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2006-03-10 第164回国会 参議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  三月九日     辞任         補欠選任      常田 享詳君     森元 恒雄君      脇  雅史君     大野つや子君      櫻井  充君     峰崎 直樹君      山口那津男君     西田 実仁君      井上 哲士君     大門実紀史君      仁比 聡平君     紙  智子君      近藤 正道君     福島みずほ君  三月十日     辞任         補欠選任      水岡 俊一君     加藤 敏幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 市川 一朗君                 木村  仁君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                 小林 正夫君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 加藤 修一君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 岩井 國臣君                 岩永 浩美君                 岡田 直樹君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 関口 昌一君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 南野知惠子君                 森元 恒雄君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 加藤 敏幸君                 喜納 昌吉君                 黒岩 宇洋君                 下田 敦子君                 内藤 正光君                 前田 武志君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 蓮   舫君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 西田 実仁君                 渡辺 孝男君                 紙  智子君                 大門実紀史君                 福島みずほ君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     竹中 平蔵君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        外務大臣    金田 勝年君        財務大臣    赤羽 一嘉君        国土交通大臣  江崎 鐵磨君    大臣政務官        財務大臣政務官  野上浩太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        外務省北米局長  河相 周夫君        財務大臣官房総        括審議官     杉本 和行君        財務省主税局長  福田  進君        財務省理財局長  牧野 治郎君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      奥田 真弥君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君    参考人        日本銀行総裁   福井 俊彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十八年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、税制財政改革金融市場調節に関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は二百四十分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党八十五分、民主党・新緑風会百分、公明党三十分、日本共産党十五分、社会民主党・護憲連合十分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十八年度一般会計予算平成十八年度特別会計予算平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、税制財政改革金融市場調節に関する集中審議を行います。  それでは、質疑を行います。岩井國臣君。
  4. 岩井國臣

    岩井國臣君 平成時代になって、はや十八年目を迎えます。ベルリンの壁が破れ、ソビエト連邦もなくなってしまいました。アメリカ独り勝ちというか、世界アメリカ化が進んでおります。世界アメリカ化というかグローバル化の中で、市場原理渦巻く国際競争時代に入っているのだと思います。中国も、共産主義体制のままですけれども市場経済によりまして物すごい勢いで経済成長をしているわけであります。そのほか、インドやブラジル、ロシアを含め四か国、いわゆるBRICsですけれども、それらの国の経済成長は誠に目覚ましいものがございます。そういう世界動きを察知して、日本経済空洞化現象が叫ばれ、国際競争力というものの必要性が叫ばれたのであります。  そういう状況の中で小泉改革がさっそうと登場したのでありました。私も五年前の参議院選挙では、一般には抵抗勢力とみなされていたわけでございますけれども小泉改革必要性を訴えて全国を走り回りました。  ただし、私は、光だけでなく、影の部分もちゃんと見ていたつもりでございます。小泉改革は必要だけれども、都市の論理地方切捨てを行ってはならない。小泉改革は必要だけれども、強者の論理で弱者の切捨てを行ってはならない。改革を急ぐ余り、日本伝統文化をおろそかにしてはならない。まあ切捨てというのは選挙戦なるがゆえのちょっと誇張した言い方でございますけれども、私は三つの影を心配し、それを訴えたわけであります。小泉改革というものはしっかりと進めながら、三つの影にきっちり手当てをすると。影については、それを自覚しながら要は手当てをすればよいのだと思います。私は、シュンペーターの創造的破壊ということはともかく、小泉総理が言われるように、改革にはある程度の痛みを伴うのは、これ当然でございまして、問題はその痛みを自覚するかどうかであろうかと思います。  そこで、小泉総理にお聞きしたいと思います。銀行の不良債権問題もほぼ解決し、企業のリストラが進んで企業国際競争力が付いたと思われる現在、日本経済に明るさが見えてきて、昨日、日銀量的緩和政策解除されました。そういったことを受けまして小泉総理は、ぼちぼちですよ、ぼちぼち、ぼちぼち小泉改革の影の部分に積極的に光を当てるべきではありませんか。その影のことについて小泉総理の御認識をお尋ねしたいと思います。
  5. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 影の部分をなくすために改革をしてきたんです。就任当初、最も大きな影、足かせ、不良債権、これをどのように正常化していって経済活性化していくか。必要な資金を必要な部分に回すことができるか。失業者も多かった。どうやってこの失業者就業、仕事を持ってもらうか。  また、各地域でいろいろやりたいと思っても、規制があるためにやりたいこともできない、そういう地域にどのように特色を出してもらうか。全国一律でなくてもいい、地域のそれぞれ独特の魅力があるはずだと。それが全国一律の規制ではなくて、ある地域においては特別な規制緩和もいいのではないか。  言わば、影を直視してどうやって光を当てようかというのが小泉内閣の目指す改革であります。そして、その改革によって経済活性化して、国民生活も豊かにしていこうと、デフレ脱却させていこうと、成長率もマイナスからプラスに転じさせようと、そのための改革が必要だとやってきたわけであります。  現に、就任当初から、こういう不景気のときに、物価下落するデフレのときに、改革なくして成長なしというのは間違っていると、むしろこういうときこそ景気対策を積極的にやって、成長させてから改革をしないとますます不良債権は積み重なっていくと。古い不良債権は処理されても新しい不良債権がどんどん出てくるじゃないかと、失業者はどんどん増えていく、倒産件数はますます増えていくと、逆のことをやっているという、いわゆる改革なくして成長なしではなくて成長なくして改革なしだという議論、この論争が行われました。  今四年以上たってみて、どうでしょうか。公共事業増やしたわけじゃない。減税したわけじゃない。財政健全化も果たしながら、できるだけ無駄な公共事業は削減していこう。かつて公共事業費十四兆円以上あったのが、来年度予算には七兆円台に減りました。定率減税、不景気のときに、何としても減税しなきゃいかぬ、公共事業増やさなきゃいかぬ。やったけれども効果がない。公共事業を減らす、定率減税をやめるという中で景気はしっかりとした回復足取りを見せてきたからこそ、昨日、日銀総裁見えておられるけれども金融緩和終結にしようということでしかるべき判断をされたんだと思います。  言わば、私を批判していた点と逆の方向になっているじゃないですか。不良債権は八%台から四%台に低下している。これも目標は達成した。企業倒産数増えているか。そうじゃない。連続して倒産件数は減っている。失業者は増えているか。五・五%から四・五%、減ってきている。有効求人倍率、〇・五から一を回復した。まだミスマッチがあります。各地域は独特の、やればできるんだということでそれぞれの特区構想が出て、やる気を出している地域もある。  しかし、御指摘のように、まだ元気の出ない、景気回復兆しが見えない地域もある。北海道を始め沖縄等についてはまだ東京に比べると影が多いということでありますので、そういう全体の景気が上昇した中でもまだまだ手当てが必要なところはそれなりの手当てをしようじゃないか。あるいは、有効求人倍率がある地域においては一を上回っているけれども、まだ一を回復していない、〇・五、六ぐらいのところもあると。それに対しては特別、地域を指定して特別の、ミスマッチ等企業が採用する多くて、人手が足りないところもあるけども、逆に失業者が多いところもあるから、そういう点については、特別に地域を重点的に絞って失業者が職を持つことができるような手当てをしようと、きめ細かい手当てをしていこうということでありますので、ようやくデフレ脱却兆しが見えたかなというところで、昨日、日銀総裁の、金融緩和策解除すると、正常化に向けてこれからきめ細かい金融政策を打っていこうという発表がなされたわけでありますので、このしっかりとした景気回復足取りを、更に改革を進めて、国民生活を豊かにするための改革を今後も続けていきたいと思っております。
  6. 岩井國臣

    岩井國臣君 おっしゃるとおりでございます。小泉改革は大成功というか、正しい路線をやってこられたのだと思います。ようやくデフレ脱却兆しが見えてきた、経済に明るいものが見えてきた。その反面、今までいろんなところで小さな小さな影が増えてきておりますから、そこへ光を当てる政策が必要ではなかろうかと。今、総理も大体そういう趣旨のことをおっしゃったんだと思います。  それで、ちょっと北海道の方から声が出ておりましたんで、経済産業省にお尋ねしたいと思います。  私、北海道に比較的よく行くわけでございまして、北海道からいろんな陳情を受けるわけであります。で、北海道企業についてお聞きしたいと思います。  北海道企業景況感、統計的な数字はともかくとして、景況感はますます悪くなっておりませんでしょうか。北海道企業に関する現状認識対応方針をお伺いしたいと思います。
  7. 奥田真弥

    政府参考人奥田真弥君) お答えいたします。  北海道景況は、やっぱり全国との比較で見てまいりますと、まだ厳しさが残っているというふうに認識をしております。  北海道内の企業を見てまいりますと、製造業に比べ建設業ですとか小売業景況がより厳しいと感じておりますし、また、大企業に比べまして中小企業が先行きが一層厳しくなるだろうという声が多くなっております。また、道内の雇用動向を見ますと、道南部よりも道北部は厳しいというような状況でございます。このように、業種とか企業規模でございますとか地域間で景況感にばらつきが見られるという状況でございますけれども北海道全体で見ますと、設備投資とか雇用面で明るい動きが見られ、緩やかに改善をしているというふうに認識をいたしております。  こうした状況の中、北海道を含め地域経済活性化は、地域の発展のみならず、我が国全体の経済成長を達成していく上で欠くことができない重要な課題でございますので、経済産業省におきましても、現在策定中の新経済成長戦略の柱の一つといたしまして地域経済活性化に向けた取組を行っているところでございます。
  8. 岩井國臣

    岩井國臣君 日本経済全般が明るいものが見えてきているんですよ。そういう状況の中でいろいろと光の部分と影の部分があるのではないか、もうぼちぼち影の部分に光を当てていくべきではないかということで言っているわけです。  で、地域格差は間違いなくあると思いますよ。総務大臣の御認識、いかがでしょうか。
  9. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 地域格差の問題でございますが、御指摘のとおり、確かに地域において格差があるというふうに思っております。これはこれまでもありましたし、景気が急速に回復する中でそういう部分が特に目立っているという認識を私も持っております。また、難しいのは、同じ地域の中でも、例えば私の出身和歌山県なら和歌山県の中でも、和歌山市を中心とする地域とそうではない地域格差がどうしても出がちであるという問題を抱えていると思います。  なかなか打ち出の小づちというのはないわけでございますけれども地方でできることは地方でという政策を貫いて、そういう改革の中で地方創意工夫を発揮していただく、一方で交付税等々の必要な措置をこう組み合わせていく、そういう中で各地域がしっかりと前に進めるように、更に正に光を当てていく必要があるというふうに思っております。
  10. 岩井國臣

    岩井國臣君 国土交通大臣にお尋ねしたいと思いますけれども中小建設業ですね、私も中小建設業の皆さんとお付き合いすることが多いわけでありますが、悲鳴が聞こえてきませんか。全国における現状認識対応方針をお聞かせいただきたいと思います。
  11. 江崎鐵磨

    ○副大臣江崎鐵磨君) まずもって岩井先生にお話ししなければなりません。それは、第二次小泉政権下にあって、岩井先生国土交通の副大臣伊達先生政務官であります。瞬時、私も同じ立場で第三次の国土交通留任させていただいたときに、大変御指導をいただいたことを昨日のように思い起こしておるような次第であります。  何よりも岩井先生よく御存じのとおりであります、旧建設省河川の御出身であるときに、今の中小中堅というか、零細企業も含まれておりますが、社会資本整備の担い手であり、基幹産業として多くの就業チャンス雇用機会、こうしたことにどれほど貢献しているかといったことは、委員認識のとおりであります。  災害時やその復旧過程における迅速な対応と併せて、建設業に寄せられる期待は更に大きいものがあります。特に、小泉政権にあって、災害に強い安心、安全な国土の形成は、正に建設業中小零細中堅企業の双肩に掛かっていると言っても決して過言ではありません。  今、建設業は、建設投資の急速な減少により過剰供給構造となっております。特に、公共事業への依存度が高い地域中小中堅建設業は厳しい経営環境に直面いたしておりますこと、現状、私ども選挙区に帰って、悲鳴はよく聞こえております。このため、国土交通省では、経営基盤の強化に向けた新分野進出等経営革新の取組促進するとともに、技術と経営に優れた企業が伸びることができる環境整備づくりに今後一生懸命努めなければならないといった強い思いを、小泉総理共々、北側大臣共々取り組んでまいりますので、よろしくお願いをいたします。
  12. 岩井國臣

    岩井國臣君 去る一月十八日だったと思いますけど、内外情勢調査会主催講演会がありました。そこで、「これからの世界経済日本課題」と題しまして、日本経団連奥田会長講演をなさいました。その中でこういうくだりがあります。日本経済に曙光が見えてきた背景には、小泉政権が進めてきた構造改革民間企業による経営革新努力とが相まって進んできたということが挙げられるものと存じますと。小泉改革は、小さな政府を目指して官から民へという流れをつくってきたという点で大変重要な役割を果たしてきたわけでありますが、改革はまだ途上にあり、課題も数多く残されているのが現実であります。  要は、小泉改革は大成功だということでしょう。しかし、課題は数多く残されているので、先ほども総理おっしゃったと思いますが、改革の火は消してならないし、そういう影の部分にもぼちぼち光を当てていかなければならない、そう思うわけであります。私が思うに、いろんな課題たくさんあるんでございますけれども、当面の課題量的緩和政策解除に関連する問題だと思います。そこで、これからまずはその問題に焦点を当てて質問させていただきたいと思います。  まず、財務大臣にお尋ねいたしますが、デフレ脱却とはどういう状態を言うのか。まだデフレ脱却兆しは見えてきたけれども、まだ脱却という段階ではないわけですね。ですけれどもデフレ脱却というのはどういう状態を言うのか、国民にも分かりやすく説明する必要があると思います。財務大臣、いかがでしょうか。
  13. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) デフレというのは継続的に物価下落していくことですから、デフレ脱却というのは、その状況を脱して、もうそういうデフレ状況に陥らないと、再び陥らないだろうと、こういうことになるとデフレ脱却と言えるんだろうと思います。  政府としてそれをどう判断していくかということになりますと、経済財政政策経済分析を担当する内閣府が私ども財務省等関係の省庁とも相談しながら政府として判断することになるんだろうと、与謝野大臣のところで御判断をされるんだろうというふうに思っておりますが、いずれにせよ、足下の物価動向というだけではなく、いろんな指標、経済情勢等を総合的に判断しなければならないんだろうというふうに考えております。
  14. 岩井國臣

    岩井國臣君 まあそういうことなんだろうと思いますけれども、やっぱり国民に分かりにくいですね。  IMFでは、二年間物価が下がらないという、まあそれだけじゃないと思いますよ、それだけじゃないと思いますけれども、二年間は物価下落がありませんよという、そういう一つの考え方というのがあるやに僕は聞いているんですけれども、その問題詰めてもちょっとあれですけれども、ちょっとやっぱり分かりにくいんですよね。ですから、いつデフレ脱却宣言が来るのかなと、こう思ったりするわけです。それがやはり国の財政政策とも関連してくるんですよね。  そこで、日銀総裁に、今日ありがとうございます、お越しいただいて。日銀総裁は、もう既に、もう世界日銀総裁と、世界福井大変評判が高いかと思いますが、更に今回の金融緩和政策解除でその世界的な地位を固められたんじゃないかという感じも、非常にいい判断をなさったと思います。さすがだなと思うわけであります。  そこで、ちょっとこれまあなかなか難しいのかも分かりませんが、いずれデフレ脱却しなきゃいかぬ。今兆しが見えてきた。だけど、そのデフレ脱却宣言というのは大体いつごろと見ておられますでしょうかね。ちょっと次のまた、ここ、財務大臣に対する質問と関連しますので、デフレ脱却宣言、それまで、金融政策としてはデフレ脱却宣言までどういう政策を講じようとなさっておるのか。いつごろとみなしておるのか、それまでは日銀としてはどういう政策をやろうとしておられるのか、そこをちょっと御説明いただけませんでしょうか。
  15. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) ただいま委員が御指摘なさいましたとおり、デフレとはどういう状況かというのは、論ずる方によりまして多少この観点が違います。したがいまして、デフレ脱却時点というものにつきましても、あらゆる人が今だというふうに完全に納得するような一つ時点というのを見いだし得るのかどうか、私は幾らか疑問に思っております。  ただ、これまでの経済の推移をごらんになられましても、物価下落経済下落するという段階から、物価下落をし続けているけれども経済は幾らか良くなってきたという段階、それから物価が安定し経済も良くなっていく、それが定着し長続きするというふうに、こういうふうにいい方向には段階的に変わっていくというふうに思います。  現在ただいまの時点は、景気が着実に回復を続ける中で、少なくとも消費者物価指数で見る限り、前年比がプラスに転じました。そのプラスの基調はこれから定着していくだろうと、こういうふうに思っておりますので、委員がおっしゃいました望ましい方向に向けて着実に歩を進めていると、こういうふうに思います。  したがいまして、私ども昨日取らしていただきました政策は、経済が最悪の事態を脱して着実にいい方向に向かっているこの段階で、言わば過ぎたるは及ばざるがごとしと言われかねない異例な政策について、通過点を経過さしていただきました。  しかし、大事なことはここから先でありまして、物価安定の下に持続的な経済の拡大ということをしっかり確保していく、しかも大きな波を打たせないで長期的にこれを確保していかないと日本経済競争力も付きませんし、これから目指していく財政再建の軌道もしっかりしてこないということでございます。  したがいまして、私どもは、この先、景気が着実に回復する中で、物価上昇圧力が高まってくるということでない限りは極めて低い金利で緩和的な環境を提供し続けたい、少なくとも当面はそうできるだろうというふうに思っております。
  16. 岩井國臣

    岩井國臣君 これはやはり政府全体として一日も早いデフレ脱却を私は目指すべきであろうというふうに思います。そして、そのためには日銀財務省が力を合わせることが必要だと思います。それはまあ当然のことだろうと思うんですね。その点、財務大臣はどのような認識持っておられるのか。私には、政府側がというか財務省がといいますか、日銀にちょっと頼り過ぎてやせぬのかなと、そんな気もするわけですよ。  で、財務大臣は、デフレ脱却のため今後どのような財政運営をお考えなのか、その点について御説明願いたいと思います。
  17. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、岩井委員がおっしゃいますように、デフレ、まだ緩やかながら続いておりますので、これを克服するには政府日銀、車の両輪のように当たっていかなきゃいけないと、私も全くそういう認識でおります。  で、今年一月二十日に閣議決定されました「改革と展望」の中にもそういう趣旨が書き込まれているところでございまして、これに従って政策運営に当たっているわけですが、そのとき、日銀政府の役割分担と申しますか、どうなっているかということでございますが、政府としては、小泉内閣の下では、民間需要とか雇用の拡大に力を入れて、そして併せて規制金融税制、歳出の分野を中心とした構造改革を進めながらやってきたということでございますが、岩井先生、やや日銀金融政策に頼り過ぎて、恐らくお気持ちは財政ももう少し前に出るべきではないかという御趣旨だろうと思います。  それで、率直に申し上げますと、今民間の需要や雇用拡大を中心にと言ってまいりましたのは、なかなか、これだけ公債発行残高もたまってまいりますと、財政として取れる手段も限られていると。これ以上例えば公債発行残高をどんどんどんどん膨らましていくと、政府はそういう財政運営の態度だということになりますと、なかなかその国債に対するいわゆるリスクプレミアムみたいなものに対する姿勢も示しにくいというようなこともございまして、従来、その民間需要中心にやってきて、それは、先ほど総理からの御答弁にもありましたように、そういう民間の内需を中心に着実に景気回復してきたということだろうと思います。  したがって、そこを、ある見方からすると、財政があんまり表に出られないから日銀金融政策ばっかり正面に出過ぎたという御評価もあるのかもしれません。現実、今までできることといったらそういうことであったと思いますし、私どもはそういう中で、できるだけ無駄を省いて財政の出動も効率的に、重点的にやっていくというようなことで一生懸命やらしてきていただいたということでございます。  今後とも、しかしそういう情勢はそう簡単に、財政の出番というのはそう簡単に変えられる状況ではないと私は思っておりますので、今までのような効率化、重点化ということと併せて日銀と一緒になって努力をしたいと思っているわけであります。
  18. 岩井國臣

    岩井國臣君 再度申し上げますけど、小泉改革は大成功であったというふうに私も考えております。しかし、課題は大変たくさん残っておると。  で、量的緩和の解除に関連して今幾つか質問させていただいたわけでありますけれども、将来における最大の問題は、今財務大臣のお口からも出ましたけれども財政再建ですよね。  で、これから若干財政再建の問題につきまして質問させていただきたいと思います。  赤字国債がどんどん増えていますよね。物すごく増えている。現在、その累積債務は幾らになっておりますでしょうか。財政法の第四条に書かれた国債は省いてください。国の財政運営の基本を定めた法律は言うまでもなく財政法ですよね。その財政法にはなぜ赤字国債のことが書いてないのか、国民に分かりやすく説明してください。借金にも良い借金と悪い借金があるのじゃありませんか。赤字国債が増えている原因は無駄な公共事業だというような喧伝、宣伝がなされておりますけれども、それは間違いではありませんか、財務大臣
  19. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 赤字国債の今、発行残高がどれだけかと。これ、法律の用語では特例公債と言っておりますが、特例公債の残高は二百九十六兆円、平成十八年度末時点でございます。これは普通国債残高は全部で五百四十二兆でございますが、そのうち二百九十六兆が特例公債であると。  そこで今、岩井先生が、財政法は、財政法四条は赤字国債なんということを触れてないじゃないかと、それはなぜかということでございました。  それで、いわゆる赤字国債、特例公債は、その税収それから税外収入を加えて、そして建設公債を発行してもなお不足する一般会計歳出の財源に充てるため、足らず前に充てるために発行されるものでございますが、財政法では、本来、財政は健全主義でいかなければいけないということで、国債の発行は、特例公債は本当は認めていないんでございます、財政法は。  それで、ただ公共事業費と、国の資産を公共事業費等は、例えば橋を架ければ橋という国の資産が残る、道路を造れば道路という国の資産が残る、それでその資産からの受益というものが将来の国民にも続いていくと、そういうことだから、そっちの方はまあ建設国債として認めよう。ですから、財政法四条というのは、建設国債は出していいということになっておりますが、特例公債と、要するに借金のための借金というのはいかぬのだという仕組みで作られているわけでございます。  したがって、特例公債については別の法律をもって出しておりまして、要するに財政法の原則ではない、まあ特例である、例外であるという位置付けで、毎年度、法律をもって国会の議決をいただきながら、国会に監視していただきながらやっていると、こういうことでございます。  それで、なぜ特例公債が、赤字公債が増えてきたかということでございますが、これは近年、要するに入りと出のギャップが非常に大きくなってまいりまして、増加してまいりました。その大きな要因は、高齢化が進んでまいりましてどうしても社会保障関係費が増えてくると。その一方、景気の低迷で減税が、景気の低迷を支えようというんで減税をしたり、税収そのものが落ちていたというようなことでギャップが増えてきたと。ただし、公共事業についても、過去にその事業を行ったときに発行されました建設公債について、その利払い、償還のために十分財源が、現金があればいいわけですが、そういう税収が確保されないときには、その財源は特例公債によることになるという点はございます。  いずれにしても、その我が国の財政は、建設・特例公債を含めて、国、地方の長期債務残高がGDPの一五〇%を超えて、主要国では一番、主要先進国では一番悪い状況でございますので、財政運営のこの信認を維持していくという観点からは、この長期債務残高、国、地方を通じてGDP比で見て、安定的に引き下げていくというようなことも視野に入れながら、対応をきちっと議論していかなければいけないということだろうと思っております。
  20. 岩井國臣

