○佐藤茂樹君 公明党の佐藤茂樹でございます。
公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました
防衛庁設置法等の一部を
改正する
法律案につきまして、賛成する
立場から
質問をいたします。(
拍手)
冷戦期に発足した
自衛隊は、
存在する
自衛隊として、他国からの武力侵略を思いとどまらせる
抑止効果が期待され、実際に行動することが余り想定されていませんでした。
しかし、冷戦後の
安全保障問題はさま変わりし、また、近年、
自衛隊の
活動も大きく広がってきました。実際、
国際平和協力活動は約二十回で約三万人、災害派遣は、一九九五年の阪神・淡路大震災以降、約九千回、約二百七十三万人もの
自衛隊員が従事してきました。また、昨今の
北朝鮮の
弾道ミサイル発射や
核実験宣言、不審船事案などが発生しており、
我が国は新たな脅威にさらされていると
国民が不安を感じています。
一方、国際的には、湾岸戦争、カンボジア和平、
米国同時多発
テロ、
イラクの復興などの問題に直面し、
存在に意味があった
時代は終わり、事実上、運用の
時代に入りました。このように
自衛隊の
役割がふえたことで、これからの
防衛政策も
多様化いたします。
防衛は、
外交、財政と並ぶ国の重要な
基本政策ですが、
防衛庁は
内閣府の外局に位置づけられてきました。今回、各省と横並びの
防衛省に
移行させることにより、
防衛政策を専属的に担う
責任ある行政
組織となり、国の
危機管理や国際平和の
実現に関する課題に的確に
対応できるものと判断し、賛同するものであります。
しかしながら、
防衛庁の省
移行に関して、
国民の一部では、
防衛省になると、なし崩し的に専守
防衛などのこれまでの堅持してきた
基本的な
防衛政策が変容し、軍事大国化の道を開くのではないか、
シビリアンコントロールがきかなくなるのではとの
懸念の声があることもまた事実であります。このような、かつて来た道を再び逆戻りするようなことは決してあってはならないと考えますが、
防衛省移行に伴い、
我が国の
防衛政策の
基本が変わるか否かについて、
防衛庁長官の明快なる回答を求めるものであります。
そして、公明党として、確認の意味で具体的に三点
お尋ねいたします。
まず一点目に、
防衛省に
移行することで、やがて憲法九条を逸脱する
自衛隊の
活動を認める道を開くのではないかとの
国民の不安がありますが、あくまで憲法の枠内の
活動にとどまることは当然であり、今後も堅持すべきです。
官房長官の御
見解を伺います。
二点目に、
防衛省へ
移行することで、次の段階として、集団的自衛権の行使を認めるのではないかという
懸念です。
集団的自衛権を行使することは、
我が国を
防衛するための必要最小限度の範囲を超えるものであって、憲法上許されないとの
政府統一解釈があります。省へ
移行しようとも、この
政府統一解釈はいささかも変わらないことを確認したいと思いますが、
官房長官の明快な答弁を求めます。
三点目は、
防衛省へ
移行することで、
防衛省の
予算が
拡大していくのではないかとの疑念であります。
政府の
責任として、明年の中期防の見直しを初め、省の徹底したスリム化によって歯どめをかけるべく最大限の
努力を図っていくべきだと考えますが、
防衛庁長官の御
所見をお伺いします。
一方、今回、
自衛隊法を
改正し、
自衛隊が行っている
国際平和協力活動、
周辺事態に
対応する
活動を
自衛隊の本来
任務に位置づけるということがあります。
公明党が主張し、道を開いてPKO
協力法を成立させ、一国平和主義からの脱却へと進めることができ、ゴラン高原などの数々の国連平和
維持活動、スマトラ沖大津波やジャワ島地震での国際緊急援助
活動、インド洋での補給
活動、
イラクでの人道復興
支援活動など、その
活動と
自衛隊員の行動、
姿勢については
国内外から高い
評価を得ているところでもあり、本来
任務化は歓迎すべきことでありますが、改めて、
自衛隊法上の位置づけとして
雑則に
規定されていた
国際平和協力活動等を本来
任務化することにより、今後、何が変わるのか、そして、何が変わらないのか、
防衛庁長官に
お尋ねいたします。
また、今回の
改正案では、公明党の主張を受け入れて、官製談合事件に揺れた
防衛施設庁を解体して
防衛省に統合するとともに、
防衛省のスリム化を図ることを附則に明記されたことは
評価いたします。
そこで、
防衛施設庁の官製談合事件の反省の上に立って、
防衛施設庁の解体と
再発防止策に具体的にどのような取り組みをされるのか、
防衛庁長官に
お尋ねいたします。
省
移行に関する公明党内の論議において、省
移行後の
隊員教育に、民主主義、多様な文化の尊重に関する教育を組み込むべきとの
意見があり、与党内で検討した結果、与党欧州憲法・
安全保障事情調査団が結成され、私もその
一員として、去る七月、ドイツ、イギリスを訪問いたしました。
第二次
世界大戦後、ドイツ連邦軍では、かつてのナチズムと明確に決別するため、人間の尊厳を重視する、ドイツ
基本法の理念に沿った軍隊をつくるため、兵士に対して民主主義的な価値の
重要性を教育し、兵士は制服を着た市民という考え方を目指す内面指導という指導哲学が導入されてきました。そして、その内面指導を行っていることが、ドイツに対する周辺国の
懸念を払拭することにつながっています。
今回の
防衛庁の省
移行に関して、
アジア近隣諸国の中には
懸念の声を上げる国もあるかもしれません。こうした
懸念を払拭する意味から、省
移行後に、民主主義、平和主義、国際協調の理念や
基本的人権の尊重、多様な文化及び価値観の尊重等の識見を習得させるための
隊員教育を充実強化してはどうかと
政府に提案申し上げておきたいと存じますが、
防衛庁長官の
見解を求めます。
最後に、
国際社会の
懸念を払拭するために、
お尋ねいたします。
去る十月九日、
北朝鮮が
核実験を
実施したと発表いたしました。
我が国にとって重大な脅威であり、断じて容認できないことであります。
ただ、このことで、一部、
日本も核兵器を持つべきかどうかの
議論を始めてはどうかとの声があります。しかし、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずの非核三原則が
我が国の国是であります。
日本は
世界で唯一の被爆国であり、あらゆる国の
核実験に反対の
姿勢をとってまいりました。
北朝鮮核実験問題に対して、国連を初め
関係国が
連携し
対処に当たっている今、核拡散の
懸念が
国際社会に語られている今こそ、
我が国は、
国内外に対して、非核三原則の態度をしっかりとしたメッセージとして発信すべきであると思います。
官房長官の
見解を求めます。
以上、
政府の明快なる
見解を求めるとともに、
防衛省となっても、
我が国の
基本的な
防衛政策である専守
防衛や民主主義の原則である
シビリアンコントロールはいささかも変わらないのだということを、
我が国国民と周辺諸国に対して誠実に地道に
説明していくことをお願い申し上げ、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣塩崎恭久君
登壇〕