○大塚(拓)
委員 ありがとうございます。
ここで、安全保障というもののスコープをちょっと広げた
質問をしてみたいと思うわけです。
私は、通貨とか財政というのも安全保障を構成する非常に重要な要素だろうというふうに
考えております。私だけじゃなくて、これはもう周知のことといえば周知のことですけれ
ども、例えば、今、米国の軍事優位というものがドルの基軸通貨体制というもので初めて成り立っている。ドルが基軸通貨だから、米国の財政がどんなに赤字になっても、それを何とかファンディングすることによって軍事支出というものをカバーしているということになっているというのは周知の事実だろうというふうに思うわけです。
翻って、我が国がどういう
状況になっているかと見ますと、財政面で、外国為替資産特別会計、外為特会というものがございますけれ
ども、これで、過去、円高対策で介入を無制限に結構繰り返してしまった結果、相当なドル資産というものが積み上がっているという
状況になっている。二〇〇六年の三月時点で、外為特会にある外貨準備が八十九兆円ある。これは非常に無視できないリスクだろうというふうに思うわけでございます。特に、今、ドルが実効為替レートで見ると非常に高値圏で推移しておりますから、何かのきっかけで暴落していくということも、ないとは言えない。そうすると、我が国の財政を直撃していくということになるわけです。
そういう中で、では、たまってしまった八十九兆円をどういうふうに処理しようかと
考えても、結局、市場でドルを売却していくと、それが引き金となってドルの暴落というものを招きかねない。結局、これまで長くドルの基軸通貨体制というものを支えてきたのがそもそも我が国の財政だということも
考えたときに、どうやって解消するかというのが非常に悩ましい問題になっていたということだと思うんです。
これに対して、これもちょうど三月三十日でございますけれ
ども、日経
新聞によりますと、財務省が、
政府によるドル建ての支払いというものに、この外為特会に積み上がったドルの準備金というものを充てていくという仕組みを発表しております。
これは、従来、ドル建てで外国の
政府なんかに支払いをしようとすると、
政府に限らず外国に支払いをしようとすると、民間の銀行で円からドルに両替してそれを送金する、こういうことになっていたわけですけれ
ども、
政府の中にたまっているドルをそのまま直接使っていくということで、両替の手数料というものが削減できますというのが表向きの
説明にはなっておるわけでございます。
基本的に、今回の
措置によって、外為市場で直接ドルを売るということをせずに、市場で売却することなく、これは財務省の計算によると毎年大体五千億円ぐらいの準備金というものを減少させていくことができるだろうと。この五千億円の構成というのは、例えば外務省の職員に対する支払いであったり、あるいは国連とかそういうところに対する分担金の支払いであったり、あるいは自衛隊による装備品の購入、こういったものの支払いに活用していくことで、ドルの下落リスクというものを局限しながら我が国の財政リスクを減少させていくことができる。
私は、これは非常にいいスキームだと思っておりまして、積極的に活用していくべきだろうというふうに
考えておるわけです。
今回の海兵隊のグアム
移転でも、ドル建ての支払いというのは結構出てくるわけでございます。ほかにも、装備品の購入でこの財務省の計算に入っていない部分もあるようなのでございますけれ
ども、こういったところで、この財務省の新しいスキームをぜひ
防衛省でも積極的に活用していっていただきたいなというふうに
考えておるわけです。
いずれにしろ、両替手数料というものも数億円という単位で節約できますので、活用すべきだと思うんですけれ
ども、いかがでしょうか。