○阿部(知)
委員 お産のできる場所の数の減少は、ことしの初めの
医療制度改革論議のときにも、
厚生労働省としては、お医者さんの数も少なくなっておりますし、あわせてお産は生まれた後の赤ちゃんのケアで小児科医も必要ですから、そういうことで出産と小児科ケアができるところを集約化、集めていこうということで、一部減っているというふうにも考えられなくはありません。
しかし、また、その集約化の中で、今
大臣が御
指摘になったように、遠くまで行かなきゃ産めない、安心して産めない、安全に産めないなどの問題が発生し、きょうも各
委員がお取り上げでございました。
そして、数の減少が、集約化でそこが
充実するならばまだしもです。実は、神奈川県を例にとりますと、二〇〇二年度で、大体お産をできる場所の数とそこで何人生まれることができるか、定員があるわけです。これが七万人といたしますと、二〇一五年度には六万人という
調査が出ております。現状の施設がこの十年続くとしても、さまざまな制約で出産を取り上げられる数が減っていく、場所も減っていく、数も減っていく。一方で、国は、やはり子供が本当に私どもの未来であるということで政策を重ねられているはずなのに、ちっとも対策になっていません。
ちなみに、私の藤沢市、このデータでもそうですが、出産ができる場所がどんどん減っているのはむしろ都市部である。深刻なのは、十五歳から四十九歳の女性の年齢層をとって、十万人に対して幾つ出産の場所があるかととると、最も低いのが東京で六・二、神奈川が六・八、大阪が八・幾つと、都市部ほど減少が著しくてお産難民が生じやすいという例ですが、私の藤沢をとりましても、大体二〇〇五年度現在で三千三十六の受け皿があるところが、二〇一五年度は、このままでは恐らく二千百四十三になってしまう、十年たってまた三分の二になってしまうというような、これは産婦人科医会が
調査された結果でございます。
私は、さきの
厚生労働大臣の川崎さんにもお願いいたしましたが、やはり医学教育、看護師の教育、医師の教育、本当に今文部科学省と
厚生労働省がきっちり手を携えて、もちろん、すぐあすにふやすことはできないかもしれない、でも、きっちりとした数と質を確保していく、もうこれは腹をくくらないとどうにもならないところまで来ていると思います。
大臣には、きょうこのことをまず一点お願い申し上げまして、具体的にどうすればいいのかは、またきっと
大臣はお考えくださると思いますから、その一点をお願いしたいと思います。
あと、現場にお願いしたいことがございます。このようにどんどんどんどん出産できる場が減っている。これは特に病院と診療所の数でございますが、減っていて、私は先日来、やはり自然なお産、産むという行為がもっと
社会の中で本当に定着して、私たちの命を紡ぐところになるために、助産師さんの活用をとお願いいたしました。
皆さんのお手元の資料の後半二枚をあけていただきますと、ここには、ああ、こんなグラフ見たことあるなと思われる方も多いと思いますが、これは実は最新のグラフで、ほかほか、でき上がりなんですが、
厚生労働省の資料を用いまして、一体、病院や診療所で赤ちゃんは何曜日に多く生まれているかということをグラフ化したものでございます。
ちなみに、一九八〇年や二〇〇二年にも同様のグラフがありますが、実は、相変わらず、なぜか火曜日に赤ちゃんは多く生まれます。土日は生まれません。赤ちゃんも、きょうはいい日かな、生まれていい日かなと思って出てくるのかもしれませんが、しかし、やはりこういうグラフから見ますと、かなり病院側の体制によってお産が決められている。そういうことがされざるを得ないという、土日は人手が薄いですし、週の後半に、場合によっては陣痛促進剤やあるいは帝王切開などでまだお産をせざるを得ない
状況をグラフ化したものであります。
ちなみに、その次の、最後のページでございますが、これも同じように、二〇〇五年までもデータに加えたものですが、これは以前に自民党の戸井田
先生もこのようなグラフをお示しいただいて、大変理解ある男性の議員がいてうれしいなと思いましたけれども、助産所での出産の、これは時間別の出生でございます。朝方、これは潮の満ち干と関係しますかもしれませんが、四時から六時ごろ多くなって、午後には少し下がっていく、これはずっと年来のカーブでございます。
ところが、ほとんどが病院と診療所でなされている出産を例にとったのが下でございます。明らかにここには、なぜか午後の二時にピークがございます。このこともまた、火曜の午後二時というのは極めて人工的に設定された赤ちゃんのこの世への出現時間であります。
こういうこと
一つとっても、やはり本来安心で安全なお産が、ナチュラルなものとして、本当に生まれ出てくる赤ちゃんの波に乗って実現されていくために、私は助産院の活用ということをお願い申し上げたのですが、そして
大臣には、実は数回の御
答弁の中で、助産院も周産期のネットワークの中にしっかりと位置づけてやっていきますよという本当に前向きな御
答弁をいただいたのですが、しかし、現状はそれと反対の方向に進んでおります。
ここに、私がいただきましたのは、都内のある超有名な病院の近郊の助産院が、今まではそこに連携施設をお願いしておりましたところ、この前の
医療制度改正によって、
平成の二十年度から新たなシステムが発足しますので、その間、あなたの助産院とはもう連携ができませんというお断りの手紙が寄せられたという内容でございます。
やや長くなりますが、山井さんのように感涙にむせびませんので、ちょっと読ませていただきます。
冷静に、「さて、本日お手紙申し上げたのは、貴院からご
紹介で事前登録をなさる妊婦さんの件についてでございます。」これは病院側が出しているものです。「現在、当院では、近隣の診療所、病院との登録医
制度(セミオープンシステム)を設けております。これは、近医である登録医で妊婦健診をしていただき、救急時は当院を受診、また分娩のハイリスク状態にも当院が対応し、妊婦さんの快適性の向上と安全性を確保することを目的に行っているものです。」ここまでは全くいいのです、セミオープンシステムもやってほしい。
そして、「今後は、この
制度を助産院にも広げるために、提携の内容、運営の方法等を検討しつつあるところですが、いまだ体制は整備されておりません。 そのため、当院といたしましては、今後、貴院からの」相手は助産院です、「貴院からの事前登録をお引き受けできないことをご了承いただきたくお願い申し上げる次第です。」
ここに言われていることは、今まで連携していたんですね、でも、今度の
医療法改正で、
平成二十年度から始まるときに、セミオープンシステムを助産院にも開放したいから、今ある連携はちょっとやめにしてほしいと。
しかし、これから二年間、全く赤ちゃんは生まれないかというと、そうではありません。二年間ゼロ出生であれば、
年金の見通しもとうに狂ってしまって、けさの
大臣の御
答弁どころではいかなくなります。現場の部局として、現実にこのようなお断りが大変にふえているという声が助産師さんから上げられていますが、実態について御存じかということと、実態を
調査していただきたい。
法律は、
改正した後どうなったかというところで、極めて問題な場合もあるわけです。障害者の自立支援法も、与党の皆さんの御好意で、来週
参考人のお話になりましたが、お産の方も本当に喫緊です。いい
医療改正をしたつもりが、現実にはお断りばかりで、助産師さんからの赤ちゃんが宙に浮いてしまう。安心と安全が担保されないという現実ですから、これは医政局にお願いする御
答弁かと思いますが、まず御存じか、そして御存じでないなら
調査をしていただきたい。いかがでしょう。