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2006-03-08 第164回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月八日(水曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  三月七日     辞任         補欠選任      加治屋義人君     関口 昌一君      片山虎之助君     田村耕太郎君      木庭健太郎君     山口那津男君      浜田 昌良君     渡辺 孝男君      市田 忠義君     小林美恵子君      大門実紀史君     紙  智子君  三月八日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     広田  一君      犬塚 直史君     岡崎トミ子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 市川 一朗君                 木村  仁君                 小泉 顕雄君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                 小林 正夫君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 加藤 修一君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 岩井 國臣君                 岩永 浩美君                 大仁田 厚君                 岡田 直樹君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 常田 享詳君                 南野知惠子君                 山本 一太君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 岡崎トミ子君                 喜納 昌吉君                 黒岩 宇洋君                 櫻井  充君                 下田 敦子君                 主濱  了君                 内藤 正光君                 広田  一君                 前田 武志君                 山根 隆治君                 蓮   舫君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 山口那津男君                 渡辺 孝男君                 紙  智子君                 小林美恵子君                 福島みずほ君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        国土交通大臣   北側 一雄君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        沓掛 哲男君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      松田 岩夫君    副大臣        内閣府副大臣   嘉数 知賢君        外務大臣    塩崎 恭久君        外務大臣    金田 勝年君        財務大臣    赤羽 一嘉君        文部科学大臣  河本 三郎君        文部科学大臣  馳   浩君        厚生労働大臣  中野  清君        厚生労働大臣  赤松 正雄君        農林水産大臣  三浦 一水君        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        財務大臣政務官  野上浩太郎君        文部科学大臣政        務官       有村 治子君        環境大臣政務官  竹下  亘君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣官房皇室典        範改正準備室長  柴田 雅人君        内閣大臣官房        拉致被害者等支        援担当室長    江村 興治君        内閣大臣官房        政府広報室長   谷口 隆司君        内閣計量分析        室長       齋藤  潤君        食品安全委員会        委員長      寺田 雅昭君        経済社会総合研        究所国民経済計        算部長      飛田 史和君        警察庁警備局長  小林 武仁君        防衛庁防衛参事        官        小島 康壽君        防衛庁長官官房        長        西川 徹矢君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        外務大臣官房審        議官       兒玉 和夫君        外務大臣官房参        事官       辻   優君        外務大臣官房参        事官       梅田 邦夫君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        財務省国際局長  井戸 清人君        国税庁次長    石井 道遠君        文化庁次長    加茂川幸夫君        厚生労働大臣官        房審議官     大槻 勝啓君        厚生労働大臣官        房統計情報部長  桑島 靖夫君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        国土交通省自動        車交通局長    宿利 正史君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十八年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十八年度一般会計予算平成十八年度特別会計予算平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。     ─────────────
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 先般、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。  まず、第一班の報告木村仁君にお願いいたします。木村仁君。
  4. 木村仁

    木村仁君 予算委員会派遣第一班の調査につきまして御報告いたします。  第一班は、小野委員長団長とする九名で編成され、二月十五日から同月十七日までの三日間、秋田岩手及び宮城の三県を訪れ、東北地方産業経済動向、三県の財政経済状況等について概況説明を聴取したほか、秋田県においては国民体育大会会場施設秋田中央道路建設事業並びに構造改革特区実施施設を、岩手県においてはバイオマス施設、都市再開発事業伝統地場産業を、また、宮城県においては仙台空港アクセス鉄道及び仙台国際貿易港の整備状況を視察し、説明を聴取するとともに、観光産業についても調査を行ってまいりました。  まず、今般の大雪被害に関し、東北地方では秋田県で二十一名の方が亡くなられるなど、人的・物的被害が広がっています。  東北地方経済は、平成十四年度の県内総生産の合計が全国の六・六%を占め、このうち第一次産業割合は二・九%と全国より高くなっています。最近の景気動向は、企業部門では生産活動が緩やかな上昇を示している一方、雇用情勢では平成十七年十一月の有効求人倍率が〇・六八倍と全国平均を大きく下回り、依然として厳しさが残っております。  秋田県の財政は、歳入歳出とも減少が続いており、特に地方交付税平成十六年度決算で七・一%と大幅に減少しました。また、経常収支比率は九三・三%と高水準にあり、財政硬直化が進んでいるほか、地方債残高増加する中で積立基金残高減少しており、将来の実質的財政負担が増大しております。秋田県では、財政当局が査定を行わない部局主体予算編成が行われており、財源の効果的な配分に努めているとのことでありました。  岩手県の財政状況につきましても規模が縮小しており、中でも投資的経費平成十六年度決算で一九・六%と大幅に減少しております。平成十八年度当初予算においても投資的経費減少が続く一方、義務的経費増加することから、歳出に占める義務的経費割合が初めて五割を超え、財政硬直化が一段と進むこととなります。ただし、平成十五年に掲げたプライマリーバランスの黒字化目標については、県債発行抑制等により達成できる見込みとなっております。  宮城県の財政は、歳入歳出ともに六年連続で減少しております。平成十六年度決算歳入のうち、地方交付税等減少する中で県税は一・五%増加しましたが、法人関係の税収は東京都以西ほどの伸びが見られません。経常収支比率は過去最高水準の九三・八%に上昇して硬直化が進んでいるほか、基金等残高については平成十八年度でほぼ枯渇する見通しであるなど厳しい状況であります。今後とも、人件費など歳出徹底的見直しを実施するとのことでありました。  なお、秋田県からは、除雪費への助成、特別交付税増額配分等についての緊急要望を、秋田市からは、特別交付税増額配分農業被害に対する財政支援等についての緊急要望を、宮城県からは、津波観測体制の充実、高規格幹線道路網整備等についての要望をいただきました。  以上で第一班の報告を終わります。  なお、調査の詳細につきましては、これを本日の会議録に掲載されますようお取り計らい願いたいと存じます。  以上でございます。
  5. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、第二班の報告辻泰弘君にお願いいたします。辻泰弘君。
  6. 辻泰弘

    辻泰弘君 予算委員会派遣第二班の調査につきまして御報告いたします。  第二班は、市川理事団長とする十名で編成され、二月十五日から同月十七日までの三日間、福岡広島の両県を訪れ、九州及び中国地方産業経済動向、両県の財政経済状況等について概況説明を聴取するとともに、福岡県では九州国立博物館運営状況ロボット産業状況、新北九州空港整備状況について、広島県では自動車産業状況独立行政法人運営状況について調査を行ってまいりました。  北部九州地域経済動向は、生産活動においては、鉄鋼や自動車などを中心に堅調に推移しており、輸出もアジア、アメリカ向けが好調で増加が続き、個人消費についても持ち直しの動きが見られる、雇用については、失業率が依然として高水準であり、求人等地域差が見られるものの、総じて緩やかな改善が続いており、こうしたことから、地域経済は全体としては回復しているとのことでありました。  福岡県の財政状況は、財政力指数平成十六年度で〇・五二と全国に比べると高い水準にありますが、財政改革の取組として、平成十四年度から十八年度にかけて、人件費総額抑制事務事業の再構築などにより、千六百億円の収支改善目標とした計画が実施されており、また、少子化対策としては、仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組む企業等を登録し、広く県民に紹介するとともに、金融機関と連携して、このような企業に対する融資に際し優遇金利を適用するなどの対策を進めているとのことでありました。  次に、中国地方景気動向は、原材料価格動向輸出環境変化に注視する必要があるものの、生産雇用個人消費など、いずれも改善動きを示しており、おおむね回復しているが、同地方山陽側山陰側では雇用改善動きなどに差が見られ、山陰側では公共事業依存体質からの脱却が課題となっている、また、金融情勢に関しては、いずれの金融機関健全性を確保しており、貸出し動向については昨年秋口から増加に転じているとのことでありました。  広島県の財政につきましては、これまで県債発行基金の取崩しなどにより歳入不足を補ってきたが、平成十八年度末には財政調整的基金が底をつく見込みであり、県財政は予断を許さない厳しい状況になっているとのことでありました。  なお、派遣団は、広島平和記念公園において犠牲者を追悼し、献花を行いました。  以上で第二班の派遣報告を終わります。  調査の詳細につきましては、これを本日の会議録に掲載されますようお取り計らい願いたいと存じます。  以上でございます。
  7. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  両班から提出されました報告書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたします。     ─────────────
  8. 小野清子

    委員長小野清子君) 平成十八年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を百二十一分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党三十分、民主党・新緑風会六十三分、公明党十七分、日本共産党七分、社会民主党・護憲連合四分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  9. 小野清子

    委員長小野清子君) それでは、これより質疑を行います。浅野勝人君。
  10. 浅野勝人

    浅野勝人君 外務大臣、二月の最終日曜日に高倉健日中合作映画「単騎、千里を走る。」を見にいらっしゃった報道がございます。この報道によると、優れた映画芸術政治に勝ると、なかなかの感想を述べて絶賛していると伝えられています。何か心境変化があったんですか。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 何をもって心境変化と言われるかは別にして、あの高倉健というのは私の選挙区の人で、東筑高校ということもありますんで、かなり、何十年、かれこれ五十年ぐらい知っているんでしょうか、それぐらい長い知り合いでもありますのと、もう一つ、伺うと、高倉健中国語ができるなんという前提で映画が作られているはずがないと思っていたところ、ある方から、あれは非常に、言葉は全然関係ない映画だという話も聞いていたものですから、それで見に行ったというのが背景です。  まあ、ストーリーの内容としちゃ大した話じゃないんですけれども、ただ、いわゆる自分息子と中国人のまあ囚人囚人というか捕まっているやつの息子とを自分と比較しながら、全く言葉が、あれは多分雲南省の辺だと思いますんで、雲南語ができるわけじゃありませんし、全然通じないんですけれども、とにかくいろんな形で通じて話がストーリーとして成り立っていくんですけれども、そこの過程を見ていくと、いわゆる言葉とかいうのと関係なく誠意とかいろんなものが通じ合うというところは、あれはやっぱり言葉説明するというのはなかなか政治としては難しいんですけれども、オーディオビジュアルって、そういう視覚に訴えて見せると非常に分かりやすい設定になっておりましたんで、感想と言われましたんで、時に映画芸術の方が政治に勝るということを申し上げたので、その時にという言葉が抜けてますんで、すべて勝るなんと言ったわけじゃありませんので。
  12. 浅野勝人

    浅野勝人君 外務大臣就任記者会見で、事柄によっては自らの思いと公の立場での見解とが食い違うことはあり得る、靖国参拝については適切に判断すると述べて、以来、一貫して適切に判断するとおっしゃっておいでです。公の立場とは国益を優先する立場と置き換えても差し支えないと存じます。  そもそも国益とは、何をすべきか、何をしてはならないか、判断は極めて困難と存じますが、自らの信念とのはざまにどのように対処すべきだとお考えですか。
  13. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いわゆる国会議員とか、また何でしょう、役職として政務官、副大臣大臣、いろいろございますけれども、そういった立場にある話と、いわゆる国会議員として、これは自分でずっと選挙活動等々含めて、かなり公になる前の部分というのがあるわけで、国会議員になってからというところも、役人ではありません、立法府に属しているんであって行政府に属しているわけではありませんから、いわゆる公の立場というものは少し違うんだと思いますが、そういった立場に立ったときに、いろいろこれまでの信念等々と役職に置かれた立場のときとはなかなか状況が違うというのは十分にあり得る。これはどの政治家も皆、歴代同じような立場に置かれていらっしゃるんだと存じます。  そういった意味で、私どもとしては、個人と、いわゆる何というのか、公と個というような面でいけば、それはその立場に立てば公という、すなわち国益の方が優先するのは当然ではないかということを申し上げたというように記憶します。
  14. 浅野勝人

    浅野勝人君 参議院は政府途上国援助に強い関心がございまして、ODA特別委員会を設置いたしました。外務省も、政府系金融機関整理統合の機会にODAのありようを考え直すことにしていると承知していますが、何をどう変えるんですか。外務大臣
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ODAにつきましてはいろいろ御意見の昔からあるところなんですが、今回、いわゆる政府系金融機関農林何ですか、中小企業金融公庫、国民金融公庫等々、農林中金含めましていろいろ、政府系金融機関は七つあったと思います、農林中金、別か、その他、昔の輸銀国際協力銀行とかいろいろな七法人を全部一つのものにするという話があっておりました。  その中にあって、いわゆる円借という、言われる部分に関しましては、この輸銀の中にあるんです。輸銀じゃない、今輸銀と言わないか、国際協力銀行JBICの中に入っているんですが、これ、昔でOECFJBICとこれ一緒になっちゃっているものですが、これは御存じのように十年据置き二十五年返済なんというのをやってまして、そんなものが金融かと、十年据置きで二十五年返済なんというものはというんで、これは前々から意見が分かれていたところがあったんですが、それが結果的には分かれて、このOECFと言われた円借の部分JICAと、そしていわゆる無償援助というものを一緒にしてという話になっております。  これは、外交におきまして、いわゆる円借、無償JICA等々は極めて外交として有効な手段と思っております。その有効な手段を使うのに、一元化しておかないとなかなか有効に活用できない、迅速さも遅れる等々のことは前から指摘されておりましたので、今回、外務省の中にそれを置く。  しかし、そのためには、戦略的なことを決定するために政府の中に、総理大臣を頭にして、官房長官財務大臣外務大臣経済産業大臣等々をした、いわゆる、まあ浅野先生御存じでしたら、安全保障会議みたいな形にして、これをきちんとしていこうというのが諮問会議で上がってきたところでありますんで、これ、与党行財政改革協議会等々の議を経るということになっておりますんで、それを経まして、その上できちんと、そういったODA大綱等々がきちんと対応できるようにするために外務省の方としても体制を整える必要がありますので、局を解体したり、いろいろ今移替えをやろうと思って、今それに対応できるような体制外務省としてもつくり上げようといたしております。
  16. 浅野勝人

    浅野勝人君 話があっちこっち飛びましたが、JICAへの一元化が柱だという説明と受け止めました。  政府開発援助実施機関について、JICA主務大臣は引き続き外務大臣とする、ただし、円借款に係る財務会計主務大臣財務大臣とすると。こんな言い方をするものだから話が込み入ってくるんですよ。JICA主務大臣外務大臣とする、ただし、円借款に係る財務会計財務省中心業務とすると言えばすっきりして、表だの裏だの、権益の奪い合いなどと余計なことは言われないで済む。  谷垣大臣、間違っていますか。
  17. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 心を言えば、今、浅野委員がおっしゃったとおりだと思うんです。ただ、財務省中心といってもなかなか法律にはなじみませんので、法律的に整理をすると少しまあ堅苦しい表現になっているということでございます。  若干、経緯等を申し上げますと、先般、官房長官から関係大臣に対して、ODAの新たな実施機関、まあJICAに統合していくわけですが、具体的にどういう形にしていくか、事務的に詰めよという御指示がございまして、関係省庁が事務的な整理を行ったところでございます。その結論は、先生が指摘されましたように、JICA主務大臣外務大臣であると、ただ円借款に係る財務会計財務省所管をするという整理を行いまして、官房長官にも御報告申し上げたところでございます。  で、これはなぜこういう形になっているかといいますと、国際協力銀行円借款業務に係る財務会計はこれまでも財務省所管をしておりましたが、要するに円借款というのはただで使っていただくというわけでは、使っていただく、差し上げるというわけではございませんで、要するに返していただかなきゃならない、償還確実性判断、あるいは、そういうことになりますと、結局、対象国財政は健全であるかどうかと、最終的にはそういうことになるわけでございますので、そういう判断円借款の場合必要であるというところから、新JICAにおいても、全体の主務大臣外務大臣でございますけれども、今申し上げたような観点を財務省が果たしていくと、こういうことでこういう整理になったわけでございます。
  18. 浅野勝人

    浅野勝人君 大変明快で、私の思ったとおりでした。  ここに外務報道官が二月二十七日付けである週刊誌にあてた抗議文があります。スマトラ沖地震とインド洋の津波の被害に伴うインドネシアに対する無償資金協力の扱いについて、事実を意図的に歪曲し誹謗中傷している、外務省としては看過できないと、かなりかりかりしています。  そこでまず、百四十六億円供与したのに、そのうち五十六億円が行方不明という途方もない指摘にどうお答えになります。
  19. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 御指摘の内容は事実に反するところであります。インドネシア向けの支援につきましては、既に支援総額百四十六億円の全額の使途を決定しているところであります。既に様々な分野における支援事業が着実に進んでおりますし、インドネシア側からも高く評価をされております。我が国が供与した資金につきましては、インドネシア側の調達代理機関であります財団法人日本国際協力システムが適切に管理しているところでありまして、一部が行方不明といったようなことはありません。
  20. 浅野勝人

    浅野勝人君 ここに津波支援案件の一覧表、これはもう外務省のホームページに出ている資料ですけれども、この一覧表の中で、総額の三分の一を占める、西部の海岸という意味ですかね、西岸道路緊急復旧工事に関連して、施工業者に届くはずのブルドーザー、ダンプカー、コンプレッサーなど五十九台のうち、一月下旬までに届いたのは二十台だけだという指摘があります。この事実関係はどうなんですか。
  21. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) お答えを申し上げます。  ただいま御質問がございました建設機材等の七十台につきましては、すべてその先方政府に引渡し済みでございまして、復興支援のために活用されております。  更に具体的に申しますと、七十台を合計調達することになっておりますが、そのうち五十九台については、もう昨年の十月の下旬にインドネシア側に引き渡されておりまして、これら機材、現在その西岸道路の復旧のために現に活用をされているというところでございます。
  22. 浅野勝人

    浅野勝人君 五十九台じゃなくて実は七十台だと。そのうち五十九、問題の五十九台は去年のうちに届いているというわけね。
  23. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) そのとおりでございます。
  24. 浅野勝人

    浅野勝人君 これはまあ大変だ。いい加減なことというのは割合あるけど、ちょっとひどい。  じゃ、もう一つ。国営テレビ局のTVRIの支局に納入したノートパソコン十台の価格が六百四十万円。十台で六百四十万円というと一台六十四万円の勘定になるんですね。ちょっとジャカルタの電気店などで調べてみたら、これはまあ十万円程度のものという指摘なんですけれども、実際これどうなっているんですか。
  25. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 本件については、正にその週刊誌でそうした記述があるわけでございますが、今回の支援においてこのパソコンの購入につきまして、市場価格と懸け離れた高額のパソコンを購入したというようなことはございません。  今回、このテレビ局の修復事業においてこういう放送機材の供与ということを行っているわけでございますが、パソコンはそういう意味でその一部でございますが、機材の調達に際しましては、複数の企業からその価格を調査をした上で、予定価格を設定をして競争入札によって調達を行っているということでございますので、そうしたその市場価格を反映した予定価格に基づいて、価格競争を経て最低価格を提示した業者が落札をしたということになっておりますので、その意味で適切な調達、適正な価格による調達というものが実施をされたというふうに考えております。
  26. 浅野勝人

    浅野勝人君 だから、パソコン一台幾らよ。
  27. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これは、実は全体として、その簡易放送機材全体のシステムの全体として言わばパッケージで調達を行っておりまして、全体のパッケージで予定価格をつくって、それについて業者の方からパッケージで入札をしているということになっておりますので、その個別の一台一台が幾らということになっているということではないんでございます。
  28. 浅野勝人

