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2006-12-05 第165回国会 参議院 総務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年十二月五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山内 俊夫君     理 事                 景山俊太郎君                 二之湯 智君                 森元 恒雄君                 伊藤 基隆君                 那谷屋正義君     委 員                 河合 常則君                 木村  仁君                 世耕 弘成君                 山崎  力君                 山本 順三君                 吉村剛太郎君                 今泉  昭君                 芝  博一君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君                 澤  雄二君                 遠山 清彦君                 吉川 春子君                 又市 征治君                 長谷川憲正君    衆議院議員        修正案提出者   谷  公一君        修正案提出者   寺田  学君    国務大臣        総務大臣     菅  義偉君    副大臣        財務大臣    富田 茂之君        国土交通大臣  渡辺 具能君    大臣政務官        財務大臣政務官  椎名 一保君        文部科学大臣政        務官       小渕 優子君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        本部事務局次長  大藤 俊行君        内閣大臣官房        タウンミーティ        ング担当室長   谷口 隆司君        総務大臣官房長  荒木 慶司君        総務大臣官房総        括審議官     久保 信保君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省行政管理        局長       石田 直裕君        総務省自治行政        局長       藤井 昭夫君        総務省自治行政        局公務員部長   上田 紘士君        総務省自治行政        局選挙部長    久元 喜造君        総務省自治財政        局長       岡本  保君        総務省情報通信        政策局長     鈴木 康雄君        財務省主計局次        長        松元  崇君        財務省理財局次        長        小手川大助君        文部科学大臣官        房審議官     合田 隆史君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        スポーツ・青少        年総括官     西阪  昇君        国土交通省河川        局長       門松  武君    参考人        日本放送協会理        事        原田 豊彦君        日本放送協会理        事        小林 良介君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方分権改革推進法案内閣提出衆議院送付  )     ─────────────
  2. 山内俊夫

  3. 山内俊夫

    委員長山内俊夫君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  4. 山内俊夫

    委員長山内俊夫君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  地方分権改革推進法案審査のため、本日の委員会日本放送協会理事原田豊彦君及び日本放送協会理事小林良介君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山内俊夫

    委員長山内俊夫君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  6. 山内俊夫

    委員長山内俊夫君) 地方分権改革推進法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 おはようございます。  それでは、地方分権推進法案に対しまして基本的な点について、私の方から、三十分ぐらいでありますが、質問させていただきます。  まず、提出された意義について伺います。  今日、地域社会を取り巻く状況というのは、都市部地方経済の二極化でありますとか、過疎少子高齢化同時進行、対応される問題が大変多くございます。こうした問題に適切に対応していくためには、地方地域実情に応じて自らの裁量責任創意工夫に満ちた政策が実施できる分権社会地方社会というものが確立されていかなきゃいけないということは言われておるところであります。  近年の地方分権改革の歩みは、平成五年の衆参両院国会決議を皮切りにいたしまして、平成七年の地方分権推進法平成十二年四月施行の地方分権一括法等の一連の分権改革からスタートしたと言われています。  第一次ともいうべき改革では、地方は国の下請、出先機関という間柄の象徴でありました機関委任事務がまず廃止されまして、法定受託事務自治事務へ再構成されることになりまして、国の地方との関係というのは、それまでの上下主従という関係から対等協力へと歴史的な転換が図られたと言われております。  しかし、これだけで地域活性化というのは果たして成ったかどうか非常に疑問視する点もあるわけでありまして、今後、地方分権というものを大胆に進めるべきであるという意見もたくさんあるわけであります。  安倍首相は、さきの所信表明で、地方活力なくして国の活力はないと、こういうことを明言されています。これにはだれもが同感でありましょうけれども、しかし本当に分権推進を進めていくためにはやっぱり政治のリーダーシップというのが必要であろうと思います。特に、新しくなられました菅総務大臣は、今回この地方分権推進法早期提出に非常に熱意を持って今日提出されたと思いますが、その提出された意義について伺いたいと思います。
  8. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今の委員の御指摘にもありましたけれども、地方がそれぞれ地域実情に合わせて自らの裁量責任創意工夫して物事を進めていく、このことは地方活力を取り戻すために極めて大事なことであるというふうに思っております。  そうした中で、去る七月に閣議決定をされました骨太二〇〇六において、地方分権に向けて、関係法令の一括した見直し等により、国と地方役割分担見直しを進めるとともに、国の関与国庫補助負担金廃止縮小等を図ることが明記されました。また、地方団体からも、この地方分権改革推進法、この提出を実は強く求められておりました。  そうした点を考慮しまして、地方分権改革推進するための基本的な理念や改革推進委員会の設置などについて規定する法案を今度の臨時国会提出したところであります。
  9. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それでは、この分権改革のまず目指す方向について伺います。  平成十三年六月に出されました地方分権推進委員会最終報告におきまして、今次の分権改革は第一次の分権改革と呼ぶべきものであって、分権改革を完遂するためには、これに続いて第二次、第三次の分権改革を断行しなくてはならないと書いてあります。この第一次分権改革機関委任事務廃止が実現されたものの、税財源に関します改正までには行われなかったというか、そこまで踏み込んでいないわけであります。地方として、その後の三位一体改革に期待されるところが大きかったんですけれども、結果は四・七兆円の補助金改革と三兆円の地方への税源移譲ということであり、それは実現したんですけれども、補助率引下げが中心で地方自由度は高まらない極めて不十分な内容であり、地方からもブーイングが上がっている面がたくさんあるんです。  今回の、この法律に端を発する今回の分権改革は、第一次分権改革三位一体改革を受けて行われると思いますけれども、その目指す方向というのが国民とか地方にいま一つ分かりにくい面があります。そこで、今回設けられる地方分権改革推進委員会議論次第ということになるわけでありますけれども、それでは余りにもあいまいもことしておりますので、総務大臣といたしましては、第一次分権改革の成果を踏まえて、又は反省をして今回の分権改革というのをどういうふうに今後進めて結論を出されるか、そういうことをお聞きしたいと思います。
  10. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 平成十一年に制定をされた地方分権一括法によって機関委任事務制度廃止をされて、これに伴って各省庁の包括的な指揮監督権廃止をされるなど、国の関与廃止縮小が行われたところであります。国と地方公共団体関係も抜本的に改正をされて、上下主従関係から対等協力関係転換をされるなど一定の効果があったというふうに思っています。  しかしながら、今日、平成十三年六月の地方分権推進委員会最終報告にもありますように、地方公共団体事務に対する法令による義務付け、枠付けの緩和などの解決すべき課題が存在していることもこれは事実であります。  そうした中で、私としては、本法案に基づき新たな地方分権改革推進をし、真に地方自立責任を確立をする、そういう意味合いにおいて取り組んでいく所存であります。
  11. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 財政上の措置在り方につきまして次伺います。また、衆議院からも修正部分が出ていますので、今日はせっかくお越しいただき本当にありがとうございますが、伺いたいと思います。  分権改革を進めます以上は、国から地方権限移譲改正が行われなくてはいけませんけれども、しかしやっぱりそれに応じて、役割分担に応じた財政上の措置というのがきちっとなされなくては本当の意味で分権改革というのは絵にかいたもちになってしまうんじゃないかと思います。  この点について前回の地方分権推進法では、財政上の措置在り方につきましては、国は、地方公共団体事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源充実確保を図るものとすると、きちっと明言をしております。  しかし、今回の法案では、国は、地方公共団体事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、地方公共団体に対する国の負担金補助金等支出金地方交付税、国と地方公共団体税源配分等財政上の措置在り方について、今回は検討を行うということになっております。その検討ということにとどめた点はどういうことでありましょうか、お聞きしたいと思います。  それから、衆議院におきまして、財政上の措置在り方検討につきまして、国と地方公共団体役割分担に応じた地方税財源確保観点から行うものとするという修正がなされましたが、その点の意図とか修正した点、また提案者の方から御意見を伺いたいと思います。
  12. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今回の法案におきましては、事務事業をできる限り地方にゆだねるとともに国の関与縮小する方向見直しを行うということになっています。これに応じて国庫補助負担金地方交付税、国、地方税源配分等財政上の措置検討する、その結果地方分権改革推進計画に盛り込むと、このような段取りになっておりますので、この法案の全体の規定ぶりから見ましても、地方税財源を充実する方向というのは明らかになっていると、このように思っているところです。
  13. 谷公一

    衆議院議員谷公一君) まず、修正意図なり趣旨でございますが、国政の重要課題でございます地方分権改革を着実に推進するためには、自治体自主性及び自立性を高めて、自らの判断と責任において行政を運営することができるようにすることが肝要であるというふうに思っております。そのために、国からの権限移譲、それから地方公共団体に対する事務処理の義務付けなどを、整理合理化措置を講ずる、そのことと併せて国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源充実確保を図ることが不可欠であることから、その旨を財政上の措置検討するに当たっての観点として明記することとしたものでございます。  もとより、このことは、今総務大臣の答弁にありましたように、地方税財源を充実する方向検討を進めるということは当然のことではございますが、念のため、確認のため、また地方公共団体安心感を持ってもらうため、この旨を法律の上に記したものでございます。  このこと、この修正によってもたらす意義でございますが、修正案提出者といたしましては、政府がこの修正による立法府の意思を十分尊重して地方税財源充実確保がしっかりと図られることを期待しているところでございます。
  14. 山内俊夫

    委員長山内俊夫君) 修正提案者、退席いただいて結構かと思います。
  15. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 次に、国と地方税源配分についてでありますが、本年十月二十四日に経済財政諮問会議において地方分権改革が取り上げられまして、菅大臣の方から国と地方税収比率を将来的に一対一にすると、こういうことが言われまして、その税収の隔たりが小さいまた税目で行うと、こういう制度設計提案されました。一方、民間委員からは、国庫補助負担金地方交付税一定割合税源移譲することでこのような比率見直しを三年以内に行うということが民間議員からも提案されました。  いずれの提案でも、国と地方税収比一対一にするために、国から地方試算をしてみますと五兆円ぐらいの税源移譲が必要となるということが言われております。この点に関連しまして、総務大臣は、民間委員提案に対する大臣考え方も含めまして、税源配分、なかなか三兆円やるだけでも大変だったんですけれども、その点どうですか。
  16. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 地方自由度を拡大をして自己責任の徹底を図ることで魅力ある地方をつくる、その話を先ほど申し上げましたけれども、やはりこの地方分権を行うにはしっかりとしたその裏付けの地方税というものが充実させる、そのことが極めて大事なことだというふうに思っています。  今後の地方分権だとかあるいは税制の抜本的改革を通じて税源移譲を含む国と地方税源配分見直しを行って、国、地方一対一を目指していきたいというふうに思っています。その際には、偏在度の小さい地方税体系を構築するという観点から、具体的には地方消費税、そうしたものを念頭に充てていきたいというふうに思っております。  いずれにしろ、この地方分権改革推進法案が成立をし、そして国と地方役割分担をすることによって、そうした税源移譲というものも確実なものにしていきたい、こう考えています。
  17. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 今非常に我々が心配していますのは、新型交付税の問題です。導入するということ、我々参議院としては、これはなかなか大変なので今までどおりの形でやってくれというのを言ったんですけれども、来年度から人口面積を基本として新型交付税導入するということを検討しているということが言われていますが、現行算定方式が非常に複雑なので、これを簡便な方式に改めようというその趣旨は分かりますけれども、しかしこれはやっぱりそれなりの歴史もありますし、これがもたらす影響地方公共団体から深刻に懸念が表明されておりますし、また我々もそういうふうに思っております。  地方交付税というのは地方公共団体の固有、共通の財源であります。したがって、交付税配分の基礎となる各地方公共団体財政需要額算定方式というのは、地方公共団体が納得と信頼が得られるものでなくてはいけないと思います。そのため各団体の標準的な財政需要ができるだけ的確に捕捉し得る合理的な方法でなくてはいけません。  そういったことから、これまでの国会議論地方公共団体、各省庁意見を踏まえて徐々に算定方式がこれまで歴史的に整えられてきておると思います。それを単に人口面積算定しようとするということになりますと、各団体財政需要の的確の捕捉はできず、言わば架空の需要額算定されるようなことになるんじゃないかと思います。人口でいえば東京が一番得するような感じがありますし、面積でいえば北海道が一番得すると、ほかの府県はどうなるんだろうかという心配まで出るわけでありまして、この点、本当に地方分権といいますか、そういったことで、全国が本当に津々浦々、きちっとした、皆さんが納得できるような本当に平等の行政サービスが受けられるようなことにしていかなきゃいけないと思いますが、その点いかがですか。
  18. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今回のこの新型交付税の基本的な考え方でありますけれども、国の基準付けがない、あるいは弱い行政分野について導入をすることとし、現在その制度設計に取り組んでおります。人口規模や土地の利用形態による行政コスト差をこれは反映をさせる、そして離島過疎などの真に配慮が必要な地方公共団体に対応する仕組みを確保する、こういうことにも配慮をいたしております。あわせて、福祉、教育など、法令により地方一定基準付けをしている数多くの事務事業に係る財政需要については、現行交付税算定を通じて的確に財源保障をいたしております。  いずれにしても、こうした算定を通じまして各地方公共団体財政需要を的確に捕捉をし、現実財政運営支障を生じないように対処してまいりたいというふうに思います。ちなみに、この単位費用の数も三割減というかつてない大幅な減によって簡素化を図っていきたいというふうに思っておりますので、是非御理解をいただきたいと思います。
  19. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 地方公共団体への影響でありますけれども、新型交付税導入によりまして地方公共団体への影響が非常に懸念されています。十月三十一日のこれまた地方団体との会合で、総務省は、新型交付税導入に伴う影響額につきまして、都道府県は十億円未満人口一万未満町村の九割は二千万から三千万円程度にとどまると説明されたということを報道で聞きました。  影響額は本当にその程度で済むんでしょうか。また、影響額が仮にこの程度にとどまりましたとしても、財政規模の小さな団体では財政運営をやるためには少しでもお金が欲しいわけでありまして、二千万、三千万といってもこれは大変な金額でありますので、そういったところの救済策といいましょうか、そういう点をどう考えておられますか。
  20. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 現在、十八年度の算定に用いた数字に基づいて具体の設計制度検討をいたしているところでありますが、御指摘のとおり、都道府県につきましてはプラスマイナス十億円程度変動、市町村については、人口一万人未満町村の九割が二千万円から三千万円程度変動となる、ここを目指しているところであります。  いずれにしろ、それぞれ地方公共団体現実財政運営支障を来さないように変動幅最小限にとどめたいというふうに思っておりまして、その制度設計を行っているところであります。あわせて、地方公共団体のそうした意見も十分にお聞きをしながら、試算額が減少する団体に対する配慮についても検討していきたい、こう思っています。
  21. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それで、この影響を受けますのはへき地とか離島が多いんですよね。単に人口面積のみに基づいて交付税算定した場合、へき地離島にとって大変な不利益になるということが心配されます。それで、総務省は、交付税算定の中に地域振興費という項目を新たに設けてその不利益をカバーするということを、そういう説明地方にされていると思います。  へき地離島につきまして、従来、補正を掛けることで実際の財政需要を適切に見積もってこられたんですけれども、来年度から一体、こういうことになりますとなかなか分かりにくい。また、この算定変更へき地離島自治体地方交付税額の減少につながるんではないかと心配されております。それでなくても大変な状況でありますが、その点はやっぱり総務省としてきちっと地域を見ていかなきゃいけないと思いますが、特にへき地離島についてはどうお考えですか。
  22. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) この新型交付税導入に合わせて創設をします地域振興費におきまして、離島における通信費移動経費、あるいは寒冷積雪地における特別な財政需要については現在と同様の方法によって算定をしたい、こう考えております。  このような措置をとることによって、条件不利地域を始めすべての地方公共団体財政運営支障が生じないように変動額最小限にとどめ、算定方法変更交付税削減につながるものではないということも是非御理解をいただきたいと思います。
  23. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 地方交付税総額確保というのが非常に大切です。地方交付税については骨太方針二〇〇六で現行法定率は堅持するときちっと明記されましたけれども、平成十九年度の交付税総額確保されない可能性が巷間非常に心配されております。  財務省は、地方歳出削減地方税収の増加によって地方財源不足は解消し、交付税法定率によって算定される交付税総額地方に交付した場合、財源余剰が発生するということが見込まれるということで交付税特例減額などを検討しているようでありますけれども、非常にこれは東京やその他近隣の非常に税収が上がっているところはいいんでしょうが、一般の府県は大変な問題であると思いますので、財務省のお考えというのはなかなか我々は腑に落ちない点がありますけれども、その点、財務省のお考えを聞きたいと思います。  それから、菅大臣は、地方全体で八兆七千億の財源不足があると、税収増による交付税の増額があっても余剰にはほど遠く、とても埋め切れない財源不足があると繰り返し主張されております。これは誠に我々もそうだと思っておりますけれども、都市地方において景気の二極分化が見られる中で、仮に財務省が言うように交付税総額を減らすようなことがあれば、先ほども言いましたように、財政力の弱い団体はますます赤字が拡大し、都市地方の格差は構造的に大問題が起こると、拡大していくということがございます。  総務大臣は、今後、財務省の主張に対して頑張ってこれを押しとどめて、きちっとして地方財源というものを確保していただくと、これが私は菅大臣の大きな使命であろうと思っています。一つそういうことも申し上げまして、ほぼ時間になりましたので終わりますけれども、最後、御決意を聞かせていただきたいと思います。
  24. 富田茂之

    ○副大臣(富田茂之君) 十九年度の地方財政の収支の見通しにつきましては、国税、地方税等の見積り等にもよることから現時点で確たることを申し上げることは困難でございます。したがいまして、交付税法定率からの特例的な減算の要否も含め、地方財政対策の具体的内容について予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにせよ、十九年度予算編成におきましては、基本方針二〇〇六及び財政制度等審議会の建議等を踏まえ、地方歳出について徹底した見直しを行った上で、地方公共団体の安定的な財政運営にも配慮しつつ地方交付税の抑制に取り組んでいく必要があると考えております。
  25. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 地方交付税地方共有の固有の財源である、このことについては私、今までも言い続けてまいりました。また、地方財政は十八年度で八・七兆円の大幅な財源不足があります。さらに今後、五十三兆円という特別会計の借金も返済をしていかなければなりません。こうした中で交付税を減額をし国債の圧縮に使うという主張は、私、全く考えておりませんし、採用をすべきでないというふうに思います。  私は、地方の歳出削減税収確保の努力は地方財政の健全化に充てるべきであるというふうに思っています。経済財政諮問会議等でもそのことを強く主張してまいりました。今後も地方交付税地方の固有の財源であるとの性格を十分踏まえ一生懸命に頑張らさせていただきたい、こう思います。
  26. 山崎力

    ○山崎力君 山崎でございます。  今回の法案質疑に私自身の場合先立ちまして、先月三十日に命令放送についての見解というのが総務省から出されておりますので、その点を少し押さえておきたいというふうに思いますので、幾つか質問させていただきます。  この見解を見たんですが、ちょっと私の方、私個人かもしれませんが、ずれているところがあるんではないのかなと思いまして、とにかく何のために国際放送の中に命令という放送をしなきゃいかぬのかと。ここには、見解の中にあるように、我が国の見解や政府を正しく外国に伝えることだと、こうなっているわけです。誤解があってはいけない。非常にシリアスな場面があったという記憶が私しております。  といいますのは、キューバ危機のときのモスクワ放送です。あのモスクワ放送が、当時のソ連政府の見解、クーデター、いろいろアメリカの政権、ケネディ政権の中でありましたけれども、そういったのをちゃんとしたのだろうかどうかというので非常にシリアスなやり取りがあって、そしてその結果として生まれたのが、今どうなってるか分かりませんが、一時はもう生命線、ラストラインと言われた、ホットラインと言われた制度ができたのは、私はそのためだというふうに認識しております。  そういったものをさせるための私は命令放送ではないのかと。ですから、NHKがそれを適当に報道番組としてやるというのは、ある意味でいえば命令放送にふさわしくない。だから、やる以上は政府が正しい見解というものをきちっとして、これは政府の見解である、これを外国にきちっと伝えなさいと、こういうふうな形であるから、ある意味で編集権というのは政府にある。いわゆる報道機関としての独自の編集権、最後の方には表現の自由、報道の自由、編集の自由となっている、それを超えたところにあるのが私は命令放送ではないのかなと。  ですから、その形からいけば、これは政府からのお知らせですというふうな形である意味制限されるわけですが、これは現実に行われておりまして、NHKの場合の政見放送、これは明らかにそのたぐいで放送されていると、似たようなものではないのかなと思っているんですが、まずNHKさん、その点についてどのようにお考えですか。
  27. 原田豊彦

    参考人原田豊彦君) お答えいたします。  命令放送は、放送効果の向上を図るために、NHKの本来業務として行っておりますラジオ国際放送と一体として行うというふうにされております。総務大臣からの命令書にもそのように記されてございます。  言うまでもなく、ラジオの国際放送というのはこの五十年余りの歴史を持っておりまして、ラジオ・ジャパンという名称で、海外に住む多くの邦人の皆さん、あるいは世界各国の人々から信頼を得ておりますけれども、それもNHKが自主的な編集を貫いてきたからというふうに考えております。  そういう中で、私どもといたしましては、これからも報道機関として自主、自立の立場を堅持して自主的な放送を行っていくという姿勢に変わりはございません。
  28. 山崎力

    ○山崎力君 となれば、これは命令したから、しないから一緒にやりなさいと、どこまでが命令でどこまでがNHKの報道なのかというところが不明確になりますが、これは法定で定められているからNHKやっているんですか、それともいわゆる命令の中に書かれているからやっているんですか。いや、NHKさん。
  29. 原田豊彦

    参考人原田豊彦君) 命令放送につきましては、番組の編集の自由と命令放送、これが両立するのか、様々な問題提起が出されておりますし、そういう議論が出ているということ、私どもも十分認識をしております。  編集権とのかかわりなども含めまして、国際放送の在り方、現状でよいのかということも含めて今後議論していただく必要もあると考えております。
  30. 山崎力

    ○山崎力君 いや、質問の趣旨は、これはそれじゃ総務省さんの方からで結構ですが、一緒に混ぜて放送しているという部分については、これは法定、法律で定められた条文上のことなのか、総務省が混ぜてやりなさいと言っていることなのかと、そのことの確認です、まず第一は。
  31. 鈴木康雄

    政府参考人鈴木康雄君) ただいまの御質問でございますが、政府からの命令の中で一体として行うということを定めているものでございます。
  32. 山崎力

    ○山崎力君 その一体としてやりなさいというのは、法律に書かれてるんですか、書かれてないんですか。
  33. 鈴木康雄

    政府参考人鈴木康雄君) 一体として行えということを命ずべきということは書かれておりません。放送事項その他を指定して行うという、その指定の中に考えが入っているものと考えております。
  34. 山崎力

    ○山崎力君 ということは、それを、従ってNHKが放送しているということは、これは自主的な判断でNHKが混ぜて一体として報道しているという建前になっているわけですね。NHKさん、確認させていただきます。
  35. 原田豊彦

    参考人原田豊彦君) 私どもの国際放送につきまして、今御答弁がありましたように一体として行うというふうにされておりますけれども、私ども、例えば今回の拉致問題に関しましても、もとよりこれは大変重要な問題であるということで、これまで私どもの放送の中でしっかりと伝えてきております。報道機関として自主的な判断、そういうものに基づいて私どもは、そういう大きな枠組みはございますけれども、その中で放送してきているということでございます。
  36. 山崎力

    ○山崎力君 私が申し上げているのは、大きな枠組みというのは法律ではなくて総務省からのいわゆる命令放送の中の指示に、指示というか命令に当たる部分に従ってやっているということになれば、その命令に従うというところが編集権に対する侵害と受け止めないのがおかしいねということを言っているわけでございます。これは、いや、その中で我々が自主的に混ぜてやってるんですというのが答えになるとは思うんですが。  ですから、その辺考えていきますと、国が二五%出している、それでなぜかその報道番組的なこういったものが時間的にも二五%ある。内容だけじゃないんですよ、編集権その他は。時間をどれだけどの問題に使うかということも、これはもう報道制作の中の最重要の課題ですわ、これは、考えてみれば。同じ報道しても、十五分なら十五分のうちに三十秒使うのか、五分、十分使うのか、これはもう編集権の中のある種中身以上に、外見的なことだけども重要なことだと思うわけですね。  そこでお伺いしたいんですが、ここのところでこういったことに対しての問題について、電波監理審議会、まあ今日おいでになってないみたいですが、どういうふうな判断をされているんでしょうか。
  37. 鈴木康雄

    政府参考人鈴木康雄君) 電波監理審議会の審議につきましては、十一月八日に開催されました審議会に先立ちまして委員が事前の相談を行ったと聞いておりますが、この事前の相談も含めまして、審議会におきまして、具体的な放送事項の追加の是非の観点、二番目はNHKの編集権への配慮観点の二つから審議がなされたということでございます。  具体的な放送事項の追加につきましては、適当であることに疑念はない、また、拉致問題は現在進行形の課題であるため早く答申することも大事である旨、羽鳥電波監理審議会会長が記者会見において述べられております。  また、NHKの編集権への配慮につきましては、総務大臣がこれまで国会での答弁をいたしておりますが、それを踏まえて、問題がないものとして議論しつつも、趣旨をより明確にするというため、従来と同様に日本放送協会の編集の自由に配慮した制度の運用が行うことが適当であるという意見を付して答申を行った旨、同じく羽鳥電波監理審議会会長が記者会見において述べております。以上でございます。
  38. 山崎力

    ○山崎力君 今私が申し上げていることである程度浮かび上がってきたと思うんですが、国際放送は我が国の見解や国情を正しく伝えること、その趣旨から国としての意思をNHKに命令する、そういうことが命令することができると、こうなっているわけです。ところが、報道の自由だ編集の自由だということを考えるとどうしたらいいのかというところがあって、今まで概括的な形でやってきた。  これはある意味ではおかしいんですよ。本当に正しいということを伝えるということを、国がNHKに任せているということです、ある意味でいえば。それでいいんですか。本当に命令して、NHKが何と言おうと国益のためにこういう表現でこういう内容を放送してほしいと、そのための命令放送じゃないのかなと私は思っているわけです。  そのためにはクレジット、これの中身がNHKではなくて国だと、政府の見解だと、重要なものだということを明示する必要が私はあると思うんです。そうじゃなければ必要ないですよ。国から二五%の金が出ているから、その分だけNHKはやらざるを得ませんねと。もちろん、国営放送持っていれば国はそういうことをする必要はない。ただ、NHKがそれに相当する機関である。だから、その分の費用は、応分の費用は国が持っておきましょう、それが二五%が適当かどうか分かりませんが、ということでやってきたんじゃないんでしょうか。  私は、今回の問題で一番恐れていることがあります。ということは、国の意思として、北朝鮮の問題を、拉致問題を重要視しているということを外に出したわけです。ということはどういうことかといいますと、北朝鮮の核実験とかミサイル発射は拉致の問題よりも下かもしれないというメッセージを発したとも受け取れる。  それから、もう一つ言えば、この命令を拉致問題が解決するまでずっと出し続けるんですか、大臣が替わっても、政権が替わっても。そのときに、もし取り下げれば、そのときに日本国政府は拉致問題のことをあきらめたと、重要視しなくなったというメッセージを対外的に発信することになる。ということを考えますと、やはり私はこの命令放送というのは、今までなあなあでやってきた、それを今、菅大臣の思いで、いろいろなことがあったとは思いますけれども、出てきたことによって、この全体の制度の矛盾点が表れてきたと私は思っております。  そういう意味で、放送法全体の再検討を、是非内部的にも、役所的にも、対外的にも、NHKさんも含めてやっていただかなければならないと思っております。こんな税金の使い方だったら使わない方がましですよ。海外放送のメンテナンス、その分の費用だけ持ちましょうと言った方がいいかもしれないし、NHKだって痛くもない腹を探られるのは嫌だろうというふうな私は気がしておりますので、その点だけ申し上げておきたいと思います。私が総務省から出た命令放送についての見解についての考え方を述べさせていただきました。  続きまして、この周辺の問題、本法律案の周辺の問題に関しまして、重要な問題があろうかと思っているんです。これは地方分権推進大きな問題ですが、いわゆる公営企業金融公庫の廃止とその後継組織の問題です。  最近の報道によりますと、この資産の、公庫の資産の引当金をどうするかということが問題になっていまして、国に返還が原則ではないかと。ところが、地方団体は新組織に継承をさせろと言っていると。この引当金についての検討状況、簡単で結構です、教えていただけますか。
  39. 岡本保

    政府参考人岡本保君) 今委員指摘は、債券の借換え損失の引当金であろうと存じますが、この引当金の取扱いにつきましては、さきに施行されています行革推進法並びに政策金融改革に係る制度設計におきまして、新たな仕組みのために必要な財政基盤を確保するための措置を講ずるということ、それから公営企業金融公庫が保有しております今の引当金などにつきまして適正な評価に基づいてこれを新しい仕組みに移管、管理をするということ、また、新しい仕組みが将来にわたり業務を円滑に遂行する上で必要がないと認められるという資産には引き継ぎますが、この認められないものについては、政府の出資に係るものについては、これを国庫に帰属させるというふうにされております。  したがいまして、私どもといたしましては、この新しい組織が、地方団体が共同で設立されるということでございますので、この新しい組織が将来にわたって安定的な業務ができるようなその資産をきちんと引き継いでいくということが必要であるというふうに考えておりまして、どこまでの額の範囲がこの新しい組織にとって必要なのだということを現在関係省庁検討を行っているという状況でございます。
  40. 山崎力

