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2006-12-07 第165回国会 参議院 外交防衛委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年十二月七日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  十二月六日     辞任         補欠選任      岩本  司君     犬塚 直史君  十二月七日     辞任         補欠選任      浜田 昌良君     荒木 清寛君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         柏村 武昭君     理 事                 岡田 直樹君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 柳田  稔君                 高野 博師君     委 員                 浅野 勝人君                 川口 順子君                北川イッセイ君                 小泉 昭男君                 関口 昌一君                 犬塚 直史君                 喜納 昌吉君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 白  眞勲君                 荒木 清寛君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        国務大臣        (防衛庁長官)  久間 章生君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        防衛庁長官   木村 隆秀君        外務大臣    浅野 勝人君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        岡下 信子君        防衛庁長官政務        官       北川イッセイ君        外務大臣政務官  関口 昌一君        国土交通大臣政        務官       梶山 弘志君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       鈴木 敏郎君        内閣法制局第一        部長       山本 庸幸君        内閣大臣官房        総括審議官    土肥原 洋君        内閣大臣官房        政府広報室長   谷口 隆司君        防衛庁防衛参事        官        門司健次郎君        防衛庁防衛参事        官        富田 耕吉君        防衛庁長官官房        長        西川 徹矢君        防衛庁防衛政策        局長       大古 和雄君        防衛庁運用企画        局長       山崎信之郎君        防衛庁人事教育        局長       増田 好平君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        外務大臣官房審        議官       長嶺 安政君        外務大臣官房審        議官       西  正典君        外務大臣官房審        議官       佐渡島志郎君        外務大臣官房審        議官       本田 悦朗君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省中東アフ        リカ局長     奥田 紀宏君        外務省国際法局        長        小松 一郎君        海上保安庁次長  藤井 章治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(第百  六十四回国会内閣提出、第百六十五回国会衆議  院送付)     ─────────────
  2. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) ただいまより外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、岩本司君が委員辞任され、その補欠として犬塚直史君が選任されました。     ─────────────
  3. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君外十八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。久間防衛庁長官
  6. 久間章生

    国務大臣久間章生君) ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つという任務重要性にかんがみ、防衛庁防衛省とするため、所要規定整備するほか、我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動等自衛隊任務として位置付けるとともに、安全保障会議諮問事項を追加する必要があります。  以上が、この法律案提案理由であります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明いたします。  この法律案は、防衛庁設置法自衛隊法及び安全保障会議設置法の一部改正並びに関係法律規定整備内容としております。  まず、防衛庁設置法の一部改正につきましては、防衛庁防衛省とするとともに、その長を防衛大臣とする等所要改正を行うものであります。防衛省任務所掌事務組織等は、現行の防衛庁設置法規定されているものと同様のものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  第一に、防衛庁防衛省とすることに伴い、自衛隊の最高の指揮監督権防衛出動命令治安出動命令、海上における警備行動の承認その他の内閣首長としての内閣総理大臣の権限については変更せず、内閣府の長としての内閣総理大臣については、これを防衛大臣と改める等所要改正を行うものであります。  第二に、我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動並びに国際連合中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動について、別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされているものを行うこと等を新たに自衛隊法第三条に規定する自衛隊任務として位置付けるための所要改正を行うものであります。  最後に、安全保障会議設置法の一部改正でございます。  これは、安全保障会議諮問事項に、内閣総理大臣が必要と認める周辺事態への対処に関する重要事項及び内閣総理大臣が必要と認める自衛隊法第三条第二項第二号の自衛隊活動に関する重要事項を追加するものであります。  そのほか、関係法律規定整備等を行うものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  7. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 小泉昭男

    小泉昭男君 それでは、まず最初に、本題に入る前に、北朝鮮を含めた六者協議について副大臣にお伺いしたいと思います。  北朝鮮ミサイルを発射してから一番危惧をしていたのは、それ以上に何か発展しなければいいという、こういう気持ち国民にはあったわけでありますけれども、それを無視するかのように核実験を強行しました。日本アメリカの一つの村だと、そんな日本と同じテーブルに着く必要はない、こんな発言まで北朝鮮からあったわけでありまして、大変な屈辱を感じるわけでありますけれども、今北朝鮮はもう核保有国だというふうに胸を張っているわけであります。  こういう状況の中で、アメリカ北朝鮮の側で核拡散はないというような見解も口にしているようでございますが、一番大事なのは、六者協議再開してきちっと安全に向けての話合いをしていただくことじゃないかな、こういうふうに思いますが、これは、六者協議がこれから進展していくのか後退するのかという、こういう気持ち国民の中にあるようでございますし、昨日のニュースでは、前総理をお務めいただいた小泉純一郎総理北朝鮮に入るというニュース流れました。こういう中で、六者協議に向けてどのような見通しをお持ちなのか、伺っておきたいと思います。
  9. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 六者会合再開の具体的な日程については今のところ全く不明でございます。決定されておりません。先ごろ北京で行われたアメリカ中国北朝鮮協議では、さきのAPECの機会に日米韓三か国で議論した北朝鮮非核化させるための具体的な措置についてアメリカから説明をいたしました。その意味は、再開後の六者会合をどのように進展させるかという協議北朝鮮を含めてやったんですけれども、合意には至りませんでした。したがって、六者会合再開見通しは今のところ不明です。引き続き関係国努力を重ねていく必要があると考えております。  六者協議を開くことが目的ではなくて、六者協議はあくまでも手段で、北朝鮮非核化を達成するのが目的でありますから、大事なことは六者協議中身だと認識をしておりますので、日本としては、アメリカ中国を始めとする関係国と緊密に連携しながら、北朝鮮核放棄へ向けて具体的な行動を示すことを求めて引き続き努力をしてまいりたいと思います。あわせて、日本としては、再開される六者会合の中で引き続き拉致問題を取り上げていく考えです。
  10. 小泉昭男

    小泉昭男君 ただいまの御説明のとおり、六者協議中身が大事でありますが、何か今の状況ですと、ある報道の中にはございましたが、もう北朝鮮核保有国を宣言した以上、北朝鮮が核を手放す可能性はほとんど皆無だとまでコメントをしているものもありました。これは、隣国である日本としては極めて憂慮すべき状況だと思います。  そういう中で、これから求められることは、アジア一帯の安全と平和でありますけれども、先ほど申し上げましたとおり、小泉総理北朝鮮に入るということにつきまして、このことについて副大臣として何を御期待申し上げるのか、ちょっとコメントをいただければと思います。
  11. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) その情報について御本人ないしはその周辺から確認を今の時点でしておりませんので具体的な言及は差し控えますけれども、我が国としては、あらゆる手段、あらゆるルートを使って六者会合協議が実りあるものになっていくということを期待をいたしております。
  12. 小泉昭男

    小泉昭男君 お話しのとおり、行くとは報道にあったけれども、どういう目的で行かれるのかもまだ分からない状態でございますから、御答弁のとおりかなと、こういうふうに思います。  この北朝鮮問題も含めて、先般アメリカで行われました中間選挙、これでブッシュ大統領共和党民主党に大敗したわけでありまして、民主党に負けたことで日本が全く影響を受けないということはないような気がいたします。今までのアメリカ民主党政権を見れば、国内雇用を重視、そういう観点から日本に貿易の圧力を掛けてくることは、再燃するようなことは明らかじゃないかなと、こんな心配もいたしておりますけれども、日本として、アジア諸国との信頼関係を深めながら、世界が求めている日本の長所、これをどういうふうに発揮していくかということについても問われる段階に入ってくるんじゃないかな、こういうふうに思います。  北朝鮮問題、イラク問題等々、様々な状況変化がこの数日の間に起きております。そういう中で、このアメリカ政権が、こういう中間選挙の結果がどういうふうに影響していくかについてお考えを伺いたいと思います。
  13. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 日米両国は、普遍的な価値観共通の利益を持っている極めて強固な同盟関係を築いております。この日米関係重要性については、共和党であれ民主党であれ、共通認識が存在していると我々は確信をしておりますので、アメリカ中間選挙の結果が日米関係に直接影響を及ぼすものではないと存じております。日本としては、北朝鮮イラク問題などの諸課題に対処していく上で、引き続き同盟国であるアメリカと綿密に連携をしていく考えです。これらの個々の問題に今度の選挙結果がどのような影響を与えるかという具体的な点については、アメリカ国内政治にかかわる事柄でありますから、コメントするのは差し控えたいと存じます。  ただ、選挙結果とは離れてアメリカの対北朝鮮政策について申し上げれば、アメリカはこれまで一貫して六者会合を通じて北朝鮮の核問題の解決を目指してきております。あわせて、北朝鮮の人権や拉致の問題に強い懸念を持っていると理解をしております。  これらのことについて、直近で申し上げれば、日米間の緊密な連携について、四日に麻生外務大臣ライス長官電話会議をしておりまして、今申し上げたもろもろの事項について改めて確認をしているところでございます。
  14. 小泉昭男

    小泉昭男君 これから、MD関係も含めて、アメリカの今度国防長官が替わるという、こういう報道もありまして、そういう意味も含めて長官にお伺いしたいと思いますが。  今のブッシュ大統領の任期はあと二年と言われておりますけれども、その間に日本がどういうお付き合いをしていくのか、MDも含めて、MDについては後ほどまたお伺いしたいと思っているんですけれども、アメリカローレス国防副次官が、ミサイルが米国に向かうことが明らかで、日本がそれを撃ち落とせるのに落とさないのはクレージーだと、そんなものは日米同盟ではないとまで発言されているわけでありまして、このことについては後ほどまたお伺いしたいと思いますけれども、アメリカの今の状況を含めて長官のお考えを伺っておきたいと思います。
  15. 久間章生

    国務大臣久間章生君) アメリカは、民主党共和党も、特にこの東アジア、あるいは日本との関係においては基本的には余り変わらないという感じを持っております。  といいますのは、私が前回防衛庁長官をいたしましたときは、これは民主党政権で、相棒はペリーさんからコーエンさんでございました。そして、今日は共和党政権で、ラムズフェルドさんとも、私は党の要職にあったとき、安全保障調査会長をやっているときに度々行ってやっておりましたけれども、余り基本的には変わってないと思います、まあ姿勢がちょっと強いか弱いかは別としてですね。  そういう意味では、北朝鮮問題につきましても、また米軍再編につきましても同じでございまして、普天間の飛行場の返還等前回のときも決めて、その後十年間それが進まなかったという、そういうことでございまして、これは民主党になろうと共和党になろうと、やっぱり再編はしなきゃならないという、そういう意識は向こうは持っていると思いますから、基本的にほとんど変わらないと思います。  イラク政策については、これは、占領政策については変わるかもしれませんけれども、我が国としては、イラクにつきましては人道復興のために国連要請で出ていっているわけでございますから、その辺についても、国連姿勢が、復興日本協力してもらいたいという、そういう要請がある以上は、何らかの形でこれは協力しなければいけない、国連加盟国一員として当然のことじゃないかと思っておりますから、これも基本的なスタンスとして私は変わらないんじゃないかなと思っております、我が国としてですね。
  16. 小泉昭男

    小泉昭男君 今、副大臣長官お話を伺いまして、少し気持ちが落ち着いたような気がいたしますけれども、これから日米同盟を堅持していく中で様々な打合せが必要になってくると思いますので、そういう意味で今回の省昇格については極めて大事なタイミングであろうかなと、こういうふうに思います。  ここで、今回提出されております省移行についての内容について長官に御質問申し上げたいと思いますが、もう既にこの庁から省へ移行することについては、報道大分国民の間には浸透してきたかのように思いますけれども、まだまだ内容については国民の皆さんが十分に理解しているような感覚には至っていないんじゃないかなと、こういうふうに私はちょっと心配をしているんですが。そういう中で、昭和二十九年以来の懸案事項であった、まあその間に今日までの間に幾度となく俎上に上がったり、いろんな流れの中でなかなかそういう流れにならなかったという、こういう経過があるわけでありますけれども。  国際社会一員としての日本立場考えるときに、もうこの省移行への今回の法案については速やかに実現をさせなければいけない、こういうふうに強く思っておりますし、改めて長官から国民に分かりやすく、大変申し訳ございませんけれども、いま一度、このメリット、それからまた目的について御説明いただければと思います。
  17. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 最近になりまして北朝鮮ミサイル実験をやったり核実験をやったために、あたかもそれに呼応するかのように庁を省にするかの受け取られ方をもしされているとすれば非常に心外でございまして、これの法案そのものだってもう前国会に出ておったわけでございますから、ミサイルを撃ったのも発射したのも、あれは七月時点でございますし、核実験はもっとその後でございますから。  それよりも、自衛隊がやっぱりスタートしたときに、自衛隊を管理する、あるいはまた自衛隊の必要な装備を調達してそれをちゃんと自衛隊に配付する、そういうような管理する官庁としてのエージェンシーとして庁がスタートしたわけでございます。  しかしながら、その後の我が国自衛隊動きを見ておりますと、やっぱり単にそういうような静的な、いわゆる抑止としての存在するだけの自衛隊から、災害はもちろんでございますけれども、それ以外でも、やっぱり日ごろから訓練をしながらいざというときには防衛出動ができるような、そういう態勢も取っておかなきゃいけないとか、あるいは単にそういう、専守防衛とはいいながらも外国との関係をやっぱり非常に緊密なものにしながら防衛交流等も深めていく、あるいは国際的ないろんな付き合いの中で平和を維持するための環境づくりもする、そういう政策も非常に大事なことになってまいりまして、政策官庁として脱皮すべきであるという、そういう動きはかねてからあったわけであります。  そして、昭和三十九年にはいったんは閣議決定しましたものの、国会に出そうとして出せなかった。そしてまた、その後は議員立法では出しましたけれども廃案になってしまったという、そういう流れの中で、とにかく与党としてはこれは出すべきであるという、そういう結論を出しまして、出す以上は、組織法なんだから、行政の組織一環なんだからやっぱり政府が出すべきだということで閣法で今回出すことになったわけであります。  時あたかも、国際的ないろんな平和協力業務としても自衛隊が出ていくようなケースが増えてまいりました。これはやっぱり国連中心としたその一員として活動しておりますと、先ほど言いましたような世界的な平和の構築の中でやっていかなければならない。そのためには、各国の軍隊等とも協力をしながら、我が国は憲法九条の制限はあるけれども、その枠内でできるだけのことはしようということでPKOを始めとしていろんなことをやってきたわけであります。そういうような業務についても、やっぱり雑則ではなくて、この際やっぱりちゃんとした本来の任務一環なんだということを位置付けた方がいいんじゃないかというようなことで、これについてもそういう位置付けをしようということでしたわけであります。  それと、防衛庁長官内閣府の首長としての内閣総理大臣の配下でございますけれども、閣議請議を自分がやっぱり出せるという、そういうことも必要でございまして、今は、国務大臣としての私の立場では閣議請議を行うことはできます。しかし、防衛庁組織の長としての立場では閣議請議はやれないわけでございまして、形式的ではございますけれども、書類等総理府、当時の総理府、今は内閣府を通じて決裁をもらって出すという、そういう形になっておりますので、そういう意味では、やっぱり迅速性を必要とするという、そういうような今日の状況からいきますと、やっぱり直接閣議請議もできるような制度にするのがいいんじゃないかと。いろんなことを考えて、この際やはり防衛庁を省にしようという。  そして、国民世論大分そういう形で、その方がいいんじゃないかと。やっぱり政策官庁としてきちんと位置付けた方がいい、外国に行っても、エージェンシーというと何かちょっと実行部隊組織みたいなそういう意識があるけれども、そうじゃなくて、やっぱり国の安全をつかさどる省なんだと、ミニストリーなんだという、そういう認識を持ってもらうためにも、やっぱりエージェンシーとしての庁ではなくて防衛省にした方がいいという、そういうようなことから今回提案に踏み切った次第でございます。
  18. 小泉昭男

    小泉昭男君 大変分かりやすくお話をいただきましてありがとうございました。  おっしゃるとおり、池田内閣時代に閣議決定したということは大分いろんな報道にはございましたけれども、今のお話のとおり、日本はこれからもっといろんな責任を負わなきゃいけない段階に入ってきたと思うんです。PKO、そしてまた外交関係ではODAの関係もございますが、世界の中で注目されるだけではなく、世界の中に貢献する責任もかなり大きくなるわけでございますので、今の長官お話のとおり、大変時期を、もう熟し切っているという、こういう感じがいたします。  ある意味、今まで、今回の衆議院の方の動きを見てみますと、野党第一党の民主党さんを始めとして国会議員の約九割の方がこの法案に賛成をされたということ、これは物すごく大きな流れにしっかりと行くんだなということを感じまして、今回この法案が一日も早く成立することを心から期待をしたいと思いますし、私も微力でありますが法案成立に御協力をさせていただきたい、こういうふうに思っております。  それと、次に、本会議場でも昨日シビリアンコントロールについての質問もあったかと思いますが、これは私は一切懸念をいたしておりません。しかし、この際、懸念をする声も多少あるようでございますので、これをしっかりと払拭しておく必要があるんじゃないかな、こういう意味長官から御意見を伺いたいと思いますが。
  19. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 戦前のやっぱり反省に立ちまして、戦後この自衛隊ができましたときも、シビリアンコントロールについては非常に注意深く要所要所でその旨が確保されておるわけでございまして、今回の庁を省にしましても、そこのところはもうほとんどと言っていいか全くと言っていいか、変わらないぐらい同じ仕組みを取っております。  いわゆるシビリアンコントロールというのは国会を重視したものでありまして、内閣によるまたコントロールも必要でございますから、そういう両方によってコントロールされるという、軍が勝手に行動できないような、そういうことが一番大事でございます。そういう意味では、いわゆる法律あるいは予算に基づいて組織が動くわけでございますから、それは従来からもそのとおりでございますし、特に防衛庁防衛省移行しましても基本的にはほとんど変わらないわけでございますから、シビリアンコントロールについて私は余り懸念する材料は出てこないんじゃないかと。  もし、前回の本会議でも言われたように、それが心配だというなら、現在の制度ですらおかしいんだということを議論されるならば、それはそれとして私は議論しても、例えば外国みたいに自衛官が即座に防衛庁長官には、辞めて、退官してすぐなれないように、一定期間を必要とするならそれはそれでいいですけれども、我が国の場合は、内閣の不信任、あるいは閣僚の不信任も国会できちんと担保されておるわけでございますから、そういうのは駄目だというふうに国会が判断すればいつでも変えられますし、そういうのを無視してやることはないわけでございますから、そういう意味で、従来からも現在の制度でいいんじゃないかということで機能してきているわけでございますから、そういうことを考えますと、防衛庁を省にしたからシビリアンコントロールをもう少し強化しなけりゃならないやつが新たに何か出てくるかというと、私はそれは生じないと、そういうふうに思っているわけであります。
  20. 小泉昭男

    小泉昭男君 昨日、長官の本会議での答弁でも、自衛官だった人が、自衛隊だった人が長官になっても何ら問題ないという、こういう御発言がありました。これ私はもうそのとおりだと思っていますから、今こういうふうにはっきり御発言をいただいたことで国民の方々にもこれは御理解いただけると思います。  このたび、この法案の中で、本来任務の中で特に主たる任務、これが最優先されるのはもう当然でありますけれども、本来任務の中での従たる任務の中で二種類になった部分ですね。この部分、この二つの間での優劣関係、これはないと思うんですが、公共の秩序維持、これは必要に応じて実施されるということでありますし、国際平和協力活動は主たる任務の遂行に支障を生じない限度において実施されるということでありまして、両者にどのような違いが生ずるのかという部分についてはお伺いしたいと思いますし、国民の生命、財産、これ守るのは、万が一の場合には自衛隊の方々に大変お骨折りいただくわけでありますけれども、この国民の生命、財産を守る公共の秩序維持、これはもう最優先しなきゃいけないと思うんですね。こういう意味で、長官のお考えを伺っておきたいと思います。
  21. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 防衛出動がとにかく主たる任務だという、これについてはもう異論ないわけでございますが、ほかのところを優劣を付けて法律規定した方がいいのか、それともどうするかということについてはなかなか悩ましいことでございまして、確かに公共の秩序維持活動という、災害派遣も含めまして、あるいは治安出動を含めまして、国民の生命、財産を守るのが最優先だというふうに、それはそういうふうに思います。  しかしながら、現実に災害といっても、大きい災害から小さい災害までいろいろございますし、また、国連一員としてこれから先、国連の安保理の常任理事国入りもするというような、そういうことになってまいりますと、国際協力活動として国連要請をしたようなときに、それはもっともっと下だというふうに果たして言えるかどうかというところを含めて、その辺はなかなか、法律上位置付けるのがいいのか悪いのか、その辺もございまして、この法律上は並列で並べてあるわけであります。  しかしながら、ちょっと常識的に言いますと、やっぱり国民の生命、財産の方が優先されるということは、皆さん言わず語らずで大体そういうふうに思われるわけでございますけれども、これから先、そういうようなことをしながらも、法律上の位置付けとしてはいろんな、先ほど言いましたように、災害でも治安出動でもケース・バイ・ケースによって、それほど大きくない問題から国際協力活動でも大きな問題から、いろんなやつが出てくると思いますので、法律上の位置付けとしてはこのようにしておいて、あとは政府のいろんな決定したりあるいはまた国会への報告等でその辺は議論されていけばいいんじゃないかと思って、法律上はパラレルになっているわけであります。
  22. 小泉昭男

    小泉昭男君 国を守ること、また国民の生命、財産を守ること、どちらもその場において判断しなきゃいけない、緊急時の場合にはその場で判断しなきゃいけないことも出てくると思いますので、今の長官の御発言で、これはもうその方向がいいんじゃないかなと、私も同感でございます。  それと、次に本来任務化の目的の中で、国際平和協力活動については主体的に取り組むということで、これはもう結構でございますけれども、昨日の本会議でもありましたが、自衛隊の予算、部隊の編成、装備等への影響、それとまた、さきの衆議院のやり取りでも、今直ちに増えることはない、この旨の御答弁があったようでございます。  これからの見通しについて、またその構想を何かお持ちであればお伺いしたいと思いますし、続いて、主体的、積極的に取り組むということになれば、当然のこととして武器使用要件の緩和、任務の拡大も将来的には検討せざるを得ないんじゃないかな、こんな気もいたしますので、併せて御見解を伺っておきます。
  23. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 防衛庁あるいは自衛隊、これはいずれも長期的な防衛大綱に沿って整備も図っておりますし、予算もそれに基づいてやっております。また、中期的には中期防衛力整備計画に基づいてやっているわけでございまして、また単年度としましては、それぞれ国会での予算の承認をいただいてやっているわけでございますから、これは今までと基本的に全く変わらないわけでございますんで、防衛庁が省になったからといってそういうようなことにはなっていかないということをこの際はっきりと申し上げておきたいと思います。  どうも最近のこういう、北朝鮮問題等が非常にクローズアップされてきているものですから、そういうときに防衛庁が省になっていくとなると、何か予算もこれによって拡大されるのか、また自衛隊も肥大化するんじゃないかとか、あるいは徴兵制までしかれるんじゃないかとか、そういうのが結構いろんな形で言われるのも事実でございまして、全く御懸念は要りませんということを申し上げているわけでございますんで、どうかその辺は御理解賜りたいと思います。
  24. 小泉昭男

    小泉昭男君 全く御懸念はないという、こういうはっきりした御答弁でございますので、次の質問に入らせていただきますが。  国際平和協力活動等だけでなく、機雷等の除去、在外邦人等の輸送、これはもう本来任務化するということでありまして、その理由についてももう少し丁寧な御説明がいただきたいなと、こういうふうに思っております。  機雷等の除去、在外邦人等の輸送は危険を伴う大変な仕事でありますけれども、極めて重要なことであることはもう論をまたないわけでありまして、付随任務的に残された国賓等の輸送、平時、有事を問わず米軍に物品等を提供するACSA、これと区別された理由、これについてもお伺いしたいと思いますし、現在、艦船と飛行機、ヘリについては対応できるという、在外邦人の輸送等についてですね、対応できるということでありますけれども、これも陸上と船までと聞いておりますし、万が一、例えば、もうこんなことはあってはならないわけでありますけれども、韓国にももちろん日本の方々が大勢活躍、活動されているわけでありますので、もし韓国の国内で何か大きな有事が発生したりした場合に、当然車だけの移動では無理なんじゃないかな、韓国内のあの中をヘリでも使って移動しなきゃいけない、こういう事態も発生するんじゃないかな、こういうことを私はちょっと想像するんですけれども、これらについてもどのようなお考えか伺っておきたいと思います。
  25. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 邦人の輸送、あるいはまた機雷の除去、こういったのはやはり非常に民間ではなかなか出ていってくれない、またやれない。機雷除去なんか特にそうだと思いますけれども、輸送等についても民間会社の場合はなかなかやっぱり、安全は多分確保できていますよといっても、そこの従業員との関係でできないというような、そういうケースもございまして、やっぱりこれは自衛隊に頼らざるを得ないというようなことから、これは自衛隊の本来任務として位置付けた方がいいということで本来任務の中に入れたわけであります。  そういう中で、今言われました相手の国の、今具体的な名前まで挙げられましたけれども、そういう中の空はやっぱりそこの国の管制で飛ぶわけでありますから、やっぱりそういうところまで出掛けていってヘリコプターを飛ばして輸送するというようなことは我が国として考えるべき話じゃなくて、その国にむしろお願いをして港までは運んでもらうということを考えるのが筋じゃないかというようなことから、そういうことまでは考えていないわけでありまして、従来やっておる中身を庁から省にするときに自衛隊法の一部を改正して本来任務化したわけでございますから、新たにそういうことを考えて付け加えたらどうかということまでは考慮していないわけであります。
  26. 小泉昭男

    小泉昭男君 今の御答弁で私もはっきり確認をさせていただきまして、ありがとうございました。  以前、北海道の奥尻島で津波があったとき、そのときに、あそこは通信基地だけで自衛隊は設備がないと聞いておりまして、民間の佐川急便のヘリが大活躍をしたということでありました。民間の協力もこれから必要になると思いますので、そういう部分については省に昇格後にいろいろな工夫をしていただければなと、こういうふうに思っております。  あと、防衛白書では、自衛隊活動を行った国際平和協力活動として、大量破壊兵器等の拡散に対する安全保障への取組を挙げておられますけれども、今後、このPSI、自衛隊任務としてどのように位置付けていかれるのか、これをお伺いしておきたいと思います。
  27. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 国対国の戦争というのは大分なくなって、不確定といいますか、目に見えない敵といいますか、そういうテロとかの戦いとか、いろんな形に様相も変わってきております。  その中で一番怖いのは、国対国の場合ですと核抑止力というのが働くわけですけれども、そういう目に見えない敵の場合は抑止力がなかなか働かないということもございまして、核兵器が拡散して、しかもそういうテロ等に渡るというのが一番世界全体にとっても御し難いわけでございますから、これだけはやっぱり阻止するように、もう現在、私たちの希望としては、現在核兵器を持っているところが全部廃絶になるのが一番いいわけですけれども、そこまで至らない現実からすると、せめて核拡散が止まるように、そういう努力はしなければならない。そして、世界的にもその機運は高まってきておりますから、そういうのを目指したいろんな動きには協調して、我が国もまた協力して、参加しながらやっていくという必要があろうかということで、いろんな共同の訓練等にも対処して参加したり、知見もまた増やしたりしながらやっているところでございます。
  28. 小泉昭男

    小泉昭男君 御発言のとおり、今、世界は全く見えないものが多過ぎまして、そういう中で国の安全を保っていくというのは大変な、至難の業と言ってもいいぐらい大変な難事業だと思いますけれども、これから、日本が被爆したときには一国きり核を持っていなかった。その後、核を持つ国が増えたということをよく耳にするんですが、長官おっしゃるように、核がすべてなくなることを望むわけですけれども、なかなか難しく、それは日本の単独の考え方だけでは進まないという現状も、私たちもジレンマの中で感じております。  これから、日米同盟の中での動きもしっかりとまた方向も定めていかなくちゃいけない、こういうふうに思っておりますが、あと、安全保障会議諮問事項の追加の部分について伺っておきたいと思います。  内閣総理大臣が必要と認める周辺事態への対処に関する重要事項及び内閣総理大臣が認める自衛隊法第三条第二項第二号の自衛隊活動に関する重要事項を加えるとしております。これらについて、国際平和協力活動の本来任務化に伴いまして、周辺事態への対処と国際平和協力活動に関する事項安全保障会議への諮問事項に追加するということでございますので、これによって何が変わるのか、簡単に御説明いただければと思います。
  29. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これらが本来任務になったわけでございますし、それだけまたそういうのが非常に我が国としても重要なことでございますから、それらに自衛隊その他が参加するわけでございますので、安全保障会議できちんとこれらについて議論をしてもらって、そしてその結論に基づいて内閣総理大臣が決定していくというのが大事なことでございますので、シビリアンコントロールを徹底する意味からも、これらを安全保障会議の対象に入れる方がいいというような判断から、今回追加をさせていただいたわけであります。
  30. 小泉昭男

    小泉昭男君 分かりました。  次に、2プラス2のことなんですけれども、来年一月に開催がされるという見通しがあるということを伺っておりまして、今年の五月以降、開催されておりません。その後、日米ともに防衛関係閣僚が交代しておりますので、四者が協議することは大変に意義があることだと私は思っておりますが、当然のこととして、北朝鮮問題、MD問題、米軍再編議題になるんじゃないかなと、こういうふうに思っております。私も、地元の神奈川県では米軍の基地、米軍住宅を始めとした施設も多数ございまして、大変関心のあるところでございますので、これらの見通しについてお伺いをしておきたいと思います。
  31. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 2プラス2の次回の会合の開催につきましては、今、日米間で調整をしておりますけれども、時期や議題を含めて決定はされておりません。  日米安保体制については、先ごろの日米首脳会談で、今委員御指摘のミサイル防衛に関する日米協力をもっと強化し、加速させていこうと、そのために双方の外務、防衛の閣僚レベルで検討をしようということで、両首脳間で一致しております。もちろん、トランスフォーメーションについてもその着実な実施を首脳間で確認をしております。  したがいまして、新しい国防長官が就任されましたら、日米安保体制を更に強化することについて日米間で改めて確認をできれば有意義であると考えておりますので、できるだけ調整を進めて、適当な、しかも早い時期に実現されるものと存じております。
  32. 小泉昭男

    小泉昭男君 そういう、前向きに御努力をいただくということでありますので、御期待を申し上げておきたいと思います。  先ほど、長官から北朝鮮の話もございましたが、北朝鮮ミサイルを発射したときには日本は本当にもう震撼したわけでありまして、訳の分からない国でございますので、またいつ突然に何するか分からないと。これが日本の、日本人の国民の頭の中には今、もやもやっとしたものがあると思うんですね。  その流れの中で、日本は絶対、戦うことはもう放棄していますので、自国を守るためにPAC3、PAC3ですね、これについて、弾道ミサイル防衛システムの配備、これは北朝鮮が今そういう状態だからというだけじゃなく、やはり自国を守るのは自分の国で、これはもう当然のことでございますので、その配備についてお考えを伺っておきたいと思います。
  33. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは十年前、私が就任しましたその当時から議論がございまして、このミサイル防衛システムをやっぱり構築しなければ、我が国としてはもうミサイルで攻撃されたときになすすべがないというのは大変だという、そういうことで研究を始めておったわけであります。  私がその当時、中国に行きましたときに、向こうの国防大学で講演しましたときに、中国からも、専守防衛の日本ミサイル防衛をするというのは、それは分かると。やっぱり、ミサイルを撃たれたときに何もできないというのはこれは大変だから、ミサイル防衛を取り組むのは分かると、あるいはまた、それを配備するのは分かると。しかしながら、日本で開発したのをとにかくよそに売られたら軍拡競争になっていくんだから、そこだけは注意してくれよというような質問がございましたが、その当時からやっぱりミサイル防衛については考えなきゃいかぬというのは、我が国だけではなくて諸外国も含めてかなり理解が進んでくれているなというふうに思いました。だから、それから共同技術研究というのを始めまして、それから共同開発に入ったわけであります。そして、それがやっと今、日の目を見るような状況になってまいりました。  アメリカに最初行きましてその実験を見せてもらいましたときにはなかなか、失敗でしたけれども、毎年行くたびに、映像等で見てまいりますと、だんだんだんだん精度が高まってまいりまして、かなり精度が良くなってまいりまして、今ではもう九十何%の確率で迎撃できるというところまで来ておるわけでございまして、そうなりますと、一日も早く我が国のそういう配備をすることによって国民に安心感を与えなきゃならないと、そう思って今取り組んでいるところでございますが、これもなかなか一朝一夕には、予算の関係もございますし、それとまた製造工程の関係もございまして、できないわけでございますから、今の計画でいきますと二十三年度ぐらいまで掛かるわけであります。それをできるだけ前倒しができないかということで今努力をしている最中でございまして、できますればできるだけ早く配備をしたいと、そう思っているところであります。
  34. 小泉昭男