    岩井國臣君 バランスシートの問題は後ほど触れさせていただきますけれども、まず赤字国債と建設国債の違いですよね、歴然と違いがあるわけでありますから、そういうことについて広く国民の皆さんにも私は知っていただいた上でいろんな議論をしていただくということが大事じゃないかなと思うんですね。  そこで、国土交通大臣にお尋ねいたしますけれども、赤字国債が増えている原因は社会保障関係予算であって、決して公共事業ではないわけです。にもかかわらず、赤字国債の原因があたかも公共事業のように宣伝され、そして公共事業がどんどん減らされておる。まだまだ減らそうとする動きもあるわけですね。そんなことでいいんですか。また、無駄な公共事業ということが宣伝されておりますけれども公共事業はまだまだ必要なのではありませんか。国土交通大臣認識を述べてください。
  21. 江崎鐵磨

    ○副大臣江崎鐵磨君) 岩井委員おっしゃるとおりであると同時に、社会資本の水準、もう全体としては着実に進展してきております。  例えば、昭和五十四年度から平成十六年度までの二十五年間、釈迦に説法でありますが、高規格幹線道路の延長、二千五百七十九キロから八千七百三十キロであります。何と三・三九倍。そして、河川は特に御専門であられます。河川の直轄区間の堤防整備、約四〇%から約五八%、一・四五倍。下水道処理人口の普及率、これはやっぱり世界日本と言われるときにもっともっと普及率を上げなければなりませんが、約二八%から六八%へと二・四三倍に至っております。それぞれ着実に進捗していると言っても過言ではなかろうかなといった気持ちを持ちます。  その一方で、これから重点的な整備に取り組むべき分野も顕在化しなければなりません。具体的に国民皆さんの安全、安心を確保するための集中豪雨災害対策や市街地大火に脆弱な密集市街地対策、そして開かずの踏切、この解消等の住宅対策、三番目に、我が国の国際競争力の強化を図るための環状道路の整備やスーパー中枢港湾プロジェクト推進。特に、小泉総理になられたときに、経済産業大臣そして北側大臣共々、観光立国日本、観光立県日本、ようこそジャパンといったことやら、地域振興につながる町づくりや道路のインフラ整備、真剣に取り組んでいく必要、大いにあるわけであります。  国の公共投資につきましては、「改革と展望」、これは平成十四年の一月二十五日閣議決定されましたが、それに従い抑制してまいりましたその目安はおおむね達成されたものと私ども理解しております。  国土交通省では、地域間競争の条件整備や個性ある地域づくりという観点も踏まえ、限られた予算を最大限に活用し、重点的、効率的かつ効果的な整備に努めてまいりますので、岩井先生始め委員の皆さんの格段の御協力をお願い申し上げます。
  22. 岩井國臣

    岩井國臣君 我々もさることながら、国会議員もさることながら、やっぱり国民の皆さんに正しい認識持ってもらわないかぬわけですからね、それ、ひとつ江崎大臣、頑張ってやってください。いや、いいです、いいです。  それで、次、コストの問題ですね、公共事業のコストの問題に移りたいと思います。  耐震設計偽装問題に見られますように、近年、企業倫理が落ちているように思われます。悪徳業者というのはちょっと言い過ぎかも分かりませんが、悪徳業者が増えているんじゃないかということですね。公共事業について言えば、特に市町村工事において近年ダンピングが横行しました、ひどいダンピング。手抜き工事が大変心配されております。総務大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  23. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員指摘のように、これ市町村を中心とする地方公共団体が行う公共事業に関しましては、とりわけその品質確保、品質の確保というのは本当に重要な問題だと思います。国民の安全、安心に直結する問題でありますし、これをしっかりやることこそが国民の正に利益になるということだと思います。  やり方としては、幾つかのことを組み合わせてやらなきゃいけないと思いますが、まず、入札に参加しようとする者のやはり経営状況とか実績なんかの参加資格というのをしっかりと十分審査するということが重要でございましょう。そして、低入札価格調査制度というのがございます。また、最低制限価格制度というのがございますから、そういうものをしっかりと活用していくということが第二段階としては重要だと思います。  そして、何よりやはり一番重要なのは、いわゆる価格以外の要素をしっかりとその評価の際に盛り込んでいく総合評価方式、これをしっかりと取り入れていただくということになるんだと思います。もちろん、契約を締結した後についてもしっかりと監督、検査を行うというようなことを、これはもう非常にきめ細かくやっていただかなけりゃいけない問題だと思います。  総務省としては、これまでもダンピングの防止等々の徹底というのを助言してまいりました。これ国土交通省と連名で、平成十四年、十六年、それぞれ文書でそのような助言、指導をしておりますけれども、更に地方公共団体に対してはこのような助言をしていかなければいけないというふうに思っております。
  24. 岩井國臣

    岩井國臣君 事務方から大臣にそのような御説明があったんだろうと思いますね。そのペーパーも事務当局で書いたんですね。実態違いますね。実態は全く違いますね。  昨日でしたか脇先生、我々議員立法ですけど品確法、品質確保の促進のための法律を作ったんですよね。状況がひどいから、このまま放置しておったんでは日本国がおかしくなるんじゃないか、そういう危機感から作ったんですよ。本当はこんなものは閣法でやられてもいいぐらいのものですよ。ですけど、なかなかできないから。総務省がガンなんですよ。それで、なかなかできないから、だからもうやむを得ず議員立法でやったというふうなちょっといきさつがあるんです。  それで、やはり公共事業において手抜き工事というのは許されない。これはもうだれが考えても当たり前のことだと思いますが、それが今だんだんだんだんひどくなってきておるんじゃないでしょうか。僕は会計検査もしっかりしてもらわないかぬと思いますが、私の見るところ、総務大臣ということじゃないですよ、総務省ですよ、総務省というのは無為無策じゃないですか。そういう品確、品質確保促進のための法律ありながら、それは一片の通達を出せばいいという問題ではないんですよ。いまだにまだくじ引ですよ、くじ引の市町村があるんじゃないですか。そんなことでええんですか。
  25. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員指摘のように、事務方に何度も確認しておりますけれども、事務方としてもできることをやっているという報告が上がってくるわけです。  ただ、昨日も確かにここで御指摘いただいて、今も岩井委員から改めて強い御指摘をいただいております。昨日以降、更に大臣として何ができるかということを私も考えているんですが、私が総務大臣就任してから毎月、実は地方六団体と総務大臣との懇談会というのをやっております。そこで、これ知事会長、市長会長、町村会長、それと各議会の会長、皆さん集まりますので、そこで私の方から改めて問題提起を是非今回してみたいと思います。強い御意見が国会でも出されている、そして私自身もそれに対して強い関心を持っていると、総務省としてもしっかりやってもらいたいと思っていると、まず知事会、市長会でもしっかりと対応してもらいたいと、そのような要望をまず私の方からしたいというふうに思っております。
  26. 岩井國臣

    岩井國臣君 これね、やっぱりひどいダンピングがどんどんどんどんひどくなってるんです。そして、ひどいダンピングの場合は手抜き工事が行われる。手抜き工事が行われるだけじゃなくって、やはり一番問題なのは元請から一次下請、二次下請、ピンはね、ピンはね、ピンはねで、最後は現場の労働者にしわが行くんですよ。物すごい状況になってますので、それ、私、そういう実態というものは十分認識していただいた上で、やはりダンピングはなくさないかぬ。やはり適正な価格で仕事ができるようにしていかないと、ピンはね、ピンはね、ピンはねみたいなことで、何か半値八掛け二割引きと言うんですよ。ひどい状況がありますので、そういう実態をよく僕は調べていただきたいと思います。そこはしっかりお願いをしておきたいと思います。  公共事業というものは、国の発展のために必要不可欠のものだと思います。もし無駄があればそれは改めればいいんです。しかし、必要なものはやっぱり必要だ、そういう前提で私は公共事業をてこにした財政再建について質問さしていただきたいと思います。  それで、今審議しておりますいわゆる当初予算、当初予算の今審議しているわけでございますが、こういう厳しい税収状況の中で、まあこれでやむを得ないというか、これがベストの案であろうと思います。これはこれでいいと思います。しかし、これからの経済情勢を見ながら、デフレ脱却のために積極的な財政運営がやっぱり僕は必要ではないかと、私の考えはそういうことでございまして、そういう立場でございます。そういう立場から幾つかの質問さしていただきたいと思います。  まず、財務大臣でありますが、昨日、日銀量的緩和政策解除されました。解除することの是非、解除された後の対策などかんかんがくがくの議論がありましたけれども、この点、もう何度か何かお聞きしたような感じはするんですけど、この点もう一度、財務大臣としてどのようにお考えになっているのか、再度お聞きしたいと思います。  今ようやくデフレ脱却しつつありますけれども、量的緩和を解除したらまたぞろデフレに戻るのではないか、そういう心配する向きも少なくないんですね。で、デフレ脱却には日銀に任せるだけではなくって、やはり財務省も責任を持つべきであるんではないかと思うんです。それで、グリーンスパンの後を受けて、連邦準備制度理事会、FRB議長になられましたベン・バーナンキが言っておられます。これはもう、一九三〇年の世界恐慌の研究をされて、この種の問題の私は第一人者ではないかと思うんですが、バーナンキが言われるように、やはりポリシーミックスというものが大事で、財務省とそれから日銀とがやはりポリシーミックス、力を合わせてやっていくということが今こそ、今こそ求められているのではないかと。  財務大臣にお聞きします。私は、デフレ脱却が確実になるためには、やはり何度も言うようですけど、積極的な財政運営が不可欠だと、そんなふうに思っている。財務省は、まずは徹底した歳出削減に取り組んだ上で、上で消費税の増税をお考えのようでございますけれども、私は、その前にもっと財政出動による積極財政運営をやるべきではないかと、そのように思うんでございますけど、いかがでしょうか。
  27. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) まず、日銀の昨日の決定でございますね。私は、これは日銀の中で十分議論をされてこういう結論を出された、私はその結論を尊重をいたしたいと思っております。  ただ、先ほどから岩井委員がおっしゃられておりますように、まだ現状は緩やかながらデフレが続いておりますので、今後ともこの脱却に向けて努力しなければいけない。それで、昨日の日銀のお決めになりました中でも、今後引き続きゼロ金利を継続して、経済、実体経済を下支えしようと、それから市場全般に目配りをしながらやっていこうという姿勢を示していただいておりまして、非常に有り難いことだと思っているわけでございます。  それで、その上でデフレ脱却のために積極財政、財政ももっと前に出ろという岩井委員の御主張でございますが、これは我が国も公債依存度が四割近くになる、平成十八年度も三七・六%公債依存率でございますし、先ほどの繰り返しでございますが、国、地方合わせて、公債の、長期公債残高がGDP一五〇%になるというような状況でございますので、これは引き続き財政構造改革に取り組む必要があると。無駄な歳出を徹底的に切り詰める、それから無駄なところに出ているものをできるだけ有効なところに使っていくと、こういう努力は徹底的にやらなければならないと思っております。  そこで、公共事業等々の関係でございますが、今まで随分公共事業の歳出は圧縮をしてきたことは事実でございます。それで、先ほど江崎大臣からもお話がありましたように、いろんなものの整備はかなり進んできたわけでございますし、また公共事業関係予算のGDP比に占める割合等々も諸外国に比べるとまだ高いところがございます。もちろん、委員のお顔を見るとすぐ多分こうおっしゃるだろうというのが思われるわけでありますが、日本は地形も急峻でございますし、災害も多うございますから、そういうようなところにまた十分考えなきゃならない面があることは事実でございますけれども、引き続き、やはりこの辺は重点化、効率化、こういうことをしていく必要があるのではないかと思っているところでございます。
  28. 岩井國臣

    岩井國臣君 ちょっと時間が、私の持ち時間がなくなってきたんで、本当は今日バランスシートの話を財政再建と重要な関係持っていますんで議論したかったんですが、またの機会にさしていただきますが。この資料を、国民経済計算書、企画庁が、経済企画庁があって、今、内閣府になっていると思いますけど、ずっとバランスシートを作っている。財務省のバランスシート、この違いがある、それから世界の考え方とどう違うのとか、いろいろちょっと疑問点がありますので、それはまた後日何かの機会でやらさしていただくということにしまして、今日はちょっと問題提起だけに終わらさしていただきたいと思います。  終わります、私は。ありがとうございました。
  29. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で岩井國臣君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  30. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、森元恒雄君の質疑を行います。森元恒雄君。
  31. 森元恒雄

    森元恒雄君 自由民主党の森元でございます。数点お聞きしたいと思います。  まず、第一点は少子化対策でございます。  合計特殊出生率が一・二九、恐らく今年の六月ごろに出る数字がまた下がるんじゃないかなとさえ言われておりまして、少子化に歯止めが掛かりません。で、このまま推移しますと、今世紀末には日本の人口は五千万人を切ると、五百年後には縄文時代の十万人になるとさえ言われておりまして、この国の危機存亡が懸かっている問題ではないのかなというふうに思います。  自民党の中でも、ここ数年、本当にいろんな調査会等で真剣な議論をしておりますが、残念ながら思い切った施策が今のところ打ち出されていないというのが実情かなと思います。  で、これはやっぱり若い女性の方々のみならず、男性も含めて、日本人の生きざま、人生観、そういうものに深くかかわる問題でありますから、国や自治体がいろいろ手を打てることには限界があると思いますけれども、しかし、そうかといってこのまま手をこまぬいておったんでは今申し上げたような状態になりかねない。  こういう中で、総理としてはこの問題をどう認識され、またどこに根本的な原因があるというふうにお考えか、まずお聞きをしたいと思います。
  32. 小野清子

    委員長小野清子君) 総理ですか。
  33. 森元恒雄

    森元恒雄君 はい。総理
  34. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 少子化の流れを止めなくてはならないということについては同じ認識だと思いますが、どこに原因があるかといいますと、この少子化の原因というのは、一つ二つと、これだというものは、なかなか特定するのは難しいと思うんですね。  全般的に見まして、経済水準が高い国ほど少子化の傾向を持っていると。ところが、経済的負担が多いから子供が生まれないという指摘を度々受けるわけであります。世界が人口爆発と言われるぐらい、増えている地域経済的に恵まれない地域であります。そういう比較的に経済的に恵まれているところほど少子化傾向にあるということでありますので、これはなかなか一概には言えませんが、やはり多くの識者に言わせますと、今、一つの大きな原因として晩婚化、そして結婚する割合が少なくなっていると。同時にまた、男女共同参画時代となりまして、子供を持つ負担を多く感ずると、女性も男性も。子供ができた場合に、いわゆる、かつてだったらば子供を面倒見てくれる家族が多かったと。おじいちゃん、おばあちゃん、両親、いわゆる大世帯といいますかね、二世代、三世代、そういう家族が多かった。しかし、都市化の流れでだんだん核家族化してきたと。  そういう点もありますので、私は、一概にこれが少子化の原因だということはなかなか決め切れないというのが率直な私の考えでございます。
  35. 森元恒雄

    森元恒雄君 それはお考えは分かりましたけれども、それだとじゃどういう手を打ったらいいのかというところにつながってこないんですね。  私は、一つの、今総理もおっしゃられたように、様々な要素が絡んでいると思いますが、一つはやっぱり子供の家庭や社会における役割が大きく変わってきたんじゃないか。昔はやっぱり農家とか商店が主ですから、子供が一家の重要な働き手として期待をされ、また老後は子供に面倒を見てもらわないと生活がおぼつかない。そのことが、サラリーマン化社会になり、あるいは社会保障制度が充実して今や六、七割の人が年金だけで生活するというような時代ですから、子供に余り頼らなくていい、また頼れないと。そうすると、子供は少ない一人か二人を手塩に掛けて大事に立派に育てたい、そうするとお金が掛かる、そうするとというような循環があるんじゃないかなというのが一つ。  それから、やはり日本の場合には、いったん会社なんかに勤めましても、結婚したり出産、育児になりますとそのまま勤務が続けられない、いったん退職して家事、育児に専念しないといかぬという人が多いんじゃないかな。そうすると、働き続けた場合といったんリタイアした場合とでは生涯所得に大変な額の差がある。一々そんなことは一人一人の人が計算しているわけじゃないと思いますが、漠然と分かるわけですね。そういうこととか、あるいは今申し上げたような、親の気持ちからして教育に十分お金を掛けて立派に育てたいという、経済的な負担がやっぱり重いと。そんなたくさんもう育てられない、こういうことが主じゃないかなと。  だから、そこのところをやっぱり国としても手を打たないと、原因がいろいろで分からないという状態だとこれ改善、いつまでたってもしないんじゃないかなという心配をするんですけど、いかがでございましょうか。
  36. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は率直に御質問に答えているんであって、どういう原因かという質問だったから、特定できないと。しかしながら、就任以来できるだけ、女性も仕事を持ちたいでしょうと。男は仕事、女は家事、育児という時代から、男も女も仕事も家事も育児もともに協力しようという時代になったわけで、そうした場合に、女性が子供を産んで、男も夫婦共々働くということになると、子供を預かってくれるところがいないということで、四年前ですか、今待機児童、子供を預かっている保育園あれば仕事に出れるんだけどなということで、仕事を持っている女性の一番の希望しているところ、要望しているところは預かっている保育所を増やしてほしいということで、待機児童ゼロ作戦ということを最初の所信表明で私は申し上げました。  当時は十五万人待機児童がいるからこれを何とか解消してほしいということで、待機児童ゼロ作戦ということで、十五万人ちゃんと保育所に入れるようにいたしましょうと。一年間五万、二年間十万、三年間十五万人、目標どおり、予定どおりそれを達成しました。  しかし、達成した時点で、目標のときの十五万人いれば大丈夫だというのは、いざ達成してみるとまだ足りないということでありますから、足りない分は更に手当てをしましょうということで予算も付けております。  そういう待機児童ゼロ作戦と同時に、来年度予算、今御審議いただいている予算の中でも、やはり経済的負担が多いんじゃないかと、これを思うと子供を産みたくても産む意欲がそがれてしまうということで、じゃ、経済的な負担を少しでも和らげようということで児童手当を拡充しようということで、この児童手当を拡充していくという予算も組んでおります。  このように、様々な手を皆さんの御意見を参考にしながら打っていくわけでありますけれども、それでも現在は赤ちゃんの生まれる数が戦後の一番多かった時代からもう半分以下になっちゃうと。どうやってこの流れを止めていこうかということでありますし、今更大世帯、大家族制がいいといっても、そういう時代でもない。  そして、人生五十年、六十年の時代から人生八十年になっていますから、子供が親の介護を、世話をする時代から、むしろ親が親を世話すると。六十代の親が八十代過ぎた親を介護するという時代、今まで人生五十年の時代からは想像できないような時代にもなってきております。そういう社会情勢の大きな変化にどう対応していくか。  そして最近は、結婚する日本の家族二十組に一組かあるいは十五組に一組が国際結婚だと聞いております。もう気付かないところで、目に見えないところで国際化が進んでいる、そういうことも考えながら様々な対策を打っていかなきゃならない。四十人に一人、三十人に一人がもう外国人と結婚していると、結婚する世代ですね。そういうことも考えますと、大きく時代が変わってきたなと印象を持ちますので、国会での御議論を踏まえながら、今まで打ってきた少子化対策あるいは男女共同参画時代の対策だけでは足りないので、今後、皆さんの知恵をかりて様々な少子化の流れを食い止める対策を打たなきゃならないと思っております。
  37. 森元恒雄

    森元恒雄君 そんな中で、私は、やっぱり育児休業給がしっかりと給付される、また取りやすい環境にあるということが非常に大事じゃないかなというふうに思います。  数日前に厚生労働省が発表した国民の生活に関する継続調査の結果を見ましても、育児休業給制度がある場合の女性はそうでない人に比べて三倍出生率が違うというような結果も出ております。ただ、残念ながら、まだ今の日本の実情を見ますと、大企業に勤めておられる方は比較的、八割近く女性の場合育児休業取っておられますが、これが中小企業になりますと、五割、六割というような段階でありますし、さらに取っておられる期間も一年を満たないというのが約半分でございます。  この育児休業が中小企業の場合にはなかなか出しづらい、取りにくいという実情にあると思いますが、そういうものを政策的にてこ入れするということが大事ではないかと思いますが、もしそのお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  38. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は厚生大臣を経験しましたから、そういうような御指名があるんだと思いますけれども、育児休業制度も随分拡充してまいりました。  これにつきましても、最近の調査におきましても、男が育児を手伝ってくれた方が女性にとって子供を産みやすいというふうな調査も出ておりますし、育児休業制度ありながら、取ると会社にいにくいとか、あるいは復帰しにくいという傾向、意識の面において、会社の経営者の面においても意識を改革していかなきゃならない。そういう点もありますので、育児休業制度というものについて、ともに夫も妻もこれを有効に活用するということについては、当事者のみならず経営者も会社の幹部も、嫌な顔せずに、むしろ奨励して、またいつでも会社に戻ってほしいというような意識も必要ではないか。  現に、先日も会社の経営者から話を聞いたんですけれども、女性が多く活躍できる会社ほど業績がいいと、女性に幹部社員がいるところほど実際業績がいいんだ、データを示して私に示してくれました。一般の社会は、出産で休業しちゃう女性は採りたくないという会社はこれから伸びないんだというふうな話を、現実の経営者から話聞きましたよ。なるほどなと。やっぱり女性に働きやすい職場を経営者も考えてもらう、そして優秀な社員、妊娠をして出産を控えている、あるいは出産をして一時仕事を離れなきゃならないけれども、また戻ってきてほしいという、そういう会社ほどこれからますます多くの人からも評価を受けるし、業績も上がるんだという話を聞きまして、なるほどなという認識をしたんですけれども、そういう経営者の意識の改革も必要ではないかと思っております。
  39. 森元恒雄