    浅野勝人君 そうはいっても、パッケージで幾らだから中身を決めていくんじゃなくて、それぞれの放送資材とかパソコンとか様々なものを積み立てると幾らになったというのが普通じゃないですか。
  29. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 先ほど申し上げましたが、これ全体、録音機材が中心になっておりまして、それにパソコンが付随をしているという形になっておりまして、そういったその録音機材、放送機材を中心的な要素とする全体のパッケージになっているということで、それで一括して入札をしているということでございます。
  30. 浅野勝人

    浅野勝人君 まあ私が答えを教えてもおかしいけれども、恐らく積み上げていくのに、局長、あなたの答弁が、まあ大体十万円前後、個々の金額を言うと恐らくは競争入札の弊害になるから言えないんでしょう。だから、そういう説明をきちんとして、まあおおむね十万円前後のもので、そう常識外のことはないと、それを積み上げるとこうなったんだと言えば、私も聞いている人も、ああ、なるほどねと、こう言うんですよ。説明が下手くそ。
  31. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 正にちょっと説明が不十分かと思いますが、おっしゃったとおり、基本的に、その個々の積み上げということではそういう価格を通常明らかにしていないということがございますが、先ほど冒頭も申し上げましたが、これ市場価格を適切に反映をした価格でやっているということでございますので、今、ただいま浅野先生から御指摘があったような考え方にのっとってきちっと競争入札を行ってきているということでございますので、先ほど、この週刊誌のその数字というのは全くこれは根拠不明でございますけれども、こういったような数字で行われているということはございません。
  32. 浅野勝人

    浅野勝人君 まあおきましょう。おいおいまた議論になるでしょう。  昨日、公明党の木庭健太郎議員が触れましたが、海上自衛隊のマル秘文書を含む膨大な業務用データがインターネット上に流出していた問題について、事情をつまびらかにしたいと存じます。  情報が流出したのはファイル交換ソフト、ウィニーのネットワークです。ウィニーは、手に入れたい映画や音楽を検索させると、世界じゅう走り回って、持っていっていいですよとアップロードしている、公開している人のフォルダからもらってきて、こちらのフォルダにダウンロードさせるソフトです。ただし、だれが譲ってくれたかは分からない。つまり、だれか分からない人の郵便受けから映画や音楽をこちらの郵便受けへ無料で運んできてくれるソフトです。逆に、自分の保存している映画や音楽をウィニーにどうぞ持っていってくださいと公開しておくことができます。  もちろん、海上自衛隊の業務用データは、ウィニーに公開していない自分専用のフォルダに入れてあるから安全だと思っていたに違いありません。ところが、パソコンがウイルスに感染し、持ち出し禁止のはずのフォルダーからウィニーが業務用データを持ち出してしまった。つまり、封をした郵便受けから知らぬ間にマル秘データが持ち去られたという出来事です。この一連の理解に間違いはありませんか。
  33. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 防衛庁としてはあってはならないことが起こったわけでありますが、浅野委員御指摘のとおりというふうに理解しておりまして、この案件は海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」の情報流出事案でございます。  御指摘のとおり、ウィニーがインストールされた私有パソコンに海上自衛隊の業務に関する資料を保存していたところ、このパソコンがコンピューターウイルスに感染したために、本来他のパソコンと共有されることのないデータがウィニーを介しましてインターネット上に流れていったということだと思います。
  34. 浅野勝人

    浅野勝人君 困ったことに、どこからそのデータをもらってきたのか分からないのがウィニーの特徴です。陸海空の自衛官何人からどれほどの資料が漏れているのか、実態がつかめない。本当のところは分からないんじゃないんですか。よその国の情報機関やテロ組織にとって宝の山というような嫌な指摘を聞くと、どうにも心配になります。  防衛庁・自衛隊の資料には機密、極秘、秘とあるけれども、その対象となっているデータが一部流出したと聞いていますが、事実でしょうか。
  35. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 新聞報道では極秘情報が流れたと、流出したというふうに報道されたのは事実でございますけれども、現時点で我々が確認をしておりますのは、中の流出した資料には秘に該当する資料は含まれておりますけれども、機密、極秘の情報が流出したということは確認をしておりません。
  36. 浅野勝人

    浅野勝人君 文化庁に確かめておきますが、ウィニーを使って映画や音楽をただでダウンロードさせるのは著作権の侵害、著作権法違反になりませんか。
  37. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) ウィニーと著作権法の関係についてのお尋ねでございます。  まず、インターネットを通じまして一般的に映画でございますとか音楽でございますとか著作物をダウンロードする行為についてでございますが、これにつきましては、いわゆる私的複製という例外がございまして、一定の範囲内であれば違法に陥ることなく私的複製が許されるわけでございます。  ただ、今お話にございましたいわゆるウィニーを使った場合でございますが、ウィニーはいわゆる不特定多数のコンピューター間でファイルデータを共有、交換するためのプログラムでございますので、これを利用しまして他人の著作物を権利者の許諾なく不特定多数の者に著作物を送信できるような状態に置いた場合、先ほどおっしゃいましたアップロード状態に置くことでございますが、この場合には著作権法上の権利侵害になると考えられるわけでございます。ウィニーの一般的な利用形態はこういうものでございますので、著作権法上問題があると言わざるを得ないと思っております。
  38. 浅野勝人

    浅野勝人君 分かりやすい。今の説明だと、ウィニーを使って映画や音楽をただでもらってくるのは私的複製で合法だけれども、持っていっていいですよとアップロードするのは著作権法に違反するということですね。  ところが、だれが公開しているのか分からないんですよ。違法行為をしている人が一杯いるのに特定できない、これどうします。
  39. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 今おっしゃいましたように、ウィニーの利用形態を考えますときに、大変著作権侵害のおそれが高いわけでございますが、著作権侵害を特定します前提となります又は著作権侵害を取り締まる前提となります被害の実態、すなわち、どういう著作物がどのようにして侵害されたかという対象物の特定、あるいは侵害者、だれがこの著作物を侵害したのかといった著作権侵害を認定します構成要件の特定が大変難しいわけでございまして、著作権法上問題があると考えておりますけれども、こういった難しい環境、課題があることも是非御了解をいただきたいと思います。
  40. 浅野勝人

    浅野勝人君 正直な答弁です。そう思います。全く手を焼いて、手を焼いてて困ったもんだなと思っているという答弁ですよね。世界じゅうそうだから、文化庁で解決できる問題ではない。これからの課題として指摘をしておきますし、取り組む、考えているという答弁だと理解しました。  長官、四十一歳の海曹長は、映画や音楽を交換するためにウィニーを使っていたと言っていると聞いています。これはデータをもらったりあげたりしていたという意味ですよね。著作権法違反の認識はなかったんですか。それはどんな報告を受けてますか。
  41. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答えを申し上げます。  これまで当方の方でこの当該隊員からいろいろ事情聴取をしておりました。その範囲では、彼の目的は映画、音楽データ等の収集を、これを目的として同僚からそういうソフトを譲り受けたと、こういうふうに言っておりまして、そしてまた彼自身も、海自、海上自衛隊そのものでも、実は去年来から何度かこういうウィニーは危険だという講習も受けておりました。  ただ、本人はパソコンについても相当知識がございまして、ウイルスバスターですね、いわゆるそのセキュリティーのソフト等も入れて、ある程度そういうことを自分なりにやっているという気持ちもあったかと思いますが、本人はウィニーによるデータの交換そのものが著作権に違反する可能性はあるということは認識しておりました。しかし、ただ広く世間で使われていることでもあり、特に、いわゆる強いと申しますか、特にこの罪の意識ということが強く持っていたということではなくてこういう事態を起こしたということで、こういう供述の仕方をしている、こういうふうな報告を受けております。
  42. 浅野勝人

    浅野勝人君 局長、もう一つは、恐らくDVD—RAMかUSBメモリーで業務用データを自宅へ持ち帰ってパソコンに落としたんだと思いますよね。で、ウイルスにはやられないと決め込んでいたのは軽率ではないでしょうか。そもそも、業務用データを無断で自宅へ持ち帰ること自体、服務規程か何かの違反になるんじゃないですか。
  43. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答えを申し上げます。  今……
  44. 浅野勝人

    浅野勝人君 局長と言いました。官房長、ごめんなさい。前の局長のイメージがあって、ごめんなさい。
  45. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 分かりました。  まず、一点目の軽率じゃないかということでございますが、先ほど申しました、本人はそういうウイルスバスター等を入れて防げるというふうなことを簡単に思ってしまったというのは確かにその辺りは軽率であったと、こういうふうに、軽率のそしりは免れないと思います。  それから、あと、持ち帰った部分でございますが、これにつきましては、実は秘密の文書等をそういうふうな可搬型の記憶媒体に含んで持って帰るということについては訓令でやっちゃならないという格好になっておりまして、これは禁止されておりまして、すべてこの種の秘密の文書等あるいは記憶媒体等につきましても保全責任者が管理すべきと、こう訓令でなっております。  もう一つ、秘密以外の業務データにつきましても、こういう私有の可搬記憶媒体で持ち出す場合につきましては通達が出ておりまして、上司の許可を取らないでやっちゃいけないと、こういう格好でやっております。これは、持って帰ったというのは、これ自身がやはり内部規律の違反ということになります。
  46. 浅野勝人

    浅野勝人君 インターネット上にみんなで書き込んで作る百科事典、ウィキペディアというサイトがあります。このサイトをそっくり信用しているわけではありませんけれども、このウィキペディアでウィニーについて調べてみたら、こういうふうに書いてあるんですよ。二〇〇四年三月ごろからウィニーを使って入手したデータを見たことによりワーム、ウイルスですね、ワームに感染し、本来公開してはならない書類が公開しているものと混同されてウィニーのネットワークに流出するという事件が多発したとあります。どうやらウィニーは、よく働くけれども、ウイルスに感染しやすいソフトだということを多くの人たちが常識と受け取っているようです。  長官、防衛庁・自衛隊のように、マル秘資料を日常的に扱っている、そういうところではウィニーにもっと慎重になった方がいいんじゃないですか。
  47. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 正におっしゃるとおりでありまして、私はまず、この事件が発覚した段階におきまして、私有パソコンにおける業務用データは全部削除しなさいと、それから自宅への持ち帰りはまかりならぬということを緊急通達をしまして、これは全職員に浸透させるようにしたところであります。
  48. 浅野勝人

    浅野勝人君 これではマル秘データを気楽に扱っていると批判されても反論できないですよ。緊張感に欠けるのは、官から支給しているパソコンの絶対数が足らないもんだから私用のパソコンで補っている事情が背景にあると私は懸念しています。だから、官側は厳しく言いにくい、私の側には自分の物という甘えが出る。長官、これは極めて大きい問題ですよ。
  49. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 正におっしゃるとおりでございまして、この問題は、自分の秘密情報とか様々な情報に触れることができる立場の人が自分の職務以外の情報についても私有パソコンに入れて持ち帰ってしまうこともあったり、あるいはまた、その職場の中で上司がちゃんと目を光らせていくことができない、そういうなれ合いというか、そういう慣例があったような気がいたしますので、そこはやっぱりきちっと綱紀粛正を図っていかなければならないというふうに思っております。
  50. 浅野勝人

    浅野勝人君 長官、精神条項はそれでいいと思いますけれども、私用パソコンにいつまで頼っているんですか。
  51. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それはもう御指摘のとおりでございますから、大体、陸上自衛隊で六万台……
  52. 浅野勝人

    浅野勝人君 六万台、私用パソコンが。
  53. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) はい。それから海上自衛隊、それから航空自衛隊で合わせて一万台近くだと思いますので、これは全部防衛庁の方で供給すると。今年度中に契約はするというふうに、三月中に契約をして、その体制を整えることにいたしました。
  54. 浅野勝人

    浅野勝人君 予算があるとかないとか言っていられる状況ではないと、そういう感じがします。  次、十年前に防衛庁が三菱電機に発注した将来SAMの研究試作に関するマル秘データが朝鮮総連傘下の在日本朝鮮人科学技術協会と関連があるソフトウエア会社に漏れ、結果として北朝鮮に流出したと見られる事件について何点か確認をしておきます。  このシミュレーションは、将来の地対空誘導弾、サーフェス・ツー・エア・ミサイルのひな形の研究でしたから、現在配置している中距離SAMの原型を構成していると考えられます。したがって、十年前のデータとはいえ今日的な意味が十分あると懸念しているんです。  北朝鮮に情報が抜けたと私が判断する理由は、警視庁が去年の秋、在日本朝鮮人科学技術協会を薬事法違反で捜索したのがきっかけになってこの案件が浮かび上がってきたからです。看過し難い事件です。  漏れた経緯の説明を伺います。
  55. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは浅野委員御指摘のとおりでございまして、発端の経緯でありますけれども、まず昨年の十二月の二十一日、警察庁から防衛庁に対しまして、在日本朝鮮人科学技術協会と関連があると思われるソフトウエア会社を捜索したところ、防衛庁に関連する資料が発見されたとの情報提供があったわけであります。  その流出した経緯でありますけれども、これは、防衛庁から将来SAMの研究を委託していた三菱電機が、平成七年当時、独自で製作していたミサイル用シミュレーターのプレゼンテーションの資料を三菱総研に外注している中で、防衛庁との契約に違反をして防衛庁の情報を開示したというものであります。さらに、三菱総研は、プレゼンテーション資料の一部を当該ソフトウエア会社に下請発注した中で、三菱電機との契約に違反して防衛庁の情報を開示したということでございます。  いずれも、三菱電機も三菱総研も防衛庁の防衛産業の中で様々の仕事をしているトップ企業でありますから、これは重大な案件と思いまして、我々もきちっと調べをさしていただいたところでございます。
  56. 浅野勝人

    浅野勝人君 問題のソフトウエア会社を報告書はX社と呼んでいますが、なぜ社名を公表しないんですか。
  57. 小島康壽

    政府参考人(小島康壽君) 先生御指摘の事案につきましては、現在警察当局において捜査中でございますので、捜査に影響を及ぼさないよう具体的社名については差し控えさせていただいているところでございます。
  58. 浅野勝人

    浅野勝人君 三月二日付けで防衛庁作成の将来SAM関連情報の流出事案に関する報告、その別紙2、委員先生方には資料をお配りさせていただきましたけれども、X社に流出した将来SAMのこの資料です。  上の図表は要撃範囲を示しています。要撃範囲とは、飛来する弾道ミサイルを将来SAMで撃ち落とすことのできる最大射程と最大射高で囲まれた空域のことで、黒く塗りつぶした部分です。下の図は援護範囲。飛来する弾道ミサイルを将来SAMの最高射高、高さ、一番高い高さで撃ち落とすことによって弾道ミサイルから守ることのできる地上の領域がその灰色の部分、要撃範囲全体で撃ち落とすことによって弾道ミサイルから守ることのできる地上の領域が黒の部分、黒はいわゆるフットプリントです。  ここまで、この解釈、間違いありませんか。
  59. 小島康壽

    政府参考人(小島康壽君) ただいまの御説明のとおりでございます。
  60. 浅野勝人

    浅野勝人君 ここから先で信じ難いことが起きているんですよ。  上の図で三か所、下の図も三か所、秘数値と書いた囲みがありますね。防衛庁は、マル秘数字、つまり秘数値を伏せた報告書を作り、三菱電機の特定の少数の人には囲みの中の記号を照らし合わせると秘数値が分かる別の表を用意しました。囲みの中の記号、小さな字ですが、よく見てください。Z79とZ78と書いてありますでしょう。これを別表に照らし合わせると、Z79とZ78に見合った秘数値が分かる仕組みにしてあるんですよ。  万一この報告書が、この原図が漏れてもマル秘の数値が外にばれないように、防衛庁、二段構えの防御策にしたんですよね。それなのに三菱電機は、事もあろうにこの図を三菱総研にファクスし、秘数値を教えたものだから、三菱総研が生の数字を書き入れた、それが回り回って北朝鮮へ抜けた可能性がある。  別紙3、もう一枚の方、別紙3は、X社が作成したデモツールの画面です。この画面の作成には別紙2の原図と後で書き込まれた秘数値は使われていません。つまり、X社が現実感のあるコンピューターディスプレーを作るのに秘数値は必要ではなかったんですよ。秘数値がなくてもこのデモツールは作れたんです。そうすると、X社の作業にとって必要のないマル秘情報をわざわざX社に与えてしまったことになる。  今どき大概のことには驚きませんが、こればかりは、うっかりしていた、うっかりしていたでは説明付かない。平和ぼけの最たるものとあきれています。マル秘データのこんな軽率の扱いが許されていいんですか。
  61. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 防衛庁にとっては、日本の国、国民の安全保障を担保する上で情報というのは正に資産であります。秘情報がこういう形で流出することは、これはもう論外のことでございます。  したがって、先般、私は三菱電機と三菱総研の社長を防衛庁に呼びまして、文書で異例の厳重注意をし、再びこういうことが起こることがないように、それぞれの会社が対応措置をとり、我々がそれを確認できるまで新しい取引はしないという形で厳重な処分をいたしたところであります。
  62. 浅野勝人

    浅野勝人君 十年前のデータとはいえ、日本の地対空ミサイルシステムの性能が北朝鮮に十分示唆したことになるんですね。自衛隊が平成十五年から順次配備している中距離SAMは、北朝鮮の巡航ミサイルや航空機に対して裸の王様になってしまっているんじゃないか。納得のいく説明を期待します。
  63. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 中SAMは、今、浅野委員がおっしゃるように戦闘機とかを対象にした防御態勢でございます。将来SAMは、弾道弾ミサイルに対するこれは迎撃態勢を考えようということでありますので、そもそも技術的なレベルで全く違うものでありますし、その後また、日本はイージス艦搭載の弾道ミサイル防御、それからPAC3の弾道弾ミサイル防衛体制をしいておりますので、将来SAMとは違った形で現在の防御態勢をしいていることでありますので、それは直接的には日本の安全保障に影響を与えることはありません。中SAMについても、これは飛行機に対する迎撃態勢のことでございますから、将来SAMとストレートに結び付いているわけではございませんので、日本の安全にとって支障を来すようなことはありません。
  64. 浅野勝人

    浅野勝人君 似て非なるものじゃなくて、全く違うということですな。
  65. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) はい。
  66. 浅野勝人