    小泉昭男君 配備は絶対必要だと思っております。  私、以前、武山の駐屯地に体験入隊したことがあったんです。そのときに、あそこに、ナイキですか、ミサイルが、まあそれが使えるミサイルかどうか分かりませんけれども、拝見しました。  例えば、迎撃して、撃ったところがすぐに捕捉されるわけでありますから、それが移動するのに一日も二日も掛かるという。しかし、最近の迎撃は、車でもう一時間程度でその場所を、発射した場所から移動できるという、こんなことを聞きまして、日本の今の道路事情で、そういうものがもし整備された場合に移動できる道路があるのかなって心配はもちろんありましたけれども、日本の上空を守っていただくということについては大変な御苦労をされているんだなということを感じました。  その武山の駐屯地では航空自衛隊もございますから、この車は何のためにここに、何するための車なんですかと聞きましたら、ともかくパイロットを休ませることが最大の仕事なんだと。いつもスクランブルを掛けられて寝る時間もない。もう気が高ぶってパイロットは寝られないと。そういうパイロットを休む、寝かせることが最大の仕事なんだと言われたときに、ああ大変な仕事なんだなということを痛感いたしました。  そういう中で、先ほど申し上げましたけれども、アメリカローレス国防副次官が、ミサイルが米国に向かっているのにそれを撃ち落とせないというんだったら、それはもう、そんなクレージーなことはないと、そんなのは日米同盟ではないとまで記事になったわけでありまして、この点について、以前長官は技術的に無理だと、こういう御発言を私聞いたことがあるんですが、再度その点について伺っておきたいと思います。
  35. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 我が国が今導入しようとしておりますこのミサイル防衛システムは、中距離といいますか、そういうのを、八百キロとか千キロとか、そういうのを対象としたミサイル、いわゆるノドンクラスを対象として一応考えておるわけでございますが、そういうのはとにかく高度も比較的低いわけであります。そういう点では迎撃できるわけですけれども、テポドンクラスになりましてアメリカまで直接行くということになりますと、かなりの高高度になるわけでございますし、スピードも非常に高いわけですね。  そして、ミサイルの防衛は、向かってくるのをこちらから、どちらかというと、まあ野球でホームランバッターが打ったときに、ホームランまで行かずにセンターフライになるときにセンターが駆けていって取るという、これをコンピューターで制御しながらその軌跡を取って、ミットじゃなくて、グラブじゃなくて、それをこちらから迎撃するわけでありますけれども、向こうに向かって飛び立っているのをこちらからそれを追っ掛けて撃つというのは、これはなかなかできない話でございますから、そういう点では日本に少なくとも、まあ日本の地上に、あるいはまた日本海に、あるいはその周辺に配備している状況アメリカに向かっているミサイルを撃つというのは技術的にも難しい話であります。  太平洋上に、例えばハワイ近くに日本のイージス艦がおって、それで日本上空を超えて、あるいは日本の上空から外れてアメリカの方に向かっていくやつを待ち構えるということは、これは将来、技術が向上すればできない話ではございませんけれども、しかし、そういう効率を考えたときには、むしろ情報を伝達することによって、アメリカ側の方から撃った方がはるかにいいわけでございますので、そういうような具体的なことを考えますと、今、日本に配備しようとしているミサイル防衛システムで他国へ向かって発射されるやつを、まあ発射段階で撃つのは別として、もう軌道に乗ってしまったやつ、どこに向かっているかというのが分かった段階で撃つというのは技術的に難しいということを御説明したわけであります。
  36. 小泉昭男

    小泉昭男君 長官のおっしゃられることがもうもっともだと私も思いますが、自国を守るためのことでありますから、よその国に飛んでいくミサイルを、それも高速で飛んでおるものを撃ち落とすというのはこれは大変な問題だと思いますので、こういう発言があったこと自体、アメリカの国防副次官がこういう発言をしたこと自体、私は本当に状況をよく把握していないのかなと、こんな心配までしたんでありますけれども、このことについては、今の長官お話で私はもう理解をいたしました。  あと、最近の状況ですと、アメリカが超党派でイラク研究グループで検討を進めていたということを聞きまして、今回、イラクは大変深刻な状況だということも報道で知ったわけでありますけれども、この研究グループでブッシュ大統領提案したというんですね。  この提案内容は、イラクの現状を深刻で悪化しているということを指摘して、二〇〇八年の初めぐらいを目標にして、イラクの駐留米軍の大部分の戦闘部隊が役割を終えること、そしてまた、イラン、シリアとの直接対話実現などを求めていきたいと、こういう報告書を提出されたということでありまして、ブッシュ大統領は興味深い提案で、すべての提案を真剣に受け止めると表明したということでございました。  日本としても、イラク特措法の延長について、これは日本はあくまで、先ほどのお話の中から、国連からの要請で動いているわけでありますけれども、この今回のアメリカ動きというのが大変大きなかじ取りになっていくんじゃないかなと、もしこれがそういう動きになればですけれども。日本の特措法の延長についても、今後の見通し、大変難しい部分、御質問申し上げますが、御答弁いただきたいと思います。
  37. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは、アメリカイラクに対する政策もどういうふうになってくるか、これも分かりませんけれども、あえて言えば、私たちはアメリカイラク占領政策といいますか治安維持政策といいますか、それよりも、国連日本に対してどういう役割を期待してどういう要請をするか、やっぱりそれを待ってその中で動いていく。そのときに、やっぱりアメリカのそういった治安の維持ができているかどうか、これは非常に大事な要素でございますから、そういうのも併せながら、やっぱり国連中心としたそういうような中で対処していくという、そういう姿勢でこれから先も臨みたいと思いますので、アメリカ政策も、そしてまた国連のそういった政策もよく重視しながら、来年七月で法律が切れるわけでございますので、それまでの間に判断しなければならないと、そう思っているところであります。
  38. 小泉昭男

    小泉昭男君 長官おっしゃるとおり、国連要請日本は動いているわけでありますから、これからも世界の安全と平和に向けての動き日本がどういう動きをしたらいいかについては様々な議論の中で、長官にも一層の御奮闘をいただきたい、こういうふうに思っております。  あと、最後にNATO、北大西洋の関係でございますけれども、一九四九年の四月に軍事同盟が条約ということでありました。その後、数か国が加盟をされまして、北大西洋条約機構と呼ばれるような組織を持つに至ったわけでありますけれども、このNATOとの連携で今後どのような協力関係の強化が可能なのか、自衛隊はどのような協力をこれから想定できるのか、この点について伺っておきたいと思います。
  39. 久間章生

    国務大臣久間章生君) やっぱり、ヨーロッパでNATOが果たしている役割は非常に大きゅうございますから、私たちもNATOとの関係では、間では各種の協議をやりますし、またNATOの国防大学へは自衛官を派遣をしておりまして、やっぱりそういうことで、今までもいろんな、ある意味じゃ協議と同時に勉強といいますか、学習効果も上げてきているわけでございますから、これから先もそういう関係を続けていこうと思っております。  したがいまして、本年七月からはNATO国防大学に自衛官を派遣しておりますけれども、これから先も引き続きそういうことを通じながらNATOとの関係を強化していきたいと、そう思っておるところであります。
  40. 小泉昭男

    小泉昭男君 世界に百九十二か国、まあ百九十か国がお付き合いがあるということでありますけれども、このNATOはいろんな意味で大事なエリアじゃないかなと、こういうふうに思っておりますので、長官が今御答弁いただいたとおり、今後、日本もしっかりと方向を見極めながら流れ確認してお付き合いいただきたい、こういうふうに思います。  今回の法案につきましては、私は一日も早くこれを省に移行していただいて、そして日本の海外に向けての姿勢というものをしっかりとお示しいただきたい、こういうことを各委員にお願い申し上げまして、質問を終わります。
  41. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 小泉君の質疑は終了いたしました。  白眞勲君。
  42. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  今日は、防衛庁設置法の一部を改正する法律案について御質問をいたします。  先ほど、同僚議員の方から、防衛省昇格については八割が賛成だという話がありましたけれども、九割です、九割ですね、九割が賛成だというお話がありましたけれども、少なくとも参議院の民主党の仲間は相当な数、反対もおるようでございまして、私も含めてこれをしっかりと議論をしたいなというふうに思っております。  特に、やはり近隣諸国との関係を見ますと、今も長官お話しされましたように、北朝鮮の核だとか何かで国内でもそういう意見があると、そうじゃないんだというふうに今おっしゃいましたけれども、近隣諸国も何でこのタイミングでということに対しては非常に懸念を持っているようなんですね。それについてまず長官のお考え、ちょっとお聞きしたいなと思います。
  43. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先日も中国の章沁生副総参謀、今度、副総参謀長になられる方ですけれども、今まだ助理ですけれども、お見えになりました。あるいはそのほかの国の方ともお会いしておりますけれども、各国とも自分のところ自身がもう庁じゃなくて省なものですから、この問題については余り、私たちがかえって気にしていたわけですけれども、こちらが思っているほど心配してないようなそういう雰囲気でして、むしろきちんと今までの日本政策が取られて、続けていくんだろうなということの方がむしろ非常に気にしていて、そういう組織が庁から省に移行するということについては、もう最近では余りそういう懸念はないような受取方を私はしております。
  44. 白眞勲

    ○白眞勲君 恐らく長官がお会いされた方というのは、どこの国でもトップクラスの方であって、非常にいわゆる教養のあるインテリジェントな方であると思うんですけれども、私が会っている人というのはそういう人たちばかりじゃなくて、一般庶民とも結構会話をさせていただいたりしますと、結構この問題というのは出てくるんですね。もちろん私自身は、防衛庁が省になったから「ち」が「し」に変わったぐらいで、そんなに大きな違いがないかもしれませんねと、システム的にはね。  ただ、今それはもう私も何となく勉強してみると分かる部分もあるんですけれども、そうはいっても、やはり庁が省になるというこの重さというのは、これ別なところにあるんではないのかなというふうに私も感じまして、ただでさえ日本の軍事大国化に対していわゆる懸念をしているアジア諸国というのは今回の防衛省昇格というものをどのように映っているのかというので、一つの例として、さきの外務大臣や与党の政調会長の核保有議論の発言の後ですけれども、私自身、ちょっと韓国のラジオ放送、これ日本でいうとちょうどニッポン放送みたいな放送局なんですが、その朝のちょうど通勤時間帯、ですから、どちらかというと比較的いつも新聞を読んでいらっしゃるような方々が聞いているようなところなんですけれども、そこの電話で生出演をしたんですね。  何で出たのかというと、結局、日本の防衛政策について解説してくれというような話なんですよね。私はもちろん質問に答える立場なんですけれども、逆に、質問する人というのはどんなことを考えて質問するのかということで、相手の気持ちとか考えというのも分かるような部分があって、当然彼らも、ラジオ局ですから、当然国民のいわゆる気になることを代弁して聞くわけですよね。  その中で質問が九つあって、一つ目が沖縄の知事選の結果を受けて基地問題についてどうなっているんですかということです。韓国も基地問題についていろいろな問題抱えているということから、それが一点。それで、その残りのほとんどというのは、北朝鮮核実験と絡めて日本の核武装に対する質問なんですよ。私としては、これアンケート調査で日本人の八〇%は日本の核武装について否定的な見方をしていますよというふうに答えたんですけれども、いかに近隣諸国が日本の核武装、軍事大国化に対して相当センシティブになっているのかというのが分かるような、そういうラジオだったなというふうに感じているんですね。  その中で、今回の省昇格について、防衛庁としては、別に省移行したからといって日本の軍事大国化にはつながらないと強調するわけなんですけれども、ただ、このタイミングは果たして周辺諸国からどう見られるかといった観点については、どうかなとも思える部分が私はあると思うんですよね。  防衛庁長官は、どうしてもこのタイミングが良かったと思っているのか、どうしてもこのタイミングじゃなきゃ嫌なのか。もう少し交流を深めて、これは外務省のマターになるかもしれませんが、周辺諸国からの理解がもっと深まってからでも遅くはないような気がしますが、何で今の時期だというふうに長官はお考えなんですか。
  45. 久間章生

    国務大臣久間章生君) さっきの核論議とか、そういうのがそういういろんな誤解を招くおそれがありますよということは当委員会でも私は何回も言ったとおりでございます。  それで、防衛庁を省にすることについても、外国だけじゃなくて、我が国でもこういうことをやっていったら今度は徴兵制になるんじゃないかとか、そういうことをおっしゃる方がやっぱりおられるんですよ。だから、そういうのはないですよというやっぱり説明責任が私たちにもあるわけでありまして、そこはやっぱり努力せぬといかぬなと改めて思っているところでございますけれども、じゃ、ここをやめておったら、そういうのは抜きにして、みんなで庁を省にしなさいよというようなことが各国含めてできてくるかというと、必ずしもそうなるわけじゃありませんから、それほど実際問題がないと思ったら堂々と、おたくのところでも国防部でしょうというようなことが言えるような形で言った方がかえって相手に対してもいいんじゃないかと。  そういうような声があるからということで遠慮しておくということになりますと、先ほど言いましたように、もう国防の問題というのは安全保障の政策として議論する立場にあるので、庁として管理主体の、例えば食糧を管理する食糧庁とか、あるいは林野庁とか、そういう庁じゃなくて、政策官庁としてきちんと位置付けた方がかえっていいと思ったので、私はもっと早い時期にすべきだったと。実態的には防衛庁はもう政策官庁に現在もう脱皮してきているわけですね。  ところが、名前が防衛庁のままずっと残っておるという、そういうような状態をむしろはっきり防衛省として位置付けて、政策についてしっかりした政策を取らせることの方がいいと思っておりますので、前国会に出たわけですけれども、私が出したわけじゃございませんが、これはもうこの際もう早く、こういう議論をだらだらだらだらするよりは、もうきちっと位置付けた上で説明をきちんと各国にしていった方が私は安心感をかえって与えるんじゃないかと、そういうふうに思っているわけでございます。
  46. 白眞勲

    ○白眞勲君 今のだらだらだらだらやるよりは早くやった方がいいということで、特に海外に向かってはきちんと説明すべきであるという大臣のお考え長官のお考えですけれども、外務大臣にじゃお伺いしますけれども、今後どのように諸外国にこの防衛省の昇格についての説明をしていくつもりなのか、その具体的なものをお話しください。
  47. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 今回の法案では、防衛省となっても所掌事務組織などは現行のものと基本的に同じでございまして、日本の防衛力の質や量が増大するわけではありません。専ら専守防衛の基本方針に変更はないということを既にこれまで機会を見ては近隣諸国中心説明をしてきてはおりますけれども、白議員の御懸念がないように、今後はさらにこの法案の成立を待って、安全保障対話、それから防衛交流などの機会に必要に応じて説明をしてまいりたいと存じます。  白先生、実は僕は十年前に久間防衛庁長官の下で政務次官をやっておりまして、一年間お仕えをしたんです。その折に、パーラメントリー・バイスミニスター・フォー・ディフェンス・エージェンシーと言うと、外国の武官、外国人の軍人と会ったときに、いつもディフェンス・エージェンシーと言うと相手が物すごい妙な顔をする。エージェンシーというのを辞書で引いてみると、代理店とか代わりに業をする人と辞書に書いてあるわけですね。何だ世界第二の経済大国の日本は防衛を代理業がやっているのかというような受け止め方をされているのかなというような妙な気が絶えずしていた十年前の思い出がふっとわいてまいりまして、今長官が御答弁がありましたとおり、本当はもっと早い方が良かったのかなと、私もそんな思いで今日ここに座らせていただいております。
  48. 白眞勲

    ○白眞勲君 確かに、ディフェンス・エージェンシーあるいはミニストリーという違いというもの、これはちょっとまた後でも御質問もしたいなとも思っているんですけれども。  韓国の場合には防衛庁はパンウィチョンというふうに、ちょっと済みません、速記者の皆さん、ごめんなさいね、パンウィチョンというふうに言うし、要するに日本語の防衛庁がそのまま防衛庁になっているし、防衛省はそのまま防衛省の韓国語読みで言うわけでして、その辺のいわゆる違いというのは、恐らく韓国あるいは中国の場合においてはあんまり関係ないんじゃないのかなという感じはちょっとしているんですね。  そういう中で、今の浅野大臣がおっしゃったいわゆる懸念について、懸念を表明している国について、麻生大臣が十月二十七日の衆議院本会議で「現時点で、防衛庁の省移行に関して懸念を表明している国があるとは承知をいたしておりません。」というふうにお答えになっているんですけれども、この懸念の表明というのは、どのような表明の仕方、例えば麻生大臣がどこかの国に出掛けたとき、その国の大統領とかあるいは大臣から言われたことがないということを意味しているのか、あるいはマスコミ、といってもすべてのマスコミはチェックすることは不可能であったとしても、いわゆるその国のオピニオンリーダーというんでしょうかね、そういうマスコミを含めて懸念を聞いたことがないということなのか、これどういうことなんでしょうか、お答えください。
  49. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) もちろん、麻生大臣が各国訪問をし、あるいは麻生大臣を訪ねておいでになった各国のそれぞれの方々との様々な論議の中で、日本の防衛問題、自衛隊の在り方について議論が及んだ折に、具体的に省に昇格することについて懸念の表明にあったことはないというのが麻生大臣の答弁の本意と承知をしております。  現在、今の時点で明らかに懸念の表明を在外公館を通じたりして伝えてきている国があるとは承知をしておりません。
  50. 白眞勲

    ○白眞勲君 私、それは当たり前だと思うんですね。つまり、一つの主権国家が自国の政府機構を改編させることについて他国がとやかく言うわけないと私は思っているんですよ。それは当たり前のことでして、一番重要なことは、他国の懸念というのはどこを見ているかといえば、世論だと私は思っているんですね。その世論がどうなのかということについては、では外務省としてチェックしているんでしょうか。
  51. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) これは、このことについてアジアの諸国で世論調査をしてみるとか、そういう具体的な調査、世論調査をしたことはありませんけれども、在外公館は日常の報道について相当細かく情報収集をして、毎日山のように報告をしてまいっております。それらを踏まえて、明確な懸念を表明している国は今のところ承知をしていないと申し上げておりますけれども、さらに白先生の御心配になるようなことがないように、定期的な安全保障対話や防衛交流があるわけですから、それらを通じ、さらに日常の外交活動を通じて、よく近隣諸国、アジア諸国には特に説明をする努力をしてまいりたいと存じております。
  52. 白眞勲

    ○白眞勲君 今の浅野大臣が山のように一杯報道を持ってきているという報告なら、当然そういう直接的な懸念を示しているものは一個もなかったということなんですけれども、例えば韓国で一番発行部数のある新聞、朝鮮日報が二〇〇〇年三月九日付けで、タイトル自体が防衛庁から国防省へとなっているんですよ。そういうタイトルで社説まで出しているんですよ。この社説には、ちょっとかいつまんで言いますと、防衛庁を独立部署である国防省に昇格させる法案を提出するという報道に対しては、我々を緊張させると言っているわけですね。最後に、彼らも言っているんですよ、他国の省庁改編についてとやかく言う立場じゃないかもしれないがということは一応前提条件としては言っていますが、日本の軍事大国化への動きと右傾化の傾向に我々が注目せざるを得ないのは、それが必然的にもたらす東アジア地域での軍拡競争のためだと、特に中国日本が終わりのない軍拡競争を想定すれば、周辺国は暗たんとせざるを得ない、鉄のカーテンが消えてからの十年間、軍備縮小に没頭してきた欧州とは違い、アジア地域ではかえって三五%近い軍備が増強されてきたという事実に日本政府は注意を払わなければならないと、これはっきり言っているんですね。  これ、外務省でどういうチェックを私はしているのかと、もう一回ちょっとお聞きしたいと思います。
  53. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 重ねて申し上げますけれども、防衛省にこの法案が成立してなった場合にも、所掌事務組織などは現行のものと基本的に同じでございまして、日本の防衛力の質や量に変化はない、専ら専守防衛の基本方針に変更がないことを引き続き関係各国に説明をしてまいります。
  54. 白眞勲

    ○白眞勲君 私がお聞きしているのは、今の山のように報道が来ているんだったらば、当然これが大臣の方まで上がってきてそれでこういう答弁になっているのか、それとも、そういうのは無視していい報道だけを外務大臣のところに持ってきているというふうな懸念はあるんじゃないかなと思うんですが、事務方の方、どうなんでしょうか、ちょっとお答えください。
  55. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) どなたが答えられますか。浅野外務大臣
  56. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 麻生大臣国会で答弁している意味合いは、先ほど申し上げましたように、訪問した際、あるいは各国の要人がお見えになった折など、政府間での懸念の表明はないということであります。  二〇〇〇年三月のただいまの指摘、数年前になりますけれども、こういう指摘を更に十分注意をして、これからの各国との説明の中に生かしてまいるように気を付けます。
  57. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は思うんですけどね、先ほど浅野大臣がいろいろな山のような報道があるということは全部報告が上がっているということも踏まえた上でこういう話をしたというふうにおっしゃっているわけですね。これは別に一か所だったら、それは漏らしたということだってそれはあるかもしれません、向こうだって山のような報道があるわけですから。ただ、これだけタイトルがはっきりと、タイトルがこれなんですから、漏らしようが私はないと思うんですよね。  ほかにも、これはやっぱり有力紙で、東亜日報の記事です。これは二〇〇六年の七月十四日、正に前回国会法案が提出されているころの話だと思うんですけれども、防衛庁昇格法案に触れながら、タイトルは日本はもはや戦争のできない国ではないとはっきり言っちゃっているわけですね、これ。核兵器製造能力まで示しながら、写真とかグラフを利用して大々的にこれ報道しているんですよ。防衛省を持って軍隊を保有した戦争のできる国、日本が先制攻撃に出る日がいつかやってくるかもしれない、これが結びですよ。これ事実としてこういう報道されているんですよ。これ我々やっぱり注意しなきゃいけないと思うんですね。  ですから、これでやっぱり、東亜日報って、私の前の出身母体は朝鮮日報ですけど、東亜日報ってやっぱりいつも意識している新聞社でしたよ。物すごい大きい新聞社ですよ。前は発行部数が彼らの方が大きかったんです、最近は朝鮮日報の方が大きくなったんだけど。でも、これだけやっぱりいわゆる韓国の大きな新聞社がこういう形でどんどん出しているということで、私は国会の答弁で懸念を表明している国があるとは承知いたしてませんというふうにはっきり言っているというんだったらば、これはミスリーディングなんじゃないのかと。今、浅野大臣がおっしゃったように、懸念を表明している国家の重要閣僚はいない、承知していませんと言うんだったらまだ分かりますよ。国ということになりますと、当然これは世論も含めて国だというふうに私は思うんですね。それについて浅野大臣、どうですか。
  58. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 先ほど申し上げましたように、繰り返しになりますけれども、麻生外務大臣のその国会答弁は、政府間での、政府間での接触の中で懸念の表明を、明らかな懸念の表明をした国はないという趣旨を申し上げております。改めて、改めて各種の報道、それは世論の一つの表明であることは事実でありますから、それらの今のような懸念自衛隊にはないわけではありますけれども、さらに各国へ、今、白先生が指摘したように、日本は明日にでも戦闘ができるような、そういう法制度になっておりませんからその指摘の懸念のようなことはございませんけれども、さらに、そういう指摘がある以上は重ねて、様々な機会を通じて専ら専守防衛を旨としている自衛隊の在り方を説明をしてまいりたいと存じます。
  59. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、外務大臣、先ほど国会の、これ代表質問での本会議で、衆議院の本会議で出している、あるいは衆議院の委員会でもあったような感じしましたけれども、懸念を表明している国があるとは承知していませんというのは訂正するということですね。
  60. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 麻生外務大臣のその発言は、重ねて申し上げますが、自らが接触した範囲での政府間の交流の中では懸念の表明を具体的に示されたことはないということを申し上げております。
  61. 白眞勲

    ○白眞勲君 この場合の懸念を表明している国というのは、国は国であって、いろいろな世論も含めて国というのを国として意味するのが我々一般的な認識だと思うんですね。それについて麻生、外務大臣どうなんでしょうか。ああ、浅野、間違った。
  62. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) もう一度正確に申し上げますと、外交ルートを通じて懸念の表明があったというケース、及び訪問をした際ないしは訪問を受けた際に懸念の表明を麻生大臣自らが接したことはないという意味でございます。
  63. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしましたら、これ、国会答弁、外交ルートを通じてという言葉をこれ入れるべきですよね。外交ルートを通じて懸念を表明している国があるとは承知しておりません、これ非常に分かるんですよ。ただ、この場合でいうと、懸念を表明している国があるとは承知いたしませんというと、それは国、国民の皆さんも含めて、まあ全員が全員ということはないにしても大部分の国民という意味合いは出てくるんですよ。これはまず議事録訂正すべきだと思いますけれども、浅野大臣、どうでしょうか。
  64. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 白委員の御指摘に対して、それを具体的に説明をすると外交ルートを通じて政府間のという意味合いであるということを申し上げておりまして、この麻生答弁はそのように御理解を賜ります。
  65. 白眞勲

    ○白眞勲君 それは私が聞いたからそのように理解してくれということであって、これだけ聞いたら、一般の国民は韓国の新聞、通常読んでいる人はいないわけですよ、中国も含めてね。そうしたら、こういったことはきちっと、私は、やっぱり議事録に載っているし、それからそう答えているんですから、代表質問でこれ答えたんだから。当然これは、外務大臣のこの文章というのは、ここだけはやっぱり入れるべきなんじゃないんでしょうか。いかがでしょうか。
  66. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 副大臣の私が今重ねて説明を申し上げており、このことは議事録に掲載をされますので、それをもって御了解を賜ります。
  67. 白眞勲

    ○白眞勲君 余り了解できないんですけれども、これ以上言ってもずっと行ったり来たりの話になっちゃうんだろうと思いますから、ちょっとここで先に進めたいと思いますが、このいわゆる報道というのは、これ衆議院の通過の前に報道されたものですけれども、実は衆議院通過した日から韓国の重立ったほとんどのメディアというのは詳しく報道し始めちゃったんですよ、また。もうほとんどのメディアが報道している。これ一々挙げると切りないんですけれども、例えば、産経新聞との関係が深い京郷新聞というのがあるんですね。京郷新聞は社説をやっぱり載せているんですね。で、相当警戒感を深めている。  やっぱり私思うんですけれども、これちょっと長官にじゃお聞きしたいと思いますが、これやっぱりアジア近隣諸国と友好関係をもっともっと深めて、ちゃんと信頼醸成、信頼関係を醸成しないといけないと思うわけでして、それからこの法案を、だらだらというふうにおっしゃった、それは国内ではだらだらしていたけれども、やっぱり海外でも少しだらだらやって、それから法案を出す気にはなりませんか。
  68. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 実は、これは十年前、私が防衛庁長官のときに民間の臨調というのがこの問題について答申を出しまして、防衛庁を省にすべきかどうか。そのときは橋本内閣でございましたが、外国からちょうど防衛交流が始まりまして、非常にいい雰囲気で始まって、向こうから中国も国防部長が見えて、私も行きましたし、私はまた韓国にも行きまして、それで向こうの国防部長と一緒にいろんなことを語り合ったりなんかして、非常に防衛交流が始まったときでした。  そのときに、この問題がどうするかということだったんですけれども、民間臨調の方にお願いして、パラレルな、中立的な、やってもいいし、やらぬでもいいようなという答申にしてもらった経緯がございます。それは、そういう防衛交流が始まったときなものだから、それで、しかもガイドラインとかいろんなことをやっていくさなかでございましたので、やっぱりそういうのをちゃんとやって、有事法制とかいろんなことをやっていかなきゃならないときにこれを一緒にやってしまうとどうかなということを橋本さんは多分懸念したんだと思います。  それで、私は委員会の、衆議院だったと思いますけれども、委員会の答弁で、防衛庁長官としては庁のまま置いておくというのはやっぱりおかしいので省にしてもらいたいと、やっぱりはっきりと政策官庁にしてもらいたいという思いはあるけれども、総理が大局的に判断してそれは決められることでありますから、今の時期じゃなければ、いいと思われたんでしょうということで、そういうような答弁で、まあちょっと不一致じゃないかと言われるかもしれないなと思いながら、そういう答弁をしたことがございました。  それから十年たってまいりまして、防衛交流は、ちょっと首脳同士のですが、いろんな問題で、靖国問題とかいろいろありまして途絶えておりましたけれども、最近こうやってスタートしましたし、その当時からの、そうは言いながらも、首脳同士の交流はなくても制服同士の交流とかそういうのはずっと続けてきておりましたので、かなり今、軍同士のそういう交流は深まっておりますから、少なくともそういうレベルでの誤解というのはほとんどございません。日本が専守防衛で自衛隊がこれ以上のことはやらない、できないということについては理解が深まってきておりますので、私はもう防衛庁を省にしていい時期に来たんじゃないかなというふうに思っておりますので、この時期でいいんじゃないかなと思ったわけであります。
  69. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、正に長官おっしゃったように、いわゆるそのレベルなんですよ。そのようなレベルでのいわゆる交流というのは盛んになってきているということは確かにそうかもしれません。ただ、やはりその間に靖国の問題、正に今長官も御指摘になったそういった問題もあって交流が途切れている部分もあるわけですよ。  と同時に、一番重要なのは、そのようなレベルではないレベル、国民国民の交流というものを進めることによってお互いの信頼醸成を進めていくということがより重要な部分では私はあると思うんですが、実はそういう中で今みたいな報道がじゃんじゃん出ているわけですね。もちろん、これが全くなくなるかどうかというのはそれは分かりませんよ。ただ、少なくともこれだけのやはり報道がじゃんじゃん出ているということですから、やはりその点について、今、浅野大臣もおっしゃったように、もっとこれ交流を進めてからでも私は遅くはないはずなんですよ。そうしないと、変な誤解が生じていったら、これどうにもならない。まあ、ちょっと今お話ししたい気持ちも分かるんです、ちょっと待ってくださいね。  それで、その中で、チャイナ・デーリー、これ中国の国営メディアですけれども、これもやはり、防衛省への昇格は単なる名前の変更だけではなくて野心の表示だなんというようなことまで言っている。これは読者の投稿欄を、読者投稿欄から出したものですけれども、でも、国営メディア、中国の国営メディアが読者投稿欄といえばこれは何を表しているかは私たちは分かるわけですから、そういう中で間接的にも非常に懸念は出しているということは是非私は考えて、やはりこの法案を慎重を期すべきだというふうに思います。
  70. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 民衆レベルといいますか国民レベルでいろんな意見があるのは分かりますし、またメディアがある一方的な強調をする場合もありますから、それはメディアが出したから、見出しで大きく出したからそれがみんなの声かどうかというそれよりも、これから先、日本というのは防衛庁が省になったとしても変わらないんだという、そういう姿勢を続けることの方がみんなに対してはかえって理解を与えるので、むしろ庁を省に、外国でそういうメディアが言っているからということでこちらが遠慮しておれば、正しいことを正しいというふうに言わないようなことにもなりかねないので、私は自信を持って防衛庁が省になったとしても日本が軍事大国にはならないという、私自身がそういう思いで取り組んでいるということを是非理解していただいて、そしてまた皆さん方からも各国に対して機会があったら、決して軍事大国にならないんだよということを今度法律が通っても言っていただきたいと、そういう思いも強いわけであります。
  71. 白眞勲

