運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2006-03-23 第164回国会 参議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十三日(木曜日)    午後三時三十分開会     ─────────────    委員の異動  三月十七日     辞任         補欠選任      荒井 正吾君     岸  宏一君      森元 恒雄君     山本 一太君      山本 香苗君     山口那津男君      大田 昌秀君     福島みずほ君  三月二十日     辞任         補欠選任      榛葉賀津也君     蓮   舫君  三月二十二日     辞任         補欠選任      澤  雄二君     谷合 正明君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 市川 一朗君                 木村  仁君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                 小林 正夫君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 加藤 修一君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 岩井 國臣君                 岩永 浩美君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 岡田 直樹君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 谷川 秀善君                 常田 享詳君                 南野知惠子君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 喜納 昌吉君                 黒岩 宇洋君                 櫻井  充君                 下田 敦子君                 主濱  了君                 内藤 正光君                 前田 武志君                 山根 隆治君                 蓮   舫君                 若林 秀樹君                 谷合 正明君                 山口那津男君                 渡辺 孝男君                 井上 哲士君                 大門実紀史君                 福島みずほ君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        経済産業大臣   二階 俊博君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君    副大臣        外務大臣    金田 勝年君        財務大臣    赤羽 一嘉君        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        財務大臣政務官  野上浩太郎君        文部科学大臣政        務官       有村 治子君        経済産業大臣政        務官       小林  温君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局刑事局長   大谷 直人君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣府政策統括        官        林  幹雄君        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  米田  壯君        金融庁監督局長  佐藤 隆文君        外務大臣官房参        事官       辻   優君        外務大臣官房参        事官       佐渡島志郎君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省経済局長  石川  薫君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        財務省関税局長  竹内  洋君        文部科学大臣官        房長       玉井日出夫君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       大島  寛君        文部科学省初等        中等教育局長   銭谷 眞美君        厚生労働省医薬        食品局長     福井 和夫君        経済産業省製造        産業局長     石毛 博行君        海上保安庁警備        救難監      坂本 茂宏君        環境省自然環境        局長       南川 秀樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十八年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を六十分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党十五分、民主党・新緑風会二十八分、公明党八分、日本共産党六分、社会民主党・護憲連合三分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十八年度一般会計予算平成十八年度特別会計予算平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。藤井基之君。
  4. 藤井基之

    藤井基之君 自由民主党藤井基之でございます。  本日は、麻薬とか覚せい剤などの乱用問題、薬物乱用問題について質問させていただきたいと存じます。  我が国のこの薬物問題といいますと、実は覚せい剤中心になっております。御案内のとおり、戦後、第二次大戦後の荒廃した社会の下でヒロポンという覚せい剤が大流行をいたしました。そして、五十年代の後半になりまして、第二次の乱用期と言われる時期を迎えております。そして、現在はその第三次の乱用期だというふうに言われております。  政府におかれましても、平成九年に内閣に、内閣といいましょうか、政府として薬物乱用防止対策本部というのを設置されて、対策を進められております。まず、事務局にお伺いしますが、この乱用対策本部というののメンバー構成を教えてください。
  5. 林幹雄

    政府参考人林幹雄君) 申し上げます。  平成九年に置かれました薬物乱用本部でございますが、──済みません、ちょっと……
  6. 藤井基之

    藤井基之君 これは片道なので言ってもらおうと思ったんですが……
  7. 林幹雄

  8. 藤井基之

    藤井基之君 今、御説明いただいたとおり、非常に大きな、総理をトップにする、こういった本部ができているわけでございまして、これは私は、いろいろな国際状況また国内状況を見たら、当然の政府対応だと思っております。  少し御紹介させていただきたいと思いますが、国連が取りまとめましたワールド・ドラッグレポートという、世界薬物報告というのがございます。この二〇〇四年版、これが多分一番新しいと思うんですが、それによりますと、世界でその薬物乱用者の数というのは一体何人いるかという推計をしております。一億八千五百万人だそうでございます。これはその当時の世界人口の約三%、これが乱用者だと、こういうふうに国連推計をしております。  この乱用の内訳を見ますと、複数の薬物乱用している方もありますので総計はずれますが、いわゆる一番多いのが大麻草だとか大麻樹脂というもの、いわゆる大麻系麻薬乱用者、これが一億四千六百万人、それから日本でいう覚せい剤のようなもの、これATSと言われますが、これらに対する乱用者が三千万人、それからケシから取れるあへん系麻薬に対する乱用者が一千五百万人、最も作用が強いと言われているそのうちのヘロインという薬物、この薬物乱用者は九百万人、それからコカインなどのコカ系麻薬乱用者が一千三百万人、エクスタシーと俗称で呼ばれていますMDMAなどの合成麻薬乱用者が八百万人という、非常に多くの人間がこの地球上では薬物乱用を行っていると、そういう実態国連報告で浮き彫りにされております。  ところで、ごく最近の、今月になりまして、アメリカの議会におきましてブッシュ大統領がナショナル・セキュリティー・ストラテジーというんですか、そういったいわゆる国の安全保障戦略を発表しているわけですね、報告しているわけです。その中にいわゆる薬物国際薬物規制戦略レポートというものも出されております。この中で、この薬物問題に関係して、北朝鮮活動についても言及されているというふうに伺っておりますが、外務省、端的に御説明いただけませんでしょうか。
  9. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) アメリカ国務省が今月の一日に発表をいたしております二〇〇六年版国際薬物規制戦略レポートにおきまして、北朝鮮に関しまして概要、次のような記載があるというふうに承知いたしております。  まず一つには、薬物不法取引偽造米国通貨の流通及び著作権侵害等不法活動への関与をめぐる北朝鮮人逮捕事案が過去何十年にもわたって見られるという記述。それから二つ目に、二〇〇五年につきましては、北朝鮮の明白な関与がある薬物不法取引事案は明らかになってはいないと。三つ目に、しかしながら、同二〇〇五年中に明らかになった北朝鮮当局が直接指揮した他の犯罪事案に照らしまして、北朝鮮当局外貨獲得のために薬物製造及び取引を含む犯罪行為を支援している可能性はあると見ているという記載があるものと承知しております。
  10. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  実は、そのレポートの中に、もう少し実は関心を持たざるを得ない内容がございます。それは、韓国国籍を持つ船なんですが、ポンス号という船が実はオーストラリアで拿捕された、そしてそこでいわゆる薬物密輸関係で実はこれが拘束されておるという、そういったことが書かれているんですが、副大臣、そこの辺りのところについてもコメントいただけますでしょうか。
  11. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 中国状況ですね。  中国において、先ほど北朝鮮について申し上げたんですが、中国において雲南省中心麻薬覚せい剤問題が拡大しているという情報につきまして説明したいと思いますが、よろしいですか。  中国におきましては、薬物問題が依然存在しており、御指摘雲南省につきましても、薬物事件検挙件数ヘロイン覚せい剤等押収量増加傾向にあるというふうに承知をいたしております。  これに対して、中国政府としましても、無毒社区、麻薬のない社会の建設を目標として、取締り強化広報啓発活動実施関係国との連携の強化など全国的な薬物対策を推進していると承知しております。また、本年三月に開催された全人代におきまして、本年制定予定の法律の一つとして麻薬禁止法が挙げられておると承知しております。
  12. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  その前にちょっと言い掛けた話、じゃこちらから申し上げますと、そのブッシュレポートの中で言われているのは、実は二〇〇三年の四月に北朝鮮企業が所有するポンス号という船が、実は大量の、非常に純度の高いヘロインオーストラリア密輸出しようとして摘発されている。そして、その船長とか、いわゆるこれは北朝鮮政治局員と読むべきだと思うんですが、DPRKポリティカルセクレタリーを含む高官が拿捕されている。そして、裁判がこの春、行われようとしているという、そういった記事でございました。  で、北朝鮮国籍のこういった覚せい剤問題等、実は日本国においても経験がありまして、一九九八年に北朝鮮船籍工作船による覚せい剤密輸事件が摘発を既にされているわけでございます。そして、二〇〇三年、つまり五年後にこのオーストラリアでそのような同様な事件が起こっているということでございまして、そして今、中国の件についても御報告ちょうだいしましたとおりですが、併せまして申し上げますと、国連麻薬委員会が今年まとめております麻薬取引に関する世界状況、このレポートによりますと、二〇〇四年に中国で押収されたヘロイン、最も作用が強いと言われている薬物ですが、これは十・六トンが押収されている。これは世界最大世界押収量の一八%という報告がされている。また、その後、一九九九年から二〇〇三年まで、メタンフェタミン、覚せい剤ですが、覚せい剤中国での押収量、これはタイアメリカ、最も多いと言われたタイアメリカよりも、それよりも多いんだと。二〇〇四年だけでも二・八トン押収されていると。こういった報告が、実はこれ国連麻薬委員会からされております。  今、諸外国の状況を申し述べましたけれども、これにつきまして、いわゆる対策推進本部の副本部長をお務めの官房長官、どのような御感想をお持ちでしょうか。
  13. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま委員が御指摘になられましたように、北朝鮮から、あるいは中国からのいわゆる覚せい剤麻薬についてはしっかりと水際で阻止をしていかなければならないと、こう考えております。  特に、北朝鮮に対しましては、厳格な法執行、法の適用ということで厳しく取締りを続けている次第でありますが、しっかりと政府としてこの覚せい剤の問題については全体として取り組んでいく、そして水際でしっかりとこれは防いでいくという考えで取り組んでいきたいと、こう考えております。
  14. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  今、官房長官から力強いお言葉をちょうだいしたわけでございますけれども、この対策本部は、先ほど申し上げましたように、非常に多くの省庁から参画をされて構成されているわけです。  この事務局内閣府が務めることになっているわけですけれども内閣府に伺います、専従スタッフは何名いらっしゃいますか。
  15. 林幹雄

    政府参考人林幹雄君) スタッフといたしましては私を含めまして六名でございます。
  16. 藤井基之

    藤井基之君 そのうち専従スタッフは何名ですか。
  17. 林幹雄

    政府参考人林幹雄君) 薬物対策本部としまして、その六名が当たっております。
  18. 藤井基之

    藤井基之君 その方々は兼務をしてませんか。
  19. 林幹雄

    政府参考人林幹雄君) その他の業務も兼ねてやっております、私ももちろんそうでございますが。
  20. 藤井基之

    藤井基之君 最近のこの本部会合、どのくらい開催されているか、過去五年間にさかのぼって教えていただけますか。
  21. 林幹雄

    政府参考人林幹雄君) 近年のことでございますが、毎年一回開催しております。持ち回りの形のものもございます。
  22. 藤井基之

    藤井基之君 昨年、開催しましたか。
  23. 林幹雄

    政府参考人林幹雄君) 昨年も幹事会と、先ほど申し上げました、本部として持ち回りのもの一回を開催しております。
  24. 藤井基之

    藤井基之君 そうしたら、内閣府の出しているホームページはうそついているんですか。
  25. 林幹雄

    政府参考人林幹雄君) ホームページでそのようなことを書いておるとは思いませんが、幹事会一回と持ち回り本部会議一回でございます。
  26. 藤井基之

    藤井基之君 私は、つい先週、官邸のこの薬物乱用対策推進本部開催状況というホームページを引かせていただいたんです。確かに一年一回やられているんですね。十六年六月、十五年七月、十四年五月、十三年六月、十二年五月、十一年五月、十年五月。これ、十七年、記録ないですね。
  27. 林幹雄

    政府参考人林幹雄君) 申し訳ございません。  そのホームページに、それでは十七年の六月だったと思いますが、それ載せておりませんとしましたら私どものミスでございますが、開催はしております。
  28. 藤井基之

    藤井基之君 私、内閣府の、大変忙しい職場なのでなかなか大変だということは十分理解しておるわけでございますけれども、これはやはり国際的に見ると非常に大切な業務だと思います。  しかも、これについて申し上げますと、結局薬物対策の問題というのは、この後るる申し上げたいと思うんですが、しょせんやらなきゃいけないことは何かというと、いわゆる需要を止めることと、そして供給を止めることの二つなんですね。そのために、国内取締りであるとか国際協力であるとか、乱用者のための治療であるとかリハビリであるとか、国民に対する啓発という、非常に多くの省庁が有機的に活動しなきゃいけない、こういう対応なんですね。そのヘッドクオーターというのが本来この内閣府であるべきだと思うんですね。私は、内閣府の体制の充実を必要だと思っております。そして、加えまして、こういった、これだけ多方面に、多岐にわたる薬物問題をやるためには、私は内閣としてこの薬物乱用対策のいわゆる基本法のようなそういった概念法が、立法化する必要があると思うんですけど、官房長官、いかがお考えでしょうか。
  29. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま委員が御指摘になられましたように、不正薬物取締り啓発活動などといった各種施策については、薬物乱用防止新五か年戦略に基づいて、第三次覚せい剤乱用期の一刻も早い終息などの目標に向けて政府を挙げて取り組んでいるところでございます。  現在は新五か年戦略実施期間中であるので、まず当面は推進本部中心政府を挙げて同戦略を強力に推進し、青少年による薬物乱用の根絶、末端乱用者に対する取締り徹底など、同戦略に掲げる目標の達成に努めてまいりたいと、このように考えております。
  30. 藤井基之

    藤井基之君 どうも官房長官、ありがとうございました。  実は、つい先日、こういったニュースがありました。福井県で、実は十五歳の女子高生高校一年生の女の方なんですが、その方が実は暴力団員等と一緒に覚せい剤を使用して、その副作用によって、覚せい剤によって心不全を起こして急性心不全で死んでしまったと、こういう報道がなされております。  警察庁は直近の十七年中の薬物銃器情勢というのを報告されておりますが、それによると、MDMA等合成麻薬押収量が非常に多くなったという話、それからもう一点は、インターネットを使っての覚せい剤販売という、こういったものが増えているというふうに言われているんですね。  こういった新しい薬物の流れというものに対して警察庁はどのような対策を取られているか、簡単で結構ですから教えてください。
  31. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 平成十七年中におきます薬物情勢でございますけれども覚せい剤事犯が五年ぶりに増加に転じたということでございます。あと、乾燥大麻も過去二番目の押収量、それからMDMAも過去最高押収量ということで、大変増加をしております。  それから、インターネットにつきましては、大変匿名性が高い、それから不特定多数に売りやすい、地理的制約もないということで、この増加を非常に私どもも懸念をしております。  したがいまして、末端乱用者から突き上げて取締り徹底をするとともに、インターネットに関しましては、ネットのサーチといいますかパトロールをしまして、そういうサイトを見付けまして、そして検挙に結び付けるというようなことをしております。それから、いろんなポータルサイトに協力を求めまして、例えばアイスであるとかドラッグであるとか、そういった特定言葉で検索をしますと、すぐそれは乱用犯罪であるというバナー広告が出るというようなこともやって、乱用防止に努めているというところでございます。
  32. 藤井基之