    ○山崎力君 どこまでがその適当な金額かどうかという検討だというふうなお答えだと受け止めました。  そこで、この一番の問題だと思うのは、行革本部がいわゆる制度設計を担当したわけでございますけれども、現在の公営企業金融公庫、このものがいわゆる業務を継承する機関なのかどうなのか、今度地方自治体がつくろうとしている機関が、何とか地方自治体金融公庫になるのか何か知りませんけれども、その機関がいわゆる行革推進法十三条一号における業務を承継する機関なのかどうかという判断がポイントになろうかと思うんですが、行革本部としては業務を継承する機関として認めているんでしょうか、認めてないんでしょうか。
  41. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 行政改革推進法は、昨年十二月に閣議決定されました行政改革の重要方針を忠実に条文化して作成したところでございます。  行政改革推進法十三条一号におきましては、「現行政策金融機関の資産及び負債を厳正かつ詳細に評価し、新政策金融機関その他現行政策金融機関の業務を承継する機関が将来にわたり業務を円滑に遂行する上で必要がないと認められる資産で政府の出資に係るものについては、これを国庫に帰属させること。」と規定されているところでございます。  すなわち、新組織が実施する業務全般に対し、既往の資産が無条件に引き継がれるというものではなくて、新組織が承継するとされる業務の範囲で、それを、既存の資産を活用して実施することが合理的であると決定した場合に、適正な評価の下で、そのために必要な限りにおいて資産を移管することができるとするものであると考えております。  公営公庫に関連いたしましては、新組織が実施する業務等につきまして、現在、先ほど総務省から答弁ありましたように、政府内で鋭意検討を進めているところでございまして、具体的には、新組織がどのような業務をどのような考え方に基づき、どこに財源を求めて充実するか等を決定した上で、行政改革推進法にのっとって適切に対応することになるものと考えております。
  42. 山崎力

    ○山崎力君 肝心な質問に答えてませんよ。要するに、今度の新しく、公営企業金融公庫というものを廃止すると。そこの事業についてはどうするかということを行革本部はどのように考えているのか。すなわち、そのやってきたことの、業務の全体を引き受けるかどうかは別ですよ、だから、そのやってきた総体としての考え方として、これから地方自治体がつくろうとしている団体、恐らく何とか公庫になると思うんですが、そのものがここの公営企業金融公庫の業務を、多くの業務、業務の内容はともかく、総体としてのこれが後継の組織だというものを、機関だというものを認めてから掛かるのか、そうでないのかということは行革本部しかこれ判断のしようがないわけで、それはどちらなのかと聞いているわけです。
  43. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 新しい組織は、現在の公営公庫の業務を承継し得る機関だとは考えておりますが、正にどの業務について承継するということとするのかは、正にこれから政府決定していくことになるものと考えております。
  44. 山崎力

    ○山崎力君 ということは、まだ認めてないということですか。ということは、公営企業金融公庫のやってきたことをこれからもやっていく必要がないからやめたということなんですか。今まで公営企業金融公庫がやってきたことは無駄だとは思わないけれども、もう役割は終わったからもうなくしていいというのが行革本部の考え方なんですか。
  45. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) その点につきましては、正に制度設計におきまして、公営企業金融公庫は平成二十年度において廃止し、廃止後の地方公共団体のための資金調達を行う仕組みとするとともに、地方公共団体は共同して資金調達のための新組織を自ら設立することとされているわけでございまして、正に地方公共団体のための資金調達というところの中でどのような業務を行うかということにつきましては、これから正に政府で決めていくべきものと考えております。
  46. 山崎力

    ○山崎力君 その政府に中核になるのは行革本部じゃないんですか。そのときにそこのところどこまでどうやるかというのは今検討しているだけでいいんですか。
  47. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 正にここにつきましては、総務省を始めといたしまして関係省庁と一体として正に決定していくことになるもの、議論をして検討を進めていくことになるものと考えております。
  48. 山崎力

    ○山崎力君 だから、自分で決めておいて、後のことについてはいろんなところでやっているからいいんじゃないのと聞こえるんですよ。だから、やめるんなら、やめたら最後までそこのところを、次の機関はこういうことに受け継ぐんだということの、立場上お答えしづらいのは分かるんですが、そこのところのめどを見せなければ、非常に問題が多いと。  特に、引当金について、どれだけの要するに仕事をするか、地方自治体財政から見て、仕事の量に決まってくる、この引当金が決まってくるわけです。特に自治体関係者は、この引当金というのは激変緩和措置、いわゆる市場の金利が変わったときに長期金利のところをならすために我々が積み上げてきたんだという意識が非常に強いわけです。その辺のところを国が全部召し上げということになれば、これは地方の反乱が起きると私は思っておりますが、その辺のところ、少なくても業務を円滑に遂行できるための必要な資産の継承というところは、これはもう絶対的な要件だと思います。そのときに、もしそういったことになれば、逆にこういったことで業務が遂行、その資産を継承できなかったということにもなりかねない。そのときの責任、判断はどこにあるかということになれば、この制度をつくった行革本部の責任になってきます。その辺について一言だけ、もう一言だけお願いします。
  49. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) この制度、六月に決定されました制度設計につきましては、行革本部が各省庁と正に議論をいたしましてまとめた上で、政府行政改革推進本部で決定したものでございますので、正に行政改革推進本部が決めたということには必ずしもならないのではないかと考えております。
  50. 山崎力

    ○山崎力君 そういうふうに論点すり替えないでくださいよ。政府が決めたんでしょう。担当のところは行革本部がそこの中核になっているわけでしょう、まとめ役として。そうしたら、総務省が決めたっていうのは政府が決めたということですよ。政府が決めたことであって総務省が決めたことじゃない、そういうふうなことを言っているにすぎないんだ、今の言葉は。だから、論点はすり替えないで答えていただきたい。  時間の関係で次に行きますが、新型交付税、先ほども出ていました。私も地方に行って、役場からずっと会計やって、収入役から町長になった人の話聞きました。この新型交付税、よくできていると言うんですよ。確かに複雑だと、単純なものをだった、人口面積を基本に置いてやってきたことを、いろいろな地方行政需要を考えて出し入れしてきて今の制度になった。確かに形は複雑だと。総額を求めるのも単純ではない、知っている人なら分かるけれども。だけど、今回の人口面積を基にというと、先祖返りというか元に戻ることだと。逆に言えば、複雑な形だから、積分で面積求めなくちゃいかぬ、これが複雑で分かりにくいから、直線で全部引いて三角形の面積面積計算した方が楽だと。分かりやすい。小学生でも分かる。高校生でも、ちょっと引っ掛かるのは、積分分かんないのに。だけど、正確な地方の需要をつくるのはそこじゃないんですか、という気がします。  ということは、この問題で一番の問題は、地方自治体からこうしてくれという要望があったんですか。もしないとしたら、自治体の意向を踏まえないで新型交付税導入するとしたら、これは地方自治を守るべき総務省の問題だと思うんですが、大臣、御見解いかがでしょうか。
  51. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私は、副大臣大臣のときも、非常に分かりにくいという話はそれぞれの自治体から言われていることもそれは事実であります。算定項目、今九十数項目あるわけでありますから、その中で変動の少ない約三割について新型交付税導入をしようという形で、それと、骨太二〇〇六の中でも簡素で効率的なものにすべきであると、そういう指摘も受けていることも事実であります。  そういう中で、今回、この導入を私どもは決意をさせていただいたと、そういうことでありますし、それと同時に、地方自治体の皆さんがよく言われるのは、予見可能性のある予算編成ができるような、そういう仕組みを是非つくってほしいという、このことも私は地方に行くと必ず実は言われることであります。それにできるだけ近づけるということもその一つであります。
  52. 山崎力

    ○山崎力君 予見可能性にどうつなげるかというのは今回の中のこの問題には余り出てこないし、予見可能性からいったら、税収がどうなるかということでも交付税の額変動してきますからね、そこのところは無い物ねだりだと私は思っております。  むしろ予見可能性でいえば、この項目がこういうふうなことになるということからいけば、人口面積というのは地方の弱い自治体にとっては非常に嫌な状況なんですよ。というのは、人口が減っていくからです。もう明らかに交付税減る。そこを何とかしてくれといって、予見可能性ができました、来年はもっと厳しくなりますということで地方がもつかどうか。まあここはよた話と聞いていただいて結構でございますが。  もう一つ、いわゆる頑張る地方応援プログラムに交付税措置というのを大臣おっしゃっていますが、交付税のこれは補助金につながるんじゃないのかと。客観的に算定された行政基準を確保する地財計画になじまないんじゃないのかという気がしておりますが、地方交付税の本来の趣旨からずれていると。やるなら別枠でやるべきだと。  ただ、この問題というのは、税収増やして、それが確定して、よくやったねというところに輪を掛けてお金上げるという、そういう性格があり、もう一つ言わせていただければ、交付税全体枠で、そういういいところにやればその分全体から減らされるわけですから、そうすると、うまくいかなかったところはますます交付税減らされると、こういうことにもなりかねないんですが、いかがでしょうか。
  53. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私も地方行政の長の皆さんからいろんな実は御意見を伺います。どんなに財政力指数が低い地方自治体でも私はやれることというのは実はあるというふうに思っています。そういう中で、頑張ったところに応援するというのは、私はあるべき姿であるというふうに思いますし、例えば、交付税算定は、義務教育、福祉、保健医療等の法令によって義務付けられた行政水準を確保するために必要な義務的なそして基礎的な経費に加えて、条件不利地域の特別な財政需要行政改革、これについてもインセンティブを実は与えております。そういう意味で、合併等の全国共通の政策課題に係る経費を対象としているということも委員理解をいただいておることであるというふうに思います。  今回のこの頑張る地方応援プログラムによる交付税算定は、正にその魅力ある地方を目指して取組が全国的に求められる政策課題である、そういうことを踏まえまして、財政需要を成果指標を用いて補足をして交付税算定に反映させる、そういう趣旨であります。  なお、この交付税は使途を特定されていない一般これ財源でありますので、こうした観点から考えても補助金化するということはないと、こう思います。
  54. 山崎力

    ○山崎力君 時間がなくなりまして、ここのところで一応終わりたいといいますか、やりたいと思うんですが、最後のところの繰り返しになりますけど、これ算定するというか、どう客観的に頑張ったということをだれが判定するかというのは、これ実務上も極めて難しい。おたくのところはこれやったから褒めてあげるよということですよね。頑張ったから、よくやった、インセンティブを与えるよということですよね。  そうすると、例えば、市役所の職員の数を減らしたとか、あるいは企業誘致で税収が上がったとか、これを事前に公表して、これを、このくらいのことをやればこのくらいの交付税措置に回しますよということを明らかにしなければ、これはフェアではないわけですね、やる方としては。  それで、事前に、ある意味そういった点からいけば、その算定する人というのは総務省になるわけですね。ですから、その辺のところの実務上の問題も極めて難しい問題だと思います、まさか大臣のさじ加減ということもないんでしょうが。  これ、事前にその、こういったものを頑張った自治体だとみなすということの計画はあるんでしょうか。
  55. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) これについては年内に制度設計をし発表をするわけでありますけれども、今日までもいわゆるこの地方自治体の長の皆さんあるいは学識経験者の皆さんから様々なその頑張る地方に何が必要であるかという、そういうことで意見を実は伺っています。  今言っていますのは、例えば人口交流なんかもそうじゃないかと、あるいは出生率を上げることだとか、いろいろなメニューがこれ出てくると思いますし、こういうメニューについてというものを私ども出して、地方が自主的にこうしたものをやりたいというものを地方から上げるものについて考えていきたいというふうに思います。  いずれにしろ、今の地方自治体というのは私は余りにも元気がなさ過ぎるというように思っています。そういう中で、それぞれ地方には地方の魅力がありますし特徴があります。そうしたものを生かして頑張る地方を何としても引き出したい、そういう思いであります。  例えば、この間、六人の市町村長さんに来ていただきましたけれども、宮古市の市長はお医者さんでありまして、全国一の子供を育てる市、子育ての市にしたいということで努力をして、例えば出生率を一・七以上にしている、そういう努力をしている。  様々な私は地方にそういう努力が広がりますことをこの頑張る地方で期待をしたい、そういう思いであります。
  56. 山崎力

    ○山崎力君 終わります。
  57. 山本順三

    ○山本順三君 自由民主党山本順三でございます。  地方分権改革推進法案についての自民党のこれは三番目の質問でありますから、重複を避けながら対応していきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  まず、衆議院総務委員会において安倍総理、地方分権というのは拉致問題の解決やあるいはまた教育再生と同様に安倍内閣の最重要課題であると、これは非常に重い答弁をしていただいたと思っておりますし、私も高くこれ評価しています。  加えて、本法案でありますけれども、地方分権推進法じゃなくて地方分権改革推進法。この改革という文言が入っていることが際立っておりまして、総理の地方分権に向けての改革の意気込みと、あるいは大臣の意気込みというものを私どももつくづくと感じるわけであります。  そこで、前回の改革につきましては先ほど来お話があったとおり、機関委任事務制度廃止をする、そして平成十一年の地方分権一括法として結実をしたわけでありますけれども、まだまだ不十分であると。今回の第二次分権改革においては、国と地方役割分担見直しをまずやる、それに伴う地方への権限あるいは税財源移譲をしていく、そういうふうな案というものを有識者による委員会で三年以内で策定すると、こういうふうに伺っているわけでありますけれども、この分権改革というのは、先ほども少しお話がありました地方自立あるいは責任というような前提の下で、国の財政再建というのが本来意義ではなくて、あくまでも真の意味での地方分権の実現という視点に重きを置いたそういう改革にすべきであると、このように私どもも考えておるところであります。  そこで、この分権改革で具体的にどのような見直しに取り組んでいかれるのか、大臣の基本的な認識をお伺いするのと、あわせましてこの地方分権語るときに、やはり基礎的自治体というもののレベルアップをもっともっと図っていかなければならない。せっかく合併をしてきたわけでありますから、その合併してきた基礎的自治体のレベルアップ、これをするためにこれから我々は権限移譲、特に重点をその基礎的自治体に置くべきだと、こういうふうにも考えておりますが、その点も含めて御見解をお示しいただきたいと思います。
  58. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 安倍総理も所信表明演説の中で、地方活力なくして国の活力なし、こういうふうに述べております。正にそういう思いが最重要課題だと、そういう発言につながったというふうに思いますし、さらにこの日本という国の形を考えたときに、少子高齢化社会、さらに市町村合併が進む、いく中で、今の形でいいのかどうかというのは非常に多くの国民の皆さん、各委員の皆さんもこれ疑問に感じているところだというふうに思います。  やはり、国と地方役割分担をする、これは極めて大事なことであって、地方がそれぞれ自分の考えで、自分で物事を決めて行動をする、その代わり責任もやはり地方が取ってもらえる、そういう自立した地方を目指す、そういう仲というのはこれから極めて大事なことであるというふうに思います。  そこで、今回の分権改革の内容でありますけれども、まず権限移譲推進であります。さらに、法令による事務の義務付け、枠付け廃止縮小であります。そして三点目として、関与の整理合理化であります。そして、この三点に、措置に応じて、国庫補助負担金地方交付税、国と地方公共団体税源配分等財政上の措置在り方検討を行う、こうしたことが考えられると思いますし、これらについて、具体的な内容はこの改革推進委員会の勧告などを踏まえて政府がその計画に、地方分権改革推進計画に作成をしていくと、このようになっております。  いずれにしろ、真に地方自立責任を確立をしていく、そのための見直し政府を挙げて取り組んでいこうというのが実はこの法案の基本的な考え方であります。  また、基礎自治体のレベルアップというお話もありました。このこともこの分権改革が進んでいく中で極めてこれ大事なことであるというふうに思っております。各行政分野の個別法令において役割分担見直しは当然行われるわけでありますから、そういう意味において市町村への権限というのは極めて多く移譲をされるというふうに思いますし、それに十分に堪え得る市町村でなければならない、こう考えています。
  59. 山本順三

    ○山本順三君 今回の法案は、先ほどお話がありましたとおり、地方分権改革に向けての手順を定めていくということでありますから、委員を何人にするとか、あるいはまたどういうふうな議論をしていくかということはこれからのことになってくるんだろうと思うんですけれども、ただ私、一つ心配しますことは、地方議員から私も国会議員になりました。ちょうどなったときが三位一体改革議論の真っただ中でありました。その議論を聞いておりましてつくづくと感じたのは、国と地方役割分担をするというのはなかなか大変なんだなということを感じました。各省庁の権益を守らんがための議論も出てまいりますし、いろんな分野での議論が出てまいりますから、この役割分担は本当に心して気合を入れて頑張ってもらわなければならないと思いますけれども、是非とも地方分権の流れを決めていくんだという前提の下で、強い決意の下に大臣には頑張っていただきたいと、このように思っております。  それから、あと、恐らくやその委員会議論をされるであろう様々な分野について何点か先んじて質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず、税源移譲であります。  先ほど景山委員の方からお話がありました、経済財政諮問会議において国と地方税収比を現在の六対四から五対五にしていく、こういうふうな意欲的な提案がなされました。私も、これは地方分権改革推進という観点で極めて評価のできるようなそういう提案であろうと、このように思っております。  今ほど、税源移譲に五兆円余りというお話やら、あるいは偏在性の少ない地方消費税をというような、そんなお話も出てまいりました。実はそれと同じくして、地方団体においても、消費税五%のうちの地方消費税の割合を四対一から二・五対二・五、こういうふうにしようという提言を地方分権推進に関する意見書の中でされておるところでもあります。  消費税に関する議論については、安倍総理は、平成十九年度以降にこれは抜本的、一体的な税制改革推進すると、そういうふうにおっしゃっておりますから、今ここで軽々に話をするのは若干早過ぎるのかなというふうにも思いますけれども、ただ、税源の地域的偏在の解消という意味におきましては地方消費税の充実というものは非常に大切であると、不可欠であると、このように考えております。  そこで、地方団体の今ほどの案に対する所見と併せまして、あるべき地方税の体系に関する大臣の所信、ちょっと大きくなって恐縮なんですけれども、その所見を是非ともお聞かせいただきたいと思います。
  60. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私も地方議員出身でありますから、地方の仕事が六で国の仕事が四であると、しかし税源とは全く逆であると。そういう中で、やはり少なくとも一対一にはしたいという、そういう強い私自身意欲を持っておりますし、本来であれば六対四にするのが一番正しい道だというふうに私は思っています。正にその一里塚として一対一というものをこれは全力を挙げて求めていきたいと、こう思っています。  地方団体が、地方消費税について二・五対二・五にすべきである、こういう提案をされました。私自身も、やはり地方税、これは偏在度の少ないものにしないと、やはり余りにも多いところ少ないところがあり過ぎますので、この地方消費税というのが一番私も地方税としては適していると、このように考えていますので、こうした六団体の皆さんの考え方というのは私の考え方方向性というのはほとんど一致しているというふうに、こう思っています。
  61. 山本順三

    ○山本順三君 次に、今ほどの地方消費税の話をもう少し詰めていきたいと思うんですけれども、先ほどの地方消費税の場合、人口一人当たり税収額の指数、これを平成十六年度の決算に当てはめて試算いたしますと、全国平均を一〇〇といたしますと、一番最大の東京都、これが一三一でありまして、それに対して最小は沖縄県の七五・六というふうになっていますが、格差は一・七倍と比較的少ない、いわゆる偏在が少ないというのがこの地方消費税だろうというふうに思います。  ただ一方で、法人二税、法人住民税と法人事業税でありますけれども、この法人二税につきましては、これは制度上、税が本社のある東京等に集中する嫌いがあるわけでございまして、先ほどの試算でいきますと、東京都の二六七・五に対して最低の青森県四〇・三、その格差が六・六倍というふうに大きく広がってくるわけであります。  そういった意味で、偏在性が比較的少ない地方消費税を充実強化する一方で、今ほど申し上げた偏在性の高い法人二税を、これを地方共有税あるいは地方共同税として、中央を含めて地方にもう一度再配分する、こういうシステムを構築しようという考え方が出てきております。これは地方団体からも出てまいりましたし、同僚の国会議員の皆さん方もこのような提案をしていこうという動きがあるのも存じておるわけであります。  この例えば地方共有税あるいは共同税というものの再配分の方法ということに話が及びますと、これまたなかなか難しい問題になってくるのかなというふうに想像はしますけれども、ただ、地方にしっかりとした税源をつくっていくんだというそういう方向性について、私はこの法人二税の地方共有税あるいは地方共同税化というのは非常に評価に値すべきものだと個人的に思っておるんでございますけれども、大臣の感想を、これ是非ともお聞かせをいただきたいと思います。
  62. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今委員指摘のとおり、この法人二税の、今、表を見させてもらっていますけれども、十七年度も正に広がってきているということも事実であります。  ただ、御指摘地方法人二税を地方共同税とするということでありますと、地方法人課税を国が一括で徴収して、その上で各自治体人口配分なりそういういろんな基準で配分される、こういうようなことになっていくという仕組みにならざるを得ないと思うんですね。  そういうことになるとすれば、地方団体行政サービスと受益と負担の関係が分断されることによって、地方税の性格の問題が一つ出てきます。  さらに、地方団体が自ら汗をかいて自分で集めた税を徴収することが、集めるということが地方税としては重要ではないかなというふうに思いますし、企業誘致等によって自らの税収確保しようとする地方団体の意欲もなくなってくるだろうと、こういう問題があるということの上で慎重に検討すべきかなというふうに実は思っています。  いずれにしろ、偏在度の少ない、小さい地方税をというのが私どもの基本的な考え方でありますので、そうしたことも含めて地方税の充実に努めていきたいと思います。
  63. 山本順三

    ○山本順三君 今ほどの話、大臣の御懸念も十分我々も感じるところでありますけれども、それにしても、法人二税というものの制度上の問題点、偏在度が極めて高いというところには我々はしっかり着目をして、その流れというものをつくり上げていかなければならないと思いますので、是非またよろしくお願い申し上げます。  続いて、地方交付税について何点か質問をさせていただきたいと思います。  去る十月三十一日の当委員会で、私、質問させていただきました。そのときに、地方交付税総額確保ということについての大臣の決意をお述べいただいたわけでありますけれども、総額確保をしっかりとしていきたい、頑張っていきたいという強い決意をお示しになりました。  今、予算編成、もう間近に迫ってまいりまして、いよいよ本番を迎えるわけでありますけれども、この地方交付税総額確保についての現時点での見通しについてお示しいただければと思います。
  64. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 骨太二〇〇六の中でも、歳出努力と同時に、必要な地方税交付税の一般財源の総額を確保する、このことも実は政府決定の中に明記もされておることでありますので、私自身も、やはり地方一定水準以上の行政運営ができるように頑張っていきたいと思っています。
  65. 山本順三

    ○山本順三君 先般、全国の町村長さんの大会がございました。その後、もちろん私どもも、地元愛媛県から大勢の、大勢といいましても、昔は六十近くの市町村長さんが来られておったんですが、今度、たった九人しか来られないと。まあ市町村合併が進んだものだなと改めて感じましたが。  その各町長さんから、本当にこの交付税総額確保、これは命懸けでやってもらいたい、もうこれが地方の生命線だというような非常に厳しい御指摘をいただきましたので、是非ともまた、その点くれぐれもよろしくお願い申し上げたいと思います。  そこで、地方交付税、御案内のとおり、国税五税の約三割程度、これが法定率に基づいて機械的に配分をされる、こういう仕組みになっておりますけれども、まず、確認でありますが、地方交付税地方固有の財源であると私はもう強く思っておりますけれども、このことについて、先ほども総務大臣からはその旨お話がありましたから、今日は財務省から椎名政務官来られておりますので、是非とも財務省の御意向というものをお聞かせいただきたいと思います。
  66. 椎名一保

    大臣政務官(椎名一保君) 地方交付税交付金は地方固有の財源であるか否かというお尋ねでございますけれども、このことにつきましては、本年六月の参議院決算委員会におきまして、当時の谷垣財務大臣が、固有財源かどうかというのは長い間論争の焦点でございますが、確かに、国税の一定割合交付税にしていく、こういう意味では地方財源ではございますけれども、これはやはり北海道から沖縄までの全国の国民が納めた国税収入でもあると答弁をしているところでございますが、自分もこのように考えております。
  67. 山本順三

    ○山本順三君 多分、多分椎名政務官の心の中はまた違うんだろうと私は推察しておるんですけれども。  まあそれはそれといたしまして、先ほどの景山委員の方からお話があった案件について若干追加して質問したいと思います。  財政制度等審議会において、来年度の交付税の総額について、国、地方ともどもの税収大幅増により、法定配分率で決まる地方交付税の税額に余剰が生じるため、その全額を特例的にカットし、国の財政再建に回すよう提言すると、こういうふうなことが尾身大臣提出をされたところでございます。  ある意味では、地方よりも国の財政再建を優先させたいという財務省の意向があるやに伺うわけでありますけれども、この地方交付税削減の動きに対して、恐らくや地方自治体は反発を強めるでしょうし、特に一番重要な国と地方との信頼関係というところにひびが入ってしまう、そういう危険性もあると思うんです。  この特例減算について、先ほど富田財務大臣から答弁がありました。私は聞いておって非常に残念でありました。税収がどのぐらい増になるかまだ確定していないから、予見を持って判断できないというような前提条件が入ってしまいました。椎名政務官の答弁書にもそんな文言がもしかしたら入っておったら残念だなと思って、あえて先んじて申し上げたわけでありますけれども。  もう五兆、六兆というものが恐らく税収増になるであろうという見込みは立っておるわけでありまして、そうなってくると、当然、機械的に算定していく地方交付税も増える、その中で余剰が生じるということは、これは我々としてはもう当然の帰結であろうというふうに考えております。その余剰金をどうするかという議論をこれからしていくわけでありますけれども、このことについても総務大臣から先ほど強い決意がございましたので、これまた椎名大臣政務官、集中砲火で大変恐縮でございますけれども、お考え方というものをお聞かせいただきたいと思います。
  68. 椎名一保

    大臣政務官(椎名一保君) まず、繰り返しになって恐縮でございますけれども、確かに財政審よりそのような御意見をちょうだいしたところでございますけれども、いずれにいたしましても国税、地方税の見積り等によることから、現時点では確たることを申し上げることは困難でございます。  地方公共団体の安定的な財政運営配慮をしつつ、予算編成をしていきたいと思っております。
  69. 山本順三

    ○山本順三君 椎名政務官じゃなかったら、もうちょっと突っ込みたいんですけれども、もうこの辺でとどめ置きます。  ただ、一つ、具体的な話が今沸き起こっているわけでありますけれども、要は総務省財務省、この主張を突き詰めていくと、要は税収増を国債の発行を縮小することに充てるのか、あるいはまた地方債の返済に充てるのかという争いにこれなっていくんだろうと思うんですけれども、実は交付税の特別会計でありますこの交付税特会、国税からの収入で足りない部分、これを民間の金融機関からの借入金で補うということで、現在五十三兆円もの借入残高があるということであります。そのうちの三十四兆円が地方の負担、残りが国の負担ということになっています。  今、大変厳しい歳出削減の努力をしてまいりました。それを水泡に帰するようなこと、いわゆる余剰金を全額当然のごとく交付税に回して、そしてその交付税をもって今までやれなかった事業をやっていこうと。こういう気持ちも私もよくは分かりますけれども、それがすべてであるとは思っていません。やはり、国も地方財政状況極めて厳しい折からでありますから、そのことについての考え方というものをしっかりとやっぱり持たなければならないだろう、このように思っております。  ただ一方で、ここ数年の、もう正に地方の血の出るような努力、そしてその努力に対して全く国は配慮しませんよ、財務省配慮しませんよと、こうなってまいりますと、これもまた地方としては非常につらいところがある、そういうふうに私ども考えております。  そこで、この地方交付税の総額というものを、先ほど大臣がおっしゃったように確保した上で、恐らくや出るであろう余剰金、これを今ほどの交付税特別会計借入金の返済に充てるというような案が出てきておるようでありますけれども、このことについて総務大臣はどうお考えか。そして、財務務官、さあ、答弁していただけるのかどうか分かりませんが、どのようにこの考え方考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  70. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私の基本姿勢というのは、やはり努力をした人にやっぱりその分がある。交付税改革もそういう形で私は行革インセンティブを入れるべきだと。頑張る地方を応援しようと、そういうことを政策として私自身も今取り上げておるわけでありますから、やはり地方が努力をして生み出したものであれば、それを国債の返還に使うということであれば、それは地方が報われないと、こういうふうに実は思っています。  ただ、現実問題どうかといえば、十八年度では八・七兆円財源不足がありました。これを直ちに解消するということは困難で私はあるというふうに思っています。一方、委員指摘されましたように、交付税の特別会計で五十三兆円の借入金残高を抱えておりますから、そういう意味で、一般財源の総額を確保した上でこうした返済金に充てることができればいいなというふうには思っております。
  71. 椎名一保

    大臣政務官(椎名一保君) いずれにいたしましても、国税、地方税の見積り等による御意見でございますので、また、この十年間の地方財源不足に係る国による対応等を踏まえまして、交付税特会借入金の取扱いにつきましては、十九年度の地方財政対策全体の中で検討し、適切に対応していきたいと思っております。
  72. 山本順三

    ○山本順三君 先ほどの菅大臣のお言葉にもございましたけれども、やはり努力したところが報われるという、そういう意識付けは是非とも財務省の皆さん方お持ちいただいて、もちろん国の財政状況大変厳しいということは十二分に理解しておりますけれども、その点が一番のポイントであろうし、安倍内閣地方をより頑張るような方に導いていこうと、こういう流れにも伝わっていくと思いますので、是非ともその点、くれぐれもよろしくお願い申し上げたいと思います。  最後にもう一点だけ質問さしていただきたいと思います。新型交付税、いろいろお話がありましたので、また機会があったら質問さしていただきたいと思いますけれども、福島県、和歌山県、そして今度は宮崎県、こういったことで知事の失脚ドミノというふうにも言われておりますけれども、たった二か月の間にこんな問題が沸き起こってしまいました。このことが地方分権に水を差すのではないかというように心配をされている向きもありますし、私も大変そのことを心配をしておるような状況であります。  ある記事を読んでおりましたら、こんな文章ありました。メスを入れてみると、地方は想像以上に腐っていた、地方分権が進む中で地方自治体は大きな権限に堪え得る組織なのかどうか、地方の意識改革が必要である、こういった指摘が多々あちらこちらでなされるようになってしまいました。そして、このような不祥事がある中で地方分権を進めていくことがいいのかどうかと、そんな極論すら言われるようになりました。  ただ、安倍総理はそのことに対して、そのような意見は本末転倒であると、進めていくべき地方分権は進めていきながら、その中でどうチェック機能を機能させるかというふうに考えるべきである。正にこの認識というのは、私は非常に重要な認識であろうというふうに思っております。  そこで、知事ドミノが起きた、これ例えば政治の大きな権力構造の変化があったとか、いろんな政治システムが変わったとか、いろんな問題があろうかと思いますけれども、いずれにしても、こういった不祥事の原因というものをしっかりと究明して、そして地方分権の逆風となりかねないような状況に対して強力なリーダーシップが私は必要だろう、このように思っておりまして、地方活力なくして国の活力なしというふうに明言された安倍総理及び菅大臣のリーダーシップに大いに期待するところでございますが、こういう状況の中での大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  73. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 一連の不祥事でありますけれども、正にこの地方自治の信頼を揺るがすような極めて私は遺憾なことであるというふうに思っていますし、今日も実は申し上げたんですけれども、本来であれば、これは議会だとか監査委員会という中でこれは十分にチェックできる仕組みになっておりますもので、そうした皆さんにも私は反省を促したいという実は思いであります。更に一層この情報公開というものを徹底し、透明化することも極めて大事なことだろうというふうに思っています。  総務省としまして、去る七日の日に信頼回復についてという綱紀粛正の私、通達も出させていただきました。いずれにしろ、こうしたことはしっかりと襟を正してほしいなという思いでありますし、また同時に、地方分権との関係でありますけれども、しかしこの地方分権というのは正に私、大きな時代の流れ、先ほどから申し上げていますけれども、少子高齢化が進んで、市町村合併が進んで、やはり住民に身近なことは自分たちで責任を持ってやると、そういう時代に地方活力を取り戻したい、そんな思いでありますので、この分権改革、是非御審議をいただいて成立をさせていただいて、地方分権というものを確たるものにしていきたい、こう考えております。
  74. 山本順三