    浅野勝人君 元々、この件については防衛庁には落ち度があるわけではございませんけれども、ほっとする一面、更にこの種の大事な軍事機密情報については管理に徹底を期していただきたい、そういう思いがいたします。  情報が命の外務省にとっては、上海総領事館のスパイ強要事件や中国残留孤児二世の日本人がスパイ容疑で捕まった事件など、世界各地で日常的に直面している出来事だと思いますが、改めて、インテリジェンスと毎日向き合っている外交官の在り方について、外務大臣のお考えを伺っておきます。
  67. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 特にこの国防等々に関しまして、私どもの場合はかなり他の国と違う状況にもあることもこれありで、ウサギとしての耳の部分は絶対大事なところだと思っております。生きていくためにはこの耳が一番肝心なところだと思う割には、日本の場合はどうも何か諜報とかまた情報とかいうものにかなり疎いところもある。  これは大陸国と島国の違いとかいろんな表現は昔からありますけれども、かなりこの種のインテリジェンスに対するアテンションは低いというのは事実だと思っておりますんで、私どもはこの点に関しましては、特に今のようにインターネットに限らずいろんな形での情報通信機器というものが異常に発達したこの時代におきましては、直ちにその言葉が即抜ける等々のことになっておりますんで、こういったものに関しては、やっぱり一番の肝心なことはその情報を持っている本人の口の堅さ等々が一番大事なところだと思いますんで、これは情報等々のことに関しましては、記憶は、入れた、その機械に入れた途端に盗まれる可能性というのを常に頭に入れておかないといかぬ、そういった心構えが常に必要なんであって、情報を昔は全部すべて記憶力だけでやるのが情報屋だったそうですけれども、機械が発達したためにその点の能力が少し劣ってるのと、少しこの種の機密保護法等々いろんなものが私どものところでは、スパイ防止法含めていろんなもの、またよく指摘のあるところですけれども、情報というものに関する値打ち若しくは情報というのの重要性というものに関しては、外務省職員としては厳にこの点は心にしておかねばならない、一番肝心な外務省職員としての対応、態度だと思っております。
  68. 浅野勝人

    浅野勝人君 同僚の秋元議員にバトンタッチする約束にあと一分ありますから、これまでの質疑関係ありませんけれども、以前から一度外務省に聞いてみたいなと思っていたことがあるんです。国連の分担金のことです。  日本は一九・五%を負担していますから、ずっと一人で五分の一しょってきたことになります。アメリカは二二%ですから、日米で世界の四割の余引き受けている。安保理の常任理事国では、イギリスとフランスが六%、今や日の出の勢いの中国が二%、ロシアは一%、四つの国を足し算すると一五%です。大国四つが集まって日本の四分の三ということになります。これはいささか日本にとっては分不相応ではないでしょうか。私はそんな感じがする。せめて、アメリカを含む安保理常任理事国、五大国の平均七・五%程度を負担させていただくのが分相応というものではないかと、そんな感じがいたしますが、麻生大臣はどんなお感じをお持ちでございますか。
  69. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 誠にごもっともな御指摘だと存じます。  ただ、浅野先生、これは我々は今どういうような言い方をしているかといいますと、国連は更に今いろんなところの難民の話やら人道の問題やら、更に今国連の金が掛かることになっておるんですが、その辺が掛かるときに、まあ百億なら百億出すというときの分担はすべてこの配分比率でみんな回ってきますんで、私どもとしては、今申し上げていることは、うちはそのまま払ってもいいよと。その代わり、やたら安いところがあるじゃないかと、そいつらこそ払えと。最低五%払えと、最低何%払えというんで、うちは払ってもいいですよと、このまま。  その代わり、うちはエネミークローズ、敵性条項をくっ付けられたりいろんなことをされてた経緯もありますんで、うちの方はこれを安くしてもらって、何百億か安くしてもらって、ほかの国へ、じゃおれ払うよ、その代わりおまえ文句言うなよと言われるのも、いろいろまた、私ども言いたいことも言えなくなるのもいかがなものかと思いますんで、払うことは払おうと。その代わり、そちらもしかるべき金をもっと払ってしかるべきじゃないかという言い方で今やろうと思って、既にいろいろな出先の機関にその旨で発令をいたしておりますんで、今三%、五%条項ということになりますと、かなりな部分、いろんな他国の貧しいところに回せるお金がそこから出てくるだろうと思っておりますんで、そちらの方の言い方の方が品がいいかなと思いながら考えております。
  70. 浅野勝人

    浅野勝人君 ありがとうございました。  同僚にバトンタッチいたします。
  71. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。秋元司君。
  72. 秋元司

    ○秋元司君 自由民主党の秋元司でございます。  浅野先生の関連でございますから、品格ある質問をさせていただきたい、そのように思っております。  今日は私は、財政再建と、まだ与謝野大臣は御到着じゃありませんが、財政再建とデフレ脱却と、こういった観点からまずは質問をさしていただきたいと思います。  昨日、おとといとこの委員会でも、特にこのデフレということについては大きくテーマとなりました。小泉総理も、一刻も早いデフレ回復を目指していかなくちゃならないし、同時にそのためには財政再建も必要だと。また、併せて名目GDPについても触れていらっしゃいましたけれども、もう昨年、我が党でも税制改正を議論さしていただく中に、今回、定率減税についてもいろいろ議論をさしていただきました。  ただ、与党としてやっぱり財政再建は絶対進めなくちゃいかぬという観点から今回の税制大綱となったわけでありますけれども、まず一点、財務省にお伺いしたいんですが、与党としては余り増税とは言いたくありませんのであえて家計の負担増と言わしていただきますけれども、今回、家計が結果的に負担増となった目的と、そして今回の税の部分で結構でございますから、アップした税額についてお伺いしたいと思います。
  73. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) それでは、私の方からまず、平成十八年度における家計の負担増額についてまず簡単にお答えをさせていただきたいと思います。  平成十八年度税制改正を含めましたこれまでの税制改正による家計の負担増につきましては、平成十六年度改正の年金課税の適正化等による部分で約〇・二兆円、そして平成十七年、十八年度改正による今お話が出ました定率減税の縮減、廃止によって約一・七兆円、そして本年度改正のたばこ税の税率引上げ約〇・一兆円の合わせて約二・〇兆円を、国、地方合わせてでございますが、負担額の増と見込んでおります。  私からは以上でございます。
  74. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、赤羽副大臣からどれぐらいのボリュームのものかという御答弁を申し上げまして、目的は何かというお問い掛けでございますが、今、副大臣から御答弁いたしましたように、約二兆円の負担増のうち大部分、約一・七兆円が定率減税の縮減、廃止によるものでございます。  それで、定率減税はもう御承知のように平成十一年、小渕内閣のときに、当時もう大変危機的な経済情勢でございましたから、その底割れを何とか税制でもって支援できないかということで導入された、まあその危機対応というようなものであったと私は思っておりますが、厳しい財政事情の下でございますから、見合いの財源なしに将来世代の税負担によって賄われている、それだけ国債を発行しなきゃいけないということを踏まえますれば、経済状況改善等に応じてその必要性を見直していくべきものだと。経済情勢についてはるる申し上げませんけれども、月例経済報告等にもございますように、堅実に経済は回復しております。国内民間需要に支えられた回復になってきておりますので、これを廃止するタイミングであろうと判断したわけでございます。  あと、十六年度の年金課税の適正化は、これは世代間の公平、それから世代内でも非常に所得のある年金を受けておられる方、そうでない方、そういった世代内、世代間のその公平を目指すということでございました。  それから、たばこ税につきましては、今日の財政事情におきまして、できる限り公債発行額を圧縮してツケが先送りしないようにしようということで喫煙者から御負担をいただくと、こういうことであったわけでございます。
  75. 秋元司

    ○秋元司君 今御説明いただきましたように、今回は我が党でも議論となった主な方向としては、やっぱり今回の税制改正、この景気対策型からの転換をされた、これが大きな私はポイントであろうかなと思っております。我が税制調査会長だった柳澤会長の言葉をかりれば、今回の税制改正というのはこの財政再建型と、財政再建と、そして景気回復型の中立を取ったそういった大綱であったのかなと、そんなふうに思わしていただきます。  当然、財政再建はもう急がなくちゃならない、この面は十分理解をさしていただいておりますけれども、一点、この財政再建の中の財政難、このことについてちょっとお伺いしたいんですが、財務省が考える財政難、いろんな角度があると思うんですけれども、今回はこの債務額そのものについて重点を置くか、若しくは対GDP比というものを重点を置くか、その点についてお伺いしたいと思います。
  76. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 財政健全性、逆に言えば、どれだけその危機に瀕しているかという指標はいろんなものがございまして、一つだけこれととらえるのはなかなか難しいと思っておりますが、言わば総合判断でございまして、国、地方合わせてGDPの一五〇%を超えた公債発行残高というのもそうでございますし、一般会計八十兆ちょっと切る中で公債依存率が三七・六%、これが平成十八年度予算でございますから、それも財政難を表すメルクマールだろうと思います。  それで、今委員のお尋ねは、恐らく、今後の財政改善の指標に何を求めるかということとの関係で、残額、公債発行残高そのものなのかGDP比なのかというお尋ねだと思います。  これは、実は経済財政諮問会議で与謝野大臣の下でこれから詰めていくプライマリーバランスを回復した後の財政再建の目標は何なのかということに関連してまいりますので、今結論を持っているわけではございませんけれども、なかなかその残額そのものを抑えていくという目標を立てるのはそう簡単ではございませんで、GDP比で圧縮をしていくということがまあ目標なのかなと私は今自分の頭の中では思っておりますが、今後これは議論を詰めていかなければならないことだと思っております。
  77. 秋元司

    ○秋元司君 その正に大臣がおっしゃった方向性の中で、これは私的だというふうなお話がございましたが、内閣府の方でこのシミュレーションというものを出していらっしゃるわけですね。この経済財政モデルのシミュレーションであります。私は、今年のデータはまだ出ていないと思いますが、昨年出されたデータの中でこの個人所得課税を名目GDPの一%相当に継続的に増税をしていった場合のシミュレーションが出ていると思うんですが、これ、ちょっと説明していただけますか。
  78. 齋藤潤

    政府参考人(齋藤潤君) お答えいたします。  御指摘の「改革と展望」の参考試算に用いております経済財政モデルでございますけれども、これについて乗数テストを行いますと、所得税を継続的に増税した場合、可処分所得の減少を通じまして実質GDPを減少させます。それから、同時にそれが物価へのマイナス効果をもたらしますので、併せまして名目GDPを押し下げる効果をもたらすことになっております。  なお、補足いたしますと、本年の参考試算に用いましたモデルは、昨年のものと違いまして、SNAで新たに採用されました連鎖方式とか、あるいは基準改定を織り込んだ今第二次版というものを使っております。ただ、そこでも、今申し上げたような経路、効果の発現経路は変わっていないというふうに考えております。
  79. 秋元司

    ○秋元司君 まあパーセンテージでいうとなかなかぴんとこないんですけれども、これを金額ベースにしますと、この一%、GDPの一%、名目GDPの一%相当ということはまあ約五兆円になりますね。そして、それは結果的に循環をしながら名目GDPを押し下げる、金額にして七兆円であります。  今回の、先ほど財務省の答弁にありました増税額というのは、増税額、国民負担だ、国民負担の増の額というのは二兆円でありますから、まあ約半分と考えますと、結果的にこの名目GDPを押し下げる。そうすると、結果的に言えば、その財政ということを考えれば、また対GDPだと負担を押し上げてしまうという結果になっていくんじゃないかな、その結果、景気に対して悪循環を、私は悪循環をもたらす要因になっていくんじゃないかという気がいたしているんですけれども、その辺、与謝野大臣、いかがでございますか。
  80. 齋藤潤

    政府参考人(齋藤潤君) 今おっしゃいました効果の大きさでございますけれども、それは、去年発表したモデルの乗数テストを基にしていると思います。で、今年のモデルを使いますと、それよりは幾分小さくなるようでございまして、乗数で申しますと、名目GDPの一%相当額を所得税で減税した場合、名目GDPの水準は、標準解に比べまして一年目にはマイナス〇・七八、それから二年目にはマイナスの一・二六%になります。  それが大きく経済を押し下げるんじゃないかというお話でございましたけれども、税制改正の影響でございますが、財政再建、先ほど財務大臣から御説明ありましたような規模でございますが、それのGDPへの影響というのを大体概算いたしますと、実質GDPは〇・一から〇・二ぐらい押し下げることになると思います。  それが景気にどういうふうに影響を及ぼすかということでございますが、現在景気は着実に回復しておりまして、先行きについても企業部門の好調さが雇用・所得環境の改善を通じて家計部門に波及するというふうになっておりますので、引き続き景気が回復を続けていくというふうに考えています。十八年度についても民間需要中心の緩やかな回復を続けると見込まれておりますので、様々な税制改正の影響なども十分吸収可能であるというふうに考えております。
  81. 秋元司

    ○秋元司君 ちょっと事前通告していませんでしたけど、ちなみに今回、増税、国民負担率を上げなかった場合についてのシミュレーションって今直感で答えられますか。
  82. 齋藤潤

    政府参考人(齋藤潤君) お答え申し上げます。  そういうものをちょっとやっておりませんので、それはいろんな影響がまた出てきますので、ちょっと今は申し上げられることはできません。
  83. 秋元司

    ○秋元司君 もう財政再建というのは目下迫っている目標でありますから致し方ないし、又は、さんざん昨日、おとといの答弁の中でもプライマリーバランスというものをしっかり考えていかなくちゃいけないというのは、当然理解をしている、さしていただいているところであります。  そこで、私は去年の質問でもさせてもらったんですけれども、やっぱり名目GDP、この規模を拡大していく、経済規模を拡大していく局面じゃなければなかなか元気になっていかないんじゃないかなというのを私の持論としてずっと思わせていただいているところでありまして、そういった中に、世界、少なくともOECD、世界平均を見てみますと、二〇〇四年辺りだと、まあアメリカはめちゃくちゃ高いわけでありますけれども、大体平均、二〇〇四年のデータだと五・六%ぐらいがOECD加盟国の名目成長率の私は平均であると思っているんですね。それを含めますと、日本で今年でまあ一・六、そして来年の見通しだと二・〇と、残念ながら非常に低い傾向にあると思うんですが、一人当たりのGDP平均を見ても、日本はかつてトップだったんですけれども、今現在、現在といいますかね、これデータがないんで二〇〇四年のデータだと十一位まで下がってしまっているというわけでありまして、そういうことから考えますと、やっぱり名目成長率というのをある程度高めに設定していく必要性というものも一時期私はあるんじゃないかなと思っておりまして、我が国におけるこの名目成長率の適正というのはどの辺を考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
  84. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 一番大事なのは、本当に日本の経済が成長しているかどうかということで、これは実質成長率の話だと思います。  名目成長率を高くしろというのは、言わば人によってはこれはインフレ期待ではないかということを言う方がおられまして、私はそれは一面の真実を語っていると思います。  私どもが初めて議員になりましたときに国会の中には物価問題調査特別委員会というのがございまして、物価問題というのは国民の極めて重大な関心事であったわけでございます。私どもとしては、日本の本当の意味での経済の実力、すなわち実質的な潜在成長力を高めるという政策は極めて重要だと思っておりますし、その日本の経済を力強く、なおかつ成長させていくための成長力、しかもそれを、実質的な成長力、これを高めるための国民的な努力あるいは政治の努力というのは必要だと思っております。そのときに、成長に伴う健全な物価上昇ということは当然あるわけでございまして、そういう成長に伴う物価上昇というのは国民もお許しをいただけると思っておりますが、人工的にインフレ、名目成長率だけを上げるという、いわゆる上げ底をやるというのは私は国民が決して望んでいる政策であるとは思っておりません。ただし、今のように物価が下落してきたという経験を持った日本経済ですから、やはり物価が成長率に伴って健全な状況で上がっていくということはそれは望ましいことであるし、実質成長率に伴った健全な物価上昇というのは容認いただけるものと思っております。
  85. 秋元司

    ○秋元司君 与謝野大臣のおっしゃることは、もうごもっともな話だと私は思っております。ただ、我々はやっぱり政治として国民にいろんな意味での期待というものを同時に掛けていかなくちゃいけないし、やっぱりこの名目成長率、これにつきましての成長アップというのはやっぱり経済規模全体を示すということについては、非常に私は大幅に、大幅といいますか、適正に上がっていくということについては私は必要なことだと思っているんです。  その中で、大体政治がこの名目成長率、要するに経済成長の話をしますと必ずクロスカウンターが飛んでくるわけでありまして、財務省から政府税調に出したデータの中に、成長率アップは財政が悪化すると、そういったコメントを出されているんですが、ちょっとこれについて説明をしていただけますか。
  86. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) お答えいたします。  今、委員言われたのは、本年二月十七日の政府税調に対しまして財務省が提出した資料のことだというふうに思います。  そもそもこの資料につきましては、それまでの政府税調におきまして税調委員から、名目経済成長率について種々の前提を設けた場合に財政収支にどのような影響が生じるのかということをある一定の仮定を設定して試算せよと、こういった御質問に応じまして提出をした資料でございます。  中身は、例えば名目成長率と金利をイコールにしたりとか公債残高GDP比を一四三%と、こう置いたりとか、そういった一定の仮定に基づきまして、名目経済成長率が三%から四%に一%高くなった場合にはそれぞれ二〇一五年度の段階での財政収支への影響がどうなるかといったものを試算したところでございます。  中身について話しますか。
  87. 秋元司

    ○秋元司君 ああ、いいです。大体それで。
  88. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) よろしいですか。
  89. 秋元司

    ○秋元司君 要するに、成長率が上がっていく局面においては長期金利等の上昇も考えられて、それによって結果的には財政が圧迫されるということを多分財務省は示しているんじゃないかなと私は思っているんですが。  そこで、データ的にどういう幅を持たせるのか私は分かりませんけれども、当然利子が上がっていくということは国としてまた財務的には悪化するということはよく分かるんですけれども、同時に、国債そのものを市中で持たしている以外に日銀にも、要するに国側が財産として持っている部分、それについては利払い、逆に言うとそれは国に入ってくるものでありますから、そういうものとの相殺を考えた場合においては、これは細かく質問通告していませんでしたけど、このシミュレーション、今おっしゃられたシミュレーションした場合においてどういうふうに相関関係になるか、大臣、直感的にどうですかね、与謝野大臣
  90. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 一定の前提を置いて成長率が三%の場合と四%の場合、いずれも名目成長率、これで財政にどういう影響があるかという試算を我々もやったことがありますが、名目成長率が一%上がりますと当然税の方は余計入ってくるということは確かでございます。ただし、出ていく方はどうかといいますと、やはり成長率が一%高くなりますと当然金利も高くなりますから、国債の利払い等の金利、出費は多くなると。これは出ていく方が多くなる。それから、物価に連動した支出がございます。社会保障関係費が特にそうですが、これが当然多くなりますので、差引勘定しますと、三%が四%に成長率が上がってもむしろ出ていく方が多くなる可能性もあるということで、ただ成長率を上げていけば財政が余裕が出てくるという単純な話とは限らないと思っております。
  91. 秋元司

