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伊波参考人 皆さん、こんにちは。
沖縄県
宜野湾市長の
伊波洋一でございます。
本日は、衆議院
安全保障委員会での
意見陳述の
機会を与えていただき、
木村太郎
委員長並びに
委員各位の皆さんに感謝申し上げます。
早速、本題に入らせてもらいます。
お手元の一枚のレジュメと、この四年間に宜野湾市が取り組んだ
資料集を参照しながら、
意見を申し上げます。
御
承知のように、宜野湾市のど真ん中には、日米両政府の懸案となっている普天間飛行場がございます。
資料見出し一の二、三ページの見開きが上空からの写真でございます。こうなっております。
普天間飛行場は、
沖縄戦のさなか、一九四五年六月から、米軍が、市中央部の平たんな
地域をならし、当時の村役場や小学校を含め、幾つもの集落を破壊して建設したものです。
基地面積が四百八十一ヘクタール、市
面積の四分の一を占めておりまして、その周囲はフェンス近くまで
基地建設で排除された
市民の住宅が取り囲んでおります。
宜野湾市は、
人口が九万人で、市域
面積は十九・六九平方キロでありますので、一平方キロ当たり四千五百七十人の高
人口密度で、
米軍基地を除いた
人口密度は一平方キロ当たり六千七百五十人という超過密な市街化
地域であります。私は、そのような
状況で米海兵隊航空
部隊が配備され、日常的に市域の住宅地上空で頻繁に旋回飛行
訓練を繰り返していることは許されないことであるということを訴えに参りました。
普天間飛行場については、日米両政府は、十一年前の一九九六年のSACO合意で、その危険性ゆえに、
基地負担の
軽減として五ないし七年以内の全面返還を合意しております。しかし、期限の七年以内の返還が実現せず、その間にも旋回飛行
訓練がますます激化し続けました。
資料見出し二の二ページを参照していただきたいと思いますが、私が
市長に就任をした返還期限の二〇〇三年には、
航空機騒音年間
発生件数は、九六年に比べて一万回もふえて三万回と一・五倍になっておりました。
私は、翌二〇〇四年七月に訪米をして、米国政府や連邦議会関係者に、いつ墜落事故が起こっても不思議ではない
状況になっているということを訴え、海兵隊航空
部隊の撤退を要請いたしましたが、その一月後の二〇〇四年八月十三日に、市街地にある
沖縄国際大学本館に米海兵隊大型ヘリコプターが墜落、炎上するという大惨事が現実のものとなりました。事故の模様は、
資料見出し三にございます。
このように、ヘリの部品などが近隣のアパート室内を直撃し、ヘリの尾翼部は四百メートルも離れた隣接地区公民館のすぐ近くに落下するなど、広範囲にわたる大事故でありました。しかしながら、
市民や学生、大学関係者にはけが人が出なかったのは奇跡的なことであります。
私は、このヘリ事故を
最後の警告と受けとめております。政府や国
会議員の皆様にも、二度とヘリ墜落事故を起こさせてはならないと決意をしていただきたいのでございます。
事故後、約八カ月間飛行をとめていた米軍は、その後、旋回飛行
訓練を開始し、三年後の今では、事故以前までは午後十時で終わっていた飛行
訓練を深夜十一時まで拡大しています。
資料見出し二の三ページを参照していただきたいと思います。
早朝から深夜十一時まで、繰り返し繰り返し、市内全域で旋回飛行
訓練を繰り返していることで、赤ちゃんから高齢者まで、宜野湾
市民は、激しい
騒音で日常
生活を破壊されるだけでなく、
騒音による身体的な苦痛や墜落するのではないかという心理的な不安の中で暮らしているわけであります。
市民の皆様から市に対して、多くの
騒音の訴え、苦情が寄せられております。お手元の
資料見出し二の四ページから、昨年度の苦情百六十件が掲載をしてございます。その中の一部を
紹介いたします。
五ページには、上原地区在住、女性。夜の十時を過ぎていますが、ヘリの音がうるさくて眠れません。落ちるのではないかととても心配です。