    ○山本順三君 終わります。
  75. 内藤正光

    ○内藤正光君 こんにちは。民主党の内藤正光でございます。  実は、今日はちょっと風邪をこじらせてしまって体調が余り良くないんですが、どうか大臣、力強い明確な決意をいただくことで私をどうか元気にしていただきたいと思います。  そんなことをお願いを申し上げさせていただきまして、まず、法案に先立って一つ確認をさせていただきたいことがあります。それは、先ほど最後に山本委員が触れたことと重なるところがあろうかと思いますが、最近、福島、和歌山の知事、さらには一昨日は成田の市長が談合問題で逮捕された。そして、宮崎県知事も疑惑の渦中に置かれているのが現状でございます。  どうして相次いでこのように首長が逮捕されていくのか。一つには、さきの独禁法改正で実態があぶり出されやすくなったということもあるんでしょう。ただ、一つ私は申し上げなきゃいけないのは、これから地方分権をもう国を挙げて推進していこうと取り組んでいる、そういった中、国民の理解と賛同を得るための大前提はやはり地方行政の浄化なんだと思います。  そこで、全国知事会は過日、先月の二十四日ですか、公共調達に関するプロジェクトチームというものを上田埼玉知事を座長にして立ち上げられた。そして、正常な公共調達の在り方をこれから何回かにわたって議論をしていこうというふうに全国知事会は取り組んでいるわけでございます。  それに対して、じゃ、総務省はただそれを見守るだけでいいのか、そうではありませんよね。やはり地方自治、地方行政の所管省庁であると同時に、毎年、ほかの省庁に比べて各自治体に副知事ですとかあるいは財政部長、財政課長等々、要職を送り込んでいる。私はこの問題、総務省は自分のこととして全力で取り組んでいかなきゃいけないことだと思っております。  そこで、総務大臣に御認識を確認をさせていただきたいのは、談合体質が生まれるその原因はどこにあるのか、そして、そういった原因を切り込むために、つまり談合を根絶するために総務省としては、総務大臣として何を断行されようとしているのか、御見識を確認をさせていただきたいと思います。
  76. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まず、私ども総務省責任のお話もありました。私どもからも副知事始め多くの都道府県に職員も行っています。そういう視点からすれば、私どももやはりこのことについてしっかりとした地方行政が行われるように徹底して取り組んでいくというのが必要であるということは申し上げるまでもありません。  最近発生しております幾つかの地方公共団体における談合事件の原因、背景等でありますけれども、職員の倫理観、遵法意識の欠如、発注者の恣意的な運用、市長の選挙対策、そういうものが原因になっているというふうに考えております。そして、これらの入札談合事件というのは、地方自治体行政に対する住民の信頼を損なわせる重要な問題であると思います。そういう中で、先月の七日付けの通知において各地方公共団体に対して、公共工事の入札契約について、事務手続のより一層の透明性、さらに公平性の確保のため必要な改善を加えること、このことを実は事務次官通達を出させていただきました。  総務省でも、これまでも公正な競争を促進するために、地方公共団体に対して、一般競争入札、総合評価方式導入拡大や電子入札の導入、あるいは入札契約手続の適正化を図る取組の促進などについて要請を行ってきました。また、全国知事会におきまして、今委員指摘のとおり、プロジェクトができたと。私どもとしては、これは国土交通省と連携をし、この防止策というものをできる限り早くつくり上げたい、そういうことで現在検討をいたしているところであります。
  77. 内藤正光

    ○内藤正光君 地方の談合問題を議論する上で決して避けて通ることができないものの一つに、やはり首長の多選問題があろうかと思います。憲法の問題からいって法律で三選まで、四選までというふうに区切るのは問題があるのかもしれない。ただ、しかしながら、やはり四選、五選と当選を重ねていくと、やはり首長にだれも文句を言えなくなってしまう、御忠告を言えなくなってしまう、これもまた事実でございます。  このいわゆる首長の多選問題に対しての大臣のお考えを確認をさせていただきたいと思います。
  78. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私も、いろんなこうした問題が発生してから質問を受けています。そのとき私言っていますのは、アメリカの大統領は二期八年ということが決められています。これは自民、公明、民主、それぞれの会派も三期ということをそれぞれの党内で議論をしているようであります。そういう中で、多選について、職業選択の自由だとか、憲法上いろんな問題があるんじゃないかなということもあることも事実であります。  そうした中で、これだけいろんな問題が出て、いろんな議論が出ている中で、多選は憲法上本当に問題があるのかどうかというそうした視点、あるいは期数を区切るんであれば、例えば何期までいいのか。それぞれの政党は三期までと言っていますけれども、それは法的に決められるのかどうか。あるいは、県知事だけでいいのかどうか、市町村長までこの多選がもしできたとすれば適用するのかどうか。こういう問題というのは、総務省としても、やはりそれなりのことをきちっとしておかなきゃならない、そんな私は時期だというふうに思いまして、先般、この多選に関する学識者の皆さんの研究会というものを実はスタートをさせていただきました。  ですから、私の見解とすれば、やはり一定の枠を設けるべきのが正しいのかなというふうに思いますけれども、ただ、私、総務大臣の立場としてこのことを言うことを、あえて個人的な見解という形でお聞き取りいただければ有り難いというふうに思います。
  79. 内藤正光

    ○内藤正光君 個人的な見解ということですが、私もやはり何らかの一定の歯止めが必要なんだろうというふうに思います。権力の暴走を阻止するためにも、是非とも個人的な見解から、これ内閣の取組事項として是非しっかりと考えていってほしいと思います。  では、続きまして、地方分権の哲学というものについて幾つか質問をさせていただきたいと思います。その前に、この法案の第四条を見てみますと、三行足らずの条文ではございますが、二行目からこう書いてあります。地方分権改革推進に関する国民の関心と理解を深めるよう適切な措置を講ずるものとすると。  そこで、確認をさせていただきたいんですが、この国民の関心と理解を深めるような適切な措置とは、大臣、具体的にはどのようなことを考えていらっしゃいますでしょうか。
  80. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) やはりこの地方分権推進するためには国民の皆さんの理解がなければこれ推進できないということも私、事実だというふうに思っていますので、この四条の思いというのは、地方分権改革についての講演会の開催だとかあるいは広報誌への掲載、その他広報活動など、いずれにしろ国民の皆さんから何としてもこの分権改革というのは必要だなと、そういう思いを持っていただけるような、そういう啓蒙活動に資するものを考えています。
  81. 内藤正光

    ○内藤正光君 講演会ということですが、それ、英語に直せばタウンミーティングなのかなと思うんですが、しっかりと、やらせのない、本当に国民の世論を受け止める、そんなタウンミーティング、最近は何かどうも講演会という言葉を使い始められたんでしょうか、しっかりとやっていっていただきたいと思います。  そういった広報活動等は本当に大事だと思います。是非、積極的にやっていっていただきたいと思うんです。しかし、やはり一番大事なことは何なのかといったら、やはり地方分権は私たち自身のことだよということを国民一人一人が実感できることではないでしょうか。例えば、従来の地方分権論議というのは、余りにもそこに暮らす住民の視点に欠けたものであったんじゃないのか。例えば、三位一体改革、国民から見ると、結局は国と地方財源の奪い合いであったり権限の奪い合いであったり。そしてまた、そもそも国民一人一人、この地方分権推進することによって自分たちの生活がどう変わるのか、あるいはどう変えられるのかといったイメージが全くといっていいか、ほとんど描けないのが実態なんではないんでしょうか。  そこで、私なりにちょっと分析をしてみますと、地方自治の本旨というのは二つに分けられるわけですね。一つは、国と地方自治体の間における団体自治、そして地方自治体地域住民との間における住民自治。私は、問題なのは、これまでの論議に余りにもこの住民自治の観点が欠落してきた、これが大きな理由ではないのかなというふうに思わざるを得ません。  そこで、いろいろ過去の文献等もひもといてみますと、さきの地方分権推進委員会最終報告の抜粋が私の手元にあるんですが、そこに六項目ほど残された課題として提起されてあるかと思います、残された課題として。そして、一つ目は地方財政秩序の再構築であったり、二つ目は地方公共団体事務に対する法令による義務付け、枠付け等の緩和等々と書いてありますが、その中の一項目に、全部を読んでいると時間がなくなってしまいますので、その趣旨だけ申し上げさせていただくならば、このさきの地方分権推進委員会は最終取りまとめで、これまでの論議が余りに団体自治に偏重し過ぎてきた嫌いがある、そのことを認めた上で、今後の課題はやはり住民自治の拡充方策にあると言っているわけなんです。  そこで、大臣にお尋ねしたいんですが、この団体自治と住民自治という二つの地方自治の本旨を踏まえ、地方分権に関する大臣の哲学をお聞かせいただきたいと思います。
  82. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私も、実はいろんな地方に今出向いています。そういう中で、この住民自治の意識の高揚というんですかね、それを現実に行われているところというのは、私はすばらしい町づくりが行われるというふうに実は思っています。市町村合併の中で、合併するかどうするか、そこで初めてそうした会合に出て、この住民自治の必要性を感じたという人もたくさんいらっしゃいました。  これからのやはり私は、地方自治の在り方というのは、国から地方役割として分担をして、地域住民に関することはやはり地方団体がやれる、そういう仕組みを今度の推進法でつくらせていただくと同時に、やはりその運営というものについては住民の皆さんも参加をして行うこの団体自治と住民自治、お互いに連動しながらやっていくということがあるべき姿かなというふうに実は思っています。
  83. 内藤正光

    ○内藤正光君 そこでなんですが、この法案が成立した暁には、七人から構成される地方分権改革推進委員会というものが構成されるわけなんですが、そこで向こう三年間にわたっていろいろ議論をしていく、そして勧告を行うということになるわけなんですが、当然その分権改革推進委の議論の中で、団体自治のみならず住民自治もバランスよく議論をされていくだろうということは期待してよろしいわけですね。
  84. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私もそのように思っています。
  85. 内藤正光

    ○内藤正光君 そこで、更に確認をさせていただきますと、もう大臣、改めて私から申し上げるまでもなく、今環境だとか教育あるいは福祉等々の分野で今までは行政が独りでやっていたと、しかし、最近は地域住民だとかNPO、こういった方々三者が連携をして行政サービスを提供しているところが多々見受けられるようになったと、結構うまくいっている、地域住民の声をしっかり受け止めて、効率の良いそして本当に温かみのある行政サービスを提供していると。私は、これからもどんどんこの三者の連携というものは進めていくべきだと思うし、また国としても、また地方としてもその三者の連携がしっかりと組みやすいよう環境整備を努めていかなきゃいけないかと思いますが、そこで改めて確認をさせていただきます。  地方分権推進するに際してのこの三者の連携について、大臣はどのようにお考えなのか、確認をさせていただきたいと思います。
  86. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) いずれにしろ、この行政地域住民、NPO、この連携というのは極めて大事なことであるというふうに思っていますし、これからの日本の地方自治においてはそうした姿があるべき姿だというふうに思います。  分権が進んで権限がより住民に下りてくるという、そういう中で行政地域住民やNPOと協働して連携を図っていく、あるいは各団体の先進的な取組を把握して広く周知をしていくんだと。いずれにしろ、この三者が一体となって努めていくというのが物すごく大事なことであるというふうに思いますし、私ども総務省としましても、実は平成十七年の三月二十九日に、今後は地域において住民団体をはじめNPOや企業等の多様な主体が提供する多元的な仕組みを整えていく必要がある、そういうことを地方公共団体における行政改革推進のための新たな指針という中で地方にもこうしたことを訴えております。  いずれにしろ、こうした行政地域住民、NPOが連携をつくって地域づくりを進めていく、極めて大事なことだというふうに思います。
  87. 内藤正光

    ○内藤正光君 これは実は事前通告してなかったことなんですが、大臣がかなり積極的な答弁をされたので、もし大臣としての考えがまとまっていらっしゃればお考えを確認をさせていただきたいんですが、これからNPOの活動をもっと活性化させる、そういった場合に問題になるのがやはりお金なんですね。今、国税ではNPOに対する寄附金控除が認められている、しかしながら地方税については全く認められていない。しかし、NPOの活躍は何も国レベルだけじゃなくて、むしろ地域レベル、地方のレベル、そちらも今後期待ができるわけなんです。  私は、地方税においてもNPOの寄附金控除というのは認められていくべきではないのか、そのように議論されていくべきではないのかなと思っておりますが、大臣、もしお考えがありましたらお答えいただけますか。
  88. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) いろんな地方自治体の皆さん、あるいはそうした団体の皆さんから私のところに要請も来ているということも事実であります。  そういうことについても私は検討して、できるだけ御期待にこたえていけるようにしたいというふうに思います。
  89. 内藤正光

    ○内藤正光君 しっかりと議論を進めていっていただきたいと思います。  そこで、今まで大臣のお考えをいろいろお聞きしてきました。それを具体化をこれからしていかなきゃいけない、七人の委員から構成される委員会においてこれから三年間にわたって議論をしていかなきゃいけない、やはり大臣のお考えを具体化していかなきゃいけない、形にしていかなきゃいけない。そういった意味で確認をさせていただきたいんですが、前回の経緯を見ますと、部会の議論が実は、各部会の議論、あるいは検討グループの議論委員会論議の中核になっていったわけでございますが、そうなると、どんな部会が設置されるのかなとか、どんな設置グループが設置されるのかな、あるいは特に七人のこの委員会委員、どんな人たちが、どんな分野の人たちが人選されるのかなというのが大事になってくるかと思いますが、その辺の辺りを大臣としてお考えがもう既に固まっていらっしゃると思います。  例えば、先ほど言ったように七人の中、バランスよく取っていかなきゃいけませんが、地方団体も一つなのかもしれませんが、やはり地域代表だとかNPOの人たちも、やはり何らかの形で彼らの声を代弁する人たちも入れていかなきゃいけないと思いますが、それについて今固まっている範囲内で大臣のお考えをお聞かせいただけますか。
  90. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) この委員の選定でありますけれども、当然そうした地方分権推進に積極的な人がなるということはこれは間違いないというふうに思いますし、いずれにしろ、最終的には総理大臣が両院の同意を得た上で任命をすると、そういうことになっています。  構成については、やはり地方実情を十分に把握できるような人、それと、やはり地方分権というのはこれから国の在り方を変えることでありますので、国全体から物を見れる人、それと、地方のそうした現場の声というんですかね、がよく分かる人、そういう人の中から総理が選んでいかれるというふうに実は思いますけれども、私の考えとすれば、そういう今、私申し上げたような人がいいのかなというふうに思います。
  91. 内藤正光

    ○内藤正光君 その地方の現場がよく分かる人というのは、すなわち地域住民の代表だとかあるいはNPO、そういった人たちもその範囲の中に収まっているというふうに理解してよろしいでしょうか。
  92. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) そこまで考えていませんけれども、そういうものについて非常に理解があって、分かっている人というのは私、必要だと思っています。
  93. 内藤正光

    ○内藤正光君 是非とも、これ私が冒頭申し上げましたように、余りにも今までの議論団体自治に傾斜し過ぎてきた。これが言ってみれば国民一人一人の理解、関心が高くならなかった一つの原因ではないのかなというふうに私は思っております。  ですから、やはり地方自治のもう一つの本旨であるところの住民自治、これをしっかりと議論の中に織り交ぜていただきたい、そしてそれをリードする人たちもこの七人の委員の中に加えていっていただきたい、そのことを強くお願いを申し上げますが。さて、部会なんですが、部会だとか検討グループ、これはまだ形にはなっては、ある程度頭の中に描くものはないんでしょうか。
  94. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 委員会において設置をされる部会の話だというふうに思いますけれども、まず、この委員政府が作成をする地方分権改革推進計画の具体的な指針についての勧告を行う機関であり、その調査審議を進める、そのため内部の検討体制の在り方については委員自らの判断によるものになるというふうに私は思っています。  いずれにせよ、委員においても、そうした地方意見だとか、そうした具体的なことを当然参考にしながらでなければ、大きな仕事でありますから、決めることはできないというふうに思いますし、先ほど私申し上げましたけれども、そうした住民自治に理解のある人というのも当然その中に私入ってくるだろうというふうに思っていますので、そうした人たちによってこの部会なりあるいは検討グループというんですかね、そういうものが設置されて、そういう意見聴取が当然行われるのかなというふうに私は思います。
  95. 内藤正光

    ○内藤正光君 その辺りも私たちも議員の一人として見守っていきたいと思っております。  さて、次に第二章に書かれております、法案の第二章に書かれております基本方針について何点か確認をさしていただきたいと思います。  基本方針、条文でいえば第五条と、第五条以下がそれでございますが、ちょっと第五条読んでみますと、全部を読んでいたらこれまた大変ですから要約して読むならば、補完性の原理の下に権限移譲推進すると言っている、あるいはまた地方公共団体に対する国、県の関与の整理及び合理化その他所要の措置を講ずるというふうに言い切っているわけなんですね。これは力強いんですよ。もうテーマがあるわけですから、命題があってそれについて議論をしていくという目的は分かるんです。  ところが、心もとないのが次の第六条なんですね。財政上の在り方についてなんですが、どういうふうになっているか。もう三行なんですが、その三行目を読めばもう一目瞭然なんですね。財政上の措置在り方について検討を行うものとする。随分とあいまいというか回りくどいというか、やるのかやらないのかよく分からない表現になっているわけなんです。  しかし、私、この表現に違和感を感じるのは私だけじゃないと思います。ここに委員として席を並べている方々の多くも、この表現の違い、差異にはかなりの違和感を感じているんじゃないかなというふうに思います。  そもそも権限と財政とが一体不可分のものであるならば、両者は当然のことながら同じ表現でなきゃいけないはずなんです。財政上の所要の措置を講ずるとか、言い切るべきなんです。それがいきなり最初から、もうテーマ設定の段階で、財政上の措置在り方について検討を行うと。結局何を検討するのか、皆目本当に見当が付かないというぐらいな、笑っていただきましてありがとうございます。本当にちょっとこれはおかしいんじゃないか。  正直に言って財務省からの反発があったということは予想に難くはないんですが、この表現の差異を一体どういうふうに解釈すればいいのか、大臣、お答えいただけますか。
  96. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 是非このように解釈してもらえばいいなと実は思っていますけれども、私どもの本意は、第五条で権限移譲関与の整理合理化など事務事業見直しをする、六条で、今言われましたように、見直し内容によって財政上の措置検討すると、八条で財政上の措置も含めて見直し内容を地方分権推進計画に盛り込む、こういうふうな構成に実はなっております。  したがって、財政上の措置というのは検討で終わるのではなくて、検討結果の具体的内容を推進計画に盛り込むと、こういうふうに私も実は考えました。なお、地方役割を強化する方向でこの事務事業見直しに応じて財政上の措置を盛り込むというのは、規定全体で見れば地方財源を充実させる、そういうふうにつながっていくだろうというふうに私どもは考えたところです。
  97. 内藤正光

    ○内藤正光君 じゃ、この分権推進委員会内閣府の下に設置をされる。総務大臣がどういう位置付けでこれに関与をするのかというのをちょっと、いま一つ見えないところもあるんですが、ただ、所管大臣の一人として、一人という立場からは、この六条、こういう書き方はしてはあるけれども、あくまで私が先ほど申し上げた権限と財政は一体不可分のものだと、そういう認識の下でこの財政上の措置についても検討をしていくというふうにこの条文は理解してよろしいんですね。
  98. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 全くそのとおりです。
  99. 内藤正光

    ○内藤正光君 本当に、この措置在り方について検討というのは、ここにいらっしゃる方ならば皆御理解いただいているように、本気でやるのかなと、取りあえずこうやって書いておけばいいよというたぐいの用語なんだと思います、普通に読むと。しかし、今大臣の答弁で、そうじゃないと、しっかりと権限と財政とは一体不可分のものであり、表現は違えど、権限の移譲と併せて財政上の措置もしっかりと取り組んでいくということだということを確認をさしていただきました。  そこで、この関連なんですが、先ほども私触れました。さきの地方分権推進委員会最終報告で、まだ六つの大きな課題が残されているというふうに提起をされたということは申し上げたとおりなんですが、そのイの一番に地方財政秩序の再構築というものが挙げられているわけなんです。  簡単に読むならば、途中からちょっと読みますと、すなわち、自己決定自己責任の原理を地方税財政の領域にまで推し広げて地方公共団体財政運営自由度を高めるとともに、地域住民から見てもその受益と負担の関係が分かりやすい税財政構造に改めることをもって、改革の大方針としなければならないというふうに、以下続くわけなんですが、このさきの最終報告で提起されたこの残された課題のこの一つ、すなわち地方財政秩序の再構築、これについて大臣はどのように受け止められていますでしょうか。
  100. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今委員指摘をされましたこの最終報告にあります、地方においても自己決定自己責任の原理を踏まえて分権型社会にふさわしい税財政構造を構築をすると。そういう中で、やはり税源というのは一番大事なものであるというふうに思っております。私、この最終報告というのは、当然次の分権改革推進委員会の中でこうしたものが大きな議題の一つになっていくだろう、このように思っています。
  101. 内藤正光

    ○内藤正光君 是非、この最終報告に提起されたまだ議論すべき六つの課題、これをしっかり受け止めて、これから組織される新たな委員会の中でも議論をしていっていただきたい、このことを強く要望を申し上げます。  では次に、大きな柱としては四つ目なんですが、確実な地方分権推進を担保するためにということで幾つか質問をしたいと思うんですが、またこの条文に戻りたいと思いますが、条文の三条第一項なんですが、こう書いてあるんですね、地方分権改革を集中的かつ一体的に推進するために必要な体制を整備するとともにと。必要な体制を整備するというふうにここに明記をされておりますが、これは様々なところからの様々な抵抗を予想してのことだとは思うんですが、単なる中央省庁間の利害調整に終わらせないために、一体具体的にどんな体制を整備していこうと考えられているのか、お考えをお聞かせいただけますか。
  102. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 本案の第三条において、地方分権改革推進計画の作成から実施まで集中的かつ一体的に推進するために必要な推進体制の整備を国の責務として明記をしているところでありますし、このため、本法案においては、地方分権改革推進委員会の設置について規定をし、有識者から構成される組織において集中的に行っていく。そして、そうした勧告を受けて地方分権推進計画というものを作成を行うこととなっておりまして、三年という限られた期間で政府一体となって地方分権改革の取組を実行する。そういう意味で、今委員から質問にあります、それはやはり政治的な強力なリーダーでなければこのことは推進できないと私も思っていますし、これは多くの皆さんも同じ考え方だというふうに思います。政府における推進体制、強力な推進体制、そういうものを考えています。
  103. 内藤正光

    ○内藤正光君 ということは、例えば内閣総理大臣が本部長を務めるような推進本部を何がしかのタイミングで立ち上げて、それを実行していくという理解でよろしいんでしょうか。
  104. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) この分権改革を進めていくには、そうした本部でなければ私は到底できないと思っています。
  105. 内藤正光

    ○内藤正光君 私もそのように思いますので、是非ともしかるべきタイミングに総理の下でそういった推進本部を立ち上げ、そして確実、着実な地方分権推進をしていっていただきたいと思います。  そこで、さらに確認をさせていただきたいんですが、分権改革委の調査審議において様々な声を聞かなきゃいけない。七人から構成されているから、例えば仮に地方団体の人がそこに加わっていればそれで地方団体の声は聞いたよということにはならないと思うんですね。やはり先ほどのタウンミーティングならぬ講演会だとかいろいろあろうかと思いますが、そういった場をどんどんどんどんつくっていかなきゃいけないと思うんですが、地方自治体、これは六団体になろうかと思いますが、そういったところの声を聞く場を具体的にどのように確保されていくおつもりなのか、イメージをお聞かせいただけますか。
  106. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 委員会の具体的な進め方についてはその委員会にゆだねるということになっておりますけれども、いずれにしろ、この地方分権改革というのは、国と地方実情というものをよく分かっている、そのような行政実情に即して調査審議される、当然なってくるわけでありますから、地方団体の皆さんから何回となくそういう意見を聞く会というのは私はあるというふうに思いますし、また、そうした皆さんからの意見を聞かないで分権改革というのはできないと思っています。
  107. 内藤正光

    ○内藤正光君 また、同様に、広く国民や地域住民の要望を聞く場をどのように設定されていくおつもりなのか、改めて確認をさせていただきます。
  108. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) いずれにしろ、委員会の進め方というのは委員というのは、これは同じでありますけれども、冒頭申し上げましたけれども、やはり国民の皆さんの理解がなければこの分権改革というものも進めていくことができないということも事実でありますので、タウンミーティングじゃなくて、そういう、それぞれ地方に出向いてそういう皆さんの、地域住民の皆さんの本音の声というものをやはり受け止めながら進めていく、そういう機会というものも幾度となく私はあるだろうというふうに実は思っています。
  109. 内藤正光

    ○内藤正光君 是非とも、基本的にはこの七人の委員の運営に任せられる、ゆだねられるところが多分にあるんでしょうが、しっかりとここの委員会議論をされた内容、すなわちやっぱり国民の声を広く取り入れて、そして国民一人一人の関心と理解を得るように努めなきゃいけない、そのためにはタウンミーティングのようなものが必要だと、そういうのを積極的にやって、声を拾い上げてくださいよということを、総務大臣としても強く、今後選定されるであろう七人のメンバーにお伝えいただきますようお願いを申し上げます。  さて、この項目、もう一つ確認をさせて、あと二つですか、確認をさせていただきたいんですが、菅大臣の前任者である竹中大臣ですね、幾つか懇談会を立ち上げられたわけですね、地方自治だとか通信と放送等々で。まあそれなりにしっかりやっていらしたとは思っているんですが、ただ、必ずしもその議論が国民だとか我々に受け入れられたかというと、そうでもない。その理由はいろいろあろうかと思うんですが、やはりその議論の閉鎖性にあるんじゃないのかというふうに思います。  それこそオープンにするしないがまさしく恣意的、世論をつくり上げたいときはわざわざテレビまで、インターネットテレビまで入れてオープンにする、それ以外は本当に議事録も出さずに記者会見の要旨を出すだけと。私はやはりこれでは、こういう情報公開の在り方では国民の関心だとか理解を得るにはほど遠いんだろうなというふうに思います。  そこで、その委員会の調査審議に関して、私は積極的に情報公開、努めていくべきだと。でもって国民の関心、理解、あるいは意見、いろいろな様々な意見があろうかと思いますが、そういったものをしっかり受け止めて、また次の議論の糧とする、こういう姿勢が必要なんだと思います。  私は、少なくとも経済財政諮問会議並みの情報公開の在り方が求められるんだろうと思いますが、この情報公開について、この委員会審議のですよ、議事録公開について菅大臣のお考えをお聞かせください。
  110. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 普通の懇談会というのは、それぞれの先生方の了解を取らなければその議事録というのはなかなか公開できないですよね、委員の人たちから、それは反対する先生もいますから。そういう中で、私、竹中大臣の下の懇談会というのは、私も副大臣出席をしていましたので、できる限り、終わった後記者会見、そして要旨の説明等を実は行ってきたところであります。  今度のこの地方分権推進委員会でありますけれども、これについて、やはり国会で議決をして選ばれる人たちでありますから、その透明性を確保するために、私は議事録公開というのは速やかに行うべきだなというふうに私は思っています。さらに、こうした考え方に立って、それはその委員の皆さんが決められるだろうというふうに思いますけれども、私の考え方はそういう考え方であります。
  111. 内藤正光

    ○内藤正光君 速やかというのは、細かいことを聞くようですが、数日内という理解でよろしいんですね。
  112. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まあ、できるだけ早くということだと思います。
  113. 内藤正光

    ○内藤正光君 何度も繰り返すことになりますが、国民に理解、賛同を得るためにも、やはりこの情報公開というのは必須の条件だと思っておりますので、是非ともその姿勢で向こう三年間の審議、臨んでいっていただきたいと思います。  さて、もう一つなんですが、ここに、私の手元に西尾勝さんの本があるんです。さきの分権委員会のメンバーだった方なんです。その表題、「未完の分権改革 霞が関官僚と格闘した一三〇〇日」という本があるわけなんですが、この中、いろいろ書いてあります。回想録というよりもその時々行った講演録というふうに理解していただければ結構かと思うんですが、やはり霞が関からも本当に強い反発があった、本当に強い反発があって、なかなかちょっと申し上げにくいんですが、特にと、こう書いてありますので、ここに書いてあるとおり読みますと、特に農水省、建設省からの抵抗が強かったとあるんです、を筆頭にというふうに書いてあるんですね。議員や業界を巻き込んで様々な圧力があったということを赤裸々に書かれているわけですね。ですから、もうリアルタイムの話ですから、そんなに記憶違いとかそういうことはないと思うんです。  だから、この本からうかがえるのは、また是非大臣も御一読いただければと思うんですが、やはりこの分権改革という大きな事業を成し遂げるためには相当の圧力が、今まで既得権を持っていた人たちからの相当な圧力があるだろうということは覚悟しなきゃいけない。  そこで、先ほどのリーダーシップというところにつながると思うんですが、そういった第一次分権改革での反省を踏まえて、これから始まる分権改革論議、どのように進めようと、いろいろな抵抗があるだろうと、それを跳ね返してしっかりと正しいことを進めていくんだという、その決意を改めて確認をしたいと思います。
  114. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) この改革を進めていく中で、私は、事務局体制というものも極めて重要な役割を果たすというふうに私は思っています。ですから、事務局にどういう人を配置するかということがかなり私はその方向性を決める重要なことかなというふうに思っていますので、事務局長、それ以下の事務局体制、そういう中で、私は、事務局長には例えば地方自治に非常に明るい民間の方をなってもらうとかですね、そういう選択肢があってもいいのかなというふうに私は今までの経験からして考えています。
  115. 内藤正光