    ○白眞勲君 久間長官とか浅野大臣とかがそういうことを一生懸命説得して回っていても、その後ろでいろいろな責任のある人たちが逆のことを言っている人たちも一杯いるわけなんですよ。そういうことを総合的にやっぱり各国の国民というのは判断してやっていくわけなんですね。  ですから、その辺は逆に私たちの方にお願いしたいということもあるかもしれませんけれども、別のところにも久間長官たちがちゃんとお話をしていかないと、これ国内も含めてですよ、国内のある一定の人たちに対してやっぱり、何というんですかね、そういう問題についてきちっとした自分たちの考えということをやっぱりここでつくっていって、そういったものでお互いの交流というのは、別に防衛だけじゃなくていろいろな、ヨン様交流でも何でもいいんですよ。ともかく、ああ何だ一緒なんだね、価値観が一緒なんだねという交流をどんどん進めていくことから、初めて防衛省という問題について語り掛けても、向こうも、ああ彼らだったらいいねという部分になっていくということを私は言いたいんですよね。ですから、その辺をちょっと強調させていただきたいと思うんですけれども。  この名称についてちょっとお聞きしたいと思います。  防衛省になると隊員の士気が上がるなんということを説明も聞いたことがあるんです、私。実際の隊員の方に聞いてみますと、いや、士気が上がるのは背広のお偉いさんたちで、我々制服組は別にどうってことないですよと、なんて聞いたこともあるわけなんです。いろんな意見があるわけですけれども、またいろんな方がいろんな考え方を持っていらっしゃいますから、一つだけとか二つの意見聞いて一概にこうだということは断定はできません。ただ、例えはどうか分かりませんけれども、有限会社から株式会社になった会社を取ってみても、営業している社員は確かに喜ぶかもしれない、でも、リクルートでももちろん効果があるでしょう。ただ、実際、その会社の工場で働いている職人さんたちに言わせるとどうでもいいと、それよりもおれの給料上げてくれと、こういうふうに言うのが私は本音だと思うんですよ。  つまり、士気という測りにくい尺度ですと、結局神学論争的なものになってしまうと思うんですけれども、実際、長官、この辺りはどういうふうにお考えでしょうか。
  72. 久間章生

    国務大臣久間章生君) やっぱりそこは、若干微妙には違うと思いますね。  環境庁というのと、環境省になってから環境政策についてやっぱり、しっかりした政策官庁になったという意識があるんじゃないでしょうか。やっぱり、その辺はかつて自治庁だったのが自治省になる、あるいは経済企画庁はそれは今度ちょっと統合されてしまいましたけれども。  庁というのは、やっぱりそういう何か実行部隊だというそんな感じがしまして、いわゆる政策官庁としてのあれから見ますと、ちょっと与えられた仕事を実施する組織なんだという、そういうイメージがありますから、そこはやっぱり防衛省としていった方が意識の点では若干微妙に違うと思いますね、それは。
  73. 白眞勲

    ○白眞勲君 そこで、防衛省という名前なんですけれども、何で国防省じゃないのかということについて長官は、我が国国民に対して安心感を与えるんだと前に御答弁されているんですよ、国防省よりは防衛省の方がと。そんなに安心感を与えるんでしょうかね。別に安心感を与えるということで考えるならば、何か安全保障省とか、何か別の名前でもよかったような感じするんですけれども、その点いかがでしょうか。
  74. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今までの防衛庁という言葉に非常になじんでいるだけに、防衛庁とがらっと変わったというような、そういうことはなくて、余り変わっていないと、中身が、そういう意味での安心感があるというような意味で私は言ったわけでありまして、我々みたいな政策官庁としての位置付けをしっかり知っている者はいいとしても、国防省というと、何か知らぬ、随分、先ほどの先生の外国懸念じゃないけれども、国内でもそういう懸念を持つ人がやっぱりおられるんじゃないかと思うんですね。  それと、防衛庁という言葉に大分なじんできておりますから、ディフェンスという、専守防衛という、そういうようなことの含みを持つ意味で、私は防衛省の方が、もう私はこれは法案が出てから防衛庁長官になったんですけれども、防衛省の方が良かったんじゃないかとは今でも思っております。もう国会防衛省を国防省に変える修正案でも出されたらむしろ困るなという、そういう思いがするぐらいですから。
  75. 白眞勲

    ○白眞勲君 もちろん、幾ら国民に安心感を与えているといっても、肝心の海外では、何というんでしょうかね、防衛省だか国防省だか、その辺の区別というのをどう位置付けるかというのは、またこれ微妙な問題が私はあると思うんですけれども。  ちょっと英字表記について聞きたいんですけれども、今回、ジャパン・ディフェンス・エージェンシーですよね、防衛庁が、これが防衛省になるとどういうふうに変わるんでしょうか。事務方で結構ですからお答えください。
  76. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答え申し上げます。  まだ正式にこういう形ということではございませんが、今考えておりますのは、ミニストリー・オブ・ディフェンスという格好で考えております。
  77. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、これ国防省ですよね。
  78. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 防衛省というふうに我々は考えております。
  79. 白眞勲

    ○白眞勲君 諸外国で、いわゆる今ミニストリー・オブ・ディフェンスというふうにみんな言っていると、全部国防省で通っているわけですよね。私が今言っているのは、防衛省です。防衛省ですと今、西川さんおっしゃっているけど、これどういうふうに外国人にうちは防衛省なんだって理解させるんですか。英語でボウエイショウとか言うんですか。
  80. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 防衛庁長官官房西川官房長。  座ったままで結構です。マイクを押さえてください。
  81. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答え申し上げます。  実は今、白先生がおっしゃるナショナル・ディフェンスという言葉を、ミニストリー・オブ・ナショナル・ディフェンスという言葉を使っている、そういう翻訳を使っている国が結構ございます。そして、それで我々が日本語に直すとき国防省という翻訳を使っている場合もありますが、そこのところはあくまでも日本名の防衛省というのが正式で、外国語に直した場合には我々はミニストリー・オブ・ディフェンスということでしか今、そのときは説明をすると。もし日本語でどう言うんですかといった場合は、それは漢字を示すことになろうかと思いますが。
  82. 白眞勲

    ○白眞勲君 漢字を示すってどういうことですか。
  83. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) それは、正式には我々やはり国名で、日本語で防衛省というのが正式の名前で、それを英語で言われればミニストリー・オブ・ディフェンスですという言い方しか外に対してはできない。そして、それを国防省という翻訳ではないという形での説明というのを我々は、それはあえてそういうことはしないという格好でやっておりますけれども。
  84. 白眞勲

    ○白眞勲君 全然分からないんですよ、答弁が。  今、国防省ではなくて防衛省だというふうに言っているわけですね。これ防衛庁のこの資料見ても、ばあっと全部、全部国防省、国防省、国防省、国防省と書いてあるんだ、この書類。ミニストリー・オブ・ディフェンスですよ、全部。うち、日本だけがミニストリー・オブ・ディフェンス、いや防衛省ですと、この違いをどう外国説明するんですか。もう一回答えてください。
  85. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 外国説明という前に、まず我々は国防省という名前の法案にはなっておりませんで、あくまでも我々の名前は防衛省でございます。それで、ミニストリー・オブ・ディフェンスと書いて、それが国防省という名前と訳し方が違うという話であれば、そこで説明、必要とあればするしかない、こういうふうに考えておりますが。
  86. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私が聞いているのは、日本人との認識の若干のずれが生じている部分をどういうふうに英語で表現しているのかということを聞いているんですよ。
  87. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) そういう意味では、ミニストリー・オブ・ナショナル・ディフェンスというよりも、むしろミニストリー・オブ・ディフェンスの方が誤解の幅は少ないと、こういうふうに今考えております。
  88. 白眞勲

    ○白眞勲君 全然答えになっていませんよ。
  89. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 今、言葉として各国のそういう国防を担当している国がミニストリー・オブ・ディフェンスないしはミニストリー・オブ・ナショナル・ディフェンスという形であるということであれば、我々はミニストリー・オブ・ディフェンスという方が防衛省という我々が使っている名称により近い英語の表記であろうと、こういうふうに考えております。
  90. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、これは海外向けには結局、外国の人は国防省と認識してもしようがないということでいいわけですね。
  91. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 仕方がないというよりも、我々の防衛省ということを一番近い訳語という格好だと。訳語でございますので、そう完全に、先生がおっしゃるように一〇〇%伝わるということは難しいんじゃないかと思っております。それで、そういうところをとらえてやむを得ないんだねということであれば、やむを得ないことになろうかと思います。
  92. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 日本語というのは微妙なニュアンスを使い分ける表現がありますけれども、外国語の場合はそれがないので、だから、例えばあなたというのを、日本だったら貴方という形で尊敬して書く漢字もありますけれども、英語だったら全部ユーなんですね、あなた様も君も全部ユーなんです。だから、そういう点では、外国語で表記したときには一緒に全部同じように取られてしまう。  しかしながら、そういう微妙なニュアンスの違いをやっぱりこの防衛省の、法律では防衛省と表現することによって我々としては表現しているという、そこのところの違いについて理解していただきたいと思うんで、外国から見たときの表現の仕方は非常に語彙が少ないケースがありまして、例えばここにナショナルを入れようと入れまいと、ミニストリー・オブ・ディフェンスと、あるいはナショナルディフェンスといっても同じようなことになろうと思いますので、そこはあえて入れても入れなくても、結局表現の仕方は外国では同じかもしれません。それは、自衛隊というふうに私たちは言っていますけれども、それはもう専守防衛に徹しているから自衛隊で、これは軍隊とは違うと言っていますけれども、国内では。ところが、外国から見た場合は軍隊じゃないかというふうに国際法上は扱われるという、そういう違いも実際生じていますから。そういう点では向こうの表現の仕方が、外国ではミニストリー・オブ・ディフェンスと、そういうような表現になるのはやむを得ないのかもしれません。
  93. 白眞勲

    ○白眞勲君 最終的に何か英語の話を、私も英語よく分からない部分、先生はよく分かっている、長官は分かっているからそういうふうにおっしゃっているんだと思うんですけれども、ただ私はもっと別の部分でこの表現がやっぱりポイントなんじゃないかなと思うんですね。  つまり、例えば前にも緒方委員からも、戦闘地域という言葉がイラクであったけれども、その戦闘地域というのはアメリカでは表現ができなくて、結局日本語のローマ字でセントウチイキと書いているということを聞いたことがある。やっぱり、何というの、日本語のやっぱりこの、どう表現していいんだかよく分からないんですけど、何かいわゆるごまかしみたいなものがこういったところに出てくる可能性というのも私は否定できないと思うんですよ。  だから、本当は国防省、これ外国ではもう国防省ですよという認識なんですね。認識として、別にどうあれ、我々が防衛省だ何とか言ったって、結局ミニストリー・オブ・ディフェンスで来たわけで、ほかの国もミニストリー・オブ・ディフェンスなんですから、その十把一からげの中の日本というとらえ方をすれば、ああ、日本も同じだねということなんですよ。  だから、逆に言えば、答弁としても、私は、いやいや、これいいんですよと言った方が非常に海外にも分かりやすい話になっちゃうんだと私は思いますよ。
  94. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 外国でどうか、どう映るかというのは別として、我が国の場合はそういう細かいニュアンスの差までも表現して、法律でも何でもそうですけれども、細かい違いをやっぱり正確に表そうとするわけですね。  だから、戦闘地域と非戦闘地域といった場合は、日本人だったらそこはやっぱり分かるわけで、(発言する者あり)あっ、分からないですか。いや、それはしかし違っているんですよ。戦闘地域という場合は、やっぱりその対立の図式があって戦っている状態。ところが、内乱状態とかあるいは治安が悪いという状態、これも、治安が悪いのも戦闘地域かというとそれは違う。やっぱりみんな国民は、国民というよりも日本の場合は、法律用語としても法令用語としてもその辺は使い分けながら従来やってきておりますから、戦闘地域と治安が悪い状態とはこれはやっぱり違うわけでありまして。だからそこのところは、戦闘行為と非常にテロがあって治安が悪いというのとは、微妙なそこの違いをやっぱり日本人というのは表現し得てきているわけでございますんで。だから、国防省というのと防衛省では、防衛省の方が何となくみんなになじんできていて、今までとそう変わらないんだなというイメージを与える。これが国防省というふうにもし法律で書いてしまったら、非常に大きく変わったような印象を与えるんじゃないかと、そういうふうに思うんですね。  だから、そこのところのニュアンスの差を是非、余りこれも、もういっそのことだから国防省にしてしまえなんという修正案を出さないように是非お願いしたいと思います。
  95. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、ちょっとここでまた別の、ちょっと聞きたいんですが、防衛庁が省になったときに、自衛隊というのを自衛軍にするつもりはおありでしょうか。
  96. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 我々はそういう考えはございませんが、党として憲法改正を行った場合は自衛軍を設けるという、そういう表現を自民党としてはしております。しかしながら、これは自民党があくまで憲法草案として作っておるわけで、これが国会で各党の賛成を得て発議されて憲法を改正するようなことがあれば別ですけれども、そこまで行くかどうか、これはまだ、我が党の主張として党大会で決めていますけれども、そこまではまだ難しいんじゃないかなという思いもございます。
  97. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、もうちょっとお聞きしますけれども、自衛隊のまま、憲法改正が行われるまでは自衛隊のまま行きますということでよろしいですね。
  98. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それはそのつもりでございます。
  99. 白眞勲

    ○白眞勲君 自衛隊の英語表記はどうなるんでしょうか。
  100. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答えします。  セルフディフェンスフォーシズとなっております。
  101. 白眞勲

    ○白眞勲君 フォース、フォースじゃないの。
  102. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) フォーシズ。済みません。複数でフォーシズ。複数で、最後エス付きます。
  103. 白眞勲

    ○白眞勲君 フォーシズですね。
  104. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) ごめんなさい、失礼しました。エスございません。フォースだけです。済みません。申し訳ございません。
  105. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは、今後、自衛軍というふうに訳したりしないですね。
  106. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 法律に書いてありますが、我々は自衛隊と、こういう形で行っていくつもりでございます。
  107. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、陸海空、それぞれの自衛隊はグラウンドとかマリタイムとかエアーを付けて、その後セルフディフェンスフォースとなりますよね。
  108. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) そのとおりでございます。
  109. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、今後どうなるんでしょうか、防衛省移行した後は。
  110. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) そこは従来どおり変わりません。これまでと同じことです。
  111. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、陸海空軍と訳したりはしないんですね。
  112. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊というふうに法律で書いております。そういうものは、軍というのはございません。訳しません。訳したりしません。
  113. 白眞勲

    ○白眞勲君 では、例えば今後、情報本部、装備本部、技術研究本部というのがありますけれども、それが情報庁、装備庁、技術研究庁みたいに、その名前の変更可能性というのはどうなんでしょうか。
  114. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 今のところは一切考えておりません。
  115. 白眞勲

    ○白眞勲君 その今のところというのがちょっと分からないんですけれども。
  116. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 今のところというのは、今回の省移行への法案改正に伴ってはそういうことは考えておりませんということでございます。
  117. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、今後は可能性としてありということですね。
  118. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 可能性があるという言い方はしませんが、とにかく今はそういう形で変えることは考えていないということでございます。
  119. 白眞勲

    ○白眞勲君 なぜこういう話をするかといいますと、今回の省昇格において度々長官も今まで御答弁されているように、今度ミニストリーになるんだと。それで、浅野大臣も、エージェンシーじゃもう海外でたまらぬという部分があってということになると、当然この後エージェンシーが、このミニストリーの下にエージェンシーという言葉で来る、いわゆる庁ですよね。そうすると、その方がいろいろな、何というんですか、相手との話合いにおいても意思の疎通がしやすくなる可能性があるというふうにも思えなくはないんですね。つまり、アメリカ組織の場合には、国防省の傘下には国家安全保障局、これナショナル・セキュリティー・エージェンシー、あるいはミサイル防衛局はミサイル・ディフェンス・エージェンシーというわけで、今後、この辺の整合性を私は付けなきゃいけないと思うんですけれども、この辺について、防衛庁長官、いかがでございますでしょうか。
  120. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今おっしゃられるような、そういうことにはならないと思います。どっちかというと今行革で非常に縮小しておりますし、それと、庁という場合は一つの規則を発することができます、そこの長官は。だから、そういう意味で、防衛省の中でそういう規則を発するような長官組織を置くかどうかとなると、私はそれは難しいんじゃないかと思いますので、そういう意味での独立した庁といいますかね、農林水産省の中に食糧庁があったり水産庁があったり林野庁があるような、そういう形での庁は私は防衛省の場合は置かないと思います。
  121. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、エージェンシーというものを今後例えば、技術本部でしたっけ、技術本部とかなんかの人たちに英語でエージェンシーを付けることはないということですね。
  122. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それはないと思います。というのは、防衛施設庁がありましたけれども、あれは外郭として入ってきたわけですけれども、あれも防衛庁、防衛施設庁があって、結局今度の問題でも問題になりましたが、結局、防衛庁長官はもちろんそのヘッドにおりますからあれですけど、その他の防衛次官を始めとする、そういうのは防衛庁、防衛施設庁に対しては監督権限がないわけですね、指揮監督権が。  だから、庁にするとそういうことが出てまいりますので、そういう意味でも今後むしろそういう庁として独立するような組織をつくることの方が不適切じゃないかという、そういう判断をいたしますので、ないと思います。
  123. 白眞勲

    ○白眞勲君 海上保安庁との兼ね合いについてお聞きしたいと思いますけれども、防衛庁と海上保安庁とは今のところ同格と見ていいですね。
  124. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 同格といいますか、防衛庁長官国務大臣をもって充てるとなっておりまして、海上保安庁長官はそうでございませんから、そういう意味では若干違いますし、そして、我が国防衛出動その他してそういう事態に至ったときには、海上保安庁は防衛庁長官の指揮下に入ることになっておりますから、そういう点では若干の違いがございますが、今は組織としてはいわゆる庁であることに変わりません。
  125. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、今正に久間防衛庁長官がおっしゃったように、防衛庁長官の、海上保安庁は、海上保安庁が防衛庁長官の指揮下に入る、有事の際ですけれども、ということですけれども、これは防衛省になってもその部分は変わらないということでよろしいですね。
  126. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 現在の、そのまま移行しておりますので変わらないことになっております。
  127. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、その法的な位置付けというのは、自衛隊法にそれは書いてあることを今、久間防衛庁長官はおっしゃったわけでしょうけれども、これは自衛隊法だと。ところが、海上保安庁法には書いていないようですけれども、なぜでしょうか。海上保安庁にお聞きしたいと思います。
  128. 藤井章治

    政府参考人(藤井章治君) お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、先ほど自衛隊法、現状の第八十条でございますが、この中に、先ほどお話がございましたように、防衛出動等における自衛隊との関係が書かれておりますので、これにつきましてはもうこの自衛隊法で尽きておりますので、海上保安庁法におきましては何ら規定はないということでございます。
  129. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、何も触れてないということですから、有事の際には防衛省防衛大臣が指揮をするといっても、海上保安庁はそのまま、その法律の中には、国土交通大臣の指揮下に入っているわけですよね、元々が。その変更がないということになると、防衛大臣と国土交通大臣の二人の指揮に入っちゃうという形になりませんか。その辺はどうなんですか。
  130. 藤井章治

    政府参考人(藤井章治君) 御指摘のとおり、現行の第八十条の段階でもこの防衛庁長官と国土交通大臣が、二人の指揮下にあるということは変わりはないわけでございますが、おっしゃるとおり、これからの防衛大臣の指揮下に入るときにおきまして国土交通大臣との指揮と二重になるということでございますが、私どもの整理といたしましてはいずれの指揮にも入るということで、国土交通大臣におきましては例えば人事等の権限といったような管理業務につきましては引き続き指揮を受けると、こういうような形になるものと理解しております。
  131. 白眞勲

    ○白眞勲君 非常に分かりにくいんですね。これ、有事の際というのは緊急のときですよね。緊急のときにこれ、現場は混乱しませんか。この辺どうなんでしょうか。海上保安庁、お答えください。
  132. 藤井章治

    政府参考人(藤井章治君) いずれにいたしましても、国土交通大臣あるいは防衛大臣の指揮に入ると、こういうことになりましても、防衛大臣の指揮につきましても海上保安庁長官を通じての指揮をするという形でございますので、問題はないというふうに理解をいたしております。
  133. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私、問題ないわけないと思うんですよね。指揮官が二人いる形になっちゃうんですよ。ですから、私、その辺、やはりきちっと法的に整備をする必要があるんじゃないかなというふうに思うんですね。  それで、国土交通省の梶山さんですか、政務官、梶山政務官、どうですか、その辺どうお考えですか。
  134. 梶山弘志

    大臣政務官(梶山弘志君) 現行の自衛隊法八十条にも書いてあるんですけれども、海上保安庁の全部又は一部を防衛大臣の統制下に入れることができるということでありまして、この一部というのは所掌業務、また地域的なものも指すわけでありますけれども、そういった整理をした上でその指揮下に置かれるということであって、先ほど次長が申しましたように、そのほかに懲戒等の権限に関しましては国土交通大臣が持つということでありまして、それがダブるような場合においては海上保安庁長官を通じて調整をするということになっているかと思います。
  135. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、一部についての言及がありましたけれども、その一部というのは、そういうふうにどこで認識して、どういうふうなバックグラウンドでそれを書かれているんですか。
  136. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 八十条のところに、内閣総理大臣は全部又はその一部をその指揮下に入れることができると、こういうふうに書いてございまして、その場合は必要に応じ、その必要な範囲においていわゆる統制下に入れると。その統制下の中で実際に海保庁の長官が仕事をする場合にはそれは、失礼しました、防衛大臣、これが新しい法律になりますと、防衛大臣の方からそこに一つの固まりで仕事をお願いするという格好になろうかと思います。
  137. 白眞勲

    ○白眞勲君 私、一つこれ梶山政務官にお聞きしたい、お話ししたいんだけれども、統制を受ける方なんですよ、国土交通省の海上保安庁はね。で、統制を受ける方が法律に書いてないというのは私、不思議でしようがないんですよ。統制下に入るという方はいいんだけど、統制に入る方が全く一言もその件に触れていない。法律の中に自衛隊に組み込まれるということが全く書いてないんですよ、これ、海上保安庁の法律の方を見ても。  私、これね、やっぱりこれ、ちゃんと自衛隊とよく、防衛庁と、まあ防衛庁ですね、防衛庁とよくその辺はすり合わせをして、この辺りは有事の際、有事の際にどうするんだという、海上保安庁はどこまでをやっていくんだということもある程度、何というんですかね、シミュレーションしながら、きちっとそこは、まあ法律に書けなくてもいいけれども、何らかの形でやっていく必要があるんではないのかなというふうに思うんですけれども、その辺、御意見ちょっとお聞きしたいと思います。
  138. 梶山弘志

    大臣政務官(梶山弘志君) 白委員御指摘のとおり、自衛隊法第八十条の規定の発動がありました場合には、海上保安庁は、現行法では防衛庁長官、そして改正後には防衛大臣の指揮下に入ることとなります。  いずれの場合におきましても、海上保安庁の任務そのものには変更はないと。海上保安庁法第二条に規定をする所掌の事務範囲内において、海上における人命、財産の保護、そして海上における犯罪の取締り等の業務に専念をすることになっておりまして、現状におきましては海上保安庁としてはそういう認識でおります。
  139. 白眞勲

    ○白眞勲君 ただ、今申し上げましたように、指揮下に入るといっても、国土交通大臣の指揮下にも元々入っているわけですから、その辺の整合性をきちっとしないと、有事の際というのは急いでいるわけですから。その辺を、ちょっと久間防衛庁長官が非常にお話ししたがってしようがないみたいで、ずっと。お願いします。
  140. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 内閣総理大臣がその統制下に置くわけですね、海上保安庁長官を。そして、統制下に入れたときには、防衛大臣の統制下に入れますということを決めるわけです。そうしたときは、政令で定めることにより指揮させるということになるわけですね、防衛庁、今度は防衛大臣ですけど、防衛庁長官に海上保安庁を。  だから、その政令で定めるところによりというのは、その具体的な指揮の仕方をそこで、──政令で定めるところによりというのは、そこで防衛庁と、いわゆる防衛省ですか、今度、防衛省と国土交通省とも一緒になってその政令を作るわけですから、政令でやる以上はですね。だから、それで調整はできるわけですから、そういう懸念はないんだと思いますけどね。
  141. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私がお聞きしたいのは、今回は、内閣総理大臣の統制下であったものが防衛大臣の直接の統制下になるというところなんじゃないんでしょうかということなんですね。ですからこそ、法律をこの際だからきちんとした方がいいんじゃないのかという部分を私は申し上げているわけなんですけれども、国土交通省、ちょっと、じゃもう一度政務官お願いします。これ検討した方がいいと思いますよ。どうでしょうか。
  142. 梶山弘志

    大臣政務官(梶山弘志君) 従来からその判断は内閣総理大臣ということで、従来の法律の場合は防衛庁長官の指揮下に入る。それで、今後の法律の場合は、改正後の法律の場合は防衛大臣の指揮下に入るということですから、何ら変更はないと思っております。
  143. 白眞勲

    ○白眞勲君 もう時間もそろそろランチタイムですので、最後の質問にさせていただきたいと思いますが。  私が今言っているのは、何ら変更はないのは分かっているんですよ。何ら変更はありませんよと、それはもう分かりましたと。ただ、ポイントは、変更がないからもう何もしなくていいということではなくて、そうではなくて、こういうことについてはきちっとした色分けをした方がいいんじゃないんでしょうかと、何かのときにということを私は申し上げているんですよ。  検討をして、この防衛省に今度組み込まれるわけですから、海上保安庁が。そういったときに、海上保安庁の方に何にもそういった規定というのが一行もないというのは、やっぱりこの辺はちゃんとすり合わせをして、どういう場合にどういうふうにしたらいいのかということを考えた方がいいんじゃないんですかということを言っているわけなんですね。
  144. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 現在も、実はこの八十条の関係につきましては、国土交通省の海保とそれから防衛庁の方では事務レベルのそういう協議みたいなことを続けております。それはいろいろ、こういう規定が実際に動くのかどうか、問題点はどうかということで、これは従来からやっておりまして、今後も続けていく予定でございます。
  145. 白眞勲

    ○白眞勲君 終わります。     ─────────────
  146. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、浜田昌良君が委員辞任され、その補欠として荒木清寛君が選任されました。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩といたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  147. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) ただいまから外交防衛委員会再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  148. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  それでは、内閣府にお聞きいたします、官房副長官もいらっしゃったので。  今回、内閣府の所管から離れて防衛省ができるわけですけれども、内閣府としては今回所管から離れていくことに対してどう思っているのかなと。メリット、デメリットを御説明願いたいと思います。
  149. 土肥原洋

    政府参考人土肥原洋君) お尋ねの件でございますけれども、国内外での自衛隊活動の増加や我が国を取り巻く安全保障環境の変化などにより、近年、防衛庁の役割はその重要性を増しているところでございます。こうした中で、防衛庁を省として諸外国の国防を担当する行政組織と対等に位置付けまして、専任の主任の大臣を置き、各種の事態に的確に対応していくことが必要であると内閣府として考え法案審議をお願いしているところでございます。
  150. 白眞勲

    ○白眞勲君 よく、今も久間長官浅野大臣も、そして内閣府でもそういう話があるんですけれども、いわゆる対等になるんだ、対等になるんだということなんですけれども、本当にそういった対等ということでこの防衛庁を省にしていくという方法でいいのだろうかという議論というのはしたのかなとちょっと私は思うわけですね。  今、内閣府にいるわけですよ。つまり、そうすると、例えば今、海外での動きは、今、正に久間長官も先ほどもおっしゃったんですけれども、いわゆる国家対国家の戦争というよりも、そういうテロとどういうふうに向き合うかという観点からすると、この内閣府の権限をより大きくして、そして外交、そして財政、財務、やっぱりお金も大分掛かるということもあるので、そういうものを総合的に調整する内閣府の機能として防衛庁を置いてもいいんではないのかなと。つまり、内閣府の機能を高めるという方向性で防衛庁をそのまんまにするという考えもあるとは思うんですけれども、鈴木さん、鈴木副官房長官、その点についていかがお考えでしょうか。
  151. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 座ったままで結構です。
  152. 鈴木政二

    内閣官房長官鈴木政二君) ああ、結構ですか。  今御案内のように、これに併せて、私ども総理がいろんな答弁の中で言っておりますし、また一番大事なことは、総理の所信表明の演説において表明されました国家安全保障に関する官邸機能の強化というものを併せて、今この問題について私どもとしては関係省庁が効果的に機能するという面も踏まえ、また、庁よりも省に、その能力を十分発揮できるような形が好ましいと思っておりますので、私どもはこれでいいと思って進めております。
  153. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、その官邸機能の強化というお話を正に鈴木副官房長官さんの方でおっしゃったけれども、その安全保障会議、国家安全保障会議、いわゆる日本版NSCを大きく拡大させるというような報道もある。その点と、内閣に今ある安全保障会議との兼ね合いはこれからどうなるのかなというふうにも思いましたが、一応久間長官もお答えになってはいるんですけど、そのそれぞれの役割について触れただけで、それぞれどのような今後結び付きで関連していくのかが、何かちょっと私ははっきりしないんですね。この点を鈴木副官房長官、ちょっと分かりやすく説明してくれませんか。
  154. 鈴木政二

    内閣官房長官鈴木政二君) 私ども政府として、この安全保障の確保はもう最大の重点課題でありますし、今後政治の強力なリーダーシップがより外交と安全保障に戦略上迅速に決定できる仕組みをやっぱり構築しなきゃならないというのが急務であります。  そういう面では、先ほど言いましたように、総理が今度議長となりますけれども、国家安全保障に関する官邸機能強化会議を設置いたしまして、今回、こういう形でしっかりと進めていきたい。なお、この強化会議でありますけれども、現在、来年の二月末ぐらいにはいろんな意見を集約して方向付けをしていきたいと考えております。
  155. 白眞勲

    ○白眞勲君 二月でいい、二月ですね。
  156. 鈴木政二

    内閣官房長官鈴木政二君) 二月末です。
  157. 白眞勲

    ○白眞勲君 長官にちょっとお聞きしたいんですけれども、今後防衛省に格上げになった際、より政策に関与していくというふうになっていくと思いますが、先ほど申し上げたいわゆる日本版NSCと安全保障会議との兼ね合いはどういうふうになるんでしょうか。
  158. 久間章生

    国務大臣久間章生君) NSCの方はどういう形でつくられていくのか、今まだ有識者会議が開かれて意見が出されておる段階ですから、それがある程度まとまりを見せ始めたころに我々にも相談があると思いますので、そういう中で、今の安全保障会議をどういう形に拡大するのか、あるいはまた別途においてそれとの関係をどういうふうにつながらせるのか、それと各省庁との関係はどうしていくのか、それはこれからの作業じゃないかと思っておりますので、注意深く見ていきたいと思っております。
  159. 白眞勲

    ○白眞勲君 内閣府にちょっとお聞きしますが、防衛庁を担当するというのは部局としてはあるんでしょうか。
  160. 土肥原洋

    政府参考人土肥原洋君) お尋ねの件でございますけれども、内閣府本府に専ら防衛庁を担当する部局というのは置かれているわけではございません。
  161. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、いずれにしたって仕事量は減るわけですよね。どのぐらい減るんでしょうか、お答えください。
  162. 土肥原洋

    政府参考人土肥原洋君) お尋ねの件でございますが、先ほど申しましたように、専らその防衛庁を担当する部局が置かれているわけではございませんので、防衛庁が仮に内閣府の外局から外れるということでもスリム化、効率化が図られるということは特にございません。
  163. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、今までも内閣府はスリム化、合理化が図られるほどの仕事はしなかったということですか。
  164. 土肥原洋

