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大塚会計検査院長 平成十七年度決算検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。
会計検査院は、
平成十八年九月八日、内閣から
平成十七年度
歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、
平成十七年度決算検査報告とともに、
平成十八年十一月十日、内閣に回付いたしました。
平成十七年度の一般会計決算額は、歳入八十九兆二億余円、歳出八十五兆五千百九十五億余円、各特別会計の決算額の合計額は、歳入四百五十二兆一千四百十億余円、歳出四百一兆一千八百三十五億余円でありまして、会計検査院ではこれらの決算額を確認いたしました。
また、国税収納金整理資金は、収納済み額六十兆六千九百六十六億余円、歳入組み入れ額五十一兆四千百二十六億余円でありまして、会計検査院ではこれらの受け払い額を検査完了いたしました。
政府
関係機関の
平成十七年度の決算額の総計は、収入四兆七千百四億余円、支出四兆一千二十八億余円でありまして、会計検査院ではこれらの決算額を検査完了いたしました。
平成十七年度の
歳入歳出等に関し、会計検査院は、国、政府
関係機関、国の出資団体等の検査対象
機関について、書面検査及び実地検査を実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、
関係者に対して七百余事項の質問を発しております。
検査の結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要を御説明いたします。
まず、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項は、合計三百九十件、百四十一億八百五万余円であります。
このうち、収入に関するものは、六件、三十五億七千四百九十三万余円であります。
その内訳は、租税の徴収額が適正でなかったもの、保険料の徴収額が適正でなかったものなどとなっております。
また、支出に関するものは、三百四十八件、九十六億八千八百四十八万余円であります。
その内訳は、会計経理が適正を欠くなどしていたもの、工事に関し設計が適切でなかったもの、保険の給付が適正でなかったもの、医療費の支払いが適切でなかったもの、補助事業の実施及び経理が不当なものなどとなっております。
以上の収入、支出に関するもののほか、郵便貯金預入金等について職員の不正行為による損害が生じたものなどが、三十六件、八億四千四百六十三万余円であります。
次に、
平成十八年中におきまして、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により
意見を表示しまたは処置を要求いたしましたものは十四件であります。
その内訳は、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に出資された物品の時価評価額の算定に関するもの、民営化に伴う資産の承継・評価に関するもの、国立大学法人の附属病院に係るセグメント情報に関するもの、第一種公衆電話の設置及び管理等に関するもの、土地改良負担金総合償還対策事業における土地改良負担金対策資金の資金
規模に関するものなどとなっております。
次に、本院の
指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項は四十一件であります。
その内訳は、偽造クレジットカード解析システムの運用
状況に関するもの、私立高等学校等経常費助成費補助金に係る加算単価の算定に関するもの、圃場整備事業等により整備された農地の維持・保全等に関するもの、補助金の交付等を受けて取得していながら公営住宅等が建設されていない土地に関するもの、放送大学の運営に必要な業務の委託契約に関するものなどとなっております。
次に、特に掲記を要すると認めた事項は四件であります。
その内訳は、相続税物納制度において、物納申請された財産に係る収納・引受事務及び引き受け後の処分が長期化しており、処理未済事案が累積しているなどの事態に関するもの、道路工事を鉄道事業者に委託するに当たって、委託後の事業の進捗
状況等の把握を適切に行う必要がある事態に関するもの、道路管理者が整備した有料駐車場が低利用となっているなどのため、駐車場の利用方法の改善等について検討することが必要な事態に関するもの、関西国際空港の経営において、長期有利子債務の確実な償還を図り、安定的な経営基盤を確立するため、経営改善に努めることが必要な事態に関するものとなっております。
次に、
平成十八年中におきまして、会計検査院法第三十条の二の規定により
国会及び内閣に対して報告いたしましたものは五件であります。
その内訳は、さきに御説明いたしました土地改良負担金総合償還対策事業における土地改良負担金対策資金の資金
規模に関するもの、関西国際空港の経営において、長期有利子債務の確実な償還を図り、安定的な経営基盤を確立するため、経営改善に努めることが必要な事態に関するもののほか、高速道路の建設事業に係る入札・契約制度の見直しの
状況等に関するもの、成田国際空港株式会社における空港施設等の整備事業に係る入札・契約の実施
状況等に関するもの、財投
機関における財政投融資改革後の
財務状況と特殊法人等改革に伴う
財務処理の
状況に関するものとなっております。
次に、
平成十八年中におきまして、
国会からの検査要請事項に関し、会計検査院法第三十条の三の規定により検査の結果を報告いたしましたものは七件であります。
その内訳は、政府開発援助(ODA)に関する会計検査の結果に関するもの、独立行政法人中小企業基盤整備機構(旧中小企業総合事業団)の実施する高度化事業に関する会計検査の結果に関するもの、特別会計の
状況に関する会計検査の結果に関するもの、地方財政の
状況に関する会計検査の結果に関するもの、各府省等におけるコンピューターシステムに関する会計検査の結果に関するもの、
社会保障費支出の現状に関する会計検査の結果に関するもの、中心市街地活性化プロジェクトの実施
状況に関する会計検査の結果に関するものとなっております。
最後に、本院の検査業務のうち特にその検査の
状況を報告する必要があると認め、検査報告に掲記いたしましたものは十四件であります。
その内訳は、防衛施設庁における建設工事及び委託業務に係る入札・契約の実施
状況に関するもの、政府開発援助の
状況に関するもの、都道府県労働局の会計経理の
状況に関するもの、外国産米の在庫及び損益の
状況に関するもの、長岡郵便局等における別後納郵便物の料金の不適正な収納等に関する検査
状況に関するものなどとなっております。
以上をもって概要の説明を終わります。
会計検査院といたしましては、機会あるごとに
関係各省庁などに対して、適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、
関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。
次に、
平成十七年度国有財産検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。
会計検査院は、
平成十八年九月八日、内閣から
平成十七年度
国有財産増減及び現在額総
計算書及び
平成十七年度
国有財産無償貸付状況総
計算書の送付を受け、その検査を終えて、
平成十七年度国有財産検査報告とともに、
平成十八年十一月十日、内閣に回付いたしました。
平成十七年度末の国有財産現在額は八十五兆二千十四億余円、無償貸付財産の総額は一兆七百四十三億余円になっております。
検査の結果、国有財産の管理及び処分に関しまして、
平成十七年度決算検査報告に掲記いたしましたものは七件であります。
その内訳は、不当事項といたしまして、
水田農業
構造改革対策の事務処理に使用するプログラムの開発委託契約に係る会計経理に関するもの、
意見を表示しまたは処置を要求した事項といたしまして、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に出資された物品の時価評価額の算定に関するもの、本院の
指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項といたしまして、滑走路等に設置された管路等の埋設深さに関するもの、特に掲記を要すると認めた事項といたしまして、相続税物納制度において、物納申請された財産に係る収納・引受事務及び引き受け後の処分が長期化しており、処理未済事案が累積しているなどの事態に関するもの、
国会及び内閣に対する報告といたしまして、財投
機関における財政投融資改革後の
財務状況と特殊法人等改革に伴う
財務処理の
状況に関するもの、
国会からの検査要請事項に関する報告といたしまして、特別会計の
状況に関する会計検査の結果に関するもの、特定検査対象に関する検査
状況といたしまして、
社会保険庁が設置した年金・健康保険福祉施設の整理合理化の実施
状況に関するものとなっております。
以上をもって概要の説明を終わります。