    藤井基之君 今、先ほど女子高生覚せい剤に手を出して死んじゃったという報告を、報道をちょっと紹介しましたけれども、幾つかこのいわゆる啓発といいましょうか、特に青少年に対する対策を取っていただいているわけですね。  例えば、文部科学省調査によりますと、高校生男子におきまして覚せい剤乱用薬物を使用すること、覚せい剤等乱用薬物を使用することについて、他人に迷惑を掛けていないので個人の自由だと、そういう回答が実はだんだんと低くなってきているのは認めますけれど、まだ一年生で一〇・七%、二年生で一一・八%、三年生一三%という、つまり十人に一人以上の子供たちはいわゆるまあ乱用すること、これは社会に迷惑掛けているわけじゃないと、個人だけの話だからいいんだと、こう言われているんですね。  一方、またもう一つ厚生労働省中学生に対する意識調査をしているんですね。そうすると、これについて、意識調査によると、どうも覚せい剤が簡単に手に入るよと中学生答えているのが約一割。そして、少々苦労するけれども何とか手に入るという答えも合わせますと四人に一人。つまり、それだけは、こういった我が国において覚せい剤なんていうのは入手って簡単なんだと、こういうふうに答えているわけです。  私は、啓発活動をずっと重点的に関係省庁が一生懸命やっていると思うんですけど、その実態がどうなっているのか。特に子供たち、学校におけるこういった啓発を行っております文部科学大臣に、この実態とこれからの方向性についてお尋ねしたいと存じます。
  33. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 藤井委員薬物に対して大変、この麻薬防止についての活動を通じて大変御尽力をいただいていることに敬意を表したいと思いますが、平成十二年の文部科学省調査、この前には平成九年にもやっておりますが、十二年の、最近の調査としては十二年でございまして、また現在、実は昨年の秋から調査を開始しておりまして、夏ごろまでには取りまとめができると思いますが、喫緊の、十二年の調査の結果で申し上げますと、小中高児童生徒を対象に薬物に対する意識調査を行ったところ、先ほどお話もございましたけれども薬物を使うことは悪いことと回答した男子割合学年が上がるに従って低下している、すなわち悪いと思わなくなってきていると。小学五年生では七四%、中学三年生では六五%、高校三年生になりますと五五%の者が悪いことと思っているが、逆に言うならば四五%は悪いとは思わないということになってまいりますし、薬物使用個人の自由だと回答している男子割合学年が上がるごとに増加すると。例えば小学五年生は三%、中学三年生が九%、高校三年生になりますと一三%と、個人の自由だと、こういうふうに主張する生徒が増えているということは大変大きな問題であろうと。  この課題を解決するために取組を増していかなきゃいかぬと、このように認識しているところでございます。
  34. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  実は文部科学省は、平成十五年の九月二日付けで通達を出しております。薬物乱用防止教育の充実についてという表題でございました。そして、その中で言われているのは、幾つかの点を指示しているわけですが、その中の一つで、すべての中学校及び高校において、年一回は薬物乱用防止教室を開催するように努めるとともに、地域の実情に応じて小学校においても薬物乱用防止教室の開催に務め、警察職員、麻薬取締官OB、学校薬剤師等の協力を得つつ、その指導の一層の充実を図ることと、こういうふうに言われています。  事務当局にお伺いしますけれど、この乱用教室の開催状況というのはどのようになっているんでしょうか。
  35. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 御指摘のように、平成十五年九月二日付けで、スポーツ・青少年局長より各都道府県教育委員会の教育長あてに通達を出しております。  その中で指摘をされております乱用防止教室の開催状況でございますが、小学校におきましては二七・一%、これは十六年、平成十六年の実績でございますが、中学校が五五・五%、高等学校が六二・七%でございまして、私といたしましても、この中学校の開催高校開催状況は必ずしも芳しくない、まだまだ周知徹底をせねばならないと、このように認識しているところでございますし、また、この他の対策についても述べましょうか、後ほどにいたしますか。──はい。  平成十四年度から実施されております学習指導要領におきまして、従来から行っております中学高校に加えまして、新たに小学校の高学年、五、六年生に対しても薬物乱用防止に関する指導内容を盛り込んだところでございまして、さらに薬物乱用防止教室の推進につきましては、小中高、学校の児童生徒を対象にした、この危険性を解説したパンフレットの配布など、そしてまた、十八年度の予算において新たな対策といたしまして、MDMA等合成麻薬などの危険性を中高生に啓発するための地域フォーラム、これを開催する。また、従来もやっておりますシンポジウムの開催、それから、今御説明申し上げました薬物乱用防止教室の推進、そして中高生の心と体を守るための啓発教材の作成等、更に今日の状況を踏まえまして指導を強化したい、このように考え予算も獲得をしているところでございます。
  36. 藤井基之

    藤井基之君 是非、全力を挙げて今大臣の申された方向での対応をお願いしたいと存じます。  先ほど来お話ししていますように、麻薬がかつてのようなケシのような麻薬、コカインのような麻薬だけではなくて、多くの新しい乱用薬物が増えております。先週末までは、十七日ですか、十八日までですか、ウィーンで開催されておりました国連麻薬委員会におきまして、こういった新しい覚せい剤とかATSと言われている薬物、これらの合成の薬物の非合法的な製造、これを止めるためにはこの原料を供給を止めなきゃいけない、あるいはその情報を交換しなきゃいけないという、そういった決議、これは日本もかかわっているわけで、日本からも提案の一員になっていると伺っておりますけれど、そういった決議が行われたというふうに聞いております。この内容と、それに伴って、厚生労働省になると思いますが、どういった対応を取ろうとされているのか、お尋ねしたいと思います。
  37. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今、藤井委員が御指摘になられた国連麻薬委員会で採択されました決議で、国連加盟国に対しまして、エフェドリンなど覚せい剤等の原料物資の監視の強化が強く求められているところでございます。  日本では、今回の決議の対象となっております覚せい剤等の原料物資につきましては、もう既に藤井委員御承知のように、覚せい剤取締法と麻薬及び向精神薬取締法に基づいて、その輸出輸入等の都度、厚生労働大臣の許可等を受けることが必要とされております。したがって、本決議により我が国当局が国連との関係で新たな義務を負うことにはならないわけですけれども、引き続き関係法令の遵守について企業等にしっかりと周知徹底を図ってまいりたい、そのように考えております。
  38. 藤井基之

    藤井基之君 もう一つ厚生労働省に重ねてお伺いしたいと存じます。  厚生労働省は、いわゆる国連薬物犯罪事務局、UNODCと、ここと協力しまして、例えば覚せい剤作ったときに一体どこで作ったんだろうかというのを化学的に追跡する手法といいますか、ケミカルプロファイリングという、弱い、微量の不純物があって、これはどこの生産地だということが推定できるという、そういった研究を進めていたというふうに伺っておりましたけれども、その研究状況はどのようになっているんでしょうか。
  39. 福井和夫

    政府参考人福井和夫君) お答え申し上げます。  御指摘のケミカルプロファイリングでございます。厚生労働省といたしましては、国連薬物犯罪局等と連携をいたしまして、私ども厚生労働科学研究事業でございますけれども平成十六年度から三か年の事業でございますが、薬物の分析鑑定法の開発に関する研究を行っております。具体的に申し上げますと、国立医薬品食品衛生研究所や地方厚生局の麻薬取締部の鑑定官が中心となりまして、東南アジア起源の覚せい剤につきましてこのプロファイリングの研究を進めているところでございます。  本研究につきましては、これまで得られました成果といたしましては、一つには、我が国に流入をいたしております合成麻薬のうち百種類程度を色あるいはサイズ等で分類をいたしまして、関係機関に周知をしたところでございます。また、覚せい剤を分析をいたしまして、その原料でございますエフェドリンの由来を推定する方法を確立したことが挙げられます。  我が国乱用されます薬物の大部分は密輸入されたものでございまして、この研究の重要性は高いという具合に認識をいたしております。引き続き、早期の本格的な実用化に向けまして、今後一層の研究の推進、その成果の周知を図ってまいりたいと考えております。
  40. 藤井基之

    藤井基之君 あともう一つ、国際関係の分野についてお伺いしたいと思います。  これらのケシの栽培をしているのは、やはり換金性が非常に高いからなんですね、一つの理由として。いわゆる非合法だと分かっていても、これが一番お金になる、農民にとっても、その地域の方、だからケシを作るんだと、こういうふうに言われている。とすると、ケシに代わって何か作物を作ってもらったときには、その作物は非常に高付加価値で、ケシに勝るとも劣らないようないわゆる価値がないと、これは代替できないんだろうと思うんですね。代替薬物を、今いろいろと日本国は、例えば農水省をベースにしたり厚生省をベースにしたりして、JICAプロジェクト等でいろいろなところでやっていただいておるわけですけど、その一つに、いわゆる麻薬においては有名なゴールデントライアングルという、黄金の三角地帯と言われておる、その中のミャンマーで例えば薬用植物の栽培を行っているというプロジェクトがあるというふうに聞いておりますけど、これについて少し紹介していただけますか。
  41. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 藤井議員御指摘の点につきましては、ミャンマーの北東部のコーカン特別区におきます麻薬撲滅の取組支援というものがございます。麻薬の代替としてのソバの栽培指導を行うプロジェクトとして、一九九七年からJICAを通じて専門家派遣あるいは機材供与といったようなものを行っております。このコーカン特別区におきましては二〇〇三年三月にケシ撲滅宣言が出されましたけれども、この背景にはこれら専門家の地道な努力があったというふうに考えております。我が国の支援によって生産されましたソバの一部は、我が国の業者により購入をされたりしておりますほか、ビスケットに加工され、世界食糧計画、WFPに買い上げられまして、緊急食糧支援事業を通じまして現地の小学校に配付がされておるところであります。  これらの支援に加えまして、二〇〇五年からは、ケシによります収入源を失いました同地区の人々のために、生活条件の向上、その他の代替作物も含めました営農技術の改善を通じた総合的な地域開発を目指すコーカン特別区麻薬対策・貧困削減プロジェクトを開始いたしまして、引き続き同地区への支援を行っているところであります。
  42. 藤井基之

