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国務大臣(
冬柴鐵三君)
日本の
財政が本当に国、
地方とも逼迫をして、このままいけば子や孫にそのツケを回さざるを得ないというような状況にありますから、何としてもここは我々の世代でそのようなことが少しでも軽減できるような、また子供や孫にツケを回さないようにするために頑張ってきているところでありまして、具体的に二〇一一年には国、
地方合わせた
プライマリーバランス、これを
プラスにする。これは大変な仕事でございまして、そのときのこの差額は十六兆五千億と計算されております。
これだけを全部歳出でカットするということは幾ら頑張ってもこれは無理だろうと思いますが、一方、この五
年間という間に今の
経済成長というものを確実なものにし、持続してやっていけば、これはやはり歳出カットと税の増収というものを合わせれば何らかの処方は見いだし得るんではないかと思います。
その
意味で、
内閣の
一員といたしまして、この歳出、聖域なき歳出カットということには協力をしなければならない。具体的に、
公共事業ということになれば、前年度比三%のカットということが言われております。しかし、それをどういうふうに続けていくかということは、その年その年の
経済情勢なり成長なりあるいは緊急の必要性なりを
考えながら決めていかなければならないと思いますが、三%というものをこの発射台である来年はこれはもう入れざるを得ない。もう身を切るような痛みではありますけれども、私も
内閣の
一員としてこの大きな流れには沿わなければならないというふうに思っています。
一方、我々の子供や孫のことを
考えれば、彼らが自信と誇りを持てる美しい
国日本というものをつくっていくのもこの
国土交通省の大きな使命でもございます。そういう
意味で、非常に苦しい台所ではありますけれども、それを工夫をし、そして
都市部とか
地方とか区別することなく真に必要な
社会資本の
整備というものを
重点化、
効率化というものを徹底をしながら進めていかなければならない、このように思うわけであります。
工夫というところでは、例えば
高速道路、今まで残っている部分を、有料
高速道路でございますが、二十兆円を必要とするということがほぼ普通に認められていたものでありますけれども、
道路公団
改革等の作業を通じていろんな工夫がそこにされました。例えば、田舎でそんなに片道四車線を走らせる必要はないんじゃないかと。そういうところをそれを二車線にするとか、そういうことによって、トンネルのボリュームあるいは橋梁のボリュームというものを小さくするという工夫もされたわけでありまして、こういうことを通じて、現在は二十兆と言われたのを十兆五千億まで圧縮してもできるという計算ができているわけでございます。
そのほか、非常に恥ずかしい話ですが、入札に関しまして談合というようなことが行われ、これが本当にいろんな国の事務に対する
国民の信頼を損ねました。こういうものは、談合は、本来、例えば見積額の八〇%でできるものが九五%で落札されているということになれば、一五%というものが余分に使われている、
国民の税金がそのように使われているということを
意味するわけでございますから、こういうものを厳しく、例えば一般入札というものを限りなく広い範囲で採用するとか、あるいは総合評価方式というようなものを取り入れて、安かろう悪かろうは駄目だと。しかしながら、極限までこういうものを、大切な財源というものを有効に使っていこうという、あるいはボンド制度の
導入とか、要するに入札制度の合理化によって所要
経費の圧縮をするとか、そういういろんな工夫をしながら大胆に進めていかなければならない、このように思うわけでございます。
公共事業を進める問題につきましては、
先生も御
指摘のように、私は、一つは安全、
安心の
国土を形成しなくちゃならない。それは、言われましたように、災害に強い
国土をつくらなければならないという
意味で、
河川やがけ崩れ等に配慮したそういうようなものもやっていかなければならない。建物も、いろんな不祥事がありましたが、
国民の信頼を回復するような法制度もつくって回復していかなければならない。また、交通関係については、陸海空を問わず、この安全ということが、社長、一番上のトップから末端に至るまで、これが運輸の生命線なんだと、いろんな利益を上げるとか、あるいは定時に発車するとかいうようなこともあるけれども、しかし何よりも安全であるということを徹底する、こういう
国土をつくっていかなければいけない、これが一つです。
二つ目は、
先生もおっしゃいましたけれども、今
少子高齢社会を迎えながら、なお
経済成長を続けていくためには、近隣の
アジア諸国との
一体的な成長、すなわち
日本で製造するものを例えば安い人件費の海外で製造する。そしてそれが、でき上がった品物を
日本の市場だけではなしに広い大きな市場で、海外の市場でこれを消費していただくことにより、
日本の一つの
経済発展の資にしていく。こういう
観点からこのゲートウエー、すなわち
国際港湾・
空港、あるいはそこと
拠点とを結ぶ
道路や新幹線等のネットワークを
整備する、こういうようなことが一つ。
もう一つは、頑張る
地方ですね。これを、
国土形成
計画に従って、
地方がこういうふうにしてもらいたい、我々の歴史や風土あるいは伝統、自然環境等々を踏まえて、こういう
地域をつくっていきたいという部分について応援を、きちっとした支援をしていかなきゃならない。こんな感じであるわけでございますが、何しろ大変身を切るようなこの
予算の圧縮でございますが、頑張っていきたいというふうな決意でおります。