○三原
委員 今の農業のことでもうちょっと話をしたいんですけれ
ども、具体的にEPA交渉で
議論すると、必ず
我が国では突っ込まれると弱いのは農産品ですよね、農業。
あと、昔だったら工業だって、今一番、きのうかおとといかの
新聞では、とうとう
我が国のトヨタが何か利益二兆円以上上げたとか言っていますけれ
ども、あの自動車だって、昭和三十年代あたりはもう幼稚産業でやってきて、壊滅的な打撃をほっておいたらやられるだろうと思っていたら、やはり努力してみたら、三十年、四十年たったら、
世界で冠たる、トヨタだけじゃない、今、日産もホンダもみんなそうですね、立派なものになっちゃった。
世界のどこに出しても売れるようになった、安くもないけれ
ども。そういう工業的なものは
日本は得意という面もあるんでしょうが、初めは保護しておっても、それで成長していって、
世界の中で堂々とやれる。
しかし、農業ばかりは、地理的なものがあるし、集約的に一生懸命やってはきているんだけれ
ども、粗放型のものにはもう太刀打ちできない。小麦だソバだ、穀類はみんなそうですね。お米だけはまだまだ絶対だめだというのでやっています。それでも、今七十万トン、八十万トン入れているんじゃないですかね。そういう
状況があります。
しかし、そんなことを言っていたんじゃ、特に開発途上の国とのEPAといったって進められませんよ。今、シンガポールとマレーシアとメキシコとやったんだけれ
ども、メキシコあたりからは、入れるものは今言った豚肉と鶏肉とオレンジぐらいだから、
日本と余り競合するのは少ないから、それでもいろいろ一生懸命
議論し合って、とうとう最終的な決着に至ったんだけれ
ども、シンガポールなんかは農業はありませんからいい。マレーシアも、マレーシアにある農業、入れるものは何だろうね。パームオイルと生ゴムと、まあもしかしたらパイナップルか何か、ああいうのがあるかもわからぬが、それも
日本と競合しないからやれることでありまして、
日本にとって何も損しないような感じ。
ところが、今度やる
フィリピンは、今言いましたように、サトウキビはあるでしょう。沖縄は、少しだけれ
ども、ちっちゃなパイナップルをつくっていますが、パイナップルあたりも、やはり関税を一生懸命で、ちょうちょうはっしやっている場面がありますよね。そういうところの国と今から広げていってEPAやろう、WTOの場じゃなくてもやろうとしたら、それは簡単にいきません。いかないんだけれ
ども、実は、農水省さんも心が広いようになってきたね。みどりのアジアEPA推進戦略と銘打った農水省が出したあれは方向性があるんですね。
その中で、六つのポイントがあったんだけれ
ども、その五番というところに、「EPAを通じた、アジアの農山漁村地域の貧困等の解消。」とあって、「
アジア諸国の国民の多くが居住する農山漁村に依然存在する飢餓・貧困、過酷な労働
実態の解消・
改善に貢献するため、EPAを通じ、相手国の農林漁業者の所得向上につながる
市場アクセスの
改善や」、それからこう続いて、「農山漁村地域の生活水準や福祉の向上、農林漁業労働者の権利の増進に努める。」こう書いているんです。
全く、これはすばらしいでしょう。これを本当にアジアの他の国々とのEPAの交渉の中でやったとしたら、
日本は本当に尊敬、崇拝おくあたわざるような国家になるね。しかし、なかなかそうは現実はいかない。今度の
フィリピンのサトウキビ
一つとってもそうでしょう。
ですから、私は、そういうのを見たら、確かに
政府援助で、無償援助、借款もある、技術援助もある、いろいろやっていますが、そういう援助もODAの一環として大切なんだけれ
ども、よく言われるように、相手に魚を与えるのでなく魚の釣り方を教えるというような言い方をよくするでしょう。それと同じで、向こうに
経済を伸ばして、それで生活が上がるようにしていって、それでこっちが、それもちゃんと堂々と売買しますよ、こういうところまでやって初めて真の
意味でのODAだと思うし、美しい国
日本になりたい、そう言うと、美しい国
日本、
石川さんに聞いたらわかるけれ
ども、ユーアー・ソー・ビューティフルと言ったときには美的に美しいだけじゃないものね。所作振る舞いから心の中まで美しいときに、ユーアー・ソー・ビューティフルとやはり言うんですよ。山中さん、そうでしょう。
だから、私は、今度の総理の言う美しい国
日本というのはそういうことだと思うね。何も、春は花、夏ホトトギス、秋は月、冬雪さえて涼しかりけりばかりじゃない。心の中までがそういうあれだということになると、農水省の言っていることを一歩でも二歩でも具現化すること、このことが実は究極的には、ロングランでは
我が国が必ずや得になる、こういうふうに思うんだけれ
ども、どうでしょう。そんな、余りにも理想論過ぎるかな、それは。どうですかね。