    ○内藤正光君 実は、この問題とも絡むと思ってあえて事務局体制はどうなるんですかとか、事務局長としてどういう人を選定なさるんですかという質問は飛ばしたんですが、ちょっと戻りたいと思うんですが、教育再生会議がそうであるように、この場合も事務局長として地方自治に明るい民間の方と、つまり中立的な立場の方を据えていきたいということですが、それを支える事務局体制なんですが、これがまたやはりいろいろな資料とか何かを集める手足になるわけですね。それがある一つの勢力に偏ってしまうと、もう最初から議論の行方が見えてしまうわけなんですが、この事務局体制の構築に当たっては、どのようなことに注意を払われるんでしょうか。
  116. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 全体とすれば、やはり資料も必要ですし、様々な分野の方の事務局に役所から来てもらうというのが私は大事なことだというふうにそれは思っています。  ただ、それが恣意的にならないようにしなきゃならないという観点から、私は事務局長というのは民間の人がいいのかなと考えていまして、その人を補佐する人というのはその人から指名をしてもらってもいいのかなというふうに私は思っています。具体的にはまだ進めていませんけれども、私の考え方というのは大枠そんな思いであります。
  117. 内藤正光

    ○内藤正光君 残りあと五分となりましたので、柱としては六番目ですか、最後の質問に移りたいと思いますが、国と地方役割分担の明確化ということなんですが、地方団体の意識も十年前と比べるとかなり変わってきたなと私は感じております。大臣もそのようにお感じになられているんだと思います。今は積極的にやはり県でできることは県がやるべきだと、基本的な自治体でやれることはそこでやるべきだという意識がかなり高まってきているなというふうに感じております。  そこで、地方団体がつくったいわゆる神野委員会と言ってもいいんでしょうかね、それが先ほど新地方分権構想検討委員会というところで最終報告を出されましたね。その中、いろいろ提言をされているんですが、大きなものの一つに、国と地方の二重行政の解消をすべきだということをうたわれていると。国と地方、分かりやすく言えば、国から地方に派遣されている出先機関地方の仕事とがかなり二重になっている部分がある、それをもうちょっと整理合理化を進めていかなきゃいけないという趣旨指摘でございますが。  そこで、国交副大臣にお尋ねしたいと思っているんですが、例えば、分かりやすいからちょっとこれを取り上げるんですが、最上川を取り上げてみたいと思います。  一級河川、山形を流れる、山形しか流れておりません。しかし、そもそも一級河川というのは、大体定義は、やはり複数、恐らく複数にまたいでいるだろうということもあるし、また、万が一のことがあったら国民に与える影響が甚大だと、だから国が管理すべきだというふうに言っている。そのうちの一つの要素に複数の県をまたいでいるというところもあるんですね。  ところが山形は、山形じゃなくて最上川は、山形一県に閉じている、これも一級河川なんですが。で、ちょっと仄聞するところによると、県の方々からの、これは県でも対応可能じゃないのかとまでおっしゃっているんです。何も国が、地方整備局ですか、今二万二千人いるんですね、全国に、北海道を除いてですね、二万二千人いる。でもかなり、もうこの最上川の例が示すように、結構国の出先機関は何をやっているのかなというところが多分にあるわけです。  そこで、ちょっとお尋ねしたいのは、国の出先機関である地方整備局は、事この最上川に関してはどういう仕事をなされているのか、改めて確認をさしていただきたいと思います。
  118. 渡辺具能

    ○副大臣(渡辺具能君) 我が国は非常に災害に脆弱な国土条件にあるというふうに言われております。そういう中で、安全で安心できる経済諸活動を展開していくためには、河川で言いますと河川管理が重要な国家的課題になっております。国土保全上あるいは国民経済上重要なものにつきましては国が管理することが必要だというふうに考えております。  先ほど例でおっしゃった最上川でございますけれども、確かに最上川はそのほとんどの流域が山形県にあるわけでございますが、正確に言うと一部宮城県にもかかっているんですけど、この議論の本質には関係ないと思いますが、一たび堤防が決壊いたしますと、同じ県内にあるとはいいながら、財政的にあるいは技術的にも国が乗り出さないと復旧できないような、そういう国家的な損失が発生する場合は、その河川が一つの県内を流れていても、そういうものは国が管理する必要があるというふうに考えておりますし、また、水の利用という観点で、水の利用が広域的な場合もやっぱり国が管理する必要があるというふうに考えております。  この最上川については、七千キロに及ぶ広大な面積でありますし、県庁所在地であります山形市や、そのほか酒田市、新庄市など、非常にいったん事があれば壊滅的な被害、大きな被害になると考えられますし、あるいは、幹線もたくさんあります、十三号ですとか四十七号。こういうものが寸断されると大変な被害が及ぶので、一級河川にしております。  したがって、どういう仕事を直轄の事務所がしているかということでございますんで、こういう被害が日ごろ生じないように国として重大な、重要な河川の改修工事をしているわけでございます。
  119. 内藤正光

    ○内藤正光君 時間があと一分しかありませんので、ちょっとこれ以上質疑を続けることはできませんが、ただ、地方団体自らがこれはもう県でできるんだと、複数の県にまたがるときは広域連合で対応できるんだと。やはり国が求められる一番大事な役割は、最後何かあったときの、あれですよ、保険ですよ。原子力災害だってそうですよ。保険は基本的に民間同士でやっている。でも莫大な被害に及んだときは、最後は国が補償するという法律がある。ここが大事なんです。それを二万二千人もの地方整備局員を全国に配してやる意味がどこにあるのか、これはしっかりともう一度考え直していかなきゃいけないと思います。それこそ、何年か前、国交省ができ上がったときに、どういう効果があるのか、そういった地方出先機関が整理統合されると。しかし、そういった効果は全く見られません。  しかし、ちょっとそこで最後、大臣に一つお尋ねしたいんですが、もう時あたかも特会の改革、で、国交関係の五特会、公共事業関連五特会がこれ一つになる方向で今議論が進んでいる。私はこれと併せて、地方分権と言うならば、この辺の二重行政の解消に向けた議論を進めていくべきだと考えますが、最後、大臣の御決意をお伺いして終わりたいと思います。
  120. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 国、地方の二重行政についてでありますけれども、国と地方の適切な役割分担というものが考慮されず様々な弊害がある、私はこれは事実として認めます。今回のこの法案に基づいた推進体制、分権推進法の整備によって国と地方役割というものを明快に分担をして、そして権限、財源、税源というものをやはり地方にゆだねて、地方でできることは地方、住民の皆さんに身近なものは地方でやれる、そんな仕組みを是非つくっていきたい、こう考えております。
  121. 山内俊夫

    委員長山内俊夫君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  122. 山内俊夫

    委員長山内俊夫君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方分権改革推進法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  123. 芝博一

    ○芝博一君 民主党・新緑風会の芝博一でございます。  午前に引き続きまして、私からも持ち時間内で御質問させていただきたい、こう思います。  まず、本題に入ります前に、今、やらせの質問や予算の不適正な執行等々、大変話題になって問題のあるタウンミーティング、でも先ほどは講演会という表現もされましたけれども、私はこの場であえてタウンミーティングと表現をさせていただきますが、このタウンミーティング、御存じのように、二〇〇一年の六月から今日まで、全国で百七十四回、政府内閣府の主管によって開催をされてまいりました。その時折の主要なテーマを決めて開催をされているわけでありますけれども、果たしてこの総務省がかかわる関連の政策をテーマにしたタウンミーティングはこれまで開催をされたのかされていなかったのか、端的にお答えください。
  124. 谷口隆司

    政府参考人谷口隆司君) お答えを申し上げます。  総務省関係のタウンミーティングは開催をされております。開催の概要でございますが、総務大臣、総務副大臣出席されたものが、平成十三年度におきまして十二回、十四年度以降でございますが、これが十五回、合計二十七回開催されているところでございます。  主たるテーマといたしましては、十四年度以降はテーマを立てて開催をいたしておるわけでございますが、地方分権、市町村合併、郵政民営化、国民保護、道州制といった様々なテーマで開催をされているところでございます。参加されました人数は、延べで一万一千七百三十一人となっております。  以上でございます。
  125. 芝博一

    ○芝博一君 今、御報告いただきましたように、延べで二十七回の、総務大臣並びに副大臣出席をするタウンミーティングが開かれた、延べで一万一千七百三十一人の参加があったと、こういうことの御報告をいただきました。これは、今政府の方で調査委員会を開催をされて、いろいろな部分で確認いただいておりますけれども、この人数等々についてはもう最終的な数字と解釈をさせていただいております。  そこで、今、回数と内容、規模等々についてお話をいただきましたけれども、これらの中に、すなわち総務省が関連をする二十七回の開催の中で、質問者のあっせんであったり、参加者の動員、若しくはやらせ質問の有無、また事前の質問取り等々の実態を分かっておりましたらお教えください。
  126. 谷口隆司

    政府参考人谷口隆司君) 御説明を申し上げます。  委員指摘の点でございますが、この点につきましては、タウンミーティングの中でもまず先行いたしまして教育改革のタウンミーティング、これにつきまして、委員がただいま御指摘されましたこの内容を示した発言依頼、あるいは発言内容は自由でございますが、これを依頼する、さらには、いわゆる動員と申しますか、参加者の募集、これにつきまして、まずこの教育改革のタウンミーティングについてその有無の調査が行われたところでございます。  これに続きまして、総務省関連のタウンミーティングを含めましたタウンミーティングすべてにつきまして、現在、これもただいま委員指摘のとおりでございますけれども、タウンミーティング調査委員会において調査をしている最中と、このように承知をいたしております。  この発言の依頼、動員などにつきましては、具体的にどの事例について問題があったかということにつきましては現在調査がなされている最中という状況でございまして、現時点では個別の状況については対外的には示されていないと、このように、恐縮でございますが、承知をいたしております。
  127. 芝博一

    ○芝博一君 今、教育関係についての調査を優先をしている。総務省以外にかかわらず、それ以外の部分についてもまとめて調査委員会で調査をしている。  聞くところによりますと、先日も記者会見で、担当の林官房副長官でしょうか、今会期中の早い時期に提出をして、議論といいましょうか、皆さん方にお示しをするというようなことをお聞きをしたと、こう思うわけでありますけれども、もうあと会期末まで少しもありません。多くの日はありません。そんな中で今まだ対外的に示せるものがないという、これはタウンミーティングを担当された担当室長のお言葉でございますけれども、果たしてそれで会期中にすべてのタウンミーティングの調査が終わって発表できるんでしょうか。その辺を、お聞き及びでございましたらお伝えください。
  128. 谷口隆司

    政府参考人谷口隆司君) お答えを申し上げます。私、今委員が御指摘のとおりでございますが、タウンミーティング担当室長という立場において御答弁を申し上げております。  この調査の経緯を申し上げますと、最初に行われましたこの教育改革タウンミーティング、これにつきましては、緊急に、至急に調べるという事情から、内閣府の下で官房長の指揮を受けまして、タウンミーティング室、私どもがその調査に緊急に当たったわけでございますが、これを終えました後は、いわゆる外部有識者の方の参加を得まして構成いたしますタウンミーティング調査委員会というものが設けられまして、その調査委員会による調査が進められているということでございまして、私どもタウンミーティング担当室は言わばその調査の対象客体というような関係にあるわけでございます。  そのような意味から、現在、この調査につきましてこのような状況にあるというふうに承知をしているというふうに申し上げた次第でございますが、現在も承知をしておりますところを申し上げますと、鋭意精力的に、大至急というような姿勢でこの御調査が進められていると、このように承知をしております。
  129. 芝博一

    ○芝博一君 今の御答弁で私が判じたところによりますと、会期末までに出すのは教育関係に関する調査の報告であって、それ以外に関する部分については鋭意迅速に調査をして出すという解釈でよろしいですか。
  130. 谷口隆司

    政府参考人谷口隆司君) 失礼をいたしました。  至急にいたしました教育改革関係のタウンミーティング、この八件の調査は、取りあえずのものは既に終わっておりまして、それを受けまして、その後、今ほど申し上げました調査委員会の下でいわゆる全数の調査を行うという、その全数の調査が今精力的に急ピッチで進められているという状況でございます。
  131. 芝博一

    ○芝博一君 状況はまず分かりました。  ところで、谷口タウンミーティング担当室長、室長はいつからこのタウンミーティングの担当を始められておりますか。
  132. 谷口隆司

    政府参考人谷口隆司君) お答えを申し上げます。  本職には、昨年の九月に着任をいたして以降、この業務に当たっております。
  133. 芝博一

    ○芝博一君 そうしますと、それ以前の部分については分からないか分かりませんけれども、それ以降も、九月以降もタウンミーティングは担当されたんでしょうか、実施されたのか。
  134. 谷口隆司

    政府参考人谷口隆司君) 実施をいたしておりますし、個々のタウンミーティング、各回のタウンミーティングにつきましても、私それから、私は室長でございますが、室長のほかに次長、参事官、それから補佐以下の職員で室が構成されておるわけでございますけれども、通常五名のチームをもちまして各回のタウンミーティングの運営に当たっておりまして、私もその何分の一かのタウンミーティングの具体の運用、開催の担当をいたしたものでございます。
  135. 芝博一

    ○芝博一君 それでは、百七十四回すべてに携わっていたわけではないということは前提といたしましてお聞きをいたしますけれども、この総務省にかかわる二十七回のタウンミーティング、この部分については当然質問通告もしてありましたからお答えをいただけるんだろうと思いますけれども、その一回の費用、最低と最高、幾らぐらいかという部分、それから、それに対する、一回ごとの参加者から割ると一人当たりの費用が出てきますけれども、端的にお答えください。
  136. 谷口隆司

    政府参考人谷口隆司君) お答えを申し上げます。  参加者一人当たりの費用という点で見まして最も高いもの、それから最も低いものというお尋ねと存じます。  二十七回開催されておるわけでございますが、そのうち、参加者一人当たりの費用につきまして最も高いものは平成十三年六月に熊本県熊本市で開催されましたタウンミーティングでございます。こちらは、開催費用が一千二百六十一万八千一円で、参加者数が、これ平均よりもかなり少のうございまして、平均は四百三十四名のところでございますが、二百六十人ということでございまして、一人当たり費用が四万八千五百三十一円でございます。  一方、最も低いものでございますが、これは平成十五年の六月に大阪府堺市で開催をいたしましたタウンミーティングでございまして、こちらは開催費用が一千百八十七万二千三十七円のところ、参加者が一千二百十五名でございまして、一人当たり費用が九千七百七十一円と、最も一人当たり費用の、二十七回の中では低いタウンミーティングとなっております。
  137. 芝博一

    ○芝博一君 大変大きな開きがありますけど、これは当然参加者数によって変わってくるんだろうと思いますが、しかし、いずれにいたしましても一千万を超える一回の開催の費用が掛かっているわけであります。  そこで、これまで教育特でも問題になりましたあっせん者への、すなわち出席、それから参加、また質問等々を含めた部分で、あっせん者であったり質問者への謝礼等々がこの費用の中に含まれているかどうかと、その認知の件数。  それからもう一つ、これらの費用について、これまでも過剰な人員の配置が言われてきました。あわせて、今また過剰な手当のことも問題になっております。これらの不適切な予算執行について谷口担当室長は把握をして認識をされているのか、お答えください。
  138. 谷口隆司

    政府参考人谷口隆司君) まず、委員指摘の謝礼金の件でございますが、謝礼金につきまして事実関係の調査が先ほど委員からも御指摘、御紹介のありましたタウンミーティング調査委員会において行われているところでございます。  十一月の二十七日のタウンミーティング調査委員会の林委員長からの公表によりますと、その時点における暫定的な調査の報告でございますけれども、この謝金が支払われているもの、これは具体的にはタウンミーティングにおきまして、この地元の、例えば青年会議所の方でありますとかNPOの方とか、そういう地域の有識者の方が発言をされる場合に謝金が支払われていると、こういう性格のものでございますけれども、この謝金の支払われている方は、平成十四年度以降平成十六年度までの間に二十五回、二十五回のタウンミーティングにつきまして六十五人の方に支払われているということで、これ以外には確認はされていないというところでございます。  それから、人員配置、過剰な人員配置がないかどうかとか、あるいは不適切な会計処理という点でございます。こちらの、この問題につきましても、現在、タウンミーティング調査委員会におきまして契約関係の問題の調査、またこの経費に関する議論も行われていると承知をいたしております。  この会場の人員配置を始めといたしますタウンミーティング運営経費の適正執行の問題、適切な会計処理の問題につきましても、このような調査あるいは御議論を踏まえて、的確な評価が下されるものと存じておりまして、現在は、先ほど状況の御報告を申し上げましたように、このような調査、議論の途上の段階にございますので、私ども担当いたしました個別具体の事案の適否につきまして、私ども担当室限りの資料などをもって言及するということは、そのような事情から差し控えたいと存じております。事情を御理解いただければと思っております。
  139. 芝博一

    ○芝博一君 調査委員会が調査を進めていると、それを優先したいというお気持ちは分かるわけでありますけれども、谷口室長は、現在はその担当の、タウンミーティングの責任者、これまでもいろんな形でかかわってきたんじゃなかろうかと、こう推測をしているわけでありますけれども、実際に今報告ありましたあっせん者を募集したりとか、それから質問者をお願いしたりとか、また不適正な、不適切と言われる予算の執行等々について、これまで関係する皆さん方から、すなわち部下といいましょうか、職員の皆さん、役人の皆さんから報告を受けた、そんなことを受けたことがあったかないかも答えられませんか。
  140. 谷口隆司

    政府参考人谷口隆司君) 既に教育改革以外の案件に比べますと、教育改革のタウンミーティングの案件は先行して調査がされておりまして、そこで相当具体的な事実関係が判明をし、既に報告をされているところでございます。  その中から申し上げますと、主管省からこの発言のメモを入手いたしましたんですけれども、これが、ずばり発言をしてくれということではなくて、参考に送付したという、例示のものであったという点を取り違えをいたしまして、そのまま地元都道府県、市町村の方に送付をしてしまったというような形で、この発言内容を示した形の発言依頼が行われたというようなことがございまして、そのようなケースにつきましては、室の業務を掌握する立場にある者としても深く反省をいたしております。
  141. 芝博一

    ○芝博一君 今のお言葉からすると、そういう事実があったと、で、恐らく室長は認識をしていたんだろう、そんな推測を私自身はするわけであります。当然、そこには立場責任的なものが今後問われてくるんではなかろうかとこう思っておりますけれども、そこのところは大いに反省をしてもらわなければならない、こう思っております。  そこで、タウンミーティング、この問題とは別として、今後も続けていくという政府の方針も示されたと思っておりますけれども、今後もタウンミーティングは開催をされる、現時点でのお考えはおありですか。
  142. 谷口隆司

    政府参考人谷口隆司君) お答えを申し上げます。  この点につきましては、国会におきましても、私ども事務当局と申しますよりも総理、官房長官の御答弁が重ねられているところでございますが、国民との対話という極めて有意義なものであって、今回、洗いざらい問題点を摘出をした上で、この新しい対話の方式を確立するというような姿勢で臨んでいくという旨の御答弁がなされておるよう承知いたしております。
  143. 芝博一

    ○芝博一君 今後もタウンミーティングを開催をして国民の声をじかに聞く、それはいいと思うんですけれども、ここまである意味では地に落ちた疑惑だらけのタウンミーティングであります。相当思い切った解明と、そして改革、すなわち取組をしなければ、国民の皆さんの信頼がいただけないだろう、こう思っております。  ましてや、私どもが怒りますのは、政府側には好都合のシナリオどおりの議事進行であるということは、すなわち世論の操作、国民への欺きだろうと、こう思っております。結果、国民の声があるから、あるからといって政策立案を進めてきた、そんな過程もあるわけでありますから、十分に今後のタウンミーティングについては、今御指摘を申しましたところ、私どもが納得いく解明、納得いく処分、責任の取り方を示していただいてから、当然ながら新しい形を展開をしていただきたいと強く要望をしておきたいと、こう思います。  それでは、本来の質問に入らせていただきます。  総理は、その所信表明の中で、道州制の本格的な導入に向けた道州制ビジョンの策定を明言されました。ちょうど今、衆議院でも道州制特区法案が審議をされて、可決をされました。しかし、私ども民主党・新緑風会は、この道州制の特区法案については反対をいたしております。  といいますのも、この道州制特区法案の中には、道州制と銘打ちながら、その定義や理念が明確でない点、さらには国から道に移譲される事業が極めて限定されて困難な点、もう一つは北海道以外の地方に適用することが非常に困難である、憲法の九十五条に定めるその部分に違反するおそれもある、こういう観点から反対をしたわけであります。しかし、第二十八次の地方制度調査会等々が道州制に関する答申を出して、その中でも、市町村と道州の二層制による道州制の導入が適当と、こんな答申も出ておりますし、基本方針二〇〇六においても道州制の検討の促進が明記をされております。  当然ながら、道州制について、そして地方分権については私どもも賛成をする立場でありますけれども、改めてこの道州制について、大臣の見解と今後の取組方針について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  144. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 道州制につきましては、市町村の合併の進展だとか、あるいは都道府県を越える広域的な行政課題、こうしたことを考えたときには、その導入というのは私は極めて重要な問題であるという認識を持っております。  今回の組閣において、道州制の導入に向けた施策を各府省横断して総合的、一体的に進める見地から新たに道州制担当大臣が置かれました。道州制の本格的導入に向けて、国民に分かりやすいイメージを提示するため、幅広い国民議論を行いながら道州制ビジョンを策定をする、そういうことに実はなっています。  私としても、道州制の担当大臣と密接に連携を取りながらこの道州制導入に向けて取り組んでいきたいと、こう考えております。
  145. 芝博一

    ○芝博一君 それでは大臣、改めて、今お答えをいただきました道州制の見解、そして本法案、すなわち地方分権改革推進法案、この関係はどのようになっていくとお考えか、大臣のお考えをお聞かせください。
  146. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私はまず、今回のこの法案、これに基づいて一括法が制定をされると、そこで国から地方に権限、税源、財源が移譲されて、国と地方役割分担をしっかりと明快に分割をすると。そういう中で、地方は独自で物事を決めて、そして責任を取れる体制ができるだろう、このように実は思っていまして、その行き着く先が私は道州制だろうと、このように考えています。
  147. 芝博一

    ○芝博一君 今も大臣の方から、地方分権の行き着く先、すなわち地方分権の究極の姿が道州制である、こんな御答弁をいただきました。その答弁について私も同感でありますし、ここにお見えの先生方もすべてが同じ思いだろうと、こう思っております。  ところが、本法案の第五条を見ますと、そこには国と地方役割分担が定められています。ところがこの内容を見ますと、十一年までに作られた地方分権推進法案と全くと言っていいほどその規定ぶり、中身は一緒であります。  今後、地方分権を進めていく上で、私自身は道州制を見据えた議論がどうしても欠かせないと、こう思っておりますけれども、改めて、本法案の中に、そして五条の中に道州制は想定されているのかいないのか、どちらかでお答えください。
  148. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 想定されていると思います。想定をされているというふうに思います。
  149. 芝博一

    ○芝博一君 それでは大臣、今は本法案の部分をお話を申し上げましたけれども、法案全体、また五条の中に道州制は想定されていると明言をいただきました。じゃなぜ、道州制を想定してとか道州制を見据えて、それに近い文言の部分を含めながら道州制の部分がこの法案に盛り込まれなかった理由についてお聞かせください。
  150. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 本法案は、新たな地方分権改革推進体制の整備などを定めるものであって、地方分権改革推進委員会においては、権限移譲事務の義務付け、枠付け見直しなどが主要な課題となるもの、こういうふうに考えております。これらの事項と関連するものを除き、道州制について直接に調査審議の対象とすることは想定をしていない、そういうことからこの法案について道州制は盛り込むことはしなかったところであります。  本法案は、新たな地方分権改革を三年の期限を限って集中的に改革を進めようとするものであって、こうした地方分権改革の着実な実施が将来の道州制につながっていくと、このように考えています。  併せて言わせていただくならば、道州制というものと議論をすると、この地方分権そのものが整理が非常にあいまいになってしまう、そういう危険性も感じましたから、とにかく今度の法案では地方分権というものを確かなものにして、その先に道州制があると、そういう考え方の方が私は道州制導入につながるだろうと、このように考えています。
  151. 芝博一

    ○芝博一君 地方分権はまず決めて実行する、その先に道州制を見据えたいという大臣の御答弁でありますけれども、私はそうであってはならないと反対に思っているわけであります。  先ほども道州制を想定していると、こう言われました。地方分権の行き着く先、究極の姿が道州制であるならば、それを見据えずして、今からまた御質問いたしますけれども、議論は前に進まないだろうと、こう思っているわけであります。その点について何点か、お聞かせをいただきたいと思います。  例えば、安倍内閣の下では道州制の部分については佐田国務大臣が任命をされて道州制の議論をこれからされようとしています。そして、菅総務大臣の下では地方分権を含めて道州制を想定した形で検討していこうと、こういうことであります。果たして、お二人の大臣役割分担をどのようにしていくのか。私はここに二重行政的な問題が起こってくるんではないかと大変危惧をしておりますし、もう一方は、この問題は道州制担当大臣、この問題については総務大臣、こう細かく区分けをすることによって総合的な道州制の検討推進がなされないんではないかと、こんな危惧をしているわけであります。  お二人の役割分担について明確にお答えください。
  152. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 先生、このように御理解をいただければ有り難いのかなと実は思います。  道州制担当大臣というのは、やはり道州制というのは一定の、十年を超えた先に見えてくるのが私は道州制であるというふうに思いますし、道州制に行き着くまではやはり国民の皆さんから道州制のイメージというものを、国民、ある程度共有する私は必要があるというふうに実は考えています。そうした道州制の形作りを道州制担当大臣が私は行う。そして私は、正に現実的な問題であります地方分権、こうしたものを着実に今回の改革推進法、地方分権改革推進法、このことを成立をさせていただいて、そして三年なり一括法を作って具体的に進めていくと。  そういう形で整理していただければ有り難いというふうに思いますし、私自身もこの道州制に関する検討というのは極めて重要な課題だと思っておりますので、道州制担当大臣と連携を図りながらこうした地方分権改革を進めていきたい、こう考えています。
  153. 芝博一

    ○芝博一君 どうも私よく分からないんでありますが、分けるということについては分かりましたけれども、分ける意味といいましょうか、目的、そして効果の部分についてはよく理解できない。  といいますのも、これからこの法案に基づいて地方分権改革推進委員会が発足をされます。そして議論が開始されることになるわけでありますけれども、大臣、そうしたら、この委員会の中では道州制に立ち入って議論するんですか、それとも道州制に立ち入らずに議論されるんでしょうか、どちらでしょう。
  154. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) この地方分権推進法案というのは、新たな地方分権改革推進体制というものを整備を三年の期限を区切って集中的に行っていこうという改革であります。また、この委員会における審議の進め方というのは、それぞれの改革委員の七人の委員の皆さん、その委員の皆さんが判断をすることでありますけれども、現在の都道府県下の下であるべき国と地方役割、その分担在り方に照らし合わして、権限移譲法令による事務の義務付け、枠付け見直し、そうしたものが私は主要な委員会課題になってくると思います。  道州制につきましては、これらの事項と関連する場合を除いては、私は調査審議の対象となることは想定しにくいと思っております。しかし、委員会において地方分権推進観点から、地方、国、国、地方関係、そして現状や問題点など深く吟味をすることが次のステップとしての道州制の導入議論につながっていくと、このように考えておりますので、私自身は、やはり今度の委員会においては先ほど申し上げました現在の国と地方役割分担、そうしたものが中心になってくるだろうと思います。
  155. 芝博一

    ○芝博一君 国の地方との役割分担を明確化する、これは当然であろうと思うんですけれども、そのための見据えた先、議論の根底として、私はどうしてもやっぱり道州制は議論されるべきだと、こんな思いを持つ一人であります。  そこで、佐田大臣が担当する道州制ビジョンの策定、この方向の中に道州制の区割りや権限までをも提示していきたい、こういうことを言われているわけであります。そうすると、そこの部分を考えずして国と地方役割分担考えられるのかと、根本的な問題に立ち返ってくるわけでありますけれども、私は、やっぱりここは道州制をある程度大きな形でとらえた形の議論が必要でないか、こう思うわけであります。なぜなら、今申し上げましたように、道州制のビジョン、これは道州制担当大臣の下で作られるわけでありますけれども、その協議をするために私的な諮問機関として来年の一月に道州制懇話会を立ち上げると、こうしております。そこで、今申し上げた区割りや権限を示していきたいと、こういう意欲を示しています。  もう一方では、本法案の下に改革推進委員会が立ち上がって、議論を、計画を立てていくわけでありますけれども、この関係はどうなっていくんでしょうか。果たして、私流に考えれば、両者が連携を取り合って分権から道州制の導入に向けた一貫したビジョンがどうしても策定してもらわなければならないと、こう思っているわけでありますけれども、今の菅大臣の御答弁で果たして一貫したビジョンができるんでしょうか、両者で。
  156. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) この道州制に関して、今委員指摘のとおり、ビジョン策定のための私的懇談会が発足される、こういうふうに私も伺っています。  先ほど申し上げましたけれども、道州制というのは十年以上先の話になってくると思いますので、その道州制というのは国民から見てどのような形の、道州制という一定のやはり方向性を示すために、やはりそうした私的懇談会というものが私は発足するだろうと。しかし、現実的には、地方分権というものはこれは進めていかなきゃならない。そういう中で、私どもは早急の課題として今回この法案を出さしていただいて、とにかく国から地方へ権限、税源、財源を移譲すると。そういう形をつくった上で、その道州制ビジョン懇談会ですか、こうしたものとの整合性というのは私、逆に出てくるだろうと、このように考えています。
  157. 芝博一

