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麻生国務大臣 系列的に分けたら多分、東先生、自由と繁栄の弧の中の一環にEASがある、東アジア共同体はその中に位置づけられるべき、系列としてはそういうことになろうと存じます。
少なくとも、
日本の場合、よく
経済力を例に引かれますけれ
ども、この間、潘基文という人と話をしておりましたら、アフリカ五十三カ国の
経済力を全部足して韓国とほぼ同じ。ということは、
日本というのはそれの約六倍ぐらいということになりますから、巨大なことになります。いわゆる中央アジア、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスタン、トルクメニスタン、タジキスタン等々のあれを全部足しまして、三重県のGDPと大体同じということなんだそうです。
ところが、我々が思っているよりはるかに巨大な
経済力を持っている国がその
経済力を使って何をしようとしているのかというのがよくわからぬ国にとっては、極めて気味が悪いと思いますね。とにかくにこにこ笑いながら、もうけるときはしっかりもうけているわけですから。いや私は弱者ですからと装いながら、何となくもうかるところはしっかりもうけているやつなんて、嫌なやつですよ、私に言わせたら。僕はそう思いますね、私だったら。だって、事実やっていることはそれですから。
そうすると、やはりイメージとしてはいかがなものかと思いますので、
日本はこういったものを使っていわゆるユーラシア大陸の周辺国をというのは、今御
評価をいただきました繁栄の弧のもとの発想なんですけれ
ども、そういった
意味では、今取り急ぎどんなことをやっておるかといいますと、二つ具体例を申し上げてみたいと思います。
ASEANの中でほかのところに比べてちょっと落ちているというところが、多分カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、いわゆるCLMVと称するんですが、この四つの国は正直申し上げて、他のASEANの諸国に比べて、
経済という点からいきますとかなり低いと思っております。したがって、そこらの国々に援助するに当たって、金の話よりはいわゆる
内容というか、司法、立法、行政でいきますと、その中の行政とか司法のところが極めて弱い。
したがって、カンボジアに投資してくださいと言われても、民法がないとか商法がしっかりしていないとか民事訴訟法がとかいう話になっておりますので、今現実、カンボジアには法務省からたしか
日本の司法官が三、四人行っていると思いますが、そこで今法律をつくっております。商法、民法をつくっております。また、カンボジアのクメールルージュの裁判も、これは裁判官は
日本人の野口というのがやっていると思いますが、そういった形で、カンボジアの投資環境を整備するというのをやっております。
同じように、今度はちょっと離れますけれ
ども、パレスチナというところで、御存じのように、一九四八年にいきなり、おれ
たちは二千年前はここに住んでいたんだからといってイスラエルという国ができたわけですけれ
ども、それ以来、パレスチナを含みます中近東の、アラブ対イスラエルとか西欧文明対イスラム文明とかいろいろな表現はありますけれ
ども、ごたごたが続いておりますが、そのパレスチナを何とかしないと、多分あの地域の問題は半永久的に継続するということになります。そうすると、あの地域がそういうことになりますと、
日本というのはあの地域から化石燃料の主たる原料であります石油のほぼ九割を輸入しております
関係上、これは
日本にとりましては極めて不安定ということになります。
したがって、その地域を何とかするために、先ほど申し上げましたように、これは食えるようにせぬとどうにもなりませんので、パレスチナが食べられるようにするための方法としては、その前のイスラエルが建国をしたときにも、キブツと言われる集団農業、もうお忘れかと思いますが、あれがそこそこ成功して、農業としてはイスラエルが成り立ったという大きな背景がありますので、歴史的な事実でもあります。
したがって、パレスチナでもそれをやらぬかと。資金支援、技術はこっちで出します、そのかわりおたくらは働く、これが絶対条件ですと。場所はそちらがあるわけですからというので、イスラエル、パレスチナ、そして、それを輸出するに当たっては隣国のヨルダンの影響がどうしても必要でありますので、そのヨルダンの三カ国の、シモン・ペレス初めいろいろな
人たちを
日本に呼んで、
交渉もいろいろして、最終的には
日本としてはそこに支援をするということを合意しております。
これに当たっては、当然
アメリカにも話をしてみましたけれ
ども、
アメリカは、そんなことができるのか、とてもおれ
たちにはできないと言うから、それはおたくらはできぬ、しかしおれ
たちは全然この地域に今まで何ら
関係のなかった国なので、おれ
たちだからできるんだからという話もして、今スタートをさせて、今そこに人が入り、今場所の特定を、ジェリコの近くでほぼ場所の指定が終わりつつあるというところに来て、六月ぐらいにはスタートさせたいなというところで話をしつつあるという
段階であります。
それはいずれも政治とか軍事とかいうアプローチではなくて、
経済というアプローチからここにしておりますので、先ほど
前原議員の話にありましたように、
経済面というのがやはり
日本の得意とするところでもありますので、そういうところからのアプローチで今これを進めさせていただいております。
経済の話と司法の話と両方させていただきましたけれ
ども、そういった形でこの地域におけるいろいろ
連携関係、信頼醸成等々が、少なくとも
日本のリーダーというのは、おい、おれについてこいというやり方よりは、こういう一緒にやりませんかというのが大体
日本のこれまでの手法でありますので、今回も同じようなアプローチでやってみるのがいいのではないか。ちょっとまだ暗中模索なところではありますけれ
ども、今少しずつその
方向で事を進めつつある。まだ途中経過ですけれ
ども、今考えていることの一端であります。