    森元恒雄君 今、大変明るい展望が見えるお話をお聞きして、まあ本当、私も是非そういうふうに経営者の方が考えを持ってもらえればなと思います。  それともう一つは、やっぱり女性だけではなくて男性の協力が必要だと思う。男性が育児休業給を取るというまでは別としても、やっぱり子育ての期間中ぐらいは五時過ぎは赤ちょうちんに誘わない、マージャンに誘わないと、そういう企業風土をつくるということも大事じゃないかなというふうに思います。  与謝野大臣にこれはお聞きしたいと思いますが、六月に骨太の方針で、社会保障関係については給付と負担関係についての選択肢を幾つか示すというふうに伺っておるわけですけれども、私は少子化対策についても、やっぱりこれだけの、国の屋台骨にかかわる問題ですので、その政策の手段と負担、そしてその効果みたいなものをやっぱりしっかりとお示しをいただくということが重要ではないかなと思うんですが、どういうふうにお考えか、お聞きしたいと思います。
  40. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 猪口大臣がおられれば詳しくお答えするところでございますけれども、やはり骨太方針に当然取り入れて、政府の方針として力強く推進していくということは非常に大事だと私は思っております。  一つは、まあ職場の環境の問題、あるいは経済的な税制あるいは予算、その他の面での支援、もろもろの政府あるいは地方自治体ができる政策はございますけれども、やっぱりもう一つは親になるべき方々の意識の問題もありまして、政策になじむものと、それから社会全体の意識の問題と、両方の問題がございますけれども、具体的な政策ということであれば、当然のごとく、やはり政府の最も重要な政策として骨太方針の中できちんと書いて、それを推進していく体制を取らなければならないと思っております。
  41. 森元恒雄

    森元恒雄君 まあ少子化対策は、いろんな手を打ち多少効果が仮に上がったとしても、私は、日本の人口減少をストップさせる、あるいは反転、上昇、増加させるということはもうほとんど不可能に近いだろうと思うんですね。減り方のスピードが多少緩くなる程度の効果しか、まあやっぱりどんなことをやっても出せないんじゃないかな。  そうしますと、やっぱりそういう状況の中で、労働人口が減っていく中で、国の経済成長を維持していく、国力を維持していくということを考えないといけないわけですが、そのためには何が必要かといえば、やっぱり一人ずつの労働生産性を上げるしかないと思うんです。労働生産性を上げる手段として、手法として、総理としては何が一番大事だと考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  42. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今委員のお話のように、これから人口減少社会に入っていくというのは、相当いろんな政策的努力をしても、すぐに反転するというのは不可能だろうと思います。それと同時に、国際的な競争も非常に厳しくなっておりますので、そういう中で日本がきちっと存在感を発揮し、魅力ある国であり続けるためには何をしたらいいかということになれば、委員のおっしゃるように、日本は人材しか結局最後はないわけでございますから、いかに一人一人の人材を磨いていくかということに帰するのではないかと思っておりまして、そのためには教育の役割、教育に対する投資というようなことが私は基本的に必要なのではないかと思っているところでございます。  そこで、平成十八年度予算で何をやったかということを簡単に申し上げますと、義務教育費国庫負担金や国立大学の運営費交付金等々で所要額を確保したということと、各種経費が削減される中で、私大の、私立大学の経常費助成や育英奨学金事業については規模を拡大するというようなことをやりました。  それから、こうした学校教育予算に加えまして、産学連携による教育カリキュラムの作成であるとか、あるいは若者と中小企業のネットワークを構築していくと、こういう産業競争力を向上させて生産性向上に資するための職業教育、人材育成、こういうところにも予算措置を講じております。それから、放送大学への助成など、生涯学習の推進というようなことも重要だと考えておりまして、そこにも措置を講じたわけでございます。  そこで、今後どういうところを考えていくかということになりますと、まあ私の話にはいつもそれが前置きに付いて申し訳ないんですが、厳しい財政事情ということがございますので、教育予算にどれだけ投じたかという視点も私はもちろん必要だろうと思っておりますが、それと同時に、教育の質をどう高めていくかというようなことをとことん努力して広げていく必要があるのではないかと思っております。  こういうことを申し上げますのは、日本の子供たちの数は減ってきておりまして、したがいまして、一人当たり教育予算、全体のGDPは日本は低いという議論もございますけれども、一人当たりの教育予算ということについていきますと、これは相当増えてきているわけであります。  そういう中で、なかなか、教育の問題点というのは常に指摘をされているわけでございますので、どうやって質を高めていくかということを、私ども予算を付けるに当たりましても文部科学省とよく議論をさせていただきたいと思っているところでございます。
  43. 森元恒雄

    森元恒雄君 まあ私は、日本はやっぱり世界の中でも本当胸を張れる教育国家だと、こう確信をしておったんですけれども、ただ、あれですね、税金、公費をどれだけ教育費に投入しているかというので比率で見ると、OECDの中でももう下の方に属していまして、平均で五・一%のところを日本は三・五%、アメリカが平均よりちょっと上の五・三%、それから、教育の水準の非常に高い北欧諸国は大体六%から七%、日本の一・五倍から二倍のお金を使っているわけですね。ですから、七兆円ぐらい更にプラスアルファしないといかぬという規模であります。  なぜ日本がこれだけ少ない中で頑張っているのかといえば、やっぱりその負担は家計に来ているんじゃないかと。その家計負担の最たるものは、私はやっぱり公立学校と私立学校の授業料格差だと思います。多少の差があるんであればともかく、授業料と入学金、これ数字を見ますと、高校のベースで見ますと公立が授業料が、全国平均ですけれども十一万五千円、これに対して私立は三十四万三千円と、三倍の差であります。さらに、それに入学金を加えますと、公立が六千円に対して私立は三十四万五千円と。授業料と入学金合わせますと四倍から五倍という差があるんですね。幼稚園から大学まで私立でいけば、自宅から通うか下宿するかにもよりますけれども、二千万とか三千万、公立の場合に比べて一人当たりの教育費負担が違ってくると。  こんな負担、不公平といいますか、大きな格差をずっと長年そのまま見過ごしてきた状態になっているんですが、私学に通わせている父兄の方々もなぜ怒りを爆発させないであきらめてるというか、納得しているのかなというのがよく私にも分からないんですが、まあそんなものだと思っておられるのか、あるいはまあある期間のことだからということなのかもしれませんが、これが例えば病院とか福祉だと、公立の病院に行こうと私立の病院に行こうと、同じ治療を受けるなら費用負担は同じ。福祉、老人ホームでもそうですね、同じ負担。なぜ、文科省の教育の世界だけこれだけ歴然とした公私間格差があるのかよく理由が分からないんですが、総理はどういうふうにお考えでしょうか。
  44. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 本来ですと小坂大臣が答弁しなきゃいけない話なんですが、おられませんので、代わりに答弁させていただきます。  私立学校と公立の学校、これは昔の国立大学を含めて、少し負担が違い過ぎるんではないかというのはもう何十年も前からの議論でございまして、憲法には、私学にはお金を出してはいけないということが一応書いてあるわけですけれども、そこは国会で、皆さんで知恵を絞って、一度私学振興財団というところにお金を出して、それを更に私立学校の経営に出す、この場合は大学でございますけれども。それからもう一つは、都道府県にお金を出して、私学の高校以下のところにお金を出すということで、多分今年は三千億円ちょっと一応予算に計上されていると思います。私学の御関係者からは、これは決して十分ではないということを言われますし、私も地元の私立学校の大会に呼ばれまして、そういう私学に対する助成をきちんとやれということを言われます。これは聞くべき、傾聴すべき意見が非常にございます。  これは、私学の良さ、公立の良さ、両方とも私はあると思います。そういう意味で、谷垣大臣が受け入れられる範囲の私学振興助成というのは、私は強力にやらなければならないと思っております。
  45. 森元恒雄

    森元恒雄君 この原因は簡単なわけですね。なぜそんなに負担に差があるかといえば、私学の方、これまた高校で見た数字ですけれども、一人当たり三十万の補助を出しているんですね。公立は一人当たり八十五万ぐらいの税金で負担をしているんです。だから負担、税の負担額がもう三倍違うから授業料もそれだけ違うわけです。  ですから、学校で教える中身は全く、公立であろうが私立であろうがほとんどと言っていいぐらい違いがないわけですね。文科省の学習指導要領あるいは検定教科書に沿って授業をやっているわけです。卒業した後の資格も、公立を出た人と私立出た人は全く何も違いありません。そんなに、全く差がないのにかかわらず、負担だけ、何度も言いますが四倍五倍と、これはやっぱり理屈の通らない話ではないのかなと。ここはやはり、過去の経緯はあったとしても、やっぱりいつかの時点で根本的に見直すということが必要ではないかと思います。  これ税金の使い方からいえば、私はある意味では官業の民業圧迫じゃないのかとさえ思うんですけれども総理なり与謝野大臣、お考えをお聞かせいただきたい。
  46. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 森元委員の言われるその理論が私学の方が言っておられる理論そのものでございまして、そういう中には、私先ほど申し上げましたように、うなずける論拠はたくさんあると思っております。ただ、国の財政、地方自治体の財政も無限の力を持っているわけではありませんので、その中から何とかひねり出して昔から私学振興に予算を充てていると、まあそういうことだろうと思っております。
  47. 森元恒雄

    森元恒雄君 これも、私としては、できれば骨太の方針の中での選択肢を提示する一つの項目に出してもらえればなという気持ちを持っております。強く要望しておきたいと思います。  それで、もう一点は、これは総理も、民間でできることは民間にという基本的な路線で進めておられるわけですが、正に、教育のように公立と私立が併存しているということは、民間で十分できるということが実証されているわけです。こういうものを思い切って公立を私学化していくと。ただし、その前提は、私はやっぱり財政措置は、この教育については公立、国公立並みにするという前提で、しかし、運営はできるだけ私学に任せるという方が望ましいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  48. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、幕末、江戸時代も、寺子屋というのは、これは考えてみれば私というか私塾ですね。と同時に、藩校、藩が独自に人材を育成する。両方あったわけですね。そして、やはり身分階級がありましたから、私塾に行けるのはごく限られたと。そこで、明治になってから学制改革なされて、無学の子なからしめるということで全員入学。しかも、公費で学校を建てると。  米百俵を持ち出すまでもなく、明治から教育に力を入れてきて、すべての子弟に教育を受けさせるということでありますが、そういう中でも福沢諭吉、大隈重信、今の慶応、早稲田、公立の中に、一緒に私学の伝統を維持してきているわけでありますので、公立としての役割、国立、公立、私立、それぞれ特色があると思いますが、今の私塾で、私学でできるものなら同じような私学振興のために費用を使えばいいじゃないかという御指摘も分かりますが、一挙に、公立の良さというものもありますから、それを全部私立の方に持っていくというのは現在の状況の中では無理があるものですから、よく私立と公立の役割というものを考えながら財源というものを配分していくべきじゃないかなと思っております。
  49. 森元恒雄

    森元恒雄君 私は、国立大学を国立大学法人化したことは、政府ははっきりと言っていませんけれども一つの私学化の、ある意味では一つのステップかなと受け止めておりますが、高校以下もそういう形を段階的に取っていくことは十分考え得ることではないかなというふうに意見だけ申し上げたいと思います。  最後に、一点だけ申し上げたいと思いますが、地方財政がまた大変財政再建との関係で大きなテーマ、引き続きなっているわけですけれども、先日の経済財政諮問会議の議論の中で、三十三兆円の国から地方への移転支出があると、これが大きな項目だから何とかここを減らさないと国の財政再建がおぼつかないと、こういうような意見が出ておりますが、これ三十三兆円の中には、大きく分けて国庫補助金と地方交付税があって、これを一緒くたに議論するのは私は少々無理があるんじゃないかと。  国庫補助金は国の政策的意図で出すものですけれども地方交付税は言ってみれば地方税の補てん的な要素であると。もし、これ地方税だけで財源が調整、完全に付いているなら、交付税なんて本来要らないものなんです。そういうものを一緒に議論するのは無理があるんじゃないかと思いますが、与謝野大臣の御見解だけ伺いたいと思います。
  50. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 地方財政を応援している方がたくさんおられますので、地方財政、そこに行っておりますお金を削減するという話をするのは政治的に大変難しい話であると思いますけれども財政再建をやっていく場合には、やはり一つの支出の項目としては最大の地方財政は聖域でないということを前提に作業をいたしませんと、歳出削減というものは実現できないと思っております。  地方が言っておられることが真実であり合理的である場合もありますし、もう少し御節約お願いをしなければならないところもありますし、そういうものはこれから総合的に全部点検していかなければならないと。地方財政もまた聖域でないと、そういうことが議論されたと私は思っております。
  51. 森元恒雄