    ○芝博一君 今大臣は、整合性が出てくるだろうと、こういう発言をされました。しかし、委員会の中で今後計画を策定していく中で、道州制ビジョンの動き、方向性を見据えなければ当然ながら連動はできない、こう思うわけであります。  道州制ビジョンの中では、はっきりと区割りを考えますよ、権限についても考えますよ、具体的に策定をしていくと、こう言われているわけであります。それも、この道州制ビジョンの策定時期、これもある程度平成二十一年度中でないかと言われておりますし、恐らく本法案の下で設置される分権改革推進委員会の策定時期も二十一年度中ではないかと、すなわち似通ってくると、こう言われているわけであります。  どうして今言ったような形で、一貫性といいますか整合性を取っていこうと考えているんでしょうか。片一方では道州制だけを考える、片一方では分権の実施だけを考える、道州制の部分については具体的に踏み込まないと言っている中で、分権から行き着く先の道州制、どんな整合性と一貫性を持って考えられるのか、私はよく分かりません。そこのところ、詳しくといいましょうか、具体的に御説明ください。
  158. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 先ほど来申し上げていますけれども、今回の地方分権改革推進というのは、計画から実施まで三年の時限で、集中的、一体的に行っていくと。  そして一方、この道州制については、道州制担当大臣の下で本格的な導入に向けたビジョンが策定をされる。地方分権を着実に実施をしていく、そして将来の道州制の本格的導入につながる、そういうことを考えるときに、私は、担当大臣と綿密に連携を深める中で、道州制と地方分権、私どもが今進めている地方分権改革推進法案、これと行き着く先の道州制というのは、私はそこで整合性というのは取れると思います。
  159. 芝博一

    ○芝博一君 これ以上議論をしていても余り溝は埋まらないような気もいたしますが。  今も大臣の方から、この本法案は三年間の時限立法であるし、その間には、当然ながら道州制は進まないといいましょうか、道州制は実行されないことも事実でありましょう。しかし、行き着く先の姿を見据えてこれからの地方分権をどうしていくのか、国と地方在り方をどう考えていくのかというのがやっぱり計画の大きな中身になると思うわけでありますから、そこの扱う扱わない、想定する想定しないは別にして、やっぱり現実的にもう立ち返っていただいて、是非とも具体的ないい計画を作っていただきたい、こう思うわけであります。そのためにも、段階的に道州制の導入につながっていけるような、そんな計画を策定いただけますことを心から強く強くまずこれは要望をしていきたい、こう思っております。  続いて、これまでの地方分権の検証の必要性等々についてお聞かせをいただきたいと、こう思います。  これまで、地方分権推進法案は、その目的で、旧地方分権推進法等に基づいて行われた地方分権推進の成果を踏まえ、成果を踏まえ、地方分権改革推進すると、こういうふうに規定されております。ところが、その成果について私は、客観的な見地から十分に検証を行わなければ成果と言えない、こう思っているわけであります。ましてや、その検証と成果、それを確認して、それを踏まえた上で改革を進めなければと、こう思っているわけでありますけれども、これまで地方分権について総務省として検証を行ってきたのでしょうか、行ってないんでしょうか。もし行っていれば、その方法と内容を概略についてお聞かせください。
  160. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 平成十一年に制定をされた地方分権一括法によって機関委任事務制度廃止されて各省庁の包括的な指揮監督権限が廃止されるとともに、国の関与廃止縮小が行われるなど、一定の成果を上げることができたというふうに思っています。  こうした改革の成果を含めて、地方分権の視点からこれから取り組むべき課題について、地方公共団体実情や意向などを把握していくことは大事なことであるというふうに考えています。例えば、二十八次地方制度調査会の場において地方団体から意見を聴取するなどして、必要な個別の課題を整理し、これを踏まえ地方自主性自立性を拡大をしていく、そういう必要性について提言がなされたところであります。  また、新たに設置するこの地方分権改革推進委員会における審議の内容については委員会の判断によるものでありますけれども、国と地方役割分担見直しの中では、平成十一年の地方分権一括法の制定によりなされた措置、その後の状況なども当然その検証の対象になって新しいものがつくられると、このように考えています。
  161. 芝博一

    ○芝博一君 検証の対象になるという形で結ばれましたけれども、今まで端的に総務省として地方分権推進の検証は行ったのか行っていないのか、総務省として。
  162. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 六団体との会合の中でこの分権についての様々な意見聴取は行ってきています。
  163. 芝博一

    ○芝博一君 それは議論の中で意見を聞いたという私は解釈をしております。  私は、この成果というものは今言われましたけれども、例えば地方分権の成果として、国と地方公共団体分担すべき役割の明確化をしてきましたよ、また、機関委任事務の制度の廃止をしましたよ、さらには、国の関与等の抜本的な見直しをしてきましたよ、こういうことが成果として述べられているわけであります。しかし、これらというのは地方分権一括法が成立をしたという成果にすぎず、大事なことは、制度が変わったことにより国と地方関係が具体的にどのような変化があったのか、このことが十分に検証されなければならない、こう思っているわけであります。  そこで、この制度の成果を十分に検証して、それが地方のためになったのかということを確認できて初めて成果と言えると私自身は考えているわけでありますけれども、今の大臣の御答弁によりますと、地方団体からの意見聴取をしたと、これが検証とは私は考えておりません。是非この検証について、今後大臣として取り組んでいくおつもりがあるやないや、この一点と、もう一点は、今までの政府の対応を見ていますと制度改正をもって成果とする、こういう表現を多々使われておりますが、そこには今言ったように検証のない成果であります。ここの部分についての認識、私は大変甘いと思っておりますが、御所見があればお聞かせください。
  164. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 地方分権を進めていく上で、その制度改正を行った後にその実施状況などについて適正にフォローアップしていくことは極めて大事なことであるというふうに思っております。引き続き、これまでの制度の見直しなどについて地方実情や意向などを十分に把握していく必要があるというふうに思います。今委員から御指摘もありましたけれども、地方分権推進をして、真にこの地方自立責任を確立するためにはそうした検証、地方意見を聞きながら改革をしていくという、こうしたことが極めて大事なことであるというふうに思っていますし、これからも努めていきたいと思います。
  165. 芝博一

    ○芝博一君 大事なことということは分かりました。検証をされるおつもり、今後を含めて、ありやなしや、その辺はいかがでしょうか。  もう一点、そのお答えいただく前に具体的にお伝えいたします。  例えば、地方分権改革の一環として三位一体の改革が行われました。総務省三位一体改革の成果という資料を出しているんですね。三位一体の改革の成果。その中には、平成十六年から十八年までの三か年で約四・七兆円の国庫補助金の改革を実施したとか、約三兆円の税源を移譲する成果があったと、こういうふうに表記されております。これは私は、四・七兆円とか三兆円というのは数字が成果ではなく、大事なことはこれらのことによって国と地方が具体的にどう変わったか、どう変わるのか、そこが大切だと考えています。だから検証してその成果を確認してくださいとこだわっているわけでありますけれども、改めてこの三位一体改革地方分権についての検証するお考えはありやなしや、具体的にお聞かせいただけませんか。
  166. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 三位一体改革につきましては、いろんな意見があることは私も承知をしております。  三兆円の国から地方への税源移譲による自主財源の強化や、国庫補助負担金改革によって地方自由度が大きく拡大をし、改革全体として地方分権の進展に資したものであることは私は間違いないというふうに思います。また、地方団体からも大きな前進である、そういう評価もいただいております。しかし、このことが必ずしも地方側が満足しているかといえばそうでないということも私、承知をしています。ですから、今回の地方分権改革推進法というのは更に国と地方役割分担というものを明確にして、国から地方へ権限と財源と税源を移譲させる、そうしたものを明確にしっかりと行うための法案でありますので、そうしたことも御理解をいただきたいと思います。
  167. 芝博一

    ○芝博一君 権限と財源を移譲させると、それは十分分かっているわけであります。大事なことは、それは成果、すなわちイコール成果とするんではなしに、それによってどう国と地方が、特に地方がどう変わったか、良くなったかということの検証を自ら行った側がすることが大事だろうと、私はその点を主張したいわけであります。これまで地方分権三位一体改革に対する総務省若しくは政府の検証は行われていないと私自身は認識をしております。  そこで、具体的に提案もさせていただきたいわけでありますけれども、今後、地方分権改革推進委員会を設置して議論をされるわけでありますけれども、委員会を設置するその前にこれまでの地方分権について客観的な見地から検証を行うため、国と地方から成る検証チームのようなものを設けるべきではないか。それは広く地方公共団体の声を聞き、国、地方両面からの検証を行って、その検証の結果を国民に公表し、そして評価を含めて総合的なコンセンサスを得た上で委員会にそれを諮って反映をさせていく。このことが今総務省に、そして今のこのときに求められているんではないかと考えておりますけれども、菅大臣の御決意なりお考えをお聞かせください。
  168. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 地方分権を進めていく上で制度改正を行った後に、委員指摘のとおりその実態について適正なフォローアップをしていくというのは、これは大事なことであると、意味、意義もあることだというふうに思っています。これまでも地方実情、意向などの把握に努め、これを参考にしながら必要な制度の見直しに取り組んできました。今回、この地方分権改革推進委員会の発足に先立って、あえて特別な検証チームを設置することは想定しておりませんけれども、地方実情、意向などを十分把握をしてこの地方分権改革に取り組んでいきたいと考えています。
  169. 芝博一

    ○芝博一君 具体的に検証チーム等々の設置は考えていないと、こういうふうに御理解をさせていただきました。  しかし、今大臣はこれまで以上に地方の声、団体の声、地域の声を反映をする、聞く姿勢を持って取り組んでいきたい、こうしっかりとお述べをいただきました。そのことに絡めてまた後ほど関連して質問もさせていただきたいと、こう思います。  あわせて、権限の移譲の項目について御質問させていただきたいと、こう思います。  今回の地方分権推進法案、本法案には地方公共団体への権限の移譲の推進が主な課題となっております。そして、その前提となっているのが今申し上げました国と地方の果たすべき役割であります。これはこの法案にも、国は、国際社会における国家として云々と、はっきりと詳しく記されております。  ところが大臣、この国の姿、国のあるべき姿は、平成七年の地方分権推進法の国の役割と全く同じ表現、内容であります。全く同じなんです。もう既にそれから十一年。国は、政府は率先して分権改革を進めてきたと今も言われました。私は、十一年たった今、改めて分権改革推進法を制定するなら、分権改革が進んでいるとするなら、より具体的な国の役割を明確にこの法案の中で規定すべきではなかったのか、こんな思いをしているわけでありますけれども、大臣の御見解をお聞かせください。
  170. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 当時と今日を比較をすれば、国と地方関係というのは私はやっぱり大きく変わっているというふうに思っています。  ただ、今指摘ありましたけど、同じじゃないかなという話でありますけれども、平成十一年の地方分権一括法によって地方自治法第一条の二第二項に国と地方役割分担の一般原則というものが規定されております。この規定は国が担うべき役割の類型を例示をして、国はこれらの役割を重点的に担うべきという方向性を示し、それ以外のものはできるだけ地方公共団体役割とすることを基本としております。新たなこの地方分権改革においては、このような一般原則というものを更に一歩進めて、個別法令による国と地方役割分担について一層徹底する観点からも見直しを行うというものでありました。地方分権改革においてもそうした観点から具体的な議論がされると、このように考えております。
  171. 芝博一

    ○芝博一君 私には、十一年たっても国の姿の、そして国の役割が同じ表現だということには余り感心をいたしません。是非大臣、これから委員会の中で国の形が、役割が大いに議論されるんだろうと思いますけれども、この法案を今さら変えろということも無理があるということは重々承知をしております。委員会の中でより地方分権が進んだ今の現状をしっかりととらえていただきまして、国の役割、国の姿はどうあるべきかということをその計画の中で表現していただく、そんなことも是非にも御要望をさせていただきたい、こう思います。  次に、今申し上げましたように、地方分権、これはもうこれからの地方にとって、国にとっても欠かせない問題でありますけれども、その中の権限移譲、これは私は余り進んでいないと断じざるを得ません。  また、実際に権限が移譲されたとしても、それが自治体それぞれの重荷になっているなど、様々な弊害が出ていることも仄聞をしております。例えば、県から市町村への移譲の例でありますけれども、ある県としておきます、権限移譲事務が候補として百七提示をされました。ところが、市町村は、十市町村が十九の事務を受けますよ、移譲してほしい、こういう申出しかありませんでした。十九の申出しかなかったわけでありますけれども、実際この四月から本当に実行されたのは、移譲されたのはわずかに九件であったと。こういう例が全国多々、津々浦々に見受けられるわけであります。  そこで、なぜこのように移譲が進まないのか、これは理由は明白であります。市町村側には人的にも財政的にも新たな事務を行う余裕がない、これが一点。もう一点は、市町村が本当に移譲してほしいと思う権限が移譲されてこない。大きくはこの二点だろうと、こう思っております。だから、魅力の乏しいような事務を市町村に下ろそうとするから移譲は単なる重荷になって進まない、これが現状であると認識をしております。これは、県と市町村のみならず国と都道府県においても同じことが言えると、こう思っております。  この移譲する側と移譲される側の意識のずれ、政府として、大臣としてどのように御認識をされているでしょうか、お聞かせください。
  172. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私も、県と市町村関係と国と県の関係も、今委員指摘されましたように、やはりそれぞれ同じような問題を抱えているということは日ごろ認識をいたしております。  地方分権推進に当たっては、地方にできることは地方にという、そうした理念の下に、国の関与廃止縮小するとともに、地域における行政、特に身近なものについては市町村責任を持って行うという、そうした仕組みを是非つくっていかなきゃならないというふうに思います。  本法案の五条においては、国は行政の各分野において地方公共団体との間で適切に役割分担をすることになるよう地方公共団体への権限の移譲を推進をすることといたしております。また、第六条においては、国は地方公共団体事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう財政上の措置について検討を行うものとしております。  いずれにしろ、こうしたことから、何としても国と地方権限移譲、そしてそれに伴っての税源移譲、そうしたものを確立させることによって地方が魅力ある地方をつくることができる、こう考えています。
  173. 芝博一

    ○芝博一君 私は、改めて権限移譲は進めてもらわなければ困ると、こう思っているわけでありますけれども、この権限の移譲についても私はより検証の必要性を感じております。先ほど、地方分権全体、そして三位一体改革の検証等々について触れさせていただきましたけれども、特に権限移譲後のフォローアップ、検証の必要性を感じております。すなわち、移譲された項目が地方にとって良かったのかどうか、この検証が必要でしょうし、そのことを広く公表する、そして国と地方が同じ共通の認識を持って権限移譲に取り組めるようにする、これがこの権限移譲を進める大きなポイントだろうと、こう思っております。  改めて、権限移譲しますよ、しますよだけじゃなしに、地方とともにこの権限移譲の検証を改めてするという、このことについてのお考えもお聞かせください。
  174. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今回の地方分権改革において、権限移譲などについて具体的な措置をとった後は当然フォローアップをしていくことは極めて重要なことであるというふうに思いますし、この地方分権改革推進委員会においてもこれまでの地方分権改革による措置の実施状況などからも考慮をしながら審議を進めていってくれると、こう考えておりますし、当然、この委員会のメンバーの中には地方のことをよく分かってくれた人が入るわけでありますから、そうしたことも含めてそうした方向性を打ち出してくれるものと期待をしております。  いずれにしろ、分権改革による措置そのもの、フォローアップのやり方についても当然これ委員会の中で検討していきたいと、そういうふうな課題になると思います。
  175. 芝博一

    ○芝博一君 是非、検証があってその成果が確認できるということをどうぞひとつ肝に銘じていただきまして今後の計画の策定に進んでいただきたいと、こう思います。  そこで、先ほども議論されましたけれども、国と地方の協議の場、このことについて少しお尋ねをしたいと、こう思います。  平成十八年の六月の七日、地方団体地方分権推進に関する意見書を提出されました。そのことは御存じだろうと思っております。その中で、地方団体地方財政会議の設置を要望しております。これは、国と地方の協議の場として設置をして、政府地方の代表者等が協議を行い、地方意見政府政策立案並びに執行に反映させる、そのことを目的として要望されているわけであります。  ところが、平成十八年の七月の二十一日付けで政府の回答書が出ております。しかし、残念ながら、地方団体が要望している地方財政会議については何ら一言も触れられていません、この回答書では。ということは、この地方財政会議を設置しないということでしょうか。私は大変不誠実な態度だと考えています。その設置しないとする理由がありましたら、お聞かせください。
  176. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 去る七月二十一日に、政府として、今後、地方分権推進に当たっては適時必要な機会を設けて地方意見を交換していく、こうした回答を本年六月に地方団体から出された意見書に対して行っております。  この六団体から提案のあった地方財政会議の取扱いでありますけれども、国の政策決定プロセスについて地方がどのような形で関与できるのか、するのか、そうしたことを多角的方面から是非検討させていただきたいというふうに思っています。  いずれにしろ、地方分権推進するに当たっては地方の皆さんの意見なくして分権はできないわけでありますから、緊密に連携を取って行っていきたいと思います。
  177. 芝博一

    ○芝博一君 連携を取るということと、あえて地方団体が具体的に求めている国と地方の協議の場、すなわち地方財政会議、これを設置してほしいと具体的に言っているわけですよ。この会議、設置するのかしないのか、最後にお答えください。
  178. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 国と国の政策決定地方がどういう形で関与するかということは、やはり極めて重要な問題でありますので、様々な角度から検討をしていきたいと思います。
  179. 芝博一

    ○芝博一君 聞けば聞くほど混迷をしておるわけでありますけれども、具体的に私は聞いているわけであります。地方団体地域の声も、そして行政の声も聞きたいと大臣は言っている。地方は行財政会議を設置してくださいと具体的に提案をしているんですよ。受ければ、両者で具体的に協議をして声を聞く、声を伝える、いろんな部分に使われるわけでありますけれども、何でこれが設置できないのか。やっていくと言いながら、設置できないその理由は何なのでしょう。最後にお聞かせください。
  180. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 要は、この国の先ほど申し上げました政策決定のプロセスに地方がどういう形で関与するかというのはやはり簡単な問題では私ないと思います。様々な方面、多角的な面から検討する必要がある問題だと思います。  ただ、私どもは、今まで地方団体の皆さんからは、例えば知事会あるいは市町村長会、私も実は今年就任してからそれぞれ三回ほどお会いをさしていただいていますし、地方とは連携を取りながら進めていきたい。
  181. 芝博一

    ○芝博一君 最後に、長々と申し上げましたけれども、大臣、最後に、国の視点からの地方分権であったり改革は必ずしも地方にとって良い分権改革とならない、そのことをお伝えして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。     ─────────────
  182. 山内俊夫

    委員長山内俊夫君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお図りをいたします。  地方分権改革推進法案審査のため、本日の委員会総務大臣官房長荒木慶司君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 山内俊夫

    委員長山内俊夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  184. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。質問をさせていただきます。  今度の地方分権改革というのは、以前の機関委任事務制度廃止するなどの一括法の制定を一次といたしますと、去年、おととしの三位一体が第二次と。で、今度は三回目の改革になります。先ほどから議論されていますように、一次、二次のときの改革でも相当中央官庁を始めとして激しい抵抗があったと。で、今度のは三度目でございますけれども、地方と国の役割見直し、それから規制緩和、財源問題、言ってみれば最後に残された一番難しい問題がたくさんやってくるんだろうというふうに思っております。  言葉では見直しと言いますけど、具体的なテーマになると大変難しい問題が一杯ある。例えば、医療、介護、それから生活保護という社会保障も大変だろうというのはもう容易にこれは想像できますし、教育の分野でも、文科省だけではなくて中教審、それから今度教育再生会議ができましたから、こことの対立も予想されたりして、大変ではなかろうかと思います。  それで、さきの衆議院総務委員会で、安倍総理はこのようにおっしゃいました。日本の未来のために、地方活性化のために、地方分権を力強く進めていかなければならない、そのためのリーダーシップを発揮していくと決意を表明されたわけでありますけど、最初に菅総務大臣の御決意をお聞きしたいなというふうに思っています。  それから、具体的なテーマ、方向性についてはこれから委員会で行われるんでしょうけれども、もっとほかに、個人としてこういう行政分野から見直しを進めたいということがありましたら、併せてお聞かせをください。
  185. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 極めてこの地方分権が厳しい道のりであるということは今委員指摘したとおりであると私も思っております。しかし、現在のこの中央集権体制から地方活力のある地方を変えるためには、この改革というのはどうしてもやり遂げにゃならない改革であるというふうに思っています。  そういう意味合いにおいて、安倍総理も今度の臨時国会にこの法案提出をする決断をしたと。そして、所信表明演説の中でも、地方活力なくして国の活力なし。こうした分権を推進するには、やはり私は内閣総理大臣がその最高本部長として、内閣を挙げてこの改革を取り組まなければ進まない改革である、私はこう思っておりますし、総理もそうした強い決意の下で先般の衆議院総務委員会でその改革の決意を述べたと、このように理解をしています。
  186. 澤雄二

    ○澤雄二君 それでは次に、総務省が直接所管をされています国と地方役割分担についてお伺いをいたします。  国が地方出先機関をつくって行っている地域事務というのがございます。地域行政事務というのがございます。つまり、地方出先機関地方支分部局とこの自治体がやっている仕事、実は重なっているところが随分あるんではなかろうかというふうに言われています。若しくは、自治体に任せる仕事がたくさんあるんじゃないかというふうにも言われています。  総務省行政管理局を持っていて、国の人員だとか組織というものを直接所管をしております。ですから、今度の地方分権でいえば総務大臣に最も期待されている分野の一つではないかと思うんですが、具体的な取組についてお考えをお聞かせください。
  187. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 国と地方役割分担については、本法案の第五条のとおり、国は国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政については地方自治体が行うと、これは明快である、このことをやはり基本とすべきだというふうに私は思います。  地方支分局は様々な業務を行っておりますが、本年六月三十日に閣議決定をされた国の行政機関の定員の純減について、特に地方支分部局の業務について見直しを徹底をし、重点的に定員合理化を図ることや、今後の事務事業見直しや定員の純減の進展等に併せて地方支分部局の統廃合や合理化を推進することが決定をされております。  総務省としては、これらの方針や地方分権改革に関する議論の動向を踏まえ、事務事業を国が直接行う必要性を見極め、抜本的見直しを行い、地方分権推進を図るとともに、簡素で効率的な筋肉質の政府の実現を目指してまいりたい、こう思います。
  188. 澤雄二

    ○澤雄二君 次に、少し続けて、地方分権自治体責任についてお伺いをしたいというふうに思います。  地方分権を強力に進めるということは、各々の自治体が、当然でありますが国民の期待にこたえるということ、課せられた行政責任を完璧に果たすという責任が伴うのは当然のことでございます。先ほども議論されていましたが、そういう責任が伴うのでありますが、その意味において最近の地方自治体の不祥事というのは誠に残念であります。分権推進の障害にならないかと腹立たしくもなるわけでございます。  そこで、官製談合なんかあってはならないということで、全国知事会でもプロジェクトチームをつくって、まあ自浄作業を始めたということですが、国としても、総務省においても国土交通省としっかり連携して、公共事業の入札改善に積極的に取り組んでいく必要があると思います。具体的なお考えをお聞かせください。
  189. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) 今後の公共事業の入札改善の取組についてのお尋ねがございました。  直近では先月七日付けの通知におきまして、各地方公共団体に対し公共工事の入札、契約について事務手続のより一層の透明性、公明性の確保のための必要な改善をもろもろ要請したところでございます。総務省はまた、これまでも公正な競争を促進するなどのため、地方公共団体に対し一般競争入札、それから総合評価方式導入拡大、それから電子入札の導入など、入札・契約手続の適正化を図る取組の促進について要請を行ってきたところでございます。  他方、今委員指摘のとおり、全国知事会においても、むしろ自らのガバナンスの問題ということで、公共調達刷新を図るためのプロジェクトチームを設置し発足させられたところでございますが、今後ということにつきましては、これはもう大臣が先ほど御答弁いただいたところでございますが、私どももむしろ国土交通省と連携を取りながら、一層その公共工事にかかわる入札談合を排除する、そのための方策を改めて検討する必要があると思っておりまして、その検討ができ次第また地方公共団体に対して所要の措置を講じてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  190. 澤雄二

    ○澤雄二君 これ以上続くようでありますと、正に分権推進の障害に私はなっていくと思います。世論が今度敵になっていくと思いますので、どうかしっかり実を上げる対策をやっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  関連でございますが、この談合事件の背景には強大な権限を首長が握っているということがあるのはもう当然でございます。総務省はこのたび首長の多選問題に関する研究会を立ち上げられて、先週だったと思いますが、初会合を開いていらっしゃいます。この多選問題のどこを中心に議論、研究されるのか、教えてください。
  191. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 委員指摘のとおり、この首長の多選問題に関する研究会、十二月一日に第一回の会合が行われました。冒頭、大臣の方からこの研究会でお願いする基本的な考え方につきまして要請が行われました後に、その調査研究事項が決められております。  一つは、憲法上の論点はどういうような点があるのか。そして、この憲法上の論点との関係ですけれども、そういうもろもろの論点との関係で、多選の制限はどういう内容でも憲法上許されないのか。あるいは、逆にどういう内容であってもそういう憲法上の問題はなくて、挙げて立法政策の問題だというふうに言えるのか、それとも内容によっては憲法上の問題が生ずることはあるのではないか、それはどういう場合なのかということ、それから、それとの関連で多選を制限する必要性、合理性ということはどういうふうに考えるのか、また、憲法上、これが許されるとした場合にはその制限する手法というものにはどういうものがあるのか、こういうことについて調査審議していこうということになっております。
  192. 澤雄二

    ○澤雄二君 今、御答弁をいただいたつまり多選の制限と憲法という問題については、実はこれは平成十一年にも総務省は調査研究会を開かれて報告をもらっていますよね。今回改めて同じことをお尋ねになるというのはどういうことでしょうか。
  193. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 御指摘のとおり、平成十一年にもこの調査研究会の報告が出されておりますが、この研究会の報告は、多選を禁止すべきだという立場、それからこれに反対する立場、それぞれ一体どういう論拠でそういうような考え方になるのかということを対比をさせてまず論じております。そして、その上で、仮に憲法上許容されるとするならば一体どういうような方法があるのかということを並列的に整理をした、そういうような報告書の内容になっておりますが、今回は、先ほど申し上げましたとおりの論点につきましてできるだけ明確に整理をするようにと、こういう大臣の御指示で、先ほど申し上げましたような調査研究事項がまとめられているということでございます。
  194. 澤雄二

    ○澤雄二君 前回の場合には問題の列挙、並列的に問題点を列挙されたと。明確にと言われましたけれども、その明確にというのは、言ってみればある種方向性をきちっと出してほしいというふうに理解をいたしますと、今回の場合には、ある種多選制限と憲法についての方向性をということをお尋ねになられたというのは、大臣の御決意、意欲というもの、並々ならぬものがあるというふうに推察をいたしますけれども、大臣の御所見をお願いいたします。
  195. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私は、今回この岐阜県の裏金問題、あるいは福島県の不祥事、都道府県の長の不祥事が続出をしていると。そういう中で、かねてからこの多選問題というのが国会内でも議論されていました。そして、それぞれの政党、自民党も公明党も民主党さんも首長の多選についてはそれぞれ三選の方向性を実は出してきております。そうしたものを世論の高まりの中で、やはり国としてもしっかりとした私は方向性を示す、そういう必要性がもう迫られてきているのかなという私自身判断をいたしました。  そういう中で、先ほど選挙部長が説明をしましたけれども、従来の多選と憲法との問題、これはどうなのか。制限を年齢でなくて期数で制限をするとすれば、それは何期までが可能なのか。あるいは、その期数制限というものを都道府県知事だけでいいのか、市町村長まで及ぼすのか。そうした国民の皆さんが一番関心を持っていると思われるそうした点について、日本を代表する憲法学者だとか行政学の専門家だとか、そうした先生方にお願いをして方向性を出してもらう、そう思いまして、この研究会を立ち上げさせていただきました。
  196. 澤雄二

    ○澤雄二君 大臣が言われましたように、公明党としましても多選を抑制する方向で今議論を進めております。多選を禁止すれば、先ほど言った不正、官製談合がなくなるとは思いませんけれども、大事な要素には間違いなくなっていくんだと思います。報告が得られましたら、速やかに次の手を打っていただくようお願いを申し上げたいというふうに思います。  それから、続いて関連の質問をさせていただきますけれども、先ほども言いましたけれども、国から権限、税源を移譲させてもらうということは、自治体行政責任を完璧に果たすということでありますが、そこで問題になるのが地方の人材の確保であります。  十一月四日付けの朝日新聞に地方分権に関する世論調査の結果が載っていました。それによりますと、地方分権についてはもちろん六六%が賛成をしています。この世論調査の中に少し気になる数字がございました。それは分権が進んだ場合、自分の住む市区町村に企画や運営の力があるかどうか、あると思う二七%、あるとは思わない五四%に上っています。つまり、権限の移譲によって自治体行政サービスの範囲は広げてほしい、そうは思っていても、本当に自分のところの市区町村にそんなことをやれる力があるのかなというふうに疑問に思っている、それが国民の声だというのが、まあこれは朝日新聞の世論調査でありますが、そう言っているんであります。  それで、地方に移すのは仕事とお金だけではなくて、権限の移譲によって仕事がなくなった中央官僚も含むべきだと、そういう意見もあるということでございます、という意見もあります。権限、財源、人材の三位一体移譲論を言う人もあります。地方分権に伴って地方自治体の人材育成確保というのは非常に重要な問題になってくると思いますけど、大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  197. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 地方分権が進展をして住民の行政に対するニーズの複雑化等に伴って地方公共団体の果たす役割責任というのは極めて重要になってくるというふうに思っています。そういう面においては、地方公共団体に優秀な人材の育成確保というのは極めて大事なことだというふうに考えます。  地方公共団体における優秀な人材の育成確保に当たって、それぞれの地方公共団体においてしっかりとした戦略を持って、自主的、積極的に対応をしてほしいなというふうに思います。それぞれの地方公共団体と国の人材等の活用の問題、しかしこれについては国から、地方団体のそれぞれの事情がありますから、国からどうこうを言うことは避けたいと考えています。
  198. 澤雄二

