○松本(大)
委員 国と地方合わせれば一人当たりの金額がふえているんだということについては、これはもう少しきちんとした数字をいただいて、その後、それは結局
少子化が進んで、それで結果として一人当たりがふえているんじゃないのかなというような反論を、ぜひ、そうおっしゃるのであればデータを示していただいて、
お答えをしたいなというふうに思います。
国と地方を合わせれば変わっていないんだということでありますけれども、これは午前中の
北神委員の質疑のときにもありましたけれども、国際比較というものがデータとしてはございます。
お配りをしました
資料の二ページ目でありまして、これは
北神委員が作成された
資料との違いは何かといいますと、つい先月、九月に発表されたばかりの直近二〇〇三年のデータが入っているということと、それから、これは国立
国会図書館にお願いをしまして、経年変化というものを追っていただきました。かつ、GNPベースでかつては計算されていたものをGDPベースに引き直していただいて、経年での変化を追ったというものであります。
これを見ますと、この二ページ目と三ページ目がそうなんですけれども、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、上下は、増減はありますけれども、トレンドとしてはふやしてきた、GDPに占める公
教育財政投資の比率をふやしてきたわけでありますけれども、
我が国はどうかといえば、一九八三年のデータから二〇〇三年、直近のデータまで、トレンドとしては減少を続けてきた。九八年と九九年で切れているのは、九八年までは文部省、
文部科学省が作成をしてきたわけですが、その後作成をやめられてOECDがつくるようになったために、ここは点線にしてありますけれども、文部省がつくっていた
時代ですら、
日本はずっと一貫して下がってきた。
対するアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスというものはその比率を高めてきた。OECDが調査を始めるようになった九九年から二〇〇三年までを見ても、国と地方を合わせてという話がありましたけれども、これはまさに国と地方を合わせたものですが、三・五%という水準は変わりませんけれども、では諸外国はどうかというと、この同じ期間の間に、アメリカもイギリスもフランスもドイツもそれぞれ比率をふやしているんですね。
つまりは、国と地方を合わせれば、この小泉
内閣の期間変わっていないんだというお話もありましたけれども、まだまだ国際比較という
意味では大きく見劣りをしている。この現状が一体どこに影響を及ぼしているのかということであろうかと思います。
めくっていただいて、三ページ目と四ページ目なんですけれども、この
日本の比率の三・五%というのは、OECD加盟国三十カ国中の最低です。
北神委員との数字の若干の違いは、データが一年新しいのと、それから幼児
教育などその他の
教育というものをふやして、全
教育段階で出しているということでありまして、トップのアイスランドの半分以下、OECD平均は五・二%だったと思いますけれども、その平均に比べても大きく見劣りをしている。ここがどこに対してツケを回しているかという話をこの要望書の中からぜひ拾い上げていきたいと思うんです。
さらにめくって五ページ目なんですが、では
公共事業費はどうかといえば、確かに近年、GDPに占める比率というのは減少傾向にはあるわけですけれども、依然として、これは上から
日本、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツの順番で経年変化をとったものですけれども、
日本は三・七%。一番下のドイツ一・四%の二倍以上、イギリスも一・八%ですから、これもやはり二倍以上、アメリカは二・五%ですから、およそ一・五倍の比率を
日本は誇っているわけですね。まだまだ人よりもコンクリートに対して投資を行ってきたというツケがやはりここにあらわれているのではないかなというふうに思います。
これが私たちの、
国民の生活のどこに影響を及ぼしているかということがこの要望書にまさにあらわれているわけでありまして、
資料の一ページ目に戻ると、要望書ですね、「遺児の母子家庭の勤労年収は一般家庭の三分の一を割り込み百三十万円まで落ち込みました。これでは食べるにも事欠き、高校進学もままならず、進学しても卒業まで学資が続きません。」と。
大臣は、
日本は
