○塩川
委員 資料を配付させていただきましたけれども、上のグラフが今国土交通省で示してもらったリコールの届け出の対象台数で、ここ数年間急速に増加をしております。今年度も非常にたくさんの台数が出ておるわけです。下のグラフが、これは日経ビジネスで掲載されていたものですが、最大
市場のアメリカにおいてもリコールが急増しているということで、もとはカラーで、白黒ですとちょっと見づらいんですが、左側がリコール台数で右側が販売台数ですから、〇五年の数字ではリコールの台数が販売台数を上回るという事態になっております。これは、国内の販売とリコールの台数においても同じようなことが言えるということにもなっております。
〇一年以降、リコールとなったふぐあいというのが人身事故にまでつながっているのは、トヨタ、日産、ホンダと言われる三大メーカーの中ではトヨタだけということも言われておりまして、その点でも安全の問題が問われてまいります。ことしの七月に国土交通省もトヨタに対して業務改善指示を出したということも大きく取り上げられました。
リコールがどういう原因で起きるのかというのを、原因別で分類したのを国土交通省も調べておりまして、全体的には、今、
開発、設計段階に起因するリコールが多いということが言われております。ですから、
開発、設計段階が七割で、それから生産、製造段階が三割というのが今のおおよその傾向だということが言われております。その点で、トヨタはどうかという問題があります。
これは、週刊東洋
経済が過去五年間ぐらいのトヨタのリコールの件数を全部国土交通省のホームページから拾って原因別に整理をしましたら、
開発、設計段階と生産の段階が、全体は七対三なんですけれども、トヨタの場合は五対五で、生産、製造現場に起因をするリコールが多いという傾向が出ているということが紹介をされておりました。
これは十一月十五日付の
日本経済新聞でも、「きしむ品質」という特集記事の中で、「ここ三年のトヨタのリコールの原因は、半分は製造段階の問題による。」という点では、製造、生産段階における問題というのをトヨタの場合には特に懸念をする状況にあるのではないかと思っています。ですから、
日本経済新聞の記事でも、その後に続いて、「半分は製造段階の問題による。その主因とされるのがラインを構成する人材の変容だ。」生産ラインにおける人材の変容、変化、ここに問題があるという
指摘になっております。
私、この間トヨタの本社にも伺いましたし、また、下請関連メーカーの現地での
調査も行ってまいりました。そういう中で
お話を聞いた中でも、トヨタ本体そのものが、今、正社員が六万五千人、それに対して非正規、臨時が一万九千人と言われています。ですから、二割強が非正規となっております。これは当然事務方の数字も入っているでしょうけれども、生産現場では期間工、期間従業員というふうに言われていますが、それも一万人ということで、非常に高い水準になっているというのが今の状況だと思います。トヨタ本体に非正規がたくさん入っているという面とともに、トヨタの下請の
企業に非正規が大変ふえているというのがあわせて実態としてあるんだと思います。
よく言われますように、自動車の完成品、完成車メーカーが手を加えるのは一割二割で、実際の製造コストの七割八割ぐらいは部品メーカーが担っているわけです。ですから、生産、製造現場のふぐあいということになりますと、完成車メーカーの組み立てのラインで起こると同時に、部品に起因をするようなふぐあいというのが実際に多いわけです。ですから、下請の仕事が品質に直結をしているということが自動車の場合には特に言えることだと思います。
そこで、今の下請の実態がどうなっているのかということについて、資料で二枚ほど新聞記事をつけさせていただきました。特に末端のレベルで違法行為が続いているという記事であります。二枚目に紹介しているのが新聞記事で、「トヨタ系が労災隠し」、トヨタの部品メーカーのトヨタ車体精工、そこにおいて偽装請負を背景にした労災隠しが行われていたという報道があります。愛知の労働局がトヨタ車体精工を是正指導も行っている。ここの高浜工場においては、派遣、請負などの非正規が半分以上だと言われております。
三枚目の新聞記事は、「トヨタ関連二十三社違法雇用」ということで、これはベトナム人の技能実習生についての記事ですけれども、ここでも、ベトナム人技能実習生に最低賃金や時間外の割り増し賃金を払わない、豊田の労働基準監督署から是正勧告が行われているという実態が挙げられています。
あと、新聞記事はつけておりませんけれども、当
委員会でも私も取り上げました、トヨタのグループ
企業のジェイテクトの子会社の光洋シーリングテクノにおいても偽装請負、違法派遣が行われていたという問題が現場の労働者から告発をされるという事態もありました。
ですから、紹介しましたように、外国人労働者を含みます非正規、派遣ですとか請負ですとか期間工など、この非正規雇用の拡大というのが下請の部品メーカーでも進んでおり、そこに違法行為もまかり通っている事態があります。
さきに紹介したトヨタ車体精工などでは、この偽装請負にかかわっていた請負会社が廃業するという時点で、その後、多くはトヨタ車体精工が直接雇用するような道につながったわけですけれども、しかし、告発をした労働者そのものは雇用から排除をされるような事態があるわけですから、こういう点については現場でも問題になっているわけで、厚生労働省としても是正に努めるべきであります。
さらに、中外と言われます、トヨタの車の防音材をつくっている会社があるんですけれども、これもトヨタの協力会社でつくる協豊会のメンバー
企業でもあります。ここで、今よく問題になっている、外国人労働者の非正規雇用の実態が問題となっております。中外の三好工場というところで請負会社が入っていて、その請負会社が、外国人労働者、日系ブラジル人の方を雇用し、送っていたわけです。それ自身が偽装請負、違法派遣ということで現場としては告発がされているものです。
そういう中で、コストが厳しいものですから、個々の労働者を請負会社が雇用するのではなくて、一人一人の労働者を個人
事業主扱いにするという形で、社会保険への加入などを逃れるという形での違法行為が行われていたということが現場で問題になっていました。健康保険も厚生年金も、あるいは労災、雇用保険、こういうものに加入させずに働かせていたという問題がありました。
こういう問題について、現場から不当労働行為の是正を求める声が上がっておりますけれども、厚生労働省としては、
現状をどのように把握をしておられますか。