    政府参考人土肥原洋君) お尋ねの件でございますけれども、これまででございますけれども、防衛庁はその外局といたしまして実質的には内閣府本府から独立した組織でございまして、先ほど申しましたように、内閣府本府に専ら防衛庁を担当する部局が置かれているということではございません。  内閣府本府といたしましては、実質的な判断は防衛庁にゆだねつつ、閣議請議や財務大臣への予算要求など内閣府の長たる内閣総理大臣名で行うことが必要な事項について所要の手続を行っていると、そういうことでございます。
  165. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、所要の手続を行ったということは、右から左に判こを押して出していたってことですか、お答えください。簡単にお答えください。
  166. 土肥原洋

    政府参考人土肥原洋君) 具体的には、閣議請議書への内閣総理大臣印の押印等、こういったものは内閣府本府において行っているところでございます。
  167. 白眞勲

    ○白眞勲君 要するに判こを押していたということだということだと思いますけれども。  ここに防衛庁が配っている「防衛庁を省に」というパンフレット、これ、多分委員の皆さん、皆さんお持ちになっているんじゃないかと思うんですけれども、この中にアンケート調査があっていろいろ書いてあるんですね。自衛隊への全般的な印象が八五%が好印象だとか、国際平和協力活動も八五%が肯定的とか、いろいろ書いてあるんですよ。こういうパンフレットを作るならば、一番簡単なのは、防衛庁を省にしたときに国民はどういうふうに思っていますかというのをパーセンテージで入れるのが当たり前だと思うんです。これ、なぜ入れなかったんですか。
  168. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そのパンフレットは、正直言いまして、私が就任する前でございますから、項目とかそういうものについて打合せしたわけじゃございませんけれども、これまでの自衛隊防衛庁に対する評価を主として書いたわけでありまして、これだけ自衛隊に対する任務の理解度あるいはまた期待度、そういうのが高まっておるということを言いたかったわけでしょう。  だから、防衛庁を省にするのを賛成か反対かという、そういう世論調査をそういうのに反映させるというのも、ちょっと法案審議の前にいかがなものかと思いますので、何かそういうことはやっぱり役所としては余りすべきじゃないんじゃないかと思いますので、むしろそれは、そういう全般としていろんなことをやるときに調査するとか、あるいは各マスコミ等がやることについてそれを参考にするということはあったとしても、自分が法案を通すために賛成のパーセンテージを余り取って出すというのはいかがかなと思いますね。
  169. 白眞勲

    ○白眞勲君 ただ、私が思うには、逆に、省にすることに対して賛成か反対かということをこのパンフレットに入れて、賛成が多いんだったら、国民の大部分が賛成しているのだったらああそうですかの話なんですね。一番簡単で、単刀直入に聞くのが私としてはそれが一番だと思うんですけれども、何か奥ゆかしさを非常に醸し出したような御答弁をされているんですが。  ここで内閣府にお聞きいたします。  ここには、読売新聞以外はこれ全部内閣府の調査、世論調査の結果が載っているんですけど、だったらなぜ一番重要な防衛庁を省にすべきかどうかというのを聞かなかったんでしょうか、お答えください。
  170. 谷口隆司

    政府参考人(谷口隆司君) お答えを申し上げます。防衛庁と私ども政府広報室との間の世論調査の実施に関する事務的なやり取りにかかわることでございますので、私の方からお答えを申し上げます。  防衛問題あるいは自衛隊関係につきましては、一つは、時系列で国民意識の変化を見る、そういう調査をやっております。それは三年置きに行っているものでございまして、このように、時の経過に応じまして国民意識が防衛問題それから自衛隊に関してどのように変わっているかと、これを継続的に三年置きというような形で行っております。  それからもう一つは、一つの出来事がありましたときに、そのタイミングをとらえて特に行う世論調査でございまして、こちらの世論調査といたしましては、これは本年の九月に実施をいたしたものでございますが、自衛隊イラク人道復興支援活動に関する世論調査、これを実施しているというような状況にございます。
  171. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、時系列というふうにおっしゃったんですけれども、久間防衛庁長官大分前からこの防衛庁を省にするということに対して政府部内でもいろいろな意見交換があったということですから、当然時系列の中で、防衛庁を省にしていくのは賛成ですか反対ですかとか、そういったことをどんどん聞くことによって国民意識の高まりというものを表現しても良かったんではないかなというふうに思うんですけれども、それについてなぜ調査しなかったのか、もう一度お答えください。
  172. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、平成九年の段階で、これは行革の最終会議段階で、政治的な重要な課題であるという格好で、以後、政治的分野で検討せよということでございましたので、我々もその動きを注視しながら、その動きに従った形でやっていくと。その動きに従った形でいろんな作業も続けてまいりました。  ちょうど、これ作業、この調査、たしかあったのは二月、一月か何かのころだと思います。ですから、そのころはまだ法案も何も決まってませんし、政府として、今回のこういう法案を提出するとかいうことも明確にまだ、時期的には違ったと、こういうふうに記憶しております。
  173. 白眞勲

    ○白眞勲君 別に、その法案を提出すればそのアンケート調査をしろということでは私はないと思うんですね、別に。ただ、この自衛隊への認識度とか防衛庁としての認識というものをしっかりとやはり把握する必要性というのはあったんではないかなというふうに思うんですけれども。  内閣府は、ちょっとお聞きしたいと思いますけれども、この防衛庁を省にということを今まで過去に聞いたことありますか。
  174. 谷口隆司

    政府参考人(谷口隆司君) お答えを申し上げます。  自衛隊に関心があるか、あるいは自衛隊にどのような印象を持つか、自衛隊を増強した方が良いと思うかどうか等々について三年置きにほぼ同じ設問で現在まで調査を重ねてきておりますが、お尋ねの防衛省と申しますか、そういう点に関する設問は入っておりません。
  175. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、やはりちゃんと調査すべきだと思いますけれども、内閣府の鈴木議官ですか、鈴木議官さんですよね。じゃないや、岡下さん、岡下務官岡下さん、どういうふうに思われますか。
  176. 岡下信子

    大臣政務官岡下信子君) お答えいたします。  内閣府では、世論調査といいますものは、政府の重要施策に関する国民意識を公正中立かつ正確に把握して、施策の企画やその効果的な推進に資することを目的として各種の世論調査を実施しております。  今委員からの御質問に対しましては、自衛隊についてでございますが、内閣府といたしましても、いろんな形で活動状況とか、そういうものは政府の広報を行っておりますけれども、こうした世論調査の結果を公表することによりまして国民意識を高めるとか関心を高めるとか、認識を深めるとかということに寄与しているものと考えております。
  177. 白眞勲

    ○白眞勲君 ともかく、やっぱり省昇格に対する国民がどういうふうに思っているのかというのをきちっと世論調査をするべきだと私は思っておりまして、新聞によりますと、これは六月二十日、日本経済新聞の記事ですけれども、防衛庁を省に昇格させる法案に関して、賛成は一七、反対が二一、どちらとも言えないが五一%というふうになっているわけですね。  これを載せろとは言いません、私は、このカタログにね、パンフレットにね。そこまでは言いたくはないけれども、やはりきちっとした世論の調査をしながら、どういうふうに国民に語り掛けていくかというのが私は一番重要なことではないかなというふうに思っております。  ところで、ここでイラク活動についてお聞きしますけれども、今回の法律改正において海外の任務が本来任務化されるわけですが、今実施されている航空自衛隊の空輸活動について、C130輸送機が一週間に四回、クウェート—イラク間を往復定期便化しているとの報道もありますけれども、どうなっているんでしょうか、お答えください。
  178. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 週四ないし五日でございまして、まあ天候等の状況によりますが、クウェート—イラク、それからクウェートからイラクの中でもタリルという空港、それからバグダッド、エルビル経由、そこの往復を行っております。
  179. 白眞勲

    ○白眞勲君 定期便化しているとの報道もありますけれども、そうなんですか。
  180. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 定期便かどうかは分かりませんけれど、一応、週二回はタリル空港、それから週一回はエルビルまで、それから週一回はバグダッドまでというふうに決めて飛んでおります。
  181. 白眞勲

    ○白眞勲君 いわゆる週二回、一回、一回というふうに決めて飛んでいるということでよろしいですね。
  182. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) はい。
  183. 白眞勲

    ○白眞勲君 これまで、何を空輸しているのか、なかなか国会でもいつ質問しても答えてくれないんですけれども、何空輸しているんでしょうか、もう一度お答えください。
  184. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 個別具体的には、各国ともやはり、この前から御説明をしておりますんですが、公表をしてない。それから、関係諸国、それから国連との関係で、要員の安全確保といった観点から個別具体的には発表を控えさせていただいているところでございますが、大くくりに言いまして、当然、人道復興関連支援物資、それから安全確保支援活動にかかわる物資等を運んでおります。
  185. 白眞勲

    ○白眞勲君 今回も、今おっしゃったように、その相手国との関係だということだからつまびらかにはできないというのが今までのずっとお決まりの答弁であるわけなんですけれども、今回衆議院でこの法案の附帯決議の中で、国際平和協力活動に当たって国民に対する十分な説明責任を果たすことというふうになっているわけですね。  そこで、多国籍軍の人員、物資の輸送において、その積荷の内容とか、余り本当に公表してないということですけれども、どういうやり方で今後説明するおつもりですか。
  186. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 挙手をしてから発言をください。防衛庁山崎運用企画局長
  187. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) これは、やはり先ほど御説明をしましたように、他国との関係、それから我が国の要員の安全確保、そういう観点と、それから説明責任という先生御指摘の点からも含めまして、どの程度のことが答弁可能かどうかは今後ともよく検討してまいりたいというふうに考えております。
  188. 白眞勲

    ○白眞勲君 この相手国との関係、今おっしゃった他国との関係で公表ができないと。分かる気もするんですけれども、ただ、当然国際平和協力活動というのは、これは相手国があってからの国際平和協力活動なわけじゃないですか。他国との関係だというふうに全部言ったら、これ、何にもこれ公表できなくなるんですよ。今、検討したいというふうに言うけれども、肝心の国民に対して説明が全く果たせないと言っても私はいいんではないかというふうに思って、この附帯決議自体が最初から無理な話なんじゃないかとも思えなくはないんですけれども、長官、いかがでございますか。
  189. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、私もやっぱりもう少し類型化してでもいいから何か説明をできるようにしたらどうかなという思いもあって、何かできないかなと思っているんですけれども、やっぱり厳密にはなかなか難しい点もありますのは、人道復興支援物資が大半ですけれども、要するに、例えば食料にしましても、活動するそういう多国籍軍あるいは国連の職員、そういった人たちの食料の場合、それが人道復興関係がどれだけでこれがどれだけって分からないで一遍に全部運んでいるわけですね。そういうこともあって、相手国の方からこれは人道復興支援物資の食料であるとか、そういうふうに類型化してもらえば、まあその分についてこれぐらいだというふうな、そういうこともやれるんですけれども、今そうなっていないから。  しかし、そうは言いながらも、何かやっぱり説明を求められたときにある程度公表できるような形にした方がいいんじゃないかと思って、そういう整理の仕方ができないかなと。ああいう附帯決議もあることですから、これから先、何か説明を果たせるようなやり方を考えてみたいと。それで、その点については相手国の了承も取れるんじゃないかと、また取るべきじゃないかなと思って、そういう形で了解を取った上でやりたいというふうに思っているわけであります。
  190. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非、これもシビリアンコントロールだと私は思っております。やはり情報の公開ということが一番重要なことであって、そういう中で、もちろんできないものはまあそれはしようがないねというのを、やっぱり国民がそこは、ああ、これはできなくてもしようがないねというんだったら、できないならできないなりに説明する必要があると思うんですね。この前の、何度もこんなことを言うのもなんでございますが、嫁いびりみたいで嫌なんだけれども、私のこの前の海上補給活動での線の引き方が陸上にまで掛かっちゃっているようなことをやられちゃうと、やっぱりこれって自衛隊って一体何なのよという話になっちゃうわけでして、是非お願いしたいなというふうに思うんですが。  その嫁いびりみたいな、また話をもう一つしなきゃいけないんですが、今度は情報流出の件についてちょっと私お聞きしたいと思います。  ちょうど衆議院のこの法律の採決の時点で、アメリカ中東軍が多国籍軍に出した資料が流出したと、こういう事件が発生しましたけれども、何でこう、何というのかな、どんどんどんどん出てくるんだろうなと。これ、長官、どう思いますか。
  191. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私もパソコンというのは余り得手じゃないものですからよく分からないんですが、あれも今の現在のやつじゃなくて、もう自分の私物には業務用のやつは入れるな、過去のやつを全部排除してしまえということで強く言っていたわけですね。そして、強く言って、本人は消しましたって、そう言うておったわけですね。ところが、それを今度は音楽か何か聞くためにつないだら、そこからウィニーか何かでばあっと過去に入っておったやつが消えてなくて出ちゃったというわけですね。  だから、そういうのはどこから来るのか、消しましたと言っているのにそういうことになってしまうというのは一体何なのか。私もどうもそのパソコン関係よう分かりませんけれども、そういうやつについてやっぱり徹底の仕方が足らないんじゃないかとかですね。だから、もう消しましたと本人が言っても、毎回毎回、もう過去にそういうふうに消したと言っているけど本当に大丈夫かということでくどくくどく言わないとこれはなかなか消えないのかなと思いながら、どうしたらいいのか、本当に頭の痛い問題だなと思っております。
  192. 白眞勲

    ○白眞勲君 陸上自衛隊でも、今回中部方面隊の内部資料が流出したとの報道があるんですけれども、この件についてはどうなんでしょうか。
  193. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) その件については私、恐縮でございますが、承知をしておりません。
  194. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、私は思うんですけど、今回の情報流出もしかり、潜水艦の衝突事件とか麻薬だか談合だとか、一体どうなっているんだというふうに思っているのは、これは私一人なのかなというふうに思うわけなんですね。  恐らく、私思うに、九九・何%、九九・点々何%ぐらいの人たち、自衛隊員とか防衛庁の職員というのは一生懸命これ日々努力しているわけですよ。で、ほんの一握りの人たちが不祥事を起こすと。  でも、そうすると、結局その部分が強調されてしまい、報道されて、日々のまじめな活動をしている人たちなどは全然無視されるわけですから、実際、先ほど士気が上がるかどうかって午前中の質疑でもありましたけれども、自衛隊防衛庁、どうなってるのということになってしまう。特に防衛庁を省に移行することに賛成の人たちの士気まで下がってしまうんじゃないかなというふうに思うんですけれども、どうなのかなと思うんですね。で、長官は本当に困ったと今もおっしゃっていましたけれども、泣きたいのは私たち野党も泣きたいんですよ、これ、もう本当に困ったなと。  これまでの通達では駄目で、もっと根本的な教育とか検査だとかが必要だと思うんですけれども、ポイントは、このパソコンの知識って上司の方が知らないんです。上から言えったって下の方が知ってたりするわけで、これ今までのやり方とちょっと変えなきゃいけないんじゃないかと思うんです。それ、ちゃんときちっと長官としても検討会を、検討会をつくってって、上の方がつくっちゃっているわけで、下の人の方がよく分かっているということ。今までのと逆三角形なんですね、知識がね。だから、その辺をどういうふうに考えるのかと。長官、もう一回ちょっとお願いします。
  195. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いずれにしましても、そういうことが非常に自衛隊にあるいは防衛庁に対する信頼を失っていくと大変なことになるわけですから、これはやっぱり本当に不祥事が起きないようにしなきゃなりませんので、今おっしゃられたように、まあ中間の管理職というのは大体もう全部分かっているわけですから、ウイークポイントもですね。だから、そういった人たちにむしろ中心になってもらって、どうしたらそれが徹底できるのか。特にこのパソコンについてはそういうような若い層に逆にやり方、検査なりあるいはまたそういうチェックの仕方のやり方等を中心になって考えてもらうとか、今までと違った観点からの何か一つのチェック体制を考えてみる必要があるんじゃないかなと思って、そういうことを内部では今言っているところであります。
  196. 白眞勲

    ○白眞勲君 防衛庁にちょっとお聞きしたいんですけれども、今後の予算編成に対して、これ長官がいいかと思うんですけれども、今回、本来任務に格上げになった海外の活動があるわけですけれども、これはやっぱり当然優先度は日本の防衛ということでよろしゅうございますね。
  197. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは当然そういうことでございます。
  198. 白眞勲

    ○白眞勲君 そこでお聞きしたいんですけれども、今度の予算編成に、今後予算編成のときに、例えば輸送機にするのかあるいは戦闘機にするのかとか、そういった、つまり次期戦闘機FXの選定というのも今後、今も話題になっている部分もあるとも聞いているんですけれども、どのような基準でそういったものを編成するのか。つまり、日本の防衛を第一に選定をするのかどうかということもかかわってくるかとは思うんですけれども、その辺については、長官、どうでしょうか。
  199. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは、予算編成のときというよりも、防衛大綱を決めたり、あるいはまた中期防衛力整備計画を決めますときに、そういうときにそういう選択をしなきゃならないわけでございますから、そういう中で決めていきたいというふうに思っております。
  200. 白眞勲

    ○白眞勲君 日米安保条約とか国連軍地位協定などというのは、今までどおり外務省が担当するんでしょうか。
  201. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 日米地位協定の解釈や実施に関することについては外務省が所管しておりまして、防衛庁防衛省に変更しても所管が変わることはありません。ちなみに、外務省設置法四条の五項にそのことが明記されております。
  202. 白眞勲

    ○白眞勲君 ただ、今後防衛省となった場合に、外務省といわゆる同格となるわけですよね。2プラス2のときにも、今までもこれ、何かいろいろな報道では2プラス1・5だったのがやっと2プラス2になるんじゃないかみたいな話まである。そういう中で、防衛庁長官にちょっとお聞きしたいんですけれども、権限の移譲というのはあるんでしょうか。
  203. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 外務省と今までの防衛庁との関係は、今度防衛省になりましてもこれまでと同じだと思っております。
  204. 白眞勲

    ○白眞勲君 最後の質問だけします。  国連軍地位協定における我が国の後方司令部と今回の横田飛行場の共同統合運用調整所とはどのような関係を構築するおつもりなのか、外務省、お答えください。
  205. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 申し訳ございません。必ずしも御質問の趣旨が、後方司令部と横田の関係でございますか。
  206. 白眞勲

    ○白眞勲君 国連軍地位協定なんです。
  207. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 国連軍地位協定、分かりました。  国連軍につきましては、日本に後方司令部が座間にございます。そして、韓国に関する国連軍の司令部はソウルにあるということでございまして、日本にある国連軍の後方司令部は基本的に後方支援の任務を負っているということでございます。
  208. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、そういうことではなくて、横田飛行場に今度、共同統合運用調整所ができますよね。それとの関係はどういうふうになるんでしょうかということです。
  209. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 今後横田にできるその調整所と国連軍の関係というのは、現時点においては具体的な関係は想定されておりません。
  210. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 白眞勲君の質疑は終了しました。  続いて、榛葉賀津也君
  211. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  白委員の時間内で、私も防衛庁に幾つかお伺いをしたいと思います。  まず、ウィニーによる情報流出問題でございますが、今、白委員からも指摘がございました。私たちが議席をいただいてから五年余りがたちましたが、この間にもいろんなことがありました。談合問題、薬物問題、そして相次ぐ情報流出問題。私は、国民のためにも、そして、いみじくも先ほど白先生もおっしゃったように、まじめに働いているほとんどの自衛官のためにも、こういった不祥事は絶対に許されないと思っております。  そして、自衛官も人間でございますから、過ちを犯すと思います。これは、ある意味では致し方のないこともあるかもしれません。しかし、この情報流出は、私も、額賀長官当時、四月にNHKのテレビの入っている予算委員会で、総理も御出席をされた予算委員会でこの問題を取り上げ、この防止策を何とかしよう、そして事務次官通達も再三にわたって行われてきた。にもかかわらず、また情報が流出をしたということであります。極めて遺憾でありまして、私なりに建設的に防衛庁と議論をしてきた委員の一人として大変残念であると言わざるを得ないと思っております。  まず、長官、この事件の再発、どのように受け止めていらっしゃいますか。
  212. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 抜本対策を講じましたと、そういうふうに言った後にまたこういうことが起きているわけでありますから、これは本当にもう弁解の余地がないぐらい大変申し訳ないわけでありまして、ただ、どういうふうにするのか、やっぱり、先ほどもちょっと話をしましたけれども、パソコン等については、その媒体物に、業務用使うやつは自動的に暗号化するような、そういうようなことまでするとか、何か今までと違う方法を使わないと、口やかましく何回言っておってもなってくるというのはどこなのかという点で、本当に正直言って、従来のことで、繰り返し繰り返し言っておって、じゃ本当に完璧を期すことができるのかというような思いもございまして、何かもう制度的に、CDにくっ付けたときに、それを使ったときにはもう暗号化されてしまうようなソフトというのがあるのかないのか、それも含めて何かとにかく研究してみる必要があるんじゃないかなと思っておるんで、先生方で詳しければ、もし何かいろいろと指導していただければ大変有り難いんですけど、私は、正直言って、パソコンのたぐいについては余り得手じゃないものですから。
  213. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それは、長官、私個人的に大変尊敬させてもらっていますけれども、余りの答弁だと思いますよ。そのことはもうさんざんやってきたわけですよ。まさか今長官がそのような御答弁をされるとは、私、思っていませんでした。  恐らく額賀長官から、様々な問題を前長官から引き継いでいらっしゃると思います。沖縄の問題、米軍再編の問題。しかし、この情報管理、情報流出という問題は、防衛庁が省に昇格するに当たっても、そして国民との信頼醸成をするに当たっても、極めて今防衛庁が持っていらっしゃるプライオリティーの高い問題であったはずであります。パソコンの問題に詳しくないから是非御指導いただきたい、今、そういう段階ではもうありません。  しかも、この情報流出はパソコン云々の問題ではないんですね。それ防衛庁が一番分かっているはずであります。今回は、航空自衛隊の那覇基地所属の二等空尉、長官、二等空尉でありますから、いわゆる幹部であります。自衛隊の曹とか士を指導する立場の幹部がこの過ちを犯した。F4のパイロットであります。そして、何回も通達を出して、委員会でも何回も審議をして、もうこういった過ちをしませんと長官がいみじくも答弁をしっかりされ、それぞれの役所のトップの皆さんも答弁をされてきた。  まず、やってはいけないパソコン若しくは可搬記憶媒体を持ち込んでいたんですね。これはルール違反なんです。しかも、それを自宅でまた使用していた。しかも、あれだけウィニーというソフトは危ないぞとみんな共有していたんです。しかし、このウィニーをインストールして削除していなかった。しかも、同じパソコンでこれを再び使っていた。初めてなら百歩譲って仕方ないということがあるかもしれません。しかし、さんざん議論して、背広組のトップもさんざん頭を下げて、何人も懲戒処分になってきて、そしてパソコンの問題ですから御指導してくださいという答弁は、長官、大先輩に大変恐縮ですけれども、私は残念な答弁だと言わざるを得ません。このケースは悪質な確信犯ですからね。しかも、この方は那覇だけではなくてクウェートでもやっているんです。  そして、これチェック体制で、私も自衛官信じたい。しかし大勢いますから、すべてが立派な自衛官ばかりだと私は信じているんですけれども、中にひょっとして悪いことをやってしまう人が、過ちを犯す人が出るかもしれない。しかし、システムとして、そういったものがあっても情報が出ないシステムをつくろうと何回も何回も予算委員会やこの外交防衛委員会で議論してきたんじゃないですか。しかも、またこれが起こった。検討委員会までつくったんです。事務次官が副委員長、高木政務官委員長で、庁内の各組織のトップが全部委員になって検討委員会までつくって、何と防衛庁長官は幹部数百名を講堂に集めて全国の自衛官にマイクで訴えたんです、情報流出なくしましょう、襟正しましょうと。  額賀先生から恐らくこの問題は新しい防衛庁長官にしっかり伝わっているはずでありますから、私も全力を尽くしたいと思います。これは我が国の安全保障の問題ですから、是非長官も、この問題に対して今まで以上に、また同様のエネルギーを注いでいただきたい。まず、このことを冒頭お願いをしたいと思います。
  214. 久間章生

    国務大臣久間章生君) ありがとうございます。  この問題については、本当に、信頼を維持するためにも本当に大事なことでございますから、まあ正直言いまして、まだそういったソフトはできていないわけでありますから、さっき言ったようなソフトのあれを検討して作れないのかというようなことで今そういうことも言っておりますので、とにかく──今ちょっと事務方に聞きましたら、来年から入れるそうです。まだとにかく今できておりませんので、今できたやつをテストして、そして来年から入れるように、そういうふうにしようと思っております。
  215. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は野党の立場ですから、厳しく今の防衛庁シビリアンコントロールを利かせチェックをしていく立場であります。しかし、私は、一人の国民として、国会議員として心から自衛官の皆様を尊敬し感謝を申し上げております。だからこそ、そういった自衛官のためにも、こういうことがあるのが悔しくてならないんです。絶対になくしていかなければならないし、それに私も全力を傾けたいと思います。  そこで、具体的に幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  三月七日の予算委員会で額賀長官と議論をさせていただきました。そこで分かった答弁で、許可を得て、若しくは無許可で情報を私物のパソコンに入れていた台数が当時九千四百台ございました、九千四百台。そして、その後の二十二日の外交防衛委員会の議論で分かったのは、その九千四百台のうち七千三百台をもう削除しましたよということだったんですね。しばらくたっても全部削除できなかった残りの二千百台の数字は変わらなかった。私が、なぜ二千百台、早く情報を消さないんですかと言ったら、どうしても防衛庁にとって、自衛隊にとって重要なデータがこの二千百台には入っているから、すぐ簡単には動かせないという答弁だったんですね。それは当時の状況からして、私はそれで納得いたしました。しかし、今半年以上の月日がたって、もう私物のパソコンに情報が入っているという状況は、防衛庁、ないですね。
  216. 富田耕吉

    政府参考人(富田耕吉君) お答えいたします。  今御指摘の九千数百台と七千数百台の間のものにつきましては、まだ当時、業務上どうしても私有パソコンを使わなければ回っていかなかった関係で、秘又は不要なデータにつきましては七千台あったものを消去いたしましたと、したがって業務上必要な二千台が残ったというのが当時でございます。  しかしながら、その後、五万数千台の官品パソコンを緊急調達いたしまして、これは契約と導入に多少まあタイムラグございます。と申しますのは、例えば航空自衛隊等で離島ですとかサイト等ございまして、時間ございましたけれども、すべて官品パソコンに置き換わっておりまして、現在では職場から私有パソコンというものは一掃されております。
  217. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。そこのところは安心いたしました。ありがとうございます。  次に、防衛庁全体で私用で使っていたパソコンが当時十二万台あったという議論でございました、十二万台。このうち、全部、防衛庁の皆さんが時間と労力を使って全部チェックしました。ウィニーが何台に入っているか、十二万台分の。しかし、これは御自宅に行って強制的にチェックするわけにはまいりませんから、自己申告で調査をいたしました。その結果が八十台だったんですね。十二万分の八十台にウィニーが入っていた。そのときに、自己申告で本当に大丈夫ですかと私指摘をさせてもらったんです。自己申告だと、部隊の性質上、自分のポジションに、経歴に傷が付く可能性があるから、本当は入れていたんだけれどもこっそり消して入っていなかったことにしようと、自己申告しなければそれで済みますから。  ところが、正直に答えた台数が八十台でした。私、それで大丈夫ですかと言いました。しっかり岡山県警のように、実際にパソコンの前でチェックしてすべて消すべきだと言った。しかし、そのときの答弁が、防衛庁という、若しくは自衛隊の性質上、隊員を信じなければ組織がもたない、組織そのものの問題になると。私は、それはそれでなるほどと思いました。  そこで、質問いたします。この二等空尉のウィニーはこの八十台に入っていたんですか、入っていなかったんですか。
  218. 富田耕吉

    政府参考人(富田耕吉君) お答えをいたします。  まず、正直にといいますか、申告がありました要するに業務で私用パソコンを使用したことがあると申した十二万台強のものにつきましては、この中身について部隊のシステム担当者がチェックをいたしまして、そこでその内容確認し、さらに八十台、そのうちの八十台についてウィニーを始めとするファイル交換ソフトを消しております。  したがって、今回の例で申し上げますと、その十二万台の外数であったということでありまして、十二万台の中の八十台というものが変わるわけではございません。要するに、十二万台の申告の漏れた残りの、二十七万おりますと、まあ十五万と申しますか、そちらの方であったのであろうと思われます。
  219. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今の答弁は正確だと思います。正確だと思いますけれども、その十二万台の以外のパソコンということで極めて正確な答弁なんですが、しかしこの人間は、ウィニーをそのとき入っていますと自ら申告することもできたと思うんですね。しかし、それはこの方はやっていなかった。つまりは、十二万の分母にも入っていなかったかもしれないけれども、八十台の中にこれは入っていなかったということだと思います。  先ほども長官に申し上げましたが、誤ってしまったり、出来心が付いたり、悪いことをする方というのは、残念ながらどの世界にも、どの業界にも必ずいるんです。だから、あのとき長官と、当時の額賀長官と約束をさせていただいたのは、システムとして仮にそういうことをやるやつが出ても、しっかりそれが情報が漏れないようにしようと、そのシステムづくりをつくったのがポイントなんですね。ですから、仮にウィニーを持ってきて、パソコンを持ってきてやっても、それが必ず漏れない、若しくはウィニーを持っていても情報を取り出せない、そういうシステムにしよう、ここがかぎだと思うんです。だからこそ、保全責任者や管理責任者を置いたんですね。  私、問題は、この二等空尉も問題です、しかしもっと問題は、保全責任者も管理者も機能していなかったということなんですよ。  防衛庁にお伺いします。なぜこの二等空尉は可搬記憶媒体を持ち運びできたんですか。
  220. 富田耕吉

    政府参考人(富田耕吉君) お答えを申し上げます。  今のような細部につきましては、今事案の解明に努めておりまして、そこら辺につきましては、本人の数か月以上にわたる記憶をさかのぼる作業をしております関係で、なぜかということにつきましては現段階では、明確にお答えできることにつきましては、差し控えるというよりも、まだそこまで至っていないという状況でございます。
  221. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 その答弁は了解しました。  では、違うお伺い方をさせていただきたいと思います。  再発防止策の一つとして、すべての所持品を検査して保全検査を強化すると三月十七日の予算委員会で額賀長官が答弁されています。今スティック状の可搬記憶媒体であるとか様々な、私は余り、長官同様余り詳しくないんで、様々な今可搬媒体があります。こういったものが持ち運びされないように持ち物検査をしっかりする、約束したんですね。このケースはやっていたんですか、やっていなかったんですか。
  222. 富田耕吉

    政府参考人(富田耕吉君) 抜き打ち検査につきましては、課、室レベルあるいは部隊レベルで検査しておりますので、毎月一回以上ということで、現在まで累計五万八千回、それから四十万人に対して行っております。  他方で、持ち物検査というのは、朝夕の通勤時、退庁時に、もちろんバッグの中に小さな可搬媒体があるかないかという検査でございますので、既に持って帰ってしまったものについては効力がないということでございます。  それで、他方で、先ほど長官から申し上げましたように、既に私有パソコンが一掃された上に、自動暗号化装置の導入を試行を始めたわけでございますので、これから持ち出されるということはありませんし、持ち出しても暗号化されているので意味がないということでございます。
  223. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これからはそういうことは一切ないと。大変重い答弁を私はいただいたと思いますし、それを信じたいと思います。  今回の私が感じた、長官、問題は、実はこの第八三飛行隊、第三〇二飛行隊の保全責任者は飛行班長なんです。そして、この上の管理者は第三〇二飛行隊長なんですね。そして、彼はクウェートも行っていますから、イラク復興支援関連業務のこのときの保全責任者は専任幹部、そしてその上の管理者は空港計画部長なんですね。大変ショックだったのは、つまりは二か所にわたって彼は情報を持ち出していた。しかも、この第八三飛行隊とイラク復興支援関連業務、両方で保全責任者や管理者のチェック機能が働いていなかったということなんです。一体この二人は何をやっていたんでしょうか。この監督責任は極めて重いと言わざるを得ないと思いますが、長官、どうでしょうか。
  224. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほどから何回も申していますように、パソコンの知識をみんながどれだけ共有していて、その共有している人がその上司としてチェックの能力があるのかどうか、そういったことも踏まえてやりませんと、非常にだらしないじゃないかというふうに一方的に言えるかもしれませんが、また、上に行けば行くほどそういうようなことのチェックの能力についても、まあ働かないのかもしれないケースがあるわけですから、私もそればっかりは、どういうふうに答えていいのか分かりませんが、これから先、もう少しそういうチェック機能を……
  225. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 上に行くほどでしょう。
  226. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、まあそういう言い方は一つあるかもしれませんが、全部その上のレベルがチェックの監督能力が本当にあるのかどうかを二十七万人の隊員について果たして言えるかどうか、それがありますから、この世界については、私自身も含めて、防衛庁長官をやっているから最高のチェック能力者と言われても、私自身がこれで完全かどうかというのはできないのと一緒で、それぞれ私は、なかなかみんな分かっているようで分かってないのは結構あると思いますよ。  だから、そこはもう正直言って、今のでいいのかどうか、チェックするのはだれがいいのか、そういうのはやっぱりもう少しこれから先考える必要があるんじゃないかと思います。
  227. 富田耕吉