    ○秋元司君 それはおっしゃるとおりのことだと思うんですが、しかし物事は考え方ということも私はあると思いまして、最終的に出ていく長期金利、これにつきましては、私は実は、国債について日銀の存在を私はここは忘れてならないと思っているんです。  実は今日、日銀をお呼びしたんですけれども、残念ながら今日あしたは大事な決定会合があるのでどなたも来れないということでございましたので大変残念に思っているわけでありますけれども、大体この買いオペ、日銀に対して直接の引受けできないんでしょうから、買いオペの話をしますと、日銀の、何といいますか、バランスシートが崩れるよという話があるんですが、これは日銀がいない形で何か与謝野大臣に聞くのは大変恐縮なんですけれども、私感で結構でございますから、日銀が買いオペをして、正に利率の問題を議論するときに、日銀が保有する国債の金利を利付きに替えるだとか又は非市場性に替えるとかいう短期的に一時措置をとるならば、多少の長期金利の上昇分の金利リスクというのは回避されるんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  92. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) ですから、今、秋元委員の御質問は、長期金利というものをだれかがコントロールできるのかという問題だろうと私は思います。  私は、長期金利は、中長期の長期金利はだれもコントロールできないと思っております。日銀がコントロールできるのか、日本国政府がコントロールできるのか。これは長期金利は市場で決まるものでございまして、お金の出し手とお金の取り手の関係で決まってくるものと思いますし、それでは日本人だけで決められるのかといいますと、日本の市場は国際的に開かれていますから、日本人だけで決められるわけでもありません。しかし、短期的にどうかといいますと、短期的には、非常に短い期間、もしかしたら買いオペをやって長期金利をコントロールできるかもしれませんけれども、それは極めて短期的な話であって、ある相当な期間にわたって長期金利というのは市場の実勢に基づいて決まってくると私は思います。  ただ、買いオペなどをやって多少の影響を行使することはできても、それが長期金利全体をコントロールできると思うことは少し考え過ぎかなと思っております。
  93. 秋元司

    ○秋元司君 ありがとうございました。  予定の質問がありますので、ちょっと次のテーマに移らさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、今日は日銀がいないから議論はできませんし、また、今日あした大事な決定がある中に、政治側としては非常に懸念をしている日銀のこの量的緩和の解除、本当にどうなるのかなということをある意味心配視をして見守っているわけであります。小泉総理も再三言っていらっしゃいます。とにかくデフレだけは克服をしなきゃならない、同時に財政再建をしなくちゃいけないと。本当に今の内閣の皆さんにとりましては、相反することを同時に進行しなくちゃいけないという大変つらい立場じゃないかなということは大変理解をさせていただいております。  その中で、日ごろから日銀の独自性ということが言われるわけでありますけれども、やはりこのデフレ状況下においては、日銀の独自性というよりは、むしろ政府と日銀は一体となって私はこのデフレ克服に向かうというのが正しい姿じゃないかと思っております。  この点について、ちょっと与謝野大臣、いかがですか。
  94. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 日銀は日銀としての独立性は日銀法に書いてございますけれども、日銀法の第四条を読んでいただくと、日銀は金融政策を行うときに政府経済政策との整合性を考えなければならないということを書いてございます。それから、制度的には、財務大臣また経済財政担当大臣が日銀の政策決定会合に出て意見を申し上げることができます。  日銀と政府は、当然、経済政策に関しましてはよく意見も交換をし、それから日本の経済の発展のために一体的な取組、こういうことをするわけでございますけれども、最終的な金融政策の決定というのは日銀の政策決定会合で多数決をもって行われると。しかも、その議事録は公開されるということですから、そこで決められたことは我々は尊重しなければならないと思っております。  当然のこととして、独立して物事を判断されるわけですから、その判断には責任を伴うということは当然のことだと私は思っております。
  95. 秋元司

    ○秋元司君 ありがとうございました。  いずれにしましても、やっとこの長い不況から脱し、我が国の経済が回復基調になってきた、これは本当に喜ばしいことであると思っております。ですからこそ、再びこの日銀と政府の、こういう言い方したら大変失礼かもしれませんが、政策の失敗によってまたデフレスパイラルになるということだけは絶対に避けなくちゃいけないと思いますので、政府関係者の皆さんの御努力を切に願うわけでございます。  次に、テーマを移らさしていただきます。次は教育について何点かお伺いしたいと思います。  先般、あのトリノ・オリンピック行われまして、まあ私もふだんは冬季オリンピックの種目なんて見たことないわけでありますが、オリンピックだからこそ見たということもあり、国民も関心事が高かったことであると思っています。  今日は文部大臣にお伺いしたかったんですけど、衆議院の方でどうしても委員会が入っちゃってるということなんで、今日、副大臣にお越しいただいております。トリノ・オリンピックのまず感想をお伺いしたいと思います。
  96. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 四点ほど申し上げさしていただきたいと思います。  まず、マスコミ報道やまた選手団長が期待していたほどの成績を上げられなかったというのが一点。  二つ目は、荒川静香選手が金メダルを取られましたが、ひとえに個人の努力ではなくて、フィギュアスケート連盟のこういう努力というものが好成績に結び付いたと。これを冬の競技の強化に生かしていかなければいけないヒントを与えられたというのが二点目。  三点目は、二月十七日に現地でJOCとそれからミラノ総領事館主催でプレゼンテーションパーティーを開きまして、その場で二〇一六年に我が国はオリンピックを開催する意欲があるという非公式に表明できたことが良かったと思います。  四点目ですが、残念ながら落選はしましたが、荻原健司議員が現地に行かれまして、IOCの選手委員選挙に臨まれました。十五人候補者がいる中で残念ながら三位でしたね、はい。二名だけが当選できるんですが、欧米の選手がほとんどのこのIOC委員の評価を得る中で、荻原委員が三位ということは、非常に国会議員として金メダリストが国民生活に寄与している立場にあるということを評価されたことは非常に良かったと思っています。
  97. 秋元司

    ○秋元司君 明確な御答弁、ありがとうございました。  私もあの荒川静香選手が金メダルをしたところは本当に、朝でありましたけども、朝ながらえらい感動を覚えたものであります。それまで一個もメダルを取れていなかったと、いらいらしていたところを一気に払拭していただいた。大変喜ばしいことであると思いますが。  冬季オリンピックについて私も改めて過去の歴史を調べてみたんですけど、余り日本、メダル取ってないんですよね。長野五輪だと金メダル五つも取っていますけども、ふだんの競技は取ってないということになって、そんなにメダル云々ということを私は申し上げるつもりないんですが、ただ私は一点気になっているのが、このオリンピックの目的ということと同時に考えていただきたいんですけれども、やっぱり選手というのは、普通のワールド大会だとか世界選手権と違って、オリンピックというのは国の代表、特別な思いがあるわけでありますので、国民の夢でもあり希望でもある、そういった観点から、やっぱり選手自身の、何というのかな、行動とか発言というのは私はある程度気を付けなくちゃいけないものだと思っています。だれとは申しませんが、やはり本当に一国、国の代表なのかな、国民のために頑張っているのかな、そういったことから逸脱するような、何というのかな、コメントもただ単にあったと思います。これマスコミでしか聞いてない情報でありますから、その辺、オリンピックの目的を含めて、副大臣の所感をお伺いしたいと思います。
  98. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 重要な視点だと思います。実は、この委員会の部屋の中にも元オリンピック選手が四名おられます。  いずれにも共通するところがあるのかなと思いますが、やはりルールに従って公平に競争すると、目的を設定して努力をいとわない、またいずれも非常に謙虚であるということを考えると、やはり国民がオリンピック選手に期待するものは、成績もありますが、やはり厳しい練習やあるいは世界のひのき舞台において正々堂々と胸を張って活躍できる、そういった人間性にも大きな期待を寄せているということを忘れてはならないと思いますし、文部科学省としてもJOCに対してそういった人格の向上と、こういったことも必要なことであるということは指導していきたいと思っております。
  99. 秋元司

    ○秋元司君 はい、どうも。もう時間がないから簡単にまとめます。  まあ今回、教育基本法の改正、今出るか出ないかということで議論になっていますけれども、私は今の日本の教育を考えてみた場合に、やっぱりオリンピック、国の代表、私は愛国心というのも一つの重要な要素じゃないかと思っております。そのためにも、一刻も早いこの教育基本法改正、我が党では愛国心と言っていますから、これに向けてやっていきたいと思いますし、まあJOCのアスリート委員として今回、荻原同僚議員が頑張りましたけれども、残念な結果でありました。これについてはいろいろと様々なことが言われておりますけれども、やっぱり国会も応援してあげて、そのためには長い期間現地にいるということだと思いますので、最後に要望して質問を終わりたいと思います。  以上です。
  100. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で浅野勝人君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  101. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、山根隆治君の質疑を行います。山根隆治君。
  102. 山根隆治

    ○山根隆治君 私は、皇室典範の改正問題についてお尋ねをまずさせていただきたいと思います。  私も、衆議院での予算の分科会等の御議論も、今国会の議論も読ませていただきました。官房長官の御答弁も読ませていただきましたが、改めて議論の前提といたしましてお尋ねをいたしておきたいと思いますのは、今回のこの改正問題について有識者会議の答申に基づいての様々な動きが、一連の動きがあったわけでございますけれども、この場合の有識者会議の有識者というのはどういった意味合いとしてとらえたらいいのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  103. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) この有識者会議における有識者については、象徴天皇の制度が広範な国民の理解と支持を基礎とするものであることから、皇位継承の問題についても幅広い観点から大所高所の御議論をいただくべく、これにふさわしい高い見識を有する方々に有識者としてお入りをいただいたものであります。
  104. 山根隆治

    ○山根隆治君 メンバーの方々見させて、経歴見させていただきますと、学者の皆さんが非常に多いという感じがいたします。幅広い観点からということで、大所高所から高い見識を持っておられる方をと、こういうことでございますけれども、幅広いということからすると、少し幅広くないんではないかという気がしてならないわけであります。  例えば、幅広くということであったならば、例えば労働界であるとか宗教界でありますとか、それからスポーツ界、教育界、芸能界、そうした国民の幅広い分野の中でも高い学識を持った方たくさんおられるわけですから、そうした方々の御意見をも聞くというのが幅広いということの私は定義にふさわしい人選だったと思うんですけれども、この点について後悔はございませんか。
  105. 柴田雅人

    政府参考人(柴田雅人君) お答え申し上げます。  幅広い、十人のメンバーでスタートしました。まあ、あらゆる分野を網羅するというのはなかなか難しゅうございますけれども、人選については先ほど官房長官から御答弁を申し上げたとおりですが、特に皇室制度に関する専門家ということについては、そういう知見というものをやはり必要だろうということもありまして、五月の下旬と六月の上旬に二回にわたりまして八人の方お招きしまして、ヒアリングをして御意見を伺ったということでございます。そういうことをトータルで物事を進めたということでございます。
  106. 山根隆治

    ○山根隆治君 矛盾された御答弁だったと思います。  皇室の専門家を云々というのは、これはヒアリングで呼ばれたということで、私が言っているのはそうではなくて、有識者会議そのもののメンバーについてお尋ねをしているわけであります。
  107. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) こうした有識者会議を我々つくる場合、メンバー、どういうメンバーにしようかと、これはいつも悩みの種というか、ここを非常に我々憂慮、御批判があるのではないかという憂慮をする点であります。  そこで、私どもとしては、できる限り幅広い御意見をいただくということで、最高裁の判事をやった方、あるいは政府のいろいろな委員も経験をされた経験のある女性の方、そしてまた経済界からもお越しをいただきました。また、基本的にはやはり皇室に対して敬愛の気持ちを抱いている方であるということも大切な要件ではないか。つまり、根本からそれは否定する人ではならない。つまり、この皇位継承を安定的にしていくということについてしっかりとお考えを示していただける方ということも考慮しながら、なるべくいろんな層の方々にお願いをさせていただいたと、こういうことであります。
  108. 山根隆治

    ○山根隆治君 今回のメンバーの選定は、どの政府の機関のだれが責任者で選ばれたのか、お尋ねします。
  109. 柴田雅人

    政府参考人(柴田雅人君) 有識者会議委員の選定でございますけれども、原案というか、原案につきましては内閣官房が宮内庁と相談をして何人かリストアップをいたしました。それで、最終的には総理からお願いしたということでございます。
  110. 山根隆治

    ○山根隆治君 先ほど長官は、皇室に対して敬愛の念をお持ちの方をというふうなお話がございましたけれども、思想、経歴等については余り問われないということでよろしいんでしょうか。問われなかったというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  111. 柴田雅人

    政府参考人(柴田雅人君) それぞれの委員を選定するときの過程、具体的にはなかなかこの委員がどうだということは言いにくうございますのでそこは差し控えさせていただきますが、それぞれの委員の御経歴あるいはいろんな著書、そういうものを参考にして選定したと、大まかに言うとそういうことでございます。
  112. 山根隆治

    ○山根隆治君 官房長官にお尋ねをいたします。  日本の政党で天皇の制度、これに反対を唱えている政党はあるんでしょうか、御認識をお聞かせください。
  113. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 憲法の規定という意味において、日本国憲法をこれはしっかりと守っていくべきであるということの意味においては、基本的にそれを根底から否定している政党はないのではないかと、こう思うわけでありますが、しかし、その中には、個人個人の議員の中ではいろいろな御意見があるのではないかというふうに思います。
  114. 山根隆治

    ○山根隆治君 個人の問題でなく、政党として憲法を、当然、それは憲法の下での議会制民主制度でありますから、そのことをお尋ねしているのではなくて、天皇の制度について否定的あるいはそれに近い考え方等を持っている政党はあるかということを伺っています。
  115. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) もちろん、我が党はそうではない。また、公明党もそうではないですし、民主党も党としてはそうではないんだろうというふうに承知をしておりますが、あとの二党について私はよく承知をしておりませんので、それぞれの党に聞いていただきたいと思います。
  116. 山根隆治

    ○山根隆治君 これは政治家たる者の一つの一般常識ということでお尋ねをいたしましたが、支障があるのではないかということで遠慮されて、いろいろな発言も慎重だったと思うんですけれども。  私自身は、これは日本共産党の昭和三十六年に採択された党綱領では、これは廃止というものを掲げられておられます。そして、平成十六年の第二十三回の大会で象徴天皇制との共存ということを新たに打ち出されて、党綱領を改正されたというふうに私は承知をいたしております。  ただ、新聞の赤旗の中では、それでは日本共産党は天皇制を容認したという人がいますが、どうなのかという質問に対しては、天皇制を容認したとする報道が一部に見られますが、それは事実に反します、天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに国民の総意によって解決されるべきものであると規定しているということで、このようにまあ規定をされておりますが、一貫して今までの流れからすると、私にはこれを、当面の間は容認するけれども、天皇制という、天皇の制度というものは認め難いということを言われているというふうに私自身は理解をいたしているわけであります。  そこで、お尋ねをさせていただきたいというふうに思いますのは、この今回のメンバー十名の、有識者会議のメンバーの方々に様々で情報というのは飛び交っております。  筑波大学の教授である中川八洋先生は、雑誌の中でこういうふうに述べておられます。園部逸夫氏は、専門は共産党系のオンブズマン運動や住民訴訟拡大、合法化する法制度づくりだというふうなことを述べられております。あるいはまた、佐々木毅氏に対しては、社会主義協会系で天皇制廃止論者ですというふうに指摘をされておられました。さらには、座長の吉川弘之氏に対しては、著書の中で、共産党学生組織である民主青年同盟に入っていた可能性が高いということを雑誌で書かれていたり、あるいはまあ御自身の著書で明らかにされておられます。私自身も確認ができるところでございませんけれども、一部のインターネットでは、吉川座長は一九五二年に共産党に入党もされているというふうな情報、まあ飛び交っているわけでございます。  先ほど大臣は、皇室に対して敬愛の気持ちを抱いている方が前提だというふうなお話があったわけでございますけれども、こうしたもし思想をお持ちであればもちろん結構ですけれども、経歴の中でどうなんだろうかというふうな思いを持つ国民もいたとすると、非常に色眼鏡でこの有識者会議報告書を見たりされたりということも出てきやしないかということを私は危惧もするわけでありますけれども、これらの点についての御認識をお尋ねをいたします。
  117. 柴田雅人

    政府参考人(柴田雅人君) 先ほどと繰り返しになるかもしれませんけれども、個人の思想、信条、少なくとも表に、我々は表に表れているもので調べて選定をしたということでございます。  で、その根拠がどこにあるのか、必ずしも今の御指摘でも分からないということでございますし、我々が調べた限りはそういうことが具体的にあったというふうには承知しておりません。
  118. 山根隆治

    ○山根隆治君 分かりました。  私も、この有識者会議報告書をしっかり読ませていただきました。非常にまとまっていて読みやすく、非常に学識豊かな方々の御議論の中での結論だなということを感じさせていただいたわけであります。前半はかなり客観的に書かれているんですけれども、やはり中盤以降についてはどうも牽強付会といいますか、結論を急ぐかのような書きぶりだというふうに私自身は感じているところでございまして、非常にやっぱり拙速感というのをこの報告書の中からは否めないという感じを私自身は持ったところでございます。  一番最初の御質問に対しての御答弁、論議もさせていただきましたけれども、やはり有識者会議、国民各界各層の幅広い方々の意見をということであれば、私は、改めてこの審議会の設置ということを、もう少し国民に納得できるような、だれしもが理解できるような審議会の設置ということをやはり考えるべきではないかと思いますが、この点についての御見解を求めます。
  119. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 今回の有識者の方々は、非常にもうこれは真摯にこの問題について議論し、そしてその結果、実りある議論の中で今回の結論が出てきたというふうに理解をしております。  そこで、我々、この結論を踏まえて、今後の皇室典範をどうするかという議論を行っているわけでありますが、しかしながら、事はこれは皇室のそのものにかかわってくる問題でありますので、極めて慎重に、かつ冷静にしっかりと議論をしていかなければいけないと、このように考えております。また、このたびの秋篠宮殿下、また紀子様のこの御慶事のことも十分に踏まえながら議論をしていくことが大切であろうと、こう思っております。
  120. 山根隆治

    ○山根隆治君 新しく審議会を設置し直すということについて今お尋ねをさせていただきました。  その私ども提案でもありますけれども、一つは、やはり国民各層の意見を幅広くどう集めて物にするかということが一つ。あるいはもう一つの考え方としては、やはり専門的な知識を持たれた方々、今回のメンバーの方々すべての方が皇室について造詣が深い、必ずしもどうかというふうな思い。それぞれ専門性の中では非常に高い学識をお持ちの方々、すばらしい先生方ばかりでございますけれども、事やはり皇室の、日本の長い歴史の、伝統の中での様々な経緯なり経過というものについて果たしてどうかと私は思いますんで、やはり専門家、皇室の専門家の方々をもう少し入れ込んだところでの審議会の設置ということも検討をやはり私はすべき時期ではないかというふうに思うんですが、この点について改めてお尋ねいたします。
  121. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 専門家の意見ということにつきましては、先ほど柴田準備室長からお答えをさせていただきましたように、専門家の方々からヒアリングを行い、それを参考にしながら議論を進め、結論を得たと、このように思っています。  私どもといたしましては、今後、更にこうした諮問委員会的なものをつくるということは考えておりません。今後、我々、もちろんしっかりと国民的な深い議論は当然必要であると、このようには思っておりますが、新たにこうしたものを設置をすることは考えてはおりません。こうした有識者会議とか諮問委員会的なものを新たに設置をするということは考えてはおりません。
  122. 山根隆治

    ○山根隆治君 国民世論の状況が大きく変わったとしても、これをもって一つ政府の唯一の諮問機関としての結論だということにされるということでしょうか。
  123. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) この有識者会議の我々答申を得たわけでありますが、これを踏まえて法案の作成ということになるわけでありますから、実際に法律を作るのは、これはあくまでも院でございます、国会でございます。そしてまた、法律を出す際には、まず与党において十分な議論をしていく必要もあるわけであります。その後、全党的な議論があると。その中で国民の皆様にも十分に深い御議論をしていただかなければならないと、こう思っています。  今後は、そういう手順をしっかりと慎重に、また冷静に踏んでいくということが大切であろうと、このように考えております。
  124. 山根隆治