  43. 福井和夫

    政府参考人福井和夫君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおりでございまして、主要な麻薬原料植物でございますケシの不正生産地とされておりますミャンマー等におきまして、その不正生産を行っております少数民族がケシに代わる作物を栽培をいたしまして生活ができるようにすることは、我が国への麻薬の不正輸出の防止の観点から重要な課題であるという具合に考えております。  このため、厚生労働省関係でございますけれども平成十五年度から、厚生労働科学研究として、国立医薬品食品研究所及び関係の大学におきまして麻薬植物の不法栽培地域での代替薬用植物の導入研究を行っております。現地の気候等に適し、かつ収入源となる経済性の高い作物として、御指摘の薬用植物や果樹等を栽培することが可能かどうか研究を進めているところでございます。これまでの研究によりまして、既に朝鮮ニンジンやカンゾウ等の薬用植物、それから茶、お茶でございますね、茶等が代替植物となる可能性があるとの結果が示されておるところでございまして、今後、本研究を一層推進するつもりでございます。
  44. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  今るる述べましたように、少し駆け足で申し訳なかったんですが、薬物問題というと、本当に取締りの方から国際協力から、そして国内における啓発までという、非常に幅広い総合的な対応がないと、この問題というのは解決になかなか至らないものなんです。日本国民のため、また世界乱用対策の充実強化を、一層の努力を関係各位に求めまして、私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  45. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で藤井基之君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  46. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、小川敏夫君の質疑を行います。小川敏夫君。
  47. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。  竹中大臣にお尋ねします。  大臣は、もう大臣を何年もやられ、一昨年には参議院議員にもなられまして、今では総理候補の一人とも言われる大政治家になっておられますこと、深く敬意を表しさしていただきます。  そこでお尋ねしますが、政治家竹中さんとして、我が国のこの経済社会をどのように改革していきたいのか、竹中さん、大臣、政治家としての政策をお聞かせいただきたいと思いますが。
  48. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 予想外の質問をいただきましたですけれども、私、構造改革というのは、現場を信じ、現場に任せることであるというふうに思っております。したがって、だから民間でできることは民間で、地方でできることは地方で、その中で現場の方々の創意工夫が生かされ、そして経済社会が豊かになっていく、それは人々の生きがいをもつくっていくということであろうというふうに思っております。  そうすることによって、そういった様々な創意工夫、皆さんの自主自立へ向けた前向きの活動を通して、やはり明るい社会がつくられていく、私はそういう経済社会を是非実現したいというふうに思っております。
  49. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 竹中大臣の政策というものをしっかりと拝聴いたしました。  次に、総務大臣として竹中大臣にお伺いいたしますが、政治資金規正法の所管大臣として、この政治資金の透明化あるいは適正化ということにつきましてどのような所感をお持ちでしょうか、お聞かせいただきたいと思いますが。
  50. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 政治活動を自由に活発に行っていくということは大変重要で、そのための財政的、資金的裏付けというのは重要だと思います。まあしかし、これ、この問題については、常に各会派、各党が一生懸命いろんな議論を重ねてその政治資金についての枠組みをこれまでつくってきたというふうに認識をしております。  総務大臣としては、その枠組みについてしっかりと周知、広報して、そしてその枠組みが守られていくように責任を果たしていくことが正に重要であると思っております。
  51. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 特に、政治資金の透明化ということが非常に私は重要であると思っております。今の大臣の答弁の中に透明化という言葉がありませんでしたが、やはり大事であるということは認識いただいているというふうに思っておりますが。  それで先般、先日櫻井委員から質問がありましたトリガー・ラボという中間法人の件でございますが、どうも私が判断するにおいて、結論から先に言わせていただきますと、政治資金規正法三条に言うところの政治団体に当たるんではないかと。私自身は当たると判断しておりますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  52. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) そういう政治団体ないし、に当たるのか、政治活動をしているのかという尋ねを向こうの理事にいたしましたが、政治活動は一切行っていないと、政治団体ではないと、そのように当事者は言っておりました。それ以外、判断する材料を私は特に持っておりません。
  53. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 竹中大臣は、大政治家とまあ表しさせていただきましたけど、まあ政治家でございます。そして、立派な政策もお持ちでございます。この政治家竹中さんのこの政策を後押しする活動をしているということ、これはやはりこの政治資金規正法第三条に言う「政治上の主義若しくは施策を推進し、」ということに当たるんではないでしょうか。
  54. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 前回も答弁させていただきましたけれども、まず事実関係として、そこの理事の跡田慶応大学教授に確認したところ、このシンクタンクは政治活動は一切行っていないというふうに言っております。そして、跡田教授いわく、このシンクタンクは、構造改革、私の考える構造改革の方向性に共鳴する学者等の民間人が設立し、構造改革に関する研究や地域再生のコンサルティング、ソーシャルベンチャーの育成などを幅広く行っているというふうに聞いております。私との接点では、跡田教授に頼まれて数回講演をした、講演というかシンポジウムに出たり講演したことがございますが、それ以上のことを私は承知する立場にはございません。
  55. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 今大臣が言われた一つの要件で、大臣ではない民間人がやっている団体だということでしたが、政治資金規正法三条は、民間人がやっていようとどうと、あるいは大臣と直接かかわらない第三者がやっているということは除外事由には当たらないわけでして、そこのところは全く理由にならないと思います。  それから、第三条は、政治活動をやっている、政治活動のみをやっている団体が政治団体ではなくて、ほかのことをやっていても政治活動をやっている部分があればやはり政治資金規正法上の政治団体に当たると、このように定義されておるわけです。  ですから、大臣が言っているように、大臣が直接関係しない民間人がやっていることだと、それからいろいろ研究活動をやっているということがあったとしても、しかし政治家竹中さんの政策を推進することを目的として活動していれば、やはりこの政治資金規正法上、三条に言う政治団体に当たると私は考えておるんですが、いかがでしょう。
  56. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 政治団体とは、正に政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること、特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体、又はこれらの活動を主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体でございます。したがいまして、民間の団体であっても私の政治活動を支援する、そのような活動を行っていればこれは、それを主たる目的にしていれば当然これは政治団体になろうかと思います。  要は、委員は先ほど、委員はそのように、これは政治団体というふうに判断しているというふうにおっしゃいましたけれども、その判断の材料が何なのかということだと思います。この中間法人が私の政治活動をどのように支援したのか、それを示していただかないと、これはそれ以上私はお答えできません。  私は、少なくとも私は私で政治活動しておりますけれども、私の政治活動をこの中間法人が助けたり担ったりしたことは一度もございません。
  57. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 今いろいろ述べられましたけど、政治資金規正法第三条の要件を述べられましたけど、その要件の中でどこが該当しないから政治団体に当たらないということなんですか。
  58. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) すべて該当しないからであります。
  59. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まず、「政治上の主義若しくは施策を推進し、」と、竹中大臣の、政治家竹中さんの政策を後押しする、後援するということはこれに当たらないんでしょうか。
  60. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、この団体、私が聞いている限りでは、私の考える政策の方向性に共鳴する民間人が設立して、構造改革に関する研究や地域再生のコンサルティング、ソーシャルベンチャーの育成などを幅広く行っております。これは私を支える政治活動ではございません。
  61. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私はかなり質問を絞って聞いているのに、大臣は幅広い何か抽象的な答弁をされてしっかりと答えてないようなんですが、政治家竹中さんの政策を後押しすると、それを目的にしていることはこの政治上の主義、施策を推進するということには当たらないんですか。
  62. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 後押しするといってもいろんな後押しの仕方があるのではないのでしょうか。例えば、私が環境政策を推進する、で、それは環境政策いいことだというふうに私の意見に共鳴をして、それで環境技術の開発をしている技術者というのはおられます。その方は、その方は共鳴をして一生懸命自らの仕事をしているわけで、それが政治活動ではないというふうに思っております。  重ねてお伺いしますが、先ほど小川委員は、先ほど私が、これが政治活動であるというふうに判断しているというふうにおっしゃったわけですけれども、それはどのような、ここが団体、団体が政治活動しているというふうな証左に基づいて言っておられるのでしょうか。その証左をやはり是非お示しをいただきたいと思います。
  63. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 このトリガー・ラボのホームページに、竹中平蔵国務大臣、すなわち政治家ですね、政治家竹中さんの進める構造改革を後押しすることを目的として以下の事業を行いますと書いてあるわけです。だから、それは、このトリガー・ラボが行っている事業は、政治家竹中さんのこの政策を、構造改革、政策を後押しすることを目的として事業を行っているんですよ。もう団体そのものが世間に一般に公表している、これは最大の根拠だと思いますが、どうですか。
  64. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、私が聞いている範囲では、政治活動は行っていない、私に対して共鳴をしているけれども、それでコンサルティングやソーシャルベンチャーなどの育成などを行っているということですから、これは政治活動ではないと私は認識をしております。  ホームページのお話が出ましたので、私も先ほどホームページを見てまいりましたが、櫻井議員と民主党に対してここは何か質問状を出したようでございますね。政治活動をしていないのに国会で政治活動をしたというふうに言われて大変迷惑をしていると、何の根拠に基づいてそういうことをおっしゃったのか、是非その根拠をお示しいただきたいという質問状も出しておられるようですので、これはやはり、そこはそこでお示しいただいた方がよろしいのではないかと思います。  私から言えることは、それは、私は、私の政治活動とは一切関係ありませんし、ここはシンクタンクであり、コンサルティングを行い、ソーシャルベンチャーの育成を行っているということで、政治活動は行っていないというふうに聞いております。
  65. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 大臣が聞いてる云々、聞いてる云々と言っているけどね、この団体そのものがホームページで世間一般に公表してるんですよ。竹中平蔵国務大臣の進める構造改革を後押しすることを目的として、以下の事業を行いますと。  それから、竹中塾というものをこの団体は開催しています。要するに、竹中大臣は全国比例区ですから、日本全国全部が選挙区です。その選挙区の範囲内の有権者を集めて竹中大臣の政策を述べておられる。これは、普通の政治家が有権者を集めて、そして自分の考えを訴えて、そして共鳴をいただく、支援をいただく、理解をいただく、この演説会と全く変わらないと思うんですが、いかがでしょうか。
  66. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 竹中塾というものはございます。でも、それは大学で行っている大学の特別授業でございます。行っていることは、別に私の政治信条を話しているわけではなくて、若者の、若者をエンカレッジするために、成功した経営者を連れてきてその経営についていろいろ議論をしたり伺ったりするとか、これは大学で行っている特別授業でございます。これは大学で特別授業、政治学の授業を行っている方は民主党にもいらっしゃいますですよね、選挙区で。これは、そこは政治活動と大学における講義というのはこれは厳に違います。中身も正にここは大学の授業として行っているものでございます。
  67. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 少し事実関係をすり替えていらっしゃるんじゃないでしょうか。大学で講義にただ竹中さんが出席したというものじゃないんで、この竹中塾、公開講座、大学で行っているというこのLECですね、きちんと書いてありますよ。竹中平蔵経済財政政策・郵政民営化担当大臣の構造改革を応援するシンクタンク、トリガー・ラボとこの大学とが公開講座を共同開催しますと。だからトリガー・ラボが開催しているんじゃないですか。共同開催、大学と共同してこの竹中塾を開催しているわけですね。
  68. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) そのとおり共同開催だと聞いております。
  69. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、大学の開催、だから違うと言ったのは、大学の開催じゃなく、トリガー・ラボだって共同開催ですから、主催者じゃないですか。  で、この公開講座では参加は無料とあります。これは参加無料ですね。
  70. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 大学としてオープンカレッジのような形でやっているんだと思います。
  71. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 竹中大臣そのものはこの公開講座に出席していろいろ講演する、この講演料はいただいてますか。
  72. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今まで三回ぐらいだったでしょうか、四回だったか、数回そういう催しが開かれておりまして、そこに出席をしております。全部出るときと一部出るときがございますけれども、ちょっと性急な御質問で正確ではございませんですけれども、たしか一回一万円ぐらいの講演料をいただいていたと思います。
  73. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 政治家が有権者を集めてお話を聞くと。仮に、竹中大臣は経済学者という側面もお持ちですが、竹中経済学者の講演を聞くとなれば、これは講演料が相当な金額になるでしょうし、またその講演を受ける人もこれは有料じゃなければいけないわけで、これが本来の姿だと思いますが。  しかし、竹中さんの選挙区の人を無料で集めて、そして竹中さんのお話を聞く会を催していると。正にそうした機会を主催しているこのトリガー・ラボは、竹中さんを支援する活動を実際に行っているじゃないですか。
  74. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 講演に関しましては、私は有料でさせていただくときも無料でさせていただくときも、それはケース・バイ・ケースいろいろでございます。この大学は、ないしはその中間法人は、これは若者を育成するソーシャルベンチャーの育成につながるものとして若者のためにやっているわけです。若者のためにやっているということで私もそこに参加をさせていただいております。私のためにやっている催しではございません。
  75. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 主催者のトリガー・ラボが政治家竹中さんのこの政策を後押しすることを目的として様々な事業を行っている。その一環として竹中塾を開いて、有権者を集めて竹中さんのお話をちゃんと聞いていると。学生のためにやっている。それは我々も、普通の政治家の方が演説会を開いたって言うでしょう、みんな、私は皆さんのために身を尽くして活動していますって。普通の演説会とどこが違うんですか、この公開講座は、竹中塾のこの講座は。
  76. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これはもう中身が違います。これは、私が政治家として演説するときは、郵政民営化に賛成だと、郵政民営化に反対している人もいるけれども、これは郵政民営化をしないと日本は駄目になるぞと、そういう私の主張を言うわけでございますけれども、この大学での特別講義としてやっている内容については、経済学の考え方について、需要と供給って皆さん若い人、十八歳の人分からないだろうけれども、これは大変重要なんですよという経済学の中身の、することもいれば、ベンチャーとして成功した人と一緒に、ベンチャーをどうして起こそうと思ったのかと、若いときにどういうことを勉強すればそういうベンチャリストになれるかと、そういうことを議論しているわけですから、これはもう中身は全く違います。  繰り返し言いますが、委員がこれが政治活動していると断定している理由は、その証拠は一体何なんでしょうか。私はずっと分からないんです。そのことについて、これは先方、民間も質問状が出ているようですから、そこをお示しいただいた上でないと、私はこれ以上のことはちょっと申し上げられません。事実としては私が真摯に御答弁を申し上げているとおりでございます。
  77. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 全くね、ただ単に当たらない当たらないと言い張っているだけで、もう既に示しているじゃないですか。団体そのものが、だって、トリガー・ラボそのものが言っておるわけですよ、もう既にこうやってホームページで。しかも、竹中塾を開いて、政治家竹中さんを呼んでその政策を聞いているわけですから、有権者を相手にですね。  この政治活動というのは、じゃ、この政治資金規正法で聞きますが、この政治活動というのは、こういうことをやったらこれが政治活動だと、これ以外のこういう活動は政治活動じゃないという定義があるんですか。
  78. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) それはまさしく実態判断であろうかと思います。私が申し上げているように、環境が重要だからといって、私の政策に共鳴して環境の技術開発をやって、これはどうか。個別事例で、多分これは、多くの方がこれは政治活動じゃないなというふうに思われるでしょう。しかし、環境が重要だということで、私の政策を支持するというふうにビラを配れば、これは環境を推進する上でも政治活動になるでしょう。そこは、だから具体的に判断をしなければいけない問題であるというふうに思います。
  79. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、これは政治活動だ、これは政策だというふうに言わないと政治活動にならないんですか。そうじゃないでしょう。政治家というのは、その人を、逆に言えば、知ってもらうことだけだって立派な政治活動なんですよ。それは、握手して回ることだって立派な政治活動だ。  様々な形があって、政治活動というのは、みんな創意工夫して、どういう形がいいか。いかにしてその政治家を有権者に知ってもらうか、いかにしてその政治家が持っているその人柄を知ってもらうか、理念を知ってもらうか、政策を知ってもらうかということを正に努めるのが、これが政治活動ですよ。何も法案に賛成だ反対だということを、この意見を述べるだけが政治活動じゃないんで、正に政治活動というのは様々な、本当に一つの定型のパターンなんかないんで、様々なあらゆる形があって、そのあらゆる形をみんなが創意工夫して、いかに自分を有効的に売り込むかということを頑張ってやっているわけで。  このトリガー・ラボは、いかに有効な活動方法かということで、正に竹中大臣の構造改革を後押しするということを目的として、正に竹中塾をやっておるわけですよ。これ、完全な政治活動だと思いますがね、どうして当たらないんですか。
  80. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いや、正に、ですから個別なんです。だから、個別で、私が聞いているのは、私のどの、私が行った、トリガー・ラボが私のために行ったどの活動のどこが政治活動かということをお示しくださいということを言っているんです。  私が申し上げているように、この授業というのは、大学の授業として、その通常の政治家としての演説とは違う中身をやっているんです。でないと、私が行ってしゃべったら何でもすべて政治活動になってしまうではありませんか。そうではなくて、個別に判断すると委員はおっしゃった、だからその個別について判断をこれはしなきゃいけないんです。それはもうそのとおりですよ。  だから、私は個別に判断をして、私はそういうことをしていないというふうに申し上げている。ホームページでは、先方も、そういうことはしていないというふうにホームページに書いているんですよ。だから、それについて、どこが個別に問題なのかということを明確にお示しいただけますかということを申し上げているわけでございます。
  81. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 もう書いてあることと同じことを議論して、事実があるわけですから、その事実について、今都合悪くなったから、知らない知らないと言ったって、それで通る話じゃないんで。まあ押し問答してもしようがない、これ客観的事実ですから。  それで、次にお尋ねしますが、この団体は寄附を受けておりますね。この寄附を受けるに当たって大臣は口利きをしたとかいうようなことはございませんか。
  82. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) その組織の財務が、資金調達、財務がどのようになっているか、私は全く存じ上げません。したがいまして、存じ上げませんし、私が介入したことは、もちろん一切ございません。
  83. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この竹中塾の初回のこの講義において、竹中大臣の秘書官の岸秘書官が、竹中大臣がおられるところで、実はこの竹中塾は竹中大臣の思いで始まったことだというふうに述べておるんですが、このことについてはどう思っていますか。
  84. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私も、大学での教育をずっと行ってきまして、そして若者にもっと元気を持ってほしいなと、若者をもっと元気付けたいなと、そのように思っておりました。だから、そういう大学で、大学という場所でそういうセミナーシリーズを持たないかと言われたときに正に、それは正に私の思いで、是非そういうことがやりたいという思いでこれが始まったわけでございます。  前回も御質問ありましたけれども、私から持ち掛けたということがあるかという御質問、たしか前回いただいたと思いますが、これは明快に、私から持ち掛けた話ではございません。先方から来て、これはいい話だと、私の思いにかなうということでお引き受けをしたわけでございます。
  85. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 しかし、竹中大臣の思いで始めようということになりましたと。持ち掛けられた話が竹中大臣の思いと一致していましたという話じゃないんでね。竹中大臣の思いで始めようということになったんですと、このように述べているわけですよ。竹中大臣が自分からその思いを伝えて、主導して始めたことじゃないんですか。
  86. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) そうではないということをもう三回、私は申し上げています。私から持ち掛けたものではございません。私の思いがなければ始まらなかったと思います。
  87. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 じゃ、その思いを主宰者に、大臣なり大臣の代わりの秘書官なりが伝えたからこのように実現したと、こういうことなんですか。
  88. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 具体的なやり取りは覚えておりませんが、当然のことながら、私の思いとも合致するからお引き受けをしようと、当然、お引き受けをするということを言って始まったわけでございます。
  89. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 質問には答えていないですね。要するに、竹中大臣の思いがどのようにして相手に伝わったのですかと、こう聞いているわけでね。そう伝えたことはないということですか。
  90. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 思いと一致するからお引き受けすると言ったわけです。お引き受けすると言わないと始まりませんですよ。
  91. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 先ほど大臣は、寄附の点について一切関与していないというふうに答弁いただきましたが、先日、私が質問しましたミサワホールディングスの創始者の三澤千代治さんですか、にお伺いしたところ、まだ竹中大臣が参議院選挙に出る少し前のころに、竹中研究所なるものを立ち上げたいから、是非その三澤さんあるいは三澤さんの知っている財界の方で基金を募ってくれないかという依頼を三澤さんにしたと、三澤さんはそういう依頼を受けたと言っておるんですが、そのような事実はございませんか。
  92. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 全く知りません、そんな話は。それはだれが、だれ、おっしゃっているのはその方だと思いますけれども、だれからその三澤さんという人に話が行ったんですか。私はそんな話、聞いたことありません。
  93. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 三澤千代治さん御本人は竹中さん御本人からそのように依頼されたと言っております。ミサワホールディングスの産業再生機構入りに関して、大臣はその三澤さんにトヨタ自動車の奥田さんに会いに行くようにと電話したことはありませんか。
  94. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これも国務大臣として責任を持って既に答弁をしております。ありません。  これは三澤さんという名前が出ましたからあれですけれども、私はその方と以前に会った面識はございますが、少なくとも金融担当大臣を拝命した、三年半前ぐらいですかね、拝命して以降、お目に掛かったことも、電話で話したことも一度もございません。
  95. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 大臣は一昨年、参議院選挙出た際、トヨタ自動車から応援の人を派遣してもらうと、あるいはその三澤さんからも選挙の支援を受けているということはありませんか。両方お答えください。
  96. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 企業からそのような支援をいただいたということはございません。私を個人的に会社を休んでボランティアで支えてくれた人は何人かおります。しかし、企業から派遣されたとか、そのような方はいらっしゃいません。
  97. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 それは要するにトヨタ自動車の社員が会社を休んで応援してくれたということですね。
  98. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ボランティアで当然休暇を取って、毎日じゃないですけれども、随所随所で応援して参加してくださった方は私の後輩でおられます。まあもう個人の名前は挙げませんですけれども、皆さんもよく御存じの方だと思います。  それで、ミサワについても、これは私の兄がおりますから私の兄が休暇を取って応援してくれたと、そのような事実はございますが、繰り返し言いますが、組織として応援をお願いしたり、組織として応援していただいたという事実は一切ございません。
  99. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 このトリガー・ラボの件は、客観的にホームページその他の資料がございますので、これ以上大臣に質問しても同じ答えが返ってくるかと思いますので次の点に行きますが、先般、この予算委員会でどなたかが質問の際に、住民税も払わないで大臣をしているというような趣旨の発言をしたところ、別に指名されてもいないのに何か竹中大臣がぱっと手を挙げたようなことがございましたが、何か竹中大臣はその住民税のことで何か言いたいことがあるんですか、それは。
  100. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いや、もう私はそのこと言いたくて仕方なかったものですから、そういう機会を与えていただきまして小川委員に感謝を申し上げます。  私が住民税の支払を逃れるために住民票を異動していたのではないかと、広く言えば税をごまかしていたのではないかというような雑誌記事が四年半ぐらい前でしょうか、掲載されたと承知をしております。それに関連する質問も国会でいただいたと承知をしております。  事実関係を申し上げますと、当時、私は一年のうちの大半を海外の研究機関に所属し、そこで研究して現地で生活をしておりました。家も、アメリカのニューヨークの郊外に家も所有しておりまして、家族も一緒に、猫も一緒に在住をしておりました。その上で、年間で合計四か月程度日本での集中講義のために東京に出張するという生活パターンでございました。このため、生活実態は海外にございました。このため、事実に反する記事を載せ、私の名誉を傷付けたという立場で名誉毀損の裁判を起こしておりましたが、一審で勝訴いたしました。二審でも勝訴いたしました。その後、被告は最高裁に上告をいたしましたが、過日、上告は棄却され、私の勝訴が確定したところでございます。すなわち、出版社が掲げたそのような話は事実に反すると、そういう事実に反する記事を載せ、私の名誉を毀損したということが司法の場で確定したものでございます。  この判決に示されておりますように、住民税逃れ等々、そのような事実は全くございませんので、申し上げておきたいと思います。
  101. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この議事録を読ましていただきまして、私なりに疑問を感じた部分があるんですが、九四年、九五年、九六年にアメリカから日本にこの住民票を移した際に、いずれも藤沢市に住民票を移しておりますね。これはすべて同じところですか。
  102. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 同じところではございません。数か所途中で変わっていると思います。日本で集中講義をするために、その間、短期にワンルームマンションを借りておりましたけれども、それが同じ場所ではなかったと記憶をしております。
  103. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この藤沢市のことだけに限定しているんですが、その前に港区のことなどは聞いておりませんが、この住民票を移した藤沢市、この三か所について聞いているんですが。
  104. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと三か所、三か所といいますか、三年という意味でおっしゃっているんですかね、三回移しているという意味ですかね。途中でたしか変わったと思います。
  105. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 大臣は、日本で住民税は払っていないけれどもアメリカでローカルタックスは納めているということでしたが、このローカルタックスの中身が、つまりどういう趣旨の税なのか分からないものですから、教えていただけますか。
  106. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 司法の場で既に確定したことでございますけれども、あえて御質問でございますから。ちょっと正確にはもう記憶をしておりませんけれども。  基本的には、アメリカのローカルタックスは大変高いです。日本で居住して同じ所得であれば、住民税を払うよりもアメリカでローカルタックスを払う方がかなり高いです。アメリカの、今も、変化しておりますけれども、当時のローカルタックスの大半は固定資産税です。プロパティータックスでございます。このプロパティータックスの実効税率は、当時、日本の実効税率でいうと多分十倍ぐらいあったと思いますけれども、それを中心に、ローカルで求められる、地元のタウンで求められるタックスはすべて払っておりました。
  107. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 米国で持っている不動産の固定資産税は当然だと思いますがね。  私が聞きたいのは、日本で収入を上げた所得があります。これについて、住民税は払っていないと。では、アメリカにおいて、この日本での所得についての税は払っておるんでしょうか。
  108. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっとよく記憶をしておりませんが、タックスコンサルタントもおりましたので、求められる税はすべて払っていたと記憶をしております。  ただ、その中心は、大宗は固定資産税、これはもうよく御承知のように、税体系が日本アメリカでは違います。日本ではその所得に掛かる部分がかなりありますが、アメリカではその大宗が応益負担ということでプロパティーに掛かります。したがって、その所得の割合に対するものがどうであったのかということは、ちょっと今正確には記憶をしておりません。  いずれにしても、コンサルタントの勧めもあって、彼らがちゃんとアレンジをしてくれて、必要なタックスはすべて現地でお払いをしております。
  109. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 つまり日本での所得についての住民税に相当する部分は払ったかどうかということについての答弁はなかったんですが、ただ、この所得税は、大臣のこれまでの説明ですと日本で払っておると。ですから、日本での所得に関しては日本で払っているから、アメリカでは納めてないと。所得税は納めてないと思うんです。  同じように、この日本の所得に関して、アメリカでその住民税に相当する部分、これはアメリカでも払っていないんじゃないですか。
  110. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) もう十年前、十年以上前のことでありますので、ちょっと細目は先ほど言いましたように覚えておりません。  ただ、これは税の体系が違います。所得に対してある程度掛かる日本のローカルタックスと、主としてプロパティーに掛かるローカルタックス、この体系の違いは当然のことながらございます。  ただ、いずれにしても、私は現地に居住し、居住の実態は現地にあり、家族もいて、家も持っていて、そこで求められるローカルタックスはすべて払っております。そういうものについて認定が行われたので、私は一審でも二審でも勝訴したのだというふうに認識をしております。
  111. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 要するに、私は、まあ脱税という言葉は使いません。しかし、日本で所得を上げた、その所得について所得税は納めたけれども、しかしこの住民票異動という事実によって日本で住民税を納めていないと。で、この日本で上げた所得に対するこの住民税に相当する部分、これは脱税という言葉は使わないけれども、ただ事実としてアメリカでもその分については納めていないんじゃないですかと、こう聞いているわけで、納めてないと思うんですよ。
  112. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これ本当にちゃんともう裁判で決着しているんですよ、これ。それで、その裁判で私は、納めるべきものをちゃんと納めていると。そして、向こうで実態が、向こうで居住の実態があった。居住の実態のないところに何で住民税を払うんですか。それはないですよね。居住しているところで払うわけです。で、そこで、居住しているところのルールにのっとって払うわけです。で、そのとおり私はやってまいりました。  ちょっとそれ以外のことは、私はルールに基づいてしっかりと納税をしておりますので、ちょっとそれ以外のことはよく分かりません。税体系が違うから、そういう、何か問題かというふうなことをちょっと言っておられるのか、私が払うべきものを払ってないとおっしゃっているのか。まあ脱税ではないとおっしゃっているから、ちゃんと払っているということは認めてくださっているんだと思いますが。そこは繰り返し言いますが、向こうのルールに、向こうに居住しているんですから、向こうに居住して、それで住民サービスを受けるんですから、それで応益負担をしなければいけない。これはローカルタックスを払わなければいけない。そのローカルタックスはすべてきちっとお支払をしております。
  113. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 アメリカでは、アメリカでの生活で住民票を移すという必要はないんですよ。まあ、特別その住民票を、なくては生活できないという事情はないと思います。  ただ、私が疑問に思うのは、所得税に関してはアメリカで納税するという道を取らないで、四か月間しかいなかった日本で納税するという道を選んでいるわけです。しかし、住民税に関しては、今言ったように、この住民票移転の制度というものを結果的に享受して支払っていないと、この事実はあるんではないかと。ですから、脱税とは言わないけど、やはりこの制度をうまく活用されているんじゃないかと私は印象を持っているんですが。
  114. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私はいろんな所得源が当時あったと思いますが、主たる、主たる所得源は日本でありました。だから、主たる所得源である日本でその所得を納税させていただきました。そして、居住地であるアメリカではそこでのローカルサービスを受けましたから、そのローカルタックスを支払わせていただきました。  これ、結果的に見ると、当時の限界税率ですよ、日本アメリカだったら日本の方が高いんですよ、所得税率。私は高い方で所得税率を払っているんです、所得税を払っている。そして、ローカルタックスはアメリカの方が高いんですよ。高い方で地方税を私は払っているんです。だから、これ両方とも、どっちかだったらもうちょっと安くなっているわけですけれども、私は、高い方だけれどもあえて所得が発生している日本では所得税を払う、そして便益を受けているアメリカではローカルタックスを払う、きちっとした対応をしたつもりでございます。
  115. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 多少比較に無理がありますよね、ローカルタックス。だけど、日本の所得についての住民税に相当する部分は恐らく払っていらっしゃらない。アメリカの方が高いと言うけど、その大宗はアメリカで不動産を持っている固定資産税のことを言っているわけですね。ですから、それを比較するのは余りにもおかしいですね。牽強付会な議論だと思いますがね。  官房長官、時間もなくなってしまいましたが、せっかくお呼びして質問もしないのは大変申し訳ないんで、最後、質問させていただきますけれども、靖国参拝の点について先般この予算委員会で聞かれて、官房長官総理大臣になられた場合には靖国参拝すると答弁しましたが、これは、いわゆる総理大臣として参拝するということですか。それとも、一私人として参拝するということでしょうか。
  116. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) まだ私は総理になるかどうかというのは、全くこれは極めて不確実な話でございまして、官房長官に就任をいたしましたときに、官房長官としてどうするかと、こう言われたものでございますから、私は、国のために戦った方々の御冥福をお祈りをし、そして尊崇の念を表したいと、この気持ちは持ち続けていきたいと、このように述べているわけでありまして、この気持ちに今も変わりはないということでございます。
  117. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 いやいや、先般、総理大臣になった後も靖国参拝すると答弁されたので、ただそこが、総理大臣として公式参拝なのか、一私人として参拝するのか、そこの明確な区別がなかったので、それについて質問したんです。
  118. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先般も今と同じ答弁をさせていただいております。  私は、総理になって靖国参拝をするということを申し上げたことは一回もございません。私は、今申し上げましたような気持ちを持ち続けていきたいと、このように申し上げたわけであります。
  119. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 先日の私の質問で、戦前の日本は軍国主義と言えるという答弁をいただきました。この戦後の民主社会において、戦前の軍国主義はやはり否定されるべきものだというふうにはお考えでしょうか。
  120. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先般も、軍国主義の定義は何かということなんだろうと、こう思います。  そこで、先般、急な御質問ではあったわけでありますが、そのときに私が考えたことは、恐らく現役の軍人が総理を務めているという状況を軍国主義と言えるかもしれないと。ということであれば、戦前の日本は一時そういう時期があったと、このように申し上げたわけであって、当然、今の憲法においてはシビリアンが、総理、また防衛庁長官も含め内閣を構成するわけでありますし、そういう時代に戻ることはないと、このように私は思っておるところであります。また、戻してはならないと、このように思っております。
  121. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この戦前の軍国主義と靖国神社とは関係があるようにお考えですか。
  122. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 靖国神社は元々招魂社と言われまして、御維新後にできたわけであります。私たまたま長州の出身でありますが、明治維新の際に倒れた方々、これは安政の大獄により処刑された方々も、吉田松陰先生も含めて、これは含まれているわけでありまして、我々長州人は当時から足しげく靖国神社にお参りをしているというふうに承知をしております。
  123. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 いや、ですから、そうすると、戦前のいわゆる軍国主義と関係があるとお思いなのかどうか、そこの関連性についてはどうですか。
  124. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 御質問の趣旨は私も必ずしも理解をしているかどうか分からないわけでありますが、つまり招魂社としてこれは靖国神社の歴史がスタートし今日に至っているわけでございまして、そういう中において、国のために戦って倒れた方々をお祭りをするということで、これは靖国神社は今日まで続いてきていると、このように思っております。そして、ほとんど多くの御遺族の方々がこの靖国神社にお参りをしているということではないかと、こう思っております。
  125. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この戦没者あるいは戦争による死者の追悼の念をささげるために、国が非宗教の追悼施設を新たに造るというお考えについては、官房長官、どうお考えですか。
  126. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま委員が御質問になられたのは新たな追悼施設を造るということでありますが、それは、仮に造るのであれば、広く国民に受け入れられ、何人もわだかまりなく戦没者に追悼の誠をささげる、平和の祈念をできることができるものとする必要があると、このように考えているわけでありますが、まだ現在の段階では国民世論がそのようになっているというふうには私は考えておりません。
  127. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 短い議論で、本当はじっくり議論したかったんですが、短い議論だったもので余り、単発的な質問しかできませんでしたが、私は靖国神社、戦争で亡くなられた方しか祭っていないわけで、例えば東京大空襲で十万人も戦争で命を落とした人が靖国神社には祭られていないわけで、ですから、靖国神社だけで不戦の誓いをするというのは、まだ少し不十分じゃないかという意味で、私はいろんな形でそうした靖国神社に代わるものを、不戦の誓いをする施設を造っていただきたいというふうに思っておるわけですが、どうでしょう。靖国神社は兵士だけを祭っていると、東京大空襲などで死んだ何十万人の、この戦争で死亡した人たちに対する追悼の念はどこで表したらよろしいんでしょうか。官房長官、どこで、どうお考えですか。
  128. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ちなみに、靖国神社の境内の中には鎮霊社というのがございまして、これは人類の歴史始まって以来、戦争によって亡くなられた方々すべての霊をお祭りをしているところがございますので、もし小川委員、御興味があられたらお参りされたらいいんではないかというふうに思うわけでございますが。  では、どうして靖国神社にさきの大戦で亡くなられた御遺族の方々はお参りをするんだろうかということにも思いをはせていただきたいと、このように思うわけであります。それぞれ、我々の場合は、みんなこの代々のお墓等があって、普通はそこに行って弔いをし、御冥福を祈るわけでありますが、それがあるのにも、なおかつ神社にお参りをするというのは、そこに行くと、行くと、もしかしたら自分の息子や、あるいは夫や父親に会えるかもしれない、魂が触れ合うかもしれないという気持ちでそこに参るのであって、そうでなければ、これ人工的に造られたところにはだれも行ったとしても魂の安らぎを受けることはできないんではないかと、このように思うわけでございます。  そういう意味におきまして、ただ国が、国のただ理念の下に造ったとしてもだれも行かないようなものになってしまっては私は意味がないのではないだろうかと、このように思うわけであります。
  129. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この問題はまた改めてゆっくり議論したいと思います。  では、私の質問を終わります。
  130. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。小林正夫君。
  131. 小林正夫