    森元恒雄君 終わります。
  52. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で森元恒雄君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  53. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、若林秀樹君の質疑を行います。若林秀樹君。
  54. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林でございます。  今日、私の方は前座として、まず税財政あるいは所得の再配分について質問をしたいと思います。量的緩和等については、後ほど真打ち峰崎委員が出てきますので、伺いたいというふうに思います。  ただ、量的緩和について私は一つだけ発言させてください。それは、政策決定後の閣僚の発言であります。  私は、政府日銀と一体となって経済運営を負う責任があるわけであります。その責任ある政府の閣僚が決定後に、説明責任を果たしてないとか大変残念な結果であるとか、その責任は日銀にあるなんていうことを言っていいんでしょうか。私は、それは自らが政策効果を足を引っ張っていることになるんですよ。ましてや一番影響力のある竹中大臣、そういうことはやっぱり慎むべきじゃないかと思います。私は、総理のことを褒めるわけじゃないんですけれど、日銀政策決定を尊重する、それが適切な言葉だというふうに思いますが、反省はございませんでしょうか。
  55. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私のコメントを最初から最後まで是非御確認いただきたいんですが、私はまず、これは日銀が独立してお決めになることでございますので、量的緩和の解除云々について私はこれはコメントをいたしませんと。これは、日銀が独立してお決めになるということを申し上げているわけです。で、量的緩和を解除するって、これはもう金融判断でありますから、専門である日銀がお決めになること。私は、ですからコメントをしませんというのは、当然独立してお決めになったことを尊重するということを言っているわけです。  しかし一方で、これは金融政策の中身の話ではなくて、今後例えば説明責任をどう果たしていくかについては、これはこれまでも私も、私自身も意見を申し上げてまいりました。いろんな説明責任の果たし方がある。例えば目標を決めて明示するというのは一つの分かりやすい説明の仕方であって、私はそういうことが必要だと思うということをかねがね申し上げてまいりました。  今回、実は目安を示すということで日銀は間違いなく半歩前進いたしました。これは恐らく日銀の中にもいろんな議論がありますでしょうから、総裁ここまで持ってくるのは私は大変だったと思います。しかしさらに、これは政府も説明責任を果たさなきゃいけない、日銀も説明責任を果たさなきゃいけない、そういう改革がともに重要だと思うということを申し上げているわけでありまして、ところがテレビでは、説明責任について半歩前進だけれども、更に私は期待するという意味で残念だというふうに申し上げたら、残念だというところばっかり映すわけですね。それで、その前に谷垣大臣与謝野大臣とのコメントで、残念だと。私は、あれ見るとまるで私は金融量的緩和に対して残念だと言っているようなわけですけど、私はそんなことは言っておりません。  これは正にワンフレーズジャーナリズムの正にポイントだと思いますので、これは私としても、もう一度申し上げますけれども、私は金融の緩和云々に関して、私はこれは日銀が独立してお決めになることだということを何度も申し上げているし、それについて、だから私はそれについてはコメントをしないということを繰り返し申し上げておりますので、この場で明確に更に御理解を賜りたいと思います。
  56. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 どう言おうとも、やっぱり金融政策に説明責任を果たしてない、大変残念だったと、責任は日銀にあると言っていることは、前後は多少見てますんで。  ですが、やっぱり発言はやっぱり影響力ある人だということを御自覚いただきたいということを申し上げたいんですよ。それによるやっぱり足を引っ張る効果もありますんで、やっぱり今言っていてもやっぱり普通の日本人はやっぱりそういうように取るというのが普通だと思います。私もまあ三十秒ぐらいあるいは新聞報道しか知りませんけれど、そういう影響があるということを改めて申し上げたいと思いますし、やっぱり日本語というものをしっかり大切にしていただきたいなというふうに思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。  あわせて、じゃ、まず小泉総理に、小泉総理にお伺いしたいと思います。  格差の問題でありますが、所得の再配分の機能を議論する前にもう一度ちょっと認識を、合うかどうか分かりませんけれど、させていただきたいなと。お手元に資料があると思うんですが、ちょっと出していただきたいんですけれども、A3判の横長の資料でございます。  総理は、格差拡大の根拠は言われているほどデータとしては証明されていないというような報告を受けて言われたと思います。その側面は事実だと思うんです。(発言する者あり)そうです。この大きなこっちの方ですね。高齢化と世帯規模の縮小の影響によるということの事実も分かるんですけれども、その同じデータでも、説明する立場がどういう形で説明するかによってとらえ方がやっぱり全然違っちゃうということも言えるんではないかなというふうに思います。  ですから、同じこの④では、格差は九七年以降拡大しているという内閣府の研究所のペーパーもありますし、十七年版の国民生活白書におきましては、九七年から男女ともほとんどすべての年齢層で上昇をしていると。三十四歳以下が男性、女性では二十四歳。六番目も、貯蓄がゼロ世帯が多いと。八番目も、少子化、後ほど猪口大臣に聞きたいと思いますが、そういうことにも影響しているということで、おっしゃっていることも分かるんですけれども、このジニ係数の図の二も見ていただきたいんですけれども、全年齢層で九七年を境に拡大しているんですね。  ですから、別に小泉総理総理になってから拡大したということでは必ずしもないということで、九七年が何だったかということを振り返ると、金融危機ですかね、アジア金融危機、あるいは山一証券が破綻したとき、あるいは九八年から実質経済がマイナスになったときということで、一つこの転換点にあったんではないかなというふうに思いますので、その意味ではデータとして、見方としてありますが、明らかに政府発表のものもこういう格差が拡大しているということを認めているところがありますので、この点については御認識、共有できると思いますが、いかがでしょうか。まず総理にお伺いしたいと思います。
  57. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、ジニ係数ということが話題になって、格差が拡大しているのではないかということがありましたから、政府・与党の月例経済報告等におきまして、有識者からどうなのかという報告を受けたわけであります。その報告によると、言われているほど格差はないという報告だったということを申し上げているわけであります。  これは、統計もたしか二〇〇一年か二年までの統計だったですかね。統計の取り方によっても違うと思うんでありますけれども、そういう報告を言ったわけであって、格差というのは人によって取り方は違いますから、世論調査によっても、自分は日本国民の中で、中の上か中の中か中の下かという世論調査、ある新聞社の世論調査でもこの二十年来変わってないと。つい二〇〇五年まで大体五〇%以上が中の中だと思っているというのは二〇年来変わってない、ほとんど変わってないということも申し上げまして、言われているほど日本格差社会ではないという報告を受けているということを申し上げたわけでございます。  そういう中で、今、格差論争ありますけれども、どの国にあってもどの時代にあっても格差はあるであろうと、格差がない社会、これは逆に変ではないかと、格差があっても必ずしも悪いことではないと。要は、自ら一人で立ち向かっていくことができない、そういう人々に対してどのような政府として、公共団体として、またお互いが助け合って支えていくかと、こういう点は十分配慮しなければならないということを申し上げているわけであります。
  58. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 この生活白書等の、これもやっぱり見方としてこれは事実だということはある部分お認めになったんではないかなと思いますが、問題は、格差があるかないかじゃなくて、格差が拡大しているかどうかということと、やっぱり格差が固定化しているんではないかという、この二つの視点から政策を考えることはやっぱり必要だと、そのことを是非肝に銘じていただきたいなというふうに思っております。  与謝野大臣にも伺いたかったんですが、ちょっとスキップさせて──はい、どうぞ。
  59. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 学問的なお答えはできないわけでございますけれども、やはり元々、高齢者の階層だけ取りますと、昔から格差は実はあったわけでございます。これは、一生まじめに働いてきたか、まあそれほど働いてこなかったかという差は、当然一定の年齢以上になると結果として出てくるわけでして、そういう意味では昔から高齢者には格差があったと。そういう中で、統計を取りますと、高齢人口が非常に増えておりますので、そこではやはりその格差が広がったように見えるということが一つあります。  それから、若年層の格差ということを先生が仮に議論されるんであれば、それはもう明らかに不況が原因ではないかと私は思っております。  それから、意識の問題がもう一つございまして、自分は中流だと、あるいは中流の下だと、あるいは中流の上だとかというその意識の問題は、実際の所得とは関係なく、意識の問題として変化していくんだろうと思っております。  そこで、今委員がおっしゃった格差を固定化しないと、これはまあ非常に大事な論点でございまして、そのためにやっぱりこの人生のスタートのときに差が付かないようにするということ、それからいろいろなセーフティーネットを社会として用意しておくこと、それからやはり運、不運で格差ができるということに関しては社会保険等でやはりこれまたバックアップしていくと、そういう様々な制度の中で格差が必要以上に広がらない社会をつくっていくもんだと私は思っております。
  60. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  次に、猪口大臣に伺いたいと思います。この図の四を見ていただきたいんですが、左下に年収と子供の数が出ております。この左下ですね、図の四というところですね、はい。  で、私も認識を新たにしたんですが、ある年収以下ではっきり分かれているのが年収四百万であります。それ以降は年収と子供の数というのは必ずしも関係していないということで、お金持ちだから多く産むというわけじゃ必ずしもないという結果でありまして、しかし、四百万というところに明らかに子供がゼロという世帯が急に増えているんですね。この辺が所得の格差とやっぱり少子化との関連、私はあるんではないかなというふうに思いますので、猪口大臣がこの所得格差、この低所得者に対する子育て支援ということに対してどういうふうに考えているか、認識を伺いたいと思います。
  61. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 若林先生にお答え申し上げます。  国民生活白書十七年版によりますと、先生既に御指摘のとおり、所得水準と子供の数との関係におきまして年収四百万円以上の世帯では、これは年収と子供の数との間に明確な相関は見られないわけですね。他方で、年収四百万未満の世帯におきましては子供のいない世帯の割合が多いというデータを示しております。  この点を踏まえまして、私といたしましては、子育て世代において所得水準にかかわらず子供を持つという、そういう希望を抱けるよう、特に若い世代の方々がやはり多様な能力を発揮する機会に恵まれるということ、そして先生おっしゃいますとおり、やはり格差が固定されない社会を築いていくということが重要であると認識しております。
  62. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 無難な回答というか、よく分かりにくいところもありますが、そういう低所得者に対する経済的な負担に対して何らかのやっぱり手当てが必要なのかなという感じはすると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  そして、この件に関して、最後、小泉総理に伺いたいと思います。  問題は、この図の、もう一回見ていただきたいのは六なんですね。やはりいろんな客観的なデータも大事なんですが、やっぱり個人の意識とか実感というのは、私は大事にしなきゃいけない、政治としては。とりわけ、やっぱりこの三十代に格差が広がっているという意識がこの九七年を境に増えているんですね。  ここが問題なんでありまして、アメリカも、ここにありますように七〇年代の半ばに二十から三十四歳の中に格差の拡大認識が広がったと。それが一緒に、先行しようとして出て、その十年後にその人たちがもちろん四十代になったり五十代になるところもあります、それが広がってくるんですね。  だから、我々はやっぱり着目しなきゃいけないのは、この三十代の人、若い人たちがやっぱり格差が広がっているということをきっちりやっぱり受け止めて、政策をやっぱり実行しなきゃいけないという意味において、やっぱりそのデータよりも政治は実感であり、意識というものを大切にしなきゃいけないんじゃないかなと思いますんで、改めてこの辺も含めて、総理に伺いたいと思います。
  63. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 三十代がかなりこの格差意識しているんじゃないかと、一九九七年以降という御指摘ですが、やはりこれも一つには不況ということも原因ではないかとは思っています。三十代の人が会社に入って、正規社員の人となかなか定職持てない人とでは、確かに同じ世代でも開きがあると。あるいは、同じ友人同士でも、正規社員と、あるいはフリーターとかアルバイトとか、様々な今は職業を持てますけれども、そういう同じ世代の仲間の中でも、不況によってなかなか自分の希望する会社に入れない、あるいは仕事に就けないという方では、こう意識的に何か、同窓会でも仲間が集まっても、随分正規社員と非正規社員じゃ違うなという意識を持つのも一つの要因ではないかなと思っています。  そういう点から、今政府としては、そのフリーターあるいはニートと言われる人に対して、若いうちはいいかもしれないけれども、将来これはまた格差の要因になりますので、そこの点についてできるだけしっかりとした仕事を持つような職場を持ってもらう、あるいはそのような職に就けるような能力を高めてもらう、訓練をしてもらうという対策がより一層必要になってくるんではないかと思っております。
  64. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 是非とも、三十代というのは子育て世代でありますし、やっぱり仕事の能力も伸ばせる、やっぱり夢を持ってやっぱり頑張ってほしいという世代ですんで、是非そういう世代にもしっかりと着目していただきたいなというふうに思います。  次に、財政プライマリーバランスについて伺いたいと思いますが、この資料の①を見ていただきたいんです。  まず、総理に伺いたいと思います。  平成二年以降の税収とGDP、一般会計の歳出部分の伸びを示したものでありまして、まあ平成二年、十六年前に六十兆あったものが今四十六兆ぐらい。税源移譲の分を含めていませんので、まあ五十兆弱ということであります。小泉総理になってから、公債発行額は残念ながら減らなかったと。今回三十兆円に減ったということなんですが、まあ同情するとしたら、小泉総理が三十兆円と言った最初の年は税収の落ち込み局面だったんですね。それから二年、三年、やっぱり続いたんですよ。  ですから、結果論としては、これはやっぱり三十兆円で止めるのは非常に難しかったんではなかったかなというふうには思いますけれども、それにおいても、私は、この五年間、小泉総理が一生懸命頑張ってきたその成果の中で、しゃにむにぶれずにやってこられて、うまくいったところもあったでしょう。しかし、小泉総理の胸のうちで、これだけは思いどおりにいかなかったなということが私はあるとしたら、それは財政再建であり、この歳出削減ではなかったかなというふうに思いますが、その胸のうちを伺いたいなと思いますんで、正直というんですかね、批判のための批判はしませんので、是非率直にお答えいただきたいと思います。
  65. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、率直に言って、よくここまでできたなと、これだけ多くの批判に耐えて協力してくれた方々がよくこれだけいたなと感謝しております。  当初、予想として違ったのは、税収が年間五十兆円あると、五十兆円あるんだったらば国債の発行は三十兆円以下に収めるべきだと言っていたのが、四十一、二兆円ですよ。税収が大幅に減っているんですから、これについては、むしろ財政も大事だけれども経済全体を考えるのが大事だということだからこそ、民主党が法律三年で三十兆円枠を縛れと言ったのを私は拒否したんですから、経済は生き物だと。三十兆円枠にとどめるべきだと言っていた私が民主党の要求を拒否したぐらい、いかに経済全体を考えているか、一つの表れだと思います。  財政健全原理主義じゃないという、財政の健全化は大事だけれども、より大事なことは急激に国民生活を困らすようなことはしちゃいけない、してはいけない。経済全体のことを考えるべきだということで、税収が大幅に落ち込んだ場合は増税か歳出削減かということだけでなくて、ある程度国債を発行しないとこれは急激な変革に見舞われてかえってデフレスパイラルに陥るのではないかということを心配したからこそ、その税収の落ち込みに合わせて三十兆円の枠を取っ払って柔軟な対応をしたわけであります。  まあ結果的には、この四年間、目標どおり進んでいるということでありますので、更にこの改革路線を堅持して、経済足取りもしっかりさせ、そしてデフレ脱却をできるだけ早く実現して、堅実な経済成長路線、そして、それがひいては財政健全化に結び付いて多くの国民がやる気を出して頑張れるような社会を実現していきたいと思っております。
  66. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 少し反省の気持ちが出てくるかなと思って期待していたんですけれど、まあそういう、ここまでの借金をつくっていて順調に想定どおりいったということの私はやっぱり回答に対しては、やや私のこれからの質問等も少し変えなきゃいけない部分も出てくるわけでありまして、やはり小泉さん、小泉総理の思いの中では歳出削減は思ったとおり進まなかったと私は思っていると、やっぱりできなかったというふうに私は思います。  その中で、二ページ目、二ページ目見ていただきたいんですが、(発言する者あり)いや、思っていると思いますよ。これは主要経費の構成比率の推移であります。小泉内閣に、予算編成とその前なんですけれど、小泉内閣に、予算編成の前までは比較的予算配分というのは結構変わっていたんですが、小泉総理になってから予算比率、予算配分は、ある意味じゃこれは各省庁別と取ってもいいと思うんですけれど、余り変化がないんですね。で、まあ一昨年の、まあこの二、三年見ると一律三%カットだと。社会保障費と科学技術費が少し伸びていて、もう一律三%カットということで、私は、思うのは、なぜ小泉総理はこの予算配分比率を変えてまで思いっ切りめり張りを付けようとした予算配分をしなかった、いや総理に、しなかったのかと。で、やろうと思えばできたのにそれをしなかったと。なぜですか。済みません、総理に聞きます。
  67. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) やろうと思って、できたんですよ。
  68. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、若林委員がお作りになった資料を拝見しまして、私、幾つか申し上げたいことがあるんですが、まずこれ社会保障関係費除いてますよね。結局、私の頭の中に常にありますのは、もう増えるのは社会保障関係費、その社会保障関係費を捻出するのにほかのところからかき集めてきてつくるというようなのが現実の姿ですので、社会保障関係費を除いた中でシェアの増減を比較することに果たしてどれだけ意味があるのかというのは直観的に感じました。  それからもう一つは、この前の方がかなり動いているとおっしゃっているんですが、これよく見てますと、前は五年ごとですから、小泉内閣になってから一年ごとですから、これだけ見るとちょっと印象が今日は増幅されているなという気がいたします。  それで、各省庁別のシェアというのを一般歳出ベースで見ましても、この中にもちょっと表れておりますが、科学技術振興費は一割以上増えていると。  それで、例えば平成十三年度、役所別に言いますと、平成十三年度、国土交通省は一七・一%、それから十八年度が一三・七%と。それで、法務省が十三年度は一・三%、この十八年度は一・四%。このシェアの変化率では、これ低いようですが、八%増えているわけですね。それから、裁判所は〇・六六%、十三年度が。十八年度は〇・七二%になって、これはシェアの変化率でいうと九%です。  要するに、非常にタイトになっている中で、科学技術であるとか治安関係予算は重点的に配分をしてきたということだろうと思います。
  69. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まあ通年で取ると、補正予算とか何か入れるとそういう変化が出るんですが、やっぱり通常予算の中で見ると、項目ごとに一律三%カットとか、そういうやり方でやってきているわけです。それはやっぱり事実だと思いますんで、確かに、この経年変化で一部変わっているところは、特に今年はちょっと変わっている部分もありますけれど、これまで、昨年までの流れを見ると、やっぱりそういう傾向が非常に顕著に現れているという意味では、私は、小泉総理は霞が関の本当の体質を変えてまで歳出削減をしようとしなかったと、できるのにしなかったという事実は私はあるんではないかなというふうに思います。それは選択でありますんで、結果そうなったときに、歳出削減がやっぱり余りできていなかったということに私はつながっているんだろうなというふうに思うわけでございます。  次に、質問をしたいと思います。  次のページの、例のプライマリーバランスの二〇一一年までの是正の問題でありまして、これも昨日、浅尾委員の方からも、非常に私もなかなか理解をするのに難しい質問もいろいろありましたけれど、今日は単純にこの表から与謝野大臣に伺いたいと思います。  要は、名目成長率と名目長期金利の違いによってということなんですが、〇・七%、もし違っていたら言ってほしいんですけれども、〇・七%、公債残高が八百四十八兆円ですから、〇・七%掛けると、単純に一%ぐらい黒字じゃないと、二〇一一年度に一%黒字じゃないと対GDP比を一定に保つことはできないというある結論に至っていますと、これは相当やっぱり大変なやっぱり今の財政状況なんだなという感じがしますし、むしろプライマリーバランス、出と入りをまあゼロにするということはありますが、一方、この時点でこれだけの金利差があるということは大変な状況ではないかなというふうに思いますが、本来であれば、やっぱり対GDP比を一定にさせるというところをまず、ひとまず目標にするということが必要じゃないかなというふうに思いますが、この過程に至るまでの難しさというのをちょっと御説明いただきたいなと思います。
  70. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) まず、将来のことを予想するということは非常に難しいということを理解をしていただきたいと思っております。  プライマリーバランスというのは実は、プライマリーバランスに到達するまでの実は金利水準というのは余り問題にならないように見えますけれども、実際、金利が高ければ、日本国が持っている借金が大きいわけですから、大変な出費になるということになります。  これは、まず、名目成長率と名目長期金利の関係につきましては、その時々の状況によって、一方が他方を上回ると一方が他方を下回るということがあります。例えば、最近のアメリカでは成長率が金利より相当上回っているという、不思議と言われている現象がございます。  そういうことで、まあにわかには断定できませんが、財政を再建する場合の過程というのは、やはり手堅いことを前提に物を考えていく必要があるんではないかと思っております。将来の金利はいつまでも低いんだという、そうあってほしいと思うことを前提に財政再建を考えるというのも一つの方法かもしれませんけれども、やはり手堅い前提で物事を考えていくというのは、例えばイギリスなんかは最も手堅い前提で物を考え、大体三十年間ぐらいの財政の持続可能性を計算をしておりますので、これはもういろんな前提で計算をしてみます。名目金利と名目成長率が同一というような場合もきちんと計算をいたしますけれども、最終的には幾つかの選択肢をお示しをして、その中で最も現実的な、ありそうな道筋を皆様方に選んでいただくと、こういう作業になると私は思っております。
  71. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 具体的な選択肢はこれからということで、聞こうと思いましたが、今はまだ何も出てこないということだというふうに思いますんで、いずれにせよやっぱり厳しい財政状況にあるということは変わりない、どうしたらやっぱり実質的に、実質的な経済成長させていくかということになるんだろうなというふうに思います。  で、次の質問をお伺いしようと思ったんですが、ちょっと時間の関係から次に移らせていただきたいんですが、今は、谷垣大臣、国と地方とのバランスで、取りあえず地方を先行させて黒字にしていこうということが今のこの計画にありますが、私は、もう少しやっぱり国としてもやっぱり黒字化を先行させるようなやっぱりバランスを取ることの方が望ましいんじゃ、ちょっとこれ開き過ぎているんで、やっぱりそういうことを是非御検討もいただきたいなというふうに思いますんで、是非、答えがあるんだったら、それ、今日の本会議の答弁では検討しますだけだったんで、もし何か、短時間に答えがあれば。
  72. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今おっしゃった点は非常に大事だと思っておりまして、経済財政諮問会議でこれから議論をするんですが、一つは、プライマリーバランス回復後の目標は何なのか、GDP比で国債残高をどうしていくかというようなことを考えなきゃいけませんが、それと同時に、国と地方がどういう問題状況を抱えていて、これからどういうプロセスでやればいいのかということを明らかにしていくのは、それぞれのやるべきことを明らかにするという意味でも、それから、問題、国と地方のバランスをどう取っていくかということを検討する上でも私は大変意味のあることと思っておりまして、是非これを経済財政諮問会議の歳出歳入一体改革の中で、これは相当竹中大臣とまた議論をさせていただかなきゃならないんですが、議論していきたいと思っております。
  73. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 よろしくお願いいたします。  それでは、総理に伺いたいと思います。  私も、質問のレクをするときに役人が自分の部屋に来て、いつも聞くんですけれども、あなた税金使っている立場だけれども、自分で税金どのくらい払っているか知っているかと、どれぐらい保険料を払っているか知っているかと。だれも答えられないんですよ。  なぜそうなのかというのは、次の質問なんですけれど、私は、やっぱり財政再建をするときに、政治としては厳しいんですけれど、国民の厳しい目にさらさなきゃいけないんです。そのきばを抜いているのが、私は、源泉徴収はいけないとは言いません、源泉徴収はいいんですけれど、年末調整なんですよ、問題は。判こを押した瞬間にもう自分の興味はなくなっちゃうんですね。で、二月か三月に給与明細に還付してくるのが戻ってきて、残業代とか何かに一緒に混じって、どれだけ戻ってきたって感覚ないんですね。  やっぱり、一年に一度は確定申告して、どれだけ自分が払ったかということを確認して、どれだけ戻ってきたか。で、自分の手作業でやると、二万、三万円戻ってきたら、それでうれしいんですよ。そうすると、二万、三万外で無駄遣いしたら、がちんと来るわけですよ。それでつながるんですよ、自分の給与明細と外で起こっているところ。  ですから、ここを是非、これから十年、二十年、やっぱり財政再建するときに、政治家としては厳しいんですけれども、やっぱりそれを本来のあるべき姿に戻すという意味で是非年末調整をやめていただきたいんです。  これは、昨年、谷垣大臣に聞いたら、いや、サラリーマンは別に困っていないし文句出ていないよって、そういう問題じゃないんです。あるべき論として私はそこに是非、そしてまた、これから納税者番号制度も必要だと思いますんで、そことセットで、やっぱりそういう方向にしていくことが私は長い目で必要だ、それがやっぱり財政再建に資するというふうに思いますんで、是非前向きな発言をお願いしたいと思います。
  74. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 考え方としては簡素の方がいいと。  私もつい最近、今年の収入、所得税こうです、項目見ましたよ。見て、ううん、こうなのか、こうなのかと、控除。はいって渡したら、もう忘れました。そのくらいかなり細かい項目までありますね、申告所得にしても、税理士にお任せしているんですけど。  どの程度簡素にするか、税率も含めて、その年末調整、この具体的なことについては、私は、どう言ったらいいのかな、簡素と公平とそれぞれに対する配慮をするというもの、複雑に絡み合っていますから、一概に言えないのは残念です。しかしながら、できるだけ私は簡素にして分かりやすい方にした方がいいと思っております。
  75. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 総理、簡素という問題もちろんあるんですけれど、これ今言ったのは年末調整で、その調整をするのに自分で本来は確定申告しなきゃいけないんですが、会社が代行してやっているんですよ。判こ押した瞬間にもう関係なくなっちゃうんですよね。だから、それで納税者意識をなくしているんではないかという問題に対してどうかと言っているんで、ここはいろいろインターネット等でやれば私はかなり前進できるところもあるんです、そこに是非手を付けてくださいという話なんです。去年と同じ答弁は要らないです。
  76. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 去年も答弁したかどうか分かりませんが、今委員のおっしゃった点は政府税調の中でも随分議論していただいておりまして、やはり納税コストを掛けないという意味では年末調整は基本として必要なんだけれども、今後できるだけ、やはり納税者としての意識を持っていただくためには直接申告をしていただくのが大事じゃないかと。そのためには電子申告等の納税環境をもう少し整備していく必要があるじゃないかというような議論をいただいておりまして、これは私ども十分前向きにとらえていかなきゃいけないと思っております。
  77. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういう手順を踏んでいたら十年、二十年掛かるんで、やっぱり基本的に、やっぱりそういう方向でもう何でもやるんだという覚悟がないと進まないですよ、そういうのは。一番それは谷垣大臣分かっているはずです。  で、税制の所得再配分機能、この図をまた見ていただきたいんですけれど、何番ですか、これ、四番、資料、提出資料の④なんですが、一言で言えば税制による所得再配分機能が弱まっているということで、このジニ係数によって、再配分後のジニ係数と元々の所得との関係を書きますと、社会保障による再配分所得が利いてますが、全体としては所得の再配分が弱まっているということでありますんで、社会保障の再配分というのはこれは当然起きるというのは分かるんですが、問題は、税制による所得再配分機能がやっぱり現実問題としてこれ弱まっているんではないか。これは御案内のとおり、最高税率を下げ、ただ、最高税率の中身が問題だというのは後で質問しますが、まずは基本認識をちょっと谷垣大臣、教えていただきたいと思います。
  78. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 内閣府で平成十五年度年次経済財政報告に記述がございまして、それによると、委員のおっしゃったように、一九八一年以降、租税負担による所得の不平等度の改善度は年々低下しているのに対して、社会保障による改善度は上昇していると、こういう記述になっております。それから、租税と社会保障を合わせてみると、所得の不平等度の改善度は年々拡大する傾向にあると。これは改善しているということで、私も基本的にそうなんだろうと思っているんです。  それで、その背景にあるのは、租税負担を通じた不平等度の改善が低下しているというのは、昭和六十二年、六十三年の税制改正、それから平成六年の税制改革を通じてその税率構造を累進緩和をしてきたというようなこと、それから負担水準がそういうことで極めて低いものになって、個人所得課税の所得再分配機能というのはかなりかつてに比べて低下しているということは事実だろうと思います。  ただ、これはもう委員もよく御承知のことでございますけども、社会保障等々、全体でやはり考えなければいけない面がございますのと、それから今後、税制改革で所得再分配機能をどうしていくかということは、消費税、所得税、法人税、それから資産税、税体系全体で考えなければいけないんですが、そのときにやはり国民意識をやっぱり私はよく考えなきゃいけないと思います。機会の平等、結果の平等と、こういうものに対してどう税制はこたえていくかと、ここはよく議論していく必要があろうかと思っております。
  79. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 各国の状況を見ながら最高税率引き下げてきたというふうに思いますんで、その意味においては、そんな各国、今先進国と遜色がない。しかし、問題は設計の中身の問題でありますんで、やっぱり実効税率とか課税ベースのものを見ながらこれは設計しないといけないんですが、御案内のとおり、四〇%、三七%に対象となっている人というのはほとんどいないんですね。それだけやっぱり課税ベースとか様々なこの設計のミスによって対象者が少ないんではないかという問題意識もあるんですが、ちょっと政府参考人に、年収三千万、五千万の実効税率どの程度か、モデルを言ってありますんで、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  80. 福田進