    ○澤雄二君 これから道州制についても議論が進められるんだろうと思います。そういうふうにどんどん行政の範囲が広がったり、権限、税源が移譲されると、人材の確保ということが本当に重要な問題になってまいります。中央の人を地方に派遣するというのは、地方団体でも、いや、そんなものは来てもらったら困るという意見もあるかもしれませんが、いずれにしても、その人材の確保ということでは、国の仕事が少なくなることは間違いありませんので、どこかで何かそういう中央の優秀な人材を活用するということは頭に置いていただきたいなというふうに思います。  引き続き、その人材確保に関連してお伺いいたしますけれども、私ごとで恐縮でございますが、私は東京都の多摩市というところに住んでいます、多摩ニュータウンでございますけれども。  自治体情報システムという格付の機関がございます。これは毎年一回いろんな自治体行政サービスについて格付をしていて、日経BPというところに載せております。それによりますと、二〇〇五年の多摩市は市民の市政への参加度というのは全国七百十八市町村の中で全国一位になりました。そのほかいろんな格付、多摩市挙がったんでございますが、まあ今日はそれは話しませんが、例えば多摩市自治基本条例というようなものを制定して、市民、議会、市長の役割というのを実に明確にさせたとか、いろんなことを多摩市はやっています。  その中の一つにこういう試みもしています。それは市場化テストならぬ協働化テストということをやっています。協力の協に働くということであります。ともに働く協働化ということであります。自治体にとって市民というのはカスタマー、またオーナーでもあるけれども、多摩市は同時にパートナーでもあるという考えに基づいています。自分たちの町は自分たちが働いてつくるという町づくりの主体者の意識を持ってもらおうという試みであります。防犯とか介護とか清掃とか文化、芸術、スポーツ、様々な事業にNPOとか自治体とかスポーツクラブとかいろんな団体が参加をして一緒に町づくりをやっています。これはある種、要するに市民の優秀な人材をいろんな形で自治体が使うという、人材確保方法でもあると思う、意識の向上だけではなくて、あるとも思います。こういう協働化テストのような試みに対して大臣の御所見をお伺いをしたい。
  199. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 全国一位という評価を受けているんですから、それは本当にすばらしいことだというふうに思います。地方公共団体において、国、地方を通じた厳しい財政状況なども踏まえて自らの役割見直し、公共サービスの提供に当たっては、地域の住民団体やNPOや企業等の多様な主体が参画をする多元的なスキームを整えていくということは極めて大事なことであるというふうに思います。地域においても、NPO活動の活発化など、公共サービスの提供を住民自らが担うという意識も広がりつつあります。  総務省としては、地方分権が進み、権限がより住民に身近な地方公共団体に移譲される中において、今御指摘をいただきました多摩市の事例のように市民との協働による町づくりが進められていることは極めて重要であるというふうに考えております。各団体の先進的な取組を把握し、広く周知するなど、その積極的な推進を図ってまいりたいと思いますし、私自身が頑張る地方応援プログラムというのを策定をした、そうしたねらいも実はそうしたところにあるわけでありまして、例えばこの間六つの市町村長の皆さんとも話合いをしました。コウノトリで有名な豊岡市ですか、あのコウノトリを復活させるまでの様々なそうしたNPO、住民の皆さんの協力の仕方、そしてそのことを成し遂げたことによって交流人口が増えたとか、あるいはコウノトリが生息をするんだからその水は農薬、有害じゃないと、そういう中で酒を造っているとか、いろんな産業にもつながっていくという。  そういう意味で、やはり自分の住んでいる地方自治体を住民の皆さんがより良き方向に行うことができるように、そうした権限とか財源とか税源とかをゆだねるのが今回の私は地方分権改革推進法であるというふうに思っていますし、そこに行き着くまでの間でも、私ども総務省として、そうした地域の取り組む姿勢というものをこれは様々な形でも支援をしていきたいと、こう考えています。
  200. 澤雄二

    ○澤雄二君 そこで一つ、要請というかお願いがございます。  この事業に対する予算執行というのは、地方自治法によって実質的に委託又は補助という費目に限定をされています。委託ですと、発注者と請負者といういわゆる上下関係ができます。補助金だと正に補助をしてやるという意識でございます。  現場では、あくまでもその協働化というのは対等の立場で仕事をしたいんだという意識があって、例えば、対等で業務を進められるようにということを考えれば、協働事業費というような科目、費目をつくることはできないだろうかということを言っているんですが、どうでしょうか。検討の余地はありますか。
  201. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 運動を行っている団体の皆さんからすれば、その思いというのは私もよく分かる、そういう気がいたします。  しかし、現実的な問題として、新たな予算科目を設置するということは全国に及ぶことでありますので、非常に難しい点もあろうかと思いますけれども、そうした思いを何とか私も実現できないのかなと、今実はお話を伺っていて思っておりますので、検討させていただきたいと思います。
  202. 澤雄二

    ○澤雄二君 誠にありがとうございます。  それでは、次に質問に移らさせていただきます。これは新型交付税について質問をさせていただきます。  二十一世紀ビジョン懇談会の議論とか骨太の方針を受けて、今総務省では地方交付税算定を抜本的に簡素化されている、これは皆さん御存じのとおりであります。十九年度から人口面積を基本にして算定するという新型交付税導入されるということで、今作業を進められています。この新型交付税について伺います。  地方団体からすれば、今算定項目九十以上、九十五でございますか、とても複雑でよく分からないというのが簡素化されるのはまず賛成だろうと。しかし、地方交付税というのは自分たちの命ですから、この改正でどういう基準になるのか、自分たちの配分がどうなるかというのは、もう言うまでもありませんが最大の関心事に間違いなく今なっており、心配事の最大のものでもございます。  そこで伺いますが、新型交付税人口面積の割合を基本とすることになっている。人口の多い地方団体人口を重視して、面積が広い団体面積の割合を多くというのは当たり前でありますけれども、最近総務省の具体的な制度設計の試案というのが出されています。これによると、地方団体に示されているわけですけれども、都道府県では人口算定する財政需要面積算定する財政需要、つまり人口面積の割合を三対一程度となっている。これに対して、市町村では十対一程度となっていると。この十対一でよろしいかどうかという確認もそうでありますが、そして、この都道府県と市町村の割合がこれだけ大きく異なるという理由についてお聞かせをお願いしたい。
  203. 岡本保

    政府参考人岡本保君) 新型交付税導入に当たりましては、基本的な考え方といたしまして、国の基準付けがない、あるいは弱い行政分野から入れるということ、それから、地方団体現実財政運営支障が生じないように変動額最小限にとどめるという考え方でやっております。具体的には、都道府県、市町村ともに投資的経費を中心に新型交付税算定しようということで、今制度設計に取り組んでいるところでございます。  この場合、既存の投資的経費で交付税の基準財政需要額算定している項目を、人口と相関が高いようなものと面積に相関が高いようなものに分けてまいりますと、先ほど委員がおっしゃいましたように、都道府県でございますと三対一程度、市町村でございますと十対一程度となるというのが今申し上げました基本的なその設計の思想と現実とを合わせたことになるわけでございます。  では、なぜそうなるかということでございますが、都道府県につきましては、都道府県がやっております投資的事業というのを思い浮かべていただきますと、治山でございますとか治水でございますとか、あるいは土地改良でありますとか、いわゆる面積に応じてやっているような事業が相対的には非常に高いということはございます。一方、市町村の場合は、小中学校の建設でありますとかごみ処理場の建設でありますとか、そういう人口の多寡に応じてやっているようなそういう事業が相対的に非常に多いということがございまして、これを先ほど申し上げました設計と重ね合わせますと、さっき申し上げましたような比率になっているというふうに考えております。
  204. 澤雄二

    ○澤雄二君 この後は条件不利地域の対応について質問する予定でございましたけれども、先ほど質問出ましたので、これはちょっと割愛をさせて、次に進まさせていただきます。  今御説明がありましたように、判定の項目を九十五から六十台まで落とすと。だけれども、先ほどからも議論されていますけれども、今配分されている割合を落とさない、都道府県で十億程度に抑える、市町村で二千万円単位で抑えると。大変な努力をされている割には、じゃ結果は同じことをやろうとしているんじゃないかと、配分が変わらないということですからね。  その割には地方自治体がすごく心配をされているというようなことがあって、何のためにやっているのということが言われないように、非常に御苦労をされているのはよく分かっておりますので、その意義、内容について十分丁寧に実際に説明する必要があろうかと思うんですが、大臣の御所見をお伺いします。
  205. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 交付税算定方法については、かねてから地方分権推進計画やあるいはこの二〇〇六の基本方針等によって簡素にすべきである、こういう指摘をずっと受けております。また、地方からも同じような分かりにくいという指摘も受けております。  このために、補正係数を削減をする、あるいは今委員言われました算定項目、これ九十幾つから六十幾つに統廃合、そういう中で簡素化をできるだけ図ろうと。そしてもう一つ、いわゆる交付税の予見可能性というのを高める必要があるだろうと。これも実は地方行政の長から、地方税、今年になってみなきゃ分からないとか、来年どうなるか分からない、そういう不安が非常に高いものですから、できるだけ予見可能性を高めるのが私どもの仕事だろうと私自身思いまして、そうしたことを含めて、今回、人口面積を基本として算定する新型交付税導入をすることにしました。  しかし、とはいえ、地方自治体の皆さんの関心事は委員指摘されたとおりでありまして、幾ら減るとか、そこに行き着くことでありますので、できるだけその変動がないように先ほど御指摘のような割合で計算をさせていただいていると、そういうことでありまして、さらに地方団体との会合等においての説明、あるいは担当者レベルでも全国ブロック会議等に出席をして説明をするなど、地方からその不安感がないような形で導入をしていきたいと。  ただ、導入のその目的というのは簡素化だとか予見可能性という極めて私は大事なことであるというふうに思っていますので、その第一歩として導入をさせていただきたい、そういうことであります。
  206. 澤雄二

    ○澤雄二君 質問を一つ飛ばしてしまいましたが、今、総務省は先ほど披露された三対一、十対一というようなことを中心にした試案を各地方団体に御説明されているというふうに伺っております。  で、時間がだんだんなくなってきましたので、何か一つ二つ特記するような地方団体意見があったら今ここで教えてくれますか。
  207. 岡本保

    政府参考人岡本保君) 端的に申し上げますと、一番多く出ております地方団体からの意見は、やはり減少するところが、その新型に変えたときに減少幅を少なくしてほしいというのが一番多い要望でございます。そのことと関連いたしまして、例えばその人口面積比率をどういうふうにするんだとか、それから、減ることはやむを得ないけどそれをもう少し経過的にやってもらえないかとかいうような意見が一番多く出ているところでございます。  いずれにいたしましても、先ほど大臣からもお話ございましたが、今試算を、試案をベースに地方団体意見交換をさせていただいているという段階でございます。いろんな場面で重ねていきたいと思っておりますし、これを集約をいたしまして、制度の詳細を検討して、十九年度から導入できるように今鋭意取り組んでいるという状況でございます。
  208. 澤雄二

    ○澤雄二君 次の質問に移らさせていただきます。  今日は財務大臣にも来ていただいております。地方自治体が高金利時代に財政融資資金などから借り入れました地方債の繰上償還についてお伺いをしたいというふうに思います。  一言で言いますと、地方団体がかつて高金利時代に借りたその負債の金利のコストに今苦しんでいます。今、金利は随分安くなっています。我々の住宅ローンもそうですけれども、私が借りたときには八%ぐらいで住宅ローンを借りました。その後、どんどん金利が安くなりましたので、返す期間を見ながら随時それは借換えをしていって、随分その金利負担を楽にしてもらったんでございますが、ところが、地方債、政府融資についてはこの繰上償還をなかなか認めてもらえないという心配事がといいますか苦情がたくさん寄せられています。私のところにも随分地方議員からその陳情が来ております。  今お配りしている資料をちょっと見ていただきたいんでございますけれども、それによりますと、十七年度末で民間資金の地方債の残高合計は七十九・五兆円ございます。しかし、この中で、この表見れば分かりますように、四%以上の高金利というのはわずか〇・七%で、それ以外は繰上償還をされたということでございます。ところが、政府資金の地方債合計見ますと、まだ二一・五%、四%以上の利率、二十・三兆円残っています。  この空前の低金利時代に、地方財政でも少しでも救済するために借換え、繰上償還をしてくださるお考えはないでしょうか。財務大臣
  209. 小手川大助

    政府参考人小手川大助君) 財政融資資金につきましては、返済が確実な相手に対しまして、民間金融機関と若干異なる点が二つございます。一つは、これは利ざやを取らずにやっているということ、それからもう一つは、やはり相当長期の資金を貸しているという点でございます。  したがいまして、その繰上償還を受けますと、その分だけ逸失利益が生じるという問題がございますので、原則は補償金を必要としているんですが、例外的に補償金なしでこれを行うという場合がございます。その場合には四つの条件というものを財政審の財投分科会で作っていただきまして、第一に業務の撤退等抜本的な事業見直し、第二に撤退事業の勘定分離、第三に経営改善計画の策定、第四に最終的な国民負担の軽減ということで、法律に基づいて行われるという仕組みになっています。  議員御指摘の点につきましては、財政審の財投分科会で十一月の一日及び十一月の二十七日の二回にわたりまして御審議をいただいておりまして、二十七日の分科会におきましては、委員の方から総務省に対しまして、この補償金なしの繰上償還に係ります四条件を踏まえました具体的な要求案を提出してほしいという指摘が行われまして、現在、私ども、総務省さんと事務的に折衝しているところでございます。
  210. 澤雄二

    ○澤雄二君 今の御答弁でございますけれども、少しそれについて話をさせていただきますと、実は二〇〇一年の財投改革のときにいろんなルールをお決めになりました、この問題について。総務省はそのルールに従って地方団体を説得したという経緯がありました。その中に、今のお話の関連がありますけれども、一つは補償金制度というのがありました。補償金を出せば繰上償還を認めますよと。ところが、その補償金というのは要するに利子分を先に払えということですから、これは地方団体にとって何のメリットもありません。  それから、利ざやを稼がないというふうにおっしゃいました。おっしゃいましたけれども、これは本来、利ざやを取らずに収支が均衡するように運営するんだということで地方団体が納得したんでありますが、今のこの金利差は実質的に利ざやになっています。その利ざやと言っていいのかどうか語弊があるかもしれませんが、それを金利変動準備金として蓄積をされていました、財務省は。それは今おっしゃいました。将来、逆に、今二%、一%に下がっても、七%に上がったときのリスクをどうするんだということでございます。それで変動準備金を蓄積されました。それが実に、利ざやと言えば、二十五兆円にまでなってしまったと。その二十五兆円まで膨れ上がってしまったからどうか分かりませんが、今年、そのうち十二兆円を国債整理基金に還付をされました。つまり、赤字国債の返還に充てられたということですよね。  それで、一つそこで申し上げたいのは、貸出し規模は縮小しないというのもそのときのルールだったと思うんです。ところが、当時七兆円ぐらいあった貸出し規模が今四兆円ぐらいまで下がってきています。ですから、七兆円規模のリスクマネジメントとしてのその変動準備金をためなくてももうよくなったと。疑って考えれば、だから十二兆円を返還しちゃったのかなと。でも、自治体にしてみれば、それはちょっと話が違うじゃないかと、だったらそれは我々に還元をしてほしいということだと思います。  それから、そのときのルールに、行政法人とか独立法人みたいなものも同じルールを適用だと言っているのに、今御答弁になったのは、例えば、あれは何ですか、URとか、それからもう一つどこでしたか、住宅金融公庫なんかの繰上償還をお認めになったと。認めたけれども、それは四条件を付けたんだよとおっしゃいました。その四条件の中に、御説明ありましたけれども、事業の撤退というのがありました。地方団体で例えば上下水道の事業を撤退するなんていうことはあり得ないんですよ。ですから、同じ条件を付けられるにしても、多分違う条件でなければいけないんだろうというふうに思います。ですから、財政投融資分科会でもし議論されるんならば、自治体に条件を付けるんならばどういう条件があるんだろうかという議論をしていきたいというふうにして、お願いをしたいというふうに思います。  いろんなところから陳情を受けているわけでございますが、例えば、八王子市でいいますと、下水道事業で見ると、現在、利率五%以上の残っている負債が百八十五億円あります。これを二・三%に借換えができるとすると、三十五億円の利子負担が少なくて済みます。これ、下水道事業でございます。下水道事業というのは基本的には独立採算制でありますから、この負担軽減分というのは直接市民が下水道の利用料金を少なくて済むということになります。  今、庶民は負担増で、あらゆる負担増で苦しんでいるところでございますから、少しでも政治が手を差し伸べていただけないかと。ですから、何かそういう方法検討していただけないかということでございますが、財務大臣、お願いします。
  211. 富田茂之

    ○副大臣(富田茂之君) 今、澤先生から八王子の具体的な例等を含めて御指摘をいただきました。財政融資資金の繰上償還は、国民の得べかりし利益を失わせるものであることから、補償金の支払を条件にまず認めることにしております。事務方の方から御説明したとおりであります。  都市再生機構、また住宅金融公庫については認めたじゃないかという御指摘をいただきましたけど、平成十七年度におきまして、確かにこの特殊法人等につきまして例外的な措置として補償金なしの繰上償還を実施いたしました。これは、先ほど御説明しました財政審の財投分科会で確立された厳しい四条件を満たした上で、法律に基づいて行ったものであります。  澤先生の御提案は、地方自治体についてはこの四条件をもう少し財政審の方で違った形でやっていただけないかということだというふうに受け止めております。そういう御意見があったということも財政審の方にお伝えしますし、地方公共団体の繰上償還につきましても、補償金の支払又は四条件を満たし、法律に基づく措置を行うことが必要となると現段階では考えておりますけれども、いずれにせよ、本件につきましては現在財政審での御審議を踏まえて検討を行っているところであり、引き続き総務省ともよく議論をしてまいりたいというふうに考えております。
  212. 澤雄二

    ○澤雄二君 この借換え、繰上償還について、総務大臣はどのようにお考えですか。
  213. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私ども、言いたいことをすべて澤委員に言っていただいたような、そんな思いであります。地方公共団体から委員のところにそうした要請があるということでありますけれども、私どものところにも数多くの要請が来ておりますし、余りにも金利差があり過ぎる中で、財務省考えていただいていいのかなという思いであります。
  214. 澤雄二

    ○澤雄二君 先ほど申し上げましたように、二〇〇一年に決めたルールのほとんどを財務省側はたがえているわけでございますんで、どうか前向きに御検討をしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  次に移ります。  文部政務官にも来ていただいておりますんで、質問をさせていただきたいというふうに思います。統廃合後の学校跡地の活用と国庫補助負担金の問題についてお尋ねをしたいと思っています。  各地で少子化で学校の統廃合が今進んでいます。御存じのとおりでございます。各自治体はその跡地利用をどうするかという知恵を絞っているんでございますが、そこで一つ問題が今出てきています。その跡地の使い方によっては補助金の目的外使用となって、その補助金の返還が求められている。  跡地の利用方法の一つとして、例えばベンチャー企業に対する企業創業支援の施設に使おうと。私も、あれは荒川区の学校の跡地利用へ見に行ってまいりました。非常にうまくいっているんです。そういう跡地利用もしたいと。これは安い家賃でオフィスとして開放するものでありますけれども、雇用創出だとか地域活性化なんかでも効果が期待されているし、実際に効果もあります。しかし、これは目的外使用なんですね。ですから、補助金の返済が必要となります。  また多摩市のことで恐縮でございますけど、私の住んでいる多摩市は割合新しい町ですから、人口急増、四十年前からしました。学校を一斉に造りました。少子化というのも一遍に少子化の波が来ています。ここのところにきて、この数年の間に六校が廃校になりました。こういうところではもちろん補助金の返済は全然済んでいないわけです。ですから、その跡地をそういう形で利用しようとするととても返済金が高くなって、とてもその跡地利用を活用することができません。何か救済する方法というのは検討の余地はないでしょうか。
  215. 小渕優子

    大臣政務官(小渕優子君) 委員指摘のように、現在、この補助目的外に使用される場合には、補助金の相当額の納付をお願いしているのが原則であるわけであります。  ただいま多摩市の例などのお話もありましたけれども、現在公立学校の施設におきましては、その公立学校を有効に活用していくために、例えば公共用の施設に転用するとかそういった一定の要件を満たせば、この納付金を不要として、報告だけで手続を済ませるという取扱いもするような形で弾力化を図っておるところでございます。しかし、有償処分といった場合になりますと、やはりこれは、補助金といいますと広く税金で賄われた財源であるということと、また他省庁間との補助事業との整合性が取れないという観点から、なかなか難しいといった状況であるわけであります。  しかし、委員ただいま御指摘がありましたように、現在統廃合も進み、また少子化ということで廃校も増えております。また、地方自治体においても財政面で大変厳しいといったことにも配慮するということも踏まえまして、現行の制度が更に弾力化できますように、財務省など関係省庁とまた相談してまいりたいと思っております。
  216. 澤雄二

    ○澤雄二君 是非お願いをしたいというふうに思うんですが、実はさっきのベンチャー企業のオフィスなんかも、つまり地域活性化ということで返済を認められるところもあります。医療、介護、少子対策、スポーツ施設、そういうところも返済を猶予されると、しなくてもいいよと言われています。ただしその場合には、つまりベンチャー企業にそこをオフィスとして貸し与える、医療施設、子育て施設として貸し与えるというときに、お金を取れないんです。許されているのは実費として光熱費ぐらいしか認められないんです。  ですから、医療施設にする、介護施設にする、子育て支援にする、ベンチャー企業の創業支援のオフィスにするといったときに、少なくとも改装しなかったら使えない。それから、維持管理の費用は掛かるんです。将来的にはその建物を建て替えなければいけないんです。そのお金も積み立てなければいけない。そうなると、光熱費だけもらっても、そんな事業は実際には自治体はできないということなんです。そこのところは分かっていないんです。ですから、夕張の学校跡地も、あそこは何か最大で十八億円返納しなきゃいけない。でも、その改修費用なんかとてもありませんから、もうそこは野ざらしにするしかないと。そういう自治体がこれからどんどん増えてくる可能性があるんです。  ですから、少し規制緩和をして、そういう施設に使うときには、実費だけではなくて維持管理ができたり改修ができたり、そういうもののコストも取ることを認めてあげるとか、せめてそういう規制緩和を検討していただけないかと。もう一度御答弁お願いします。
  217. 小渕優子

    大臣政務官(小渕優子君) 済みません。先ほどの繰り返しになりますが、現時点では、もう委員も御承知のとおりでありますけれども、公共用施設として利用される、あるいは国庫補助事業完了後の十年経過している、また無償による処分ということが現在におきまして弾力化されている部分であるわけであります。  しかし、この施設の使用料につきましては、特に国として規制しているものでもなく、少なくとも文科省としては規制していない中でありまして、地方自治体で判断して認定していただきたいといったところでありますけれども、委員の御指摘は十分に承知をしておりますので、また相談して、できる限り弾力化できるように相談してまいりたいと思っております。
  218. 澤雄二

    ○澤雄二君 最後の三言ぐらいが政務官の真実のお気持ちだと。途中で何か紙が入って答弁内容が少し変わってきた。  私申し上げましたように、規制は明らかに掛かっています。その規制が掛かっている限りは跡地の活用はできないということを念頭に置いて検討をしていただきたいというふうに思います。  時間がなくなりました。ちょっと残りのわずか何分かでございますけど時間をいただいて、地方分権から離れますけれども、NHKの受信料義務化について質問をしたいというふうに思います。多分もう時間がないので、このNHKの受信料の義務化について私がどういうふうに考えているかということをちょっと聞いていただいて、それを検討の材料にしていただきたいというふうにお願いをしたいというふうに思っています。  なぜ受信料を義務化しなきゃいけないのか、本当は聞く予定でございましたけれども、多分、七割しか集められていないとか、不公平感がある、払っている人と払っていない人が、多分そういうことなんだろうというふうに思います。だけど、私が考えるに、罰則化も義務化もなくて七割徴収しているということは多分すごい成果だろうと。世界じゅうで日本ぐらいしかこんなことはできないんだろうと。それはやっぱり、日本人が非常に遵法精神に富んでいるからだろうと思っています。  その七割によって集められている額は六千億でございます。この六千億は実は税金掛かっていません。固定資産税が優遇化されていて、二十何億ぐらいですか、NHKはこのうち税金払っていないんです。ですから、言ってみれば六千億そのまま丸々使えます。これは大変豊富な資金でございます。私は民放にいたからよく分かります、どれぐらい豊富な資金か。  前にここでも質問をしましたけど、結構合理化はされていますけど、それでも無駄なところは一杯あると。象徴的に申し上げたのは、局舎を四時間出ると日帰り出張手当が出る、こんな企業は日本国じゅう探してもどこにもありません。それぐらい余裕があるんだろうと。NHKさん、済みません。  更にそれ以上お金を集める必要がまずあるのかということでございますが、長くなるから手短に言いますと、私はやめていただきたい、義務化。義務化は、それは間違いなく罰則化につながる。つまり、義務化をしたからといって聴視料がそんなに、受信の、徴収率が増えると思えません。それを今払っていない人というのは、低所得者で払いたくても払えないとか、もう確信犯で、NHKには払いたくないんだという人がほとんどでありますから、義務化したからといって増えるとは思えない。でも、義務化すると不公平感は更に募ります。したがいまして、必ず義務化は罰則化につながるだろうというふうに思っています。  罰則化につながるとどういうことになるかというと、これは国営放送になります。前にもここで申しましたが、世界で一番面白くないテレビはBBCとフランス国営放送であります。そう言われているんです。なぜか。面白くないんです。何で面白くないか。つまらないから面白くないんです。NHKは公共放送でありますから、その公共放送の枠を超えないという一つの仕切りと、一方で面白くなければ聴視料を払ってもらえないというはざまのせめぎ合いの中で今NHKは番組をつくっています。ですから面白い番組が幾つも出てきています。これが義務化、罰則化になると、その努力をしなくてもお金が集まります。つまり、NHKの番組がBBC、フランスの国営放送と同じように面白くなくなります。BBCは、まあ一つだけ言い訳をしておくと、ドキュメンタリー番組だけはこれは世界に冠たる番組でございます。それ以外は駄目です。これはもう民間放送の常識でございます。同じことが日本のNHKに起きる可能性があると。  NHKは、今日来ていただいて質問する予定でございましたが、訪問徴収を禁止しようとしています、やめようとしています。これは多分、義務化、罰則化によってお金が入ってくるから、もうその体制を今からつくっておこうかなって疑われてもしようがないかなと思うと、もう手抜きの第一歩が既に始まり始めたという勘ぐりもできるわけでございます。  ですから、どうか菅大臣、これから御検討されるんだと思いますが、NHKをつまんない番組にしたのは菅大臣だと一生言われないように、そこのところをよく慎重に、隣で財務大臣がそんなことを言っても義務化しろとかって言っているような感じもありませんが、よく御検討していただいて、間違いなくつまらない番組になっていくと思います。その辺を踏まえて検討をしていただきたい。お願いをしまして質問を終わらせます。どうも済みません、ありがとうございました。
  219. 吉川春子

    ○吉川春子君 共産党の吉川春子です。  地方分権改革推進法についてお伺いしますが、まず九五年の地方分権推進法の評価について伺いたいと思います。  大臣、最近、知事などの地方首長の不祥事が相次いでおりまして、当委員会でも午前中から議論になっております。政府主催の全国知事会議で、安倍首相地方不祥事に苦言を呈し、麻生会長が遺憾の意を表したと報道されております。首長は、権限移譲と合併等による守備範囲の拡大で更に権限が強化されました。これに見合った議会の首長へのチェック機能を高めないと、こうした事例は今後も続いていくというふうに思います。毎日新聞の社説、十一月十四日では、行政サイドをチェックすべき議会の与党化で機能が有効に働いていないと指摘しています。私は加えて、議会議員の定数削減によって議会のチェック機能が低下するおそれもあると思います。    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕  分権ということを進めると同時に、議会のチェック機能の強化というのが必要ではないかと思いますが、この点についてまず御見解を伺いたいと思います。
  220. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 最近発生をいたしております幾つかの不祥事は、国民の間に地方自治に対しての不信感を増大させて、ひいては地方行政全体に対する信頼を損なう意味で極めて遺憾なことであるというふうに考えています。各地方公共団体においては、議会や監査委員のチェックをしっかりとすること、あるいはさらに情報公開を徹底をしていく、こういうことが強く求められている、このように思います。  地方議会の議員定数についてでありますけれども、一定の上限数の範囲内で条例で定めることになっておりまして、各地方公共団体において自主的に決定されるものである、このように考えております。いかなる定数が適正であるかどうか、それはあくまでも地方公共団体において適切に判断される、そういうものであるというふうに考えております。  いずれにせよ、地方公共団体責任領域の拡大に伴って、住民を代表する地方議員の果たす役割というのは極めて重要になってくると思っております。今後とも、団体意思の決定、執行機関の監視、そうしたものに議会の皆さんの一層の活躍、果たす役割というものが多くなりますので懸命に取り組んでいただきたい、そんな思いです。
  221. 吉川春子