    小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。  今日はまず、少子化対策についてお聞きをしたいと思います。  三月十三日の予算委員会で、過去十年間の少子化対策として使ってきた金額について猪口大臣にお聞きをしました。しかし、回答がいただけませんでしたので、小野予算委員長の方に資料請求をいたしました。その結果、過日、このエンゼルプラン以降の関係予算の推移という形で内閣府から資料の提供がありました。今日お手元に皆さんにお配りした資料でございます。  まず、確認させていただきたいんですが、これ平成七年度から平成十六年度の十年間について、保育関係費、児童手当、児童扶養手当、奨学金事業の総額が七兆四千七百八十二億円、こういう数字になると思います。それ以外は調べられなかったという報告を私受けました。ただ、このグラフで見ると、十七年度、十八年度で表されているその他の部分、各年度こういうその他の部分のお金も使われて、あるいは予算計上されていると思うんですが、経験則からいって、この十年間、このその他のお金を積み上げていくとどのぐらいの予算規模になるか、お聞きをいたします。
  132. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 前回の小林先生からの御質問あるいは御指摘を私として踏まえて対応することといたしました。で、この先生が今日提出してくださいました資料を作成することができましたので、これは先生とのやり取りの中で私としても、実にその十年さかのぼって、かつ、現在やっている応援プランの枠組みを仮に適用した場合にどのような予算額であったかと推計できるかということをやってみたということですので、それは是非努力はしたということをお認めいただければ有り難いと思います。  先生よく御存じのとおり、十年間につきましては、これは保育関係事業を中心にエンゼルプランと新エンゼルプラン組んでいたわけですね。ですから、私たちがやりました作業というのは、その保育関係事業にとどまらず、応援プランに基づいてそれを考えてみたときに、特に予算規模の大きい、今先生がおっしゃいました奨学金事業、児童手当、それから児童扶養手当、これについて推測してみるとこういう金額ということで、合計いたしましたところが七兆五千億円でございます。  そして、その他の部分につきましては、これは応援プランの下で様々な予算項目を立てております。また、そのような予算項目について、仮に例えば十年前そのような事業があったとするならばそれがどのくらいかというようなことがその他の中に入っていると考えられますけれども、そのことはなかなか過去にさかのぼって積み上げることは困難でありました。そのことは御理解いただければ私としては有り難いと思います。  仮に今の応援プランの枠組みでその十年前からの別のプランに基づいてやっている時期につきまして積み上げた場合にはこうなるということを提出いたしたわけでございます。
  133. 小林正夫