六ページ。嘉数地区在住、女性。最近ヘリの夜間
訓練が激しいのはなぜか。昨晩は、十時十五分ごろ、ヘリが三機編隊で飛んでいた。十時五十二分にも飛んでいた。寝ている頭上を飛んでいるので、もし落ちたら逃げられるのかと、ひどく不安だ。
七ページ。嘉数地区在住、男性、二十二時二十分。この時間でも飛行しているのはどうなっているんですか。家が振動するくらい低空で飛行している。
九ページ。新城地区在住、男性、二十三時〇五分。二十三時ですけれどもヘリが飛んでいますよ。これはとんでもないです。何とかとめさせてください。
同じく九ページ。新城在住、男性、二十二時十二分。きょうのヘリは非常にひどいんです。家族団らんの場にこんなに低空飛行でヘリが飛んでいるのはとんでもないです。今に落ちます。何とかしてください。
十一ページ。伊佐地区在住、男性、二十二時四十八分。ヘリがうるさいですよ。どうしたんですか。こんな夜の零時前なのに、なぜヘリが飛ぶんですか。どうにかしてください。
これは電話で録音されたものであります。このように、多くの
市民が悲鳴にも似た声を市に寄せております。
なぜ、事故後、きょうにでも、あるいはあしたにでも、三年前のような墜落事故が起き得る
状況のまま、普天間
基地の危険な
現状が放置されるのか。いま一度、この市域の航空写真を見ていただきたいと思います。見出し一の二ページであります。
日常、旋回飛行
訓練を繰り返しているのは、九万人の
市民が居住し、百二十カ所以上の公的な施設、さまざまな集会施設のある、まさにその真上であります。学校や
病院のある市街地区なのであります。もし今度市街地区で墜落事故が起きれば、大変な大惨事になることは間違いないのであります。
国の
安全保障を考える
委員の皆様にも、
基地を抱える
地域の安全についてぜひ考えていただきたい。
日本国民たる宜野湾
市民が、
日本に復帰して三十五年も経て、戦後六十二年もたっても、駐留する米軍の
軍事活動によって直接的な被害を受け続けていることを直ちにやめさせるべきではないでしょうか。
私は、二度目の訪米で、米本土西海岸にあるペンドルトン海兵隊
基地に隣接するオーシャンサイド市の
市長さんや、多くの
米軍基地や施設のあるサンディエゴ市の
基地担当者の方に、米国における米軍活動による
市民への被害
状況を質問いたしました。
彼らの答えはとても明快でした。米
国民に被害を与えて
基地は
存在し得ないとのことでした。米軍は、国内法を遵守するが、それだけでは不十分であり、地元に被害を与えないよう、米軍独自の規制をしているとのことであります。米国内の
米軍基地は、国内法の規制のもとにある上に、軍はさらに厳しい安全基準を定めて、
住民生活との調和を図り、良好な
市民生活、クオリティー・オブ・ライフを確保しています。
米国政府関係者や米連邦議会関係者を含め、米国で普天間
基地の上空写真を見せると、驚かない人はいません。ラムズフェルド前
国防長官も、上空から普天間
基地を見て、事故が起きない方が不思議だと言ったと報じられました。しかし、普天間
基地には、航空法も適用されず、米軍の飛行活動も何の規制もないのです。米国内の
基地と
沖縄の
米軍基地では、
運用のあり方に雲泥の差があります。
米国内の海兵隊航空
基地はどうなっているのか、宜野湾市として調査をいたしました。
米海兵隊航空
基地に適用されているのは、AICUZと称される航空施設整合利用ゾーンプログラムで、
騒音レベルや事故危険性などを評価して、
土地利用規制をするものです。
資料見出し七の四十二ページをあけてください。そこに訳文がございます。
さらにこの
説明をいたしますけれども、その中で、
資料見出し八の六ページを見ていただきたいと思います。普天間飛行場の場合、滑走路の両端から幅四百五十メートル、長さ九百メートルの利用禁止地帯、クリアゾーンがなければなりません。しかし、その前のページの八の五ページのように、実は、このクリアゾーンの中に、普天間飛行場では、
