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柳澤国務大臣 日本の財政が非常に逼迫をしておる、特に長期債務残高の規模なぞは先進国の中で最悪の
状況である、こういうことはみんなよく承知をいたしているわけでございます。
そういう中で、毎年毎年の
予算というものがどういうふうになっておるかといいますと、いろいろな費目が
予算にはあるわけですけれ
ども、その中で最も伸びているのは実は
社会保障であるということでございます。これは、高齢化が進むということの中で
年金も増嵩をして、かさがふえることを増嵩と申し上げますので、私、ちょっとそういう言葉を使いがちなので申し上げておきますが、かさが伸びています。
それからまた、
医療もまた、若者というか青壮年の人に比べて年をとると大体五倍ぐらい掛りが増してしまうというようなことで、
医療費もまた同じように伸びていく。
介護はもとより、現在のところは老人の
介護でございますから、専ら高齢者がふえればこれもまた伸びるという
方向にある。重立った柱である
社会保障給付というものは、そういうふうにどんどんどんどん伸びる
方向にあるわけです。
それを、大体その三分の一ぐらいは公費で
負担をする。これは国と地方の税金で
負担をするというのが基本的な構造でございますが、現在はどうなっているかといえば、そういう公費
負担の部分はほとんど、金に糸目がついておりませんので、一対一で対応しているとは言いませんけれ
ども、大ざっぱに言ってほとんどが国債でもって賄われている。これで安定しているかといえば、どう考えたって、借金で賄っているわけですから安定は著しく損なわれているということでございます。
ですから、安心できる
社会保障、あるいはそのもとは持続可能になる
社会保障、これは借金で支えられている
社会保障が持続可能であるなどということは金輪際考えられないことでございますから、これを何とかしなければいけない、これが私
どもに突きつけられている問題だということでございます。
これからそれをどうしていくかということでございますけれ
ども、先ほど来申し上げますように、本当に最後のどん詰まりのところまで見通せる財政技術なりなんなりがあると、そこに向かって何をしたらいいかということを考えればいいんですけれ
ども、しかし、それにはやはりその見積もりが難しいということと同時に、その間の経済
社会の変動もまた見通すことが難しい。勢い、我々は、五年、十年の先を見て、これを少しでも
改善の
方向に向けていくという努力をしなければいけない。これが現在、二〇一一年度を節目とするプライマリーバランスの回復であるとか、あるいは二〇一五年にできるだけ長期国債残高を減らす
方向になるような、そういう財政
状況を出現させたい、こういうことでございます。
そういう中で、やはり、歳入の方はともかくとして、歳出の方をまず
削減できないだろうかということで、そちらの話を先にしていくんだということになるわけでございますが、そうした中で、
社会保障はそうした
削減とは無縁だよ、我々は聖域にいるんだというわけにはいかないということで、何とか、
社会保障制度にも無駄だとか重複だとかが起こっているところは、きついかもしれないけれ
ども、少しずつでも軟着陸させながら合理化をしていくということは、これは避けられないことではないか、こういうことになっている。
先ほど私は、キャッピングというのはよくない、キャッピングというのは、技術的にいうと皆減皆増経費というんですが、公共事業費のようにキャッピングをすればすぐそれでお金が減るというものと、
社会保障制度のように制度が裏打ちになっていて、幾らキャッピングをされたってそんなものとは
関係なく伸びていく、こういう経費、
二つあるわけでございまして、
社会保障の場合にキャッピングなんというような手法は、とっても自己矛盾を来してしまう、こういうように私は考えているわけです。
そこで、先ほど無駄とか重複とかということにちょっと触れたわけでありますが、同時に、最近非常に重要視されているのは、先ほど言ったように、高齢になるとどうしても若いときに比べて病気がちだ、こういう
医療費が五倍ぐらい多くかかってしまう、だけれ
ども、そもそも病気を前提にするのじゃなくて、病気をしないような予防とか、そういうようなことを考えるべきじゃないかということが非常に先般の
医療費
改革等の中で大きく前に出てきたわけであります。
こういうことによって
医療費の、今まで当然増だとされていたようなことについて少し抑制がかからないか、それぞれ健康診断なんかを義務化することによって予防をみんなでしていく、こういうことを真剣に考えようということになってまいりまして、ぜひ我々もそういう努力をすべきだ、このように考えております。