    ○吉川春子君 ここで数字をお伺いいたします。  事務当局で結構なんですけれども、九九年から二〇〇五年ですか、この間の地方議員数の推移について、トータルの場合と市町村の議員の数を報告していただきたいのと、ついでに自治体の職員数の変化についても御報告いただきたいと思います。
  222. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) まず地方会議員の減少数でございますが、平成十一年、すなわち一九九九年でございますが、全体で六万二千四百九十六人でございました。これが平成十七年、すなわち二〇〇五年ですが、四万八千六百五十二人、減少数は一万三千八百四十四人、比率でいけば二二%減ということになります。    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕  それから、このうち市区町村会議員数についてでございますが、平成十一年、すなわち一九九九年、五万九千五百九十八人でございました。これが平成十七年、すなわち二〇〇五年でございますが、四万五千八百六十二人、減少数でいきますと一万三千七百三十六人で、比率的には二三%の減ということになっております。  それで、併せて職員数についてでございますが、ちょっと手元に資料を持ち合わせていませんので、失礼させていただきたいと思います。
  223. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣が、地方議会のチェック機能は大変重要だとおっしゃっていただきました。私も本当にそう思いまして、地方議会の議員の数が少なければいいというふうに私は思わないんで、やっぱりこの辺もチェック機能が十分果たせるような数にしていくべきではないかというふうに私は考えております。  なお、今数字、総務省からいただいた職員数の減なんですけれども、市町村の職員数は、九九年には百五十四万三百五人、それが二〇〇五年には百四十三万二千四百九十四人、マイナス十万七千八百十一名で、これは七%に当たる数が減っております。  そこで、大臣、もう一つ伺いたいんですけれども、一番きめの細かいサービスをする、これは市町村だと思うんですね。そういうところの職員の数が劇的に減っているということは大変ゆゆしい問題ではないかと思います。それで、東京には人口が一極集中し人口過密の問題が噴き出していますが、市町村を回ってみますと過疎化が物すごい勢いで進みまして、郵便局も民営化されて、今まで十七、八人でやっていたのが、集配局でなくなると二、三人と、こうなるわけなんですね。そうすると過疎化も一層進んでいくということで、交通の便も悪くて、役場が合併によって出張所になってしまったというところも多いわけですけれども、高齢者への行き届いたサービスもできない。  私は、日本列島どこに住んでも行政サービスがひとしく受けられなければならない、これがナショナルミニマムというふうに片仮名で言えばそういうことになるのかと思いますけれども、地方分権推進するに当たってこのナショナルミニマムをやっぱり確保していく、守っていくと、そういうことが同時に行われなければならないと思いますが、この辺、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  224. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 全国どこに行っても一定水準以上の行政運営ができるように、そういう仕組みをつくるために地方交付税というものが存在をし、私どもその確保には全力で取り組んでいるところであります。  また一方、地方公共団体に対する国民や住民の信頼にこたえるためにも、分権型社会を確立する中で地方公共団体において今まで以上に徹底した行政改革を進めていく、このことも私は大事なことであるというふうに思っています。地方公共団体においては、平成十七年三月の新地方行革推進に基づく集中改革プランにおいて、今後五年間の数値目標を定めて定員の純減に取り組んでおります。骨太二〇〇六では、五年間で行政機関の国家公務員の定員純減と同程度の定員削減を行うこととなっております。  こうした場合においても、地方公共団体が住民ニーズを的確に踏まえつつ、必要な行政サービスの低下を招かないように配慮をすることが重要であり、事務事業全般にわたる総点検や組織の見直し、そうしたものを進めながら住民ニーズにこたえていくことが大事であるというふうに考えています。
  225. 吉川春子

    ○吉川春子君 ナショナルミニマムは守らなくてはいけないというのは私も大臣も共通認識と思いますが、それを担う職員の数が物すごく減っているという現実については意見が分かれるわけですね。  それで、大臣、続いて伺いますけれども、今度の地方分権推進法骨太方針二〇〇六の歳入歳出一体改革の中に位置付けられているものですね。国の歳出歳入一体改革では、基礎的財政収支の黒字化を二〇一一年度に達成する、そのための財源不足は十六・五兆円、そのうち最大で十四・三兆円を歳出削減していくと、こういうふうに書かれております。それに伴って五年間で地方財政も圧縮されていくのではありませんか。さらに、投資的経費、一般行財政費、社会保障関係費の抑制を行うということになると思うんですけれども、地方歳出が厳しく抑制されたら地方財政計画はどの程度圧縮されると予測されているのか、お示しいただきたいと思います。
  226. 岡本保

    政府参考人岡本保君) 委員指摘のように、今後五年間で人件費につきましては、骨太二〇〇六によって抑制をすることといたしますと、全会計ベースで二〇一一年度の自然体の額から約三・三兆円抑制するということになります。また、投資的経費につきましてはマイナス三%からマイナス一%の抑制ということになっておりますが、これを十七年度の決算額でちなみにお示しをいたしますと、十五・七兆円が現在の十七の決算額でございますが、マイナス三%いたしますと十三・一兆円という水準まで行きます。また、一般行政経費につきましては二〇〇六年度と同程度の水準に抑制をするということになっておりますし、社会保障につきましては国が一・一兆円、地方が〇・五兆円の伸びを抑制するということでございます。  これらによりまして、地方財政の歳出としては抑制をしていくことがございますが、毎年度の地方交付税の額というものは当然その税収の見積り等によって決まってくるものでございますので、地方交付税の額が幾らになるかということはお示しはできないわけでございますが、いずれにしても、地方財政計画の策定を通じて、先ほど来お話ございましたナショナルミニマム、あるいは地方の単独事業といったものを安定的に地方団体が行っていくという意味で、必要な地方税交付税等の一般財源の総額というのを確保していくということが地方財政計画、あるいは私どもの役目だというふうに思っております。
  227. 吉川春子

    ○吉川春子君 先の質問までお答えいただきましたが、やはり地方歳出の抑制というのは、地方財政計画の圧縮によって交付税削減というところにつながっていくと思うんですよね。地方交付税というのは本当に貴重な、特に財政力の弱い自治体にとっては貴重な財源なので、地方交付税削減ということは本当に大変な事態を招くというふうに私は思うんです。  それで、続けて過疎問題について伺いますけれども、三位一体の改革で、国庫補助負担金削減、不十分な税財源移譲、交付税の大幅削減、こういう中で地方自治体は大変な今状況に置かれています。やっぱり地方自治体の仕事というのは福祉、暮らし、住民サービス、こういうものなんですけれども、これが切り捨てられていかざるを得ないというふうになるのではないかと。今後、その地方分権改革推進法は、まず削減ありきと、これだけ削減しますよというところからスタートしていますので、やっぱり自治が拡充して財源が豊かになるということの逆方向なんですね。  例えばどういうことが起こっているかといえば、小さな自治体は、財政が苦しいからといって合併、やむを得ず合併となったところも多いと思うんですけれども、そうすると、そこにあった今までの役場、数十人いたところが出張所になっちゃうんです。そうすると、人数がもうがんと減ってしまう、過疎も進む。そして、もっと遠いところまで、サービスを受けるため、いろんな手続のために行かざるを得ない。もっと言うと、夕張ではないですけれども、より人口の多いところに住民が移動していかざるを得ない、こういう状態になっていると思うんです。  大野長野大学教授は、六十五歳以上の高齢者が集落人口の五〇%を超え、独居老人世帯が増加し、冠婚葬祭など集落の社会的共同生活の維持が困難な状況に置かれている集落を限界集落というふうに呼びました。二〇〇〇年の日本山村学会の調査では限界集落は全国で二千百か所あると。現在、更に増加しているということです。政府の調査でも十年後には全国で二千集落以上が消滅すると予想されているんですね。  政府が今進めようとしている地方分権町村合併がこうした過疎問題の解決につながるのかどうか、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  228. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 先ほどの質疑の中で、骨太二〇〇六の中で、歳出削減は確かにしますけれども、抑制はしますけれども、地方税地方交付税総額確保、このことも報告の中にうたわれていることを是非御理解をいただきたいと思います。  この過疎化での問題でありますけれども、過疎化の進行は、地方分権改革や市町村合併によるものというより、むしろ少子高齢化を始めとする産業集積の状況一定のところに集約してしまっている、そういう要因によるものと考えております。地方分権改革や市町村合併は、魅力ある地方創出に向けて、地方の自由と責任の拡大を図るとともに、行財政基盤を確立することを目的とするものであって、その推進を図っていく必要があるというふうに思います。  こうした中で、過疎町村が安定した行財政運営確保することができるように、産業の振興、情報通信基盤や生活環境の整備など総合的な過疎対策を実施してまいりたいと思いますし、地方税地方交付税の一般財源総額確保をし、一定水準の行政運営ができるように取り組んでいきたいと思います。
  229. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は東京生まれで東京育ちなんですけれども、東京が繁栄できるのも、日本全国各地、過疎地も含めて隅々まで人が住み、暮らしをし、自然を守り、農業を営む、漁業を営む、そういうことがあって初めて東京が繁栄しているというふうに思うわけですよ。ところが、やっぱり今申し上げたような心が痛む風景がもう地方へ行けば行くほど目に入るわけです。  総務大臣は度々、財政調整、財源保障機能を維持するんだというふうにおっしゃっていただいておりますけれども、平成十六年の八月三十一日、財政経済諮問委員会提出の谷垣議員の提出資料には、地方交付税財源保障機能の縮減、廃止を図ることが重要と、こんなことを言っているんですけれども、総務大臣、これと是非闘って、こういう考えは困るじゃないですか。どうお考えですか。
  230. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私の選挙区は横浜ですけれども、私が高校まで育ったところは今は大変な過疎化が進んでおりまして、私は高校に通うときに下宿しなきゃならないようなところで育ちましたから、雪が多くて、過疎地の状況というのはそれなりに理解をしておるというふうに思っております。そうした地域にあっても、やはり一定水準以上の行政運営ができるように、今委員指摘がありましたけれども、この地方間における税源の偏在がある中で地域間の財政力の格差を調整をして、そうした過疎地においても一定水準の行政運営ができるようにこの交付税財源保障機能と財政調整機能というものはこれは確保する、そのために、総額確保のために取り組んでいくということは先ほども申し上げたとおりであります。
  231. 吉川春子

    ○吉川春子君 地方分権過疎の原因であるというふうに私、短絡的に言ったんじゃなくて、そういういろんな要素がある中で過疎化がもう進んでいるわけですね。それに拍車を掛けることになってはいけないということを申し上げたんですけれども、それはそうですよね。
  232. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私は、その過疎化に拍車を掛けるものではないというふうに私は思っています。今、地方も、当時は隣の村あるいは町まで行くのに一時間も歩いていった時代でありました。しかし、これだけ地方といえども道路が良くなって、車社会の中で、やはりこの広域的な行政の中で効率いい行政運営等を行うというのは私は極めて大事なことであるというように、このように考えていますので、正にこの少子高齢化社会が進行する中でこの地方分権というのは極めて大事なことだというふうに思います。
  233. 吉川春子

    ○吉川春子君 ナショナルミニマムへの国庫負担は私は当然と考えているんですけれども、義務教育、生活保護、国民健康保険、介護保険など、こういう法律で国の財政支出が義務付けられている、国民がどこでも同一のサービスが受けられる、そういうものは保障されなくてはならないと思います。  それで、菅大臣衆議院総務委員会で、地方分権推進委員会報告にもあるように、地方公共団体事務に対する法令による義務付けの枠の緩和等、解決すべき問題がまだ残っている、引き続きこれを進めるというふうに答弁されています。  この最低基準がなくなるということは地方への財源が保障されなくなってしまうということなんですけれども、その最低基準をなくすというメルクマールといいますか、基準、どこに線を引かれるんですか。
  234. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) この本案に基づく地方分権改革は、地方活力なくして国の活力なしという、まあ総理の所信表明演説の中で、やる気のある地方が様々な行政分野で自由に独自の施策を展開できる、そうしたことを目的にし取り組んでおります。そういう中でナショナルミニマムとして確保が必要なものについては国として何らかの基準設定が必要な場合もあるものと考えています。これらのことを含めて、今後、地方分権改革推進委員会において検討、審議がなされて、政府として地方分権改革推進計画を作成していく中で具体的な内容について検討していくことになるというふうに思っています。
  235. 吉川春子

    ○吉川春子君 文科省においでいただいていると思うんですけれども、いらっしゃってますよね。  義務教育国庫負担についてお伺いしますが、文科省は、もし義務教育国庫負担が一般財源化されれば税源移譲があっても三千四百六億円の財源不足になるという試算をかつて発表しました。結果として、三位一体改革で義務教育費の国庫負担が二分の一から三分の一に切り下げられる改悪を行ってしまいました。マイナス額はどういうふうになっているか、その都道府県がどうなっているか、その辺について御報告いただきたいと思います。
  236. 合田隆史

    政府参考人合田隆史君) 義務教育費国庫負担金の負担率が二分の一から三分の一になったことによりまして国庫負担金の減額分である八千四百六十七億円の税源移譲を実施をするということでございますけれども、平成十八年度におきましては国庫負担金の減額分が所得譲与税として都道府県税源移譲されたということでございます。この場合、税源移譲額、すなわち各都道府県ごとの所得譲与税の額と、それから国庫負担率三分の一の負担金、これを合わせました合計額を国庫負担率二分の一の負担金の額と比べますと、二分の一の負担金の額と比べて三十九の道府県において不足が生じるというものと推計をされるわけでございますけれども、この道府県ごとの不足分につきましては地方交付税によって措置されるということでございます。この結果、平成十八年度の各都道府県予算は確保されているというふうに理解をしておるわけでございます。
  237. 吉川春子

    ○吉川春子君 こういう表もいただきましたけれども、東京なんかは、これは一般財源化されたときの表ですけれども、一〇一%増だと。一方、高知県だと四五・八%減だと。こんなに都道県によって差があると。一般財源化というのは、もう保育が一般財源化されていまして、その結果どうなっているかというのはまた別の機会にやりたいと思うんですけれども、やっぱりこういうナショナルミニマムという形で、義務教育ですから、一番大事な予算をやっぱり一般財源化して、何に使ってもいいけれどもまあ義務教育にも使ってくださいねという感じでは本当の意味での義務教育を守れないと思うんですけれども、一般財源化されることなんというのは大反対でしょう、文部省。一言。
  238. 合田隆史

    政府参考人合田隆史君) 市町村財政力の差によって義務教育における教育水準に格差が生じないようにすると、そのために国と都道府県の負担によりまして教職員給与費の全額を保障する義務教育費国庫負担制度は必要な制度だというふうに考えております。今後とも、この義務教育費国庫負担制度を堅持し、義務教育に対する国の責任をしっかりと果たしてまいりたいというふうに考えております。
  239. 吉川春子

    ○吉川春子君 総務大臣総務省地方歳出削減のために通達で地方行革を強制しているということなんですけれども、総務省が進める地方行革、さっきもおっしゃいましたが、自治体は公務員削減、職員のパート化、非正規の増大、学校給食、プールなどの民間委託、保育所の民営化、公園、運動施設などへの指定管理者制度の導入などをしておりまして、地方自治体の業務が市場原理にさらされ様々な問題が起きています。  一例を挙げます。七月三十一日、ふじみ野市大井、流れるプールで児童が死亡するという事故が発生しました。尊い人命が失われるという絶対にあってはならない事故でした。大井プールは一部管理を民間に委託しておりました。吸水口の吸い込み防止金具もなく、防護さくで針金で仮留めされた危険な状態で業務委託され、チェックもされていませんでした。地方行革だといって運営コスト優先になってこういう安全がないがしろにされるということは絶対に許してはならないと思いますが、いかがですか。
  240. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) このふじみ野市のように民間委託したこの公共サービスについても、最終的に責任を負うのはその委託をした地方公共団体でありますから、そうしたことを十分認識をして委託業者が当該公共サービスを適正かつ確実に実施、行うように監督等必要な措置を講ずることが必要であることは申し上げるまでもありません。  総務省では、新地方行革指針等において各地方公共団体に対し地域実情に応じて積極的に民間委託等を推進するとともに、あわせて、委託した事務事業について行政としての責任を果たし得るよう適切に評価、管理を行うことを要請をしているところであります。今後とも、各地方公共団体に対して、そして委託した事務事業の適切な評価、管理が行われるように必要な助言をしてまいりたいと思います。
  241. 吉川春子

    ○吉川春子君 大井のプールの事故において防護さくの脱落が発見されたときに、吸水口の前に監視員を配置したり流水ポンプのスイッチを切っていれば事故は防げたんですね。防護さくが外れた後の安全管理体制があり、適切な判断、対応があれば最悪の事態は防げたんです。  まあこれ以上はちょっと具体的なことは言いませんが、ふじみ野市の体育課では、プールを始め体育館三館、運動公園、テニスコート、ゲートボール場など、多数の施設管理を四名の係で担当。上福岡市と大井町というのは実は最近合併したばかりなんですけれども、それでその管理施設が一挙に増えたんです。担当者は現場から本庁舎に移り、プールのそばにあった事務所に職員がいなくなった。ここにいれば、こういう事故は起こらなかったんですよ。人的な配置など市町村の公共施設の安全のための財源が保障されなければならない、そうですよね。  時間の関係でちょっと文科省に伺いますけれども、プールの排水口に吸い込まれる死亡事故が後を絶ちません。ふじみ野市の事故の後、政府はプールにおける事故対策に関する関係省庁の連絡会をつくって対策を検討しているそうですけれども、排水口の防護さく、吸い込み金具が堅固に固定されていない施設はどれぐらいありますか、数字をお示しください。
  242. 西阪昇

    政府参考人西阪昇君) プールの事故の直後に、八月一日付けでございますが、各都道府県教育委員会を通じて調査を行った結果でございますが、国公私立学校四万校のうち一千九百七十八校のプールにおいて、また学校以外の教育委員会所管のプール約三千か所のうち延べ五百三十四か所のプールにおきまして排水口あるいは環水口のふたの固定等に不備があったということが判明をいたしました。  その後、フォローアップ調査等で、それぞれ利用に供しておらないプールがございますが、それ以外のところは施設整備面での手当て、あるいは監視員の手当て等、それぞれ対応したという状況でございます。
  243. 吉川春子

    ○吉川春子君 私が調査に行って驚いたんですけれども、プールの安全基準というものがないんですってね。プールは、例えば学校のプールは国庫補助が付きますよね、義務教育の施設だから。今二分の一になったのか、ちょっと数字忘れましたけれども。ところが、その補助金を出すのについての基準はあるんだけれども、プールというのは危険ですよね、それなのにもかかわらず安全基準が今までないと。これは何とか安全性が担保できる施設設備の設計、設置の基準をつくるべきじゃないですか。いかがお考えですか。
  244. 西阪昇

    政府参考人西阪昇君) 私ども、文部科学省の管轄のプールにつきましては、毎年水泳シーズンの前に、各都道府県教育委員会等を通じまして排水口あるいは環水口のふたの固定及び吸い込み防止金具の設置を指導しているところでございます。また、都道府県、政令都市教育委員会に水泳指導の手引ということを配付をいたしまして、安全管理を徹底するよう指導しているところでございます。  なお、今回のプールの事故を受けまして、先生御指摘のように関係省庁の連絡会議が設置されておりまして、そちらですべてのプールを対象にいたしました安全管理の統一的な指針の取りまとめの作業をしているところでございます。
  245. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう時間がなくなりました。  最後、大臣、この事故も、考えてみると起きなくても済んだ事故なんですね、きちっとやっていれば。そういう安全基準が今までなかったということで政府においてこの安全基準をつくるということに着手しているそうですけれども、これを早急につくっていただいて、こういうところは規制緩和じゃなくて国がちゃんと基準つくって、安全基準、で、全国のプールの管理者に指示をすると、こういうことを是非やっていただきたいと思います。最後に伺います。
  246. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 必要なものにはしっかりと取り組んでいきたいと思います。
  247. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。
  248. 又市征治

    ○又市征治君 本題に入る前に、昨日の決算委員会総務大臣にお尋ねする予定でありました総務省関連のタウンミーティングについて、一、二お尋ねをしたいと思います。  先ほどの内閣府タウンミーティング担当室長の答弁にありますように、小泉内閣の下で百七十四回のタウンミーティングがやられたわけですが、その中で総務大臣及び副大臣出席したものは二十七回あった。その中でやらせ意見表明やサクラ動員がなかったか、各省庁内閣府から調査依頼があったわけですね。この点について調査をされたんだろうと思いますが、その調査結果はどうだったのか、まずお伺いしたいと思います。
  249. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) お答えいたします。  御質問の件でございますが、当省から動員等に関する依頼を取り次いだ件は、当省の内部調査による限り、二件ございます。
  250. 又市征治

    ○又市征治君 その二件ですが、自治体に対して、内閣府からこういう依頼が来るからよろしくなどと、こういう格好で仲介したケースではないかと思うんですが、それは一体どこの県でやられて、どのようなテーマでやられたのか、そして、いつのものか、この点、お聞かせください。
  251. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) 一件は、平成十四年十一月三日に東京のこれは早稲田大学で行われましたタウンミーティングでございます。もう一件は、平成十八年六月四日に福岡で行われました道州制に係るタウンミーティングでございます。
  252. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、その際、それ以外もあるんではないかと思うんですが、県や市町村、あるいはその他町内会であるとか青年会議所であるとかなどからの動員、こういったものはあったのかどうか、また発言依頼はどうなのか、協力者への謝礼が払われたのかどうか。また、幾つか出てきているわけですが、そうした自治体の職員などを動員したときに旅費などが支払われているというケースがあるんですが、この点は調査の結果、いかがでしたか。
  253. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) まず、早稲田で行われましたタウンミーティングの際には、タウンミーティング担当室からの依頼に基づきまして、これは都内で行われましたので総務省等の職員で関心のある者に出席を呼び掛けたところでございます。これにつきましては、謝金の支払等はございません。該当はございません。  また、福岡で行われましたタウンミーティングの際には、同様に、担当室からの依頼に基づきまして、福岡県及び福岡市の担当課に参加の依頼、動員の依頼を取次ぎをしたところでございます。これにつきましても、旅費の支払等はないというふうに承知しております。
  254. 又市征治

    ○又市征治君 今お聞きのとおり、教育問題の八回のうち五回までがやらせがありましたと、こういうことだけではなくて、総務省関連でも今のところこの二件が判明をしたわけですが、まるで政府による、そういう意味では民意の偽装だと、こう言われているわけですが、こうした動員であるとかやらせであるとか、時として、他のケースなどで見てみますと、参加者が手を挙げているのに、言ってみれば、一般参加者を締め出して動員で席を埋めると、こういうことまでもやられている、大変根深い問題なわけでありまして、そういう点では、改めて、今日はそのことをやる委員会じゃございませんが、全体含めて、随分とたくさんの、二十七回もあったというわけですから、この調査資料を是非委員会提出をいただいて、そして、場合によればこの委員会でも論議をするということについて委員長の計らいをお願いしたいと思います。
  255. 山内俊夫

    委員長山内俊夫君) 後ほど理事会で協議をさせていただきます。
  256. 又市征治

    ○又市征治君 それじゃ、本題に入りたいと思います。  この種の法案政府から提出されたのが、既に皆さんから御指摘がありますように、平成七年の地方分権推進法以来十一年ぶりになりますけれども、主たる内容は推進計画の策定及び推進委員会の再設置という手続規定にとどまっているわけですね。中身は委員会の発足後にゆだねられる形と、こういうことであります。  法案提出段階での事情を旧法の際と比較をしてみますと、ある意味で今回の経過とよく似ている面もありますが、しかし政治状況が大きく変わっている、こういうふうに思います。分権自治にとって今回はむしろ風はアゲンストになっているんではないか、こういう危惧を抱くところでもあります。すなわち、前回は、法的には最終成果と言うべき平成十一年の分権一括法によって国と自治体対等であるという理念を盛り込んで、具体面では機関委任事務廃止を始め大きな前進がありました。  じゃ、今回はどうかということですが、五年半に及んだ小泉政権の下、住民に最も身近な政府である自治体が主として担っている教育、福祉、介護などの公共サービスが、自治体ではなく国の政策によって一方的に切り下げられてきているというのが現状ですね。三位一体の改革というスローガンの結末は、六年間で五兆五千億円にも上る大幅な地方交付税削減であり、また税源移譲と国庫補助金削減の収支帳じりも、地方にとって一兆円の損失に終わっている、こういう状況にあります。  その結果、自治体実情は、住民サービスの低下は言わずもがなですけれども、市町村合併によって大きな市の周辺部分となった地域は、人口や産業の流出と、住民自治の拠点であった役場の機構であるとか人員そのものの空洞化によって荒廃をしている、あるいは地方公務員に対しては人員や賃金の削減が押し付けられているという、非常に暗い雰囲気からの出発になるところが多いわけですね。  何よりも心配なのが、新推進法のスタートとなるべき現時点で、前回一つの支えとなっていたこの地方制度調査会が、今回いまだに発足をしていない。反対に、経済財政諮問会議その他の場所で企業経営者などから盛んに地方財政に対する度重なる切下げの攻撃が非常に支配的なこういう雰囲気、こういう状況にある。こんなことを危惧するわけです。  こうした中でも、大変自治体は住民の福祉、住民福祉を維持するために頑張っている。今年の六月に地方団体が十二年ぶりに地方自治法に基づく意見書を政府にぶつけるなど、新分権法に向けて活発に主張を展開し、政府はその案を採用するように、政府に採用するように求めているわけです。ただ、この政府の回答は極めてそっけない抽象論で終わっているわけですけれども、そこで大臣に伺いますが、あなたの考える旧法と最大の相違点は何だというふうにお考えなのか、端的な感想で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
  257. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 本法案は、新たな地方分権改革推進体制を定めるものであり、その枠組み法というものであっては、観点からすれば前回とほとんど一緒であるというふうに思っています。  その中で、主な相違点としましては、旧法は五年の時限立法であったが、本法は三年の時限立法である。本法案は第三条において、地方分権改革を集中的かつ一体的に推進するために必要な体制の整備などについて、国の責務について規定をしているということです。そして、第三点は、本法案は第五条において、国の施策として、旧法のように必置規制の整理合理化に限らず法令による事務の義務付け、枠付け全般の見直しをその対象としている。この点が旧法と比べて違う点であると思います。
  258. 又市征治

    ○又市征治君 今、総務大臣のお答えでしたが、私は、前回の推進法制定の経過から次のようなことを学ぶべきではないか、このように思います。すなわち、推進法が成立したのは平成七年の五月ですが、その前年の平成六年九月に地方団体から地方分権推進に関する意見書が提出をされたことが引き金になったというふうに思います。この意見書の提出という行為自体がさらにその一年前の平成五年の議員立法による地方自治法改正でありまして、地方団体意見提出権が初めて法定化され、その権利を行使した第一号でもあったわけですね。  今回も、去る六月七日に六団体が、あれ以来十二年ぶりにこの地方自治法第二百六十三条の三の第二項に定められた権利を行使してこの意見書を提出したわけですけれども、政府による法案提出の直接のきっかけになったんではないかと、このように思います。言葉を換えて言えば、今回も地方側からこれだけのアクションがなければ、政府は自らの権力の縮小につながる分権改革には容易に動かなかったんではないか、こう私には思えてなりません。  さて、話を戻しまして、前回の地方分権推進法平成七年二月に政府から提出され、五月に参議院で可決成立をしたわけです。それにより七名から成る推進委員会が発足をし、それから四次にわたる答申を出して、最終的に平成十年五月に政府地方分権推進計画を閣議決定をして、翌平成十一年三月にいわゆる地方分権一括法が出され、七月に可決成立をしております。  今回の推進法が少なくとも旧法並みのテンポと広がりを持ってゴールである新たな分権法本体の制定に結実することを祈りますけれども、さて、最大の問題は、この法案自体というよりも、この手続に従って今後作られる推進計画が、内容として分権自治の前進になるのか。特に、前の分権委員会が言わば遺言として、未完だった、こう言っているわけですね。自治体財政自立が図られるかどうかということが問題なわけだろうと思うんです。  そこで、今日は一回目の質疑ですから、むしろ手続法としての手続の部分に絞ってお聞きを幾つかしてまいりますけれども、まず旧法とのすぐ分かる相違点は、大変皮肉ですけれども、地方分権推進計画あるいは同委員会だったのが、今回は地方分権改革推進計画あるいは委員会と、改革という二文字が加わったことだと、こう思うんですね。これは恐らく小泉さんが何にでもこのスローガンに改革という言葉を付けたものだから、一時期この改革推進という文字を何にでも付ける、こういうことで、予算の項目一つ一つにまでこの改革という言葉をかぶせるというのがはやったわけで、この法案もその名残で改革が付いているんじゃないかと思いますが、しかし、改革という文字があるとないとでは法制度上、旧法と比べてどこがどう変わるのか、この点もう一度改めてお聞きをします。
  259. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) 御指摘のように、今回の法案では地方分権改革という、改革という言葉を入れているところでございます。  事務方のこの言葉の選び方の問題としては、近年は、御指摘にもありましたけど、大体地方分権推進と言うよりは分権改革と言うことが多いというようなことで、こういう言葉を使ったということになるんですが、ただ、御指摘趣旨の中にもあると思いますけど、やっぱり改革という言葉を付けている以上は、日常的な単なる推進ではなく、やっぱり集中的に相当の、それこそ政治リーダーシップなんかをおかりしながら大胆な分権をやると、そういう意図を入れているというふうに御理解いただければと思います。
  260. 又市征治

    ○又市征治君 何か抽象的でよく分からぬ、どっちでもいいみたいな感じがありましたが。ただ、くれぐれも前回の成果を否定をして、分権を自立自己責任という言葉ですり替えて、単なる政府財政責任の軽減であるとか、自治体のサービス、財政需要の切捨てのための口実にするような、改革をそういう悪意を持ったスローガンにだけは使ってもらいたくないということは、今、藤井さん、あなたも言ったことの意味なんだろうと思いますが、是非そこはやっぱりしっかりしてもらいたい。  まあ看板の掛け替えは別として、本文でも、手続法にすぎない中にも旧法と重要な違いがあります。まず入口である推進委員会について、七名とするのは同じですけれども、権限が違っていますね。旧法では監視条項、すなわち委員会地方分権推進計画に基づく施策の実施状況を監視し、その結果に基づく内閣総理大臣に必要な意見を述べる、こうなっているわけですね。なぜ今回はこの部分を入れなかったんですか。
  261. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 本法案第十条第二項においては、地方分権改革推進委員会は、必要があると認めるときは、地方分権改革推進に関する重要事項について、内閣総理大臣に対し意見具申を行う機能を有することにしております。これは委員会からの勧告を受けて行われる地方分権改革推進計画の作成から同計画に基づく措置の実施に至るまでの重要事項について、本法案に定める基本理念、基本方針及び本委員会による勧告の考え方に照らし、必要な意見を述べるものであります。  旧法においては、施策の実施過程に係る意見具申であることから監視という文言が用いられておりましたけれども、委員会からの勧告を受けて行われる政策立案過程に係る意見具申を含める趣旨から、必要があると認めたときは意見を申し述べることができる、このようにしたところであります。
  262. 又市征治

