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小沢一郎君
前原代表の後を引き継ぎまして、
民主党の
代表に選任されました
小沢一郎でございます。そのおかげで、久しぶりに
小泉総理のまた御指導をいただく機会を得まして、どうぞひとつよろしくお願いいたします。
本論に入ります前に、ちょっと
総理に私から苦言と御提案、お願いを申し上げたいと思います。
それは、先ほど昼過ぎに、
衆議院の
厚生労働委員会におきまして、自民党、公明党、
与党の
医療に関する
法案の
強行採決が行われました。しかも、
民主党が以前から提案しております
がん対策の
法案につきましては、
論議の場にも数の力でのせていただけないままに、この
医療の
法案が
採決、強行されたということであります。私は、どうしてこんな、と言っちゃなんですけれども、
法律でもってあえて
強行採決をするのか、よく理解できないわけでございます。
議論を終えたら
採決をすべしというのが私の持論でありまして、むしろ、
日本社会の風土であります
満場一致、まあまあの風潮ではなくて、特に
議会ですから、きちんと
賛否の
採決をすべきであるというふうに私はずっと主張してまいりました。ですから、
採決すること自体は一向に構わないし、
採決すりゃ多数が勝つのは当たり前のことであります。ただ、
野党がまだまだ質疑がある、
議論したいことがあるということを言っている以上、私は、その時間を十分に与えてやっていいのではないかと思います。
この
医療の
法案が、
総理、一週間や十日おくれたからって、別にそんな大きなことではないじゃないかと私は思います。そういう
意味において、何の
法案でもそうですけれども、できるだけ
議論を尽くす、その上できちっと
賛否の
採決をするという
習慣をこの
国会でもつけていくというのが私は大事だと思います。
役所は、
法律を出すと、早く通してくれ、通してくれ、通らないと何か大変なことが起きるみたいなことを言いがちでありますけれども、私は、そんなことはないと。そして、どっちかというと、本当に急いでやらなくちゃならないことはなかなか決断しないで、どっちでもいいことをできるだけ早くやれという、これがあって、私は、そういうのに大
与党が引きずられる必要はないじゃないかというふうに思うわけであります。ですから、これは
予算案であれ一般の
法律であれ、同じであります。
もちろん、これは
役所といいますか、それだけの
責任ではありませんで、まあ、それが大部分ですが、一方において、従来の
野党にも大きな原因があったと思います。それは、例えば、
予算が通らないうちに
予算執行の
準備をするのはけしからぬとか、
法律が通らないうちにその実施の
作業をやるのはけしからぬというような形で
役所を牽制してきた経過があります。
私は、そんなことを言うつもりはありません。
政府が
責任を持って
法律案を提出した以上、その通ったときの
準備作業を
最初から始めるのは当たり前のことでありまして、私は、それはどんどんやっていて構わない、しかし
国会での
論議は尽くしてもらいたいと、そういう
習慣を、ぜひ
与野党でつくっていったらいいんじゃないかと思います。
要は、その
法案が、
中身のある、いい、
国民のためになる
法案だったならば、それに対して
野党が意図的にいろいろな
議論を吹っかけ、口実をつけて引き延ばしたりすれば、それは
国民の批判は
野党に向かうわけですし、
中身がない、余り
国民にとってよくもない
法律をやるとすれば、それは
野党が一生懸命頑張ってその成立を阻むということも、これまた私は
国民がそのことをきちんと見ていると思うんです。
ですから、そういう
意味におきまして、きょうの
本論から外れましたけれども、
議会制民主主義を我が国に定着させていく上において、
与野党ともですけれども、特に多数をもって
政府を構成している
与党が、やはりそれだけの大きな度量を持って、きちんと
議論をすべきは十分するというふうな態度になるべきではないだろうかというふうに私は思います。
これからもう一カ月足らずしか
国会はありませんけれども、どうか、そういう
意味において、こういうようなことを繰り返して行わないように、
総理に対して私から要望しておきたいと思います。
こういうことについて、
総理、もしお考えあらばお聞かせください。