    小林正夫君 七兆四千七百八十二億円プラスアルファと、このように解釈をしますけれども、この資料は、予算の推移という資料をいただきました。これは使ったお金と置き換えて理解してよろしいかどうか。
  134. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) そのグラフは当初予算をベースにしたものでございますが、おおむね実際に使った金額と理解していただいて結構でございます。
  135. 小林正夫

    小林正夫君 そうしますと、この十年間で使ってきたお金がおおよそ分かりました。少なくとも少子化対策でこの七兆四千七百八十二億円を使ってきたということになります。  この額について、大臣としての受け止めと感想がありましたらお聞きをしたいと思います。
  136. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) エンゼルプランと新エンゼルプランにおきましては、もう先生もよく御存じなんですけれども、やはり保育関係事業を中心に組んできたということでございます。そして、それにつきましては、大半の事業におきましてその計画目標を達成しております。保育サービスの充実及び子育ての負担の軽減につきまして一定の効果があったと私は考えております。  また、財政事情も厳しい中、児童手当等の所要の予算も確保できてきたわけでございます。にもかかわらず、少子化の流れをなかなか変えることができなかったということは事実でございます。  そういうふうに私も受け止めておりまして、ではどういう観点からより幅広く検討しなければならないかということを政府挙げて考え、また応援プランにおきまして対応しているところでございます。万能薬、即効薬はないと総理もおっしゃっておられるわけでありまして、総合的に、かつきめ細かく一層推進していきたいと考えております。
  137. 小林正夫

    小林正夫君 今、大臣自らお話しのとおり、これだけのお金を使ってきたけれども少子化の流れは変えられなかったと。  過日、十三日の日に、政策に誤りがあったのではないですかと私、質問をしましたら、大臣の方は、社会政策の分野において実施した政策が不十分であったということは部分的にあるかもしれないと、このように答弁されました。  この不十分であった政策、具体的にどういう政策が不十分だったと思っていますか。
  138. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 働く女性のための施策が保育関係事業の中心を占めていました。そのときも私、答弁申し上げましたけれども、それは絶対に必要な保育支援であります。さらに、待機児童ゼロ作戦を小泉政権の下で推進し、そのニーズは増えているということでございまして、そういう部分についてまずは対応するというのは、政府として当然であったと思うわけですね。  不十分であったということは、様々な調査あるいは国民世論を見ながら、また時代の変化なども見ながら分かってきたことでございますが、例えば、いわゆる専業主婦の方も子育てについての支援を必要としているであろうと。ですから、地域におけます子育ての、働いているいないにかかわらず活用できる子育て支援の拠点などが必要であろうと、そういうことも応援プランの中でやっております。  また、実際には保育園などが拡充できました。しかし、職場におけます働き方の見直しが男性の長時間労働も含めてなかなか改善できていなかったという反省がございまして、この応援プランにおきましては、猛烈にこの両立支援といいますか、家庭と仕事を両立させていくことができる社会をつくるという観点から施策を推進しております。  例えば、育児休業制度、あっても取りにくい環境があるとか、日本の場合、男性の育児休業取得率が極端に低い。また、女性の場合七割の方が第一子の出産とともに職場を退職して、なかなか正規雇用の中で戻ることができないなど、女性から見ますと仕事か家庭かの二者択一を迫られる状況があると、こういうことを分析して、応援プランの中で既に精力的に推進してきているわけですね。  あともう一つは、やはり若い方々の就労支援が重要であろうと。若い方々に対する社会的な自立の支援、これも重点化してやっているところでございます。
  139. 小林正夫

    小林正夫君 大臣の今までのお話をちょっと整理する意味で、そのことを平成十八年度の予算にはどのように反映をされたんでしょうか。
  140. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 例えば、育児休業制度があっても女性が辞めると。妊娠とともにあるいは出産で辞めるという場合に、なぜかということをいろいろ調べていきますと、中小企業などにおいては育児休業制度を活用したそもそも先輩女性が一人もいないと。ですから、自分の場合も無理だろうなと、認めてもらえないんじゃないかと思い込んで辞めていく方が例えばいるということが分かりました。  きめ細かい話で申し訳ないんですけれども、例えば十八年度予算で、中小企業の事業主に対しまして、初めて育児休業を取得した従業員が出た場合は百万円、そして二人まで出た場合には六十万円ですかね、を支給すると。これは五年間の時限措置なんですけれども、こういう形を取りまして、とにかく一人目、二人目が出ることによって、女性たちが、あっ、そういう可能性がこの自分の中小企業においてあるのだと思って申請し、また実現していくことができるだろうというような予算例えば組んでございます。  また、先ほど申し上げましたとおり、七割の女性が実際に家庭に入ったわけですから、その方たちの経験や知識を再び社会に生かしてほしいと思います。ですから、マザーズハローワークのような、女性の再チャレンジ支援と呼んでおりますけれども社会にどうぞカムバックしてその能力を生かしてくださいというような施策を展開しております。  また、引き続き保育園の拡充必要ですので、保育サービスの確保のための予算は前年度に対して増額させていただいております。  また、経済的支援といたしまして、児童手当の対象拡充、また出産育児一時金の引上げ、財政の厳しい中でございますけれども、そういうことをすることとしております。  また、まあいろいろございます。例えば、子供の安全についての不安があって仕事を辞める母親もいるわけですね。そういう場合には、子供の待機スペースを学校の中に設けまして、高学年の子供と時間を合わせて下校できるようにとか、きめ細かい予算を組んでございます。
  141. 小林正夫

    小林正夫君 最後に、もう一点質問いたします。  猪口大臣、小泉総理もそうですけれども少子化の流れを変えられなかった、このようによくおっしゃいます。ならば、少子化の流れを変えられた、こういうことを目指しているんだと思うんですが、この少子化の流れを変えられたという場合はどういう状況を見て変えられたということになるのか、私はここが少子化対策の頑張りどころじゃないかと思うんですが、その頑張りどころかどうかも含めて猪口大臣にお聞きをします。
  142. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 私が考えましたことを申し述べます。  若者が安心して子供を産み育て、子育て世帯を社会全体で支援する環境や子育ての喜びを感じながら働き続けることができる環境が整備されることにより、急速な出生率の低下傾向が緩和し、可能であれば反転していく状態であると考えます。
  143. 小林正夫

    小林正夫君 済みません、そこが少子化対策の頑張りどころ、このように受け止めていいですか。
  144. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 今お答え申し上げましたとおり、子育て世帯を社会全体で支援する体制などが整い、先ほど申し上げましたような両立支援などが整うことによって、急速な出生率の低下傾向が緩和し、可能であればそれが反転するというところで、頑張りどころといいましても、結果というよりも、子育てを喜びながら仕事を続けたい、あるいは自分としては子育てだけに専念したい、いろいろな生き方が人にはありますが、それぞれの選択が充実した支援を受けられるようになることによって、自由な選択の幅が広がっていく、つまり、仕事か家庭かどちらかを選ばざるを得ないような状態に追い込まれることのない社会をつくるところ、そのところが大事であると認識しております。
  145. 小林正夫

    小林正夫君 次の質問に行きます。  EUにおける新化学品規制案の取組について質問をいたします。  現在、EUでは、二〇〇三年に欧州委員会が提起した新たな化学品の規制システムについて検討が進んでいると聞いております。規制がどのような内容になるか、あるいは運用次第では貿易の制限的な措置にもなる可能性があると思っています。貿易立国の日本にとって、中小企業や化学、自動車、家電業界、こういうところに与える影響は大変大きいものじゃないかと思っております。その意味で、検討の進捗状況を把握するとともに、機を逸しないで日本としての考えをEUの各国やEU議会に伝えていくことが大変大事だというふうに思います。  そこで、外務大臣にお聞きをしますけど、EUが規制に取り組む背景、どのような背景からEUはこのような規制の検討をしているのか、それとEUに対して日本はどのような働き掛けを今までしてきたのか、また現在もしているのか、この点についてお聞きをします。
  146. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、小林先生御指摘のありましたように、いわゆる既存の化学物質、今あります、新しく出てくるんじゃなくて既存の化学物質の安全性評価というのを行うために、通称REACHと言われております、レジストレーション・エバリュエーション・アンド・オーソライゼーション・オブ・ケミカルズという例の長いやつ、通称REACHと呼んでおります。この新たな化学品の規制をするというのは、目下策定中であることは間違いございません。  それで、背景は、今申し上げましたように、今市場に既に流通しております数多くの既存の化学物質に関する安全性の評価というものを再評価すべきだというのがその背景だと思います。  日本としては、これは基本的には、人間の健康とか環境とかいうものを考えますと、そういったものに安全性の評価がきちんとできるのは非常に大切、大事なことだということはよく理解をしておりますが、三つの点で問題の点を考えております。  一点目は、これは日本にとりまして、日本の企業の事業者とか、またいわゆるそういったものを使っている人たちに対して過剰な義務とか負担にならないか。二点目は、いわゆる必要以上な貿易制限になりはせぬかというのが二つ目三つ目が、いわゆるOECDの、EUとは別にOECDがございますので、OECDなどの国の国際的な取決めというのがあっておりますから、そういったものとの整合性が確保できるかという三点においてこれは少々問題がありはしませんかという点が私どもの懸念をしておるところであります。  したがって、欧州委員会から出されましたパブリックコメントが出されておりますんで、それに対しましては意見表明を行っております、我々は今申し上げたような点につきまして。そして、その他、日本・EU規制改革対話とか、いわゆるバイの会議とか、それからマルチのWTOなんかの会議、多国間協議の場なんで、いわゆるいろんな機会をつかまえまして日本の懸念というものを率直に伝えてきております。  その結果、現在の欧州議会の修正規則案、いわゆる修正できる、また、関係理事会の修正規則案というものでは、日本の懸念の多くという、今申し上げたように、三つ申し上げました、その他いろいろあったんですが、そういった多くの規制が解消されつつあるとは思っておりますが、まだまだ問題点があると思っておりますので、私どもとしては引き続きこの働き掛けを継続してまいりたいと考えております。
  147. 小林正夫

    小林正夫君 経済産業大臣にお伺いします。  昨年の十二月に、競争力閣僚臨時理事会、こういうものが欧州の委員会で開かれたと聞いております。その内容と、その受け止めについてどのように受け止められているのか、お聞きをしたいと思います。
  148. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 欧州におきましては二〇〇八年の導入を目指して新しい化学規制案が検討されているということは承知をいたしております。我が国としては、新規制の理念である人の健康や環境の保護という趣旨には当然賛同をいたしております。  また一方、運用次第では、議員御指摘のとおり、貿易制限的な措置になるのではないかとの懸念、これは私どもも率直に申し上げてそういう懸念を抱いております。  そこで、我が国としては欧州各国等に働き掛けをしてまいりました。どういうことをしてきたかということを申し上げますと、具体的には、同じ化学のいわゆる化学物質でも事業者ごとに重複登録をしなければならないとなっておりました。また、家電製品などの製品中の化学物質のうち規制の対象となるものの種類が不明確であること、こういうことにつきまして改善を求めてまいりました。この結果、昨年十二月の競争力閣僚理事会におきまして、これらの点が改善され、合意に盛り込まれたのであります。これにより、我が国の懸念の多くが払拭されたものと理解をしております。
  149. 小林正夫

    小林正夫君 日本からEUへ化学関連製品の輸出、この実績についてお聞きをします。
  150. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) お答え申し上げます。  最新のデータとして、二〇〇四年度の貿易統計のデータで申し上げます。  プラスチック原料となる樹脂、医薬品原料、カラートナー用の化合物、そういうものの化学品につきましては、輸出額は九十二・六億ドル、約五千物質ございます。それから、自動車、家電製品などの工業製品の形で輸出されるものにつきましては、化学品の分を除きまして、四百九十七・一億ドル、五千四百品目でございます。
  151. 小林正夫

    小林正夫君 大変大きな輸出をしていると、こういうふうに受け止めていいんじゃないかと思います。  そこで、EUの検討も大詰めに来ているのではないか、私このように感じておりますけれども、現在のEUで検討している案が実行に移される、こういう過程において幾つか質問をさしていただきたいと思います。  まずその一つは、現時点で国内で影響を受ける事業者の範囲と規模について教えていただきたいと思います。
  152. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) このEUの規制の影響でございます企業の範囲でございます、影響を受ける企業の範囲でございますけれども、まず、原材料として使用する化学品を欧州に輸出している企業、これはすべて対象になるわけでございます。例えば、透明な板として用いられますアクリル板というのがございますが、その原料となるアクリル酸を輸出する、そういうような原料を輸出する企業はすべて対象になります。それから、家電製品のような工業製品であっても、例えばプリンターのインクカートリッジ、これは印刷の際に内部のインクがあらかじめ外に出ていくということが初めから想定されているものでございますので、そういうものは対象となります。こういう化学品あるいは工業製品、そういうものを輸出する場合には、その含有する化学物質の安全性評価を行って、その結果をその欧州の当局に登録するという形になります。したがって、そういう範囲の企業が影響といいますか、対象になるというものと理解をしております。
  153. 小林正夫