    ○山根隆治君 先ほど来ヒアリングの話もよく出てきたんですけれども、ヒアリングというのは、確かに必要なことでもありますけれども、やり方によっては、形を整えた、聞きましたよ、聞きおきますよと、こういうふうに受け取られかねない、扱いかねない場面もあるわけです。その辺を非常に危惧をいたすわけでございますけれども、午前中、時間も迫ってきておりますので、この皇室典範問題をもって午前中の質疑を終了させていただきます。
  125. 小野清子

    委員長小野清子君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  126. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十八年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。山根隆治君。
  127. 山根隆治

    ○山根隆治君 次に、北朝鮮の問題についてお尋ねをいたします。  まず最初に、日本人妻の問題であります。  昭和三十四年に始まりました北朝鮮へのいわゆる帰国運動、これはどのようなものであったのか、そして北へ行った方々の数、帰国された方々の数、それらについて政府委員の方から御答弁をお願いいたします。
  128. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) お答え申し上げます。  昭和三十四年から開始をされました北朝鮮への帰還事業によりまして帰還をされました在日朝鮮人の方々等の数につきましては、約九万三千人強となっているところでございます。  以上です。
  129. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) よう質問の意味が取れていないと思いますので、私の方から。  昭和三十四年から開始されております帰還事業のことだと存じますけれども、今役人の方から答弁いたしましたとおりに九万三千三百四十人とされておりますけれども、その中で朝鮮半島出身者である夫や父などに随伴して北朝鮮に渡航いたしました妻、子供、約六千人の内地出身者が含まれていたと言われております、これ正確なところではありませんけれども。この中で、いわゆる日本人妻と推定される方の数は一千八百三十一名ということになっております。
  130. 山根隆治

    ○山根隆治君 帰ってこられた方々はどの程度になっていますか。日本に、日本に。
  131. 梅田邦夫

    政府参考人(梅田邦夫君) お答えいたします。  平成九年、平成十年、平成十二年の三回にわたり一時帰国されておりますけれども、日本人配偶者の方の数は総計で四十三名でございます。
  132. 山根隆治

    ○山根隆治君 多くの方々が物故されているというふうに情報が来ておりますけれども、それらの方々の、物故者の死因はどのように認識されていますか。
  133. 梅田邦夫

    政府参考人(梅田邦夫君) いろいろ北朝鮮側に対しましては照会をしておりますけれども、満足のいく回答は来ておりません。非常に残念でございます。
  134. 山根隆治

    ○山根隆治君 脱北された方々からの情報、告白と、勇気ある告白。東京、大阪でそれらの方々の集会というものもございまして、そこからのお話等を聞かせていただきますと、やはり日本人妻は向こうに行っても差別を相当受けて、飢餓で苦しみ、そして多くの方々が亡くなっておられまして、日本人妻一千八百名を超える方々の多くがもう既に亡くなっているのではないかという報告もあるわけでございます。  私は、やはり自分の御意思で北朝鮮に行かれたということではあっても、やはり子供さんがおられたり家庭の事情で北朝鮮に行った。そのときは、向こうは本当に地上の楽園だということで宣伝されて行ってしまったということがあるわけでありまして、向こうに行かれても日本人妻、日本の血が脈々と流れている方々であるわけで、そうした方々のやっぱり安否の確認というものをしっかりとすべきだろうというふうには思いますけれども、これらの安否の確認についてはどのように対処されようとするか、お尋ねします。
  135. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 誠にごもっともな御指摘なんだと存じます。  政府としては、この日本人妻の安否の確認につきましては、これはいわゆる人道的観点から取り組むべきことということに思っておりまして、残念なことに北朝鮮との間に正式な国交というものがございませんので、いわゆる取り得る手段調査手段というものに限界がありますので、昭和五十二年以後、いわゆる日本人妻の家族に対するアンケート調査を実施ということで、御家族の要望に基づきまして、赤十字のルートを通じまして北朝鮮側への安否のいわゆる調査要望というものを行ってきております。これに対して北朝鮮の方から、これまで若干名の安否についての連絡や手紙の伝達があった、若干名です。  で、今年、本年二月に、過日行われました日朝包括協議におきましても、日本人妻の安否の確認という問題について、改めて日本側から提起をしております、こちらの方から。それに対して向こうからは、調べるという程度の話なんですけれども、重要なこれは人道案件と思っておりますので、これは拉致の話以前からの話でもあろうと思いますんで、私どもとしては、引き続き努力をいたしたいと思っております。
  136. 山根隆治

    ○山根隆治君 今回の日朝包括協議の中で、本当にとんでもないことを向こうの方で問題提起してきております。脱北者を支援するNPOの活動家の引渡しの要求をされたり、それから強制連行として八百四十万人の方々、それから従軍慰安婦が二十万人だったというふうなことで補償要求されたり、とんでもない話をしているわけでございますけれども、私は、もう本当にこの日本人妻の問題というものについても、やはり拉致と並行させて強くこれからも日朝協議の場で働き掛けていただきたいというふうに思います。  もう一度、外務大臣の方で決意のほど聞かせてください。
  137. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、あの当時、我々の年齢だと、あの当時どれくらい喧伝されたかという記憶のある世代なんですけれども、何となくえらく地上の楽園かのごとき話で、何となくそういうものだと思って行かれたまんま、非常に今言われた差別の問題を含めて飢餓状態とか、いろいろ断片的には私どもも情報が入ってきているところではあるんですけれども。  いずれにいたしましても、こういった形で一時、三回にわたって帰国されたという、一時帰国みたいな形の例はありますけれども、何となく妙に着飾って、いろいろ当時の状況としては双方いろいろあったんだとは思いますけれども、いずれにいたしましても、本人の希望があれば私どもとしては是非という、帰国を希望されるのであれば是非という思いが私ども強くいたしておりますので、これ人道的見地からも、外務省としては今後とも積極的に継続をして言い続けなければならぬ大事な問題だと思っております。
  138. 山根隆治

    ○山根隆治君 それでは、続きまして、拉致の問題に移らせていただきたいと思います。  文芸春秋の三月号で、韓国の元国家安全企画部の高洙吉元捜査官の証言というものが載っておりまして、日本も国際指名手配しました辛光洙容疑者について、直接いろいろな事情聴取、取調べをされたようでありますけれども、その中で大変驚くべき、注目すべき記事がございました。つまり、拉致というのは直接金正日総書記の方から指示されたという、指示を受けたということが書いてあるわけでございます。  もしこれが事実とすれば、大変な国際問題、もう既に国際問題になっておりますけれども、国家的な犯罪ということにもなるわけでありますけれども、もしそうしたことが事実であったとすれば、これは当然引渡要求というふうな形になってくるかとも考えられるわけでありますけれども、これらの重大な供述に対して、記事に対してどのような御認識をお持ちだか、官房長官の方からお尋ねいたします。
  139. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 私はその記事について詳細はよく承知はしていないわけでありますが、いずれにいたしましても、二〇〇二年の九月十七日に小泉総理訪朝した際、金正日委員長として国家としてのかかわりを認め、謝罪をしたわけであります。そういう意味からいえば、国家的犯罪であったのは間違いないと、このように思っておりますし、国家の機関がかかわったのは間違いなかったと、こういうことではないか。  この問題については、我々、生存者の全員の帰還、そして真相の究明、また実行犯の引渡しを強く求めていっているわけでありまして、日朝間の最大の懸案であり、この解決なくして国交正常化はないと、この考えの下に、これからも粘り強く交渉をしていきたいと、こう考えております。
  140. 山根隆治

    ○山根隆治君 特定失踪者問題調査会というのが御承知のようにございまして、ここは二百五十三名の氏名というものを公表されて、今も情報を集められておられます。そして、その中の三十四名の方については拉致の可能性が極めて高いとされているわけであります。  政府の認定した方とは別に、そうした多くの方が、民間の調査機関でありますけれども、拉致の可能性が高いと、こうされているわけでありますけれども、これらの方々の救出については、政府としてはどのような対応をされようとしているのか、お尋ねをいたします。
  141. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いわゆる特定失踪者、通称千番台とかいろんな表現がございますけれども、この特定失踪者、今いろいろ、人数はちょっといろいろ言い方があるんですけれども、一応確率が高いと思われる方が、今、山根先生御指摘になったとおり三十四名ということになっております。  これまでに全然話が進んでおりませんでしたので、二月の日朝包括並行協議において私どもの方からいわゆる千番台のリストを、三十四名のリストを向こうに提出しております。これを、そして改めて関連情報の提供を求めたというのがあの二月のときの経緯です。これに対して北朝鮮側は、この協議において、リストだけでは確認できないので、もう少し日本側からの関連情報の提供があれば、関連情報の提供があれば特定失踪者の調査は行う旨の回答はいたしております。  したがいまして、政府としては、いわゆる北京の大使館ルートを通じまして情報提供を早急に行うべく関係者と調整を行っておるんですが、本来情報を出すべき立場にあるのは北朝鮮であってこっちじゃないということが一番のところなんだと思いますけれども。なかなか、これ出すと、何となく危険を感じたり、いろいろ難しいところがありますので、どの程度まで出していいのかはよく、よく御本人というかこちらに残っておられる御家族の方々の了解も得なきゃいかぬというところなんだと思いますので、そこらを打ち合わせの上、きちんと提出させていただきたいと思っております。
  142. 山根隆治

    ○山根隆治君 北朝鮮が内部崩壊の可能性もなきにしもあらずだろうというふうに思います。そうした混乱の中で邦人をどう救出するかというのは、大変大きな、今から想定をしておかなくてはいけない問題の一つであろうというふうに思います。  そういう状況を想定する中で、日本におけるそれぞれ、憲法の問題そして法律の問題、制約等もありますけれども、自衛隊としてはどのような対応を考えることができましょうか。
  143. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もうこれは委員御指摘のとおり、御承知のように、自衛隊の活動というのは、権限的に言えば自衛権の発動。自衛権の中のもう一つは集団的自衛権、権利はあるけれども行使はできないというのが政府の見解でありますけれども。もう一つは国際平和協力活動的なことですね。  今我々が法的にきちっとできることになっておりますのはどういう仕事であるかといいますと、大ざっぱに言って、これはいわゆる本来任務と言われるものですね。これは自衛隊法第三条の任務で規定されているわけでありますが、一つは、日本が直接あるいは間接侵略に対して国民と国家を守るという防衛出動。これが主たる任務でありますが、従たる任務としては、国民保護のための派遣、治安出動、警護出動、海上における警備行動、領空侵犯、災害派遣、地震防災派遣、原子力災害派遣、そのほかまあPKO活動、あるいは今イラクに人道復興支援をしていると。  法的にきちっと活動が明記された中で自衛隊を活用するということになっておりまして、北朝鮮における拉致された日本人を救出するために自衛権の発動でこれを助けに行くということは、現在の状況では法的に整備されているとは思っておりません。
  144. 山根隆治

    ○山根隆治君 輸送についてはどうでしょうか。
  145. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 輸送については、緊急事態があったときに外務大臣の、在外邦人の救出という意味では、緊急事態の際に外務大臣の要請を受けて、輸送が安全であるという条件の下で我々は考えたいと、考えることができるということであります。最近では、イラクで新聞記者の皆さん方が取材をしておって、日本人の、まあ言ってみればいろんな拉致的な被害に遭っていた当時でございますから、これは外務大臣の要請に応じて新聞記者をイラクからクウェートに運んだということがあります。
  146. 山根隆治

    ○山根隆治君 北朝鮮国内の混乱の中で日本人が確かにおられるということで、その方々が多くが生命の危険があるという場合に日本国としてなし得ることはないんでしょうか。アメリカとの関係においてはどうでしょう。官房長官
  147. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 今委員が御指摘のような状況になったときに北朝鮮にいる拉致被害者あるいは日本人妻の方々をどうすればいいかという問題については、これは我々にとって大きな課題でありまして、これはもう我々もその問題意識を持ってこの問題に臨んでまいるわけであります。その際は、当然、我が国としてできることは限られているわけでありますので、その際、例えば米国、米軍との関係等においての調整ということも必要になってくるかもしれませんし、韓国との調整ということも必要になるかもしれませんが、これについてはずっと今の拉致問題の連絡・調整室、あるいは拉致問題専門幹事会、今また組織の名前は変わりましたが、におきましても問題意識はずっと持っております。
  148. 山根隆治

    ○山根隆治君 先ほど防衛庁長官、額賀長官は、輸送については自衛隊、安全が確保されればということのお話がございました。しかし、緊急事態で一国が崩壊する、あるいは大きな混乱があるというところでは、一〇〇%の安全の保障ということはなかなか現実的には難しいだろうと思います。そこは政治決断であろうと思っておりますけれども、私は様々なやっぱり想定というものをして、それに対応できるような今からやっぱりシミュレーションというものを、北朝鮮におられる日本人をどう救出するかということについては非常に大事な問題でもありますし、緊急性も高いので、是非研究をしていただきたいと思いますけれども、この点について、外務大臣防衛庁長官官房長官、それぞれから御見解をお聞かせください。
  149. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはなかなか仮定の問題としてお答えをしにくいところですが、大量のボートピープルが日本海それから海流に乗っていきますと、そのままエンジンがないと日本海のかなり沿岸側の北の方に漂着する、潮流の流れからいくとそういうことになろうと存じますけれども、そういった状況になるといって、流れ着いた人たちに対するいわゆる検疫等、いろんな問題を抱えるんだと思いますが、それに対して、逃亡者として向こうがそれを追うのか、ただただ棄民みたいにして捨てるのかによっても対応が違ってくると思いますんで、ちょっと山根先生、今この段階でどういう対応が外務省として考えておくべきか、ちょっと、いろんな想定はできるんだと思いますけれども、外務省として危機管理等の観点からいろいろなことを政府として考えておかねばならぬ点であろうと存じます。
  150. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはもう委員も御承知のとおり、在留邦人がいろんな国におりますけれども、この在留邦人を守ってくれるのは当該国がまず第一の責任者であります。だから、そこの国の統治している責任者が日本人を守るべきであるということであります。  そういうときに日本人を守る主管庁は、我が国においては外務省になります。だから、外務省の要請に応じて自衛隊は対応していくというのが原則でございます。
  151. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 委員の御質問は、北朝鮮において例えば国が崩壊の危機に瀕して、また大混乱になったときと、まあそういう無政府的な状況になったときにどう対応するかという御質問なんだろうと、このように思うわけでありますが、これは当然一つの省庁だけでできる問題ではないわけでありまして、米国あるいは韓国との関係、そしてまた自衛隊がどういう対応をできるか等々も含めてですね、これは現在、拉致問題専門幹事会は全省庁が入った組織になっておりますので、そこでもこの問題意識を持ってしっかりと検討をしていかなければいけない。  例えば、救出等々ということになった場合は、我が国としてできないことであったとしても、向こうにいるかもしれない人の名前ぐらいは最低限把握をしておかなければいけないと、こういうことではないかと思います。
  152. 山根隆治

    ○山根隆治君 アメリカでは、既に御承知のように、北朝鮮人権法ができております。我が党も既に国会に提出を議員立法としておりますし、自民党の方も、政府、いや与党の方でもそうした今御準備があるというふうに聞いております。  アメリカのこの北朝鮮人権法を見てみますと、自由アジア放送という放送に対して今財政的な支援等をされているということがその内容の一つであります。で、我が国においても、民間で、特定失踪者調査会の方でそうした放送というものに踏み切って、北朝鮮にいる拉致された方々に対して励ましになるようなメッセージというものを絶えず送り続けると。相当な財政負担で行っているわけでありますけれども、まあ我が国の法律とは直接、まだこれからというところでございますけれども、法律とは別建てでも、こうした動きに対して、民間の動きに対して支援をする、財政支援するというお考えがないかどうか、お考えをお聞かせください。
  153. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 北朝鮮に対するそうした放送は、極めてこれは重要な試みであるというふうに思っておりますが、民間の方々のこれは運営によって成り立っているわけでありまして、政府として財政的な援助をするというのは適切ではないと、こう思っておりますが、この仕事に当たっている方々の勇気と努力と献身には心から敬意を表したいと、このように思っております。
  154. 山根隆治

    ○山根隆治君 ありがとうございました。  北朝鮮との交渉はなかなからちが明かないということで、誠意ある回答がなければ日本政府としてもやはり次のステップに踏み切らざるを得ないということを言いながら、なかなか踏み切れないでいるということであります。日本にはもう既に特定船舶の入港の禁止に関する法律、それから外為法の整備等がもう行われているわけでありますけれども、先日の小泉総理のお話を聞いて、答弁を聞いておりましても、どうもそこのところはまだまだ踏み切るというふうな意思というのは見えないわけでありますけれども、何をちゅうちょするのか、その心の奥には何があるのか。おそばにおられる官房長官から小泉総理の心のうちをお聞かせください。
  155. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 二〇〇二年の九月の十七日の小泉総理の訪朝によって、それまで全く前進がなかったこの拉致問題において、五人の被害者の方々が帰国することができたのも事実であります。そして、その後の二回目の小泉総理の訪朝によってこの五人の方々の御家族、最終的には八人の御家族の方々も帰国することができた、これはある意味では大きな成果であったわけであります。しかし、残念ながらまだまだ、横田めぐみさんたちを始めとして、認定されている拉致被害者の方々、十一名の方々はまだ未解決のままであります。  我々、何としても全員の救出を何としても目指していきたいと、こう考えているわけでありますが、基本的には対話と圧力の姿勢で外交を展開をしていかざるを得ないと、こう思っています。  先般も日朝協議が行われたわけでありますが、残念ながら北朝鮮側の態度は誠意ある姿勢があったとは言えない、こう思うわけであります。しかしながら、我々は対話をしていかなければこの問題を解決をすることができないと、こう考えておりますが、しかし、対話そのものが目的ではないわけでありまして、時間稼ぎに利用されてはならないと、こう考えております。そこで、我々は前回の日朝協議の結果から、圧力を掛けていかざるを得ない、このように考えているわけであります。  最終的な圧力は議員立法で作っていただきました経済制裁であろうと、こう思うわけでありますが、それは最終的な圧力であって、それに至る様々な圧力を我々は駆使をしていって北朝鮮の今までの態度を変えさしていきたいと、こう思っています。
  156. 山根隆治

    ○山根隆治君 それでは、続きまして税務署の諸問題について、主に財務大臣から御答弁を求めたいと思います。  税務署の職員の方が毎年、相当件数といいますか、懲戒処分を受けておられるということでありまして、十四年、十五年、十六年、それぞれ四、五十件あるということでございます。そして、その中には酩酊していろんな事件を起こしたりということがございますけれども、税務署、どうしちゃったんでしょうか。
  157. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 不祥事が起こっておりますことは誠に残念なことでございまして、私どももう一回これきちっと立て直して綱紀の粛正を図っていかなければならないと思っております。  税務行政をきちっと進めていくためには、税務行政を担当しているその職員が国民に信頼されていなければなかなか事が進まないわけでございます。そういう観点から、税務職員の綱紀の保持につきましては、これまでもその重要性あるいは留意点などを全職員に対して周知徹底を図るようにいろいろ努めてまいりましたし、また、個々の職員から身上等をいろいろ把握するということも職場の中で努めているところでございますが、また、それに加えまして、今、山根先生御指摘になりましたような、職場の帰りに酒を飲んで関係の書類を忘れてしまったとか紛失してしまったというようなこと、非行事案が発生した場合には厳正に処分をするということで対処してまいりました。  こういう取組にもかかわらず、しばしばこういうことが起きておりますのは誠に残念なことでございまして、更に緊張感を持って綱紀の粛正のために努力をいたしたいと思っております。
  158. 山根隆治

