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遠藤(乙)
委員 私も
大臣のお考えとは、共有する点が多々あるわけであります。
あと、私自身が非常に感じているのは、今の
日本の
人間力という点から見ますと、
学力が落ちてきている、体力が落ちてきている、それから意欲が衰えてきている、モラルが落ちてきている。本来、天然資源が少なくて人材立国であるべき
日本が、一番の
人間の大事な
部分がみんな低下していて、人材の劣化が起こっているというふうに認識をしております。これは非常に深刻な事態である。
私は、この中で特に意欲の問題、やる気がうせているという、実はモチベーションの
部分が非常にポイントではないかという気がいたしております。豊かになって、あるいは先進国になって、さまざまに変わってきたこの
日本の状況の中で、どうやってモチベーションを新たに奮い起こしていくかということが、多分、
人間力ということの非常に重要なポイントではないかという気がいたしております。伝統的な価値観とか、
規範意識は当然だと思いますけれども。
あと、個々の人に即してそういうモチベーションをどうやってつくっていくか。
私は、総理が言われた「志ある
国民」の志、昔から言われている志というのは、ある
意味では、個々の
人間が、
自分というものを見詰め、また
社会を見詰め、
自分がそこでどういう位置を占めて
社会に貢献していくか、そういう個々の
人間に即して、パーソナルビジョンといいますか、それをしっかりつくり上げることが今の
日本にとって非常に大事なポイントではないかと思っております。
また、最近の若い人の
議論を見ると、
自分探しということが非常にキーワードになっております。
学校を出て
大学院に行ったり、会社をやめてまた何かをやったり。三十ぐらいになっても
自分探しということにこだわっているということは、いろいろな意見があると思いますが、本来、非常に重要な、
自分を見つけるということが、
学校教育を終えるまでにできていない、これはやはり非常に大きなロスではないかというふうに思うんですね。
昔は十五歳で元服をして
社会人として生きるという一つのあれがあったわけで、「十有五にして学に志す」と言いますけれども、大体十五歳ぐらい、
義務教育終了のときぐらいまでに、
自分はどういう特色を持ち、どういう個性があり、
社会というのはどういうもので、その中で
自分はどういう
地位を占め、どういう貢献をするかということを、かなり具体的にそういう志としてつくっていくということが大変大事なポイントだと思うんですね。
それが、今の
日本の
教育システムでは、手段的知識ばかり洪水のように入ってくるけれども、
自分探しに向けての、
自分としてどう生きるかということについての具体的なビジョンなり方向性をつかんでいく上においてほとんどこれが余り役立っていないということだと思いますので、ここはやはり重要な、
学校教育の間に
自分探しをしっかりとできるような、そういうことも必要ではないか。もちろん、これは
家庭であり地域であり、協力してやらなければなりませんけれども、一番長い時間を過ごす
学校教育の中でそういうこともしっかりとヘルプしていく必要がある。
また、多分キャリア
教育とも絡むと思うんですが、やっと最近キャリア
教育ということが言われ始めましたけれども、今まではなかなか、
学校の授業と
社会の役割が分離されていた感が強くて、
学校で学ぶことがどう役に立っていくのかということが非常に問題意識のないままに知識を与えられれば、
子供たちもやはりフェッドアップしてしまうということでありまして、ここら辺も含めて、もっとパーソナルな生き方、ビジョンの形成について、どう生きるかについて、志の形成について、
学校システムが、地域と
社会も協力しながら、
家庭も協力しながら、しっかりと
自分探しの少しサポートをしてあげる、そういう発想が必要ではないかと思っておりまして、この点につきまして、もし
大臣の御所見をいただければと思います。