    小林正夫君 大変日本の産業にとっては多くの産業が影響を受けるなと、このように受け止めました。  そこで、次の質問ですけれども、今回の規制案では、成形品に含有されている化学物質についても暴露シナリオを踏まえたリスクにかかわる情報を求められると、このようになると思います。これに関連して、今後、エレクトロニクス、自動車などの組立て型製品を作っている一連の産業、部品を作ってまたそれに付加していろんな部品を作っていくわけですけれども、そういう一連の産業から化学物質関連情報への要請が急増するもの、このように考えられます。これに対応するためには含有化学物質伝達システムの円滑化のための制度導入を図る必要があるのではないかと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。
  154. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) お答えを申し上げます。  今委員の御指摘のとおり、そういうシステムが必要だというふうに私ども考えております。  今回の欧州の規制もあるわけでございますけれども、そういう、何といいますか、健康に影響するようなそういう物質の含有量、含有情報ですね、何といいますか、製品の川上から川中、川下へ順次受け渡していくということが非常に重要でございます。ただ、その際、化学物質に関する情報を受け渡すときに、その情報は信頼度が高くなくてはいけないと、信頼性を確保するということが第一に非常に重要であります。  それから、それと併せて、その情報提供を川上から川中、川下とやっていくわけですけれども、その中でその材料メーカーが営業秘密に該当するような、そういう情報がある場合があります。そういうノウハウに関するものとか、そういうものがある場合があります。そういうものについては受け取った側はきちっと管理をして、それを流出させるというようなことがないようにする必要があるというふうに考えております。  したがいまして、私ども経済産業省の中ではそういうその情報の受渡しをきちっと効率的に、なおかつその企業のその営業秘密だとかそういうものが漏れないように、そういうことをするための指針を策定をするということで現在検討しているところでございます。
  155. 小林正夫

    小林正夫君 次の質問ですけども、化学物質の管理についてEUでは今言ったような検討が進められている。また、中国においては電子情報製品における特定物質の含有規制の導入も検討されています。このように、世界的に見ても複数の全く異なる管理する枠組みだとか計画、こういうことになると事業者が対応できなくなるのではないかと心配します。その意味で、一元的管理を目指す必要があるのではないか、そのことに関連して国連などのほかの国際機関による化学物質管理計画との整合、調整を促進する外交的な働き掛けをしていく必要があると思いますけど、外務大臣、この点についていかがでしょうか。
  156. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今のその何、いろんなところに対する働き掛けの問題、これは今アメリカとかカナダというのはこのEUとはまた違う立場にいますものですから、私どもはこのアメリカとかカナダを含めて今いろいろやらしていただいているんですが、正直申し上げて、物すごく技術、技術というか科学技術が進歩して、こう何とかと何とかの組合せによって全然別のものができちゃったりなんかするような時代なものですから、正直申し上げて、これどこまでやるんですかというのは、技術的な面といって、正直言って、甚だ難しいものがあるというのはある程度、私らの頭ではとても付いていける話じゃありませんので、そういった意味で、今いろんな形で残留性の有機汚染物質と言われるようなものにつきまして化学物質の管理に関する国際約束が策定をされております。  今年の二月に、化学物質対策全般における国際的なイニシアチブというものとして、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ、通称SAICMと称するものが採択をされておるというところまで分かっておりますので、私どもとしては先ほど申し上げたREACHとか、こういったものはもちろんのこととして、国際的な取組としてこれ整合性の確保をしてもらわないと、とにかく安全だけと言った途端にこんなものまで全部関連しているのかといってぱたっと止まったりなんかすることは極めてほかの面に与える影響も大きいと思いますので、危険の度合いといわゆるこちら側の生活に直撃する部分と度合いをある程度考えて話をしてもらわないと整合性としては極めて危なっかしいことになると思いますので、それこそあらゆる機会を通じていろいろEU側に申し込んでおるところですが、先ほど経済産業大臣からの御答弁にもありましたように、それなりに修正案とか何、修正規則みたいな形で成果としては現れてきているのではないかという感じが率直な、今のところで、段階で、まだこれEU、本物出てくるまで少々まだ時間が掛かろうと思いますので、更に努力をしていかねばならぬところだと思っております。
  157. 小林正夫

    小林正夫君 経済産業大臣にお伺いしますけど、世界でそのように検討いろいろされて違うことがどんどん決められていくと日本も大変対応が苦しくなると、そういう意味で国内体制の整備もある意味では検討を図っていかなきゃいけないと思いますけど、この国内体制の整備について、取組についてお聞きをいたします。
  158. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 経済産業省としましては、今回の欧州の新規制につきまして、初期の段階から経団連や化学の面の業界団体、さらに関係労働組合などと意見の交換をしてまいりました。その御意見を踏まえて欧州委員会に規制案の修正を働き掛けてまいりました。その結果、先ほども申し上げましたように、また外務大臣からも御答弁がありましたように、我が国の主張が修正案にも盛り込まれたということは委員も御承知のとおりだと思います。  そこで、御指摘のように、新たな規制案に適切に対応するためには、この御意見のとおり、十分な準備期間というものが必要だと思っております。このため、二〇〇八年の本規制の導入に向け、今後とも引き続き関係業界、各団体等と情報を提供し、またお互いにそうした情報を共有しながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  159. 小林正夫

    小林正夫君 次の項目の質問に移ります。広い意味で環境問題についてお聞きをしたいと思います。  鳥インフルエンザが新型のインフルエンザに変化して人に感染していく。先日の報道では、三月二十二日現在、鳥インフルエンザでの死亡者数は百名を超えた、百三名に至っていると、世界じゅうで、こういうことが言われています。そういう背景から、ペットの健康管理、このことを中心にお聞きをしたいと思います。  ペットを飼うことができるマンションも非常に多くなったと思います。また、犬や猫も自分の部屋で一緒に飼うと、こういう人も大変多くなったと思います。この間ある放送を見ていましたら、お墓も家族と一緒にペットの骨を入れるんだと、こういう方もいらっしゃるという報道もありました。それだけ人間も、ペット、動物も一緒に暮らしている、こういう世の中になったなと、つくづく感じました。  そこで、やはり動物ですから感染症など大変おっかない病気があるものですから、こういうところにしっかり注意をしなきゃいけないと思います。  以下、そういう視点で質問したいと思いますけれども、まず、ペットの数はどのぐらいいると把握されているのか、政府は把握できていればちょっとお聞きをしたいと思います。
  160. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) お答えいたします。  民間の団体の調査でございます。ペットフード工業会が十七年十月に実施した、まず全国の犬猫飼育調査でございますけれども、それによりますと、犬は全国で千三百六万八千頭、猫は千二百九万七千頭でございまして、いずれも増加傾向にございます。また、犬猫以外にも、鳥とか魚とか爬虫類とかペットございますけれども、これにつきましては、平成十五年の世論調査でございますが、家庭で犬や猫を含めてペットを飼っている人の割合は三七%となっております。
  161. 小林正夫

    小林正夫君 ペットが人間の心身に好影響を与えると、よくこういうふうに言われますけど、こういう効果というのはどういうものなんでしょうか、お聞きをします。
  162. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 小林委員の今の御質問を聞いておりまして、私のところにも八十になる老人がいるんですが、仮に今、猫を飼っているんですけれども、亡くなったら、恐らくその影響はどんなにすごいものかと思われるぐらいに日常的に猫と、人間と変わらない生活をいたしておりますんで、そういうふうな受け止め方でありますけれども、しかし、やはり個人差がなかなか多うございますし、ペットの人間の生活に与える影響というのは科学的な立証性というものはどういうものかなということはなかなか説明しづらい部分があります。  ただ、民間団体による施設訪問等を通じまして、ペットを通じて、そういう動物との接触で、それまでなかなか手足が動かなかったのが動くようになったとか、あるいは非常に暗い雰囲気だった人が明るくなったとか、そのような結果も出ているようでございますんで、今後しっかり注目をしていかなくちゃいけないな、そんなふうに考えているところでございます。
  163. 小林正夫

    小林正夫君 我が国の民間のペット保険の実態についてお尋ねします。あわせて、どのぐらいの人がそのペット保険を利用されているのか、この辺の把握もできていたらお願いします。
  164. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) いわゆるペット保険、ペットが病気やけがをした場合の治療費であるとか、あるいはペットに起因した第三者への賠償責任、これを補償する保険でございますけれども、現在金融庁の監督対象になっております保険会社に関して申し上げますと、現時点ではこのペット保険を販売している会社はないと承知をいたしております。ただし、一社が今度四月一日から販売する予定であるというふうに承知をいたしております。  それから、現在、私どもの監督対象ではございませんけれども、いわゆる根拠法のない共済事業につきましては、これらの事業者によるペット保険の販売状況を把握しているわけではございませんけれども、これに代わるものといたしまして、平成十六年の十月に総務省の行政評価局が調査をされました。これによりますと、ペット保険について十三の団体が販売しているという御報告がございました。で、どの程度の方が利用されているかということにつきましては、この十三の団体について加入者数がどれくらいかという調査をいたしましたときに、回答といたしまして、一千人未満が四団体、一千人以上五千人未満が三団体、二万五千人以上三万人未満が一団体、無回答が五団体ということでございましたので、これをざっくりと足し上げますと、少なくとも三万人ぐらいの方は利用されているのかなと、こんな状況でございました。
  165. 小林正夫

    小林正夫君 小池環境大臣にお聞きをしたいと思います。  感染症など大変怖い病気もあって、病気になったときにいかに早く治療を受けるかと、この治療を受けることを義務付けてもいいような私は時代に入っているのかなという感じがいたします。  そこで、私の周りでも、医者に行くと健康保険が利かないから、あるいは自分の扶養にこのペットはなってないから医療費が高いと、こういうふうに笑いながらおっしゃる方がいるんです。でも、笑いの陰に私は本音が隠されているんじゃないかと思うんです。要は、医療費が少し高いということで、病気になったんだけれど、ペットを治療に、あるいは病院に連れていけないという人も世の中には大変多くいらっしゃるんじゃないかというふうに思うんです。  そこで、昨年六月に改正された動物の愛護及び管理に関する法律は、動物の健康を守るのは飼い主の義務とうたわれております。生き物だから病気になるなと言ったって病気になっちゃうのは、これは仕方ないと思うんです。したがって、治療を受けやすい環境をつくることが必要じゃないかと思います。例えば、飼い主に加入を義務付ける新たな仕組みをつくり、要は任意加入じゃなくて加入を義務付ける新たな仕組みをつくり、治療費を補助することも一つの方策ではないかと思いますけど、環境大臣、そのことも含めていかがお考えか、お聞きをしたいと思います。
  166. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 我が家でも医療費を最も高く使っているのはわんちゃんでございまして、その部分では大変日常の健康管理ということにもしっかり努めていかなければならないなと私自身思っているところでございます。  今法律の面で更に強化したらどうかというような御指摘であったと思っておりますが、動物愛護管理法には、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準というのがございます。その中で、飼い主は動物の日常の健康管理に努めること、そして疾病にかかった動物については原則として獣医師により適切な措置が講じられるようにすることなどを規定をいたしておりまして、関係自治体の協力を得ながらその普及啓発に努めているところでございます。  それをもっと強化、法律的にどうかというお話でございますけれども、やはり愛情を持ってその動物、ペットを飼っているわけでございますので、その責任を十分に自覚していただくということがまずは必要ではないかと、このように考えておるところでございます。
  167. 小林正夫

    小林正夫君 時間が来たので、これで終わります。  ありがとうございました。
  168. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で小川敏夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  169. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、谷合正明君の質疑を行います。谷合正明君。
  170. 谷合正明

    谷合正明君 公明党の谷合正明です。  まず、本日は道州制につきまして基本的なところを安倍官房長官にお尋ねしたいと思います。  まず、今なぜ道州制なのかというところなんでございます。  道州制につきましては過去何度も議論をされておりまして、そして、今再びこの道州制が脚光を浴び、その必要性が求められております。しかしながら、実際その必要性というものが国民にしっかり伝わっているのかといったところが、まだまだ私はそこが不十分ではないかと思っております。  安倍官房長官の御地元は山口でございまして、私は岡山ということで、同じ中国で、中国中国州なのか中・四国なのか、あるいは州都はではどうなのかとか、いろいろなことが関心を呼んでいるわけでありますけれども、今どちらかというと区割り案が独り歩きをしているような感じでございます。  この道州制の必要につきまして、まず国民に分かりやすく説明していただきたいと思います。
  171. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) まず、御質問に答える前に、政府としての、基本的に、この道州制についての基本的な考え方、スタンスについて御説明をさせていただきたいというふうに思います。  道州制に関しては、先月末、第二十八次地方制度調査会において「道州制のあり方に関する答申」が決定され、総理に提出をされました。  答申では、道州制を、広域自治体の在り方の見直しによって国と地方双方の政府を再構築するものであり、地方分権の加速、国家としての機能の強化、国、地方を通じた力強く効率的な政府の実現に有効な方策としているところであります。その上で、道州制の導入に関する判断は国民的な議論の動向を踏まえて行われる必要があるとし、政府は引き続き幅広い見地から検討を進めるとともに、国民的な議論の深まりに資するよう適切な役割を果たすことが必要とされているところであります。  このため、政府としては、今後様々な機会をとらえ、道州制に関する国民的な議論を喚起するとともに、答申に関連する課題について幅広く検討を進めたいと、このように考えているわけであります。  道州制については、今申し上げましたように、政府は基本的にこうしたスタンスで検討をしていくわけでありますが、近年、市町村合併の進展の影響や都道府県を超える広域行政課題の増加といった社会経済情勢の変化を踏まえまして、現行の都道府県制度のままでこれに対応していくことが可能か、さらに都道府県が一層の地方分権の推進の担い手としてふさわしいかどうかが問われているというふうに認識をしております。その中で、今後国民的な議論を進めていかなければいけないと、このように考えております。
  172. 谷合正明