    政府参考人(富田耕吉君) 若干の補足をさせていただきますけれども、まず、懲戒処分の見直しにおきまして……
  228. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 懲戒処分なんか聞いてません。
  229. 富田耕吉

    政府参考人(富田耕吉君) いえいえ、行為者のみならず、正にチェックする側の方につきましても職務懈怠等につきまして処分されることになりました。そうした関係で、まず私どもはチェックする側の教育を行った上で、その者たちが適切にチェックできるような施策を講じております。  なお、今言いましたように、懲戒処分の対象になりますものですから、これら保全責任者等がどうした行為をしたかにつきましては事実解明の中で明確になった段階、明確になるまでお待ちいただきたいと思います。
  230. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 長官は大局から防衛問題を考えて、その最高責任者でありますから、細かいことは私は申し上げません。しかし、富田さん、これきちっと長官に、この問題の本質と、事の本質をしっかりやはり議論してほしいと思いますよ。今の答弁は正直、私、残念でございます。しかも、これ、パソコン云々の問題ではないということはもう三月の段階からずっと言っているんですよ、これは。難しい話でも何でもないんですから。これは子供でも分かる話であります。  しかも、今回、クウェートで情報を取った、イラク復興支援関連業務の場合は極めて小さい組織なんですね。ですから、彼が情報を取ったりしていれば、記憶媒体を利用していれば、恐らくこの保全責任者や管理者だけでなくても気が付くはずなんです、非常に小さいチームですから。その周りのチェック機能が働かなかったのかと。自衛官を心から信じる一人として、こういったことがあることを信じたくないんです、でも。でも、実際起こっているんです。防げたんです。チェック機能が働いていなかった。これはきちっともう一回再検討をしなければならないと思いますよ。もうこれ以上、この問題は申し上げませんが。  長官にお伺いします。この問題を初めて長官が報告をお受けになったのはいつでしょうか。
  231. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは、もう正直言いまして、事件が報道されてからです。
  232. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 事件報道されてからじゃ、それは困るんですよ、長官。四月十二日に発表された再発防止のための措置の中の骨子の中でしっかり書いてあるんですよ、「大臣等に事案の第一報を報告する。」と。それが報道の後じゃ、長官、これ、全然おかしいじゃないですか。これ、ちょっと止めてください、委員会
  233. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 報道があったというよりも、それよりもっと後で、前ですね、二十七日に報告を受けております。
  234. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 えっ。
  235. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 二十七日に受けております、十一月の。
  236. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 二十七日ですか。
  237. 久間章生

    国務大臣久間章生君) ええ。
  238. 柏村武昭

  239. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 二十六日に確認したということで、私には二十七日……
  240. 榛葉賀津也

  241. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 二十六日に確認したということで、私に報告があったのは十一月の二十七日、今、日にちを確認しましたら、失礼しました、報道はその前です。
  242. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 報道がその前ということは、後ということですよね。  だから、その報道の、何日かって具体的でなくても、報道の後に知りましたって長官が答弁されるというのはおかしくないですか。
  243. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 正直言いまして、そんなにすべてが、いろいろあったやつが全部その日のうちに長官まで上がってくるわけじゃないんですよ、それは。その中で確認したりなんかしながら上がってきて、そして私にこういうことでこういう事情ですということで報告が……
  244. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ということは、報道の後ですね。
  245. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 二十七日ですから、報道、ちょっと待って、ちょっと待ってください、委員長
  246. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  247. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 速記を起こしてください。
  248. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 報道は、外に要するに報道されたのは十一月の三十日ですから、内部でのチェックは二十六日に確認して、二十七日に私に報告があっております。
  249. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 防衛庁富田防衛参事官。発言ありますか。
  250. 富田耕吉

    政府参考人(富田耕吉君) ちょっと時系列的に端緒の日から起算をして申し上げますと、二十六日に私どものネットをチェックしている隊員が見付けまして、そこで確認をしたのが二十六日でございます。で、そのデータを見てみると、出たのがといいますか、つながったのが二十四日からということでございますので、私どもが確認したのは二十六日、そして、多分日曜日だったと思いますので、速やかに翌日、長官に報告をしたところでございます。
  251. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今の答弁が長官のうっかりした間違いであったということを信じたいと思いますが。  ネット上でこれが評判になり始めたのが二十四日です。この問題はずっとマスコミ注目していますから、いろんな人がネット上をチェックしているんです。二十四日にうわさになって、実際にこの二等空尉が流出させたのも多分二十四日だろうということが確認され、翌二十五日から防衛庁でもその書き込みを把握し始めて、実際に発見したのは二十六日ということで、今、富田さんの答弁がそうだったと思うんですが。  そして、発表したのが三十日なんですね。紙一枚で発表されました。これが、報道の後、これが発表されたんですけれども、なぜ報道の後、こういう発表がされるんでしょうか。
  252. 富田耕吉

    政府参考人(富田耕吉君) 委員も既に御案内のとおり、ウィニーというネットの危険性といいますか、私どもにとっては危険性なわけでありますけれども、公表し報道することによって検索を、まあ誘発というよりも飛躍的に増大をして、正にデータ流出のダメージが更に深まるといった特質を持っております。  そうした関係で、我々が認知しているものすべてについて公表はしないというぎりぎりの選択をしているわけでありますけれども、他方で、世間を騒がせ、あるいは衆目を浴びたものにつきましては一定の、更にそのダメージを深めないように説明責任を果たさなきゃいけないと、こうした観点で報告をさせていただきました。
  253. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私も三月の予算委員会で質問をさせていただいた際に、トリスタンであるとか様々な記号表であるとか、様々なデータ、個人情報も含めて出ましたが、極めて情報に注意をして質問をさせていただいたつもりであります。その後の外交防衛委員会でもそうでありました。  しかし、私は何が流出したのか、どういう情報だったのか、それを一々公表する必要はないと思います。しかし、こういう情報に関する事件があったということを見付け次第発表することは政府の、防衛庁説明責任として私は大事ではないかと思っています。シビリアンコントロールをしっかりと利かせる上でも、事故があったという発表は、見付かったら私は正直に公表するべきだと思います。  笹木竜三衆議院議員の質問主意書の答弁書の中に、「報道がなされていない情報流出事案については、流出した資料の検索、閲覧等を誘発し、情報漏えいの範囲を拡大させる可能性があることから、公表を行っていないところであり、その処分についてもお答えを差し控えたい。」という答弁書でありました。これはこれで一個の考え方かもしれません。しかし、私たちは揚げ足を取るために発表しろと言っているのではなくて、全部出せとも言っているのではなくて、少なくとも情報に対する不祥事、流出はもう起こさないとお互い誓い合っているわけですから、しかし、また起こった際にはその事実だけは私は公表する責任があると思いますが、長官、どうでしょうか。
  254. 久間章生

    国務大臣久間章生君) その辺が、さっきから何回も言っていますように、私もよく分からないんで、こういうような、中身は言わなくても、こういうような流出があったというだけでさっと殺到してみんなが検索を始めるという、そういうたぐいのものだという話を聞きますと、これはややこしいなという感じを率直に言って持ちまして、こういうときにどうしたらいいのか、私も対処方針がはっきり自分自身で決められないぐらい、どういう公表の仕方をしたなら、じゃ、そういうことを起こさないのか、あるいはまた、そういうことをやってでも、端緒を言ってしまえば、もうみんなが、今まで関心のなかった者までが全部ネット上に殺到してくるのか、その辺については正直言って分からないという私の今のとらえ方であります。
  255. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 最後にこれだけ指摘して次の質問に入りたいと思いますが、いろいろなショックなことが今回の事件で分かるんですね。それは、二等空尉という幹部が、分かっているのに、幹部ですから、当たり前のルールを守っていなかった。二か所で繰り返していた。二か所で両方ともチェック機能が働いていなかった。  そして、何よりも、自衛隊はやはり縦の社会、命令系統の社会ですから、その基本的な命令系統が機能していなかった。事務次官通達四度やって、また事件が起こる。防衛庁長官が自らの声で全隊員に訴えても起こる。高木政務官委員長にして、事務次官が副委員長で、すべての組織の長が委員になって検討委員会もつくった、再発防止をつくった。もうこれでないと言ったけれども、また起こった。  三度、四度にわたって、私は、自衛隊を信用する国民を裏切ってしまった、その国民に対する信頼の失墜というものは極めて大きいし、それは自衛官だけではなくて政治の責任であると私は言わなければならないと思います。  次に、地雷除去の本来任務化について防衛庁長官にお伺いしたいと思います。  現在、自衛隊法の九十九条に定められております地雷等の除去の項目が八十四条の二項、つまりは本来任務移行すると、本来任務化するということなんですが、この目的は一体何なんでしょうか。理由、目的ですね。
  256. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 公共の秩序維持というそういう観点から、機雷の除去というのはやっぱり国民の生命、財産に関係ありますので、やっぱり自衛隊がやる以外に──今、地雷ですか、機雷でしょう。
  257. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 機雷。
  258. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 機雷の除去については、自衛隊がやる以外にほかでやるようなこともできませんので、これは自衛隊の本来の任務として位置付けておく方がいいと思ったわけです。
  259. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そうすると、例えば一九九一年の湾岸戦争の後にペルシャ湾で行った戦争、紛争終了後の、何というんですか掃海作業ですか、掃海作業のケースであれば、そういったケースが今後あればこれを積極的に行っていくという認識でよろしいんでしょうか。
  260. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、海外で行う機雷の除去の場合は、やっぱりそれは自衛隊活動として法的に位置付けられないと、本来任務に入っているからといってやれるわけじゃございませんで、やっぱりそこは法律に基づいて海外に出掛けていって行動する。それは従来とスタイルは変わりませんから、今度はその本来任務になったとしてもその根拠法でそれが許されているかどうか、あるいは求められているかどうか、それによって決まってまいります。
  261. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いいですか。
  262. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 失礼しました。  機雷の場合は、現行の自衛隊法の九十九条で公海においてもできることになっておりますから、公海であればやれるということであります。
  263. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 もう一回聞きます。ということは、九一年のころのペルシャ湾のように、戦争若しくは紛争終結後であるならばその掃海作業を行っていく、だから本来任務化するということじゃないんですか。
  264. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) お答えいたします。  湾岸戦争終了後に海上自衛隊の方が機雷等の除去活動を行っておりますけれども、これにつきましては、自衛隊法の九十九条に基づきまして、我が国の船舶の航行安全という観点からやったところでございます。  今回の本来任務化の関係につきましては、今雑則で機雷等の除去が整理されていますけれども、国民の生命、財産を直接守る活動でございますので、国際平和協力業務を本来任務化するに当たって、任務のバランスの点からも、三条の公共の秩序の維持のための任務として位置付けることが適切だろうという観点から、六章の方に条文を移しまして、ということで本来任務化をしたいと考えているところでございます。
  265. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 先ほどの冒頭の長官の答弁は多分逆だと思うので、そこはちょっと整理をしておいてほしいと思います。  ということは、笹木竜三委員の質問主意書にこういう答弁書が入っているんです。機雷等の除去は、我が国の領海内における航行の安全確保及び公海における我が国船舶の航行の安全を確保するための行動、正に大古さんが今おっしゃったとおりなんですが、要はこの公海の範囲というのはどの辺まで行くんでしょうか。ペルシャ湾とかその他、インド洋でやっても公海は公海として今後本来任務化できるんですね。
  266. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 機雷の除去につきましては我が国の船舶の航行安全が目的でございますので、その必要があるという場合では、その公海におきまして地域的に限定されるものではないというふうに理解しています。
  267. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今まではそういう解釈だと思います。  そこで、質問なんですが、平成三年四月十八日の参議院内閣委員会の質問で、当時、ペルシャ湾への掃海艇派遣に関連して、公明党の太田淳夫議員がこういう質問をしているんですね。自衛隊法三条によれば、自衛隊の本来任務日本の領土、領海、領空に限定されているのではないかという質問なんですね。  そうすると、当時の池田行彦防衛庁長官がこういう答弁をされています。自衛隊の主たる任務は、その三条に明記してございますように我が国の防衛でございます、そしてそれの具体的な発動として防衛出動だとか治安出動なんということが考えられるわけでございます、それが自衛隊の本来の任務でございます、したがいまして、その防衛出動なんかにつきましては、基本的に我が国の防衛でございますからその及ぶ範囲はおのずから限定されるわけでございます。いわゆる三条での地理的制限ということをここで長官は答弁されているんですが。  しかしながら、自衛隊の言わば従たる任務として、何といいましょうか雑則として九十九条に与えられています任務、この場合は機雷の除去になるわけでございますけれども、機雷の除去というものは、あくまで自衛隊の持つ能力を生かしてやるものでございますから、それが一体どのような範囲に及び得るかと、三条とは直接関係なく考えていくべきものでございます。そして九十九条につきまして私どもは一種の警察行動として考え、そして我が国船舶の航行の安全等を確保するために機雷を除去する、公海上に遺棄された機雷等を除去するために作業する場合は公海にも及び得ると。今正におっしゃったとおりであります。  それから、ただ、その公海が具体的にどこまで及ぶかは個々具体的なケースに即して考えるべきでございまして、私どもはこれまで検討いたしまして、今いろいろ議論されておりますペルシャ湾等の機雷除去についてはこの九十九条の法的根拠の下に可能であろうという答弁なんですね。これ、今までのとおりなんですが。  そこで、私ちょっと疑問に思ったのが、つまり機雷の除去が自衛隊法の三条とは関係のない、直接関係のない九十九条に定められていたからこそ、公海上で作業ができたんですね。ところが、今度、本来任務化されまして、この規定が三条に直接関係ある本来任務の中に入ってくる。今度の改正によってこの掃海作業というのが日本の領海、領空、領域に限られるわけでありますから、地理的範囲が自由ではなくなって、むしろ地理的制限がこの掃海作業に掛かってきてしまう。ですから、今後ペルシャ湾等で自由に、この原則でいきますと活動できなくなると思うんですが、長官、どうでしょうか。
  268. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほどから答弁、失礼しました。  我が国の船舶の航行の安全ならばペルシャ湾まで行って掃海をやって、それは合法的だということで従来やっているわけでありますから、しかも九十九条のそういう雑則のところでやれているわけでありますから、そういう点では、その条項が三条に移ろうと、法律に基づいて従来やれておったわけですから、だから今度は三条であってもやれるということになるわけでありますけれども、あくまでその前提は我が国の船舶の航行の安全のためという、その頭が付いておりますので、そのためだったらばそれはやれると。また、やらなかったら我が国国民の生命、財産の安全を維持できないということにつながってくるわけでありますので、それはできると思います。
  269. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 大古さん、結構ですか、答弁いいですか。
  270. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 自衛隊法三条の任務だからといって、活動の範囲が地理的に何らかの限界があるという性格のものではないと思います。  その当時の答弁につきましては、三条の任務防衛出動とか公共の秩序維持ということでありましたので、そういう説明があったんだと思います。  いずれにしましても、今回改正でお願いしておりますのは、機雷等の除去のほか、例えば海外で、地理的にこれも限定はありませんけれども、国際緊急援助活動のようなものも本来任務化しますので、そういう意味では三条任務によって地理的に活動範囲が限定されるということはないと思っております。
  271. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 しかし、今までの原則でいきますと、自衛隊三条にはおのずと地理的制限が掛かっているんですね。これ二項だけ外すというのはどういう解釈になりましょうか。社会党の翫正敏委員の質問に対しても、当時の政府委員であります畠山さんも、正に三条については地理的制限が掛かりますから、おのずと三条の趣旨に基づいて限度、制限があると明確に答弁しているんですね。これ、二項だけどうして、どういう解釈で外せるんですか、地理的概念を。
  272. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 先ほど言いましたように、当時の三条の任務につきましては、我が国を防衛すること、それから公共の秩序に当たるということでそういう御説明があったんだと思います。  他方、今回につきましては、国際平和活動のほか、機雷の除去等、公共の秩序維持として整理すべき活動について今回本来任務化を図ったということでございます。
  273. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 もう一回答えてください。もう一回答弁してください。三条に今基本的に地理的制限が掛かると、領海、領空、領土に。
  274. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 済みません。  繰り返しになりますが、三条の任務ということで地理的制限が掛かるということではないと思います。今までの三条の任務のその性格からそういう御説明があったんだということで。  今までは、その三条の任務の現実にあるものとしての防衛出動とか公共の秩序維持という観点からそういう説明があったんだと思います。今回追加をお願いいたしている三条の二項の任務につきましては、本来的に、例えば国際緊急援助活動であれば必要なところには行く必要がございますので、そういう意味で地理的に限界はないということです。
  275. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 一には限界があるけど二には限界がないという解釈をするということですか。  どこで読むんですか。
  276. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 基本的にはそういうことになるかと思います。
  277. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それはどこから読めばいいんでしょうか。どこで読んで、それはだれがそういう解釈をしたと把握すればいいんですか、我々、法の下で生活する国民にとりましては。
  278. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) そこは任務活動の性格でございまして、例えば国際緊急援助活動であれば三条の二項の任務になりますけれども、具体的には、新しく、雑則にある、雑則から六章の方に条文を移しまして、その中の条文に従って活動するわけでございまして、まあ、その任務の性格上、緊急援助必要な国に対してその国から要請があれば活動するということになります。
  279. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、それは大古さん、今いろんな声が出ていますが、機雷除去というのは今まで従たる任務だった。ひいては本来任務ではなかった。三条でもなかった。六章の中にも明記していなかった。だからこそ、今までのずっと政府の解釈や答弁ではだからこそ公海上で活動ができたということなんですね。それを今度雑則から外して本来任務化するわけですから、本来任務というのは当然自衛隊の本来の任務ですから、今までの解釈からすると地理的制限が掛かってしかるべきだと思うんです。それがこの三条の二だけ外れるというなら、その根拠とそれがどこから読めるかを是非明確に答弁していただきたいと思います。
  280. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 従来から従たる任務だから、それは遠くまで行って、公海でやっていいという、そういうような言い方でやりますと、主たる任務はやれないけれども、従たる任務ならやれるというんじゃおかしいわけで、やっぱり従たる任務というよりも、我が国の、我が国の船舶の航行の安全のために、我が国自衛隊が行ってやらないとしようがないというようなことについては、ペルシャ湾まで行ってやってもいいですよということでやっているわけですね。  だから、そういうような考え方になれば、九十九条で許されている、現行法で、憲法上問題ないということでやらされている、それについて新たに法律を作らなくても、そういうような書き方でやれるということで考えれば、三条に移ったとしてもやれるんじゃないでしょうか。  だから、それよりももうちょっとはっきりするならば、新たに海外でやるときは、全部法律を作ってやりなさいというような形でするなら整理は付くかもしれませんけれども、従来から現在の自衛隊法でやられているやつを今度作るときに、じゃ、もし書かなかったらやれないということになったら、三条に移ったばかりにやれないということになると、それはおかしいんじゃないでしょうか。
  281. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 だから、私たちはずっとそれはおかしかったと思っているんです。というのは、池田長官もそう答えているわけですから。三条とは切り離した地理的概念のない雑則で九十九条があるから、我が国の航行の安全や、そのために公海まで行けますよと。ところが、本来任務では勝手に地理的概念を外して活動できませんよというのが今までの解釈若しくはずっと答弁書はそうなっていますよ。きちっと説明していただきたいと思います。
  282. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 先ほどから御指摘されています機雷等の除去活動、それから在外邦人等の輸送というものもございますけれども、とにかく在外邦人等の輸送についてはもう初めから海外で活動するというのが前提になるものだと思います。そういう意味で、これを今回の改正の際に、全体の任務のバランスの観点から三条の本来任務化ということでお願いしているわけですけれども、その意味では、今までの公共の秩序維持につきましては、この二つの活動についてはそれに含まれないということで雑則で整理していたわけですけれども、こういう活動についても、そういう意味では自衛隊任務としての公共の秩序に当たると、維持に当たるというふうに整理したところでございます。
  283. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 じゃ、その三条の一は制限があるけれども、二はないと、そういうことですね。
  284. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 今までの御説明も、制限があるというよりは、活動の性格上、そういうふうにおのずと限度があるという説明をしていたかと思います。
  285. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これ、いつどのようにしてこれ、こうやって変わっちゃったんですか、考えが。
  286. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 政府として法律案を作る際に、こういう議論につきまして政府内で法制局とも相談して整理したところでございます。
  287. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 もう一回具体的に答弁願います。具体的に答弁願います。だれが解釈変えたのか。
  288. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 法案の一次的な整理につきましては責任官庁としての防衛庁で整理した上で、政府内を調整して、最終的にこういう形でお願いしているところでございます。
  289. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いつ政府内で調整したんですか。
  290. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 経緯から申しますと、去年、与党の方のPTの方で御議論がありまして、そういう中で説明してまいりました。最終的に政府案として確立するのは今年の通常国会の終盤のころでございました。
  291. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次のしたい質問が大分できなくなってしまったんですが、まだ大古さんは納得できないんです、答弁が。よく私の胸の中に落ちないので、少し整理して理事会なりに報告をしていただきたいと思いますが、委員長、取り計らってください。
  292. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議することにいたします。
  293. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 揚げ足を取っているかのように聞こえるかもしれませんが、私は決してそのつもりはありません。とても重要な議論だと思っているので。しかもこの議論は衆議院ではされていなかったものですから。ましてや、我が国自衛隊の性質上、今までの議論もそうですけれども、範囲というものは極めて重要な概念でございました。それが何げに機雷除去作業が本来任務化にするだけではなくて、様々な説明が必要になるところが自分なりに感じたものですから詰めさせていただいたんですが、是非、整理をして、また御指導をいただきたいと思います。  次に、機雷除去の削除に類似した任務として不発弾の処理というものがあるんですね。この規定は今どうなっているんでしょうか。
  294. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 不発弾の処理につきましては、今附則の業務で、当分の間自衛隊が行うことになってございます。
  295. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これ、雑則より下の、いわゆる下というか、雑則のその下にある附則の第十四項に書いてあるということが分かりました。  そこでお伺いします。  過去十年間に処理された機雷、それと不発弾の処理件数、これをちょっと教えてもらえますか。通告してあるのですぐ出ると思いますが。
  296. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 過去十年間におきます機雷の処理数は四十三件でございます。それから、不発弾につきましては、件数につきましては過去十年間で二万二千八百件でございます。
  297. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今の答弁でも分かるように、はるかに不発弾の処理件数の方が多いんですね、機雷の処理よりも。平成十六年度だけで見ましても、機雷の除去は二個でした。ところが、不発弾の処理は二千五百六十件、百四十六トンにも及ぶということで、明らかに不発弾処理の方が多いんですが、この任務規定が、機雷と不発弾とこれだけ差があるというのはどこから来るんでしょうか。
  298. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 不発弾の処理というのは、やっぱり戦後処理の延長線というとらえ方していまして、本来これは地方自治体の事務なのかもしれません。しかしながら、自衛隊がその能力を買われてお手伝いをしているというそういう位置付けなので、将来的にはなくなるだろうというようなことから附則の方で処理されていますんで、今度も本来任務には入れずにそのまま残したわけであります。
  299. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 PKO活動に私も二度ほど、UNDOFの現場に行ったことがあるんですけれども、イスラエル側からとシリア側から、両方から入りました。PKO活動している、UNDOFに限らず、PKO活動自衛隊が参加した場合、自衛隊がこの地雷であるとかクラスター爆弾の不発弾の処理の任務に当たるということは可能なんでしょうか、若しくは今実際にやっているんでしょうか。
  300. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 任務に付与されれば可能でございますが、今までそういう任務は付与されたことはございません。
  301. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 戦後復興に、川口さんが外務大臣のときから積極的にアフガニスタン等があって参加していこうという雰囲気が出てきたんですが、この実際大きな障害になっているのが実は地雷や不発弾の処理なんですね。これは全世界にたくさんあると思います。数を聞いているんですが、多分膨大な数になっていると思うものですから答弁は結構ですけれども。  今回の法改正国際協力業務というのが、先ほど来議論しているように本来任務化をするということで、したがって、今後のピースビルディングであるとか復興支援作業を考えると、この地雷除去であるとか不発弾の処理が自衛隊の今後主な任務、主というか重要な任務として期待をされる可能性があると思うんですが、これについて長官はどのようにお考えでしょうか。
  302. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今回の法律の立て方というのは、従来、法律上認められている中身移行していますから、それによって新たにはほとんど付与しておりません。  しかしながら、これから先、国会の議論等でそういうことも付与すべきじゃないかというようなことになってくれば、法律上そういう能力なりそういうことを規定されれば、私はその道はあり得るんじゃないかというふうに思います。  それから、先ほど、後で整理して出すようにしましたけれども、先ほどの先生の議論を聞きながら感じましたことは、機雷除去にしても、今までの三条の解釈というのは、大体そういう公海とかそういうことでのことはなかったものですからそういう言い方になっていたんだと思いますけれども、機雷の除去、それからもう一つありました在外邦人の輸送、こういったものが入ってきましたので、三条の解釈そのものが、あの当時の池田外務大臣の答弁どおりの解釈を取ることがいいのかどうかも含めて、これはまた私たちの方でもう一回整理しなければいけないんじゃないかと思っております。
  303. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 了解いたしました。前段、了解しました。  そうだと思うんですね。これからやはり目に見える復興支援活動、今回のレバノンもそうですが、不発弾、クラスター爆弾というのが第二の罪のない人間の地雷禍となって多くの二次被害を与えている。ここに日本がきちっとしたパフォーマンスできることは国際社会から大きな評価を得ることができると思いますし、やはり専守防衛、平和維持の我が国の国是からとっても極めて有意義な活動だと私は感じます。  実際問題、今自衛隊が、この任務が本来任務では当然ありませんから、どういう方々がやっているかというと、NGOをつくった自衛官のOBたちが本当に体を張って、正に命を懸けてセカンドライフで海外でこれを、地雷除去していると。ところが、マンパワーも予算も限られているのが現実でございまして、是非こういった現在既に活動されている元自衛官のNGO等と連携を取ることも、自衛隊、勉強することができると思うので、是非検討をしていただきたい。  そして、三条につきましては、是非明確にして後ほど答弁をいただきたいということを申し上げたいと思います。
  304. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 実は、この地雷の除去につきましては、カンボジアが戦争が終わった後その問題が出ましたときに、ちょうど小渕さんが外務大臣でした。そのとき小渕さんに私が言ったのは、自衛隊では、そのとき防衛庁長官でしたから、自衛隊は出すことできないけれども、自衛隊のOBとして経験した人たちでNGOをつくってもらって、それでやられたら、それをODAで資金援助してやったら結構いいんじゃないですかということで、その当時からそれが始まったと思っております。  しかしながら、今おっしゃるように、現在の法律ではできておりませんが、やっぱりマンパワーとして現職の自衛隊が、PKOといいますか、国際協力業務としてやれる方法があるならばそれももっと機能するんじゃないかという気もいたしますので、その辺はまだ、なかなかこの国会でそれを認めてもらえるような雰囲気にその当時はありませんでしたのでできませんでしたが、大分様変わりしてきておりますので、またよろしくお願いいたします。
  305. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございました。終わります。
  306. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 次の質疑のある方。犬塚直史君。
  307. 犬塚直史

    犬塚直史君 民主党犬塚直史です。  今回の防衛庁を省に昇格させるというこの法案審議なんですけれども、私はどうしても、専守防衛の自衛隊を表に出すに当たって、今まではいろいろな形でやってきた国際平和協力業務、これを省昇格を機に本来業務にしていくんだという、こういうお話であるわけですが、どうしても今までの、今日の議論も聞いておりまして納得ができないんです。  それは、まず第一に、午前中の議論にもありましたが、国内外を含めていろんなみんなに不信感を持たれていると。それは、ゆえのあるものもあればないものもある。例えば、徴兵制や予算の歯止めの利かない拡大ですとか、あるいは核武装するんじゃないかというような不安まで持たれていると。いや、これは省昇格とは関係ないんだと、こう長官は午前中におっしゃったんですけれども、私は、どうして日本はここまで信用がされてないのかなと。庁を省にするって言われたときに、どうしてそこまで疑われるのか、しかも自国民にまで納得がされていないという人たちがかなりの数おられると。それはどうしてだと思われますか、長官
  308. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 国内外でも、私は、信用されてないんじゃなくて、防衛庁を省にしてもそういう今のような問題にはならないということは、結構信用はされていると思います。ただ、一部にはそういう方々もおられると。徴兵制がしかれるんじゃないかとか、そういうことを言う人が現に確かにおるわけですから。おられるけれども、防衛庁が省になったからといって大多数の人がそう思っているわけじゃありませんので。  それはもう、日本が今度防衛庁を省にしたからって、軍事大国になったり核武装したりというふうなことにはなりませんよということは、私たちもこれから先も努めていきますけれども、各諸外国からもそこは信用されておるし、信用はこれから先も得ていけるというふうに思っているところであります。
  309. 犬塚直史

    犬塚直史君 今日はそこのところをじっくりと伺いたいんですけれども、私もこれ個人的にはもう納得したくてしようがないんですよ。しかし、さっきも言っていたけれども、有限会社を株式会社にするみたいな、そういうまあ合わせ技みたいに、例えば防衛庁のトップとして閣議請議をできるようにするですとか、あるいは各国軍隊との関係をしっかりこれから持っていくとか、あるいは外国との付き合いの中で平和協力をしていくためにやっぱり省にした方がいいだとかということを、いろいろいろいろおっしゃればおっしゃるほど私は納得できなくなるんです。そういうちまちました論理ではなくて、やっぱり一番の中心は、政策官庁として脱皮するんだと長官御自身でおっしゃっているんですから、そこのところだと思うんですね。私はそこが納得できないんですよ。  政策官庁として脱皮するんであれば、もう既に政策官庁としての理念、戦略を今持っているのかと。どういうところに、アメリカの追従ではなくて、理念、戦略を日本国として持っているのかというところがいまいち伝わってこないんですけれども、その辺いかがでしょうか。
  310. 久間章生

    国務大臣久間章生君) アメリカとの関係でいいますならば、政策官庁として考えれば考えるほど、やはりこのアジア太平洋地域日米同盟が果たしている役割が国際の、アジア太平洋地域の平和と安全に寄与しているというようなことも考えなければなりませんし、そういうこと自体が、先ほどから言っていますように、日本自衛隊の管理をするだけじゃなくて、アメリカと協調しながら、そしてアメリカのプレゼンスもそれに寄与しているということを確認した上で日本の安全保障を考えていくという、そういうような政策マターとしても大事なんじゃないかと思うんですよ。  だから、決して追随しているというふうな、そういうとらえ方だけで見ると何かこっちからは主体的に何もやってないみたいに思われますけれども、私はそうじゃないというふうに思いますけれども。
  311. 犬塚直史

