○亀井(久)
委員 先般、予算
委員会のときに総理にも申し上げたんですが、私は、ちょうど今から八年前になりますけれ
ども、橋本内閣当時に担当
大臣として、「二十一世紀の国土のグランドデザイン」という国土
計画をまとめました。そのときに、随分多くの方々の御意見をちょうだいいたしました。もちろん、各
中央省庁の人たち、そしてまた経済界、あるいはまた
地方の首長さん、学識経験者、いろいろな方々の御意見を伺いながらまとめたわけでございます。
その「二十一世紀の国土のグランドデザイン」、その中に、私自身の非常な思い入れもございましたので、あえてサブタイトルをつけまして、そのサブタイトルは「
地域の自立の促進と美しい国土の創造」、そういう副題をつけたわけでございます。私は、まさに「美しい国、日本」をつくりたい、そういう思いがあったわけですが、今、
大臣のイメージというものを承って、そう違わないのかなというようには思います。
ちょうど幕末維新のころに、随分外国からもいろいろな人がやってきて、日本の中を見て回った。そういう人たちの書いた著書等もあの当時随分読みましたけれ
ども、東京のような大都市を見て、そういう人たちが美しいと思っていたわけではないんですね。やはり
地方のありようというものを見て、美しいと言っている。その美しさというのは、自然環境の美しさだけを言っているのではないので、美しい自然と、そこと調和をして非常に生き生きとした豊かな
生活を享受している、その
生活様式、そこのいわば文化、そういうものを美しいとあの人たちは思ったわけですね。
ですから、やはりただ単に自然環境を守ればいいということではなくて、そこに個性的な
生活様式というものがおのずから根づいて、個性的な伝統文化というものがそこに根づいている、それが美しいんだということだと思います。
ですから、美しい日本をつくるということのためには、私は、やはり
一つのビジョンが必要だ、はっきりとした目指すべき国の形というもの、姿というものがあって、そしてそれをどう実現していくかという
計画がなくてはいけないというように思います。その中で、
地方自治がどうあるべきなのかということだろうと思うんです。
今、国土
計画というのが、どうも小泉政治の間不在になってしまいまして、私は、聖域なき構造
改革と言われるんだから、国土構造をどう変えるかということは大変な構造
改革じゃないですかということを言い続けたんですけれ
ども、竹中
大臣と私はもう天敵みたいな関係で、絶えずいろいろな
政策でぶつかっておりましたけれ
ども、あの方は国土
政策の中に競争原理を入れようとした、それは私は完全な間違いだと思います。やはり国土
計画というものは、国土
政策というのは、経済
合理性というものを乗り越えて、政治の意思として私はやっていくべきものだと思っていますので、そこが違う。
しかも、もう
一つ非常に違うのは、均衡ある国づくりというのを竹中さんは否定されるわけですよ。均衡ある国づくりを国土
政策の理念にしちゃったから、全国どこに行っても同じところばかりになっちゃった、こういうことを言われる。ところが、私
どもが言っている均衡ある国づくりというのは、そういう
意味で言っているんじゃないんですよね。竹中さんが言われるのは、手段の話で言われている。何か手段が目的みたいになってしまうことがあの方は多いんですけれ
ども。とにかく、あの均衡ある国づくりというのは、せっかく広い国土があるんだから、もっとバランスよくうまく使いましょうということを私
どもは言っているわけです。
大臣は横浜という大都市の御出身でございますけれ
ども、今、首都圏、東京、千葉、埼玉、神奈川、一都三県を首都圏といいますけれ
ども、そこの占める
面積というものがどのくらいか。もう答弁を求めないで私が言いますけれ
ども、全国土
面積三十七万平方キロの中のわずか三・六%ですよね。三・六%のところに二六%強の人が集まり、物が集まり、情報が集まり、お金が集まっている。そして、
過疎地域自立促進法、あの
法律の指定を受けている市町村の
面積を集めると、国土の約半分ですよ。国土の半分のところに一〇%もいないんですよ。正確に言うと、六・三%しか人はいない。そういうゆがんだ国土の使い方をやっていって、美しい国なんかできますか。
ですから、私は、バランスのとれた国土の使い方をもっとやっていくべきじゃないだろうか、それには経済
合理性も乗り越えた
一つの意思というものが政治から示されるべきだということをずっと力説してきたわけです。
ですから、今
大臣が、
地方の
財政運営をやっていくために
交付税や
地方税の
総額を
確保したい、その思いはわかりますけれ
ども、そのことだけで本当に美しい日本ができるとは私は思わないわけでございます。
今、あの二十一世紀のグランドデザインというのは、どこかお蔵に入ってかぎを閉められちゃったみたいなんですけれ
ども、それにかわって国土形成
計画法というものがあるということのようですが、その辺、国土交通省と
総務省とが、同じ政府ですから、きちっとやはり調整をもっととっていただいて、連携を強めていただいて、こういう国をつくるんだという
一つのはっきりとしたビジョンの中で
地方行政もやっていただきたい、そのことを特にお願いをしたいと思います。
国交省、来ていると思いますが、今の形成
計画法がどうなっているか、ちょっと教えてください。