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斎藤参考人 生命保険協会
会長の
斎藤でございます。
本日は、
貸金業の
規制等に関する法律の
改正案に関しまして、保険者並びに投資家としての立場から
意見を申し述べさせていただきます。
今回の
法改正の趣旨は、いわゆる多重債務問題の
解決に向けた総合的な
制度整備を行い、
利用者保護等に係る必要な
措置を講ずるものであると
認識しており、
関係者の
皆様の御努力に敬意を表させていただきたいと存じます。
貸金業者と私
ども生命保険
業者との関係で申し上げますと、まず、生命保険
会社は保険者としての立場で、
消費者金融会社に対し
消費者信用団体生命保険という商品を提供させていただいております。この商品は、
消費者金融会社等が契約者となり、
融資を受ける借入人を被保険者として、保険者である生命保険
会社と契約する保険であり、被保険者に万一のことがあった場合に支払われる保険金を債務
残高の返済に充当することで債務を消滅させ、御遺族の方等の生計の安定を図ることを
目的とした保険でございます。
この保険の適切な取り扱いに向け、生命保険
業界では、平成十八年四月に施行されました
金融庁の監督指針に沿って、保険の加入時に保険契約者である団体が被保険者に契約概要、注意喚起情報を手交する等、保険の内容の
説明について
徹底を図ってまいりました。
一方、本保険に関しましては、
消費者金融をめぐるさまざまな問題が指摘される中で、被保険者の加入について同意の確認が十分に行われていないのではないか、あるいは、比較的少額で短期の貸付債権の回収のために保険が不当に
利用されているのではないかといった御指摘をいただいておりました。また、
金融庁からも、生命保険協会に対し、
消費者信用団体生命保険に関して、被保険者同意の確認の
強化、保険金支払い請求実務のあり方等について検討を行い、
業界自主ガイドラインを策定するよう要請がございました。
これらを踏まえまして、生命保険協会としましては、今般、この保険の適正な取り扱いに向け、大きく三つの
対応を行っております。
まず、一点目としましては、
業界自主ガイドラインの策定でございます。九月二十八日に公表いたしましたこのガイドラインの中では、保険加入申込書とローンカード等の申込書の別書面化による被保険者の同意確認の
強化や、保険金の請求に係る被保険者の御遺族の了知の
徹底等を盛り込んでおり、既に会員各社へ周知しております。
次に、二点目としまして、先ほど
意見を述べられました
貸金業の関係団体であります全国
貸金業協会連合会に対し、十月十日に、
消費者信用団体生命保険の取り扱いに関する協力の依頼を行っております。内容は、この保険につきまして、保険
制度の趣旨並びに当会作成のガイドラインの趣旨にのっとった適正な運営を行うこと、及び貸し付けに当たってこの保険への加入を条件とするような取り扱いを行わないことであり、同団体からは、傘下の各都道府県の
貸金業協会へ周知を行った旨、連絡をいただいております。
三点目は、
消費者に対する啓発活動でございます。
消費者信用団体生命保険について、より理解を深めていただくために、十月十二日より、当会のホームページにこの保険に関する専用ページを設け、その商品概要、よくある質問、回答、ガイドラインの解説等の掲載を行うとともに、当会内に設置しております生命保険相談所において、専門知識を有する相談員が
対応する
体制の
整備を行っております。
以上、御
説明させていただきましたとおり、生命保険
業界としては、この保険の適正な取り扱いに向けた努力を行っているところでございます。
一方、この間、
消費者金融会社からは、契約の幹事
会社である生命保険
会社に対し、この商品を解約したいとのお申し出が相次いでおります。現時点では、
消費者金融会社との当該保険契約について、すべて解約等の申し出がなされたと伺っております。
次に、投資家としての立場について申し上げますと、生命保険
会社は、資産運用手段の一つとして、法人、
個人へ投
融資を行っております。以下、生命保険
会社の投
融資に関する
取り組みの
状況及び
貸金業者への投
融資の
状況について御
説明をいたします。
生命保険
会社の資産運用は、保険商品の販売により
お客様から付託された長期にわたる保険料を、保険金のお支払いに備え運用することを
目的としており、一般的には、運用の大原則として、安全性を確保することと収益性を追求することが求められております。また、保険料として集められた
資金を
資金の
需要者に供給するという
資金仲介機能もございます。
これらを踏まえまして、生命保険
会社は、国内外の株式や債券の保有、国内外の法人、
個人への
融資、不動産の保有等を行っております。現在、生命保険協会に加入しております三十八社の平成十八年三月末の総資産の額は二百九兆円超となっており、うち公社債が三二・七%、外国証券が一八・八%、貸付金が一七・五%、国内株式が一四・七%、不動産が三・三%となっております。
生命保険協会では、生命保険事業の拡大に伴いまして、当該事業が元来有している公共性と資産運用行動の国民経済に及ぼす
影響力の大きさとにかんがみ、平成三年の四月に「生命保険
会社の資産運用における行動規範について」というものを作成し、会員各社に周知しております。具体的には、「生命保険事業の性格を踏まえ、資産運用においても
社会性・公共性の観点に一層配慮した行動をとることとする」と
規定し、生命保険
会社の資産運用に当たっての基本的な考え方と努力目標を掲げ、
資金運用に関する諸問題に対し、「
金融・
経済環境と各社の良識に照らして
対応していくこと」としております。
これら投
融資の基本的な考え方を踏まえまして、一例として具体的な
貸金業者への
融資の
状況について御
説明をいたします。なお、生命保険
業界全体としては個別
企業への
融資状況等について公開情報がございませんので、第一生命の
融資の
状況を
もとに御
説明をいたします。
まず、
個人向けの貸し付けを主体として事業を行っているいわゆる
消費者金融業者あて
融資としましては、平成十八年九月末で、上場している
大手社のうち六社へ、総貸付額に占める割合が一・九%程度の貸し付けを行っております。
消費者金融業者は、
小口金融の分野で我が国の一般
消費者向けの
資金供給の円滑化に寄与するという
社会的な役割があると考えております。また、株式の上場、社債の発行、借り入れの実施等、資本
市場において一定のプレゼンスを有していること等を踏まえまして、当社といたしましては、
融資行動基準等を踏まえた上で、個別に信用リスクやコンプライアンスの
状況を審査の上、
融資を行っているところでございます。
ただし、
消費者金融業者が
社会的な批判にさらされやすい業態であることや、
多重債務者の問題についての全容を把握することが困難なこと等にかんがみまして、
融資の対象は
消費者金融業者のうち、情報開示の進んでいる上場
企業に限ることとしております。
以上、投資家としての立場から
貸金業者との関係について御
説明を申し上げました。
最後に、本
法案につきましては、冒頭申し上げましたとおり、
社会問題化しております多重債務問題の
解決に向けた
制度整備を
目的としたものと
認識しており、
利用者保護等に資するべく、
貸金業に係る諸
制度のより適切な導入、運営に向けた御議論をお願いしたいと存じます。
私
ども生命保険
業界としましても、本
法案の今後の動向を踏まえまして、関連
業界として適切な保険
制度の運営及び投
融資行動につきまして引き続き留意して取り組んでまいりたいと考えます。
簡単でございますが、以上をもちまして私からの
意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(
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