    犬塚直史君 これは、今日の新聞を見て私も慌てて資料を取り寄せたばかりなので質問通告してないんですが、新聞に出ていたイラク・スタディーグループのレポート、これアメリカで出されたのは長官よく御存じだと思うんですけれども。その中をちらっと見ただけなんですが、二〇〇六年の十二月三十一日より前に、ということは今月中にですよね、今月中に今までの戦略を改めて外交中心にやっていくということを書いてあるんですね。これについて今までどのような相談を長官は受けられていたんでしょうか。
  312. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは私たちは受けておりませんし、そのスタディーグループがまだ出す前に、ブッシュ大統領と、またアメリカ、今の政府とも打合せをしておったというようなことも果たしてあったかどうか、私は分かりません。
  313. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは、このスタディーグループのレポートについては、ブッシュ大統領のこれから二年間の外交政策に当たってはまだどのような影響を得るか分からないという御認識ということなんですか。
  314. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は、やっぱりこの間の中間選挙も踏まえ、またこういうスタディーグループが出てきた、しかも与党、野党一緒になって出てきたというのは、やっぱり影響は与えていくとは思います。
  315. 犬塚直史

    犬塚直史君 スタディーグループのことはもう新聞にあれだけ出たり、あるいは長官認識があるように、非常に大事なレポートであることは間違いないと思うんですね。  そういう大事なレポートが出されたと。そういう大きなアメリカ自身の外交防衛の政策の変更があり得るというときに、日本は全く日米同盟でやっていくにもかかわらず言わば蚊帳の外であると、議論には全く参加をしていないと、あくまでもアメリカアメリカでやるんだという状況の中でいく限りは、また追随をするしかないんじゃないんでしょうか。アメリカ政策について日本も堂々と意見が言うような場をどこかで設けていないというのは、私はちょっと問題だと思うんですけど、長官、いかがですか。
  316. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今日、外務大臣がもう出張で留守でございますけれども、やはりこれから先、ああいうレポートを受けてアメリカが何か政策の変更を行う場合には、日本アメリカとまたいろんな内部の打合せその他をやっていくだろうと思いますし、またそうすべきだと思います。だから、向こうは向こう、こっちはこっちというような、そういうことには私はならないんじゃないかなと思っております。
  317. 犬塚直史

    犬塚直史君 今日、お手元に配っている資料は非常に古い資料で、これ私が当委員会で一番初めに質問したときにお配りをした資料なんです。  この中で、コソボとそれからイラクのところを見ていただきたいんですけど、コソボの空爆がありました。あのときには、明らかに国連の安保理の武力行使容認決議というのはなかったわけです、明示的にはなかったんですね。そうした中でNATOが軍事行動を起こしたと。ここに、右の日本政府の対応のところに書いてあるんですけど、当時の高村外相が、国際法違反か否かについては法的評価を下せないと、こういうコメントをしているんですね。  ところが、今度はイラク戦争、一番下です、二〇〇三年の三月。これも御存じのように、明示的な武力行使容認の安保理決議はなかったわけです。という意味では、コソボとイラクは、安保理という、安保理決議という意味については同じ、同列に論じることはできるんですけれども、にもかかわらず、このときの小泉総理の談話では、国際社会責任ある一員として、同盟国である米国等による対イラク武力行使を支持すると。要するに、国連の安保理決議がない武力行使に対して支持すると、こう明確に述べているんですけれども、この違いというのはどういうふうに理解したらいいんでしょうか。これは外務省の方がいいんでしょうか。
  318. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 犬塚委員御指摘のとおり、二つのケースは、コソボ空爆についてはその根拠となるような武力行使を容認する安保決議がありませんでしたね。イラクに対する武力行使については、根拠となる武力行使を容認する安保理決議が存在した違いが御指摘のとおりありました。それは、それについて政府が、一方では理解という言葉を使い、一方では支持と言っているが、その相違はどういう根拠に基づくものかという御指摘と御質問だろうと存じます。  コソボ空爆のケースで申しますと、ユーゴスラビア政府が和平合意案をかたくなに拒否し、他方で国連安保理決議に反した行動を取り続ける中で、当時のNATOによる武力行使は、犠牲者の増加という人道上の惨劇を、これ以上の人道上の惨劇を防ぐためにやむを得ずとられた措置であったと理解をしたからであります。  一方、イラクは、十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反を続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会努力にこたえようとしませんでした。このような認識の下で、政府は、国際の安全と平和を維持を確保するために、安保理決議に基づいて取られた行動を支持をしたということでございます。
  319. 犬塚直史

    犬塚直史君 今のお答え、非常に分かりにくいと思うんですね。一番簡単な答えは、一方は安保理決議があったんだと、一方はなかったんだと、だから一方は理解するにとどめて、一方は支持するとしたんだと。これが一番簡単なんですけどね。しかし、そうではないと。そうではない、しかし説明が非常に分かりにくいと。  私は、ここのところに日本が持つ怖さといいますか、庁が省になったときにですよ、一体日本というのは、国際平和協力という名の下にどこまで自主的に積極的にかかわっていくんだと。日本が専守防衛の自衛隊を表に出すときに、一体日本自身の判断基準としてどういうものを持っているのかというのが非常に分かりにくいんですね。  前回の当委員会久間長官の答弁の中で一つ気になる答弁があったので読ませていただきますけど、これ藤末委員の質問に対して答えたところですが、イラクの戦争には支持したとか支持しないとかその話とは別に、少なくとも日本政府は関与はしておりませんし、自衛隊は行っていないわけですから、そこは国民に誤解を与えないようにしていただきたいと思いますという発言をされたんですけれども、その真意をもう一度ここで御説明ください。
  320. 久間章生

    国務大臣久間章生君) その前に、私どもの立場が非常に微妙なのは理解していただきたいために言いますが、アメリカが戦争に踏み切りましたときに、私はアメリカが戦争に踏み切った背景については理解するけれども、日本も支持とまでは言わなくていいんじゃないかと、そういうことをマスコミに対してコメントして、それが記事になりました。そして、この戦争に踏み切ったこと自体についての評価は後日の歴史家が評価してくれるでしょうと、そこまで言いました。  というのは、私はイラク議連の会長をしておりましたから、戦争まで踏み切らずに、戦争をしないで済ませる方法がなかったのかという、そういう思いがその当時ありました。しかし、今私は、今は防衛庁長官であると同時に、政府国務大臣として政府一員ですから、これまで政府が言ってきたこの答弁を、今、防衛庁じゃなくて、これは外務省マターですから、だから前回会議のときも、従来総理外務大臣がこういうふうに言ってきておりますが、という形で私は政府立場は一応表明させてもらいました。あのときは外務大臣いらっしゃらずに、質問が防衛庁長官でございましたから、私のマターじゃないんじゃないかと思いましたけれども、しようがなかったのでそう答えております。  だから、そういうような気持ちが潜在的に非常にありますから、今のような御質問に対しても非常に答えにくいんですけれども、私はイラク法案を、出るための法案をおたくの皆さん方の仲間と一緒に作るときに、かなりその辺については配慮しながら、戦争に加担する格好の参加は絶対しないぞという前提に立ってやりました。  アフガンの場合は、戦争をアメリカがしたことについてそれを支持する立場で、それは日本があれを一緒にやらなかったなら、アメリカがやるのを応援しなかったならば日本自身が今後ああいうテロ攻撃受けたときどうするんだという、そういう思いから、この際もうタリバンについてはやってもらった方がいいからということで自衛の延長としてそれは法律を作りましたけれども、イラクについてはそういうことは絶対しないという立場で作りましたので、イラクに出ていったのは国連からの要請について復興に出ていくんだという、そういうような気持ちで作っておりますから、イラクに出ていっている自衛隊アメリカの戦争に加担しているんじゃないんだという、そういう気持ちは今でも非常に強いから今みたいな表現になったわけであります。
  321. 犬塚直史

    犬塚直史君 お気持ちはよく分かりました。  ただ、お伺いしたいのは、今度、省になるとします。省になるとしたときに、長官が初代の大臣になるという可能性があります。もしそうなったときに、つまり政策官庁のトップとしてイラク特別事態のようなことがまた起こってアメリカから要請がきた場合に、政治家としてこれは自衛隊を表に出しますか。
  322. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は、やっぱり戦争に加担する形での自衛隊というのは出すべきじゃないと思っております。それは今でも変わっておりません。
  323. 犬塚直史

    犬塚直史君 戦争に加担する形で自衛隊を出さない、しかし後方支援ならいい、非武装地帯ならいいという議論は、そこまでおっしゃってないのは分かっているんですけれども、ただ、今までのずっと日本の議論で一番分かりにくいのは多分、先ほどの白委員もそういう話をしていたんですけれども、防衛庁防衛省になる、それが国防省とどう違うんだといったときに非常に分かりにくいと。じゃ、専守防衛の自衛隊を後方支援ならいい、あるいは非戦闘地域ならいいという形で表に出すということ自体が非常に分かりにくい。つまり、海外から、外から見たときに、この国は一体どこまでやるんだろうかと、専守防衛と言っておりながら、アメリカに引っ張られて結局は世界の果てまで、しかも国連の安保理決議なしにやってしまうんじゃないかという非常に危惧を与えてしまうと私は思っているんですけれども、その点はいかがですか。
  324. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そこがまさしくシビリアンコントロールで、少なくとも今まで自衛隊が出ていったことについては、イラクも含めて、私はその辺の線はきちっとした上で国会法律を作って出ていっていると思います。  非常に今までの海外に出ていった自衛隊活動の中で一番危なっかしいなと思うのは、危なっかしいというのは法律的にですよ、危なっかしいと思うのは、本当言うとテロ特措法なんです。テロ特措法の場合は、アメリカが戦争を仕掛けるのに後方支援として応援しているわけですから。イラクの場合は、アメリカの戦争の応援のために非戦闘地域だからといってやっているわけじゃありませんので、そこはきちっと線を引いているわけですけれども、テロ特措法の場合はそれが今までの法律の中でやや異色なわけですね。  だから、私はよく恒久法を作るべきだという話が出るときに非常に気になりますのは、今までの法律を全部まとめたとしても、テロ特措法みたいなアメリカが戦争を仕掛けた、自衛のための戦争としてやった、それを後方支援と言いながら周辺事態でもないのに応援する、その法律まで含めて恒久法を作れと言われると、私は慎重にならざるを得ないということを言っているわけでありまして、やっぱり今までは非常に国会シビリアンコントロール、私は利いていたと思っておりますから、これから先もそういう目で絶えずやっぱり抑制的に見ていくならば、やっぱり世界のあちらこちらに出ていくということには私はならないというふうに思っております。
  325. 犬塚直史

    犬塚直史君 ちょっと議論を少し単純にしたいと思うんですけれども、まず外務省に伺いますけれども、国連憲章の中で、国連憲章において武力行使の違法性が阻却される条件が二つあって、一つは自衛権の行使、もう一つは憲章七章下での集団安全保障と、つまりこの二つしかないと、あとは武力行使はしてはいかぬというのが国連憲章の理解だと、そういうことでよろしいでしょうか。
  326. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 国連憲章の下では、一般的に武力の行使は禁止されていますが、例外として、憲章第七章の下での安保理の決定に基づく場合と、憲章第五十一条の自衛権の行使の要件を満たす場合に武力の行使が認められることとされているという意味で、犬塚委員の指摘はそのとおりでございます。
  327. 犬塚直史

    犬塚直史君 そうなると、ちょっと長官いらっしゃらなくなったんですが、先ほど来の議論の、アメリカが行ったイラクの戦争というのはどちらのケースに当てはまるんですか。
  328. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) イラクに対するアメリカ行動、多国籍軍の武力行動国連決議に基づくものでございます。
  329. 犬塚直史

    犬塚直史君 私、長官と議論をしたいんですけれども、この先、待っていてよろしいですかね。
  330. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) はい、長官は間もなく──あっ、お帰りになりました。  では、犬塚直史君、質問を続けてください。
  331. 犬塚直史

    犬塚直史君 長官、今外務省に確認をさせていただいたのは、国連憲章の中においては武力行使が基本的には禁じられているんだと、その武力行使の禁止が阻却される、要はやっていいよというのは、自衛権の行使の場合と、それから憲章七章下での集団安全保障と、この二つしかないんだというふうに確認を今したところなんです。  その上で、アメリカの行ったイラク戦争はどっちの場合だという質問をしましたところ、いや、これは憲章七章下の集団安全保障だと、そういう答えをいただいたんですけれども、長官もそういう理解ですか。
  332. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 従来そういう形で政府としては答弁してきておりますから、そういう整理の仕方だと思いますけれども、最後の、ずっと国連憲章たくさんありました、決議がですね。しかし、だからといって一番最後に決議がないままに戦争に踏み切ること自体が国連決議と言えるのかなという疑問はいまだにかすかに残っています。  だから、このイラク特措法を作るときにも国連決議をずらずらずらっと並べましたけれども、これを並べること自体が法律に残るのは果たしていいのかなという思いが非常に残っておりまして、これは最後に打ち割った話をしますと、修正で外してもらおうというようなことののりしろだったんですけれども、あのときいろんないきさつから民主党の賛成が得られずに、そのまま反対のまま通ってしまったものですから、のりしろが残ったなというようなことを野中さんから言われたことが今でも非常に残念でなりません。
  333. 犬塚直史

    犬塚直史君 いや、私は今回省昇格でどうしても納得できないのがそこなんですよ。そののりしろの部分がこの法案に残っているわけなんですね。つまり、いつも質問をしても返ってくるのは、要するに国際平和協力活動中身は何ですかというと、その中にイラク特が入っているわけですよ。ということは、イラク特のあののりしろの部分を本来業務に格上げするという法案なんです、これ。私は、ここのところは、当時違和感を持ったというレベルとはちょっと別に、防衛省と、その本来業務にこののりしろ部分が入ってしまうということは私は大きな問題だと思うんですけれども、長官はどういう御認識ですか。
  334. 久間章生

    国務大臣久間章生君) ただ、テロ特措法、それからイラク特措法、これはいずれも時限法でありますから、そして附則で一応今度も規定しておるわけでございますので、これは時限法で消えたら自動的に法文から消えていく法律になりますから、そういう点ではほかの条文と違いまして、時間がたって法律の有効性がなくなったときには法律上もう一々手当てせずに消えていくという、そういう運命にありますから、そういう形で理解していただけるんじゃないでしょうか。
  335. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは、これは時限法ですから時間がたったら消えてしまうと。  二つ質問あるんですけれども、じゃその間に類似の事態が起こったときには、イラク特別事態が起こったときには大臣としては出兵をするのかどうか。そしてもう一つは、時限法として期限が切れた後に、今度はこういうものは入れないよということをこの法案の中に入れてもらえるかどうか。その二つ、いかがでしょうか。
  336. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 正にその辺は立法府の仕事でございますから、政府の方は、でき上がった法律に基づいてそれをやるのが本来は政府の仕事でございますので、今あります法律に基づいてやらなきゃならないことについては、その間にまた何かありましたときはやりますけれども、恐らく新しい事態が起きたときに今以上に何か付け加えてやるような任務はないんじゃないでしょうか。
  337. 犬塚直史

    犬塚直史君 もう一回、非常に議論を単純にするために、日本自衛隊を表に出すときの一つの物差しを確認させていただきたいんですけれども、まず内閣法制局、自衛権行使の三原則、ちょっと一言で、まあ三言でいいんですけれども、簡単に言ってください。
  338. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) どなたですか。
  339. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 第一部長の山本でございます。
  340. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 内閣法制局山本第一部長。
  341. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 憲法九条の下におきまして許容されております我が国の自衛権の発動につきましては、政府は従来から御指摘の自衛権発動の三要件に該当する場合に限られると解してきておりまして、その第一が、我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したことでございます。第二が、この場合に、これを排除するために他の適当な手段がないことであります。第三に、必要最小限度の実力行使にとどまるべきことということでございます。
  342. 犬塚直史

    犬塚直史君 この九条の解釈としての自衛権行使三原則なんですけれども、実はこれ、国際平和協力業務で表に出るとき全く同じものが入るわけだし、それプラス二原則を付け加えた五原則というのが今、保護する責任の五原則という形で国際社会で随分認められてきて、昨年の国連のサミットでもこの保護する責任というのが正式に使用されたんですけれども、その保護する責任の五原則、外務省、どんなものか一言で説明してください。
  343. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) どなたが答えられますか。
  344. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 保護に対する責任
  345. 犬塚直史

    犬塚直史君 保護する責任の五原則。
  346. 長嶺安政

    政府参考人(長嶺安政君) 保護する責任についてのお尋ねでございますけれども、これは元々カナダ政府が主張したもので、その後、これは国連改革のためのハイレベルパネルの報告書の中に入れられているものでございます。  このハイレベルパネルの報告書の中では、それまでの議論を反映いたしまして、人道的災禍に対し、国際社会は安保理の承認の下、保護する責任を有するとしつつ、憲章第七章に基づき安保理が武力行使を承認する際は、一定のガイドラインを満たす必要があるということをこの報告書の中でうたっております。
  347. 犬塚直史

    犬塚直史君 そのガイドラインの中の五原則を聞いているんですけど。
  348. 長嶺安政

    政府参考人(長嶺安政君) 失礼いたしました。  ただいま申し上げたガイドライン、これは五つの基本原則でございますけれども、これは以下のものでございます。第一に、脅威が深刻であること、第二に、武力行使の目的が適当であること、第三に、武力行使が最後の手段であること、四番目に、武力行使で用いられる手段が脅威と比べて必要最小限であること、五番目に、武力を行使した結果が武力を行使しなかった場合の結果と比べて悪くならないこと、以上の五点を述べております。
  349. 犬塚直史

    犬塚直史君 そんなに難しいことを言っているんじゃないんだと思います。自衛権行使の三原則では急迫不正の侵害と言い、一方、海外で武力行使を行うときの原則の中には何と言っているかというと、平和に対する脅威があると、その言葉の違いぐらいの話で、大きな違いはないわけであります。  そういうことをはっきりと本来業務にするんであれば、こういう原則で日本がやるんだよということが伝わってこないんですよ。つまり、専守防衛の自衛隊を表に出すに当たって、その中身説明イラク特措法でするような内容では、とても有権者の理解は得られないと思うんですけれども、どうでしょうか。
  350. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今の五原則、先生おっしゃった五原則の場合は、そういう場合には武力行使ができるということですから。我が国の場合はそもそもできないわけですから、急迫不正の侵害を受けたときじゃないとですね。だから、海外に出掛けていって武力行使ができるという、そういうような大原則がもしあるなら、それはまた決め方はいろいろできると思いますけれども、我が国の場合は海外に出掛けていって武力行使はできないという、そういう大前提があるわけですから、それ以前の話だと思って、むしろそういう五原則その他の議論に入る必要はないと思います。
  351. 犬塚直史

    犬塚直史君 もう時間なくなったので最後になりますけれども、今年の夏、私はスーダンの難民キャンプにダルフールに行ってまいりまして、医療NGOの一員として行って一週間ほど皆さんと一緒に生活をともにしてきたんですけれども、そういうところで究極の、月に二百人とかレイプされたりとか、あるいはNGOが数か月で五人とか殺されているような究極の状態の中で、武力行使ができるかできないかというような議論は非常に遠く感じるんですね。いろいろアメリカや何か批判はされていますけれども、現地で丸腰で働いている人の中にはアメリカ人のお医者さんもいましたし、皆さん一生懸命やっているわけですよね。  そうした中で、じゃ日本が九条を持ったこの条件の中でどういう貢献ができるかということについて、一つには、国連緊急平和サービスという法案が昨年アメリカの議会で提出をされて、これは通過しなかったんですけれども、これは何かというと、国連の事務総長の下に個人参加の、しかも文民警察やあるいは司法、法律、緊急災害、もちろん軍人も含めて、個人参加で事務総長の下に部隊を一万五千から二万つくると、そしてトレーニングも日常からやっておくと、そして国連の安保理決議があったらば四十八時間以内にどんなところでもこの部隊を出すと、その方が結局は安上がりじゃないかと、結局はそれが一番各国の思惑から離れてできるんじゃないかというような、そんな議論があったんですね、アメリカに。UNEPSというんですけれども。私、これ興味持って調べてみました。今の現行九条の制約の中ですべて日本ができることばかりです。  私はこういうやり方も含めて、本当に安心して日本が、近隣諸国も含めて、ああ、さすが日本だと、こういう貢献してくれるんだというような枠組みを早くつくることが先決であって、今のままで理念、戦略を感じることができない昇格を急ぐべきではないと思うんですけれども、長官、もう一度、最後にいかがですか。
  352. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。久間防衛庁長官
  353. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今先生がおっしゃったようなそういうのも政策としてまた考えていく、そういう意味でも、政策官庁として早く脱皮したいと思いますので、是非この防衛庁を省にまず移行させていただきたいと思います。
  354. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 以上で民主党質疑時間、終了いたしました。  荒木清寛君。
  355. 荒木清寛

    荒木清寛君 それでは、まず防衛庁の省移行の背景について大臣にお尋ねいたします。  この防衛庁の省移行法案内容的には大変シンプルな内容でありますけれども、昭和二十九年の防衛庁発足以来五十年にわたる課題だと言われておりまして、昭和三十九年に法案が閣議決定をされたということもございます。そういう意味では遅きに失したという意見もございますし、一方でまだそういう時期ではないという意見もあります。  我々公明党は、この問題本当に真剣に議論をいたしまして、冷戦崩壊後の国際情勢の変化、そしてその中において自衛隊活動が極めて活発になり、様々な国際貢献活動にも従事をするようになった。そしてまた、周辺事態法、そして有事法制と、我が国をめぐる安全保障についての法整備も進んだということで、私はようやく、我々はようやく省移行の条件が整ったという判断をしたわけでありまして、そういう意味では遅きに失したわけでも、また早過ぎるわけでもないというのが私の基本的な考え方でございます。  そこで、大臣に、この省移行の背景であります冷戦後の自衛隊の役割の変化について、災害派遣あるいは国際平和協力活動への参加、あるいは諸外国の国防組織との交流などについて、具体的な事例を挙げて、冷戦後こうした役割の変化があったんだと、このことをまず御説明願いたいと考えます。
  356. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今おっしゃられましたように、長年の懸案であったと、よくそういう話が言われます。しかしながら、やっぱりその時代背景、背景でそれが実現するかしないかあるわけでありまして、まず自衛隊が発足したというそういういきさつ自体が、ああいう戦後の状態の中で戦争放棄をうたった憲法九条の下でどこまでできるのかというようなことから自衛隊が存在して、やっぱり日本も専守防衛といいますか、やっぱり自分の国を守るためには何らかの実力組織を持っておかなきゃならないというのが理解されてできたわけであります。  そのときは、とにかくその自衛隊がおるということが一つの抑止力になるといいますか、空白をつくっちゃいかぬということでスタートしたわけでございますが、そのときは、だからその自衛隊を管理する官庁としてのエージェンシーといいますか庁があればいいと、あるいは必要な装備品を調達するための庁があればいいということで防衛庁があった。そういうことでスタートしてきたわけでございますけれども、やっぱりその後、災害が発生したときなんかは、やっぱり一番頼れるのは自衛隊じゃないかということで災害派遣等の回数も非常に増えてまいりました。あるいはまた更に進んで、国連にも入りました関係もあって、国際協力業務という形でもカンボジアに行ったりいろんなところにも出掛けていくことになって、最初はそれについても非常に、PKOについても国民のまだ賛成、反対や意見が分かれておりましたけれども、だんだんとそれが理解されてきて、行くことについては拍手で送ってもらえる、帰ってきたらよくやってきたという形で評価していただけるという、そういう形で海外派遣についても理解されてきたと。  それと同時に、一国だけの防衛ということを考えるんではなくて、これから先の平和は一国が他国とどういうふうに交わっていくか、そのためには外交だけではなくて軍隊組織自衛隊とのそういう交流も必要だろうと。そして、お互いが疑心暗鬼になって猜疑心を持つんじゃなくて、手のうちも見せながらやるべきだというようなことから防衛交流をやる。それも、幹部だけではなくて若いうちから、こちらからもよその国の国防の大学校に留学させる、あるいは向こうからも防衛研究所とかあるいは防衛大学校にも留学生で来てもらうという形でそれも必要だろうと。さらには、どういった国と密接に防衛問題について手を組んでいったら一番いいのかとかいうようなことで、そういう政策も必要になってきたと。  そしてまた、現実にはソ連とアメリカとの対立がなくなって、ロシアがロシア共和国その他になって、しかもそのロシアと日本とは海難救助協定みたいなやつも結んで一緒に訓練をするようになってきた。アメリカとロシアもやるようになってきたというようなことで、かなりそういう交流関係も活発になってきたので、やはりこの辺で、防衛庁は単なる管理する庁としての組織ではなくて、もう少しそういう機能面も含めて国民期待にこたえるような、そういうような自衛隊を所管している政策官庁として、国の安全問題を担当する政策官庁として脱皮することが大事じゃないかということで、防衛庁を省にしようという動きがだんだんと高まってきて今日に至って、先ほど先生がおっしゃいましたように、ガイドラインもできて、それから周辺事態法もできて、有事法制もできて、国民保護法制もできて、そういう法制も大分整備されてきたので、やはり集大成じゃないですけれども、防衛庁を省として、きちんと政策官庁として位置付けたがいいということで今日この法案が閣法として政府が出すに至ったと、そしてそれに対して与党としてそれをサポートしてもらうことになったと。そういう背景の中で今日が来ているんじゃないかというふうに思っているわけです。
  357. 荒木清寛

    荒木清寛君 それで、正に防衛庁の省移行でございまして、防衛省になったからといって、もちろん大臣が主任の大臣になるわけでありますけれども、かといって何か権限が拡大をするということでもなければ、自衛隊の位置付けが変わるわけでもなければ、予算が増えるわけでもなければ、もちろん憲法にかかわる解釈が変わるわけでもないということであれば、何も変わらないんであれば庁のままでもいいではないかと、そういう議論も我々する中であったわけなんです。  そこで、提案の様々な説明の中で、今回、省に移行することによって、国家の存立、国民の安全の確保という点のみならず、国際協調の下における国際平和協力活動、あるいは国際的な緊急援助活動等に、より的確に対応できるようになるんです、こういう説明であるわけですね。それを我々も理解をするわけなんですけれども、もう少し具体的に、いわゆる安全保障に、より的確に対応できるということはどういうことなのかですね。要するに、じゃこれまでは余り的確ではなかったのかということにもなりかねないわけですし、省にすることによって、より的確に、あるいはより良く対応できるようになるというのはどういうことなのか、分かりやすくお話しいただきたいと思います。
  358. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 確かに、どこが違うんだと、そんなに大きく変わらぬじゃないかと言われると、変わりませんというような答えになりますので、そこのところが理解してもらいにくい点があるんですけれども、私はやっぱりそこが、さっき言ったように、単に自衛隊というのがあってそれを自衛隊を管理するという、そういう組織体としての防衛庁でなくて、やっぱり国の安全問題というのは幅広く議論をしながら政策として位置付けて、そしてそれに対する対応を取っていくんだというような役所であるべきなので、そういう意味では、そういう政策官庁としての自立とは言いませんけれども、今までだって自立はしていたのかもしれませんが、何かもう少し自覚といいますか、そういう点が違ってくると思うんです。  それと、まあこれはつまらぬことかもしれませんけれども、防衛庁長官である私は、防衛庁組織体の長として何かあったときに閣議請議を行うという立場じゃなくて、個人としての、国務大臣ならそれはだれでもができるわけですけれども、やっぱり内閣府の長である内閣総理大臣から要請してもらわなければならないという点は、実務的には、さっき先生の質問、ほかの先生の質問のときに、判こを押すだけだなというようなことを言われましたけれども、判こをもらいに行くということ自体がやっぱりこれは潜在意識としては非常に手間が掛かるような問題でございまして、財産取得にしてもあるいはまた予算の支出にしても、そういうような書類をもらうという、そういう形になるわけでございますから、その辺はやっぱり意識の面で大分違うと思うんです。  しかし、具体的にはと言われますと、専決でかなり下りていますし、実務的にはこれはもう防衛庁長官の決裁でいい問題が結構ございますから。ただ、公印だけは内閣総理大臣の印を押してもらわないとやれない点がございますけれども、あとは形式的に回るだけだという点がございますが、その辺がやっぱり意識面で大分違うということでございます。だから、政策官庁として脱皮するということと、そういうような実務的な問題でも迅速性が取れるということ。  それと、外国との関係では、やっぱりエージェンシーという言葉の響きが何かしら代理店業務みたいなイメージをちょっと与えておりまして、そこが各国は、世界全部ミニストリーかデパートメントになっているわけですから、そこの違いがやっぱり若干違和感が残っているという、そういう点がございますから。これだけ日本がもう国際協力でいろんな国々に行ったり、あるいはまた外国との交流を深めてまいりますと、そこを外国と同じような組織体にした方がいいという、そういう感じがいたします。
  359. 荒木清寛

    荒木清寛君 そこで、同じことをちょっと違う角度で聞きますが、防衛庁から簡単にこの省移行の必要性ということで説明をしていただいた書類の中に、イラク派遣、北朝鮮ミサイル対応などにかんがみれば、防衛大臣がより責任を持って対応できる体制を構築することが重要なんだ、こういうことが書いてあるわけですね。  それで、今、イラク派遣の問題は先ほどちょっと議論がありましたのでこれは別にしまして、例えば今回、省移行によって、ここにあるような北朝鮮ミサイル対応などについて、例えばこの問題についてどう防衛省としての対応が変わるのか、これまで非常に抑制的であったのがもう少し積極的に対応できるという、そういう意味なのか、お答えしにくいのかもしれませんが、御説明をいただきたいと思います。
  360. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは少し皆さん方が、説明される方が気負いがあるんじゃないかと思います。私は、そこは今までだって、防衛庁組織として、情報の収集は情報本部をつくりまして防衛庁長官の直轄に置いていまして、そしてそれで得た情報については官邸にすぐさま行くようになっておりますしですね、防衛庁が省にならないとそういうことができないのかといいますと、それはないわけでありますから。  だから、その辺は少し、北朝鮮問題に対してより迅速にって、何が迅速かと言われると、さっき言った書類ぐらいのもんだと思いますので、私はそこは少し気負った言い方じゃないかなと思います。
  361. 荒木清寛

    荒木清寛君 この書類もあくまでも一つの例示ということで、このことがその改正の理由なんだという説明にはなっていないわけですけれども、一つそういう例示がありましたものでお聞きしたわけですが。  次に、今回の法案では、省移行なのか省昇格なのか、そういう言葉遣いはないわけですが、我々は省移行だと、こういうことで理解をしております。  それはやはり、先ほど言いましたように、実態が何か変わるというものではないと。ただ、今おっしゃったように、外国的には、外国に行きますとジャパン・ディフェンス・エージェンシーで代理店のような響きに取られると、これが今回防衛省ということになれば、外国のそういう軍人さんとも同等といいますか、そういうことだと思うんですが。  そうなりますと、むしろこの省昇格という言葉を使った方が実態に即しているのか、それともやはり省移行なのか、この点は大臣、どういう御見解なんですか。
  362. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は、あえて皆さん方が昇格と言われるときでも省移行というふうに言っているぐらい、中身についてはそんなに、任務が増えるとか、あるいは予算が膨らむとか人員が膨らむとか、そういうことでもないわけでありまして、組織としては確かに内閣府の下だったのが内閣府から離れますけれども、昇格という言葉は何か格が上に上がったような、これは庁であっても省であってもそういう点では本来は一緒なんですね、組織体としては。  ただ、やっぱり意識の面で違うというのと、政策官庁としての自覚というか、そこにおいては若干違うような気がいたしております。だから、そのぐらいですから、昇格という言い方はちょっとどうかなって、私は余りその言葉は使っておりません。
  363. 荒木清寛