    谷合正明君 国民的な議論に資するようなというような話がございました。そこで今、広域的な課題に立ち向かうにはどうすればよいのかというような問題提起もありました。  そこで、都道府県ですね、都道府県合併では、じゃそれは不十分なのかといった声もございます。地方制度調査会におきましては、広域的な行政に対応する、地方制度調査会におきましては道州制の導入が適当との答申でありました。広域的な行政に対応するためには、例えば今、北東北三県の取組などを見ますと、むしろこの都道府県合併による方が実現性が高いんではないかと言われておりますが、こういった都道府県合併では不十分なのでしょうか。
  173. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 現行の都道府県制度の課題への対応に関しては、平成十六年の地方自治法の改正により整備された都道府県の自主的合併手続の活用も期待をされているわけでありますが、一方で、都道府県合併が行われても国と都道府県の事務配分が当然これは変更されるわけではないということでございまして、今回の地方制度調査会においては、都道府県制度に関する問題への対応にとどまらず、広域自治体を通じて国と地方双方の政府を再構築することによって我が国の新しい政府像を確立するとの見地に立つならば、その具体策としては道州制の導入が適当という認識が示されているわけでありまして、県との合併により広域的な問題には対応が可能になるわけであります。  まあ中国地方にも、田村先生の、これは鳥取県と島根県、それほど大きな県ではありませんから一緒になった方がいいんじゃないかという議論がないわけではないわけでありますが、しかしそれであっては果たして今までの権限と同じであって、この今市町村の合併を行っている中において中核的な自治体が誕生し、県から中核的な自治体に権限が移譲され、より身近なことは身近で解決をする。他方、道州制により国からいわゆる道州に権限が移譲したらどうかということも含めて、これは大きな意味での国の在り方全体を再検討するという意味においては、この道州制について議論することが有益ではないかということではないかと、こう思っております。
  174. 谷合正明

    谷合正明君 国と地方の役割分担、在り方というのもしっかりと今後議論していく必要があるんだということだと思いますが、この三位一体の改革に対する意見として、国から地方への権限の移譲が不十分であり、例えば地方の自由度が高まっていないのではないかという声が多いわけであります。これまでの国と地方の関係をそのままに道州制を導入しても、この権限移譲が進まず、地方分権というのはなかなか進展しないんじゃないかというふうに考えられるわけであります。  地方分権というのは時代の趨勢でございまして、やはり道州制を導入する場合には大幅な権限移譲というものがどうしても必要になるんではないかと。国と地方の役割分担について十分な見直しを行いまして、道州が自己の責任の下に地域の特性に応じた効果的な政策を行えるような、地方分権に根差した真の道州制を目指すべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  175. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま御指摘の点でございますが、地方制度調査会の答申におきましても、広域自治体の在り方の見直しによって国と地方、双方の政府を再構築するものであり、地方分権の加速、国家としての機能の強化、国、地方を通じた力強く効率的な政府の実現に有効な方策となり得るとの認識が示されております。  これを実現するためには、地方にできることは地方にという理念の下、国、広域自治体及び基礎自治体の間の役割分担を体系的に見直して、そして都道府県から市町村へ、また国から道州への大幅な権限移譲を行うことが必要になるものであると、このように認識をしております。
  176. 谷合正明

    谷合正明君 大幅な権限移譲の裏の関係とも言えますけれども、一方でやはり税源と財政調整をどうするのかという問題も出てまいります。  道州制になりますと都道府県よりも行政区画が広がると。ただ、その各道州間の財政基盤の格差というものは依然として大きく残るのでないかと、そのように容易に推測されるわけでございます。実際、東京、あるいは東京を中心とした南関東といったところでは自前の財源で十分なのかもしれませんけれども中国地方ですとかほかの道州ではやはり現状の税の配分では難しいというところがございます。  道州制の導入に当たりまして、やはり税源の偏在性の少ない地方税の充実を図るとともに、もう一方で道州間の財政調整というものを図るための制度が必要になると思われます。答申におきましては、こういったことは検討をする必要があると書かれているんですけれども、それ以上のことが余り書かれておりません。官房長官の見解をお聞かせください。
  177. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 道州制における財政調整制度は、道州制の区域の在り方のほか、国からの事務移譲に伴う地方の財政需要の変化、これに応じた地方税制の在り方など、様々な制度設計と併せてその内容を検討する必要があり、現時点で財政調整制度の内容を申し上げることは難しいというふうに思います。  一般的には、現在の都道府県の区域に比べてより広い区域となること、御指摘のように偏在性の低い税目を中心とした地方税体系の構築を目指すことになること等により財政力の格差は縮まるものと、こう期待をされるところであります。  しかし、それでもなお税源は東京を始めとして大都市に偏在をするわけであります。谷合委員も私も中国地方でございまして、中国地方はなかなか厳しいのが現状なんだろうと、このように思っているわけでありますが、地域間で大きな格差があることが予測されることから、地方制度調査会の答申においても、税源と財政需要に応じた適切な財政調整を行うための制度を検討すべきと、このようにされております。  いずれにいたしましても、まずは道州制そのものについてしっかりと国民とともに議論を進めていく中において、この問題についても議論していかなければいけないと、こう思っております。
  178. 谷合正明

    谷合正明君 ありがとうございます。  続いて、道州制になった場合に、住民と行政の間がますます広がってしまうのではないかという懸念が生じているわけでございます。  市町村合併に対する批判の一つにこのことが挙げられております。住民と行政の間が広がったと、旧町村の役場のスタッフが、職員が減り、身近なことをこれまで相談していたものがなかなか相談しづらくなったというような声もあるわけでございます。この点に関しましては、総務省などで、例えば地域自治区の創設等、その溝を埋める取組もなされております。  この市町村合併に続きまして都道府県も道州になってしまいますと、この住民と行政の間がますます広がるのではないかという懸念がいずれにしても生じるわけでございます。例えば中国地方におきましても、同じ域内を移動するに掛かる時間の方が東京に出る時間より長かったりとか、そういったことはよくある話でございまして、こういった住民と行政の間の広がりについての懸念についてどうお考えでしょうか。
  179. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今委員が最後におっしゃった、まだ今では道州制というものができていないわけであって、このそれぞれの地域、いわゆる広域地域のインフラも道州制に合わせたインフラではないということでございますから、例えば、まあ私の地元の下関から島根県に出ていく時間と、距離的には近いわけでありますが、東京に行く方が全然近いということも事実であろうと、このように思うわけでありますが、しかし、これは、道州制が形作られていく中において、また形作られた後の更なるインフラの整備の仕方、あるいは広域の経済圏をどのように発展させていくかということを進めていく中において新しいこれはインフラの整備、交通体系も進んでいくんではないかと、このように思います。  道州制を導入する場合には、都道府県から市町村へ、また国から道州への大幅な権限移譲を行うことによって、住民に身近な行政は市町村が総合的に担い、広域の圏域における行政は選挙により選ばれた長や議会を有し、住民のコンセンサス形成の仕組みを備えた道州ができる限り総合的に担うこととなるというふうに考えられるわけであります。その場合には、地域における政策形成過程への住民の参画が拡大するとともに、行政に対する住民の評価や監視が実効あるものとなり、自己決定及び自己責任を基本とした地域社会が実現されるのではないかと、このように考えられているわけであります。
  180. 谷合正明

    谷合正明君 北海道の道州制特区について確認をさせていただきたいと思います。  道州制に関しましては、北海道の道州特区法案の行方というものが非常に注目されております。小泉首相におかれましても、この道州制の理解を深めるためには北海道が一つのモデルになると、そのように言われております。今国会での特区法案の提出に向けて、これまで調整が難航しているとも言われておりましたが、昨日協議があり、昨日からの報道によりますと、政府・与党は今国会に特区法案を提出することで一致というふうに報道にもあります。  政府はこの北海道道州制特区についてどう考えているのかと。別の報道にも、北海道に限定して補助率をかさ上げする北海道特例の見直しについては、道選出議員らの反対論に配慮する方向で調整すると書いてあります。そのような方向で今考えていらっしゃるということでしょうか。
  181. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この北海道の道州制特区につきましては、総理から、道州制を考えてみる上で、もう既に道として単位として存在する北海道で、これはもし地元の皆様がそれをやりたいということであれば、それはいわゆるモデル地区としてこれは試みる価値が十分あるのではないかと、こう総理もおっしゃり、この検討が進んできたわけでありますが、道州制を北海道においてモデル的に進めるため、総理が以前から支援するとおっしゃってきた問題であります。平成十六年八月の北海道からの提案を受けて、政府部内で検討を進めてきたところでございます。  また、この問題については与党の調査会等において度重なる議論がなされてまいりました。その中で、昨日、自民党道州制調査会の伊吹会長を始め関係の閣僚が集まりました。伊吹会長からは、党の道州制調査会及び北海道小委員会において北海道における道州制特区の問題についてこれまで議論されてきたことを踏まえ、取組の方向について考え方が示されたわけであります。これに関して、与謝野大臣からは、基本的には伊吹会長の考え方に沿って政府内での調整が進むよう協力する旨発言がございました。また、北側大臣からは、北海道関係者との意見調整を北海道知事が責任を持って行うのであればおおむね異論はないという、こういう発言があったわけであります。私の方からも、内閣府を中心政府内の調整を進めるとともに、北海道とも十分に調整をする必要があると、このように申し上げたわけでございます。  また、内閣府のたたき台におきましては、北海道特例を五年から縮小し最終的には他の都道府県のレベルを検討すると、こうしていたわけでありますが、この取扱いにおきましては党でも相当これは議論になったわけであります。北海道知事からも見直しを強く要望されている点であるものと、この見直しというのは内閣府案の見直しということでございますが、と聞いております。会談の中におきましては、昨日の会談の中におきましては、一定期間後に法の施行状況等を踏まえつつ必要な見直しを行うことでどうかという考え方が示されたわけでございます。
  182. 谷合正明

    谷合正明君 道州制につきましては、冒頭に官房長官の方からも言われましたが、やはり国民に資するような、国民に分かりやすいような議論を今後国会の中でも展開してまいりたいと思いますし、政府の方にもよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、薬物対策について質問をさせていただきます。  今日の委員会でも藤井委員の方からこの薬物対策の話が出ました。私の方からは、この薬物依存者、中毒者への専門的治療の充実、そういったことについて厚生労働省の方にお伺いしたいと思います。  我が党におきましては、従来から脱法ドラッグ対策ワーキングチームというものを立ち上げてまいりまして、薬物乱用防止のための各種施策の充実を訴えてまいりまして、例えばキャラバンカーなどによる啓発活動、また今般は薬事法改正も今国会で提出されようとしておりますけれども、違法ドラッグが流通しないような仕組みというものを訴えてまいりました。  しかしながら、この予防や取締りだけでは十分かというと、そうではないと。全国には薬物乱用者は二百万人ぐらいいるというふうに言われております。  そこで、やはりこの予防、取締りだけでは不十分だと、実際にその依存症になった方のケアというものが必要ではないかと、そのための専門的治療の充実を図るべきだと考えますが、厚生労働省の方の見解をお伺いします。よろしくお願いいたします。
  183. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 谷合委員が御当選以来、この問題に一生懸命取り組んでおられるということはよく承知しております。  薬物依存者につきましては、地域においては精神保健福祉センターや保健所などで相談等に対応しておりますけれども、国立精神・神経センターにおいて医療機関や精神保健福祉センター等の医師、看護師に対して研修を行い、薬物依存の診断、治療、予防に携わる人材の質の向上に厚生労働省としては努めているところでございます。また、厚生労働科学研究におきまして薬物乱用・依存者の実態把握と治療などを含む対応策に関する研究を行っております。  一方、先ほど御指摘ありましたように、専門的治療体制の充実ということに関しましては、薬物専門病棟の整備費について保健衛生施設整備費補助金の対象としているところでありまして、今後とも都道府県の要望を踏まえつつ、その整備にしっかりと努めてまいりたい、そんなふうに考えております。
  184. 谷合正明

    谷合正明君 終わります。
  185. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で谷合正明君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  186. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、井上哲士君の質疑を行います。井上哲士君。
  187. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  今、防衛施設庁の官製談合が大問題になっております。この談合事件は、重電メーカー各社による受変電設備工事の入札談合事件が端緒になったと言われております。この談合は、既に起訴をされた新東京国際空港公団それから防衛施設庁、これに加えて国立大学等の工事でも行われており、東京地検特捜部は国立大学の工事の談合関係者からも事情を聞いたと報道をされました。  文科大臣にお聞きしますけれども、この報道を受けて文部科学省としてはどういう調査対応をされたんでしょうか。
  188. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 井上委員にお答え申し上げます。  文部科学省におきましては、新聞等で報道されております国立大学の発注工事における談合の事実や内容については承知をいたしておりません。  しかしながら、この新聞報道を受けまして、平成十二年度から平成十六年度の間に国立大学等が発注をした受電設備工事に係る入札契約の状況、すなわち受注者、入札参加者、入札経過、契約金額等について確認を行いました。この結果、いずれの工事においても入札手続は適切に行われており、関係の国立大学等からも特に問題があったとの報告は受けていないという状況でございます。  文部科学省としては、従前から透明性、客観性、競争性のある入札契約が行われるよう、毎年開催される入札契約の説明会等において各国立大学等を指導してきたところでございまして、また昨今の談合問題を受けまして、政府全体として公共工事の入札制度の改善等に取り組むこととしておりまして、その一環として文部科学省としても新たな対策を講じたところでございます。  すなわち、一般競争入札方式の拡大、総合評価方式の拡大、そして指名停止期間の延長及び違約金割合の加算、そして文部科学省発注者綱紀保持委員会の設置等でございます。  また、これらの対策について国立大学法人等への説明会において周知するとともに、文書で通知したところでございまして、文部科学省としては、これらの取組状況についてフォローアップを行うとともに、今後とも各法人に対し適切な入札契約が行われるよう指導してまいりたいと存じます。
  189. 井上哲士

    ○井上哲士君 本当に問題がないのかどうか。  この新東京国際空港公団の元幹部職員二人の被告への、三月八日、東京地裁で有罪判決下りました。これ、天下りと受注企業との関係についてどう述べているか。最高裁、いかがでしょうか。
  190. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) あらかじめ議員から御指摘いただいた箇所を朗読いたします。  被告人らは、過去の受注実績、既設物件の施工状況、施工後のメンテナンスの便宜などのほか、第一の犯行では公団幹部職員の天下り予定先企業への配慮、第三の犯行では天下りした公団OBへの配慮から各工事の受注予定業者を選定し、入札が不調になることに伴う工期の遅れや予定価格決定についての公団内部からの批判を回避するため、当該受注予定業者に確実に落札させ、その業者に相応の利益を上げさせようとして入札予定価格に近似した金額を教示していた。このような行為は、入札実施者にとって最も有利な条件で契約するために入札者を自由競争させるという入札制度の本来の趣旨に背き、入札制度を形骸化させてその公正を大きく損なうものである。  以上でございます。
  191. 井上哲士

    ○井上哲士君 現職職員と天下り職員が結託して談合が行われたという事件であります。  そこで聞きますけれども文部科学省の場合はこの発注する文教施設工事はどの部署が担当しているんでしょうか。
  192. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) お答え申し上げます。  文部科学省本省で発注する場合におきますと、文部科学省文教施設、現在ですと企画部においてやっております。なお、平成十六年四月以前、機構改革以前でございますが、その際は旧文教施設部ということに相なります。  なお、大学等については国立大学等においてそれぞれ発注がなされているところでございます。
  193. 井上哲士

    ○井上哲士君 文教施設企画部という、まあ文部省における防衛施設庁的な部署が工事を行っております。  私がこの文教施設企画部のOB会名簿というのを入手をいたしました。百二十以上の工事関連企業の広告が載っている奇妙な名簿でありますけれども。  そこで、この会員が天下りしている企業と文部科学省発注の工事の受注関係調査をしてまいりました。お手元の資料の一でありますけれども政府調達基準額七億五千万円以上でいいますと、四年間で三十件のうち天下り企業が受注したものが二十五件、金額は八二・三%、一億円から七億五千万円未満では、四十一件のうち二十三件、金額では八〇・二%を受注をしております。  大臣にお聞きしますけれども、この資料を見ましても、二つ事件での判決が下したように、天下りOBと受注企業との関係というのが文部科学省でもあるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  194. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) 契約関係のちょっと事務的なことでございますので私の方から説明させていただきますが、いずれの工事におきましても、一般競争入札あるいは公募型指名競争入札ということで、それぞれだれでも入札できるというような透明性の高い入札制度を行っているところから、必ずしも御指摘のような点には当たらないのではないかというふうに考えております。
  195. 井上哲士