    政府参考人(福田進君) お答え申し上げます。  先生からモデルをいただきました。そのモデルを前提にいたしまして今回の所得税等の改正後の所得税の実効税率について申し上げますと、給与収入金額が三千万円の場合の所得税額は六百七十二万でございます。したがいまして、二二・四%。同じく、五千万の場合には一千四百三十二万の税負担でございますので、二八・六%でございます。なお、所得税のみでございますので、住民税は含めておりません。
  81. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 つまり、四〇%の税率が掛かっても、実際には二二・四%しか現実問題としては税として掛かってないですね。  なおかつ、この提出資料の五を見ていただきたいんですが、日本、イギリス、アメリカ、フランスということで、三〇%以上対象者というのは、三七が〇・四%、三〇が一・八。しかし、イギリスでは、四〇、一〇・八四%ですね、構成比率。そしてまた、アメリカ、フランス等々ありますんで、最高税率を合わせても、この中身のやっぱり課税ベースと実効税率をしっかりしたものにしないと、所得税による所得再配分が利いてない。  これ、痛しかゆしのところもあるんですが、一方で八割が一〇%だというこの事実も私は逃げる気はありませんので、そういうこともあるという意味において私はやっぱり設計の仕方がどうなのかという問題意識は持っておりますんで、今後やっぱり、所得税のやっぱり抜本的見直しというところに検討する課題一つではないかなというふうに思っております。  で、結果的にこの十年振り返ってみますと、貧しい人よりは裕福な人、いわゆる最高税率を下げて法人税は引き下げたままという意味では、個人より法人を優遇していると。そして、配当、株式譲渡益の課税を減税しているという意味では、勤労所得よりはそういう金融所得を優遇しているという流れの中で、私はやっぱりこれは、まあこれを目指している、目指すべき姿としての、例えばライブドアの出現とか堀江容疑者のああいう形での活躍とかということと連動してるんで、別に彼のことをどうのこうのと言うんじゃなくて、やっぱりそういう社会を目指してきたという意味では私はやっぱりバランスが、是正が必要なんではないかなという感じはしますが、もし御意見があれば財務大臣、いかがでしょうか。
  82. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほどちょっと委員がおっしゃいましたように、この最高税率を下げてフラット化してきたのは、やはり勤労意欲とか国際比較とかいうようなことがございました。それから、法人税に、まあ下げてないとおっしゃいましたけれども、法人税に関しても、やっぱり国際競争力の比較の観点がございますから、これはやや、やっぱり先進国とはほぼ横並びでございまして、なかなか動かしにくいというところがあるわけでございますね。  しかしながら、今委員のおっしゃったように所得再分配機能をどう発揮させるかと、所得税の所得再分配機能をどう発揮させるかというところは常に議論があるわけでございまして、今後のいろいろな議論の中で総合的にこれは検討していく必要があると私も思います。
  83. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 是非検討をいただきたいなというふうに思いますんで、私は。これが個人所得税の抜本的な見直しなんですよね。  で、何を質問したいかというと、やっぱり定率減税の今回の見直しということであえて谷垣さんに先お伺いしたいんですけれど、抜本的な見直しを行うまでの間この特例をするというふうにあったわけですよ。今おっしゃって、もう抜本的見直しが今後必要だとお認めになったわけですよね。そして、抜本的見直しをしてないのに定率減税戻すというのは本当にこれは矛盾しておりますんで、弁護士として、法律を解釈する財務大臣としては、これ、どうとらえたらいいんですか、これ。(発言する者あり)法律違反ですよ。
  84. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) いや、若林さんは引っ掛けるような質問はなさらない方で、ですから、これ引っ掛けられたと思っているわけじゃないんですけれども、今まで抜本的改革という中で税率構造につきましては、平成十五年度、十六年度で配偶者特別控除の上乗せ部分とか、あるいは年金課税の世代間あるいは世代内の均衡を図るという改正をやってまいりましたし、それからやはり今度は税率構造自体でございますけれども、税源移譲に併せて所得税から地方住民税、ここを大きく変えておりますので、私はこれは抜本的改革だと考えているわけでございます。  もちろん、これでもって全部問題が解決したかというと、まだこれはいろんなことで考えなきゃならないことがあるのは先ほど申し上げたとおりであります。
  85. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 苦しい答弁だと思いますけどね。  まあ、それを抜本的改革と言うんだったら、抜本的改革はしょっちゅうやることではありませんので、十年に一回ぐらいあるのが抜本的改革ですから、昨年、政府税調から出た、ああいう個人所得税の改革はもう抜本的改革ではないということになりますんで、当面それはやらないというふうに逆になりますんで、やっぱりもう少しこれは正直に、やっぱり抜本的見直しを行うまでの間というふうに書いてあるわけですから、やっぱりそこを見定めてやっぱり法律を実行するのがやっぱり財務大臣の役割ではないかなというふうに思いますんで、是非とも、抜本的な見直ししていない中でのこの定率減税いかがなものかというふうに思いますんで、そのことを指摘したいなというふうに思います。  総理に、だんだん時間なくなりましたが、簡潔に。  消費税を上げる前提にはないということを、自分の在任中はと。今、総理は最近、来年度もそういう前提にはないという、その関係がよく分からないんで簡単に説明していただきたいと思います。
  86. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今までの消費税三%導入、五%引上げ時、長年の経験によってまだ削減可能であると。ここで消費税を税源が、財源が足りないから導入すると、歳出の削減の手が緩むと思っているのが第一の理由であります。  もうかなり前から、消費税引上げやむを得ないという議論がいろいろ言われましたけれども、ここまで歳出が削減できるんだと思っている人は自民党の中では少数派だったと思いますね。今、実際これだけの不況の中でも、財政出動せよという声の中でも一般歳出、毎年減っているんですから。公共事業も、かつては十四兆円以上超えていたのが、この来年度予算では七兆円台、半減しているんですから。こんなこと信じられないことですよ、今までの考え方から言えば。歳出削減はできるんだなということで、私はまだまだ早いと、消費税を導入するのは。  というのは、消費税に対する国民の理解の得方も足りないんじゃないかと。というのは、三%導入したときは、平成元年だったかな、たしか元年ですよ、私の記憶によれば。そのときに、消費税を導入するためには、所得税を減税すれば理解を得られると言ったんです。だから、消費税と所得税を同時同額、所得税の累進税率が高くなるから困っちゃう、それよりも一般的にやって、所得税も、消費税三%導入すると大体五、六兆円、だからその額と同じように所得税を減税するというんで理解が得られると思った。ところが、それでも大反発。所得税減税はもう当たり前で、消費税の三%導入の増税分だけ批判されて、もう選挙で惨敗したということは、導入した与党の消費税導入が理解が得られなかった。  そこで、村山内閣になって五%引き上げたときに、同時同額で理解を得られなかったんだから減税を先行させようと言ったんです。所得税減税を二年先行させれば、あの消費税五%上げるのを理解得られるだろう思った。それでもまだまだ理解を得られない。  だから、今度、同時同額はいけない、所得税減税先行でもできない。これからやるのは、よほど歳出削減に徹底しないと理解得にくいんじゃないかと。だから、これを今年、来年やるというのでは、まだまだ国民から見て歳出削減の度合いが足りないぞと。そのためにはもう、まず私の在任中は消費税上げないという、来年度も、私は総理は辞めているけれども、その環境にないだろうという、これはもう政治的判断です。
  87. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 はい、分かりました、はい。私の理解できる説明になっていないというふうに思います。  もっともっと十八年税制改正の中身についてお話を、質問をさせていただきたいと思いますが、やっぱり小さな政府と言いながら政府の体を小さくすることをせずですね、今年も二兆円ぐらい、税源移譲分を除けば増税になっているんですね。その意味で私は、やっていることと言っていることが矛盾しているんではないかなというふうに思います。  最後に、本当に日本は私は相互信頼の厚い社会だというふうに思っておりました。それが日本の強さだというふうに思っていました。御案内のとおり、耐震偽装、粉飾決算、談合事件、いつの日から日本は他人を信頼できない社会になってしまったのか、私は残念な気持ちもあります。結果的に、そのところが経済取引とか社会的なコストをやっぱり上げて、結果、財政を膨らませているということにやっぱり私はつながっているんではないかなというふうに思います。  これは、やはり民主党も含めて政治の責任だというふうに思っておりますので、やはり今のこの現状を憂い、何でこうなってしまったのか、そして今後どうしていくのかということを、これは財政と連動するんで、最後にその決意を伺って終わりたいと思います。簡単に。ああ、総理、はい、済みません。
  88. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これ、一分で話せというのはちょっと難しいんだけどね。どうして、こう、もう複雑な理由絡まっているんです。  昔はね、村社会だったんですよ。近所に住んでいる人は大体全部分かった。そして、一たび罰せられるとね、親子、家族、親族、縁類、全部罰せられた。だから、これは犯罪を犯したら大変だぞ、そういう面もあった。  で、やっぱり近代社会になって、もう隣に住んでいる人も分からなくなった。いい面、悪い面、両方ありますよね。もう煩わしい、周りが監視されて、自分が何やっている、もういるの嫌だと、都会出てほっとするという人もいる。隣何しているのか我関せず、そういう面もあるし、まあいろいろ今ここで、ちょっと時間ないので長く話すと切りがない、そういう一つの面もある、社会の。
  89. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 はい。どうもありがとうございました。
  90. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で若林秀樹君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  91. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、峰崎直樹君の質疑を行います。峰崎直樹君。
  92. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございますが、今日、昨日、日銀金融決定会合がございまして、大変大きな問題でございましたので、それをまず最初にお聞きしたいと思っております。  そこで、日銀総裁、最初にお伺いしたいわけでありますけれども、今回の量的緩和というものをある意味では廃止をされるというか中止をされて、今度はオーバーナイトの金利にゼロでずっと続ける。ゼロ金利は継続するけれども、そういう大改革をされて、昨日私どもの方にその中身について詳しくコピーをいただいたり、あるいは総裁の記者会見なんかも読ませていただきました。  そこで、総裁、このいわゆる量的緩和というものを廃止をした目的といいますか、それは恐らく金融正常化ということもあるんだろうと思いますが、それ以外にというか、そのことも含めてこれを、これをいわゆる正常化する目的について、日銀総裁日本経済に与える影響でどういうことを考えておられるのかということについてお伺いしたいと思います。
  93. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 簡単にお答え申し上げますが、私どもずっと継続的に経済物価情勢を点検してまいりまして、経済実態は着実に持続的な回復方向に向かって進んでまいりました。物価につきましても、需給のバランスあるいはユニット・レーバー・コストの動向等、経済のこの基礎の部分を判定いたしますと、物価の基礎も次第に固まってきた。それの上に、私ども目安としておりました消費者物価指数、除く生鮮食品、この指数が安定的にゼロ%以上になったと、こういうふうに判断いたしまして、異例な政策として続けてきた量的緩和政策を取りあえず解除したということであります。  量的緩和政策は、その構造としては、委員おっしゃいましたとおり、ゼロ金利というものをベースにいたしまして、その上に量、そして長く続けるというコミットメント、この二つを上乗せしたものでございますが、経済現状がここまで来、金融システムの改善も進んだ現状では、量についてはほとんど意味がなくなったと。ゼロ金利という金利そのものの意味が改めて中心になってきた。  金融政策を行っていきます場合に、戦略的な目標を我々がどこに置いているかということは、金融政策を理解していただく透明性の確保の点で一番重要なポイントでございます。実質的に意味を失った量というものをいつまでも、あたかも戦略的なターゲットのように掲げ続けるということは、金融政策の透明性を基本的に失います。したがいまして、実体的な意味のある金利、そして再出発の時点において、ゼロということに改めて戦略的な目標を置き直さしていただきました。  我々は、金融政策のなすべき仕事はまだ道半ばだと。これから安定的な物価の下で、より持続性のある景気回復ないし拡大のパスを築きたい、しかもそれを長続きさせたいということでございますので、これからは、ゼロ金利を出発点といたしまして、先々の経済に合わせて適切な金利水準を設定し、最終目標に至るまでスムースなパスでこれを実現したいと、こういうふうに考えております。
  94. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 総理ですね、総理の談話も載っているんですけれども、改めて昨日の決定会合について総理自身の口から、どのように評価されているのか、お聞きしたいと思います。
  95. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この日銀金融緩和解除あるいは終結、まあいろいろ表現がありますけれども金融緩和策の転換というものについては、この両日というよりも数か月、大きな関心事でありました。  そういう中で、時期が早いんじゃないか、あるいはまだデフレ脱却していないんじゃないかと、様々な議論が展開された中で昨日いわゆる日銀政策委員の中で決定会合が行われたわけでありますので、皆さん、そういう今までの様々な意見、思惑を考慮に入れた専門家の方々の議論が十分時間を掛けて、二日に分けて行われたわけです。もう我々素人から比べれば、はるかに知識も見識も経験もある方ばっかりの会議です。まあ、たしか一人欠席以外、八人ですか、八人の方がちゃんと自らの意見を述べて決定されたんですから、それは我々の考えも十分わきまえた上でも、熟慮の上での、議論を重ねた上での判断ですから、私はこれを尊重したいと思います。
  96. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 まだ総裁にずっとこれから後で聞くんですが、その前に総理、この間、日銀がゼロ金利になったために家計部門に与えた影響というのは大変大きかったというふうに、まあ今日の新聞にも載っております。「所得二百八十兆円移った十五年」と。要するに、家計部門から法人部門へ移っているんです。金融部門にももちろん移っているんです。  そうすると、このいわゆる量的緩和が廃止をされた、まだゼロ金利は続いている。しかし、これから恐らく短期金利も含めて、私は後でお話ししたいと思いますが、上がるんではないかと思っています、やがてはですね。そうすると、金利が機能を回復してくる。そのときに総理として、分かったと、昨日あったのについては納得したとおっしゃいましたけれども、何かこういうことを進めた以上、是非考えてもらいたいと、金融政策上考えてもらいたいということについて何か感ずることありませんか。
  97. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私がよく感ずることは、何か判断を起こすとプラスマイナス両方あるんです。一面的にとらえ過ぎているなと。預金金利が高いときは貸出し金利も高いんですね。一方では、預ける人は預金金利高い方がいい、借りる方は貸出し金利が低い方がいい。なかなかそういう状況には金融政策はいかないわけですね。  だから、プラス、マイナス両方あるんですから、景気のときには、預金金利を低くしても景気全体を活性化しなかったら家計もプラスにならないんです。それを一面だけ見て、ああこれは貸出しで受ける方は被害を受けるとか、預金がゼロ金利のときには預金者は何の恩恵も受けないとか、一方的じゃないかと。両面を見ることが必要だと、経済全体を見ることが必要だと思っております。
  98. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 先ほど来お聞きしていて、この間、小泉改革の、改革なくして成長なしが正に自分の思ったとおり進んできたと、私は今の現状を見ていると、なるほどそのように見えるんです。いろいろ言いたいことはあります、後ろに竹中大臣おられますが。りそなのときの国有化のときの、あそこから反転していっているんです。まあそれは……(発言する者あり)実質国有化ですよ。そのことはちょっと、そこで声を出さないでください。  それで、総理、私が今言っているのは、この日本経済回復しつつあることは我々も認めているわけです。しかし、改革に伴う影の部分も出ていると言っているけれども、私は今非常に心配していることが一つあるんです。それは何かといいますと、このいわゆるバブルが起きて、バブルが崩壊をしてようやく、まあ大体十五年掛かったと。そうすると、この十五年掛かった回復の過程を見ていると、日本経済の構造は一九八五年のあのプラザ合意の辺りと変わってないんじゃないかと思っているんですよ。  どういうことか。今度の経済回復過程、資料をお配りしておりますか。上から四枚目を見ていただきたいと思うんですが、ちょっと私、私が持っていないんで、四枚目を見ていただくと、経済成長の、過去の経済成長の、横グラフになっているはずですが。四ページ目ですね、下に、四ページ目ですね。ああ、ごめんなさい、その前、三ページです。これを、景気の谷を、二〇〇二年一―三月期を一〇〇とする最近時の水準なんですが、要するに、寄与度を見たときに圧倒的に輸出なんです。  アメリカと中国の経済に助けられてというか、そこに輸出がどんどん増えていきながら設備投資が増えてきて、今ようやくそれが辛うじて内需に転化するかどうかというところで、まあ多分大丈夫だろうというような見通しができている。この構造は、実は一九八〇年代の半ば辺りの構造とほとんど変わらないんじゃないかと。  私はなぜそのことを言うかといいますと、私は総理に、いやあ、おれの五年間はよくやったと言うけれども、実はたまたま八〇年代の半ばまで戻っただけであって、内需主導型の経済の構造に私はなっていないんじゃないかと見ているわけですよ。  その意味で、内需主導型の経済に転換をしなければなぜ駄目なのか。それは、アメリカの双子の赤字の問題を含めて、世界は本当にもう私は綱渡りをやっているんじゃないかと思っているわけです。アメリカ経済は、今、確かに住宅バブルだと言われていますが、御存じのように、消費が拡大をし、財政の赤字、国際収支の赤字、やがては家計の赤字、貯蓄の赤字、そういうもので実はあんなふうに成り立っているというのは、正にドル本位体制で世界にどんどんドルを散布しても、またそれで財務省証券買ってくれる、そのことは前に私と議論いたしましたですね。  そういう構造ができ上がっているから、実は赤字がどんどん増えていっても経済はうまく回っているように見えると。世界経済はそれで安定しているように見えるけれども、しかしいつまで、じゃ、このアメリカ頼みの経済構造、あるいは中国の建設バブルと言われているようなバブル、こういうものに依存しながら日本経済は実は成長してきたと。私は、そこを早く、日本経済が内需主導型の経済構造に転換をしなきゃいけない。  前川レポートってあったじゃないですか、新前川レポートというのが。あの構造にまた戻らないと、また同じようにプラザ合意の二番目をやらざるを得ないような状況になったり、また問題が起きるんじゃないか。そこで、私は、内需主導型の経済に持っていかなきゃいかぬとしたときに、このゼロ金利の解除というのは、正にこのいわゆる金利がこれから上がっていくとすれば、預金金利を早く連動させていくような仕組みにしていかなきゃいけないんじゃないかと思っているわけです。  今、ゼロ金利の解除じゃない、ゼロ金利を解除しているわけではないということで、今、私の今申し上げたのは、日本経済の構造は、構造改革ができたできたと言っているけども、もちろん内部にはいろいろ変わった、不良債権が減ったとか、いろんなことについては我々もよく理解しています。そうじゃなくて、経済の構造を大きく変えてないがゆえに、また二十年前に逆戻りしただけではないのかというふうに思えてならないわけです。これが大前提にありますので、そのことを前提に、実は私は、この家計部門の金利収入というものが約三百兆円近い、この十五年間、失われてしまったと。そのことに対する思いをまず日銀にしっかり持っていただきたいと思う。  その点、日銀総裁、どのようにお考えになっていますか。
  99. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 低金利政策、なかんずく量的緩和政策、これは確かに家計部門の金利収入を大幅に犠牲にするという上に成り立っていることは事実でございますけれども金融政策というのはやはりあらゆる面を見ながら考えていかなきゃいけない。やっぱり企業に対してどうしても支援効果を強く出さなきゃいけない経済の局面というのはございます。そういう局面を経ながら、いずれ企業に対しても家計に対してもひとしく資源再配分機能が働くような金利水準に設定していかなきゃいけない。  それまでは、一挙にそこまで進むということが本当に経済にとっていいかどうか。経済の健全性、それから持続的な回復力というものは一日にしては付かない、やっぱり着実にしか付かないものでございますから、そこを正確に判断しながら、むしろ現在の時点で考えますと、可能な限りゆったりとしたペースで金利水準を将来は引き上げていくというぐらいが結局は遠いようで近道と、最終的には資源再配分機能がきちんと働くような金利水準に持っていけるんではないかと。途中で余り急ぎ過ぎますと、かえってまた経済にブレーキを掛け過ぎるというふうなリスク、これを私どもは十分念頭に置いてやっていかなきゃいけないというふうに思っています。
  100. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それでは、日銀総裁、ちょっと具体的なことをお伺いしたいと思うんですが、昨日の発表、あるいは後の記者会見を聞いておりますと、当初私たちが聞いていた、これは本当はガセネタだったのだったら訂正していただきたいんですが、間違った情報だったら訂正していただきたいんですが。どうもガセネタというのが移っちゃいましたね、間違った情報なら訂正していただきたいんですが。  当初、いわゆる当座預金の残高を十兆円ぐらいまで下げるんだと、こういうお話をちょっと聞いてたわけです。ところが、それが大体六兆円だというふうにお聞きをして、あっ、これは随分余裕のない当座預金残高を目標にされているんだなと。これは間違いありませんか。
  101. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 当座預金残高の引下げは、正に今日から時間を掛けて行っていくものでございますが、準備預金制度上の所要準備額、つまり法律で金融機関が持たなければいけない預金の総額というのは六兆円強だというふうに思います。最終的にはその水準に下がっていくと思います。しかし、途中で十兆円という目標をあらかじめ持つということはいたしません。  一挙に六兆円に行けるか行けないか、これは、過去五年間あるいはそれ以上にわたる長い超金融緩和の過程で、短期金融市場におけるプレーヤーたちが随分変わりました。昔は、資金の取り手は専ら大きな都市銀行と、出し手は地域金融機関と。今は、むしろメガバンクは資金の出し手でございます。非常に出し手、取り手の関係が変わりまして、本当に所要準備額まで一挙に減額できるかどうか。場合によっては、個々の金融のプレーヤーたちは、自らの安全のために超過準備をしばらくは持ち続けるかもしれません。  したがいまして、結果として、普通の意味のゼロ金利が実現できる状況というのは、六兆よりはもうちょっと高くなるかもしれないと。これはいずれにせよ一時的でございますけれども、そこは今後の市場調整の推移の中で当面の答えが出てくると。それはあらかじめ十兆円であるかどうかは、私どもも分からないでおります。
  102. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 当初、十兆円ぐらいが一つの目標ではないかというふうに言われてて、六兆円というふうに、まあこれは法定で決められておるわけでありますから、大変余裕がないんじゃないかなというふうにちょっと見方をしてたんですが、今のお話を聞いてて、そこら辺は非常に幅のある言い方だったわけでありますが。  そこで、私は、大体、長期国債を買い続けますとおっしゃってます。そうすると、今の三十数兆円に達しているものを六兆円までに下げるオペのやり方はどんなふうなやり方になっていくんでしょうか。
  103. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) まず、資金の過不足の状況、自然に毎日直面いたします資金の過不足の状況が、市場において資金が不足であれば新規の供給をしなければ当然残高が減ります。そのほかに、過去に資金供給をいたすために各種のオペレーションをやっておりますが、これがずっと期日が到来してまいります。期日に来たときにそのオペレーションで自然に資金の回収が行われると、いわゆる期日落ちが起こりますと必ずまた資金が還流してまいります。格別のオペレーションをしなくても自然に資金が返ってくるメカニズムがセットしております。余り無理な回収をしなくてもできると。むしろ、その自然な回収でも無理があるとすれば、追加的な資金供給ということをやりながら市場にとって最も穏やかに調整が進むペースでやると、こういうふうなことでございます。
  104. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、順調にいくと大体七月の初めぐらいじゃないかと、こういうふうに、六兆円ぐらいになるのは、言われてるんですけども、総裁は大体、今の日本経済、大変順調に伸びているとおっしゃっていますから、そうすると、余りほかのリスク要因がなければ大体そのぐらいになるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  105. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) これはむしろ、短期金融市場の中がどれぐらいこの五年にわたる量的緩和の過程の中で機能がある意味で失われているかどうかに懸かっていると思います。  普通に計算いたしますと、これから資金の過不足の状況、それから今申しましたオペレーションの期落ちというふうに考えますと、常識的には三か月ぐらいで過剰準備は吸収できるんでございます。しかし、本当にプレーヤーが慣れているかどうか、なかんずく、ちょっと技術的になりますけれども、RTGSといいましてグロス即時決済という非常に近代的な決済手法をマーケットに入れましたけれども、これは、過去の流動性が非常に超過的に供給されている中でこれまで円滑に推移してまいりました。普通の状況ではまだこれが完全にテストされていないということもございます。そうした、まあかなり技術的な話で恐縮ですが、そこまで十分プレーヤーが短期間のうちに慣れてくれるかどうかということもよく見極めながらやっていかなきゃいけないと思います。普通は三か月ですが、恐らくもうちょっと余裕を見ながらということになると思います。