    荒木清寛君 次に、シビリアンコントロールの問題について若干お尋ねをいたします。  言うまでもなく、戦後の我が国の歩みは、さきの大戦における三百十万人に及ぶ尊い同胞の犠牲の上に成り立っておりますし、また、アジアを始めとする諸国に与えた惨害と犠牲に対する反省を忘れてはならないことは言うまでもありません。  そうしたさきの大戦の反省を踏まえまして、軍事に政治が優先する、政治が軍事に優先をするというシビリアンコントロール考え方が自衛隊創設以来貫徹をされてきたわけであります。そしてまた、今回の改正によりましても、このシビリアンコントロールの貫徹という意味では何ら変更があるものではないというふうに承知をしております。  この点、改めて確認をしたいことと、この場合の大臣がおっしゃるシビリアンコントロールというのはどういうことなのか。法律にこんな横文字があるわけではありませんし、憲法に「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」とあるだけでございますから。どういう意味でのこのシビリアンコントロールに何らの変化がないという御説明なのか、お尋ねいたします。
  364. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 戦前の軍隊と国会あるいはまた国民との関係を見てみますと、結局統帥権が国会と別のところにあったために軍に対してそれをチェックすることができなかったという、そこが一番大きいわけでありまして、だから戦後は、まず憲法で内閣総理大臣国会が首班指名で選んで、形式的には天皇の任命になっていますけれども、内閣総理大臣国会のコントロール下に置かれておると。その内閣総理大臣防衛庁長官を任命すると。そして、内閣総理大臣自衛隊の最高指揮監督権を持っていて、防衛庁長官がその命を受けてその指揮に当たるという、そういう形になっているのがまず一番目の、機構としてのシビリアンコントロールができ上がっていると思います。  それと自衛隊の、大きな実力組織であります自衛隊の予算、これもやっぱり勝手にやるわけにいかぬので、ちゃんと自衛隊国会の予算の範囲内においてそれに基づいて使うと。財政的にもそれが制約をされておるわけですから、これも一つであります。  それと、自衛隊行動そのものが自衛隊法を始めとするあらゆる法律に従って、予算の執行についてもそうですし、行動については法律によって縛られておるという、この点がまたきちっとでき上がっておりますから、こういう点がシビリアンコントロールのとりでといいます最たるものじゃないかなと思っておるわけであります。
  365. 荒木清寛

    荒木清寛君 一方、また少し別の問題でありますが、今回の法改正によりまして、自衛隊の国際平和協力活動等が本来任務化されるわけでございます。  こうした国際貢献の活動というのは、国連の下、国際協調の枠組みの中で行われるものでございますので、日本もそうした先進国として責任を果たすという意味でも、このいわゆる国際平和協力活動あるいは国際的な災害救援活動、もちろん国内における災害派遣活動、こうしたものにつきましては、私は、今回の法改正を受けて、正に政策官庁として、より積極的に活動していただきたいという強い思いがございますが、大臣いかがですか。
  366. 久間章生

    国務大臣久間章生君) かつて自衛隊ができましたときには、海外まで出掛けていって国際協力業務を行うなんということは余りみんな考えてもおりませんでしたし、またそういうことをすることによって他国から非常に警戒されるんじゃないかという、そういう思いが非常に強かったのも事実であります。  しかしながら、世界各国がみんな参加しているときに、日本は文民警察官を始めとする、あるいは一般の市民だけで、いわゆる大きな組織としての自衛隊が出ていかないというのが非常にほかの国から見た場合は希有な感じに取られる。  それと同時に、日本でもやっぱり日ごろから災害派遣等についても訓練を受けている、あるいはまた、自己完結型の自衛隊が行くことの方が非常にまた効率性もいいんじゃないかというようなそういうこと、あるいはまた、行った先では何があるか分からない、そういうところに一般の国民がNGOとして行くよりも自衛隊が行った方がいいじゃないかというようなことから、自衛隊に対する期待が非常に高まってきて、それを受けて出ていくようになって、それに対する評価がまた非常に高まっていきました。だから、それを受けた形で、今回、今までの雑則に入れておったのを、それをやっぱりきちんと自衛隊任務として考えていいんじゃないかということで本来任務の中に取り入れたわけであります。
  367. 荒木清寛

    荒木清寛君 そういう意味では大いに積極的にやっていただきたいと、このように思います。  次に、外交政策と防衛政策連携ということについて、大臣と副大臣にお尋ねをいたします。  我が国の安全保障の基本というのは、自主的な防衛力の整備に努めること及び日米安保体制の堅持ということを基礎としながら、何よりも国連やアジアの諸国との協調を深めることを始めとする外交努力を積極的に行っていく、これが車の両輪で日本の安全が確保できるものと思っております。そういう意味では、平和国家を標榜する我が国としては、外交政策の展開を第一義としまして、これと防衛政策連携をして、遺漏なき安全な日本をつくってもらいたいと、これが理想であると思います。  そこで、久間防衛庁長官浅野外務大臣に、昨今、この朝鮮半島をめぐるそうした緊張の高まりということもあるわけでございますので、従来にも増して今度は外務省と防衛省がよく協議をして政策を遂行していただきたいと思います。両、大臣、副大臣の決意をお伺いをいたします。
  368. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今、車の両輪とおっしゃいましたけれども、やはり第一義的にはやっぱり国の安全環境をつくる外交努力で、そういう各国との努力によってそういう雰囲気、友好関係をつくっていく、信頼関係をつくっていく、これが一番大事なわけでありまして、さはさりながら、国民から見たら非常にやっぱり不安が残るから、備えについても十分な配慮をしなきゃならない、体制をつくらなきゃならないということで防衛問題あるわけでございますので、まず第一義的には外交関係で、やっぱりそういう、まず防衛出動とかそういうことに至らないような雰囲気づくりをやることの方が一番大事でございますから、我々は防衛庁が仮に省になったとしても、外務省のそういう努力をサポートしながら、そういう近隣関係、国際環境、そういうのをつくっていくようにこれから先も努力しようと思います。そのためには緊密な連携を取らなきゃいけないわけでございますから、これまで以上に緊密な連携を取っていきたいと思っております。
  369. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 安全保障政策の基本は、御指摘のとおり、適切な防衛力の整備に努めるとともに、日米安保体制を堅持して、アジアを含む国際環境の安全を確保するための外交努力をすることと自覚をしております。  したがいまして、外交政策を担当する外務当局と防衛政策を担当する自衛隊のオペレーションを抱えながら慎重に、重要な防衛政策を担当する防衛当局が、長官御指摘のとおり、適切かつ慎重に連携協力することが重要と心得ております。  最近の朝鮮半島をめぐる国際情勢の動きなどを見るにつけ、防衛庁自衛隊の役割が一層高まる中でもございまして、防衛庁が省に移行した場合にも、これまで以上に緊密な連携協力関係を維持してまいります。
  370. 荒木清寛

    荒木清寛君 次に、以下、久間長官に、今回の省移行によって防衛の在り方が大きく変わるものではない、あるいは自衛隊の実態が変わるものではないという点を何点か念のために確認をさせていただきます。  今回の省移行によりましても、これが集団的自衛権の行使を認めることを目指すものではないと認識しておりますけれども、それでよろしいですか。
  371. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは言うまでもなく、防衛庁が省になりましても、日本国憲法の下で各省設置法は作られているわけです。日本国憲法の考え方として、そういう集団的自衛権は行使しないという、そういうのを日本は従来から政府の方針として解釈上も取っておりますので、その考え方には変わりございません。
  372. 荒木清寛

    荒木清寛君 関連いたしまして、在日米軍の再編をめぐりましては、一部には自衛隊と米軍との一体化であるとか融合を目指すものであるというとらえ方もございます。しかし、今回の省移行と在日米軍の再編関係がなく、いわゆる盾としての自衛隊の、盾ですね、盾としての自衛隊の役割に変化はないというふうに理解をしておりますが、それでよろしいでしょうか。
  373. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 我が国は、盾しか持たないと、矛の部分は米軍に依存するという形で日米安保条約を結んでいるわけでございますから、それは今後も同じでございますので、従来と日米関係は全く同じであると理解していただいていいと思います。  ただ、米軍再編の問題については、これは世界的な全体の再編構想の中で、やっぱり我が国でもその基地を持っているところの痛みを少しでも和らげるという、そういうことと、米軍のプレゼンスが、抑止力がどうやって残すかという、その問題との兼ね合いの中で、いい方法はないかということで今再編を進めておるわけでございますから、これは防衛庁が省になろうとなるまいと進めなきゃならない問題であります。
  374. 荒木清寛

    荒木清寛君 この省移行と防衛予算の関係について確認をいたします。  省移行によりましても、防衛予算については防衛力の一層の効率化、合理化を図りつつ、多機能で弾力的な実効性のある防衛力を整備するという現在の中期防整備計画は維持されるわけでありますから、そうした意味では、この防衛予算の増大には従来どおり歯止めが掛かるものと理解をしておりますけれども、この点もよろしいでしょうか。
  375. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 現在ある防衛大綱を変えるわけでもなく、また中期防衛力整備計画を変えるわけでもなく、そのままの状態の中で、もちろんこれから先のいろんな推移の中でそれはまた議論はあるかもしれませんけれども、現在はそういう状況の中で庁から省に移行するわけでございますから、予算的にも増大するわけじゃございませんし、むしろ予算的には、どちらかというと現在の財政再建の下でなかなか厳しい状況でございますから、減ることはあってもなかなか増えにくい状況であります。
  376. 荒木清寛

    荒木清寛君 一部には、省移行と軍事大国ということが結び付くのではないかという、まあ、これは全く杞憂だと思いますが、あるわけですね。  そこで、今回の省移行によりましても、もちろん軍事大国になるわけではありませんし、近隣諸国を始め他国に不要な脅威感を与える存在に自衛隊がなるものでは決してないと認識をしております。当然、攻撃的な兵器を自衛隊は持たない、あるいは敵基地攻撃能力は持たないというこの従来の方針も維持されると理解をしておりますが、よろしいでしょうか。
  377. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そのとおりでありまして、従来の方針といささかも変わることはございません。
  378. 荒木清寛

    荒木清寛君 それで、一つだけ具体的な問題をお聞きしますが、クラスター爆弾ということが、最近イスラエルがレバノン南部攻撃の際に使用したということで国際的に非難をされております。言うまでもなく、このクラスター爆弾というのは、爆弾の本体の中に数百個の子爆弾が仕組まれておりまして、空中でまき散らして目標を破壊するものでありますけれども、不発弾として多くの子爆弾が残って、これによる後の被害が続くという非人道的な兵器でございます。  そうした意味で、第二の地雷と呼ばれているクラスター爆弾につきまして、その全面禁止の条約作成にノルウェー政府が旗を振っていると承知をしております。平和憲法を持つ日本でございますので、こうしたことにつきましても、この地雷廃絶につきましては、小渕元総理・元外相が非常にリーダーシップを発揮をされて、条約の制定にこぎ着けたわけでありますから、我が国としても、このクラスター爆弾の問題につきましても、そうした国際的な一つの規制の枠組みができるように努力をしてはいかがかと思いますが、どうでしょうか。
  379. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 十年前、私が防衛庁長官のときに小渕さんが外務大臣でして、そしてそのときに、地雷の除去に物すごく熱心でございました。そして、もうとにかく自衛隊を頼むと言われましたので、分かりましたということで、自衛隊は一応もう地雷の廃棄を約束しましょうということで、二人でさしで議論したことがございました。そういうことを思い出すわけでございますが。  このクラスター爆弾についても、確かに自衛隊としても持っております。これは、しかし今、特定通常兵器使用禁止制限条約関係会合といいますか、このCCW関係会合でいろいろ議論がされておりまして、日本もそれに今参加しておりますから、そういうような参加を通じて、国際的な合意がどういうふうになっていくのか、それを見ながら、私たちとしても考えていかなきゃいけないと思っておりますが。  ノルウェーのこれが非常に突出しているような感じがしないでもありませんので、そこに直ちに我が国がそっちと一緒になってやるかどうかになると、ややこのCCW関係会合の方にむしろウエートを置いた形でやっていくことの方が国際的なまとまりにつながっていくんじゃないかという気もいたしますので、その辺は慎重に対応したいと思っております。
  380. 荒木清寛

    荒木清寛君 慎重にということですけど、是非前向きにいろいろと考えていただきたいと思います。  次に、隊員教育について久間長官にお尋ねいたします。  私も自民党と公明党のこの問題について、この問題といいますのは、この省移行問題についてのプロジェクトチームに参加をし、我々としては、防衛省になり、正に政策官庁としてしっかりやっていただくわけでありますから、隊員の皆様にも更にレベルアップを図るようなことを考えていかなければいけない。もちろん、幾ら組織の体裁、体裁といいますか、整えても、それにふさわしいこの省員、自衛隊、自衛官の自覚といいますか、あるいは資質の向上というのがなければいけないわけでございます。  そういう中で、我々も諸外国のドイツの例等も勉強する中で、民主主義教育、あるいは平和主義、国際協調の理念や基本的人権の尊重、多様な文化と価値観の尊重、こうしたことについて、更にレベルアップしていくような隊員教育の充実も、今回のこの省移行ということを契機に、併せて図っていくべきではないか、こう考えるわけですね。  このことは、この法律には別に、法案には書かれておりませんけれども、久間長官、初代防衛大臣におなりになるんだと思いますので、これをきっかけとして、この隊員教育の、今言ったような意味での更なる充実に取り組んでいただきたいと考えますが、見解をお尋ねいたします。
  381. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは、防衛庁が省になってもならなくても、こういう実力部隊でございますから、そこの教育がきちっとしておかなければなりませんし、国民の信頼もまたかち得なきゃならないわけでございますから、規律の面でそれを充実するだけではなくて、やっぱり資質の向上も図っていかなければなりません。  そのときの資質の向上というのは、今おっしゃられましたように、我が国が戦後民主国家としてスタートして、今や民主国家としては世界の中でかなりなレベルに達しているわけでございますから、その基本の民主主義の教育というのをこれから先も徹底して身に付けることが大事でございますので、その辺の教育には、もう本当に落ち度がないようにこれから先もなお一層努めていこうと思っております。
  382. 荒木清寛

    荒木清寛君 最後に、今回の法案の中には、防衛施設庁の解体、これは一連の施設庁の談合問題等を契機にこのような形になるわけでございますが、このことも含まれておるわけでございます。  もちろん、自衛隊員の皆さんが地元に溶け込むように、信頼されるように非常に努力をして、またその成果を上げていることを、私も様々な地元行事に参加をする中で、またいろいろ隊員の皆さんとお話をする中でよく知っております。  しかし、一方、この施設庁の談合問題や、最近もありましたけれどもまた情報の漏えい、また麻薬汚染問題等、この防衛庁をめぐる不祥事が続いたということも事実でございます。  省移行に当たりましては、この不祥事の根絶ということについて、大臣にはより一層努力をしていただきたい、このことについての決意を伺います。
  383. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほどから言いますように、自衛隊あるいは防衛庁が、やっぱり国民の信頼をかち得ていかなければいけないわけでございまして、やっぱりしっかりした防衛力を整備するためには、国民の信頼なくしては成り立たないわけでございますので、そういう意味では、いろんな不祥事を起こさないように日ごろから努めていかなければなりませんが、組織としてもいろんなことを考えていかなきゃなりません。  そういう点では、施設庁が、一つには、従来調達庁としてスタートしたそういう歴史的な背景もありまして、防衛本庁の指揮監督に入っていなかったということで、自分たちの組織の中で人事も行われておりましたし、そういう点でのいわゆる制肘が加わっていなかったということもございます。  今後は、そういう点で、本庁と一緒になって組織をどうするか、今、概算要求の要求もしておりますけれども、そういう中で、廃止して統合するという形でやろうと思っておりますし、そういう中で、人事も、他省庁との人事も含めて交流を深めていこうと思っております。  それと、やっぱり契約をする担当課と積算をする担当課と、そういうところがお互い分けることによって、その辺でまたお互いが制肘し合うようなやり方も考えなきゃなりません。そういうことも取り入れていこうと思っております。  それともう一つは、さっきから言われたパソコンの、パソコンといいますか、ああいう情報の流出、あるいはまた麻薬ですね、そういうような問題については、これは本当にしっかりしなきゃならないというふうに思っているんですけれども、なかなかこの、とにかく二十七万人のこれだけの大きな組織でございますから徹底ができていなくて、皆さん方からも何してるんだというようなおしかりを受けているわけでございますけれども、引き続きこれについても不祥事が発生しないように努力していこうと思っております。
  384. 荒木清寛

    荒木清寛君 これが本当の最後ですが、そうした意味では、施設庁は解体して統合されるわけでございますが、そうした中で、行政改革という意味で、防衛庁がスリムで効率的な組織になるように、そうした行政改革という視点からも努力をしていただきたいと考えますが、決意をお尋ねいたします。
  385. 久間章生

    国務大臣久間章生君) まだこれ概算要求の段階でございますから最終的にどうなるか分かりませんが、今の考えでは、大体全部で五十七あるぐらいの課を四十七ぐらいにやりますし、減らしますし、そして人数でも、増えたり減ったりいろいろしますけれども、総体として五十六人ぐらいの減になる、純減になるんじゃないかなと思いますので、そういう意味ではスリム化したいと思っております。
  386. 荒木清寛

    荒木清寛君 終わります。
  387. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 以上で荒木君の質疑を終了します。  緒方靖夫君。
  388. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この法案は、自衛隊の海外での活動を本来任務に位置付けるという、そういうものであります。自衛隊任務、位置付けが変わるわけですけれども、その点についてお伺いしたいと思います。  これまで、自衛隊の存在は日本国憲法の下にある必要最小限の実力組織だと説明されてきました。本来任務も、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とすると書かれてまいりました。すなわち、侵略から日本を守るために存在する、これが自衛隊のそもそもの目的だということですね。  海外の活動任務に加われば、憲法から説明されるそもそもの目的も変わってしまい、今までの目的を超えてしまうことになるのではないか、その点についてお伺いいたします。
  389. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 憲法の枠を超えて活動できるような組織日本では持てないわけで、できないわけでございますから、法律作る場合も必ず憲法の制約の中でしかできないわけでございますので、どんな法律を作ろうと、どんな組織を作ろうと、憲法上問題があるような組織を作ることは、まず論理的にもできないわけであります。  そういう意味で、今回の防衛庁防衛省にする場合でも、今度の場合は全くそのままの移行でございますから、それは中身的にも問題ないですけれども、もし何か変えようと思っても憲法上問題になるようなことはあり得ないわけでございますので、その辺は任務を、どんなにこちらの今までの雑則だった任務を本来任務の方に持ってきたとしても、それは憲法上の問題は生じません。
  390. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、目的が変わってしまうのではないかと、そういうことをお伺いしたわけですけれども、じゃ、そもそも自衛隊は何のために存在するのか、そういう問題ですけれども、防衛白書の中でも、憲法と自衛権、そしてまた自衛隊関係に触れながら説明されております。  そこには、憲法が日本の自衛権を否定するものではない以上、その行使を裏付ける必要最小限の実力の保持は認められるとした上で、これは引用ですけれども、よく、有名な言葉ですけれども、我が国は、日本国憲法の下、専守防衛を我が国の防衛の基本的な方針として実力組織としての自衛隊を保持するとあります。要するに、日本の防衛のための自衛隊という説明であって、これは防衛白書がずっと版を重ねてきましたけれども、この点はずっと一貫して変わらなかった。これは間違いありませんよね。
  391. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは主たる任務としては変わりませんが、それと同時に、自衛隊のそういう組織を生かして災害出動とか、そういうのについても、災害派遣等についての出動、災害派遣ですけれども、災害派遣等についても自衛隊活動を行ってきたのも事実であります。  だから、時代の要請、時の要請によって自衛隊組織を使って何をするか、どういう任務をそこに付与するかはそれは立法の決め方でございまして、災害派遣あるいはまた海外協力業務も、国民の皆さん方が、別組織でやるよりも、現在防衛のためにある自衛隊組織を、それに影響を及ぼさない範囲でそれを使ったがいいという判断の下にそれを本来任務として加えることについては、私は差し支えないことだと思っております。
  392. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今、答弁にありましたように、時代の要請とともに、そしてその任務も変わってきたと。また同時に、その中の位置付け、目的等々もやはり変わってきている、それが今回の法案だということをお認めになったんだと思うんですね。  つまり、任務が変われば、自衛隊が存在する目的や性格は法律の上で変わることになるのは、これは当然だと思います。今おっしゃられたことだと思いますけれども、それは間違いありませんよね。
  393. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは今言ったとおりでございますけれども、まあしかし、中身的にそんなに大きく変わっているかといいますと、それは変わっていなくて、従来やってきたのを法律的に整理しながら本来任務として位置付けたということでございますから、新たに何か新しい任務を付与したわけではございません。
  394. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本の防衛も海外の活動も本来任務となる、この法案で。そして、両方とも自衛隊目的なんだということになれば、これは当然目的や性格変わることになるのは当たり前なんですよ。それはそうですよ。  今、中身的には大きな変化はないとおっしゃられましたけれども、それでは、そもそものところから、どういうふうなことが改めて位置付けられるのかということについて、基本的なことを少し法案に沿ってお伺いしたいと思います。  まず、法案第三条二項第一号の周辺事態への対応ですけれども、これにはどういうものが含まれますか。
  395. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 後方地域支援とか、あるいは船舶検査活動法に基づく船舶検査等、こういうのが周辺事態関係しては出てくると思います。
  396. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 米軍への後方地域支援は含まれるかどうか。
  397. 久間章生

    国務大臣久間章生君) はい。
  398. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 含まれますね。はい、明確ですよね。  法案の第三条第二項第二号は国際平和協力活動についてですけれども、これにはいろんな活動があると思いますが、何と何が含まれますか。
  399. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 正確にはまた事務方から聞いてもらっていいと思いますけれども、これについては、まずPKO法に基づく活動、それから国際緊急援助隊法に基づく活動、テロ特措法及びイラク特措法に基づく活動、こういうのを念頭に置いて二項第二号で整理しているわけであります。
  400. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今、長官がおっしゃられたテロ特措法に基づく活動、これにはどういう活動がありますか。
  401. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは、現在行っておりますのはインド洋におけるいわゆる給油活動、これがございます。
  402. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 つまり、米軍を始めとする多国籍軍への給油活動ということですよね。  イラク特措法に基づく活動として現在行われているのはどういう活動ですか。
  403. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは、航空自衛隊が、多国籍軍そしてまた国連の職員、こういったところが行っておる人道復興支援のための援助を空輸として行っているわけであります。
  404. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうすると、この法案が通れば、今挙げられました給油支援とか、あるいは米空軍の輸送活動とかそういうものが、つまり米軍への支援の活動、これが一遍に自衛隊の本来任務になると、そういうことになりますよね。
  405. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これらはいずれもこの国会で通った法律に基づいて自衛隊が行っている活動でございますから、本来任務になろうがなるまいが、法の下において、国会がお認めになられました法律に基づいて自衛隊が本来やっている仕事であります。
  406. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それは自明です。私の質問は、そういう米軍への支援が本来任務と位置付けられるんですねとお尋ねしているんです。イエスかノーかで答えてください。
  407. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 米軍への支援ということではなくて、法律に基づく活動でありますから、その法律中身によって決まってくるわけでありまして、米軍への支援というふうに一方的に言われるのはいかがなものかと思います。
  408. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは言い直しましょう。法律に基づいて行われている米軍の支援、これらがこの法案に基づいて、今後法律が通れば本来任務になるんですね。
  409. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 法律に基づいて行っている自衛隊活動は本来任務の中に入ってまいります。
  410. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 つまり、自衛隊法上、これからの自衛隊日本の防衛も、また今説明のあった米軍への支援、どちらも本来任務として位置付けられることになる。どちらの仕事も当然のように担う存在になる、このことが明らかだと思います。  それでは、国際平和協力活動活動、これについてですけれども、現在までに根拠法が作られ、自衛隊により実施されてきた活動は何を指すんでしょうか。
  411. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) どなたが答えられますか。
  412. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、さっき私が答えたのと違う何か、もう一回ちょっと今のところ。
  413. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) では、もう一回。
  414. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いや、いいです。そのとおりですよ。
  415. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほど四つほど挙げましたけれども、それはもう先ほど答弁したとおりですけれども、それと違う何かありましたか。
  416. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ええ、結構です。答えていただいて。
  417. 柏村武昭

  418. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほど言いましたように、PKO法、国際緊急援助隊法、テロ特措法、イラク特措法、これに基づく活動、それから緊急援助隊法、もう言いましたね。だから、この四つぐらいだと思いますね、法律に基づく活動は。
  419. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうすると、それが現在のことですね。それが法律で裏付けられることになるわけですね、本来任務として。今後、法律を作り、海外で新しい活動を行う場合、これは含まれるんでしょうか。
  420. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは国会での立法の内容でございますから、今私たちがそれを念頭に何か考えているわけじゃございませんけれども、これは議員立法もありましょうし閣法もありましょうし、これから先、国会でこういうことを自衛隊にやれということで任務として付与されれば、我々はやっぱりその自衛隊を所管する省庁としては法律に基づいてそれを粛々とやっていくと、そういうことであります。
  421. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 つまり、法律の枠組みとしてそういうものが含まれると、今後。そういうことですよね。  そうすると、自衛隊の本来任務として海外の活動が、今あるものだけではなくて、今後枠組みとしてそこに入るという、そういうものがつくられることになる、そういうことだと思います。  次に、法案によれば、国際連合中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動とされております。つまり、国際連合中心にした取組、これが一つ。それからもう一つ、その他の国際協力、これが二つ目。この二つに分けられるように読めるんですね。  そうすると、その他の国際協力というのはどういうものなのか、国連がかかわらない活動が想定されるというのか、どんな活動なんでしょうか。
  422. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 国際緊急援助隊法に基づいて、ああいう大津波とかあるいは大地震とか、ああいうときは国連決議に基づかないで我が国は直ちに各国と同じように出ていくことはありますから、やはり国際的なそういう、何といいますかね、活動というのはやっぱりあると思います。
  423. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その国際平和協力活動自衛隊が行う場合ですけれども、自衛隊が参加する活動について、それを根拠付ける国連の安全保障理事会の決議が出されていることを条件とするんでしょうか。
  424. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほど言いましたように、国際緊急援助隊法なんかの場合は国連決議がない場合もありますから、全部が全部国連決議が伴うというわけではございません。
  425. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは、多国籍軍への参加、これについてですけれども、自衛隊の参加について、武力行使をしないことが前提になっているという政府立場はもう十分承知しております。問題は、参加する多国籍軍の武力行使について安保理の決議の解釈が分かれた場合どうするのか。自衛隊はこれに参加して輸送などの協力を行うことができるんでしょうか。
  426. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いずれにしましても、自衛隊が参加する場合には法律に基づいて参加するわけでありますから、その法律を作るときにそういうものに参加させることが適切かどうかについて国会で議論がされるわけでありますから、そのときの中身によってそれは皆さん方が決められることだと思います。
  427. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 しかし、防衛庁立場としてあるいは政府立場として、そうした決議が分かれた場合、どういう政策判断をされるのかということをお聞きしております。
  428. 久間章生

    国務大臣久間章生君) よく日本の場合は法律を閣法で出しますから、立法権限がさも政府にあるかのような誤解を招きますけれども、法律をどう作るかは本来は立法府の仕事でございますから、そのときの中身をどういうふうなものにするかはそのときの状況で決まってくるわけでございまして、ここで今分かれたときにどうだこうだと言うのは、そういうことを今一概に議論はできないと思います。  例えば、政府が分かれたことについて嫌だと思っていても、国会の中でやっぱりこれは分かれているけどやれというような形で修正されれば、それに従ってやらざるを得ないわけですから。
  429. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 まあ一概に議論できないと。それは先ほど、大変同僚議員が面白いやり取りをされて、私も大変興味深く伺ったんですけれども、例えばあのイラクのときのやり取りですね。大臣は大変率直にそのときの心情等々を語られました。  私、その点で長官御自身の政治家としてのお考えをお聞きしたいんですけれども、イラク戦争が、米英が開戦する、それに当たって根拠となる安保理決議というのはあったのかなかったのか、どのようなお考えでしょう。これ、政府立場は存じておりますけれども、長官御自身のお考えを伺いたいと思います。
  430. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は、その前にイラクに二回ほど行ったこともございました。そして、イラクのいろんな関係者と話したときに、核兵器はないのは私たちはもう確信していますと、核兵器だったら我々に隠れて実験することはまず難しいというようなことを皆さん言っておりましたから、私は核兵器についてはないだろうなと思っておりました。  しかしながら、そのときに皆さんがこっそり言うには、しかし生物化学兵器等については冷蔵庫にも隠すことができるんですから、どんなに査察してもばれないかもしれませんよと、それについては分かりませんねという言い方をしていました。だから、私もそれはいまだに、私に言った人はある政府の高官ですけれども、まあうそじゃないなという感じはしております。したがいまして、私は、核兵器はそのときから多分ないだろうと。  しかしながら、アメリカはあると信じているのかもしれないと。だから、またフセインも持っているぞと言わんばかりの、こう肩怒らせてたから、国連決議も何回もされていて、あんな無理をしないで早くもう洗いざらい手のうちを見せてやったらいいのになというような、そういう思いをしておりました。そして、戦争にアメリカが踏み切ってしまいましたから、まあイラクももうちょっと利口だったらなという思いがいたしましたけれども、そういうのがそのときの心境です。
  431. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうすると、結局そのときの開戦を根拠付ける国連決議というのはあったというお考えですか。
  432. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは私は分かりません。しかしながら、言えますことは、日本は、先ほども話がありましたように、それに対して政府として支持するというのを公式に言ったわけじゃなくて、コメントとして総理がマスコミに対して言われたということは聞いておりますけど、政府立場として戦争を具体的に支持するような法律を作ったわけでもないし、自衛隊もそれに基づいて出ていったわけでもございませんから、イラクの戦争にさも日本がコミットして、そして自衛隊を出したかのような話をされると、大変困るわけであります。
  433. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 政府小泉首相の言葉で強く正式にあの戦争を支持すると述べたと、私はそう認識しております。  そうすると、その開戦の直近の問題となった国連安保理決議一四四一、これについては、つまり最後の、ラストリゾートという、最後の手段という言葉の解釈をめぐって割れたんですよね。元々それを採択したときにはそこでの一致はあった。しかし、米英はこれを根拠に武力行使をすると述べた。それに対して、その採択の当時明らかにしたように、あるいは中国とロシアとフランスが三か国で共同声明を出して、この最後の手段というのは武力行使を自動的に使うことを意味しないんだということを宣言した。ですから、そうすると、国連安保理の中で米英の解釈は一つの有権解釈、また仏、ロ、中のものも有権解釈という、そういう状況になったわけですよね。  僕はこの委員会で町村外務大臣とこの論議をして、両方とも有権解釈だということを大臣認められた。そして、ならば、じゃ何で、国際社会が分裂している中で、安保理が分かれている中で何で国連決議に基づくと言えるのかという、そういう議論をしたことがあるんですね。  今日はそれがテーマじゃありませんけれども、少なくとも国際社会が一致してこの戦争が一四四一に基づいて開戦されたと認識していない、少なくとも安保理のフランス、中国、ロシア、そしてまた多くのアラブ諸国はそう認識していないという状況、よく御存じだと思いますけれども、そういう状況があったということは認識されていると思いますが。
  434. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そういう状況下にあったことは認識しております。  しかし、その一方、日本はあの当時、バブル期から脱出しようとして非常にあえいでいました。アメリカ経済と日本経済とが非常に絡み合っているのも事実でございます。そういう中で日本アメリカに反対してフランスみたいに立ち向かうことができるかなという、そういう思いもございました。フランスの場合は、アメリカで商品が売れなくてもEUで売れるんだからフランスは強気だなというような思いもしました。日本にそれだけの強気の態度が取れるかなという、そういう思いも一方ではしておりました。
  435. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣、大変率直な議論で、僕は大好きです、こういう議論が。面白い。  それで、そうすると、明示的な国連安保理決議はなかったということになるんですよね。
  436. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は、私の立場では、そういうのをあったとかなかったとか、防衛庁長官としての立場ではコメントできるような立場ではございません。それは外務省に聞いてください。
  437. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうするとどういう問題が起こるかというと、実際に、イラク戦争で実際に米軍空輸をやっている、そういう活動を本来任務として位置付けることになる。その活動というのは、確かに法律は通った、しかしそれは国際社会の広い認識の上に成り立って開戦されたものではなかった。まあその後、国連決議が通りましたから、それに根拠をしているということになるんでしょうけれども、そういう話になるわけですよ。  そうすると、私はこの問題で、結局現実として国際社会が分裂し、一方の解釈を支持するだけで日本行動を決めた。そういうケースについても、法律が通ったとはいえ、こういうケースがこれからこの法律の中で本来任務として位置付けられることになる。やはり私もここに怖さがあるということを実感いたします。
  438. 久間章生