    ○山根隆治君 酩酊をして引き起こした事件については、そちらの方から出された資料に、ちょっと見させていただきましたけれども、自費で飲んでいたのか、それとも納税者からごちそうになって酔ってのことなのか、その辺が明確でなかったんですけれども、いかがでしょうか。
  159. 石井道遠

    政府参考人(石井道遠君) 先生御指摘の事案は、多分昨年の七月、名古屋国税局において発生した事案、あるいは昨年大阪国税局において発生した事案のことを指しておられると思いますが、私ども詳細に内容は検討いたしておりますが、いずれも自費で飲んでおります。
  160. 山根隆治

    ○山根隆治君 いろいろな誤解の生まれないように、是非綱紀粛正に努めていただきたいというふうに思います。  それでは、続きまして税務調査についてお尋ねをいたしますが、税務調査の概要について、政府委員の方からお答えください。
  161. 石井道遠

    政府参考人(石井道遠君) 最近の税務調査状況でございます。  法人税に関しまして申し上げますと、平成十六年から十七年の一年間、これ七月から六月まででございますが、法人税の実地調査、年間で約十二万四千件行っております。そのうち、更正決定等、問題があって追加的に税金をいただいた件数は約九万一千件、七三%でございます。追徴税額が三千六百億円になっております。
  162. 山根隆治

    ○山根隆治君 なかなかこの、特に法人、零細中小企業、まだまだ元気が出ないという中で、やはりこの調査ということについては非常に、余り評判が良くないというか、まあ怖がるというか、そういうふうな状況も現出をいたしているわけであります。現場では、OBの方々がいろいろなところで発言をされているのを聞いてみますと、やっぱり徴税の実績と、徴税実績ということに非常にとらわれがあって、それが自分の業績に反映するということで強引な執行ということに走りやすいのではないかということを指摘される方もあるわけですが、こうした御認識はございますか。
  163. 石井道遠

    政府参考人(石井道遠君) 税務調査でございますが、これはあらゆる資料を集めまして、問題があると認められる納税者を重点的に調査をするというのが基本でございます。  今先生からいろいろ御指摘ございました。私ども、よくノルマ主義等を取っておるんではないかという御指摘ございますが、年度の当初に一応の目安として事務計画は策定もちろんいたしますけれども、実際の調査の選定に当たっては、特に問題が悪質であると認められるものに対して調査を行い、その期間等につきましてもめり張りを付けて、問題がなければ速やかに帰ってくる、問題があれば当初予定していた期間を延長してでも行うというめり張りを付けながら重点的にやっておるつもりでございます。
  164. 山根隆治

    ○山根隆治君 徴収実績、職員の数との比較の中での効率ということでは、実は国士舘大学の教授の本庄資先生という先生調査した資料が実はございます。それを見ますと、やはりアメリカに比べてその実績、効率というのはかなり低いというふうに言わざるを得ません。徴税コストの推移ということで見てみると、アメリカと日本では〇・五対一・五ぐらいの比率の違いがあるというふうにその先生調査では出ているわけでございます。  これは、政府の方でも、平成十六年の十二月の二十四日に、規制改革会議の答申というものがございますけれども、これによって、民間にこの徴税ということについて委託ということも答申にあるわけでございますけれども、税務について民間委託という考え方が今でもあるかどうか、どのように考えるか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
  165. 石井道遠

    政府参考人(石井道遠君) 最初に、徴税コストの件でございます。  確かに私どもの試算でも、平成十六年度辺りを見ますと、日本の場合には一・五八、これ、分母を国税収入を取り、分子に徴税費を取っておりますが、これに対してアメリカが〇・四八程度というような試算値がございます。ただ、これは、我が国の場合には元々分母の租税収入自体が諸外国と比較して非常に租税負担率が低い、あるいは最近の景気状況で税収が落ち込んでいるという問題がございますのと、分子の徴税費につきましても、国によりましてこの課税方式、申告納税か賦課方式か、あるいは立証責任がどちら側にあるか、アメリカでは納税者側にございますが、日本では国税当局側が立証しなくちゃいかぬというような違いもございまして、この比率だけでもって一概に効率ということを考えるのにも限界があるのではないかという気がいたしております。  それから、二番目に御指摘の民間開放推進会議等におきまして、この徴収の民間委託ということが触れられておりますが、この徴収の民間委託につきまして、この民間開放推進会議の答申では今後の課題に記述、今後の課題として記述されているにとどめられておりまして、具体的な施策として閣議決定の対象とはされておりません。  私どもは、官から民へという大きな流れの中で、民間開放の推進を図ることはもちろん重要であると思っておりますけれども、国税の徴収は公権力の行使そのものの部分がございますので、そういうものは民間開放にはなじまない。しかしながら、補助的な事務、これにつきましては外部委託なりアルバイト化なりを積極的に推進をしておるところでございまして、今後ともそういう努力は続けていきたいというふうに考えております。
  166. 山根隆治

    ○山根隆治君 官房長官に最後にお尋ねをいたします。  小泉さんは今年九月に退任されるということでございますけれども、やはりもう官から民へ、官から民へということで、自民党内のほとんどの方々、反対していた郵政民営化を強引に実現させてしまったというふうに私自身は思っておりますが、そこまでやられるんなら、徴収ということについても、税の徴収というふうなことについても、私はやはりもう民間ということも積極的にこれ考えていく、研究するのには十分な私は根拠も与えられているだろうというふうに思うんですが、これらの点について、小泉総理の側近中の側近である官房長官の方から最後に御答弁をいただいて終わります。
  167. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 突然の御質問でございますが、税の徴収というのは、これは極めて重要な国としてのこれは仕事であると、このように認識をしているわけであります。  小泉総理のお考えとしては、政府を効率的で簡素な政府にしていく、そして国民の負担はなるべく増やさないようにしていくと、こういうことでございます。民営化するのにはふさわしいものは民営化をしていくわけでありますし、アウトソーシングにふさわしいものはアウトソーシングをしていくと、今後もその姿勢には変わりがないと、こういうことでございます。
  168. 山根隆治

    ○山根隆治君 財務大臣、一言。
  169. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今官房長官から、国がやるにふさわしいものは国に、民に、民間でできるものは民間に移していくということでございますが、税の場合には、国税徴収、特に滞納処分なんて考えていただければ一番明確に分かりますが、権力作用という部分がかなりございます。この権力作用の部分については、やはり民間というのにはなじまないんではないかと思っております。  ただ、その具体的な業務の中で、限られた人員でもございますので、公権力の行使に関する事務以外の補助的な事務については、例えば、公売財産の鑑定であるとか、公売広報であるとか、差押え財産の保管等々、こういったものは外部委託化ができる分野でございますので、それはできるだけやっていこうと。それから、督促状とか催告書とかの封入、発送とか、それからKSKシステムの情報入力とか、滞納処分票の整理等々と、こういうのは、まあ言わば外部委託化とかいいますかアルバイト化にもなじむところでございますので、そういうものは極力進めていこうというふうに考えております。
  170. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。黒岩宇洋君。
  171. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 民主党・新緑風会の黒岩宇洋でございます。山根議員に引き続いて関連の質疑を行いたいと思います。  私は、内閣委員の一人として、平成十五年の食品安全基本法の審議に最初から加わりまして、そして食の安全、そして食品安全委員会の在り方についてずっと議論をしてきた者でございます。その私にとって、このたびの米国産牛肉の輸入再開に当たって危険特定部位が混入していたという大変我が国の国民の食の安全を脅かすこの状況に対して、大変ゆゆしきことと思い、その関連について御質問したいと思っております。  まずはこのBSE問題について、中川大臣、お聞きいたします。  これも何度も何度もここで議論して、もう神学論争みたいになっているんですけれども、私どもの同僚の川内議員の質問主意書に、その答弁には、要は、輸入再開前に現地調査をすると、こう答えておきながら、結果的には調査に行かないままに輸入再開されたという。  このことについて、なぜ判断が変わったのか、そしてこの判断を変えて輸入再開したことがなぜこの答弁書違反、すなわち閣議決定違反でなかったのか、簡潔にお答えください。
  172. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 去年の十一月十八日に閣議決定をしお答えをした川内議員に対する答弁書では、輸入再開をするときには再開前にも調査をするという文言が入っていたわけでありますけれども、あれは食品安全委員会での最終的なリスク評価が出る前のまあ一つの、あらゆる考え方の一つとして当時お示しをしたものであります。  その後、十一月二十二日になりまして米国政府から、再開後に実際に物が処理されている時点で日本側のチェックというものもきちっともう一度、まあ何といいましょうか確認作業、同じような作業を一緒に見ることができますよという返事があったわけでございます。現実に、二十か月以下であること、あるいは特定危険部位の除去がきちっとなされていること、さらには日本向けに別管理がされていることが確認をするためには、実際にそういう牛肉が入ってきちっとした処理がなされているかなされていないかを日本自身が見た方がより確実であるという判断から結果的に輸入再開後にしたものでありまして、重ねてになりますけれども、十一月十八日時点でのあの答弁書はそういう考え方、認識の一つとしてお示しをしたということでございます。
  173. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 答えているようで答えてないようで、よく分かりづらいんですね。  要は、一月三十日の午前中に衆院の予算委員会で同僚の松野議員が閣議決定違反じゃないかと言ったときにはある意味閣議決定違反ということを認めたような答弁して、結局その昼に政府統一見解なるものがいきなり出てきて、午後になると閣議決定違反ではなかったと。これがやはりいかにその場しのぎ、急場しのぎでこの統一見解が作られたかということが私どもひしひしと感じているんですよ。  まず一点目ですね、要は、十一月十八日から、答弁書を出してその後判断変えるまでの背景が二つ、客観的状況が二つ変わったと、これ統一見解では言っているんですね。そのうちの一つが米国が行う施設認定、認定を受けた施設について日本側も調査できることだと、こういうことが十一月二十二日に分かったと言っているんです。  このやり取りで、これは参院予算委員会で中川大臣は非常に大きな事実誤認をしているんですよ。というのは、要は、施設認定を行うのは我が国が再開決定してからだと、再開決定してから施設認定を行うと。だから、要するに、再開決定しなければ認定した施設を見れないと、だから再開決定前には視察には行けないんだという、こういう答弁しているんですよ。これは明らかに事実誤認で、答弁書の輸入再開というのは、再開決定ではなくて現実に物が輸入されるという事実行為を指していると。これは、その後、大臣は答弁でも認めているんですね。  そうすると、明らかに、輸入再開という言葉を、再開決定か、事実上物が輸入されるか、このこともあいまいなまま大臣は答弁しているんですよ。これいかがですか。
  174. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) まず、一月三十日においても私は閣議決定違反だという答弁はしておりません、午前中。正確に議事録をもう一度お読みいただきたいと思います。  それから、御指摘のように、きちっとした作業というのは、日本側が輸出再開決定をして、そして輸出プログラムに基づいた認定作業が行われて、そして初めてアメリカ側で日本向けの処理がされる事業所が決定されるわけであります。これはそういう一連の手続であります。その手続が決まった後に、御指摘のように二十か月以下、特定危険部位の除去、日本向けに別管理をするという実際の処理が行われると。  ですから、きちっとした確認ができるということは、実際に日本向けの処理がされている中で日本政府厚生労働省と農林水産省の専門家が見に行って、そして、それによってきちっと確認ができますと。そのことは、十一月二十二日において米国側も日本政府一緒になってそういう作業をもう一度やりますから見ていただいて結構ですよという返事が来たものですから、その方がより確実であるということで、そういう判断に至ったわけでございます。
  175. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 私の聞いた、要は輸入再開という言葉の定義付けのあいまいさについてなんか何にも答えていないじゃありませんか。これはもうね、先に進めますけれども。  結局、この一番目の米国が行う認定、認定した施設を日本側が査察できるなんということは前々から決まっているわけですよ。こんなものは二十二日に分かったことではありません。  さらに、二番目の、要は輸入解禁以降でなければ履行状況調査ができないという、これも一つの大きな論拠としていますけれども、これも現実には、物が流れ出せばそこを見に行けばいいわけですよ。決して十二月十二日に輸入再開を決定して、十六日にいきなり物が輸入されると、こんなに急ぐ必要ないわけですね。十二日に再開して、物が流れ出すわけですよ、現実に、牛肉が。そこの施設を見に行けばいいじゃありませんか。これ、何でそんなに急ぐ必要があったんですか。
  176. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 屠畜場の所管厚生労働省でございますけれども、厚生労働省と農林水産省とが協議をして、そして、十二月十二日に輸出再開決定が、先ほども申し上げましたようにルールとして決定がなされたわけであります。むしろ私はそのことを今区別して答弁をしたつもりでございまして、ルールとして輸入再開決定をしたことと実際に物が流れるという意味の輸出再開決定とは段階を踏む別のものだということを先ほど私は答弁をしたつもりでございます。多分、委員もそういうおつもりで質問されているんだろうと思います。  他方、その前に日本としても食品安全委員会での御審議等々で、アメリカは一体どういうことをやっているんだろうかとか、いろんなデータ、あるいはまたアメリカの作業状況、現にやっているものについていろんな調査をしておりますから、その中には、事前にアメリカ側としてもある程度予想できる作業、日本側としてもある程度予想できる作業があるわけでございますから、十二日に再開決定をして、そしてアメリカ側に通知した後、アメリカ側としては、事前に予想されたことも含めてアメリカ側としてきちっとやるべきことがゼロからスタートをしたのではなくて、既に事前にある程度予想されていたこともあったわけでございますから、そういうことも含めて、アメリカ側としては十六日に日本に対して輸入牛肉が着いたということで、これは急いだか急がないかというのはアメリカ側の行為であり、アメリカ側は急いだのかもしれませんけれども、日本側の手続としては粛々とやって、十二日、十六日という日付になったということでございます。
  177. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣もこの件についてはかなり答弁慣れしているんで、とうとうと我々に理解不能の言葉を述べるんでですね。これ端的に言うと、結局は十一月二十二日の日米協議でアメリカが大丈夫だと、安全だと言ったと、これをもって大臣は安全性が担保されたと言っている。要は、向こうが言った不確かな情報をうのみにしているということですね。まあこの件についてはちょっと私ども民主党もなかなか今突っ込みづらいところあるんですけれども、向こうの言ったことをうのみにして、結果、裏を取らなかったわけでしょう。要するに事前に査察、要するに自分の目で確認に行かなかったということは、言ったことをうのみにして裏を取らなかったと。これがリスク管理機関として責任を果たしているとお考えなんですか。これは中川大臣と、あと川崎大臣、お答えください。
  178. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 日米という二つの政府が約二年間にわたって作業を進めてきた。日本は日本として粛々とリスク評価機関の御判断あるいはまたパブリックコメント等も含めてやり、それを受けてリスク管理機関である私どもと厚生労働省がやったことが十二月十二日の判断に至ったわけでございますので、そういう意味ではうのみにしたとかうのみにしないとかいうことではなくて、きちっとした政府の間の協議、そしてまたアメリカ政府がきちっとやりますと、認定行為、また処理機関における処理作業も含めてきちっとやるというふうに約束をして、衛生条件を結び、そしてプログラムを策定をしたわけでございますから、日本としては、日本のリスク管理機関として、この後厚労大臣にも御質問があるそうでありますから、私からは、農林水産省としてはきちっとやったというふうに理解をしております。
  179. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) プログラムを守るのが輸出国の責任。その間、年月を掛けながら両国の中で詰めてきて、これを守りましょうということでスタートしたわけですから、当然アメリカがそれを守れなかったということで輸入がストップしている、そして、今話合いがまた持たれ始めているということでありますから、ステップを追ってやらせていただいていると理解しております。
  180. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、だからね、結局は、正しい正しい、安全安全と言われたことを信じたっていうわけでしょう。でも、中には、正しい正しい言われても、結果的には危険部位が入ってきたんですよ。結果責任があるでしょう、リスク管理機関として。これは政治家の発言もそうですよ。正しい正しいと言われてそれを信じたけれども、結果的にそごを生じたらそれなりの責任を取るわけですからね。でも、これまあちょっと──それでね、分かりました。  これね、今日、食品安全委員会もお呼びしているんでお聞きしたいんですけれども、これ、中川大臣は答弁の中で、要は十二月八日の食品安全委員会の答申の中で事前視察をしてくれというのがなかったから、これで書いていてくれれば自分らはしたよと、あたかも評価機関がその必要性を訴えなかったから我々は管理機関として輸入したんだと……(発言する者あり)いやいや、言っていますよね。こんなことを言われて、安全委員長いらっしゃっていますね、安全委員会としてはどうお考えですか。
  181. 寺田雅昭

