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馬淵委員 だからこそ、こうした
意見交換、コミュニケーションの場だという御認識をされているわけです。しかし、中川幹事長のこの言葉を見ると、いや、
日銀が管轄外を言うんだったら、こちら側も、それこそ忌憚のない
意見交換、金利に対しても、これは名目
成長率と書かれていますが、これはすなわち金利のことをここに含めておられる、そのことについて
意見交換をやろうじゃないかというのは、ある意味、政治的な、これは中川幹事長は政治家ですから、政治的な意味合いでおっしゃっているように私は受けとめられるわけです。
そして、そのことを示すのがその次の段にあります。「「再度
デフレに戻らないための政策手段としても有効と考えられている、望ましい
物価安定の参照値などの新しい枠組みに関して、議論をさらに深めていく必要がある」としているところである。」このように、いわゆる
物価参照値、
インフレターゲットについて中川さんは言及をされています。
さて、この
インフレターゲット論、
福井総裁は、これは極めて慎重論をずっととってこられました。慎重論をとってこられた
福井総裁の
発言に対して、管轄外の
日銀が言ったんだ、よし、では今度は名目
成長率、それこそ
インフレターゲット論についてまで議論しようじゃないか、これは私はどう考えても政治的な意味合いが強いと思うわけであります。
さて、中川幹事長のこのブログの
発言の中で、このように名目
成長率、そして
物価安定ということを語られているわけでありますが、
資料の十三枚目をごらんください。これは同じく中川秀直幹事長が書かれた講談社刊の「上げ潮の時代」という本を私は借りてきまして読みました。
ここに記してありますように、十三枚目では、
物価安定目標について中川幹事長は触れておられます。
物価安定目標については、現在、FRBの
バーナンキ議長が、これは
物価安定目標の推進論者であり、
米国も
物価安定目標を導入すると
指摘する
金融専門家がいるのも事実だ、現状ではこれを採用していないのは我が国と
アメリカ、その中で
アメリカはバーナンキさんが就任されたんだ、これは、もう間もなく、
物価安定目標、少なくともこうした議論が導入されてくるだろう、再燃するだろうといったことを中川幹事長は示されています。またさらには、英国では、こうした導入以来マイナス
成長はないんだということで、マクロ
経済の安定化に貢献している。これは御持論なんでしょうね。こうした御持論を持って、そして、世界じゅうで
物価安定目標を明確に拒否している国は
日本と
米国だけである、グリーンスパンの後任に
物価安定目標推進論者のバーナンキが就任したので、それは
日本のみとなるかもしれない。
つまり、
アメリカが踏み切ったときに、いよいよ
日本、
福井総裁、あなただけですよと。これを読むと、私はそのように読み取れるわけであります。
そして、その中で、政策目標、政策手段、この部分に関しては、
日本では、この原則が必ずしも理解されていないと。この原則というのは、目標は共有するけれ
ども手段は独立するという原則が確立しているにもかかわらず、これが理解されていない、このように評されています。これは、だれが理解していないことになるんでしょうか。
政府の一員で、少なくとも政府側の与党に立たれる政治家の立場、政調会長でおられた中川幹事長が、理解されていないのはだれなのかと。これは、
日本銀行を指しているんじゃないんでしょうか。
さらには、この後に続きます。現行
日銀法四条、これをるる述べられ、「これに基づいて政府と
日銀が意思疎通を図り、政策目標の共有と政策手段の独立性を確保するということは十分に可能だと思われるのだが、どうも理解が進まないようだ。」こう述べられています。だれが理解が進まないんでしょうか。
さて、そこで、るるひもといてみました。現在、
経済財政諮問
会議、
成長戦略、
成長路線の、それこそ前
大臣だった竹中さん、その竹中さんをバックアップしていた大田さんが
経済財政担当
大臣になられ、さらには
伊藤先生も
財政諮問
会議に入られている。
成長戦略、その中には
物価安定目標ということも当然ながらに視野に入れてくるでしょう。しかし、これは
日銀の専管事項であるということで一歩距離を置かねばならないが、しかし、中川幹事長は明確に、理解が進まないんだ、理解されていない、こういうふうにおっしゃっている。だれなのか。
これをひもとくと、今回、
内閣の中に入られた
内閣参事官、高橋洋一氏が論文の中でも述べられております。
高橋洋一氏はその論文の中でも、二〇〇三年の十二月十日の
経済財政諮問
会議における
福井総裁の
発言を取り上げて、このようにおっしゃっておられます。まず、
福井総裁の
発言なんですが、ポール・クルーグマン教授が、
金融政策で重要なのは将来
予想なんだということを
お話しされたときに、
福井総裁は、「クルーグマン氏は、人々の
インフレ期待というのを政策的にマネージしうる、コントロールしうるという理解に立っているが、そこは極めて幻想だと私は思う」このようにおっしゃっているんですね。覚えておられるかと思います。
そして、同月同日の諮問
会議の中でも、さらに、いわゆる
インフレターゲティングについても触れられております。この
インフレターゲティングについては、「
インフレターゲティングは、人々の
インフレ心理に直接働きかけようという政策である。この政策は、
金融市場においては、短期金利を一生懸命
日本銀行がゼロに抑えても、
長期金利が直ちに上がる、つまり、
イールドカーブが立つことになる」このようにおっしゃっているわけです。
この
インフレ目標に対しては慎重論を発される
福井総裁。そして一方で、この金利に対しては、自著の中で明確に、この
インフレターゲットが採用されていないのは
日本と
アメリカだけで、
アメリカに関しては、バーナンキが議長になった、推進論者がなったんだから、残るは
日本だけじゃないか、そして、手段は独立するけれ
ども目標は
一つだということの原則を理解されていない、理解が進まないと。これはだれのことですか。これは、
福井総裁のことを言われているのにほかならないんじゃないでしょうか。
総裁、こうした中川秀直幹事長の
発言に対して、独立性を維持する、独立性を守るお立場で、この
発言に対してどのようにお感じですか。