教育の機会均等というのは諸外国に比べて高い水準にあると午前中おっしゃっていましたけれども、しかしながら、
現場からは、高校進学もままならずという生々しい、切実な訴えが出てきているわけですね。それはなぜこういうことになるのかといえば、ここ数年、国と地方を足して変わっていないんだというふうにおっしゃるけれども、諸外国に比べてやはりまだまだ公財政支出の比率というものは低い水準にあるんだ、その結果、こういう陳情というか要望が来ているわけであります。
これが一体、具体的にデータで検証できるかという話でありますけれども、
資料の六ページ目、これは厚生労働省の
平成十五年度全国母子世帯等調査というものでありまして、表十六の(一)、
平成十四年の年間収入
状況、平均収入金額というものを見ますと、母子世帯の就労収入百六十二万円。この要望書では百三十万円を割り込みというふうにありますが、これは死別に多分限られていらっしゃるとか、あるいはデータをとられた時点が違うのかもしれません。
そのほかに、生活保護、児童扶養手当、養育費、これを合わせましても平均収入金額が二百十二万円でありまして、その下の参考として書かれております表、
平成十四年の母子世帯の収入は二百十二万円でありまして、一般世帯を一〇〇とした場合の母子世帯の平均収入は三六・〇と、おおむねこの要望書のとおりの非常に経済的に厳しい
状況に置かれているということであります。
一方で、では
教育費はどのぐらいかかっているのかということでありますけれども、
資料の七ページ目をめくっていただいて、表の一、「
高等学校(全日制)」というところでありますが、
公立の
学校の
学校教育費、表の上から二番目のところですけれども、これは要するに塾とか家庭教師なんかを含む補助費を、下の
学校外活動費を除いた金額でありますが、三十四万二千百五十二円。ちょっと読みづらいかもしれません、ごめんなさい。一番右は私立ですから、右から二番目、上から二番目、
公立の全日制の
高等学校の
学校教育費が幾らかといえば、三十四万二千百五十二円なわけですね。
今、国が行っている奨学金の貸与の金額は、たしか、自宅から
公立高校に通う場合、月一万八千円、つまり年間で二十一万六千円ということだと思いますから、この奨学金では
学校教育費すら賄えないということでありますし、先ほどもあったように、母子世帯の平均年収が二百十二万円で一般世帯の三六%しかないということは、まさに育ち盛りの
子供たちを食べさせるだけでもう手いっぱいという
状況がこのデータからも裏づけられる。この要望書がいかに切実なものかということがわかっていただけるんじゃないかと思います。
実際にここが、だからどういうふうにしわ寄せされているかというのが
資料の八ページ目でありまして、これは母子世帯ではありませんけれども、同じように厳しい経済
状況に置かれている家庭の進学率というものがどうなっているのかという
意味でおつけをいたしました。
平成十六年の厚生労働省の被
保護者全国一斉調査というものをもとにちょっとつくってみたんですが、一番上をごらんください。表の上、「全国」というところでありまして、右から三番目、
高等学校等進学率八〇・九%であります。その右側、これは文科省の調査の
学校基本調査による進学率、これは全国の平均です、九六・三%。つまり、生活保護受給世帯の高校進学率は八〇・九%であるのに対して、全国平均では九六・三%、実に一五・四ポイントも高校の進学率に大きな差がついているということなんですね。
大臣は、
日本は
教育の機会均等というものは諸外国に比べて図られているんだ、かなえられているんだというふうにおっしゃいましたけれども、別に、今諸外国に比べて高い水準にあるからといって、これでよしとするのではなく、さらに積み残しの課題は何なのか、もっと高くできるところがあればそれは当然やるべきですし、その課題の一端が、まさに家庭の経済格差が学習環境の格差となってあらわれている、
教育機会の格差となってあらわれている、そのことの証左であるというふうに思います。
そこで、この要望書にあります高校の進学もままならないんだという
状況に対して、
大臣、これは先ほどの話に戻りますけれども、やはり
教育予算なんですね。公財政支出がGDPに占める比率、今三・五ポイントで、OECD三十カ国中最低な水準にあるわけですけれども、この家庭の経済格差が中等
教育の機会の平等を阻害している
状況を改めるために、やはりこれはしっかりと諸外国並みの予算を確保すべきだと私は考えますが、
大臣、この要望書を受けてどのようにお考えになりますか。