  106. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうしますと、まあ三か月順調に過ぎた、そこで資金需要が非常に多かった場合にどういうことになるんでしょうか。長期国債もやっぱり売って、そして長期国債を買い取っていくわけですけども、そうなると金利の上昇というのは、その点、非常に圧力が高まってくるんじゃないかというふうに思うんですが、その辺りはどのようにお考えでありますか。
  107. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 委員御承知のとおり、現在は銀行券の発行残高が非常に高い水準にございまして、当面これが急速に残高が収縮するという見込みはないように思います。そういう中での流動性の吸収というのは、長期国債の売りオペレーションを施さなければできないというふうな状況ではございません。
  108. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 しかし、いずれにせよ三か月後に、今の順調な経済発展が続くとすれば、非常に資金需要が増えて金利が上がり始めると、そういう局面が私はやはり訪れてゼロ金利からの解除というものが入ってくる、それをやらなければ、マイナス金利が非常にこう、実質的にはマイナス金利が続く期間が長過ぎるんじゃないかというふうに思っているんですね。そういう意味でその弊害も出てくると思うんで、そうなってきたときに、金利が、長期金利は別にして、短期金利を上げる、日銀がいよいよ公定歩合を引き上げていくと、こういうときに、先ほど言った、金融機関に対して、今までは、金利を上げるときは、貸出しは非常に早く上がるけども預金金利というものは非常に遅れる。一方で、金利を下げるときは貸出金利は非常に遅いけども、預金金利は早くその金利を下げる、こういう実は過去の歴史がございました。  そこで、総裁、今日の新聞でも量的緩和をすれば大手銀行の収益を押し上げるというような記事も載っておりました。これはバランスシートが大分変わってきているからだろうと思うんですね。  そうすると、そこで私は、今、先ほど内需主導型の経済をするためには、この過去十五年間二百八十兆円余りにも及ぶような家計部門の所得が入らなかった。税収もそれで減ってきているわけですね。そうすると、そのときにこれから金融政策をかじ取っていかなきゃいけない日銀としての立場もあると思うんですが。  総理、そのときですね、このような今家計部門が非常に遅れて、非常にここに犠牲を負わせながら、いや、表と裏があるということは私もよく分かっていますよ、経済を立て直すために必要だった面もなきにしもあらずだと。  しかし、この間ずっと犠牲になったのが家計消費部門ですよ。その家計消費部門を軸にして経済をこれからはその安定成長を図っていかなきゃいけない日本の立場からすれば、私はここのときに、金融機関に対して、これはもちろん強制するということは本当できないと思うんですが、やはりこの預金金利というもののいわゆる連動を早める、早く引き上げる。そして、これは中小企業の借りている人にとっても大変重要なことなんで、こういった点についての、いわゆるゼロ金利から今度はいよいよ金利が上がり始めたときに、私はやはりそこの辺りをきちんと考えて指導していくべきじゃないかというふうに思うんですが、この辺りはどのように総理は考えておられますか。
  109. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、そのような家計部門を犠牲にしたとかいう表現は適切であるとは思ってないんです。  金融政策にしても財政政策にしても、一部を取ってここに痛みがしわ寄せされているとか、家計部門にしわ寄せされているとか取ってないんです。金融政策全体を考えて、国民生活を豊かにするために、経済活性化が必要だ、景気回復が必要だという中でありますので、預金金利が高くなれば貸出金利も高くなります。やっぱり全体を見るべきじゃないと。ひいては、このデフレ脱却することによって、経済が順調に回復することによって家計部門もだんだん上昇して、豊かになってくる。  ですから、一部だけを取って犠牲になっているとか、そういう取り方はしない方がいいのではないかと思っております。
  110. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、総理ね、もちろん経済というのは生き物で、全体で金利もその中で動いているんです。  問題は、何が言いたかったかというと、構造改革なくして成長なしとおっしゃった。そのときに、私は一番変えてもらいたかった構造は何なのかというと、要するに輸出主導型の経済日本経済がどんどんここまで来た、もう一遍それを繰り返したんですよ、今度の皆さん方のやった経済政策によって。そこを内需主導型のある意味では経済の構造に転換をしていかなきゃいけないんじゃないか。このことを考えたときに、そのいわゆる内需の中核を成す所得、そこに毎年三十兆円近い本来そこにある税収が、税収じゃないですね、所得が、あるいは税収も入ってこないんですよ。そのことがこのいわゆる経済を見たときに、内需がなかなか火が付かない。  もう何回もこのいわゆる、与謝野大臣ですね、このいわゆるイザナギを超えるかと言われているような今回の経済のいわゆる成長の中で、何と踊り場が二回もあるんですよ。我々が知っている限り、高度成長になって、踊り場というのは一つ景気回復過程の中で一回しかないというのが大体通説だった。それがなぜそうなるかというと、なかなか、経済が発展をし、その付加価値を増やしていったけど、それは家計部門に移らないというところに日本経済のやっぱり弱点があるわけなんですよ。それは、恐らく本工労働者の労働条件、格差が出てきたと言われているものも全部影響しているんでしょう。今日はもう時間ありませんので、そこは言いません。  そこで、総理、私が経済構造改革をやらなきゃいけないというときに、今、日本経済構造を変えなきゃいけない、世界経済が大きく大転換する可能性があるわけですよ、アメリカの双子の赤字を含めて危険性がある。その中で、日本が早くからそういう構造転換をしておかなきゃ、またあのバブルのようなことが起きやしないかなという危険性を持っているわけですよ。  そういう意味で私は言っているんであって、その点について家計が、ほかのところにもいい影響があって、それはまあバランスが取れているんだという言い方じゃなくて、そういう構造に積極的に転換しなきゃいかぬと、こういうふうに私は考えるべきだと思うんですが、与謝野さん、どうぞ。
  111. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 実は、今回の経済回復というのは、外需主導型ではなく、個人消費そして設備投資、輸出、外需、これがバランス良くほとんど同じ数字で並んでいるというのが今回の景気回復しているということの前提でございます。今ちょっと手元に数字がないんですが、全部ほとんど同じ数字でございます。  かてて加えて、いわゆる財政を通じての有効需要創出というものがない、これもまた今回の景気回復の特徴で、したがいましてバランス良く回復している、また財政に頼っていないと、そういうところから、私どもはこれが持続可能性が高いというふうに判断しているゆえんであると思っております。
  112. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これはまた財政金融委員会で、時間ありませんのであれしたいと思いますが、日銀総裁日銀総裁は、そういう日本経済の中で、過去自分たちのゼロ金利政策あるいは量的緩和政策の、これは大変長い期間にわたっているんじゃないでしょうかね、ゼロ金利から入れますと、その前に二年以上ありますから。そうすると、その間に、その本来であれば得べかりし利息収入が相当の金額、実はそちらの部門からいわゆる法人部門の方に移っていると、これは間違いない事実じゃないでしょうかね。  そういう意味で、その点はこれからの金利上昇局面においてそういった家計部門への転嫁というものをきちんと早く進めていくというのはあるべき姿じゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  113. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 私どもは、これまでの経済回復ぶりを見ておりますと、最初は輸出先導型で始まったかもしれませんが、最近は、与謝野大臣がおっしゃるとおり、外需と内需のバランスの取れた経済の循環メカニズムがきちんと働いてきている。国内的に見ましても、企業部門の収益が雇用の増加、賃金の増加という形で、まだ緩やかではございますが、家計部門にも好影響が循環し始めていると。家計部門、企業部門のバランスも次第に取れる形で経済の循環メカニズムが良くなってきております。これを更にいいものにしていけば、もう少し金利を緩やかに上げても経済全体がそれを吸収していける。結果として、預金金利を通じて更に所得が家計にも還元されて経済の循環メカニズムが一層強まると。こういうふうに、経済の循環メカニズムがうまく作動していけば前向きの循環メカニズムが一層強まるということでございます。  所得再分配的にだけ考えますと、経済全体のリズムを害するような金融政策という結論になりかねない、そこは絶対に避けたいと。よく経済の循環メカニズムに聴診器を当てまして、リズムが乱れないということを十分確認しながらこれはやらせていただきたいと思っています。
  114. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 またその点、時間を掛けて、財政金融委員会にもお出ましいただいてまた議論したいと思いますが。  一つ、今回の金融決定会合で海外要因というのはどういうふうに考えられたのか。海外要因です。ちょっとあらかじめ質問通告しておりませんでしたので。海外の要因、すなわち、FRBのバーナンキさんもこれから利上げがあと一、二回あると言っている。それから、ECB、ヨーロッパの中央銀行もこれ今非常に引締めに入ってきた。そして、今回は量的緩和からゼロ金利。まあベクトルとすれば引締めの方向に近いのかなと、こう思っているんですが。  そうすると、これが世界経済、特に日本の場合は円キャリートレードという形で、日本の円の資金がキャリートレードで海外に運用されていくようなことが随分あったと言われています。そうすると、そういうものが徐々に全部逆のベクトル働いたときに、世界経済にこれがどういう影響を与えるのかということは今回どのようにお考えになったんでしょうか。
  115. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 日本経済は、本当にグローバルエコノミーの中に非常にインテグレートされた形で非常に緊密な連関を持ちながら動くようになっております。したがいまして、グローバル経済の好調な動きの中で日本経済も次第に好調な動きを示すようになっているという側面がございます。  私ども金融政策は、日本経済そのものに聴診器を当てて、その健康度合いの回復ぶりに合わせてきちんと金融政策をやるということでありますけれども、例えば量的緩和政策の枠組みの修正にいたしましても、私どもはこれで大丈夫という診断が付いた限りは直ちにこれを実行して、確定要因をあえて市場の中で不確定要因にしないという形で市場にお返しすると。そうでなければ、国際的に資本移動の非常に激しい経済になっておりますから、市場は、確定要因を日本銀行がなお不確定要因として残したらそれをもてあそぶと、不規則な資本移動が起こります。そういったこともないようにきちんと判断しながらやらしていただいているつもりでございます。
  116. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっと今日、日銀総裁、度々お聞きしたいと思っているんですが、引き続いて。  実は、ちょうどゼロ金利になったときに速水総裁とやり取りをさしていただいた。そのとき速水総裁が、インフレターゲットの議論が非常に活発であって、そのときに速水総裁が、実は二〇〇一年の三月でしたけれども、二〇〇〇年の十月に「「物価の安定」についての考え方」を、レポートを発表された。そのときに、実はこういうことをおっしゃっているんです。速水総裁の言葉を私が代わりに読みたいと思いますが、物価の安定というのはインフレでもデフレでもない状態であり、家計や企業など様々な経済主体が物価の変動に煩わされることなく消費や投資などの経済活動に係る意思決定を行うことができる状況と、こういうふうにおっしゃって、具体的な数値目標についての議論の中で、デフレスパイラルの防止のための余地として若干のプラス物価上昇率を目指すべきだ、こういう点では政策委員のメンバーでは広く認識を共有していると、こういうふうに書かれているんですね。速水さん、私がちょっとそれを読んだもんですから。  そうすると、今回、総裁、あの報告を読むと、このときの報告にゼロと二%、ゼロから二%という参照数字が入ったこと、これがそのことに対して目新しいものが付いているだけであって、余り大きな変化はないのかなと、こういうふうに私には思えたんです。  で、閣僚の方からはいろんな発言聞こえていますし、先ほど、竹中大臣は弁解といいますか自分の真意もおっしゃっていました。その中で、機動性、透明性、それからもう一つは柔軟性ですか、この三つを加味したいとおっしゃったんですね。恐らく、インフレターゲットだと柔軟性がなくなるというふうに思っていらっしゃるんじゃないかなと思うんですが。  そこで、もう時間が余りないので、これからちょっと単刀直入に、こういうことはおやりになったらどうかと思うのは、ゼロ金利の期間、これからゼロがいつになるのかというのはみんな、先ほどちょっと九十日とか、いろいろ注目をしているところなんです。このゼロ金利の期間までの間で結構ですから、あの展望レポート、四月に、それから今度は十月にある。一年に二回やっているんですけれども、四半期ごとにやってみるということはいかがなんでしょうか。というのは、七月、それから一月を付け加えて、ゼロ金利までの解除に、つまり情報公開と、こういったものがもっと充実されてしかるべきじゃないかという声が、さっき恐らく説明責任ということがおっしゃっていましたけれども、そういう点、いかがなんでしょうか。
  117. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 展望レポートの役割は、日本銀行がこの先一年を超え二年と比較的長い期間どういうふうに経済物価状況を見通しているか、その中で標準的なシナリオはこうだということをお示しするということが第一の目的でございます。で、そのシナリオを前提にして、実際の経済動きがそれよりも上に行っているか下に行っているかという判断をこれまで示してまいりました。  これから先は、昨日お示ししました新しい枠組みによりますと、更に本当に持続的な、物価安定の下で持続的な景気の拡大、回復、これが続くかどうかと、この尺度で見てもどういう評価ができるかというこの尺度を加えていこうと。さらには、ひょっとして起こるリスク、しかし、もしかして起こると物すごく負担の大きいリスクというのは何だろうというふうに、リスクについても評価を加えて出していこうということでございます。  長い目で見た見通しに対する評価でございますので、まあ半年に一回と。そして中間レビューということを三か月ごとにやっておりまして、今ぐらいが適度かなと思いますけれども、半年ごとの見通し及びその評価、そして三か月ごとのレビューの内容はこれから更に充実したものにしてまいりますので、それを一度御評価いただいて、さらに、本当に三か月ごとでなければいけないか、余り長期の見通しを三か月ごとにリバイズするというのは、国民の皆様に評価の土台となるものを、余りあめ細工のように変わってもいけないかなという気持ちもありまして、今まで多少遠慮をいたしております。
  118. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 恐らく、ゼロ金利の解除というのは、いつ、どのような基準でやられるのかって、これも本当はお話聞きたいところなんですが。  例えば、先ほどちょっと長期金利の買入れの問題について、昨日、私が見る限り、総裁、こうおっしゃっているんですね。少し長い目で見ると、ちょんちょんちょんと、いずれ長期国債の買入れについては縮減過程に入るだろうと。そうすると、長い目というのは、長い目で見るとというのはどのぐらいの期間なんだろうねというのはすぐ我々としては気になるわけですね。だから、そういったことも含めて、是非、今総裁は、まあ来年、再来年のことを展望するのに四半期ごとじゃちょっと短過ぎやしないかねということなんだろうと思うんですが。  じゃ、もう一つお願いがあるんです。これは、私ども毎月、毎月ではないですね、政策決定会合の議事録、これが、要するに決定会合があってすぐ次の会合の前に出るんじゃなくて、決定会合があってその次の決定会合があってそれから出てくるんです。そうすると、あれ、なかなか、もういろんな意味で、何といいましょうか、賞味期限を失ったといいましょうかね。  そこでお願いがあるのは、むしろあれは、アメリカのFRBと同じように、決定会合があったら次の決定会合の前に出していただけないかな。つまり、それだけ情報公開することによって、我々あるいは市場関係者が、ああ、日銀は前回こういう議論をしているんだなということがある意味ではよく分かるんじゃないかなと。そのことが説明責任ということで、まあ竹中さんがおっしゃっているのはもっと違う意味かもしれませんが、情報公開、そういったことにつながるんじゃないかと思うんですよ。  この点はいかがでしょうか。改善する意欲はございませんでしょうか。
  119. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 当面の銀行券の発行残高の見通し等を前提にいたしますと、長期国債の買入れについては、これまでのペースで日銀がしばらく買い続けるということに何ら支障は生じないというふうな見通しは確固として持っております。  ずっと先まで考えましたときに、やはり日本銀行の資産、負債の状況、それから銀行券の状況等を見ながら適切に判断していかなければならないということは事実でございますけれども、長期金利に与える影響が不測のものとならないように、十分予見性を持って我々は対処させていただくというふうに思っています。  それから、議事要旨の公表につきましては、次回政策決定会合で承認を経てという仕組みになっております。したがいまして、次回政策決定会合の直後には出すようにというふうに努力をいたしております。
  120. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 残念ながらゼロ回答だったんで、是非、やはり日銀の独立性というのは我々も十分評価をしているところでございますので、やはり市場関係者に対してきちっと説明責任という点では、その了解を得る前に私はやはり情報開示すべきではないかなというふうに意見として申し上げておきたいと思います。  今日はありがとうございました。  そこで、もうあと八分間という短い時間になってまいりましたんで、もうたくさん質問事項ありました、税制のところもお聞きしたいと思ったところはあるんですが、少しちょっと余談になりますので。  これから、今、経済財政諮問会議を中心にして財政再建の問題が議論になっていますね。  そこで、総理にまずお聞きしたいんですが、総理の在任中に相当増えたということの御指摘、先ほどありました。恐らく、プライマリーバランスの黒字、それを達成するまでの間にまだ増え続けるんでしょうね、恐らく。そうすると、今GDPの一五〇%と言われています。この総額も本当は聞きたかったんですけれども、今日は時間ありません。このたまりたまったお金をどういうふうにしたらいいとお思いでしょうか。
  121. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 財政健全というのは、今後の経済発展考える上において極めて重要な要素であります。その一つの指標としてプライマリーバランスということが言われますが、その基礎的財政収支、プライマリーバランス回復に向けて様々な改革努力を続けていかなきゃなりませんが、今の目標としては二〇一〇年代初頭にこの……
  122. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 一一年じゃないんですか。
  123. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 二〇一〇年代初頭、目標は二〇一一年、初頭ですから、必ずしも一一年というふうに区切りません、二〇一〇年代初頭ですから。まあ仮想の計算としては一一年というのがあります、別に固定しているわけじゃないですから。二〇一〇年代初頭にはプライマリーバランスを回復したいというのが一つ財政健全化へのステップだと考えております。
  124. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私の質問はですね、たまるでしょう、一千兆近く、それをどうするんですかと聞いたんです。事前に余り通告してないので、この質問は、総理、何か考えあります。こんなにこんなに、もうGDPの二〇〇%近くなってるんですよ。
  125. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ええ、これもできるだけ国債発行を減らすような努力をしていかなきゃならないし、そして、確かに名目成長と国債金利、これは関係してまいります。まあ専門は与謝野さん、竹中さんおられますけれども、ともかくここが今後の一つの議論になると思いますけれども、名目成長率と長期金利の関係が出てまいります。そういう点も含めて、しっかりとした選択肢を提供していかなきゃならないと思っております。
  126. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 あのね、事前に言ってなかったからそういうふうに、名目成長率と長期金利の関係で聞いたわけじゃないんです。  実は、竹中大臣ですね、これも通告してなかったんですが、ちょうどあなたは、あなたって言ったら怒られるな、大臣が参議院の決算委員会、平成十三年六月四日、ですからなられた直後だと思うんですね、決算委員会、岩本参議院議員に対する。それで、岩本さんがいろいろ今みたいな質問しているわけです。そのときにどう答えられたか御存じですか、覚えていらっしゃいます。読んでみましょうか。「ただ、これもあえて言えば、国債を返した国なんてほとんどないと思います。国債なんか返せないんです。国債を返そうと思ったら、巨額の黒字を何十年も出し続けなきゃ返せないですから、そんなことは普通の国ではできないわけですね。ただ、何をやるかというと、財政再建というのは、国債を返すことではなくて国債がせいぜいふえないようにする、それがまさにプライマリーバランスを回復させるということになるわけですけれども、そういう目標で考えなければいけないのだと思います。」と、こういう発言なさっているんですが、それは今もお変わりないですか。
  127. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そういう答弁、実は何度かさせていただいていると思います。  財政赤字がひどくなって借金をつくった例として、ナポレオン戦争の後のフランス、そして大戦の後のイギリス、そういう例を出して、今読んでいただきましたように、借金を返すとなると巨額の財政黒字を何十年も続けないと返せないわけですから、それは残念だけれどもやっぱりなかなかできないわけで、借金をできるだけ増やさないようにする、そしてその間に長い時間掛けてGDPも成長していって、それで相対的に借金の負担感をなくしてきたというのが、これが歴史の知恵であると思います。  もちろん、黒字が出れば借金はその分返せるわけですから、そういう努力は当然しなければいけない。第一段階としてはだからプライマリーバランスの回復、そしてその後ではGDPに対する債務比率を減らしていくというような、更に踏み込んだ目標を持っていくべきだと思っております。
  128. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それで、最近の経済財政諮問会議の議論を聞いてますと、もう一一年、二〇一〇年代の初頭、プライマリー黒字になったら、今度はGDP比を削減する目標を立てて幾ら、じゃ、それには財源が必要なのかと、いわゆる経済成長率幾らなのか、あるいは増税幾らなのかと、こういう議論になってますよね。  そうすると、今の議論は、要するにプライマリー黒字までは行きますわと、そこまではいろんな努力をしてやっていきましょうと。これは、これはこれで大変重要ですけれども、そこから先はそんなに焦らないんだと、焦らなくてもいいというか、少しずつ返していけばいいんだと。そこのニュアンスが、この段階でおっしゃっていることと今経済財政諮問会議で議論になっていることと、ちょっとややずれがあるんじゃないかなと思うんですが、これは与謝野さん、ちょっとどういう関係なのか教えてください。
  129. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) プライマリーバランスということは、基礎的財政収支というふうに訳されておりますけれども、これは、プライマリーというのは一次的という意味で、まず到達すべきそのバランスということでございます。これは家計でいえば、一家のあるじの稼ぎでその一家の家計が成り立つという意味だけでして、借金のことは全く忘れて物を考えるという意味がプライマリーバランスという言葉でございます。  そこで、借金を除いて家計を考えるわけですから、借金の塊がサラ金地獄的に金利が金利を生むという状況は何としても避けなきゃいけないと。それは、プライマリーバランスを到達した後は、金利が金利を生むという、そのことを避けるというのが一番大事なことだと私は思っております。
  130. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ニュアンスが変わってきたのではないかということに関しては正にそうでございます。  当時は、プライマリーバランスの回復が本当にできるのかと。これはもう十年で何とかやるということを目標に立てて、これはもう大変だということでございましたから、今なぜ変わってきたかというと、そのプライマリーバランスの回復の姿が見えてきたから、これが次の段階を議論しようというふうになったわけで、その点が正に総理がおっしゃった、当初から予定どおりに進んできたんだということにもつながってくるわけでございます。
  131. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 だから、率直に今変わってきたということを認められているんですけれども、私はこれ、物すごく重要なところに来ていると思うんです。  それは何かというと、これもう時間も来ていますからもう手短に終わりますが、要するに、小さい政府を目指しておられるから、私は今小さい政府を目指す競争は反対です、別のまた機会にその議論をしたいと思いますが。小さい政府を目指そうとされていて、今どんどんどんどん削減されている。さあ今度プライマリー黒字になりました。もちろん税負担あるのかもしれません。さらに今度は、GDPの二%くらいずつ、過去の財政赤字を減らすために十兆円ぐらいずつ増やさなきゃいかぬとしたら、これもっともう、ただでさえ今、日本政府というのは私はそんなに大きい政府じゃないと思っていますけれども、それを更にスリム化していけという話になりかねない要素を私持っていると思うんですね。  その意味で、私は、この巨大な額に到達したこの日本の国債、地方債、公的債務をどのように管理をしていくかということを改めてしっかり議論しないと、今の経済財政諮問会議のように、その先の、プライマリー黒字が実現した先の、今度はGDP比でそれを減らしていくんだということに猛然と今進み掛けているわけですよね。  その意味で、私は、そのことに対して改めてもう一回、どのようにこの公的債務の管理を進めていったらいいのか、国債管理政策を進めていったらいいのかということについての議論をやはりしっかりやらないでそこに行くことについては大変危険だというふうに申し上げて、ちょっと中途半端になりましたけれども、私の質問を終わらしていただきます。
  132. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で峰崎直樹君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  133. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、西田仁君質疑を行います。西田仁君
  134. 西田実仁