    ○又市征治君 納得できない答弁ですが、旧法では内閣総理大臣委員会の勧告又は意見を尊重しなければならないとあった部分も、今度の法案から削られているわけですね。大変重大な私は変更、後退ではないかと。削るということは尊重しないでよい、聞きおくだけということの解釈にもなりかねないんじゃないですか。もし尊重することに変わりがないんなら、どのように担保するのか、この点を明確にしていただきたいと思います。
  263. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) この尊重義務を今回設けなかったというのは、ちょっとさかのぼるんですが、中央省庁改革の再編時に一つの審議会等の整理の物の考え方を整理しております。その中で、大体最終的な政策決定というのは政府責任と申しますか、やっぱりそれは政治が責任を持つべきではないかというような御議論がありまして、それで答申に対して尊重義務を付けているような規定については逐次見直していくという、そういう方針が取られたということでございます。  そういうこともありまして、今回は勧告の尊重に係る規定というのは置かないことにしているわけですが、じゃ委員指摘のように、じゃ聞きおくだけかという話になりますと、それは当然、審議会の性質として意見を言ってくださいといってお願いして、その結果出てくる答申ですから、やっぱりそういう意味での尊重義務は当然あるんだろうというふうに認識しております。
  264. 又市征治

    ○又市征治君 これも、それならちゃんと前のものと、そんなかえって後退するような印象を与えることをやらなきゃいいんですよ。きちっとしておきゃいいんです。政治でやるんだというんなら初めから委員会つくらなきゃいいんで、どうもそこらがもうひとつ納得できないんですね。  次に行きます。  以上が旧法との違い、条文上も後退しているんではないかという疑問を申し上げたんですが、次に、現在地方団体から出されている分権推進法の骨子案や、その前後に出されている同様の考え方から見て、政府法案はどうなのかということについて伺っていきたいと思うんですが、まず第一点。六団体の骨子案は、推進委員会推進計画の原案を内閣総理大臣に勧告するという原案作成の権限を持たせる内容になっています。しかし、新しい法案では、推進計画の作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告すると、間接的な形、つまり原案作成は官僚主導でやることを認める形に後退しているんではないかと、こう思うんです。六団体案のように明確に原案作成権を書き込むことはどうしてできなかったのか、この点についてお伺いをします。
  265. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 本法案第十条において、委員会地方分権改革推進計画の作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告すると規定をしており、これは旧地方分権推進法と同様の規定であります。  有識者で構成をされる地方分権改革推進委員会においては、専門的な検討をお願いをし、そして地方分権改革推進計画の作成のための具体的な指針の勧告などを行っていただくことになっております。地方分権改革推進計画は、本法案の定める基本計画に即して政府責任において作成するものであって、いずれにしても地方分権改革推進計画の作成に当たっては政府一体となって取り組んでいく、そうしたことが不可欠である、そういう観点からこのようなことにさせていただきました。
  266. 又市征治

    ○又市征治君 これもどうも納得はできませんが。  次に、六団体要求の二番目についてですが、それは委員の任命ですね。六団体は明確に七名のうち三名は六団体の推薦した人を入れる、そのことを求めています。そういう提案ですね。私はもうこれは妥当なことだと思います。なぜなら、分権自治のこれまでの苦難に満ちた経過であるとか、あるいは自治体財政の大変な困難な実情について、何も理解してない一部の財界人とか新自由主義に凝り固まった学者が机の上だけでひねり出した政府財政支出を切り詰めるための地方財政削減論をぶたれたのでは、私は地方分権推進に全く逆行してしまうんだろうと思うんですね。むしろ、六団体の推薦する人を入れるのは当然のことだと思います。この点について、大臣、どのようにお考えですか。
  267. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 地方分権改革推進委員会役割上、その委員については地方実情というものを十分に把握できる、そういう方にするのは当然であります。それと同時に、やはり地方分権というのは国の在り方にかかわる重要な問題でありますので、国民全体の意見を反映できるような幅広い構成にする必要があるというふうに私は思いました。そして、この委員の任命については旧法と同様の規定ぶりで、地方分権推進について優れた識見を有する者の中から内閣総理大臣が両議院の同意を得た上で任命をすることにしております。  いずれにしろ、委員の任命については地方の声にも十分耳を傾けながら適切な人選を行うことが必要であるというふうに考えております。そして、委員会においても地方実情意見などを十分に踏まえた検討を行える、そうした体制を是非つくりたいと思います。
  268. 又市征治

    ○又市征治君 是非とも六団体のこうしたこれまでの苦労を分かった、そういう人を七名のうち三名、最低でもそれは入れるという努力を是非お願いしておきたいと思います。  六団体要求の三番目ですが、地方分権推進本部を置くことを法に盛り込むよう提案をされていますね。政府案ではこのことに全く触れられてません。政府が本腰を入れて取り組むと、こうおっしゃるわけですが、だとすれば、過去の例、郵政民営化とか行政改革と同様に推進本部を置いて、各省から人材を集めて常設の事務局体制で推進委員会の下働き、膨大な作業をしてもらうのが当然だろうと思いますけれども、この点はいかがですか。
  269. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) この法案では、地方分権改革推進計画作成から実施まで、本法案を執行するまでの三年間で集中的、一体的に行う。三年という限られた中で、政府一体となって分権改革の取組を実行する。そうした意味合いからしても、政治のリーダーシップが発揮されるよう、政府において総理大臣を本部長とするそうした強力な推進本部を置かなきゃならないというふうに思っていますし、事務局も当然それを支えるしっかりとしたものを置きたい、こう考えております。
  270. 又市征治

    ○又市征治君 推進本部を置かれるんですね。
  271. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 当然、最終的には政府一体となってということもありますので、当然推進本部というものを考えておりますし、それも強力なものというものを考えています。
  272. 又市征治

    ○又市征治君 それじゃ、六団体要求の最後ですが、仮称地方財政会議の設置、これはさきに同僚議員からも出ました。この点について伺います。  六団体との随時協議がともすれば政府から軽視されている実情にかんがみて、地方にかかわる事項について、政府政策立案等に関して地方意見を反映させる仕組みとして六団体側はこれ提案しているわけですね。今まで度々政府自治体政策地方との相談なしに密室で決められて、抜き打ち的に実施されてきたことに対する地方自治体側の警戒心の発露であり、当然の要求であると思うんです。それは三年前のあの地方交付税削減問題、あれはもうもろにそのことを表していると思うんです。  そこで、政府法案で、強いてこれに対応する条項はと探しますと、第四条がこれに当たるんでしょうけれども、それは地方公共団体の立場を尊重し、これと密接に連絡するとともに、地方分権改革推進に関する国民の関心と理解を深めるよう適切な措置を講ずるとあるだけであります。つまり、常設の会議をつくるとはなっておりませんし、後ろ半分は何だかタウンミーティングみたいな、上からの一方的な広報活動でもするのかのような想定されるわけであります。六団体提案地方財政会議案をどう受け止められるのか。法文で書き込まないとしても、どのような現在よりも常設に近い形態を考えるのか、工夫をすべきであろうと思うんですが、大臣はどのようなことを大体今想定をなさっていますか。
  273. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) この六団体の要望にあります地方財政会議、国の政策決定地方をどのような形で関与させるかということについては、多角的な検討というものをまたさしていただきたいというふうに考えています。  そして、本法案第四条について今委員が御指摘がありました。この規定は、現時点では具体的な会合の開催等を想定をしているものではありませんけれども、この地方分権改革推進に当たっては国と地方が十分に議論を積み重ねていくことが極めて大事であるということは認識しておりますので、引き続き、国と地方それぞれの役割理解をしながら連携をして取り組んでいきたいと思っています。
  274. 又市征治

    ○又市征治君 しっかりと自治体意見が反映されるような、常設で是非聞く場をやっていただきたいと、こう思います。  そこで、先ほどからも御説明がございましたが、旧法では五年の時限立法でしたけれども今回は三年と、こういうことになっています。この短縮した意味が、今回は自治体意見を十分取り入れて速やかに本体である第二次の分権一括法に持っていくというんなら短縮も、それはそれでいいんだろうと思います。しかし、ここまで議論してまいりましたように、そうはなってないんではないか。最悪の想定をすれば、自治体と無関係委員ばかりを選んで、競争至上主義による自治体自己責任論を展開をさせて、国の財政責任をばっさり削る基本計画を作り上げて、自治体と住民の意見を聞く定期的な場もつくらない、一気呵成に新分権法という名の地方財政削減法を作ってしまうんじゃないのか、こういう声がもう既に自治体側から出てきている。だから三年に短縮するんじゃないのかと、こういう実は懸念まで出されてきているわけですね。  ですから、時間の短縮が良いか悪いか、そんなことを申し上げるつもりは全くないんですが、ひとえに自治体及び住民の意見をしっかりと取り入れてやられるかどうかに懸かっているわけで、短期間でどのように意見を取り入れていくか、その仕組みあるいはその決意を大臣にしっかりとここはお伺いしておきたいと思います。
  275. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まず、地方自治体意見でありますけれども、委員七人を選定をする中において、当然六団体の代表の皆さんと十分に意見を交換をしながら、そうした要請にこたえられる人選をしていくことは、ここで私申し上げたいというふうに思っています。  それと、三年間、前回は五年間でありました。しかし、今回は三年という期限を切ってであります。それは、前回の土台の上にこの今回の法案も実はあるということも御理解をいただきたい。前回の監視の結果、たしか六項目必要だということを指摘されています。そうした整理をされていただいていますので、そうしたものを最重要視しながら、この地方分権、今日の時代に合う国と地方役割分担を明確にできるような、そうしたものをつくっていきたい。そういう中で三年という期限、五年から三年になった、このことも御理解をいただきたいと思います。
  276. 又市征治

    ○又市征治君 もう一問と思ったんですが、時間が中途半端になってオーバーをいたしますから、質問は次回に譲りたいと思います。  終わります。
  277. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  長い審議でございますので、大臣もまた総務省の皆さんもお疲れかと思いますし、委員の皆さんもお疲れかもしれませんが、私が出てまいりますと、これで打ち止めということでございますので、もうしばらく御辛抱をお願いを申し上げたいというふうに思います。  私は、この地方分権、大賛成でございます。各委員の先生方のお話も今ずっと伺っておりまして、最初この法律を読ましていただきましたときには、既に御指摘がありましたように、前回の法律と比べましても割と淡々と書いてあるなということで、総務大臣以下総務省の皆様方の真剣度ということについて、どの程度かなという、別にこれは疑いではございませんが、関心を持っていたわけでありますが、朝来の御質問に対する大臣の御答弁を伺いまして、大変心強く思っております。ああ、やる気だなという感じを大変強くしておりまして、これから三年間の、これ法律を成立をいたしますと三年間の期間の間にいろんなことをおやりになっていかれると思いますけれども、我々議会におる者としても、時折進捗状況などをお伺いをし、かつまた我々でお役に立てるような激励の仕方があるならば大いに激励をしてまいりたいと、そんなことを考えているところでございますけれども、最後に幾つか質問をさせていただきたいと思います。  私、よく地方を歩かしていただくことが多いわけでありますけれども、いろんな場所を、トータルとして見ましても今地方は相当疲弊しているなという感じを強く持ちます。かつて旅行をしましたときに、ああ立派な町だな、立派な商店街だなと思うようなところに改めて最近行きますと、もうシャッターが下りておったり人通りが少なくなっておったり、本当に寂しい感じをするわけでございます。  私、度々この委員会の中でもお話をさしていただいておりますけれども、議員になります前に北ヨーロッパのフィンランドという国でたまたま大使を三年間ほどさしていただいたわけでありますが、ヨーロッパの国々をそこから眺めておりましたら、どこの国も一生懸命地方活性化ということに取り組んでおられるわけです。大変熱心で、かつ成果も上がっておりまして、地方にそれはもう過疎化というのはどこでもあることではございますけれども、日本のようにどこまで行ってもなかなか家が見付からないというようなところは比較的ないわけでございます。  私は、どうしてそんなにヨーロッパの国々が地方活性化に力を入れているのかなと思いまして、いろんな人の話を聞きましたら、それは、国家というものはそもそも地方がなければ国家と言えないんだと。文化とか伝統というのは都会にあるものではなくて地方にあるんだ、だから国家としてこれから先も生き抜いていくために自分たちの国の伝統そして文化を生み出す源である地方というものを大事にするんだと、こういうことを言われる方が多うございましたが。  そのうちに、いや、それは実は、それはそのとおりなんだけれども、実は表向きの理由であって、もう一つあると。それは、各国と国境を接している国が多いわけでございまして、国境警備という目的があるんだと。軍隊が警備をするわけでありますけれども、軍隊の力だけで国境の全部を監視をするというのは大変困難なことであって、不法侵入というようなことを防ぐためには、やはりそこに常に人が住んでいるということがとっても大事なことなんだということで、人の住まない地域をつくらないというのが国家の安全保障を考える場合の大きな実は観点なんだということを教えていただいて、ああ、さすがヨーロッパというふうに思ったことがございます。  翻って今、日本を考えてみると、北朝鮮に我々の同胞が拉致をされる、なかなか帰ってこれないというような状況があります。これから先も北朝鮮側が同じようなことを繰り返すのかどうか分かりませんけれども、あの誠意のない態度を見ておりますと、やはり国境の警備ということは日本にとっても大事なことでありまして、特に日本は海岸線で守られているわけでありますから、海岸線に人が住まないような地域をつくってはいけないと。気が付いてみたら、いつの間にかどこかの地域に、先ほども限界集落という言葉が出てまいりましたけれども、お年寄りしか住まなくなって、やがてお年寄りもいなくなって、気が付いてみたら何だか訳の分からない人がたくさんそこに住んでいたというようなことになっては大変だなと。  そういう意味でも、この地方活性化というのはとっても大事な課題だというふうに思いますので、大臣以下大いに頑張っていただきたいと思うわけでございますが。  そこで、この地方分権でございます。  今回の地方分権法の、この改革推進法の法案の二条を拝見をいたしますと、今回の地方分権改革推進の基本理念として、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図るというふうに書いてあるわけでございまして、誠にそうでなければいけないというふうに思いますけれども、この地方分権という手法と、それから地方活力を高めていくということで、どの程度の結び付きがあるのかな。要するに、分権をしていくと地方活力がどの程度高まっていくと大臣としてはお考えなのか、最初にちょっとお聞きしたいと思います。
  278. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 委員も国の役所御出身の方ですから、今の仕組みというのは十分御承知だというように思います。  私は、地方がなかなかその独自性を発揮することができない、今、国と地方関係というのはそういう仕組みになっていると思います。様々な問題に国が関与する、あるいは財源も国の補助金なりを受けて地方が行うと、そうした方向でなければ地方事業を行うことができないとか、そういう状況が今の私は状況ではないかなというふうに思います。  そういうものの中で、国と地方役割というものをはっきりと分担をして、地方がやはり自分の財源で自分で物事を考えて物事を実行していく、その代わり責任も取ってもらう、そういう仕組みをつくることによって、地方、それぞれどこに行っても様々な特徴や魅力があるわけでありますから、そうしたものを生かしながらの私は町づくりが行われるだろうというふうに思います。  そういう仕組みを是非つくりたい、中央集権国家からある意味では地方分権、そうした国家へとこの国の形を私は変える第一歩がこの地方分権であると思いますし、このことによって地方は活躍できる、こう思っております。
  279. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 よく分かりました。本当に分権といいますか、地方が自分の意思で物事を決められると、自分の考えたように物事が展開できる、もちろん責任も伴うわけでありますが、極めて大事なことだと私も思います。  これもたまたま、先ほどの続きでございますが、フィンランドのエピソードでございますけれども、そのフィンランドとスウェーデンの真ん中に入り江、入り江というか大きな海がある、湾があるわけでございますけれども、オストロボスニア海と言いますが、その真ん中にオーランド諸島というぼつぼつと小さな島がたくさんある群島がございます。ここが、フィンランドが独立を、ロシアから独立を果たしましたときに、スウェーデンとの間で領有権をめぐって大問題になりまして、というのは、そのオーランド諸島に住んでいる人たちというのはスウェーデン語を話す人たちなんですね。だから、自分たちはスウェーデンの領土になりたいということを言ったんだそうでございますが、フィンランドはロシアから独立をした。それまでそのオーランド諸島というのはロシアの領土でございましたから、フィンランドがロシアから独立をするんだから一緒くたにフィンランドの領土だという見方が世の中的には強くて、大問題になりまして、両国の間で戦争寸前ということになったんだそうです。  このときにこれを裁いた方が日本人でございまして、新渡戸稲造先生、当時国際連盟の次長をしておられたわけでありまして、国際連盟に調停として持ち込まれた、それを次長であられた新渡戸稲造先生が裁かれたんだそうです。どういう裁き方したかというと、両国の間でさんざんもめたんだから、その両方の顔が立つようにしなければいけないと。ついては、元々ロシアの時代からフィンランドと一緒のグループだったんだから、領土としてはフィンランドの領土でいいじゃないかと。しかし、言葉はスウェーデン語をしゃべっているというんだから公用語はスウェーデン語でいいじゃないかと。さらに、両国でもめたという経緯にかんがみて、フィンランドといえどもここには軍隊を持ち込んではいけない、もちろん他国は軍隊を持ち込んではいけない。そこまで行くんだったら、いっそのこと自治領にして、自分で国旗も持って、議会も持って、法律も作れるようなそういうところにしたらどうだという裁定だったそうでございまして、私どもから見ますと、何か大岡裁判みたいな結論なんでございますが。  当時は、フィンランドも、そしてスウェーデンも、そしてそのオーランド諸島の住民も、だれも歓迎しなかった調停案だそうでございますが、今になりまして物すごくここは発展しているんですね。つまり、自分たちで、小さな地域ですけれども、自分たちで法律も作って、自分たちで物事を決めてやっている。そのために、今ヨーロッパでも最も発展した地域になっておりまして、この島の議長さんのところへ、議会へ行きますと議長さんの部屋がありますが、そこへ訪問させていただくと、新渡戸稲造先生の肖像画が掛かっていると。切手も自分たちで発行している自治領ですけれども、切手の図案にもなっているというぐらいでありまして、もう神様扱いされているという方でございまして、ああ、なるほど、お札になるだけの方だなと、改めて私は認識を新たにしたわけですけれども。やっぱり、権限を持って自分たちで自分たちの暮らしの一番近いところで物事を考えているということの効果はやっぱり大きいなということをつくづく思った次第でございます。  そういう意味で、この分権は本当に大事な課題だと思いますが、そこまで、大臣、お考えであるとすれば、先ほども道州制を一緒に考えるべきじゃないかという御指摘がありましたが、今の内閣の中では道州制担当の大臣がおられますので、総務大臣がすべてを御担当になるとはもちろん思いませんが、同時に、やはり道州制に対しても一定の、何かその見通しといいますか、あるいは御提言のようなものを総務省サイドからも政府全体の中に広めていくべきではないかという感じがいたしますが、その点、大臣、いかがでございましょうか。
  280. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 内閣に道州制担当大臣が設置をされております。そして、先ほども申し上げましたけれども、道州制というのは、やはり国民のある程度の意識、道州制というのはこういうものだなという一つのまとまりがなければ、そこまで移ることは私は簡単ではないというふうに思っています。そのためには、これからそうした議論を高めていきながら、道州制というものに国民が、国の形として道州制をやらなきゃならないと。そこに行くにはやはり十年は最低私は掛かるというふうに思っていますので、この分権一括法というのは、とにかく今の中で地方責任を持って住民に近いところでできるという、そういう仕組みをとにかく早くつくろうという中でこの分権法を提案をしたわけであります。  これ一緒にやりますと、どうしても議論が分かれてしまうのかなという思いもしないわけではありませんので、とにかく直前のものについては私どもが総務省でやらせていただく。そして、道州制というのは国全体にかかわるわけでありますから、他の府省庁を巻き込んで、担当大臣の下でやっていく。  とはいえ、この地方分権と道州制というのは極めて密接なものでありますから、私どもも佐田道州制担当大臣と連携を深めながらやっていきたい、こう考えているところでございます。
  281. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 道州制につきましては、いろんな考え方があり得るんだと思いますけれども、確実に正に地方の分権ということを進めながら、やはり同時に考えていく方がメリットが大きいんじゃないのかなというふうに私は思っております。そういう意味で、もちろん地方の分権、この法案の中に書かれているようなことというのはもう確実にやっていただきたいわけでありますけれども、同時に、是非、御提案もいろいろ、総務省として専門的な知識をお持ちでありますので、内閣全体の中で発言をしていかれるべきだと思いますが。  私は個人的には道州制というよりも連邦制の方がいいんじゃないのかと。世界の先進国で、一億二千七百万人というようなこんな大きな国で、東京という一か所で物事を決めている国というのはないわけでありまして、アメリカでも五十の国に中は分かれている連邦制でございますし、ドイツは日本の三分の二ほどの国でございますけれども、それでも連邦制ということからいたしますと、道州制というものをどういう中身にするかということと余り違わないかもしれませんが、思い切った地方への分権をやっていく必要があるというふうに思っております。これは私の考えの披瀝だけでございますけれども。  そこで、そうなりますと、大臣が今、目前にこの法案を置いて、そしてこれにとにかく全力で取り組むんだというふうにおっしゃる、意欲は分かりますけれども、それを進められるような装置になっているだろうかということがとても大事だと思うんです。先ほど、又市委員の御質問に対して、中央推進本部のようなものをつくりたいというようなこともおっしゃいました。それは大変結構なことだと思います。  それ以外にも、地方団体からいろいろ要望の出ているものについて前向きの御答弁はあったんですけれども、この地方分権改革推進委員会の七人の委員の人選につきましてはちょっと少し言葉を濁されまして、適切な人選をするんだということでございますから、期待はするんですけれども、この地方の要望は少なくとも七人のうち三人は地方が推薦する者を含んでほしいという要望でございまして、私は地方のための改革をするということであれば当然のこれは提案かなというふうに思います。  ここで、いろいろな提案がこの委員会の中でなされて方向が決まったといたしましても、さらにまた最終的に国で実施をしていく段階では各省庁からのいろいろな抵抗もあり得るわけでございまして、ここで目一杯地方のやはり要望というものを踏まえておかないと、だんだんだんだん削られて、百点満点の答案だったものが八十点、七十点、四十点ぐらいに落ちていってしまうんじゃないかということを私は非常に心配をするわけでございまして、この点についてもう一度、その地方財政会議の設置という要望も含めてもう一度大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
  282. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) その地方の行財政会議の設置というものを国の中でどういう位置付けにするかということは、今の国と地方関係では非常に実現そのものが難しい状況にあると思いますので、これについては多角的な検討をすることが私は必要だというふうに思っております。  それで、委員懸念をされておりますその委員会のメンバーですけども、これ、私はやはり地方の声というものを十分に反映できる人が当然この委員の中に入っていなければこの委員会そのものもうまくいかないというふうに思いますし、地方との関係もうまくいかないと、こういうふうに考えておりますので、当然、決定をするに当たっては地方団体の代表の皆さんとそれは十分に相談をして、しかるべき人をそれは決めたいと。最終的に決めるのは総理でありますけども、私はそのように考えております。  そして、この委員会でそうしたことが審議されて、実際実行するのはこれ政府で行うわけでありますから、そこの体制というのは、私はやはりこの法案を本当に地方の皆さんが望んでいる、あるいはこの国の形にふさわしい法律に仕上げられるかどうかというのがやはりその執行体制であるというふうに思っていますので、それについてはやはり総理大臣を本部長とする強力な布陣でなければ、この改革は私は、中央省庁その他のことを考えたときに絶対できないというふうに思っておりますので、執行体制というのはそのような強力な体制で取り組んでいきたいと、こう思っています。
  283. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 大臣の固い御決意を伺いまして、心強い限りでございます。  この大臣の決意を受けてちょっと事務当局に伺いたいんですけれども、この法案に従いますと三年後に地方分権一括法という形で成果が出てくるのかなというふうに思いますが、とにかく今地方が大変に疲弊をしているという状況にかんがみますと、三年間待ってられない課題というのも一杯あるわけだと思うんですね。それらについては、今直ちにやれるものというのはあるわけでしょう。これ、どんな具合ですか。
  284. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) 委員の御指摘は多分、地方分権全般に対する進め方と、それともう一つは、今特区法案とかいろいろございますですね、そういう中での分権の進め方と、その二つの考え方をどう整理しているのかというような御質問かと思うんですが。  私ども、一般論として、分権を進めるにはこれすごい推進力にパワーが要る仕事でございまして、なかなかルーチンの推進ではうまくいかないということでむしろこういう大仕掛けの仕組みをつくって、しかも年限を限って集中的、一体的にやると、こういう進め方をしているんですが。  ただ、今委員指摘のように、そうはいっても政府の中を見ましたら、やっぱり、そんなに経常的じゃないんですけど、いろいろなところで国と地方行政にかかわるような在り方検討しているような組織がたくさんあると思いますので、そういったところではやっぱり御指摘のとおりすぐにでもやれるものはやっぱりすぐ地方分権の重要性というものを十分御認識していただきながらやっていただくというふうな、そういうことは必要かと思っています。  ただ、今そういうもの、どういうものがあるかというのを把握しているかというようなお尋ねであれば、残念ながらちょっと今のところは、手元にはそういう材料はございません。
  285. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 私のお尋ねした趣旨は、要するに三年という枠組みをつくって地方分権議論すると、こういうことになっているものですから、国民の側から見たときに、地方の方々、今非常に困っている状況にある地方の方々がこれを見たときに、三年というのを随分悠長だなというふうに感じることがあるかもしれないと。したがって、今取りあえずできることはこういうことがあるんだよというようなことがあるんなら教えてほしいという趣旨だったんですが、もしそれがそういう形で出せないとすれば、あるいは三年後に目指しているものはこういうことなんですと、だから期待をしてくださいという言い方もあるのかなというふうに思うんです。  具体的に目指す、こういうものが成果として想定されるんだというようなものがありましたら、ちょっと国民のために御紹介をいただければ有り難いんですが。
  286. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 多分委員の御指摘というのは地方が元気がないと、地方をよく回っていらっしゃるという冒頭のお話がありました。そういうことからの御質問かなというふうに思います。  私も、今地方が確かに元気がないし、不安であるということも理解をしているつもりであります。まず、地方安心感を与えることが必要だろうというふうに思います。そのためにやはり地方交付税というものの総額というものをしっかり確保する、このことがやはり大事だというふうに思いますし、さらに、私は就任をさしていただいて頑張る地方応援室というものをつくりました。  それは、どんなに財政力指数の低い地方であっても地方にはやはり地方の特徴、魅力があるはずですから、そこに合った頑張りをするところを応援をしたい、そういう仕組みを今つくっておりまして、年内にどのような応援、頑張りについて私どもは応援できるかと、提案について応援できるかという、そうした仕組みも含めて年内にそのようなものを決めていきたいと、こういうふうに考えております。  今どうしても地方自治体というのはもう財政力が年々減少しますので、マイナス方向にばっかり私は行っているように思っていますので、プラス志向の面をやはり政府としては応援していきたい、そういうふうに思っています。
  287. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 今の大臣のお言葉ですけれども、同じような多分趣旨衆議院で六条に修正が加えられて、従来の原案では割と淡々と書いてあったものを、地方税財源充実確保等の観点からという一文が加わったのかなというふうにも思っておりますので、是非これからも地方の住民にとって明るい希望の持てるような方向性というものを折に触れて出していただけたら有り難いなというふうに思います。  最後に、私、今回のこの地方分権の取組で最大の問題点というのは一体何かというと、要するに他省庁の抵抗だと思うんですよね。とりわけ財務省の抵抗だというふうに思うんです。これは省と省との話合いということでいいますと、従来もたくさんいろんなことがあったわけですけれども、そう簡単に総務省の思うとおりにならないという意味で、先ほども中央推進本部というものをおつくりになって、総理大臣が中心になって政治のリーダーシップで進めるんだというそのお考え、誠に結構だと思いますが、これで本当に各省庁の抵抗を乗り越えておやりに、これはなれるかなれないかという質問はおかしいんで、どうしてもそれは乗り越えていっていただかなきゃいけないと思うんですけれども、さらにこの推進本部というようなもの以外にも何か、正にそれを全体としてこれを成し遂げていくための方策というかアイデアというか、そういうものはございませんでしょうか。
  288. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 安倍総理が所信表明演説の中で、地方活力なくして国の活力なし、明言をしています。そういう意味において、本人も出席をした衆議院総務委員会でも、正にその強力な推進体制のトップとして取り組むという決意もありますし、最重要課題の一つである、こういうことも実は言っております。  しかし、現実問題として、このことを推進していくためにはやはり政治の強力なリーダーシップ以外はやり切れないというふうに思っております。それと同時に、その推進委員会のメンバー、この七人のメンバーもやはり極めて大事な人選になってくるというふうに思っています。そして、それを支える事務局体制も、これもやはり重要だというふうに思います。  私は、先ほど事務局長に民間の人の登用も一つの選択肢として入れたいという話を実は朝だったと思いますけど、申し上げました。そういう中で、本当にこの地方分権を真剣にやるんだという、そういう体制を事務局からつくっていく。そして、七人の委員については地方の事情をよく分かって、そして改革の意欲に富んでいる人を七人を選んで、そして総理を本部長としてその執行体制をつくると、まあそういう形の中でこの地方分権というものを何としても進めていきたいと、こう考えております。
  289. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 私、この総務委員会の場でよく郵政の民営化の話を取り上げさせていただくわけでありますけれども、私、郵政の民営化というのは今でも正しい方向ではなかったというふうに思っておりますし、これは是非、皆様方にはまたよく議論をしていただいて、正すべきは正していい方向に持っていっていただきたいなというふうに思うわけでありますが、いずれにしても、あれを実行された小泉内閣のあの熱意というか迫力というか、あれはすごかったですよね。ですから、中身のものはともかくとして、またその手続にも問題があったというところはともかくとして、やっぱり何か物事をやろうというときには、どうしてもやるんだというそのやっぱり熱意というものは必要なんだろうと思うんですよ。そういう意味で、悪いところはまねないでいただいて、いいところは是非大いにまねて、これを正に安倍内閣の大きな柱として大成功に導かれますように心から期待を申し上げて、質問を終わります。
  290. 山内俊夫

    委員長山内俊夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後四時五十二分散会