○辻泰弘君 私、いわゆる勝ち組対策のことを言っているんじゃなくて、負け組対策の部分で何をやったのかということを申し上げているんですけれ
どもね。
まず、医療、年金、介護というふうにおっしゃいましたけれ
ども、これもそれぞれ
法律、総理はいつも持続
可能性ということをおっしゃるわけですけれ
ども、それは将来に向けてのことであって、当面の、この五年間の
構造改革の中において、まあ落ちるといいますか、ネットから外れるような方に対してどうすることをやったのかということなんですね。現実には、医療、年金、介護も給付を下げて負担を上げているわけですから、それはそれにはかなわないわけですね。
それから、セーフティーネットの根幹で、幾つか私考えましたけれ
ども、生活保護もおっしゃったけれ
ども、結局、去年地方に財政を渡す渡さないでやって、結局元へ戻ってきましたけれ
ども、結局不安を与えたものでしかなかった、結局生活保護としてセーフティーネットを新たに整備しましたということは別になかったわけですね。それから、障害者自立支援法だって、結局所得保障のない障害者の方に不安を与えたということでございました。
それから、派遣労働も大変増えましたけれ
ども、総理のときに製造業への拡大もしたし、一年から三年の期間延長もしたわけですけれ
ども、派遣労働の方というのは結局社会保険がほとんどない。二百万人おられる中で被用者保険に入っているのは五十万という大体数字のようですが、あとは国保、国年に入っている方がどれだけおられるかということはあり得ますけれ
ども、しかし、かなり無保険の方がおられるんじゃないかと類推できるわけでございます。結局そのことを拡大したわけですよね。
それから、国保においてもですよ、医療保険とおっしゃったけれ
ども、現実に資格証明書になっている、すなわち国保が無保険の状態になっている方々が三十万世帯になっていると、急増しているということがあるわけですね。これとても、国保の財政単位が小さいから結局無理があるというところに起因していると私は思いますけれ
ども、こういうことも全く放置してきたんです。
年金のこともおっしゃったけれ
ども、基礎年金だって、おととしやりましたけれ
ども、結局、総理自身が基礎年金は基礎的消費支出を賄うものだと答弁されていますけれ
ども、それについても、基礎年金についてもマクロ経済スライドを掛けて実質低下させるということを求めたのがおととしの年金法案ですよ。
そしてまた、無年金者も、八十万おられるというのが厚生省の見解のようですけれ
ども、これとても、議員立法で無年金障害者の対応はこの間やりましたけれ
ども、しかし政府として全く無年金者、放置したままですよ。
最低賃金だって、規制緩和をやって、タクシーなど最賃が守れないような業種が増えていますよね。そして同時に、産別最賃と、産業別最賃をやめて
地域最賃に一本化するということで実質低下させるような、そういったことを企図して、結局、今国会は出さないという話がありますけれ
ども、いずれにしても最賃に対してだってそれだけ後ろ向きに取り組んできた。
失業保険だってやったとおっしゃるけれ
ども、財政が厳しいときにやれないというんで従前の約束を切り下げたという実態があったわけですね。
あるいは、よく労働債権と租税債権という問題がございましたけれ
ども、結局、
日本の法制は非常に冷たくて、倒産したときに税金と社会保険料を払わなければならない、片っ方、労働者に賃金払わなければならない、こういう状況があるときに、働いた人に賃金払うよりも、先に税金、保険料を払わなきゃ駄目だという、いわゆる租税債権よりも優先順位が低いという法制が続いてまいりました。
このことも、私、ずっと言ってまいりましたけれ
ども、結局どうなったかというと、十六年の五月に、破産法の
改正のときにやっとなって、十七年一月からそのことが、労働債権も優先順位が上がることになりました。しかし、その十七年一月にはもはや企業倒産は非常に収まっていて、総理自身が企業倒産は非常に少なくなったというふうにおっしゃったときなんですね。ですから、倒産のときの対応のセーフティーネットが実は倒産が少なくなったときにやっと発動するという、こういったことでしかなかったわけなんです。
だから、こういったことを幾つか振り返りますときに、総理が本当にセーフティーネットを張ってきたと言うことは、全くむなしく聞こえるしかないわけなんですね。その結果として、すべて総理が悪いわけじゃありませんよ、しかし、やはり三万人の自殺者とよく言われますし、総理の就任以前からそういうことがあったわけですけれ
