○平野達男君 要するに、日銀総裁は幾ら持っていてもそれが合法であれば構わないと、そういうことですね。分かりました。これは多分、この
答弁は
世界じゅうに配信されると思いますが、これは本当に笑われると思います、私は。
そしたら、例えば日銀総裁が村上ファンドに投資した資本拠出、二月に解約の手続をされたというのは、これはこういう理解でよろしいですね。これは
市場から見たらこういう理解もできるんです。三月に量的緩和解除がされました。量的緩和解除がされるということは、一種の金融
市場の中においては
株価が下落をするというふうに見る向きが出ます。そうしますと、それを早く察知した人は売り抜きあるいは益出しに入る可能性があります。この行為は、日銀総裁が何と言われても、もし二月であれば、それを三月解除ということについての政策決定の権限を持っていますから、それは一種のインサイダー取引、売り抜け、優越的地位の濫用というよりも、知っている人がやっている、そういう行為に走ったととらえられてもしようがないと思います。
それからもう一つ、この中でゼロ
金利をずっと続けています。そして、片っ方で量的緩和解除をやって
株価が上がってきました。恐らく、この中で村上ファンドは相当もうけた。もうけたということは、資本拠出をやった方に対してのリターンがあったはずです。それは量的緩和の解除の効果でもあるはずです。一方でゼロ
金利、庶民は本当に利息も出ない。この庶民感情という問題もあります。しかし、この庶民感情という問題は今日は、質問の時間ですから、あえてこれは削除します。
私が言いたいのは、
与謝野大臣はもう十分承知だと思いますけれ
ども、もう承知でああいう
答弁しかされていないと思うんですが、金融政策が
株価に与える影響というのは本当にすさまじいですね。ゼロ
金利を解除するのがいつかというのは何で
市場が注目されているか。
株価が一瞬、一気、すぐに下落するかもしれないからです。だから、ゼロ
金利を解除、いつするか、いつするかということで
投資家はもうとにかくアンテナを高くしてやっていると思います。いつの時点で売り抜けるか、益出しをするか。
その権限を握っているのが日銀総裁なんです。その日銀総裁が自分で株を持っている。そして、株で運用するファンドに対して拠出をしている。その決定権限を持っている方が、私は
福井総裁がそんなことをやるとは思いません、思いませんが、例えばファンドの会社についていろんな情報発信をして、ああだよ、こうだよということをやろうと思ったらできるんです。やるかやらないかじゃなくて、でき得るんです。でき得るような
状況にしておくことが実は
市場に対して大変な私はこれは迷惑を掛ける、このことだというふうに思います。そういうことだということについては、実は
福井日銀総裁は分かっていなくちゃならない立場です。
例えば、
アメリカの連邦銀行の議長がどういう扱いをしているか。連邦銀行の議長は株なんか持っていません。自分の資産運用は何でやるか。長期
国債だってグリーンスパンさんは持っていなかったと言います。それは何でかといったら、長期
国債の長期
金利に金融政策が影響を与えるからですよ、全部普通預金と短期
国債です。イギリスでは資産公開を義務付けられていまして、全部
株価については、信託します、信託をするということは自分の手に及ばない話で、所有権が向こうに移転しますからこれは問題ないんです。
ところが、先ほど言いましたように、自分で保有しているということは、少なくとも
アメリカ、イギリスにおいては例がないことです。それは、繰り返しますけれ
ども、先ほど
前田先生が後ろから言いましたけれ
ども、李下に冠を正さず、日銀総裁はそういうことが求められるポジションなんです。そういうことに一点の曇りもあればどうなるか。例えば日銀総裁は、日銀総裁の大変重要な仕事は
市場との対話であります。皆さんが
市場との対話については非常に、日銀総裁の一挙一動、一言一言、大変注目しています。だから、日銀総裁はその一言一言に細心の注意を払ってしゃべっているはずです。
ところが、その日銀総裁が、自分で実はひょっとしたらファンドに対して運用しているかもしれない、株を持って自分の政策でもって得をしているかもしれない、そういう目で日銀総裁を見たらどうなりますか。えっ、これって本当に日銀総裁こんなことやっていいの、おかしいじゃないの、そういう負のインパクトを与えやすいんです。このことも
福井総裁は私は理解してなくちゃならなかったと思います。
それからもう一つ、コンプライアンスの遵守、コンプライアンスの遵守と言っています。コンプライアンスの遵守は、
総理御承知のように、法令に従っていればいいというものではありません。法令以前の問題もあります。だから、私は、こういう
状況の問題ですから、どういう合法の資産であってもこれを保有するというのは日銀総裁の持っている責務、役割、これは私はやってはいけないことだと思います。ですから、これが認められるとすれば、要は合法であれば日銀総裁であろうがファンドで幾らお金持ってもいい、株を持ってもいい、いや、要は法令さえ守っていればいいんでしょうというコンプライアンスの遵守の精神が私は乱れてくるおそれもあると思っています。
以上の問題について総裁の御見解をちょっとお伺いしたいと思います。