○中川(正)
委員 さらに、これまでの
北朝鮮に対する
日本としての
対応をずっと見てきたわけでありますが、拉致を中心にして、
経済制裁あるいは船舶の
入港を制限するというところまで来ています。しかし、そこのところで、枠というか手段というのを、どうしても、
経済制裁の次の
レベルはどこか、あるいは次の段階はどこなんだというところに集中をしてしまって、本来の外交力、この国が全体に持っている外交力というのをいかに生かしているかということからいくと、私は、まだまだできる選択肢というのがあるんだろうというふうに思うんです。
そこで
思い出すのは、ヨーロッパがちょうど一九九〇年代、東ドイツが崩壊していく、その前にソ連自体も崩壊していくというあの中で、武力を使わずに平和裏に統合がなされていくプロセスというのがあったんだというふうに思うんです。
それは何が基本になっていたかというと、政権というものと、
北朝鮮でいえば金正日軍事
体制という政権と
国民というもの、これを分けて
考えていく。大きく外からその
国民に対して
連携をしながら働きかけていって
北朝鮮の内部を変えていく、あるいは崩壊させていくという戦略が、非常に成熟した形でヨーロッパの中にあったということ、これが、私たちにとっては大きな教訓にしなければいけないことなんだろうというふうに思うんです。
そんな
意味から、私は、ぜひ、こうした選択肢もあるんじゃないかということを
一つ二つ提起させていただきたいというふうに思うんです。
一つは、先般の国会で
北朝鮮の
人権法、これが、私たちとの
話し合いの中で与党も合意をしていただいて通ってきた。その中の
人権というのは、これは拉致はもちろんでありますが、脱北者あるいは
韓国の中の離散家族等々、そうした要素も含めて、あるいは
北朝鮮の中の
国民の
人権状況ということも含めて、外の国が
連携してその救済をしていくという精神がこの中にあります。
それで、特に脱北者なんですが、これについて、我々、それこそ
韓国の中で、今の盧武鉉政権の
太陽政策、これではだめなんだ、もっと
北朝鮮の、それこそ抑圧されている
国民と
連携しなきゃいけないんだという、特に野党の議員、その人たちと、それから、アメリカの
人権外交を進めようという人たち、そして、その周辺の、NGO等々含めて、国際議員連盟というのが、私たち、この
日本の民主党を中心につくられております。これは、一回目、ソウルで総会をやりました。去年は東京で総会をやって、その
連携をつくっていこうという動きをしています。
そんな流れの中で実はあの
人権法ができてきて、脱北者が難民と認定されて、
周辺国がその難民というのを使いながら、難民の人たちに
連携を持ちながら、もう一回
北朝鮮の中に帰っていって頑張れよ、こういう流れをつくろうとしているわけであります。
それについて、議員立法で
人権法が成立をしたわけでありますが、それから後、具体的なこれに対する支援、これは、
日本の拉致の、救う会あるいは
調査会等々含めて、しっかり支援団体があります。あるいは
北朝鮮難民救援基金みたいに、周辺の脱北者の支援、
日本にも百人ほど今帰ってきているということでありますが、そういう機関があります。そういう人たちの
連携の中で、いかにこの問題をこれから
日本としてしっかり外交手段の
一つとして使っていくかということがあると思うんです。
それについて、ひとつ所見、しっかりやっていくよという具体的な話をしていただきたいということが
一つと、それからもう
一つは情報戦略なんです。
アメリカあたりでは、ボイス・オブ・アメリカあるいはラジオ・フリー・
アジアという、国が直接電波を持って、
北朝鮮だけじゃない、
世界各国にということでありますが、そういう流れの中で、戦略的に電波を使いながら国の外交を進めていこうという手段があるんです。
実は、
日本でも、NGOを中心に「しおかぜ」という放送を
北朝鮮に対してやっています。これは、もうよく御存じの、救う会や
調査会が中心になってやっています。こういうNGOが
北朝鮮向けに、今それだけじゃなくて、
韓国だとかアメリカも含めて四局ほどあるんです。これは前回から、
日本でその電波を使わせてほしい、こういう話があったんですが、
日本じゃだめなんですよ。NHKじゃだめなんですよ。基本的に
政府としてそういう枠組みをつくらなきゃ、そうした戦略はつくっていけない。だから、今、残念なことに、この四局は海外で放送局を持って、あわせて
北朝鮮に対してこういう運動をしているということになっています。
そのことについても、
日本としてそうした枠組みを持つんだという、これも
一つの意思表示をぜひいただきたいというふうに
思います。