    政府参考人(寺田雅昭君) 私どもはどういう管理方式を取るかとか取らないとかということには言及しておりません。これは管理機関が考えられることでございます。  以上です。
  182. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣もちょっとお答えください。
  183. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 先ほど委員長から御答弁あったことと同趣旨でございますが、リスク管理側の問題でございまして、私の方から特に申し上げることではないのではないかと、本件についてですね、そう思います。
  184. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ大臣、聞きますけどね、安全委員会は十二月八日にリスク評価をして、その四日後にもう輸入再開決定して、さらにその四日後にですよ、査察ないまま輸入されたわけですよ。これについては、危険部位が見付かる前に、食品安全委員会としては厚労省、農水省に批判を言っているわけですね。このことについて危うさを感じなかったんですか、大臣は。
  185. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 御案内のように、私ども取りあえずリスク評価でございまして、もう先生自身は法案作成にも御参加なさってよく御案内のことと存じますが、管理側の方でしっかり対応していただく問題であり、また本件の場合は、正に遵守が前提で評価をさせていただいてきておるわけでございます。そういう意味で、今正に、なぜ遵守できなかったのか、いろいろ正に米側とやっておられる最中でございまして、この段階で私からこれ以上申し上げることはないと存じます。
  186. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣ね、あなた日本の国民の食の安全を守る大臣なんですよ。  じゃ、大臣、あなた法律上、どういう地位でどういう権限のある大臣なんですか。
  187. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 私は、食品の安全担当大臣でございます。黒岩先生おっしゃるとおり、食品の安全のために心血を注いでおるつもりでございます。  法律上は、先生御自身、法案に参加されたと先ほど事務方からお聞きいたしまして、御履歴をお読みするとそんなことも感じたわけでございますが、この前も松野先生でしたか、同趣旨の御質問がありました。  私の責任は、改めて申し上げさせていただきますが、リスク評価機関であります食品安全委員会を担当いたしますとともに、食品の安全性の確保を図るための環境の総合的な整備に関する事項の企画及び立案並びに総合調整に関する事務を所掌させていただいております。  そういった観点から見まして、現在、御案内のとおり、脊柱が混入するという事態が起こって、すぐ管理側で輸入停止の措置がとられ、現在この件に関して国民の食品の安全は守られていると、現在ですよ。そういう意味で、この輸出管理が当初予定されたようにしっかりいくのかどうか。先ほど食品安委員長も御答弁ありましたが、管理側と常に連絡を取ってしっかりと対応するようにと食品安全委員会にも私の立場において申してあります。  私はもちろん、自分立場で、関係大臣と絶えず連絡を取りながら、しっかりと対応しておられるかどうか見極めておる毎日でございまして、それ以上のことは今日現在ないということを先ほど御答弁したところでございます。国民の皆さんに本当に、こうしてですよ、脊柱が混ざるなんということが起こったことにつきましては、責任者の一人としてとても残念に思っております。遺憾に思っております。二度とこういったことが起こらないように、それぞれの立場においてしっかり対応するようにということで、自らを始め関係者一同に戒めておるというのが私の今の立場であります。  どうぞ、黒岩先生にまた一層叱咤激励をいただいて、間違いのない行政をしていきたい、心からそう思っておりますことを、くどいようでございますが、本当にそう思っております。どうぞよろしく御指導をお願いいたします。
  188. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 じゃ、今この場で激励します。  内閣設置法上、松田大臣はどういう大臣なんですか、こういう質問をしているんです。
  189. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 私は内閣特命担大臣でございます。特命の一つ食品安全でございます。
  190. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そうですね、特命担大臣ですね。特命担大臣には、第十二条で、内閣府設置法十二条で勧告権というすばらしい刀が与えられていますよね。今、残念だ、遺憾だということをおっしゃっているわけですから、これ、勧告権を発動したらいいじゃないですか。
  191. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 法律上の監督権は発動、現在この案件について発動しておりません、法律上の勧告権は。しかし、先ほど来からるる御答弁申し上げておりますように、私のなすべきすべてのことをなしておるつもりでおりますが、もし何かあれば、どうぞ御指摘を、教えてくださいませ。
  192. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これね、食品安委員長にもこれは食品安全基本法にのっとって勧告権があるんですよ。これは総理大臣通さなきゃいけない。特命担大臣の勧告権というのは、総理大臣と同等のその権限なんですよ。今まで使ったことないわけでしょう。これ二度と起こらせないというんなら、二度と起こらせないために当然伝家の宝刀を抜くこともありますよね。その意気込みをちょっと聞かせてくださいよ。
  193. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 仮定の話になると答弁がしにくうございますが……
  194. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 食品の安全を守るためですよ、勧告権は。
  195. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) ええ。ですから、一般論として、正に黒岩先生おっしゃるように、勧告権があります。内閣総理大臣を通じて勧告をいたします。  それ、その権利を、権利といいますか権限といいますか、それを今本案件について発動しろという御質問でしょうか。そういう意味であれば、私は今のところ発動する考えはありません。しかし、先ほど来から申しておりますように、現在行われている事態に対して、私がとり得る最大の措置をとっておると私自身は思っております。
  196. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 何でこの件について行う気はないと言っちゃうんですか。だって、この後、あれですよ、危険が生じて、必要と認める場合には勧告権を与えられているんですよ。将来について、これは使わないということをおっしゃるんですか。
  197. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 今、現にリスク管理側は、原因究明と再発防止のために米側と日々一生懸命やっておられます。この段階で私はどういう勧告をなすべきか。勧告をしろ勧告をしろと先ほどから言われまして、いろいろ考えるんでございますが、今、現に何もなさっておられないとか、どうのこうのというのであれば、あるいはおっしゃるようなことを考えることもあるのかもしれませんが、現在、正に先ほど来から御質問されて、るるお尋ねになっておられるとおり、管理側で一生懸命やっておられるわけであります。今、一体どういうことで私が勧告権を出すことになるのか。私の立場においては今この現在では勧告権を発動する立場にはない、状況にはないと重ねて御答弁させていただきます。
  198. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、特命担大臣というのは大変はかない大臣で、すごい権力を持っているんですけれども、置くことができるという、置かなくてもいい大臣なんですよ。これ初代大臣谷垣大臣だからよくお分かりだと思うんですけれども、この議論をやってきたんですよ。大臣、相当なリーダーシップを発しなかったら食品の安全担当大臣なんて要らないということになっちゃいますよ、本当に。これしっかりと肝に銘じて、これは本当に激励ですので、頑張っていただきたい。  それで、時間なんで、次に、防衛施設庁談合事件、この問題に入っていこうと思います。  これ、防衛庁長官に聞きますけれども、まず防衛施設の建設工事にかかわる契約の落札率、これ、十六年度、十七年度の一般競争入札の平均落札率を教えてください。
  199. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  防衛施設庁が平成十六、十七年度、十七年度は、一月末現在で、一般競争入札で契約した建設工事の平均落札率は約九六・四%であります。  それでいいですか。
  200. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 はい。  九六%超えているんですね。平均ですよ、一般競争で。これ、通常かなり高いと思うんですけれども、それについて、大臣、なぜこれほど高いとお考えですか。
  201. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そうですね、まあ今度の施設庁における談合事件が起こったことを照らし合わせてみれば、この入札において競争原理が働いていなかったということが一つあったんではないかというふうに思っております。  まあ捜査中、捜査段階でありますけれども、そういうことも含めて、この施設庁内において、行政上あるいは組織上どういう問題点があるのか今点検をして、再びこういうことがないようにしようということを考えているところでございます。
  202. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 競争原理が働いていないということは、具体的にどういうことですか。
  203. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 要するに、よく言われることは、一つは、業者側が談合していることがありますね。もう一つは、まあよく天の声と言いますが、この業者にやったらどうだという指名的なことが考えられる。あるいはまた──いや、あるいはまた、入札価格を官側が教えてしまう、示唆をするようなことがあり得るかもしれない。そういうことを含めて談合談合というふうに言われているものと思っておりますから、そういうことが起こることがないようにしなければならないということ。もう一つは、今度のこれは、施設庁内の事件をよくよく考えてみると、官側が将来の再就職のことを考えて、業者とのつながりが、自らの地位とか職を利用していろいろと有利な条件を働き掛けたんではないかという疑惑が生じてこういう事件が起こったということを重く受け止めているわけであります。
  204. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、落札率の高い理由が、談合にツルの声に、すべて不正な、天の声か、天の声だ、犯罪だということを大臣自らお認めになっていただきまして、どうもありがとうございます。  それでは、それに対しての防止対策、談合防止対策はどういったことを行っているか、これもお答えください。
  205. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々、今度の事件が起こってから庁内で、先ほども言いましたように、いろいろと点検をしております。  その際に、先般、どういうふうにしたらいいかということについて、一つは入札において競争原理を働かせていくことが望ましいということで、言ってみれば一般競争入札を広めていくこと、強めていくことがいいのではないかということであり、あるいはまた、その入札の仕方として総合評価方式を導入したらどうだと、そういうことを前向きに今後取り組んでいきたいということを考えております。  それから、施設庁において建設工事に携わった人たちは、やっぱり建設関係企業に対して、自主的に向こう五年間は幹部の皆さん方は再就職はしないという方向の環境づくりをすることがいいんではないか、そういうことを今考えているところであります。  そのほか、組織内でこれからどうしたらいいのかということを考えておりまして、チェック体制を考える、相互牽制方式を考える、監視、監察制度をきちっとしていくということ、あるいはまた、積算の仕事をする人と契約をする人との、これを分離をしてチェック体制をきちっとしていくこと等々を総合的に考えながら、こういう事件が起こらないようにしていきたいというふうに思っております。
  206. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 一般競争入札方法の枠を広げるとおっしゃいましたけれども、じゃあ入札方法はどういったものがありますか、種類は、今現在。
  207. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) いろいろと試行錯誤しているところもあるわけですが、一般競争入札のほかに公募型指名競争入札あるいは指名競争入札等々のやり方があるわけであります。
  208. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これも施設庁に資料要求されて、持っていると思うんですけれども、じゃあ先ほどおっしゃった公募型競争入札の平成十七年度の平均落札率、そして指名競争入札、これもうたくさんあるんで、平成十七年度一月分の指名競争入札の落札率、教えてください。
  209. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今委員御指摘の公募型指名競争入札、平成十七年度は九四・四%、それから、指名競争入札の平均落札率、平成十七年一月分、九三・三%であります。
  210. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ということは、今七・三億円以上が一般競争入札と聞いていますよ。約二億から三億以上が公募型、それ以下が指名だと。で、今度二億まで一般競争入札増やすんでしょう。公募型の方があれですよ、落札率低いんですよ。指名競争入札、更に低いんですよ。一般競争の枠を広げて更に落札率を高めようということなんですか。
  211. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはだから、落札率が高いから競争原理が働いていたのかどうか、あるいはまた落札率が低いから競争原理が働いてなかったのかどうかというと、この事件のあるのを、今度の事件があって、競売入札妨害案件で、市ケ谷の庁舎新設空調工事、これは八〇・四%なんですよね。それから、岩国飛行場の落札率は九七・二%というように、疑惑になったところでも八〇・四%という場合もあったし、あるいはまた九七・二%の落札率になってる場合もあるし、こういう落札率が比較的高いのは何か話合いが行われたんではないかという疑いが一般的に持たれますけれども、そこのところを我々は、まあ一般競争入札の割合を高めていくことによってこういう疑惑を払拭していこうという努力をしたいということです。
  212. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 何で高い落札率かと聞いたら、長官は競争原理が働いてないからだと答えたわけじゃないですか。高い落札率は競争原理が働いてないわけですよ。それを今落札率が低い分野にまでまた高落札率の入札方法を広げてどうするんですか。
  213. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほども言ったように、重電関係の疑惑の対象になったのは八〇・三%という案件もあったわけですね。そういうのは、だから、どこで競争原理が働いてなかったのかということを今後チェックしていくような仕組みをつくっていかなければならない。それは、例えば業者同士である程度その話合いをしていると、どうしても、落札率というのは低くても、まあ言ってみれば、結果的にその業者の思いどおりの落札対象者が生まれてくる可能性もあり得るわけですね。だから、そういうことを一つ一つ、先ほど言ったようにチェック体制を明確にしていく、あるいはまた、業者に対してもいろいろとハンディキャップをつくって自粛をする形を整えていかなければならない、そういうことを総合的に考えていきたいということであります。
  214. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これね、検討会の報告書のしょっぱなに、大々的にこの一般競争入札を広げると。しかも二億未満までできる限り広げるというんですけど、これできる限り広げてほしくないですね、これだけ一般競争入札も高いんですから。  それで、先ほど再就職の自粛と言ったんですけれども、今回問題になった財団法人防衛施設技術協会への自粛ですけれども、これいつまで自粛するんですか。
  215. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、今度の事件が起こったのを機会に、我々は再発防止の調査委員会というものを設けておりまして、防衛庁内におけるそういう財団法人、社団法人の在り方についてメスを入れております。そういうことも含めながら、今後のその財団法人の在り方を考えていきたいというふうに思っております。したがって、今度の施設技術協会については全面的に自粛をするということに当面したところでございます。
  216. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 だから、いつまでなんですか。だって、関連企業は二年から五年に延ばしたんでしょう。当面というのはどのくらいの期間を想定するんですか。
  217. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、調査委員会で我々は施設庁の在り方をどういうふうにしていくかということを検討しておりまして、この組織の在り方については来年度の概算要求に間に合わせるように作業を進めているわけでございますので、来年度というか、来年夏の十九年度の概算要求に間に合わせるように組織の再編をしていきたいというふうに思っておりますので、そういうことの流れの中で考えていきます。
  218. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 この技術協会は、百十三名の職員のうち八十一名、七一%が防衛施設庁出身なんですね。もっと驚いたことに、一年間の採用が、平成十七年で二十八名、十六年で二十四名、十五年で二十九名。しかし、四年もたつと全員入れ替わる組織なんですよ。平均年齢五十九・二歳、正に天から人が降ってくる、それを待っているような組織なんですよね。だから、ここに対してある程度長期間の展望を今示さなかったら、国民納得しませんよ。
  219. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) ですから、先ほども申し上げましたように、私は、施設庁を解体する中で新しいこの仕組みをつくっていく、それを十九年度の概算要求に間に合わせるように再編をしていきたい、それに伴ってその協会の在り方も抜本的に見直します。で、ある意味ではこの施設協会を解体するような方向で考えていきたいというふうに思います。
  220. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 施設庁の在り方について、施設協会についても踏み込んだ御答弁、ありがとうございます。加えて言うなら、この二十二に上る関連公益法人ですか、所管の、これについての改革も、これはもうお願いだけしておきます。  先を急ぎまして、ODA、これも特別委員会で今後審議されますけれども、やはり予算の無駄遣いという観点からこの予算委員会で質問をしたいと思っております。  私自身は、ODAというのは大変重要な外交戦略ですし、そして世界の平和や環境に重要なものですから、簡単にすべての予算を削れなんてことは言いません。増やせと言いたいぐらいなんですが、ただ無駄な部分があれば、その部分は削ることによって更に事業量が確保できるわけですから、この観点で質問をいたします。  まず、今日お手元にお配りしております、これは外務省のホームページから取った平成十七年度、無償資金協力事業の「平成十七年度」というところをクリックして、そこから四十四案件拾い出しました。これはあくまでも十七年度すべてというわけじゃないんですけれども、外務省のホームページに載っているものです。  これを私、落札率を、また落札率出てきてしまって恐縮なんですが、調べましたら、何と九九・一六%、これ、防衛施設庁もびっくりのすごい数字が出てきたんですね。加えて言うと、この四十数件のうち十八件が随意契約なんですよ。  これ、外務大臣、何でこんなに随意契約が多いんですか、お答えください。
  221. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、黒岩先生、日本の国内と全然違いましてね、作業現場で対人地雷が埋めてあるかもしれないとか、疫病が多いとか、そういったことも含めて、これは入札、応札される方の数は、何十社が応札するということは余りないんです、正直なところ言って。で、これ、私ども頼んで行ってもらわないと行く企業もないということもいろいろあります。  これは正直申し上げて、場所によったり、事を急いだりいたしますと、まあ期日前にこっちはやってもらいたいと言うんですけれども、なかなか向こう側はそういう感性じゃないというか、何となくそういう対応にならないところもかなりありまして、それは場所によっていろいろ違いまして、同じ国の中でも地域によって、ちょっと国の名前言うと具合悪いですね、地域によってはまだちょっと紛争中とかいうところもいろいろありますんで、同じこの国内の中でもあるというのが実態だと思いますんで、私どもも応札する業者が増えてくれることを望んでおりますが、応札する業者は一社しかないということも往々にしてありますんで、もう一回やってくれというんで二回目応札をさせてみたり、いろいろ数を増やす努力をしておりますけれども、場所によってはもうちょっとという感じが正直なところなもんですから、これは、無償に関しましてはなかなか、今申し上げたように、応札する業者の数を増やさない限りは競争はなかなか起きにくいというのが実態だというように理解をいたしております。
  222. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 では、これはお配りしていないんですけれども、私の手元にまた別な案件があるんですけれども、これイラク関連なんですね。約十件ほどあります。うなずいていらっしゃいますけど。  このイラク、大変危険なところですよね。このイラクの案件に限ってすべてが五〇%から八〇%なんですよ。で、四社も五社も応札しているんですが、十案件中ある一社、ある一社だけがこれ落札しているんですね。これは五一%とか六八%とか、こういう数字で落札しているんです、イラク関連。  これ、先ほどの説明とおかしいんじゃありませんか。一番危険なところでしょう。
  223. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) イラクに関しましては、少なくとも今派遣されている場所、例えば南の方ですと、少なくともいわゆる爆弾等々のテロ事件というのは南部若しくはクルド地区等々においてはこの一年ほど全くそういったことは起きていないと記憶いたしますんで、バグダッド周辺若しくは西部というところにこの種の騒ぎは集中しております。というのがありますんで、南の方ですと応札率も高いのではないか。私、ちょっとその数字を全部見ておりませんので分かりませんけれども、南の方と中西部の方とはかなり違うのではないかと存じますが。
  224. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、スリランカとカンボジア、そのほかブータンとかいろんな名前があるんですよ、ネパールから。こういったところはみんな九九%の落札率で、なおかつここらも随意契約ですよ。だから、これらに比較してイラクの方があれなんですか、安全だと、そういう話なんですか。
  225. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、スリランカと言われましたけれども、スリランカは、タミル・タイガー始め、いろいろここはしんどいところだと存じますけれども。いろんなところで地域によって違いますんで、国の名前だけ言われて安全かと言われたら、ちょっとなかなか、岩手県と筑豊じゃ大分差があるのかなと思わないでもありませんけれども。  いろいろ地域によって同じあれでも違うんだと思いますけれども、競争入札が多いというのはええことだと、私どもは基本的にはそう思っておりますんで、イラクの状態を安全だと思って行っていただく方々が多いというのは私どもとしては歓迎すべきところだと思っております。  傍ら、今言われた国々というところは、いろいろ条件は、今、マオの話とかいろいろ今言われた国々、皆それぞれ不明なところがありますんで、こちらから見ていて。なかなかはっきり分からない状況だと、社員を送る側の会社の方にしても、ちょっといま一歩積極的に前に出にくいという気持ちもあるだろうと、元そういったところに社員を送っていた経験のある私どもとしてはそう考えます。
  226. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 くどいようですが、ちょっと話を整理して聞きますけれども、先ほど平均落札率が九九%以上だと、じゃ、これ何でこんなに高いんですか。さっき随意契約の質問しましたけど、高落札率の理由をお答えください。
  227. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 後ほど担当者からの方がよろしいと思いますが、基本的には応札する人の数が少ないと競争が少なくなるということは、大体みんな見積りは、お互い皆、それぞれ皆見積りをやりますんで、その見積りする業者が二人しかいないということになりますと、二社しかいないということになりますと、非常に似たようなものになり得るという確率は極めて高いと思っております。これ、十社も二十社も出てくりゃなかなかまた話は別なんだと思いますが、そういったところも勘案しておかなきゃいかぬところだと思いますが。  また、九九%というのは高いと思いますけれども、少なくともそういった中で、談合という話にされたいんだとは思いますけれども、お気持ちは分からぬでもありませんけれども、私ども、そういった話の実質性をつかんでいるわけでもありませんし、そういった段階で私どもとしてはなかなか応札していただける方がないというのが正直なところでありますんで、こういった話というものは、行ってもらえるというのは、そういった手慣れたところと手慣れてないところ、じゃないところは随分差が出ることも正直なところでして、これまで実態と違ったとかいって後でもっと金をということになって、じゃ、それは出せませんと、それは自分で、自己負担でやっていただきますということを言わざるを得ませんので、そういったのがずっと続きますとなかなかもう一回応札はしてこないというようなことにもなりますので、あるいろんな理由がそこには考えられますけれども、私どもとして、応札する業者の数が少ないと基本的には高くなるものだと、元セメント屋の感覚からいくとそうなります。
  228. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、九九%のところも大体あれなんですよ、一社から五社なんですよ。今のイラクの案件も最大で五社です。ある一社、一社しか応札してなくても五一%という事例もあるんです。通常は二社か三社ですよ。少ないことは一緒でも、ある案件、特になぜかイラクだけですね、五〇パーとか六〇パーがあるわけですよ。だから、応札が少ないからという理由じゃないわけですね、少なくてもこれだけ低い落札率あるわけですから。その点大変疑問なんですよ。そこら辺解明してください。お答えください、大臣
  229. 兒玉和夫