    西田仁君 公明党の西田実仁でございます。よろしくお願いいたします。  まず初めに、この量的金融緩和、昨日解除になったわけでございまして、冒頭、まず与謝野大臣にお聞きしたいと思います。  今回の量的金融緩和のいろんな御議論がございますけれども一つだけお聞きしたいことがございまして、金融政策の中で中長期的な物価安定の理解として、今回、ゼロから二%という数値がいわゆる参照値として挙げられたわけでございます。これは、今年一月に内閣府が中期展望の中でも、基本ケース、またリスクのケース、それぞれ経済見通しというのを出されておられますが、この二つともに消費者物価指数を見ますと、ゼロから二%の間に大体入っているわけでございます。そういう意味でいえば、今回のこのゼロから二%というインフレ参照値はある意味で織り込み済みと、そういう大臣の御認識かどうか、お聞きしたいと思います。
  135. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 内閣府はいろいろな試算をしておりますが、いずれも物価上昇率の見通しについてはゼロから二%の間に収まっております。
  136. 西田実仁

    西田仁君 それでは、まず総理にお聞きしたいと思います。  先ほど来から少し御議論もございましたが、まずお聞きしたいことは、この小泉政権、間もなく五年を迎えるという中で、改革なくして成長なしと、こういう目標を掲げて、その路線から五年がたとうとしております。  そこでお聞きしたいわけでございますが、この改革の進捗度につきまして総理はどのように自己評価されるのか。特に、この経済、まあイザナギ超えという声も聞こえてくる景気の拡大が続いているわけでございます。今現在、日本経済は新たな成長路線のスタート台に立っていると、こういう御認識なのかどうか。五年の自己評価も含めて、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  137. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 昨日、日銀も量的緩和を解除方向政策決定をなされたわけであります。ということは、私が就任した当初、デフレスパイラルに陥るのではないかという状況から、今の経済状況は確実に、デフレスパイラルじゃなくて、逆にデフレ脱却に向けて確実な歩みを始めたという認識だからこそあの量的緩和の解除決定されたと思うんであります。  また、これまでも、日本経済は駄目だ駄目だと日本国内におきましても海外からも批判を受けてまいりましたけれども、最近ではOECDも日本経済は復活し出したという評価も与え出して、日本経済はようやく活性化に向けて動き始めたのではないかと。この歩みをしっかりと進めていくのが我々の責務だと思っております。
  138. 西田実仁

    西田仁君 そういう意味では、自律的な経済成長ということに向けてスタートを切っているということだと思います。その中で最大な課題、今日の集中審議のテーマでもございます財政改革財政再建ということにつきましてまずお聞きしたいと思っております。  今、財政再建をめぐりましては、プライマリーバランスの問題、また国債残高の累増の阻止、あるいはその対GDP比率の上昇阻止といったようなことが大変に議論されて、一つのメルクマールとして議論されていると思います。そういうこと自体は否定すべきことではないと思いますけれども、ただ、その数値が余りにも仮に非現実的な成長率だったり、あるいは非現実的な名目長期金利の実現が求められるということであるならば、これは実際には現実には達成不可能であると、こういうふうにもし有権者、納税者の皆様が思ってしまえば、これはもう元も子もないわけでございまして、協力も得られないと、このように思っております。  一例で申し上げまして、単純な算数でございますが、例えば国債残高の対GDP比率の上昇阻止ということにつきまして、平成十七年度末の国債残高は五百三十六兆円の見込みと、対GDP比率でいえば一〇七%ということになろうかと思います。そして、翌年、平成十八年度、仮に、この新規国債発行、三十兆に抑えようということでございますので、三十兆円増えたとしても国債残高は五百六十六兆円になるわけであります。名目GDP比、国債残高のGDP比率を一定に保とうと思えば、これは名目GDPが五百二十九兆円にならなきゃいけないということで、簡単に言えば八%ぐらい成長しなきゃいけないというような数字になってしまう。実際には、ただ、来年度におきましては、再三お話がございましたとおり財政融資資金特別会計の十二兆円等を国債買入れ消却しておりますので、実際には私が今申し上げたような国債残高、平成十八年度見込みにはもちろんなっていないわけであります。しかしながら、単純に計算して、それをやろうとすればかなり現実性の低い高度成長をしなければならないということに単純計算ではなってしまうと、そういうことをまず懸念しているわけでございまして。  もう一つは、やはり国債残高の累増阻止ということにつきましては、これは三十兆円新規国債発行を切ったということは平成九年以来の快挙でございまして、いろんな御批判は数字のいろんなマジックだとかいう話もありますけれども、現実として三十兆を切ったということは画期的なことであろうと思います。しかしながら、だからといって国債残高の累増が止まるかといえば、そういうことはないわけでございまして、それは、過去の国債の多くが借換債として更に発行されるわけだからであります。  そこで、まず谷垣大臣に、この国債管理政策という観点、今申し上げましたとおり、新規の国債発行は何とか三十兆円以下に抑えているんだけれども国債は累増していくという、つまり借換債が多いということですけれども。健全なこの国債管理政策ということからすれば、例えばイギリスのような五十年、あるいはアメリカ三十年という超長期の国債が発行されているわけでありますが、こうした超長期の国債発行の方が健全ではないかというような考え方もあろうかと思いますが、これについて谷垣大臣はどのようにお考えでしょうか。
  139. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今お話しになりましたように、国債発行額を毎年抑えてきましたけれども、まだまだ三十兆という規模で、新発債も増える、借換債もあると。そういう中で、国債をいかに安定的に消化し、そして中長期的な発行コストを抑えていくかということはもう我々の非常に重大な課題でございます。  それで、今委員がおっしゃったように、私ども、そういう中長期的なコストを抑え、安定的に消化するということを目標にして国債発行計画を毎年作っているわけですが、リスクを、借換えリスクとか金利変動リスクを低減していくと、軽減していくという意味では、発行年限をその長期化を図ると、超長期といいますか、そういうものを出していくというのは非常に効果があるわけですね。そういうことを前提に、やはり市場のニーズをいろいろよく聞き取りながら、今はもう短期のものからある程度このバランスを取って発行計画を作っているところでございます。  それで、近年では、今我が国の超長期債である二十年債あるいは三十年債、こういうものを発行しておりますが、こういうものが出てきておりまして、国債の平均発行年限についてはだんだん長期化しているというのが現状でございます。十八年度の国債発行計画においても、二十年債を増額する一方、割引短期国債を減額するというようなことにしておりますので、平均発行年限は、十七年度当初と比べて一か月延びて今六年十か月ということになっているんです。  そこで、今委員おっしゃったのは、五十年ほどの超長期を考えたらどうかと。これは確かにイギリス、フランスもそうだったと思います。それから、アメリカは三十年ぐらいのものだったと思いますが、今超長期債の発行が、発行されたり検討されているということは承知をしておりますが、今我が国のマーケットの現状を見ますと、必ずしもそういうところにニーズがあるというふうには私ども思っておりませんで、今直ちに五十年債を発行するということは念頭にあるわけではありません。  ただ、委員のおっしゃるように、市場のニーズをよく見極めながらやっていかなきゃいけませんので、絶えず市場と対話しながら、どこにニーズがあるのかと。今おっしゃったような超長期債のニーズ、五十年のニーズが出てくるのか出てこないのか、こういう辺りも私どもはアンテナを鋭敏にして市場と対話をしていきたいと思っております。
  140. 西田実仁

    西田仁君 この財政再建ということになりますと、やはり本当の問題として私は今問われなきゃいけないテーマは、なぜ国民所得の増加が止まっているのかということではないかと思っております。  国民所得というのは、すなわちこの働く人が生み出す付加価値の総計でございまして、この国民所得は、平成九年、三百九十兆円弱でピークになっておりますが、その後そのピークには達しない、平成十八年度でも三百七十六兆円ぐらいというふうに見積もられているわけでございまして、まだピークには達していないという状況なわけであります。  そこで、こうした状況の中で、結局は、いろんな施策というのは当然考えなきゃいけないと思いますが、財政の効率化を図っていくこと、そして、これはもう総理もずっと進めておられますが、民間部門の活動を拡大する方向性をより明確に打ち出していくと。そこしかやはり、強靱な経済をつくることしか本当の意味での財政再建というのはやはりあり得ないというふうに思うわけであります。  再三言われておりましたとおり、デフレからの脱却が最大のテーマだとすれば、私、デフレっていろんな定義があろうかと思いますが、私の理解では、このデフレというのは、正常な価格水準から異常な下方乖離を起こしている状態ではないかというふうに思っているわけでありまして、異常な下方乖離を起こして、何が異常な下方乖離なのかといえば、これはもう期待成長率が非常に下がってしまっている。ですから、この期待成長率をいかに改善をして上げていくのか、高めていくのかというところに議論をやはり集中させていかないと、非常に技術的な話になってしまったり、非常に非現実的な数字合わせだけになってしまったり、そういうことになりはしないかということを懸念しているわけであります。  そこで、まず総理に、我が党といたしましては、今この官から民へ、民間主導の力強い強靱な経済をつくっていくために事業の仕分けをして、そして本当に官がやるべきこと、民がやるべきことをしっかりと見極めていく。そういう中で、新しい仕事、機会の平等をつくるためにも、新しい仕事を官を縮小していく中で民に生み出していくと、こういうことが大事ではないかというふうに思っているわけであります。民間主導の成長戦略、強靱な経済によって財政再建をしていくと、そのときに事業仕分けをして官から民への仕事をもっと増やしていくと、こういう観点について、まず総理のメッセージをお聞きしたいと思います。
  141. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 官から民へという場合に、事業の仕分けというものがないとどっちが役割を担うのかという点も難しくなりますので、その考え方、これからもしっかりと取っていかなきゃならないと思います。  そこで、何でも民でやればいいのか、官でやればいいのかというと、どちらが官でやっていいのか、どちらが民の方が効果的かと、あると思います。また、両方、官民ともにやっていい事業もありますので、その仕分けというものは極めて大事でありますけれども、今、様々な民間企業なり民間人の活躍を見ていますと、今までは役所の仕事と思われた分も、公共的な仕事は役所がやるんだという観点から、民間企業でも公共的な仕事をしてるじゃないかと、民間人だって警察と消防と同じような活躍をしてるじゃないかというのも随所に見られます。  そういう点から、事業の仕分けという官から、どちらが役所がやるべきか、どちらが民間に任してもいいだろうかという仕分けというものをこれからもきっちりしていきたいと思っております。
  142. 西田実仁

    西田仁君 谷垣大臣にお聞きしたいと思います。  今私が申し上げたこの財政再建にとって本質的に大事な、このいかに期待成長率の改善を図っていくのかという観点から、これはなかなか財政が出るとか、金融の方ももう一杯一杯というところもございます。そうすると、やはりこれは、税制でこうした期待成長率の改善ということにやっぱり資するような税制改正ということも大事ではないかと思っているわけであります。その意味では、一つには新規の設備投資を促していくような税制改正、また新しく業を起こす、起業を促進していくような税制改正、これがこの平成十八年度ではどのようなものが具体的に盛り込まれているのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  143. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 委員おっしゃるように、期待成長率あるいは潜在成長率を高めるために税制も頑張れというのはおっしゃるとおりだと思います。  それで、今おっしゃったような設備投資は、研究開発に政策税制を集中化しようというのを十五年度やりまして、今年はそれを一応三年間で終わりまして、十八年度でまた新たに形を整えて、そして中小企業等にやっていこうということでやっております。  それから、中小企業関係税制の拡充、これも今年また引き続き、毎年度ございますが、今年もかなり力を入れたつもりでございます。  それから、今年は特にございませんが、ベンチャー等をどうしていくかというのは今まで取り組んできたことも、今おっしゃったことでは重要な意味があると思いますし、それから、貯蓄から投資、こういう形でやってきた金融・証券税制の見直しというのも意味があろうかと思っております。  それからもう一つ大事なことは、国際的な投資交流を促進するためのあの日米租税条約の見直し等、今イギリス、フランスと署名をしたところでございますが、こういったようなものをいろいろ工夫をしていかなければならないだろうと思っております。
  144. 西田実仁

    西田仁君 そこで次に、持続的な成長ということでお聞きしたいと思います。  結局、この持続的な成長、先ほど与謝野大臣からもお話ありました。最近の景気回復は非常に内需も外需もバランスが取れているというお話がございました。これ更に持続的に経済成長を図っていくためには、やはり個人消費、これを消費者、家計部門の需要に支えられた経済である必要が当然あるわけであります。  その意味では、雇用者報酬、賃金指数、これがいずれも二〇〇五年には小泉政権になって初のプラスに転じたということは大変大きな朗報であろうと私は思っております。雇用者報酬はちなみに前年比一・三%、事業所規模五人以上の賃金指数も前年比でプラス〇・六%とプラスに転じたというのは、これは大変に朗報であろうと思っております。  更にこれを進めていくということを考えたときに、じゃ税制で何かできるか。つまり、個人消費、家計部門に引っ張られた、より牽引力を付けるような税制改正ができるものかどうかと考えてみますと、これは実はそう簡単ではない。消費はやはり個人の選択であり、消費を喚起する税制改正といっても、なかなかそう妙案は難しいのではないかと思っております。  そこで、お金を掛けずに何かできないかと考えたときに、まあこれはかなり乱暴な意見かもしれませんが、金融政策で取られているいわゆる時間軸効果というものを税制面でも取り入れることはできないだろうかというふうに思っております。  すなわち、これは、例えば消費税一つ取ってみたときに、消費税を例えば何年まで引き上げない、あるいは、金融政策三つの条件が量的緩和解除に設けられまして予測可能性というものは格段に市場関係者に高まったと思いますけれども、それと同様に、消費税につきましても、引き上げるとすればこういう条件でいくとか、そういうような一つの宣言というものによって税制面における時間軸効果というものが考えられないだろうかというふうに思っております。  先ほど総理も消費税に関しましておっしゃっておりました。昨年の十二月の段階でもおっしゃっておりました。〇七年度、二〇〇七年度までには引き上げないと、そういう環境にはなっていないと先ほどは御答弁されたかと思います。  こうした、この税制面におけるいわゆる時間軸効果、それを総理が意図されているのかどうか分かりませんが、そういったことも考えられるのではないか。消費を喚起する税制というのはなかなか難しいとすれば、例えばそうした税制面における時間軸効果ということも考えられないだろうかというふうに私自身思っておりますが、総理はいかがでございましょうか。
  145. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 時間軸というのをどう取るか。私と西田議員と同じかどうか分かりませんけれども、時限立法的にとらえているのかどうか分かりませんが、導入する前から、いつ何%上げるかということを今私は判断する状況にはないと思っているんです。  過去の導入の経緯は、法律が決まれば何年か後に消費税が導入されると。今年法律通ってすぐというわけにはいかないでしょう。法律が成立したら何年後かにということはあり得ます、それは一年後か二年後か三年後か分かりませんけれども。  それと、消費を刺激するために、落とさないために消費税導入する場合は、一挙に五%、一〇%という引き上げないで、一%か二%ずつ段階的に引き上げるという人もいます。そういうのを時間軸というのか私分かりませんけれども、五年間で毎年一%ずつ引き上げたらどうかという人もいるぐらいです。これは一つの理論ですよ。そうすれば、上がらないうちに買おう、上がらないうちに買おうという心理が働くと言っていますが、それが必ずしもどうなるか分かりませんから。実際、そんなに毎年毎年税率を変えることがいいのかどうかも、これまだこれから議論の余地があると思います。  また、過去の三%から五%に引き上げた場合には所得税を減税先行させましたから、その後に、何年か後に消費税を上げるという、これも時間軸と言えば時間軸と言えます。  様々ありますから、今私が、今年九月に辞める私が後の総理の手足を縛るということはしたくはありません。
  146. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ちょっとさっきの答弁の訂正させていただきますが、投資促進のための投資条約ですね、英仏と署名をしたと申しましたけれども、フランスはインドの間違いでございました。訂正させていただきます。
  147. 西田実仁

    西田仁君 さらに、この自律的な経済成長を図っていくというときに、伝統的ないわゆるマクロ経済政策というものはかなり今手詰まり感があるというふうに正直言って思います。これは財政出動しようと思ってもお金がないと、金融にしても、先ほど申し上げたとおり、もうかなり臨界点に来ていると、円安政策なんかを取るわけにもいかないと。こういうふうになりますと、じゃミクロの成長戦略であろうというふうに思うわけでありますが、これも昔のようないわゆる産業政策を取って何か全体を引っ張っていくというのもなかなか難しい今状況にあると私は思っております。  そこで、竹中総務大臣にお聞きしたいんですが、むしろ私は、この道州制というものを見据えながら、国全体の計画というよりも、その道州制見据えた地域振興政策地方公共団体の独自財源による独自の政策というところに可能性をより見いだしていく必要があるんではないか、その地域振興産業政策というところで申し上げますと、というふうに思っております。  先日、地方制度調査会の報告を読ませていただきました。この道州制の意義についていろいろと触れられておりました。その二つ目に、自立的で活力ある圏域の実現というのが調査会の報告にあったわけであります。そこにはまだ今私が申し上げたほどの見込みはなかったように記憶しておりますけれども、いずれにしましても、竹中大臣にお聞きしたいことは、この道州制を見据えて、また今進んでいる三位一体の改革ということを進めていく中で、こうした地域振興政策、従来型の産業政策とは異なるそれぞれの地域の産業を活発化していく政策をより進めていく必要があるんではないかという点につきましてお聞きしたいと思います。
  148. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、西田委員言われましたように、マクロの総需要管理ではなくて、やはり独自の地域振興、産業振興、そしてそれを独自の財源で行うということの重要性は私もやはり高いと思います。そのためにこそ、地方でできることは地方でという分権、そして地方創意工夫していただくということが重要になっているというふうに思います。  先月末、第二十八次の地方制度調査会の答申を出して道州制を議論しておりますけれども、その道州制のちょっと答申、この中にあるんですけれども。その文言の中で、個々の都道府県が連携して行うという手法ではやはり推進力や機動性に欠けると、また、海外に対するプレゼンスが弱いという指摘がなされていると、都道府県の区域を越える広域行政課題に適切に対処する主体の在り方についてやはり検討が必要だと、正に私はそのように思います。そこから自立的で活力ある圏域の実現、そのために分権に対応し得る地方税体系の実現等々も議論をされていると承知をしております。  同時に、この報告では、やはりこの道州制の導入に関しては国民的な議論が要るということが明快に述べられておりまして、そのとおりだと思います。我々としては、今後、様々な機会をとらえまして、まずやはり道州制に対する国民的な議論を喚起をすると、その中でやはり道州制特区の議論も議論していただけると思いますけれども、そういう答申に関連する課題について非常に幅広く国民的な議論をしていただけるように持っていきたいと思っております。
  149. 西田実仁

    西田仁君 次に、国の財務諸表の総覧性、一覧性を高めるということについて谷垣大臣にお聞きしたいと思います。  今、企業は、投資家やいわゆるステークホルダー、まあ関係者等に、あるいは社会に対して自社企業のIRを非常に重視している。インベスターズリレーションズを大変に重視しているわけであります。私は、企業の情報開示がこれだけ重視されている中で、国も、やはり統治機構である国家ももっとその納税者との関係から情報開示をすべきであると。言わばIRに匹敵するようなTRというんでしょうかね、タックスペイヤーズリレーションズと勝手に呼んでおりますけれども、このTRをもっと高めていく、国として努力すべきであるというふうに私は思っております。税を取るという議論ばかりがこう盛り上がるのではなくて、その市場経済の中で当然の最低限のルールと企業ではされているIRに匹敵するTRをもっとやるべきであるということで思っております。  そこで、具体的に二つだけ今日はお聞きしたいと思います。  一つは、いわゆるこの一般会計、特別会計を連結した一覧性、総覧性のある財務諸表というものの情報開示がもっとなされるべきであると。既になされているというふうに思います。思いますけれども、しかし一般会計、特別会計を通じたいわゆるコード番号というものがまだここには断層があるわけでございまして、このコード番号を一致させることによって、より分析、またTRを高めていくと、こういうことができるんではないかということをまず一つ。  もう一つは、この政府資産の適正なる評価ということであります。これから財政再建をするに当たって、政府資産を適正に評価し有効活用していくという視点が大変重要になっているわけであります。その際に、今政府の資産、どう評価しているか。まあ簿価は当然ありますが、時価も評価してないわけではないけど、時価もしている。私が聞いたところによれば、この時価といっても路線価で五年に一遍という、そういう評価の仕方をしているということであります。これはやはりちょっと、いわゆる限りなく流通価格に近い形で情報開示していくと。TRということを考えますと、やはり五年に一遍の路線価ではいかがなものかというふうにも考えるわけでありまして、この二つ、一般会計、特別会計を連結したコード番号の付与の点、さらに流通価格に限りなく近い形で政府の資産を評価していくと、そういう二つの点でTRを高めるべきだということについて、大臣の御所見をお伺いします。
  150. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 国の財務状況、財政状況をよく納税者に理解をしていただくということは、企業が努力されているのと同じように国も努力をすべき大事なことだと思っております。  それで、委員も言っていただきましたように、この五年間ほどを掛けまして民間準拠の国の財務諸表というものを整備してまいりまして、まあそういったものを私どももこれからできるだけ活用していかなきゃいけないと思っているところなんです。  そこで、具体的な御提案である予算書の添付書類である予定経費要求書において、経費の性質やらあるいは分類を明らかにしてその分析を行えるように各種のコード番号を付けているんですが、一般会計と特別会計でそのコード番号が若干違うという現状がございます。特会については、経済性質別、使途別、それから目別の分析コードになっているんですが、一般会計については、これに加えて、さらに主要経費別、目的別、公債金対象非対象別といったようなことになっているんで、こういった一覧性、総覧性、もう少し可能な、使いやすい形にならないかということだろうと思っております。  それで、本日、国会に行政改革推進法案を出さしていただいたわけですが、この中で、国全体の財政状況の一覧性を確保するために、特別会計歳入歳出予算の総計及び純計について、所管及び主要な経費の別に区分した書類を参考資料として予算に添付するなどの措置を講ずることと、こうなっておりまして、これは、今後コンピューターのシステム改善等々についても併せて取り組まなければならないんですが、そういう形で取り組んでいきたいと思っておるわけでございます。  それから、国有財産、五年に一度路線価で再評価するのは余りにも間遠じゃないかという御趣旨でございますが、今なぜ五年になっているかというと、件数も膨大でございますし、毎年毎年やるといっても事務量もなかなか大変だということが率直に言ってあるわけでございます。それで、ただ、今電子政府構築計画の一環で、こういった国有財産関係業務の業務システムの最適化計画というものを作ることに取り組んでおりまして、この中で国有財産台帳の電子化に向けた今システムの開発整備を図っております。  こういう議論の中で、今おっしゃったようなことを私どもは検討していきたいと思っております。
  151. 西田実仁

