはまた後にします。
しかし、これだけ
指摘をしておきたいというふうに思うんです。その感覚を、中国や韓国の現実を頭に置いておかないと、
日本の制裁措置も空回りといいますか空振りになってしまう。これはもうあちこちで
指摘をされているところであります。それだけに、ちょっと違った形で
日本の北朝鮮に対する戦略もつくり上げていかなきゃいけないんじゃないかな。ただ、拉致問題を解決するための知恵、これをもうちょっと出さなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんです。
その上で、
一つ、これは私のテーマでもあるんですが、やっていかなきゃいけないと思うのは、この拉致問題を、
日本だけが特化したような形で交渉するんじゃなくて、ということは、二国間協議の交渉じゃなくて、これは前の質問の中で、いや、
日本も努力していますよ、国連にも拉致という言葉が認知されましたよ、
アメリカでも取り上げられるようになりましたよということなんですが、実際は、これは取り上げられるということではなくて、作業部会の中に韓国も入ってこなきゃいけないんですよ、拉致があるんだから。
韓国も拉致がある。
あと十二カ国あるんですよ。韓国が入ってこようと思ったら、拉致だけの問題じゃなくて、これは脱北者の問題。韓国は今、社会現象としてこの脱北者の問題を抱えているわけですから、そういう問題も含める、あるいは北朝鮮の中の強制収容所の問題も含めるということ。こんなことも包含しながら、拉致ということをとらえていかなきゃいけないということ。それで、作業部会の中に多国間の交渉テーブルとして引き込むという、そんな戦略というのが必要じゃないかということ。これをずっとかねがね主張してきました。
その上で、実は北朝鮮の人権法というのがありまして、そういう思いで、
日本にも、もう今百三十人を超えてきていると思うんですが、脱北者の
人たちが来ております。この
人たちの受け入れについても、同じ人権という範疇の中で、韓国あるいは
アメリカの問題意識とも
連携していくために、この人権法の中に拉致と同時に入れていこうということで、自民党の
皆さんにも理解をしていただいてこれを入れ込んだという経緯がありました。
そんな中で、改めて聞きたいんですけれども、入ってきた
人たちのケア、これが問題でして、脱北者だけじゃなくて
日本人妻もそうなんですが、戦略的に北朝鮮はこの
人たちに電話をかけてきまして、あなたが逃げたために家族がすっかり迷惑をしているんだ、このままだととんでもないからといって、金をくれ、物をくれという話になってきて、あげくの果てには帰ってこいということになって、この間、平島筆子さんというのが北朝鮮に戻っていってしまって、そのときのキャンペーンで、
日本にだまされた、こういう形で発表しながら戻っていくという、そんなことにもなってきています。
だから、この戻ってきた
人たちを孤立させてはだめだ。その中で、特に一番最初の、頭のところで支援をしなければだめだということで、この項目の中にも、第六条で、国際
関係との
連携だとか、あるいは
支援措置、六条の二ですね、
政府は脱北者の保護及び支援に関し施策を講ずるように努めるということと、それから三ですね、
政府は第一項に定める
民間団体に対し、必要に応じ、情報の提供、財政上の配慮その他の支援を行う必要があるということをこの中に書き込んだというのは、そういう意図があるんです。
これに対して、今、この施策がどこまで進んでいるか、どういう体制でこれがなされているかということを、これは
内閣の方かな。まず、本当に窓口も決まっていないんです、このことに関してずっと調べていったら。だから、そのことも林さんはしっかり理解をしてもらいたいと思うし、そういう背景があるんだということをわかってもらうために、実は、きょう来ていただいて一遍
答弁をいただけないかというお願いをしたんです。
そのことについて、恐らく事務方からはいろいろ聞いてもらっていると思うんですが、ここまでの話にはなっていない、今見ていると。やっと各省庁の
連携ができたという程度の話なんですが、これは戦略的に取り組むということが必要なのではないかと思うんですが、
答弁してみてください。