    ○井上哲士君 天下り企業のシェアが非常に高いんです。  じゃ、更に聞きますけれども大臣にお聞きしますけども、櫟の会というのを御存じでしょうか。
  196. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) ただいま配付のありました委員の資料にその名がありますが、私としては承知いたしておりません。
  197. 井上哲士

    ○井上哲士君 事務方は御存じだったでしょうか。
  198. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) お答え申し上げます。  櫟の会でございますが、文部省、それから文部科学省及びその所轄機関に在籍した者で、現に管工事関係業務に在籍する者で構成されるもので、会員相互の親睦会であると聞いております。
  199. 井上哲士

    ○井上哲士君 お手元に資料二があります。今言われたように、この櫟の会の会則であります。平成十七年度の名簿に掲載されたもので、私、それを今手に持っております。今ありましたように、文部省、文部科学省に在職した者で、現に管工事関係業務に在職している人たちでつくっている。  この管工事というのは一体何でしょうか。
  200. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) いわゆる機械設備工事あるいは給排水工事といったようなものを指すものでございます。
  201. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、文部省にいて同じ種類の工事を行う会社に天下りした人のOBの会なんですね。  大臣、なぜこんな会をつくる必要があるんでしょうか。
  202. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) これは文部科学省の組織でもございませんし、委員が御指摘になった会則を見ましてもこれは民間の団体で、文部科学省あるいは文部省に関係した者の組織であることは読み取れますが、その理由について私では申し上げられません。
  203. 井上哲士

    ○井上哲士君 まあ、大臣も理由が申し上げられないような会であります。こういう会が存在すること自体、私は国民の疑惑を招くと思いますよ。  で、会則によりますと、この会は必要に応じて文部科学省関係者を招じて話を聞くことができるとなっておりますけども、一体だれがいつ話をしに行っているんでしょうか。
  204. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 私、先ほど申し上げられないというのは、知らないので申し上げる言葉がないという意味でございまして、知らないという趣旨でございます。
  205. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) 御指摘文部科学省あるいは旧文部省を含む関係者がこの会で話をしたことがあるということについては、聞いておりません。
  206. 井上哲士

    ○井上哲士君 明確にこの会則の中にそういうことをやるということが書いてあるんですね。要するに、工事関係企業への天下りOBと現役を結び付ける会になっていると。まあ、道路公団や成田の談合と同じような図式になっているわけですね。  更に問題は、会の趣旨であります。  お配りした資料の中に会則がありますが、「この会は会員相互の親睦および、技術、資質の向上を図ることを目的とする。」と、こうなっております。ところが、これはシールを張って書いてあるんです。で、私、その下、透かしてみました。何が書いてあるかといいますと、「この会は会員相互の親睦および、文教施設の管工事が円滑に完成され且つ技術、資質の向上を図ることを目的とする。」になっていると。この「文教施設の管工事が円滑に完成され」、こういう部分消してあるんですね。  この名簿は昨年の八月現在でありますから、シールは昨年の八月以降に張られたものであります。正に、国立大学関係の談合疑惑が報道されて慌てて隠したと言われても仕方がないと思います。  大臣、お聞きしますけども、このシールで隠してある文教施設の管工事の円滑な完成を目的にする、これ慌てて隠したのは、談合という意味がこの言葉に込められているということじゃないでしょうか。
  207. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) まあ委員はそういうふうにおっしゃいますが、私にはその辺は全く分かりません。この会がどのような会則であり、また、何が理由でそのような会則の変更を行ったか、全く私の知らないところでございまして、申し上げる、また知らないというか、申し上げる言葉がございません。
  208. 井上哲士

    ○井上哲士君 それでは国民は納得しないですよ。今これだけ官製談合ということが問題になっているんです。そして、こういうことが現に行われているんです。  否定されますけれども、実績が物語っておりまして、お手元の資料の三を見ていただきます。二〇〇一年から二〇〇四年の文部科学省の本省発注工事のうち、管工事は十九件、そのうち十六件を櫟の会の企業が受注しております。これを調べてみますと、入札参加企業がすべて櫟の会の会員企業、三件でありまして、平均落札率は九五・八%、不落随契七件のうち三件は櫟の会の受注で、しかもそのうち三件は入札参加企業がすべて櫟の会と、そして随意契約五件すべてが櫟の会の会員企業と、こういうものもあるわけですね。  これを見ますと、先ほど談合などはないというふうなことも言われましたけれども、実にこの櫟の会の会員企業が非常にこういう独占的な入札してるんじゃないですか。いかがですか。
  209. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) いずれの工事につきましても、先ほども申し上げたとおりでございますが、お手元の資料にもございますように、お配りいただいた資料にもございますように、一般競争入札あるいは詳細条件審査型一般競争と、こういった形でございまして、基本的にいわゆる公募の形で入札が行われておりますので、そのような御指摘は当たらないのではないかと、かように存じます。
  210. 井上哲士

    ○井上哲士君 防衛施設庁でも道路公団でも全部一般公募でやられていて、しかしその中でOBと現役が結託しての談合が行われてきたということが今問題になっているんです。それを全くまともに調査もしようとしないというのは本当に問われると思います。  私が今日出しましたのは本庁発注の工事だけでありますけれども、過去五年間、地方が出したものを含めますと管工事は千八百十件ありますから、これも含めてしっかり調査をするべきだ、このことを求めたいと思いますけども、いかがでしょうか。
  211. 大島寛

    政府参考人(大島寛君) いずれの工事においても、それぞれ適切に施工がなされているものと考えております。
  212. 井上哲士

    ○井上哲士君 それでは国民の納得はいかないと思います。今後も引き続き追及をしてまいります。  終わります。
  213. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  214. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  215. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  官房長官、国旗・国歌法が成立した際に当時の官房長官であった野中広務氏は、国として強制したりあるいは義務化することはございませんと述べています。また、国民生活に何ら変化や義務が生じ、影響を与えるものではないとも発言しています。現在もこれに変更はありませんね。
  216. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 変更がないというのはよく分からないんですが、いわゆる義務規定は法律にはないということであれば、それはそのとおりであります。
  217. 福島みずほ

    福島みずほ君 方針に変更はないということでよろしいですか。
  218. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) それは官房長官が、当時の官房長官の答弁は、それは当然今も変わりはないということであります。
  219. 福島みずほ

    福島みずほ君 学校現場に変化があったとお考えですか、変化はなかった、いずれでしょうか。
  220. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 学校もたくさんありますから、それを一概に、私もすべて見て回っているわけでもないので、何ともお答えのしようがございません。
  221. 福島みずほ

    福島みずほ君 文部大臣、いかがですか。
  222. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 学校現場において特に変化があったということはないと思っております。
  223. 福島みずほ

    福島みずほ君 この法案成立以降、多くの大量の処分が行われております。どのような指導が小中高の現場で教師並びに生徒に対して行われていると把握していらっしゃいますか。
  224. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 詳細、また局長の、担当の方から答弁させていただきたいと思いますが。  懲戒処分等の状況を調べてある数字がここにございます。公立学校の教職員に対する国旗掲揚、それから国歌斉唱の取扱いに係る訓告等を含む懲戒処分の件数は、国旗及び国歌に関する法律の成立前の平成十年には百六十一名であったが、成立した十一年度には九十六名、成立後の平成十二年度には二百六十五名となっております。  また、指導でございますが、教員及び児童生徒に対する指導の状況につきましては、学校における国旗・国歌の指導は、国旗・国歌法の成立以前から学習指導要領に基づきまして、入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとされております。  国旗・国歌法の制定の際に文部科学省、当時といたしましては、通知を発出いたしまして、引き続き学習指導要領に基づき指導すること、国旗及び国歌に対する正しい理解を一層促進することを指導したところでございます。
  225. 福島みずほ

  226. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいま大臣からも御説明を申し上げましたけれども、学校における国旗・国歌の指導は、児童生徒我が国の国旗・国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗・国歌も同様に尊重する態度を育てるために行っているものでございます。  具体的には、社会科では、国旗・国歌の意義を理解させ、諸外国の国旗・国歌を含め、それらを尊重する態度を育成すること。音楽の授業では、小学校のいずれの学年においても国歌君が代を指導すること。入学式や卒業式などでは国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導することとしているところでございます。
  227. 福島みずほ

    福島みずほ君 町田市では、音量チェック、音量のチェックをしています。去年からこぶしが入るぐらいの大きな口で歌えという指導をしています。起立をしなかった教師が一か月停職処分になっています。国旗に注目しなかったという理由から調査が入った教師もいます。これはこの一九九九年以降新たにできたことです。  また、この実態について把握していますか。
  228. 小野清子

    委員長小野清子君) どなたに。文科省ですか。
  229. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。
  230. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 入学式における、あるいは卒業式における国旗・国歌の取扱いについては先ほど申し上げたとおりでございますが、国旗掲揚、国歌斉唱の具体的な方法につきましては、学校を所管する教育委員会や各学校の校長が適切に判断していただくものと考えておりまして、教育委員会が学校に対して指導通達等を発出している教育委員会もあると認識をいたしております。  文部科学省といたしましては、今後とも国旗・国歌の取扱いについて適切な指導が各学校において行われるよう努めてまいりたいと存じております。
  231. 福島みずほ

    福島みずほ君 問いに答えていません。現実に何が行われているかを御存じかと聞いています。
  232. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 東京都の例で申し上げますと、国旗は式典会場の舞台壇上正面に掲揚する、国歌斉唱はピアノ伴奏等により行うといったようなことで、国旗・国歌の指導としては通常の指導が行われていると思っております。
  233. 福島みずほ

    福島みずほ君 懲戒処分がどのようなものか把握していらっしゃいますか。注目を、例えば、済みません、例えば、不起立で停職処分一か月、あるいは先生が国旗の方を見なかったことで調査が入っている、このような実態を御存じですか。
  234. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 公立学校の教職員は公務員でございます。職務命令を受けた場合、これに従って職務を遂行する責務がございます。  実際にどのような処分を行うか、これは基本的には任命権者の裁量にゆだねられております。任命権者におきまして個々の事案に応じ、問題となる行為の性質、態様、結果、影響等を考慮して総合的に判断しているものと考えております。
  235. 福島みずほ

    福島みずほ君 文科省は立法する際に、影響はない、強制しないと答弁をしました。そのことに責任を取っていただきたい、そう思います。  思想、良心の自由をどうお考えですか。
  236. 小野清子

    委員長小野清子君) 文科省、銭谷局長
  237. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、文部大臣大臣
  238. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 思想、良心の自由は尊重されるべきと考えますが、先ほど局長が答弁いたしましたように、本件は、学校は児童生徒の発達段階に応じて教育を行うことを目的とするものでございまして、教員は関係の法規や校長等の上司の職務上の命令に従って教育指導を行わなければならない職務上の責務を負っているわけでございます。  したがいまして、公立学校における国旗掲揚、国歌斉唱の取扱いに係る懲戒処分等は、そのほとんどが校長等の職務命令に従わなかったことによる職務命令違反の責任を問うものであると認識をいたしております。  そういった意味で、その思想、良心の自由とは別の問題であると考えております。
  239. 福島みずほ

    福島みずほ君 憲法十九条は思想、良心の自由を定め、子供にも親にもPTAにも来賓にも思想、良心の自由があります。  では、どういう場合に子供や先生の思想、良心の自由を侵害したとお考えですか。
  240. 小野清子

    委員長小野清子君) 大臣ですか。
  241. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい、大臣です。
  242. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) それは、具体的な場合が、どのような条件でどのような行為が行われ、それを侵した人がですね、人である場合、まあ組織である場合とあるんだと思いますが、人がどういう方であるか等によってその違いが生じるものと思っております。
  243. 福島みずほ

    福島みずほ君 処分をちらつかせて歌わせること、歌いたい人は歌えばいいけど、歌わせること、これは思想、良心の侵害に当たりませんか。
  244. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 手を挙げる状況がどのような状況かによると思います。
  245. 福島みずほ

    福島みずほ君 済みません。ちょっとよく分からなかった。(発言する者あり)手を挙げる。手を挙げる。
  246. 小野清子

    委員長小野清子君) もう一度。福島みずほ君。
  247. 福島みずほ

    福島みずほ君 ちょっと答弁が分からなかったので、もう一回説明してください。
  248. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) 福島委員の御質問が、手を挙げるということを命じられる等のことについてどうかと、こういうことでございましたので、その手を挙げるといった状況がどういう状況か分からないと判断できないと申し上げたわけでございます。
  249. 福島みずほ

    福島みずほ君 懲戒処分と言ったんです。
  250. 小坂憲次

    国務大臣小坂憲次君) いえ、ただいまの御質問はそういう問題ではございませんでした。
  251. 福島みずほ

    福島みずほ君 思想、良心の自由を侵害する場合とは、無理やり口を開ける、あるいは無理やり立たせるというふうに担当の方はおっしゃいました。それこそ強要罪あるいは暴行罪です。  人が何を思うかは一〇〇%自由です。しかし、思想、良心の自由は、その考えていることが外で出たときに、それについて迫害を受けたり不利益を受けたりすることがないということです。今の現状では思想、良心の自由は保障されておりません。  教育基本法が禁ずる不当な支配ということについてもお聞きをします。  東京都は現在、式に職員を派遣して、指導が守られているかを監視するということをやっております。これは教育基本法が禁ずる不当な支配ではないですか。
  252. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) お尋ねの事例につきましては詳細は承知をいたしておりませんが、東京都教育委員会は都立高校の設置者でございますので、設置者として学校の管理運営の一環としてそのようなことを行うことは全く可能でございます。
  253. 福島みずほ

    福島みずほ君 北九州市の裁判で、判決は、教育委員会が教職員や児童生徒が起立して君が代を斉唱しているかを監督することは教育基本法が禁じた各校長に対する不当な支配に当たると判断をしました。  これについていかがですか。不当な支配になるじゃないですか。
  254. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 先ほども申し上げましたけれども、教育委員会は設置者といたしまして学校の管理運営について責任を負っているわけでございます。  具体的な対応状況というのはそれぞれの事案ごとにあろうかと思いますけれども、設置者である教育委員会が学校の管理運営に関して一定の権限を行使をするということは、これは当然あり得る話でございます。
  255. 福島みずほ

    福島みずほ君 教育委員会が行って監督をする、ビデオに撮って一人一人が歌っているかを全部監視をする、こういうことは強制であり、明らかに、強制をしない、不利益を与えない、変わらないといった一九九九年の立法の当時の答弁、立法者の意思に明確に反しています。そういう事態が現場で生じております。  上から弾圧をして、魂の自由のないところで教育はありません。思想、良心の自由を守ることは国の責務ではないかということを申し上げ、学校現場に対しての改善をしてくれるよう文部省に強く求め、私の質問を終わります。
  256. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十六分散会