    国務大臣久間章生君) イラクの戦争の出発点がどうかは別としまして、イラク特措法を作りましたときには、国連からの要請日本自衛隊を派遣するかどうかで法律を作ったわけであります。したがいまして、そのときは、最終的には民主党さんは賛成に回ってもらえなかったですけれども、あのときの議論としては、国連要請に基づいて、イラク復興のために出ていく自衛隊についてはこれは認めていいんじゃないかという、そういう考え方でやりましたから、私はイラクの特措法については全面的にそれは賛意をもって参画したのを今でも記憶しております。
  439. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それは占領が既成事実になってその後の決議の中での話ですから、私はそれを区別してお話ししているわけです。  次に、国際平和協力活動を行う際の自衛隊の武器使用の在り方についてはどうなっていくんでしょうか。  それで、その点で米軍や他国の軍隊と協力やっていく際に武器使用の基準はどうなるのか。現行の活動の水準を緩和するということがあり得るんでしょうか。
  440. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 現在、法律で認められた範囲内で武器使用をする、これによってかなり、もう現在の武器使用の基準は対応できているんじゃないかと思っております。
  441. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それで、法律に基づくわけですけれども、今後、水準を緩和するという、そういう可能性はあるのかとお聞きしております。
  442. 久間章生

    国務大臣久間章生君) PKO活動に最初参加したときと比べればかなりやっぱり緩和してきておりますから、今現在、これ以上緩和する考えを私自身は今持っておりません。
  443. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 よく言われるんですけれども、外国軍隊と一緒に行動する、イラク行動する、そうすると、一緒に活動している軍隊が攻撃されているときにそれを助けないで帰ってきていいのかという、そういう議論があるわけですね。それを守るための武器使用をどうするのかということが話になります。自衛隊と一緒に活動する外国軍隊を守るために基準を緩和するという、そういう意見が相当強くあると思いますけれども、それについての長官御自身のお考えはいかがですか。
  444. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは、これから先の国内の世論あるいはまた国会での議論、そういうことによって決まっていくと思いますけれども、私は現在の規定でもやっぱりかなりできるという、そういうようなことも考えていいんじゃないかと思うんです。  よく例として出して悪いかもしれませんが、一緒に行動しているときに、自分が最初を走っておって、撃ってきたら反撃できるけれども、一緒におるほかの車が先に行っておったら、それが撃たれて自分まで弾が来ないと撃っていけないと、そういうことは考えられないわけですから、現実には。そういうのは、私は武器と防護の規定で両方とも対応できると思っておりますから、そういう点でもかなり緩和されていると思います。
  445. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 話変わりますけれども、一昨年の安全保障と防衛力に関する懇談会は、治安維持のための警察的活動、いわゆる治安任務について、自衛隊による実施を視野に入れて検討すべきだと提言しております。  長官は、自衛隊が治安活動をやるべきかどうか、その点についてはどうお考えになりますか。
  446. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これはなかなか難しい問題でして、国内の世論がそういうのもやっぱりやるべきだとなればそれは加えることについてやぶさかではございませんけれども、やっぱり戦前の日本の軍隊が外国に出ていったときに、そこの治安状況を抑えるためにということで出ていった、そういうような過去の歴史等もやっぱり念頭に置きながら、どの程度までは許されるのか、国連等がこれから先どの程度要請してくるのか、国連一員となっておる今の立場と将来、安保理の常任理事国になったときの立場と、そういうのを全部踏まえながら国内世論がどういうふうに向いているか、それを見ながら慎重に決断していくべきことじゃないかなと思っております。
  447. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 治安任務には武器使用の拡大が必要だとも言われております。これも、これについても場合によっては検討していくということになる、そういうこともあるんですか。
  448. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 具体的な状況を想定しませんと、抽象論ではなかなか答えにくいわけでありまして、そういう場合も新たな法律を作って議論がされるわけでございますから、新たな法律を作るときにまた具体的にそういう状況に応じて議論をさせていただきたいと思います。
  449. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 振り返ってみれば、自衛隊の海外活動での武器使用基準は、憲法上の理由から設けられたはずの基準が、先ほどおっしゃられましたけれども、やはり次第に拡大されてきたという、そういう経過があったと思います。  今では外国の部隊をどう守るかという議論までされているわけですけれども、海外での活動を広げてきたことの当然の結果で、そうなればそういう議論が出てくるわけですから、今後もこの流れが続いていくということに対して、私は非常に大きな危惧を感じているということを申し上げておきたいと思います。  先ほど、私、イラクのことについて少し話をしましたけれども、この法案では正にイラク特措法が本来任務とされます。政府イラクの、自衛隊イラク派遣が国際的な評価を受けているとか、あるいは国民から理解されているとか、そういうことをこの間ずっと述べてまいりましたけれども、やはり今イラクにおける情勢というのは非常に悪化していると。そもそも、イラク国民にとって何かといえば、以前には生命や安全や財産について心配しなかったのに今それを心配しなきゃいけないという、かえって悪くなったということさえも言われているわけですね。  ですから、そういうことを考えたときに、果たして自衛隊イラク派遣を、そういうイラク国民立場からして正当化できるのかという議論が生まれるわけですけれども、その点についての長官の御自身の意見を伺います。
  450. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 自衛隊イラクの派遣は、先ほどから何回も言っておりますように、戦争の善しあしは別として、戦争が終わって、復興のために国連から要請を受けて行っているわけでございますから、そういう国連がどう判断するか、そういうようなこともちゃんと見ながらこれから先、引き続いてやるかやらぬか決めていくものじゃないかなと思っております。
  451. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私、新聞で拝見したんですけれども、長官はちょっと前に記者会見で、アメリカの治安を維持するために力だけで押さえ込んでいるやり方は気になっていたと、そういうことを、そういう趣旨のことをおっしゃられていますけれども、やはりやり方を変えるべきだという、そういうお考えですか。
  452. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、こういうことを言っていいかどうか分かりませんが……
  453. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いいです、いいです。
  454. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 時間いいんですか。  イラクの人から聞いた話として、テロ組織、テロの戦士が逃げ込んできたのを追っ掛けてくるときに、イギリスはドアをノックして調べさせてもらうということで入ってきて、そして調べて、いなかったと、サンキューと言って帰っていく。アメリカは、やっぱり身の危険を感ずるか知りませんが、ドアをばあんとやって、銃をばっと突き付けて、それでさっと調べていくと。だから、その対応の違い、これがやっぱり中東における、今まで経験しておった部隊とそうでない部隊なのかもしれませんし、あるいは身の危険がアメリカの場合はもう感ずるから、そういういとまがないというか余裕がないぐらいに緊張している。それだけの違いがあるのかもしれませんけれども、そういう違いがあるんですよということを僕に言われたことがございます。  だから、私はそれを聞きながら、やっぱりそこの風土とか民族性とか、いろんなことを熟知しないと非常に統治するというのは難しいんじゃないかと思うんです。日本の場合に占領政策で成功したからあなた方は成功すると思ったら間違えますよということを私はコーエンさんが来られたときに、戦争が始まる前にですよ、占領政策についての方針が決まっていないでしょうって。日本の場合、成功したから成功すると思ったら間違えますよということをはっきり言いました。それは民主党の前原さんもそのとき一緒におりましたけれどもね。  だから、それぐらいやっぱり中東についての占領の、あるいは統治した自信がアメリカにはなかったという問題が根っこにあるんじゃないでしょうか。
  455. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 緒方靖夫君、時間を終了しております。
  456. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ええ。  その点は正論だと思いますね。  それで、イラクの現状から見て、自衛隊も参加した多国籍軍の活動が本当によかったのか、平和と国民のために役立ったのかと、そういう立場から、やはり今、日本として、また防衛庁としても検証すべきではないかと思いますが、その点についてのお考えを伺います。
  457. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 日本自衛隊については、今でもイラクの皆さん方から大変称賛されておりますし、敬意を持って見られておられます。
  458. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  459. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 以上で緒方君の質疑は終了いたします。  大田昌秀君。
  460. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 お疲れでしょうが、もう最後の質問ですので、よろしくお願いいたします。  まず最初に、防衛庁長官の安全保障観についてお伺いしたいと思います。    〔委員長退席、理事山本一太君着席〕  若干古い話で失礼ですが、日本国憲法制定時の一九四九年の六月八日の枢密院の本会議で、三笠宮殿下が軍隊を持たないとする憲法第九条を支持すると言われ、その理由を三つ挙げておられます。  その一つを引用しますと、戦争形態の大変化である、世界のどこからでも原子爆弾を持った飛行機が無着陸で任意の目的地に攻撃を加える時代となった、ゆえに海岸に要塞があれば安心とか、満州や南洋を占領していれば本土は安全とかいう時代ではない、したがって新憲法前文にあるごとく我らの安全と生存をあげて平和を愛する世界の諸国民の公正と信義にゆだねなければならないのであると述べておられますが、このようなお考えについて、長官、どのような認識をお持ちでしょうか。
  461. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は基本的には正しいと思います。
  462. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これも若干古い話でございますが、一九六〇年五月十六日の衆議院内閣委員会で、総理は将来防衛庁を省に昇格させる考え方があるのではないかとの質問に対し、当時の岸総理は、確かに国防省をつくれという議論が一部にある、しかし戦後の新憲法の下の防衛は、旧憲法のときの軍部や陸海軍とかその他のような立場を絶対に取ってはならないし、国防省という議論を軽々しく行うべきではないと述べておられます。  さらに、一九八六年十二月九日の参議院内閣委員会で、防衛庁が重要な官庁であるならばそれにふさわしい扱いをすべきではないかとの質問に対し、当時の中曽根総理は、防衛庁設置法案を作るときも防衛省あるいは国防省にせよという議論があった、しかし当時も現在も憲法やその他の関係からして総理大臣の直属の庁にしておいた方が適切だとして外局にしていると、これを変える必要はないと答弁されています。答弁されていますが、このような考え方について長官はどのようにお考えでしょうか。
  463. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 若干その当時と今とでは考え方も変わってきておりますし、また、そういう国防組織といいますか、国防省とすることによるそういう実力組織に対する不安も、当時持っていたような不安もなくなってきて、今の自衛隊に対する信頼感も出てきたんじゃないでしょうか。それがやっぱり背景にあると思います。
  464. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ちょっと訂正させてください。  最初の質問で、一九四九年と言ったのが四六年の間違いでございますので、訂正させていただきます。  今の問題と関連して、ちょっと先ほど同僚議員から質問がありまして、省に昇格した場合に国防省あるいは防衛省とするのかという問題がありまして、たしか政府サイドは、専守防衛の立場から、国防省というよりか防衛省とした方がいいというニュアンスを持っているという趣旨の答弁がありました。しかし、安全保障会議設置法、これを見ますと国防という言葉が随分使われているんですが、なぜでしょうか。
  465. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は、防衛省あるいは国防省、どちらのお名前を取ったからといって、片一方は決定的に駄目だ、片一方はいいということにはならないと思うんです。  ただ、防衛庁というそういう言葉で非常になじんできておるのと、防衛省とする方の方が非常に国民に安心感を与えるんじゃないかなという、そういう思いの中でこのネーミングで閣議決定されて出された法案、前国会に出されておりますので、私はこのままこれを継続したらいいと思って今その法案の成立に力を入れているところでございますんで、国防、防衛というのも厳密に言うとそれほどの違いは実際はないと思います。しかし、ニュアンスの違いがやっぱりありまして、やっぱり防衛省という方が何か堅さがないような気がして私はいいんじゃないかなと思っておりますから、是非防衛省のままこれは残していただきたいと思っております。
  466. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 しかし、今申しましたような安全保障会議設置法という法律の文面では国防という名称がよく使われているんですが、それはそのままでいいというお考えですか。
  467. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 国防という場合は日本国の防衛ということでございますから、そういう意味では、日本国の防衛というとちょっと長くなるんで国防という言葉を使っているんだと思いますけれども、日本国の防衛というふうに表現するのと我が国の防衛というのと国防というのと、みんな内容的には同じことだと思います。
  468. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 くどいようですけれども、安全保障会議設置法の第二条の第一項めでは「国防の基本方針」となっていて、二項めでは「防衛計画の大綱」となっているわけなんですが、これは紛らわしくないでしょうか。
  469. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それまでずっと使ってきている言葉をその延長で使っているわけでございますから、それは別に紛らわしいことはないんじゃないかと思います。
  470. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁、どなたでも結構ですけども、これまでの防衛省昇格への経緯について簡潔にまとめてください。
  471. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答え申し上げます。  ちょっとさかのぼりますが、保安庁時代からの議論についてもちょっと調べましたが、これは詳しいことは必ずしも分かっておりませんが、この防衛庁の省移行の議論については、保安庁から防衛庁への改編時等を含めまして、防衛庁の発足以来いわゆる課題という格好でなっております。何度か国会等において議論されておったというふうなことがございます。それからあと政府動きとしましては、昭和三十九年に防衛庁の省移行のための法案というものが一応閣議決定されましたが、これは国会には提出されませんでした。  それから、やや飛びますが、平成九年の中央省庁改編の際には防衛庁の省移行について相当に機運が高まったと、こういうふうな当時の新聞報道等ございます。これはただ、行革会議の最終報告で、政治の場で議論すべき課題であるというふうに決着が付けられたということで、その後、専ら政治の場でも大きく議論されておりました。そして、この動きの一つとしまして、平成十三年には当時の保守党等の御尽力によりまして議員立法防衛省設置法案が提出されましたが、これは二年後の十五年に国会の解散により廃案になっております。  そして、今回この法案、六月の九日の日に、これまで与党において様々な議論が行われた結果合意を見たという形で、それを受けまして今回閣法として、政府として省移行関連法案という形で国会に提出してきたと、こういうところでございます。
  472. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 長官にお伺いしますけれども、ただいま御説明のとおり、政府・与党内では積極的に推進されたり、あるいは議員立法国会提案されるなどしてきたわけですが、これまで防衛省移行しなかった最大の理由は何だと認識されておられますか。
  473. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 一つには、こういうものについては、自民党単独で出すよりも他の党と一緒に出した方がいいという、そういうようなことを考えてきて、当時は同調してもらえなかった点もありました。公明党さんともまた意見が、まだ時期尚早じゃないかとかいろんな意見が合わなかったときもございました。そして、保守新党さんが出したときもいかがなものかなということでしたけれども、私なんかは個人的には支持しておりましたので、そのときは自民党の総務会の了承を得て、賛同者として名前が三十人必要でございましたので、その三十人の中に名前を連ねさせてもらったこともございます。そういうような背景がありましたので、そのときのそういう、まだ通る状況でなかったという点も一つあったと思います。だから政府は出さなかったわけであります。  それで、今日に至りますと、やっぱりこれは政府として閣法で出すべきだという意見が強くなりまして、今度は与党としてはまとまりましたけれども、議員立法ではなくて政府の方から閣法として出すことになり、前国会に出したわけであります。
  474. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁にお伺いします。  若干これは具体的な議論をしたいわけなんですが、太平洋戦争における日本軍の損害といいますか死傷者の数と、それから一般市民の死傷者の数は、正確にどれくらいになるんでしょうか。
  475. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 防衛庁として公式にお答えする立場にないというのは御理解いただけると思うんですけれども、厚生労働省が作成しました資料によれば、さきの大戦における兵士の死者数は約二百三十万人であると承知しております。  それから、民間人死者数については、恐縮でございますが、把握しておりません。
  476. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁国民の生命、財産を守るということを絶えずおっしゃるわけですが、去る戦争でどれだけの国民が犠牲になったかということを調査もされていないんですか。
  477. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) いろいろ言われている数字あるのは承知しておりますけれども、公式に作成した資料としては承知してない、把握してないということで申し上げました。
  478. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 つまり、防衛庁は一度もそういう調査をされたことないということですか。
  479. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 防衛庁としては防研を持っておりますし、戦史部もございますし、そういう研究はしておりますけれども、なかなか民間人の犠牲者につきましては必ずしも正確な統計もございませんし、そういう意味で把握してないということで申し上げたところでございます。
  480. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 じゃ、別の質問に変えさしていただきます。  自衛隊法の第三条の任務のところですね、防衛庁政府の役人は常々、国民の生命、財産を守るために軍隊を置くんだと、あるいは自衛隊があるんだということをおっしゃるわけなんですが、自衛隊法の三条にはどうして国民の生命、財産を守るということを書いてないんですか。
  481. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 自衛隊法三条については、我が国を防衛することのほか、これは主たる任務でございますけれども、必要に応じ、公共の秩序維持に当たるということにされておりまして、この公共の秩序維持については国民の生命、財産を保護するということが含まれていると考えているところでございます。
  482. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いや、明文化されていますか。
  483. 山本一太

    ○理事(山本一太君) どなたがお答えになりますか。  ちょっと速記止めてください。    〔速記中止〕
  484. 山本一太

    ○理事(山本一太君) じゃ、速記を起こしてください。
  485. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 三条自身にはそういう表現はありません。
  486. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほど太平洋戦争の犠牲者の数を伺いましたが、去る大戦で日本軍が無条件降伏したときに、国内に何人の軍隊が残っていて、国外には何人の軍隊が残っていましたか。
  487. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 終戦時の軍人、それから当時は軍属等もございますけれども、これを含めた数字につきましては、まず国内でございますけれども、これにつきましては、朝鮮半島とか台湾とかは含まれておりません、いわゆる国内でございますが、これについては四百四十万人、それからいわゆる外地につきましては三百四十九万人というふうに承知しております。
  488. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 つまり、国の安全保障問題について議論をするときにどうも抽象論に終わりがちで、私は去る大戦の経験というのを是非とも酌み取るべきだと考えるわけなんですが、今御説明のように、ほぼ七百万余りの軍隊が残っていて無条件降伏したわけですね。そうすると、今自衛隊はたしか二十六万前後だと思いますけれども、日本はこの小さな島国で、しかもその小さな島国に五十二か所の原子力発電所を持っていますね。そういうところで一体どういうふうに安全保障を確保できるとお考えですか。  私は沖縄戦の体験を自ら持っておりまして、あの島の中で戦争が始まったときに、勝ち戦なら知らず、国民保護法を幾ら整備したところで実際には全く機能しないと、小さな島国では。前回も申し上げたと思いますが、例えば沖縄の場合ですと、国民保護法制ではその地方自治体の首長協力を求めるという趣旨のことがありますけれども、協力したくても、負け戦の場合の沖縄の場合は、現実に県知事も逃げちゃったし、県庁の最高の役人たちも逃げちゃったし、それから学校の校長たちも逃げちゃったし、ひどいのになると連隊区司令部の司令官まで逃げちゃったんですね。これが実態だったわけです。  ですから、そういう具体的な事例を考える場合に、もうちょっとその安全保障ということを考える場合には、日本が置かれている現状と、それから現在の二十数万の自衛隊しかいないわけですから、先ほどいろいろお話がありましたように、国際協力なんかにも自衛隊が出ていきますね。そうすると、いざ有事となった場合に、その二十数万の自衛隊で果たして国を守れるかという問題が当然出てくるわけなんです。そうすると、今、いや日米と組んでいるからアメリカの核を頼りにするんだというお話もあると思いますが、私が懸念するのは、そういう実情下で、今、国会の中でも、徴兵も憲法に違反しないという声も出ているわけですね、現実に。  長官は、現憲法下で徴兵令を施行できるとお考えですか。
  489. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 負け戦になってしまった場合はそれはもう大変なことになるわけですから、そうじゃなくて、日本もいざ防衛出動ということで、一朝攻められたときに、最低限自衛隊でディフェンスしなきゃならないわけであります。しかし、それだけで十分かと言われると、十分でないかもしれないということで日米安保条約を結んでやっているわけですから、全く日本が軍隊も何も持たずに日米安保条約といってみたってそれはなかなか難しいわけで、自分の努力である程度のことはやるけれども十分でないかもしれないというところに、あれですね、アメリカとの安保条約があるわけですね。  やっぱり、最初に何も空白状態で、いきなり占領されてしまってからそれを奪還しようとするといかに難しいかという、そこがありますから、やっぱり自衛隊として、まあ二十六万少ないじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、私はそれで最小限の防衛はやっぱりできると、そしてそれをカバーするのがアメリカ日米安保条約に基づく支援だと、そういうふうに思っているわけですね。あるいは、一緒になって最初の初動、初期の段階からやってくる、そういうことも言えるんじゃないかと思っておりますんで、私は、そういう点では何もしないよりはそういう形で機能した方が非常にいいという、そういうような考え方で自分自身も納得しているわけであります。    〔理事山本一太君退席、委員長着席〕  それと、徴兵制についてですけれども、私は、現在の憲法上、納税の義務はあっても兵役の義務はないわけですし、そして職業選択の自由もちゃんと書いてあるわけですから、そういう点では現在の憲法では徴兵制はしけないと思っております。
  490. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 長官のお言葉で少し安心しました。相当懸念されておりますので、是非そうしていただきたいと思います。  それからいま一点、先ほどの、この小さな島国に五十二か所か三か所の原子力発電施設があるわけですが、そのような実態、そのような実情下で安全保障を確保するにはどういうことが必要だとお考えですか。
  491. 久間章生

    国務大臣久間章生君) やっぱりこれから先、いきなり外からの攻撃というよりも、まず不穏な状態になってまいりますと、テロ組織その他によってのまずいろんな工作その他もあるかもしれませんから、そういう重要施設の警備についてはこれから先力を入れていかなければならないんじゃないかなと思っております。
  492. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今ミサイル防衛のお話が活発に行われているわけですが、ミサイルを装備することによって日本国内のその原子力発電所の防衛は可能だとお考えですか。
  493. 久間章生

    国務大臣久間章生君) ミサイルの相手の精度にもよるわけでございますが、今のミサイルの精度といってもピンポイントで当たるほどの精度はないわけでありますから、むしろその効果を上げようと思いますと、もっと違った攻撃の仕方をするかもしれませんし、またあるいは今言われたような攻撃もあるかもしれません。いずれにしましても、そういうことに対してこちらとしては十分に対処できるようにミサイルの防衛システムの整備を図っていって配備したいと思って今努力しているところであります。
  494. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 前回、本委員会で時間がなくてお伺いすることができなかったんですが、私は、長官は大変防衛問題と住民のその協力関係とかというのを非常に大事にする方だとこれまで思っておりましたし、それでお伺いするんですが、前回長官が、嘉手納にPAC3を配備されたことに対して沖縄県民はそれを喜ぶべきだという趣旨の発言をなさって、沖縄では随分反発を買ったわけですね。私は、どうして長官の口から、いろいろ理解のある長官の口からこういう発言が出るかというのはちょっと首をかしげたんですが。  なぜかと申しますと、これまで沖縄は、戦争の体験があるものですから、自ら、その自分の安全と平和を守るためにアメリカの軍隊を置いてほしいとか、自衛隊を沖縄に派遣してほしいということは一度も要請してないわけですよね。そこへ軍隊が入り込んできたわけなんです。そして、軍隊が入ってくるということは、基地を抱えるということは、いざという場合にそのターゲットにされるというおそれがあるわけですから、どうしてもその基地を造らしてはいけないということで、現実に普天間の代替施設とされる辺野古の海岸で、九十歳前後のおじいさん、おばあちゃんたちが座り込みを続けているわけなんですね。  そういう状況の中で、例えば、沖縄の人たちが一日も早く基地を削減し撤去してほしいということを要請しているのに対して、アメリカの軍事委員会のマクヘイルという議員が自分も賛成だということを言われた。ただし、自分の考え方は皆さんとは違うと、自分はアメリカの国益を考えて沖縄に基地を置かない方がいいと思っているということを言われた。それはどうしてかというと、沖縄の基地にはアメリカの陸海空、海兵隊の四軍が集中していると。そうすると、その四軍の若いアメリカの兵士たちが沖縄にいると、朝鮮半島なんかでもし戦乱が起こった場合には沖縄が真っ先にターゲットになって、アメリカの若い有能な兵士たちが死んでしまうと、だから早く撤去させたいということを言っているわけなんですね。沖縄側から言わせると、やはり基地を造ることがむしろ危険を招くということになるわけなんです。  実際に、廃藩置県の前に明治政府が沖縄に基地を造って熊本の第六師団を派遣しようとしたときに、沖縄の方は絶対にそれを受け入れられないと。基地がない、軍隊を持たない方が安全を確保できるということで、猛烈に反対したわけですが、政府は、どこに基地を置くかということは政府が決めるべきことであって、よそからくちばしを入れるべき問題ではないということで強引に軍隊を置いたわけですね。そもそも、それが戦後の沖縄の米軍の基地を造る場合の土地の収奪につながったという説があるわけなんですね。  そういうこともあって、軍隊はいない方がいいと。現実に、慶良間諸島なんかでは七百名ほどの住民が集団自決をしたわけなんですが、軍隊の全く置かなかった、あるいは軍隊が来ていたけれどもそれを撤去してもらった前島というところでは、三百名近い住民が一人も集団自決しないで安全を保てたわけですね。  そういう実例もあるものですから、今の過重に軍隊を置かれるということに対しては反発するわけですが、長官があのような発言をされると、何をお考えだろうかという声が出るのですが、その辺どうお考えですか。
  495. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 太平洋戦争のあの状況を見ますと、沖縄にもし日本の軍隊がいなかったならば、確かに悲劇は少なかったかもしれません。その代わり、日本はもっと早く占領されていて、日本自身がもうもっと早く戦争が終わっていたかもしれません。結果を見ればこれがよかったというのは結構あるんですよ。  それはしかし結果として言えることでありまして、これから先のことを考えますと、やっぱり相手が攻めてくるところは手薄いところを攻めるわけですね。基地が、もし日本の軍隊の基地がなかったとしても沖縄は占領されなかったかといいますと、私はやっぱりあそこは拠点として真っ先に占領したと思いますね。私がアメリカ軍だったら、やっぱり硫黄島を占領すると同時に沖縄をやっぱり占領するというのは、戦略上はやっぱりあっちの方から入ってくる、それはあったろうと思います。  ただ、そのときに抵抗する組織がなかったから悲劇が少なかったかもしれない、それは先生のおっしゃるとおりだと思います。しかし、それは過去のことを言って、こうすればよかった、ああすればよかったというのは、なかなかそれは後になって言えることでございますから。  私は、そういうことを考えますと、やっぱり、まあ無防備なところに空き巣が入ったり強盗が入るのと一緒で、占領しやすい、そういうようなところから攻撃されるわけでありますから、基地があると逆に後回しになるんじゃないかなと、そういう気すらいたしております。  だから、そういう点では、ミサイルを撃っても反撃されて墜落するということだったら、もっと手薄なところをねらうわけでありますから、私は、PAC3があるということは逆に言えば非常にそこはターゲットにされにくいんだと、そういうふうに思います。何発も、百発も二百発も持っているならともかくとして、数少ない、五、六発しかないような状況の中でそこをねらうかというと、私はそういうことじゃないんじゃないかと。反撃されるようなところよりも、反撃の薄いところ、ミサイルの効果の高いところ、ピンポイントで今は攻められないわけですから、外れてでもたくさんの被害が出るようなところ、そういうのをねらってくるんじゃないでしょうか。  だから、そういう意味では、PAC3を置いていることによって大変みんなが安心感を持てるんじゃないかなと思ったから、ああいう言い方をしたわけであります。
  496. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ちょっとお考えは私などとはもう全く違いますね。  今、沖縄は、何ですか、手薄のところとおっしゃったんだけど、在日米軍の専用施設の七五%が沖縄に集中して、自衛隊も六千人くらいいるんじゃないですか。恐らくどの県よりもその防備は過重じゃないですか。
  497. 久間章生

    国務大臣久間章生君) ちょっと言葉足らずかもしれませんが、私の言ったのはそうじゃなくて、ミサイル防衛のシステムがないところに向かってミサイルは撃たれるだろうと。今、沖縄に、米軍がおるところに、占領政策としてもよその国は入ってこないだろうと。あそこを戦場にすることはまず考えられないという意味では、それは逆に手薄じゃないわけです。今は非常に防備がされているところですから。  そうじゃなくて、ミサイル防衛については、幾らそこにおってもミサイルで撃たれたら、手薄だったらどうしようもないので、そういう点では、PAC3を置くことによってその辺は防備をされるだろうということを言ったわけであります。
  498. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 時間がないので終わりますけれども、私は、そういう説は戦争体験者として到底納得できません。  それからもう一点、長官がおっしゃったことについて疑問があります。先日の本委員会で、去る沖縄選の知事選挙の前に長官が、もしも革新系の糸数候補が勝っていたら特措法を作ることも考えていたという趣旨の発言をなさいました。特措法というのは、今、辺野古に埋め立てて基地を造るために、知事が持っている埋立ての権限を取り上げて総理大臣が自分で決裁してやれるようになる、埋立てをできるようにするのが特措法なんですね。そういうことをおっしゃって、私は、そのときも、長官はいろんなことをよく配慮される方なのにどうしてそういうことをおっしゃるんだろうかと首かしげたわけです。  どうしてかといいますと、今、地方分権推進法というのができて、中央政府の権限というのを可能な限り地方自治体の首長に移そうという、道州制も今議論されております真っただ中で、地方の自治体の長が持っている権限を取り上げて総理大臣の手に移すというやり方というのは、地方分権推進法に真っ向から反すると思われるわけなんですが、その辺どうお考えですか。
  499. 久間章生

    国務大臣久間章生君) とにかく、沖縄から海兵隊が八千人、家族が九千人減るということは、そしてまた嘉手納以南の土地がかなり返ってくるというのは、戦後五十年間ほとんど動かなかったのがそれだけ動くということはもう千載一遇のチャンスであるから、これは何が何でもやっぱりやり遂げたいという、そういう思いが非常に強うございますから、そのためにはとにかく必要ならばというようなことで、それぐらいの決意でとにかくこの問題と取り組んでいるんですよという、そういうような気持ちをそこはかとなく伝えたかったわけでありまして、法律となりますと、それは国会で言わば通らなきゃできないわけでありますから、私がどんなに思ったとしても、それはみんながそんなことできないよと言われればできないわけでございますので、そういう意味では、そういう思いが非常に強かったと。そういう思いは、今でもしかし非常に、これは絶対千載一遇のチャンスであるというふうに今でも私は思っておるということを御理解していただきたいと思います。
  500. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 大田昌秀君、時間が過ぎております。
  501. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 はい。  施設庁長官、せっかくいらしておりますので、一問だけお願いいたします。  先ほど来問題になっております談合問題ですけれども、その処理についてどういうことをなさっておられるかということと、それから、省に移行した場合、この種の問題が軽減されるとお考えでしょうか。この二点だけ御説明ください。
  502. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 北原防衛施設庁長官、簡潔にお願いします。
  503. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) はい。  私ども、調査報告を六月十五日に取りまとめました。そして、副長官を長とする再発防止検討会、そこで再発防止策を取りまとめました。現在、それに基づきまして着実にこれを実施していると、そういった状況でございます。そしてまた、その再発防止策の中には、防衛施設庁を廃止して、そして防衛省に統合するといった趣旨のことが盛り込まれているわけでございます。  それで、我々といたしましては、私どもの防衛施設庁を解体する中で、この組織の透明性、そして公正性を確保して新たな出発を行うと。そうした中で、事案の再発防止に万全を期していきたい、そのように考えているところでございます。  なお、一つだけ付言させていただければ、その組織の一つとして、防衛庁長官の直轄である全庁的な独立性の高い監察機構を設けると、そういったことも考えているところでございます。
  504. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  505. 柏村武昭

    委員長柏村武昭君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十一分散会