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遠藤(乙)
委員 この問題は大変難しい
対応を迫られていると思っております。
大臣も大変悩みながら決断をされていると思っております。
私は、この問題はやはり、いろいろな
可能性があることは事実です、
愉快犯となるかもしらぬ。しかし、大半は、この問題の深刻さ、すその深さですね、
本当に追い詰められている
子供がどれほどいるかということの
あらわれだろうと思っておりまして、しかもそれが、
大人の
世界がそういったことを受けとめてくれない、なかなかすぐに
行動してくれない、そういったいら立ち、怒り、あるいは告発と言ってもいいような、そういった噴出ではないかと。したがって、これを重く受けとめてどう
対応するか、大変難しいと思っております。
私は、やはりこの問題を改善していくためには、何といっても迅速な
行動と誠意ある
対応、
子供の目から見て、あっ、すぐ
行動してくれた、やはり
大人はわかってくれた、そういうことがわかるような
対応をすることが何よりも大事じゃないかと思っております。
そういった
意味で、
前回スウェーデンの例を取り上げましたけれども、今回、
ノルウェーに
世界的権威がいるそうで、ちょっと私の調べた範囲で申し上げますと、
ノルウェーの
ベルゲン大学に
ダン・オルウェーズという
教授がおられまして、この方は、もう三十年以上にわたって
いじめ問題を研究してこられた
世界的権威、第一人者と言われているそうでございます。私は会ったことはありませんけれども、その
分野では非常によく名前が知られている方だそうでございます。この方の
いじめ防止、また
いじめによる
自殺の
防止の
プログラムがありまして、これは非常に的を得たものではないかと私は思った次第でございます。
この方が一番強調していることは、
一つの明確な事実といいますか傾向がある。それは、
休み時間や
昼休みに
生徒と
一緒にいる
教師の数と
いじめの件数の間にはっきりとした負の関連がある、それから、授業の合間の時間に十分な数の
大人、特に
いじめの
初期の
段階で介入する意思と準備ができている
大人が
生徒たちを監督していることが
いじめ防止上極めて重要である、こういったことを報告しているんですね。これは大変重要な、私は
ダン・オルウェーズの法則と言ってもいいと思いますけれども、これが非常に、多分実践的な
いじめ対策の
ポイントだろうというふうに感じております。
さらに、この
教授は、
プログラムとして、まず
大人側の
問題意識と真剣な取り組み、これが大前提であるけれども、その上で、
学校レベルの
対策、
クラスレベルの
対策、
個人レベルの
対策と立て分けまして、具体的な処方せんを書いております。
学校レベルでは、
学校会議をやって
いじめ問題の討議と
長期活動計画を策定するとか、
休み時間、
昼休みにおける
監督方法の改善、特に
監視チームを配置する等。それから
クラスレベルでは、ホームルーム、
学級会等で
いじめ防止について話し合い、
ルールを決めるというような話。あるいはまた
個人レベルで、
いじめにかかわる
生徒と
教師が対話をする。こういった具体的な方策を掲げております。
特に、原則として大事なことは
三つ主張しておりまして、
いじめには
教師と親が積極的に介入すること、
二つ目に、容認できない
行動に対して明確な基準を示すこと、それから
三つ目に、
規則違反に対して非敵対的、非体罰的な罰則を一貫して使用するということを述べているわけですね。特に、
初期の
段階で兆候を察知してすぐに介入し、やはり
ルール違反に対してはきちっと
対応するということがその
考え方でありまして、いわば予防的な
積極的介入主義とでも言えるような
考え方なんですね。これが非常に効果を上げているというふうに聞いております。
私は、多分、ニューヨークの
ジュリアーニ元市長がやった
治安対策、特に
破れ窓理論と言われるものですけれども、軽微な
犯罪でも
初期の
段階で徹底的に取り締まることによって
重大犯罪の発生を
防止した、これによって非常に成果が上がったと言われております。これにも一脈相通ずるものがあるだろうと思っておりますし、また国連の場で、特に
平和維持活動の
分野で、従来の伝統的なPKOから、今
ピースメーキング、ピースキーピングから
ピースメーキングということで、
紛争が終わってから
平和維持活動をするのではなくて、
紛争が起こる
初期の
段階で積極的に介入して平和をつくる、そういう
方向の模索が今始まっておりまして、こういった
考え方にもつながるんだろうと。
学校現場という、これは戦場ではありませんけれども、
一つの無政府的な状況もあるわけであって、
大人が見て見ぬふりをする、何にも
対応しなければ、どんどん無
政府状態にエスカレートして
いじめがはびこるということでありまして、これに対してきちっと
対応するということは非常に重要な
ポイントではないかと思うわけでございます。
そこで、とりあえず我が国においても予算的な
措置を伴わなくてもすぐできることとして、こういった積極的、
予防的介入主義の立場に立ってできること、例えば
学校で
監視チームをつくって、
教師、それからカウンセラー、あるいはまた保健婦さんとか、あるいはボランティアを募ってもいいでしょうし、あるいは若い
教育実習生でもいいでしょうし、そういった人
たちでチームをつくって、
昼休みとか
休み時間、一番
いじめが起こる
現場でこれを巡回するあるいは対話をする、こういったことが一番まず手っ取り早いし、
子供たちから見て目に見えることだと思うわけですね。あるいはまた、
学校の中で
いじめ対策防止委員会というのをつくって、
生徒にも参加を呼びかけて、
生徒も含めてきちっと議論をしていく、こういったことがまず何よりも
子供たちへの具体的な
メッセージじゃないかと思っております。
ただ作文でアピールをしたりあるいはまた通達を出すだけでは効果がない。やはり
現場での
行動を伴うことが大事だということを思っておりますけれども、こういうことに対しまして
大臣はどうお
考えでしょうか。