    西田仁君 終わります。  ありがとうございました。
  152. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で西田仁君質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  153. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。
  154. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  私は、今日は税と格差の問題を質問しようと思っておりましたけれども、質問いたしますけれども、用意していた質問の半分ぐらい若林先生がもうおやりになりましたんで、だからというわけではありませんけど、先ほどから量的緩和のやり取りが続いておりますんで、一つだけどうしても言いたくなったといいますか、お聞きしたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。  そもそも、今までの三十五兆という超量的緩和は、私は正常なことではなかったというふうに当該委員会でも質問してきたところですけれども、大体、必要な額というのは今でも十兆円ぐらいでございます。それが三十五までやってきたというこの異常さについて、あるいはそれについて何にも触れずに、何事もなかったかのようにただ解除をして、そういう議論だけを聞いていると、ちょっと違うんじゃないかなと思っておりますので、指摘をさしていただきたいと思います。  量的緩和の結果、私から言わせると、日銀は負の遺産を抱え込んだと、そういう指摘を二月の財政金融委員会でさせていただきました。福井さんには、もう総裁にはそういうお話を聞きましたんで、時間の関係もありますので、与謝野全体の担当大臣にお聞きをしたいと思います。  私が負の遺産というふうに申し上げたのは、日銀が今国債を九十八兆も抱えております。世界の中央銀行で自らの国の国債をこんな抱えている国というのは例がございません。国が発行したものを中央銀行が抱えるわけですから、タコが自分の足を食っているような、そういう構造になっております。これが一つの異常な点。  もう一つは、銀行の保有していた株を日銀が買い取りました。それが二兆円にもなっております。しかも、平成十九年までこれを売ることができません。十九年以降、十年掛けて売ると。民間の株を日銀が買い取っている、しかも持ったまま売れないと、これも異常なことでございます。  もう一つは、国庫の納付金が平成十三年に比べたら一兆円以上減っております。これは、量的緩和の結果、法定準備金を積むという関係で国に納めるお金が減ったわけですね。したがって、この財政が厳しいときに日銀から入るべきお金が一兆円も減っているということです。日銀そのものの問題でいえば、自己資本比率が今七・三〇まで下がっています。一応八%以上はなきゃいけないわけですけれども、ここまで自己資本も毀損しているわけでございます。  私は、全体見てきて、長い間の議論聞いて、私も質問してきましたけれども、こういう中央銀行の在り方、一口に言いますと、国債の引受機関化あるいは株の買取り機関化になってしまったこの日銀ですね、私は、やっぱり中央銀行としてきちっとした独立性を保つべきだと、だからそんなに踏み込むべきじゃないということを主張してきたわけですけれども、こういうことを何も触れないで、何もなかったかのように量的緩和の議論がされるというのは、私ちょっと違うんじゃないかと。こういうことをどう総括するのかと。今後そういうことがないようにするのか、また、あるいはもっともっとそういうことを日銀がやっていくのか。  私は、日銀の独立性にもかかわりますので、政府の見解といいますか、もちろん日銀判断だというのはあると思いますけれども、お聞きしておきたいというふうに思いますので、与謝野大臣にお願いしたいと思います。
  155. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 日本の不況は、正にデフレスパイラルという余り先進国では見られない現象に直面をしたわけでございます。そのときには政府もいろいろな政策を通じてそのデフレスパイラルを回避しようと考えましたし、また、日本銀行も持てる手段をもって日本経済の底抜けを防止するためにいろいろな措置をとったと私は考えております。  日銀自ら認めるように、これは各国で例を見ない異常な金融政策、これはその異常な金融政策から脱却をするということが今回の量的緩和解除一つの大義名分であったわけですから、今までやってきたことが正常であったという意識は日銀の方にもありませんし、私どもはやはりデフレスパイラル、また金融のシステミックリスク、こういうものから抜け出すための異例、非常の手段であったと私は思っております。  そういうものを昨日解除するということを決定したということは、金融正常化に向かって第一歩を歩み出したということで、これからは日本金融政策全体が先進国の金融政策に近づく、その私は第一歩が昨日であったと思っております。  どのぐらいの期間掛かってそこまで到達するかは、また今後の経済情勢によるものだと思っております。
  156. 大門実紀史

    大門実紀史君 これぐらいにしておきますけれども、要するに、与謝野大臣日銀の独立性を大事にされる方だというふうにお聞きしておりますので、私と一致すると思いますので、今後のことはきちっと、協力関係といっても、セーブするものはセーブしていただきたいというふうに思います。  本題に入ります。もう簡潔にお伺いいたします。  資料の一でございます。これはジニ係数、すなわち所得の格差の国際比較でございます。先日、川崎厚労大臣は、外国と比べてそんなに差はないんだと、正常なんだと、日本は、とおっしゃっておりましたので、この資料を用意いたしました。川崎大臣の厚労省の資料でございますけれども。  ジニ係数というのは、これは指数が〇・一上がるだけでも大変なことを示す数字でございます。〇・五でも大変なことです。だから、何となく見て、〇・二五とか〇・三三、余り変わらないじゃないかと、こんなレベルの統計数字ではございませんので、よく認識を持っていただきたいと思います。  総理に伺いたいんですけれども日本がどういう国かという点なんですが、日本アメリカとイギリスですけど、この三つの国がヨーロッパの大陸の国よりも格差が広がっていると。これは総理として、なぜだか、もし御見解あればお聞きしたいと思います。
  157. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先日もジニ係数の問題が議論されたときに、私は、このジニ係数と格差の問題で識者の報告を受けたことを申し上げたわけであります。言われているほど日本格差はないと。  そういう中で、ジニ係数というものが引用されたわけでありますが、今、果たしてこのジニ係数というのが、各国の比較と実際の日本の比較というもの、ジニ係数だけのことを取って日本においてほかの国と比べて格差社会であると言えるのかどうかはまた別の問題ではないかということを申し上げたわけであります。  ですから、この問題についてジニ係数がどうだこうだということは今触れなくてもいいのではないかと。一つの指標ですから。
  158. 大門実紀史

    大門実紀史君 データというのは、もちろん完全なデータというのは存在しないわけでございまして、いろんなある指標なりデータを基に議論をして分析をして政策を打っていくしかないわけでございますから、そういう点でお聞きしたわけでございますけれども。  資料二はもう若林さんからありましたので省きまして、資料三を見ていただいて、この三国がなぜ格差を、ほかのスウェーデンとかドイツとかよりも格差が開いているのかというのを私なりにいろいろ資料を取り寄せて研究して調べてみました。  まず中身の問題でございます。時間がないので端的に申し上げます。  税の問題でございまして、直接税の改善度、格差を是正する改善度、そのところを見ていただきますと、日本は〇・八四、アメリカが一〇・九、イギリスが六・六と。それともう一つは、この三国というのはこの直接税の改善度が非常に低い国でございます。例えばドイツの直接税の改善度は二七・七%と……
  159. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) どこにあるの。
  160. 大門実紀史

    大門実紀史君 それはここには付けておりませんけれども、先ほど若林さんが言われた税制の刻み方によってそういうふうになっているわけでございます。  ですから、日本はこの三国の中でも、特にアメリカの改善度でいきますと、アメリカの十三分の一、先ほど、ドイツのことはここに資料ありませんけれども、ドイツと比べると三十分の一以下という税の再分配効果といいますか、改善度が低いわけでございます。  これはもう先ほど谷垣大臣がそういう関連で御答弁をされたので質問はいたしませんけど、もう一つは、間接税というのがこういうものにどういう影響を及ぼすかということでございまして、残念ながら、日本アメリカの間接税がどう影響するかというデータは探しても見付かりませんでした。格差に、所得の再分配にどう影響するか見付かりませんでして、イギリスがやっと入手いたしました。  イギリスは消費税率が今一七パーぐらいですけれども、実効税率でいくと一一パーぐらいでございますけれども、イギリスは間接税、イギリスの欄の一番右でございますけれども、直接税までですとこれだけの効果あるわけですが、間接税、イギリスの消費税が掛かった途端格差が逆に開いてしまうと、改善度がマイナスになってしまうと。理屈からいったら当り前なんですが、数字としては初めて発見いたしましたんで載せてあるわけですけれども、ですから、消費税というのは、いろんな議論がありますけれども、少なくとも格差を是正していくという点では正に逆効果になる税制だということがこのイギリスの例を見ても分かるというふうに思います。  谷垣大臣にお伺いいたしますけれども、この格差という点と消費税と、この及ぼす効果ですね、この点だけ、こういうことになってしまうんじゃないかと思いますが、簡潔にどう思われるかお聞きしたいと思います。
  161. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 昔から消費税には逆進性があるではないかという形で提起されていた問題だろうというふうに思います。これは結局、私の立場から申し上げますと、ほかの税制やあるいは社会保障との組合せでどういう効果を出していくかということではないかと思います。
  162. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう一つ、ほかの三国と日米英の違いがどこから生まれるのかを資料四に付けておりました。  当然、当初所得における格差と、それと再分配後の格差と、こう二種類あるわけですが、この当初所得における格差の是正にその国が取り組んでいるのかいないのかということが非常に重要でございます。  お付けいたしましたのは、フルタイム労働と、日本でいうパートという概念違いますが、フルタイムとパートという労働の時間数で賃金水準を比較したものでございます。  スウェーデン、ドイツ、フランスは、一般、フルタイムの労働者に近づける努力を一貫してしてまいりました。EU指令がございまして、合わせろと、同一労働は同一賃金だという努力を具体的にしてまいりました。イギリスはブレア政権になってやっと着手いたしましたけれども、まだまだ格差が開いております。アメリカ日本は、アメリカはほとんどそういうところに手を付けません。日本は厚労省がパート労働指針という指針だけ作りましたけれども、具体的な措置としてやっておりません。EUのような実効ある措置やっておりません。ですから、こういう格差が開く。つまり、当初所得における格差が開いていると、開くということでございます。それがこのスウェーデン、ドイツ、フランスとイギリス、アメリカ日本との大きな差であるというふうに読み取れるというふうに思います。  私は、格差問題というのは、確かに高齢化の影響とか、私否定いたしません。いろんな要素があるのは分かります。ただ、今日も議論あったとおり、格差を、貧富の差が広がって、どんどん広がって、それでいいという方はだれもいないわけですね。小泉総理もそういうことはおっしゃっていないと思います。  そういう点でいくと、格差を固定しないということと、今起きている格差を是正をするという努力は政府として必要だというふうに思うわけでございますけれども、そういう点で、最後に総理の御所見を伺いたいと思います。
  163. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 格差が固定するというのは好ましくないと思っております。身分社会じゃありませんから。所得も、多いときもあるし少ないときもあるし、あるときは多くなると。そのチャンスが提供されなきゃいけない。そういう面において、固定化されないようにいつでも多くの人にチャンスが提供されるような社会、そして同時に、どうしても独り立ちできない人に対してしっかりとした社会保障制度というのはどうあるべきか、これはやっぱり十分政治として配慮しなきゃならない問題だと思っております。
  164. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。
  165. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  166. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  167. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、冒頭、小泉総理にどうしても聞きたい積み残した問題をお聞きいたします。  一九七一年の沖縄返還協定において日本が四百万ドル実は支払ったのではないかという点について、アメリカから公文書が幾つも出ております。担当者であった局長もそのことを完全に認めております。私も先日お会いをして、長いことお話をお聞きいたしました。御自身のサインがアメリカの公文書にあると、それを見てこれは自分のものじゃないとは言えない、この公文書、これはもうどうしようもなく自分のサインだということで認めました。  アメリカ側と日本側に、日本が四百万ドル支払ったという完璧な証拠、総理、これはガセネタではありません、一〇〇%の証拠があります。外務省はこれを認められないんですが、総理、これはどうしてもおかしいというふうに思われませんか。おかしいなというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
  168. 小泉純一郎

  169. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、総理、お願いします。総理お願い……
  170. 小泉純一郎

  171. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、いいです。この間聞きました、聞いたので総理外務大臣、この間聞いたので結構です。
  172. 小野清子

    委員長小野清子君) 麻生外務大臣
  173. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 御指名をいただきましたので……
  174. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、済みません。
  175. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 過日も、過日も御答弁を申し上げたそのとおりなんで……
  176. 福島みずほ

    福島みずほ君 済みません、時間がもったいないので総理に聞きますので。
  177. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 聞いたと言われましたんで、いや、時間がもったいないって、これ片道、両道。
  178. 福島みずほ

    福島みずほ君 両道ですから、もう結構です。
  179. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ああ、両道ですか。ああ、それは気持ちは分かりますね。ただ、御指名でございますので、きちんと申し上げていただければ。  このような話は私どもの話で、向こうが出たからといって私どもの方にはその種の資料はございませんということを申し上げたんだと記憶しております。
  180. 福島みずほ

    福島みずほ君 総理、答弁をお願いします。
  181. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 外務大臣の答弁のとおりであります。
  182. 福島みずほ

    福島みずほ君 総理、おかしいと思われませんか。
  183. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは外務大臣の答弁したとおりであって、おかしいとは思っておりません。
  184. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、非常に残念です。  総理は、ハンセン病のときに誤りを認めて謝罪をされました。HIV訴訟、HIVの問題についても、当時、菅厚生大臣がファイルを全部出させて調査をして、それについてきちっと謝罪し、立法ができました。総理、私は改革ということはそういうことだというふうに思います。小泉総理は、申し訳ないが、うそをつき続けて政権を終わられるんですか。
  185. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それはちょっと言い過ぎじゃないですか。何でうそつき続けたと言うんですか。資料がある、ないの問題でしょう。外務省としてはそういう資料はないということですから。
  186. 福島みずほ

    福島みずほ君 アメリカ側の公文書に日本の元局長のサインがあります。アメリカの公文書は完璧です。幾つも出てきています。そして、元局長が、担当者であった人が認めているんです。当事者が認めている。みんな当事者が認めている。これを唯一、日本政府だけが否定しているんです。これは説明責任の問題です。説明責任を尽くしていると思われますか。
  187. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 随分アメリカを信用されますけどね。珍しいですね、社民党の福島さんが。  日本外務省にはそういう資料はありません。
  188. 福島みずほ

    福島みずほ君 アメリカの公文書であり、しかも日本の局長がサインをし、このサインは自分のだと言っているんです。私は、日本外務省の役人を信用したいというふうに思いますよ、担当者ですから。
  189. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 吉野文六という元外務官僚の人も役人なら、今現職におります役人も役人。だから、どちらを信用するかと言われれば、私どもは今おります現職の人間の話をきちんと信用するのは当然だというのは当たり前じゃないでしょうか。
  190. 福島みずほ

    福島みずほ君 今の担当、今の人たちは当時のことを知りません。当時の人たちがそれを認め、かつ、それを完璧に裏付ける証拠があり、私は日本政府がなぜそれを否定するのか理解ができません。国民への説明責任、国会と国民に対してうそをつき続けるという日本政府の態度は許せないというふうに思います。  この点については、ずっと密約問題、追及していきます。  では、格差拡大の問題についてお聞きをいたします。  この間、三月七日、質問したときに、小泉首相はパート労働者は減ってきていますと答弁しています。パート労働者は減っているんですか。小泉総理小泉総理
  191. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) パートタイマーでございますけれども、十五年、六・二%の増、十六年、五・七%の増、十七年になってやっと一般労働者の採用が増えてきまして、パートタイマーは〇・六%の増、対して一般労働者は〇・五%の増に転じたところでございます。
  192. 福島みずほ

    福島みずほ君 パート労働者の数は減っているんですか。
  193. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 数という面では増えておりますけれども、労働者数の増加率が十五年からだんだんだんだん改善の方向に向かって、十七年が〇・六ということで、逆に一般労働者が〇・五%増え始めていると、こういう状況にございます。
  194. 福島みずほ

    福島みずほ君 総理は、パート労働者は減ってきていますと前回答えました。この意味は、パート労働者の数じゃないですか。だれが伸び率のことなんか聞いてるんですか。パート労働者は歴然と増えています。パートも派遣も契約社員も数が増えています。  総理は、この間、パート労働者は減っていますというふうに答えています。それは違うでしょう。国民に対してどうしてそんな違うことを言うんですか。
  195. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、そう、正確に答弁すれば率ですね。増加率は三年連続して低下しているということを言っているんですね。
  196. 福島みずほ

    福島みずほ君 総理がなぜ間違ったか、それはパート労働者が増えているという実感が実はないんですよ。パート労働者は減ってきていますと総理は答弁しています。実際はパートの人たちどんどん増えて、労働条件が悪いです。このことについて分かんない。伸び率のことなんか聞いてないですよ。総理ははっきりパート労働者は減ってきています。これを聞いた人は、パート労働者はああ減っているんだと思うじゃないですか。これは間違いを起こしますよ。実感がないんですよ、パート労働者についての。
  197. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、今答弁したように数じゃなくて率ですね。率が減っているということに訂正させていただきます。
  198. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、実感がないんですよ。私は今日これで、今日質問したから違うと言ったけれども、これ議事録で残って、パート労働者は減っていますというのが議事録に残ったら、これはみんな、パート労働者の数が減っている、パートは減ってるんだ、やっぱり構造改革はいいのかなというふうに思うじゃないですか。だから、それはミスリードですよ。  私は、なぜ総理が間違ったかというのは、実はやっぱりパート労働者が物すごく増えていますよ、女の人たちは半分以上もうずっと増えている、この実感がないのだということを言いたいと思います。  それで、小学校、中学校の就学援助が十年前に比べて四割増えていることも質問いたしました。大学生の授業料についても質問をいたしました。高校生についてお聞きをいたします。  高校生の奨学金の制度について、日本学生支援機構高校奨学金は、平成十七年度以降の入学者から順次都道府県に移管、高等学校奨学事業費補助は平成十七年度より廃止、税源移譲となっております。現在、高校生の奨学金はどのようになっているでしょうか。
  199. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 先日お話がございました就学援助のお話もございましたが、就学援助の問題については御理解いただいたように、要補助それから準要補助の方々にはそれなりにちゃんと対応をしているということをお答えしたことを思い出していただきたいと思います。  さて、高校に対する奨学金の制度でございますが、従来日本学生支援機構、旧日本育英会がですね……
  200. 福島みずほ

    福島みずほ君 済みません、ちょっとスピードアップしてください。
  201. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) はい。  育英会が持っておったものを都道府県に移管をしたわけでございますけれども、十六年度で十七万人だったものが移管された後の十七年度では二十万人と充実をいたしております。
  202. 福島みずほ

    福島みずほ君 都道府県で減っているところはありますか。都道府県。
  203. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 都道府県で、都道府県別の……
  204. 福島みずほ

    福島みずほ君 都道府県、そうです、都道府県別。
  205. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 都道府県別でございますか。都道府県別の数字はですね、失礼します、時間を取りますので、いま一度御指名ください。
  206. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。  これは都道府県に移管していることが非常に問題で、これがこの委員会の中でも、地方分権ということで、この県は教育が一番、この県は福祉が一番となるので、三位一体ばらばら改悪の中での移譲はいいんだという意見が出ました。しかし、そうでしょうか。子供たちは生まれてくる地域と親を選ぶことができません。教育は明らかに、さっき総理が答弁された格差の固定化につながってしまう。貧しいと高校に行けない、大学に行けないということで格差が固定をしてしまう、あるいは格差が拡大をしてしまうという問題が起きます。  その点において、教育におけるこのような、日本が大学生における奨学金の制度の充実や教育ローンという北欧におけるような制度を導入するようにということを要請したいと思います。  文部大臣、出ますか。
  207. 小野清子

    委員長小野清子君) 小坂文部大臣、出ますか。はい、どうぞ、小坂文部科学大臣
  208. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 御質問の趣旨がその後どうなったかということで、トータルの数字で把握しておりましたけれども、これは個別の、具体的にどの県が何名という数字の統計が取れておりません。予算ベースでそれぞれの申請のあったものから実施ベースのものが統計として出ているということだと思いまして、私自身も個別がないのは若干不思議に思いますので、新たな御質問をいただいたということで、次回までに調べさせていただきたいと思います。
  209. 福島みずほ

    福島みずほ君 つまり都道府県に投げてしまったので、都道府県ごとの統計が出ていないというふうに私も事前に聞きました。  ということは逆に問題で、都道府県がですね、都道府県ごとのデータが出ないということであれば、それはやっぱりどうなるのか。不足、財政の豊かでない県はやっぱり出せないということが起きると思いますので、この点について、文科省、ちゃんとやってくれるようによろしくお願いします。
  210. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。  これにて税制財政改革金融市場調節に関する集中審議は終了いたしました。  次回は来る十三日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会