基地に隣接する普天間第二小学校が入っているのであります。さらに、住宅地や施設の多くが両端のクリアゾーンに入っています。
AICUZでは、さらに千五百メートルのAPZ1、さらに二千百メートルのAPZ2と事故危険区域が設定され、公共施設や大型集会施設などの建設が規制されております。普天間飛行場の場合でいうならば、北側は普天間小学校や普天間高校、北中城村役場まで入り、南側では浦添市の体育施設や文化施設、総合
病院まで入っているのであります。
さらに、旋回
訓練をする
地域の下には住宅
地域があってはなりません。サンディエゴ近くのミラマー海兵隊航空
基地では、固定翼機やヘリの旋回
訓練エリアはすべて
基地内となっています。米軍基準では、宜野湾市は全市域が危険
地域なのであります。この
運用基準は、外国の
米軍基地についてもホスト国が求めれば適用することになっております。
日本国内でも適用させるべきであります。
宜野湾市では、
資料見出し九の一ページに掲げてありますように、米太平洋軍海兵隊司令官への安全基準についての質問を行い、九の三ページのように、二〇〇六年十二月十九日付で司令官のジョン・F・グッドマン中将から、「私の指揮するすべての
部隊は、安全且つ効果的な
運用を確保するために策定された法律や基準的な
運用手続きを厳格に遵守することを、私が保証致します。」と回答をいただきました。国は、米国内の
運用基準を普天間
基地にも適用させるべきです。
以上のように、国は普天間
基地での米軍機や米軍ヘリの旋回飛行
訓練を放置してはならない、このように考えております。
普天間
基地のヘリは、一年のうちに数カ月は海外に派遣されております。ですから、私はこれらの
部隊を他の
米軍基地に移すことは可能だと考えております。現に、
米軍再編では、
沖縄から八千人の海兵隊と家族九千人がグアムに移駐することになっています。
沖縄県の統計
資料によると海兵隊家族は七千九百十名ですから、すべての家族がグアムに移るはずです。
見出し十のグアム統合
軍事開発計画によると、グアムに移る第三海兵機動展開
部隊の構成は、二千八百名の司令部機能、二千九百名の地上戦闘
部隊、千五百五十名の後方支援
部隊に加えて、海兵航空戦闘
部隊二千四百名が含まれています。
資料見出し十の六十五ページにございます。
海兵航空
部隊のために、アンダーセン空軍
基地には、最大六十七機のヘリと九機のオスプレーの格納庫が建設される計画であります。
資料見出し十の七十ページにあります。普天間
基地のヘリは最大でも五十七機であり、グアムに移っていくことは明らかではないでしょうか。
現在、普天間
基地の解決の出口は二つあります。一つはグアムであり、一つは辺野古の新
基地です。第三海兵機動展開
部隊の拠点が
沖縄からグアムに移るのですから、海兵航空
部隊はグアムへ行き、滑走路機能が辺野古へ行くと考えていくのが自然であります。それならば、なぜ航空
部隊だけでも早く移さないのか。普天間
基地の危険性を放置せずに、辺野古の新
基地建設とも切り離して、一日も早くヘリ
部隊を別の場所に移して、二度とヘリ墜落事故が起きないように取り組んでいただきたいのであります。
最後に、辺野古の海はジュゴンもすむ本当に美しい海です。米軍も手をつけませんでした。将来的にも
沖縄の大切な財産です。
基地建設で壊さないでいただきたい。また、六十二年前の
沖縄戦の記憶は、いまだ消えておりません。県民世論の七五%は普天間
基地の海外
移転を求め、辺野古建設を
容認するのは一六%にすぎません。新
基地建設のために
自衛隊を派遣して県民と対峙させるようなことは、将来に大きな禍根を残します。私は、国は決してそのようなことはしないでいただきたいと思います。
以上、私の方からの
意見の陳述とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)