ども、しかし、このようなセーフティーネットがもっともっとしっかりと整備されているならばもっと軽減することができたろうと私は思うわけでございます。
総理は、数年前に企業が破綻したとき、倒産したときに、私の改革が順調に進んでいる
証拠だと、こういう言い方をされたことがございましたけれ
ども、やはり
小泉政権の
政策運営というものがこのことに非常に象徴的にその本質を言い当てているように私は思うわけでございます。
これまでを振り返りますときに、やはり、よく世の中に勝ち馬に乗るというのがありますけれ
ども、
小泉総理の場合は勝ち組に乗って負け組に思いを致さずと、光ばかり、光ばかり追っ掛けて影に目を向けなかったこの五年間であったかと思うわけであります。光の当て方にもやはり工夫があってしかるべきだったと、このように私は思っているところでございます。
そのような中で今の所得格差の拡大ということになっていて、また、
国民の意識調査、最近見ますと、八七%の方が拡大を実態だというふうに意識しておられると。こういったことがそのことの帰結ではないかと思うわけでございまして、その点についてのセーフティーネットを私は実は言いながら実態として何もなしてこなかったその責任は極めて重大だと、このことを強く御指摘申し上げておきたいと思うわけであります。
そして、もう
一つ、雇用の問題について申し上げておきたい。
実は、雇用対策でどれほどのことをやってきたかということになるわけでございます。
日本の雇用の基本の
法律として雇用対策法というのがございます。この雇用対策法には、雇用対策基本計画を定めなければならないと書いてあります。そしてまた、その雇用対策基本計画は政府の経済計画と調和あるものでなければならないと、こういうことになっているわけなんですね。そういうことで、今までずっと昭和四十二年から、このパネルでもございますけれ
ども、経済計画ができたらその後ほどなく雇用対策基本計画、ずっと作られてきた、大体一貫して作られてきているわけですね。近いところで見たら、
平成十一年七月に経済計画が作られて、十一年八月に雇用計画が作られている。
それなのに、
平成十四年一月に改定された「改革と展望」、新たな計画になったにもかかわらず、結局雇用対策基本計画は改定されないまま今日に至っております。
平成十四年に私は福田
官房長官に聞きましたけれ
ども、改定する必要性はないというふうなことを答弁されてきて今日に至っているわけであります。それで、非常に時代後れになっているわけです。
どうぞ次に。(資料提示)「改革と展望」というのは毎年変えるんですけど、この雇用対策基本計画は十年区切りなんですね。それで、お寒い話なんです。見ていただければと思うんですけれ
ども、どんなことが書いてあるか。その中を読みますと、「現在、我が国の経済・雇用情勢はかつてないほど厳しい状況にある。」、「雇用失業情勢は極めて厳しい状況にあり、」「当面は厳しい状況が続くと考えられる。」と、これが基本認識なんですね。しかし、最近の月例報告では、「景気は、回復している。」、「雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。」と、こういうふうに言っている。
また、高年齢層というのも五十五歳以上、六十歳台前半層。普通、六十五歳以上とかそういうことが普通ですよね。
それから、特定不況業種の
法律に基づき、また
地域改善対策
法律に基づきという表現がありますけど、これは
平成十三年、
平成十四年にもう既に失効している
法律なんです。
それから、「年間総実労働時間千八百時間の達成・定着を図るため、」とありますけど、去年
法律が
改正されまして、これはもう既に、閣議決定で千八百時間というのを推進計画定めていましたけど、これはもうなくなりました。だから、これはもう今や意味がないというか、時代後れになってしまっていることですね。
それから、「二〇〇〇年度から導入される介護保険制度は、」というのは、これはもう制度が導入されて五年たって、その新たな
見直しまでやって昨年法
改正をしたわけですね。こんな古ぼけた表現がある。
それで、もう今やない労働基準局という言葉がある。今、労働局になっているわけですけどね。
それから、総理がよくおっしゃるニート、フリーター、こういった今の状況、対策が必要だとおっしゃるけど、そんな表現は全くありません。これだけ陳腐な古ぼけた計画になっている。それが
小泉内閣の雇用対策基本計画なんです。
総理、この実態を見てどう思われますか。