    政府参考人(兒玉和夫君) お答えいたします。  先ほど来大臣の方からリスクの大きさということを御説明を申し上げていると思いますけれども、この無償資金協力は海外で当然実施されるものでございまして、したがいまして日本企業、他方でこの無償資金協力というのは日本企業のみが基本的には参加できる、日本企業間の一般競争入札を海外事業でやるという仕組みになっております。  そうしますと、結局のところ、海外での事業を行う上でのリスクをどう判断して各社が応札をするかということでございますので、一般的に申しまして、海外のリスク、いろんなところでいろんなリスクがあって、それを応札する社がどういうふうに考えて判断をして応札するかということで、全般的に応札社数が限定的になっているということはございます。  それから、イラクの件につきましては、私ども、今手元に詳細な資料を持っておりませんけれども、一つ申し上げられることは、イラクのリスクは大変大きいんですけれども、他方で、今イラクには邦人企業一切入ることができませんので、いわゆるリモートコントロールということでイラク人業者を恐らく使うと、現場で、というようなことでの積算ということになっていて、それと全体のリスクということを総合的に判断して札が入れられて今のようなことになっているということが一つ考えられると思います。
  230. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、私大変驚いたんですけれども、先ほど私、ホームページ引いたと。で、十七年度をクリックしたら十七年度全部出てきたんですが、今のイラクの案件、十七年なんですけれども、十六年のところに入っているんですよ。私、探そうとしても探せなかったんですよ。ついさっきうちの秘書が探し求めたんですよね。これも単なる間違いで済ませていいんですか。外務省のホームページですよ。後でちょっと事務方確認してくださいね。十六年度にこれ、イラクのやつが紛れ込んでいたんですよ。意図的なのか。いいです、もういいです。  それで、今日はちょっと会計検査院をお呼びしているのでお答えいただきたいんですが、この高落札率の出た資料をお渡ししましたので、これについて、会計検査の際にこういった落札率というのはどういうふうに判断材料になるのか、そしてどういうような検査をするのか、それについて御所見を述べていただけますか。
  231. 諸澤治郎

    説明員(諸澤治郎君) お答え申し上げます。  ODA事業は我が国の多額の予算などを投じまして実施されております。また、この事業につきましては国民の関心も非常に高いということでございますので、私ども、外務省国際協力銀行あるいは国際協力機構などに対する検査を実施いたしますとともに、援助の相手国に職員を派遣してODA事業の現地調査を実施しております。その結果といたしまして、援助の効果が十分発現していないなどの検査状況等を決算検査報告に掲記しているところでございます。  今お尋ねのございましたODA事業に関しての検査の観点でございますけれども、ODAは援助の相手国が主体となって実施する事業に必要な資金を供与するということで、相手国の自助努力を支援するものでございますので、基本的には相手国実施機関の責任において個々の事業における入札契約等が行われているものではございますけれども、先ほど申しましたようにODA事業は、特に無償資金協力は我が国の多額の予算を投じて実施されておりますので、私ども、このうち一般プロジェクト無償、それから水産無償という一部のプロジェクトではございますけれども、施設の建設や資機材の調達等の手続及び契約全体の状況につきましては、外務省等に対しまして、入札の参加者数でございますとか落札の状況等に着目して検査を行いまして、実は平成十四年度決算検査報告におきましてはその検査の状況を掲記したところでございます。  そこで記述している内容でございますけれども、あくまでも個々の事業における状況ということではなくて、また私どもが取り上げている範囲はその全体の状況ということでございますけれども、この無償資金協力は我が国の財政資金で全額賄われているということから、その実施に当たっては経済的、効率的に行われているということが求められておりますので、会計検査院といたしましては、その効果の発現状況とともに、やはりその透明性や競争性の向上についても引き続き注視して検査をしてまいりたいと考えているところでございます。
  232. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ要約すると、平成十四年度の報告にのっとって、こういう高い落札率というのも一つの指標に入れるということなんですよ。  これね、麻生大臣、これはやっぱりこれだけ高い九九%の落札率というのは、やっぱりコストダウンという意味ですよ、総予算を下げるというのじゃなくて。これ、重要なことだと思うんですね。これ、大体今まで九八%以上とかいうような自治体から談合事件ってだんだん見付かってくるんですよ。これ、外務省で談合事件なんて見付かったら、あれですよ麻生大臣、総裁レースどころじゃなくなっちゃいますよ。  だから、とにかくこの高落札率をやっぱりそれなりにきちんといい意味でコスト効率化を図る、その対応策についてどうお考えか、お答えください。
  233. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 同じ百万円を使っても、効率よく使う、効率悪く使うによりましては、これは全く波及効果、費用対効果の面において大分違うと思うのはもう全くおっしゃるとおりだと思っていますんで、今、私どもとして終わった、終わった後の事後調査というものに関していろいろ今やらせていただき始めております。それで、これを三年間ぐらい掛けてずっとやらせていただき始めて、一体、百投じたけど、それだけの効果があったかと。本当はもっと安くできたんじゃないかと。実際それだけの、予定しただけの効果を上げ得たかというようなことを全部事後調査するという制度を始めて、そこに人を、人数割いて、そこらのところを今始めておるところでもありますんで、私どもとして、今後ともこういった話は、今後ともいろんなところでやっていかにゃいけませんけれども、ただただばらまいているだけじゃなくて、やった効果がきちんと出てきた国と出てきてこなかった国というのがあります。それはその国の内容にもよるでしょう。内容にもよるでしょうけれども、そのプロジェクト自体が果たして良かったのかと。そのプロジェクト自体のいわゆる費用対効果等々を個別に見ないと一概には言えないところだと思いますので、御指摘の点を踏まえまして、私ども今後ともそういった事後チェックの部分というものをきちんと充実させていかねばならぬと思っております。
  234. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そう、本当に事後評価したからといって落札率がすぐ変わるわけじゃないんで、全く別問題なんでね。  ただ、大臣、本当にこの異常な九九・何%という、こういう状況があるということは踏まえていただきたいですし、対策の方をお願いいたします。  さあ、先を急ぎます。安倍官房長官官房長官、起きてください。ようやく出番ですよ。  これは内閣府の行う世論調査というものがございますね。意識調査ともいいますが、これがいきなり新聞の一面なんかに出ると、ああ国民はこんな考えなのかということで、我々もかなり納得させられるときがあるんですが、この内閣府、政府の行う世論調査、意識調査というのは一体どういう種類でどういうものなんでしょうか、お答えください。大臣大臣官房長官
  235. 谷口隆司

    政府参考人(谷口隆司君) 事実関係でございますので、お答えを申し上げます。  内閣府が実施をいたします調査といたしましては、世論調査それから意識調査があるわけでございますが、世論調査につきましては、これは内閣府設置法に基づいて実施しているところでございます。そのほか、二番目に申し上げました意識調査でございますが、これは各部局におきましてそれぞれの所管事項の行政目的、政策目的を達成するために実施をする、そのような調査として意識調査あるいはアンケート調査として実施されているということでございます。
  236. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そうですね、法律に基づいた世論調査と各省庁部局がまあ独自に行う意識調査というのがあるということがよく分かりました。  今日、文科省の馳副大臣おいでいただいているんですが、実は、平成十七年に内閣府が行いました「学校制度に関する保護者アンケート」、これによりますと、学校教育に対する満足度で「非常に不満」と「不満」を合わせて四三・二%が要は不満だと、逆に満足というのが一三%だったという、こういう結果が出ているんですね。これについて文科省としてはどうお考えか。
  237. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 戸惑いと、それからいかなる意識調査なのかという調査内容等の分析しながら不断の教育改革に向けての施策を打っていかなきゃいけないと、両方感じております。
  238. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 文科省もこれ同じような意識調査やっていますよね。これについてちょっとお聞かせ願えますか。
  239. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 同じ年の三月、去年の三月にやっているんですね。で、これは実は「満足している」、「大変満足している」合わせて七割近い満足度なんですよ。  なぜこんなに文科省やったのと内閣府がやったのが違うのかなということで、先ほど申し上げましたように調査方法の内容をちょっとチェックしてみましたら、内閣府の方はインターネットを通じてやっているということと、回答者が保護者のうちで男親が半分なんですね、半分半分、お父さん、お母さん。文科省の方は学校を通じて御回答いただいておって、見たところ、お母さんのお答えが九割なんですね。この辺ちょっとやっぱり分析してみたら、お母さんは学校を通じてこういう調査出すんだから、何となく悪いこと書けないのかなというふうに思っていらっしゃるかもしれないし、逆に、学校のことは、お母さんの方が大体学校によく来られることも多いですし、子供と接する時間が長いから、お母さんの方が学校のことをよく理解しているというふうに、こういう見方もできるのかもしれません。  また、インターネットの調査になると、まさしく正直言って、そういうインターネットを通じた本音が出ているのかもしれませんし、ここら辺はやっぱりよくよく分析した上で、先ほど申し上げたように、やはり不断の教育改革に向けての施策は打っていかなきゃいけないというふうに認識はしております。
  240. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、馳副大臣には申し訳ないんですけど、私は軍配はこれ内閣府に上げたんですね。というのは、これ学校を通しているんですよ。学校に提出しなきゃいけない。しかも、三月というのはどういう時期かというと、通信簿の時期ですね。非常にナーバスな時期としか、まあそれ以上は言いませんけれども。やっぱり九三%が女性が答えている、お母さんなんですよ。それで七割が満足。で、片や、内閣府がインターネット、五割五割ですよ、男女が。これだとやっぱり一三%の満足。私はこれを、あえてこれを持ち出したのは、そのぐらい世論調査、意識調査といっても、もうその手法によってはこれだけ乖離しているんですね。かなり危ういものだということを皆様にちょっと頭に入れていただいてこの先に進めます。  それでは、官房長官にお聞きしますけれども、十六年、十七年に内閣府の行った、これ世論調査ですよ、法律上の。この世論調査。さあ、ここの委託先はトータル何社で、もっと言うと、応札した法人は一体幾つあったか。これ名前と数お答えください。
  241. 谷口隆司

    政府参考人(谷口隆司君) 入札、応札にかかわる事実関係でございますので、お答えを申し上げます。  二つの調査機関が入札し、落札をいたしておりまして、一つの機関が中央調査社という社団法人でございます。もう一つ調査機関が新情報センターという、こちらも社団法人でございます。
  242. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 すごいですね。二年間でたった二社、応札したのも二社ですからね。たったこの二つの社団法人だけですべて受注しているんですよ。  じゃ、この社団法人に、いわゆる役所からの再就職された方というのはいるんですか。
  243. 谷口隆司

    政府参考人(谷口隆司君) お答えをいたします。  常勤の者について申し上げますと……
  244. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 非常勤も併せて。
  245. 谷口隆司

    政府参考人(谷口隆司君) 非常勤も、失礼しました、非常勤も含めて申し上げます。  ただいま申し上げました二団体のうち、新情報センター、こちらにつきましては常勤の役員が一名、公務員経験者は常勤の一名でございます。それから、非常勤の役員として四名おります。  それから、中央調査社でございますが、こちらは常勤の者はおりませんで、非常勤の者が二名であったかと思いますが、在籍をいたしております。
  246. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いわゆる天下り先のこれ公益法人なんですね、この二社は。  さあ、先に進みますが、二〇〇五年にこの世論調査で不正な事例が行われましたね。この不正な事例、どんなものだったか御説明ください。
  247. 谷口隆司

    政府参考人(谷口隆司君) ただいま申し上げましたうちの新情報センターという調査機関において起きたことでございますが、いわゆる調査データにつきまして不適切処理が行われていたということが確認をされております。  具体的に申し上げますと、無作為抽出をした当該調査対象者から回答を得るべきところを同地域の別の人からの回答に変えた、あるいはその御家族の人からの回答に変えたというような事例が若干発見されたという、そういう事案でございます。
  248. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 何かさらっと言いましたけど、結局これ、サンプル数の二〇%に当たる人が実際に回答していたかどうかが確かめられなかったんですよ。ということは、ともすれば水増しで行っていたという、これはもう内閣府も不正な事例だということで認めている事例なんですね。  通常は、こういった調査は回収率七〇%を目途にするという、これは仕様書に書かれています、契約の仕様書に。で、今までのはずうっと七〇%を平均して保ってきました。これは、今言った二〇%分が水増しだったんで、結果的に五〇%の回収率で報告されたんですね。その後はぱたと六〇%台、五〇%台に回収率が落ちているんですよ。  これ、お聞きしたいんですけれども、何で、今まであれだけ七〇%にこだわっていたのに、この事件が起きたらいきなり五〇%台の回収率でもよくなったんですか。
  249. 小野清子

    委員長小野清子君) 谷口広報室長
  250. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 官房長官、通告していますよ。
  251. 谷口隆司

    政府参考人(谷口隆司君) 恐れ入ります、事実関係で申し上げます。  第一点目の二〇%分を除外したという点でございますが、これは不適切処理が行われていたかどうかを事後確認いたしましても、調査対象者の記憶ももう既にあいまいになっているというようなことがございまして、不適切処理があったかどうかの確認ができないという部分が御指摘のような割合ございまして、それを含めた形で最終的な集計をし世論調査結果として公表するというわけにはまいらないという意味において、そのようなおそれのあるものはすべて除くというような処置をとったところでございます。  それから、二点目に御指摘の、最近この回収率、これが下がっているという点の御指摘でございますが、これは世論調査含めまして各種調査におきまして、このような調査環境の悪化というような趨勢、傾向が見て取れるところでございまして、これにつきましては、調査機関におきましてもこの調査環境改善対策を講じますと同時に、私どもにおきましても、この調査環境を改善していく対策につきまして有識者の意見も聴取しながら検討を、具体的な検討を進めているというところでございます。
  252. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ですから、一〇ポイントも回収率が落ちて、それで何でいいんですか。
  253. 谷口隆司

    政府参考人(谷口隆司君) ただいま私どもとしての問題意識を申し上げましたように、回収率が下がっているという傾向は、本来、国民の縮図として……
  254. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 下がっているんじゃない、下がったんです。
  255. 谷口隆司

    政府参考人(谷口隆司君) サンプリングするということからしまして大変問題であるという認識を持っておりまして、繰り返しになりますが、このような事態を踏まえましてこの改善策に全力を挙げているということでございます。
  256. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、七〇%というのは民間の会社からすれば驚異的な数字だというんですよ。まずあり得ないと、もうコストが掛かって。だから、その七〇パーをクリアするために無理やり水増ししてたんじゃないかと、今まで。で、その事件が起きたらいきなり五〇%台に落ちたわけですよ。そうすると、今までずっと水増し、ともすると国民の意識を偽装してたんじゃないかという。で、五十何%でもいいんだと今内閣府言ったということは、今までのともすれば偽装を認めたと。今まで偽装だったと、水増しだったと、今正常なものに戻ったんだと、こういうことなんですか。
  257. 谷口隆司

    政府参考人(谷口隆司君) 従来はほぼ安定しまして七〇%前後の回収率を、そういう数字を残していたというところでございますが、最近におきまして調査環境の悪化というような傾向が見られていると、(発言する者あり)というような事態に対応するべく、現在、先ほど申し上げましたこの改善策、調査機関、私ども双方におきまして今全力で検討の推進をいたしているという状況でございます。(発言する者あり)  背景について若干申し上げますと、プライバシー意識の最近における高まり、あるいは調査員を、世論調査調査員だとかたって悪質なセールスを行うというような偽調査員によりますトラブル、そんなようなことが調査環境悪化の背景にあるというふうに考えておりますが、この悪化しております調査環境の改善のための措置を、調査機関と私ども双方におきまして今具体的な措置を講じ、あるいは検討しているという状況にございます。
  258. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) ただいま政府委員の方からお答えをさせていただいたわけでありますが、そのうち二〇程度がはっきりしなかったという調査の後、その後五〇%に落ちていると、こういうことでございまして、それ以前はどうだったかということでございますが、なかなかそれは追跡調査、難しいんだろうと思うわけでありますが、しかし今委員の御指摘の点をしっかりと受け止め、今後はしっかりと、先ほど、まあ調査環境が変わった中にあって相当の努力をしないとなかなか五〇%以上に上がっていかないという現実の中ではあるわけでありますが、その中でしっかりと中身のある調査を行っていくように努力をしなければいけないと、このように思っております。
  259. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、この契約額も、中央調査社と新情報センターと、違う社団でありながら全く同じ額で受けている例もあるんですよ、全く同じ額で。そうなると、これは天下りの受入れしている公益法人で、二社独占高値落札で不正なる国民の意識調査をしているという、これ物すごいことが行われてたんですね。これ、実は内閣府以外にも、日銀の調査でも総務省の調査でもこの社団法人は不正をして、これが発覚しているんですね。  で、官房長官にお聞きしたいんですけども、これ昨年、実は細田官房長官のときに非常に議論になった。要は、靖国問題について世論調査をしていたけども、公表しないものがあると細田長官言って、夕方には、いや、全部公表していると言って、かなりぎったんばっこんしたんですね。  これ、意識調査をして公表しない調査というのはあるんですか。これ、昨年、細田長官の事務方に聞いたらないと言っておきながら、私が内閣委員会で質問するときにいきなり二つありましたと、私の机の上に持ってきたんですよ。公表しない意識調査というのはあるんですか。
  260. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 公表していない意識調査はないというふうに承知をしております。
  261. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、現実に、昨年一月にやった意識調査が公表してなかったといって私のところに持ってきて、その一週間後に公表したんですよ。これは、三十年後の社会保障というところで、将来世代に負担を先送りしない年金制度改革を求めるというのが七三%でトップだったんですね。年金制度改革を行ったすぐに、年金制度改革を行ってくれという、これ多分、政府にとっては都合悪いアンケート結果だったんじゃないかと思うんですよ。  私が申し上げたいのは、じゃ意識調査したと、で、都合のいいものだけを出すと。これによって世論誘導ができるわけですよね。こんなことをされて、しかも今、何せ内閣府が委託している社団法人は不正をやっているんですからね。こんなことを改めさせる、調査しなければいけないといったようなガイドラインを作っていただきたい。このことについて、官房長官、お答えください。
  262. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 先ほどお答えをいたしましたように、我々、公表しない意識調査はございませんので、ガイドラインを作る必要はないと、このように思っております。
  263. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 もう最後です。  今、公表しないのもあったわけですから、だから、今まで公表していないのがあったんですよ。だから、そういうことを本当に内閣府として国民の意識を聞いて、それについてぽんとアドバルーン上げて政策を決定するなんていうんでは、これはもう本当に国会軽視になるし、意識の偽装、捏造につながるわけですから、何としてもそれを防止するように、よろしくお願いいたします。
  264. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で山根隆治君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  265. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、辻泰弘君の質疑を行います。辻泰弘君。
  266. 辻泰弘

    辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  予算委員会でしか聞けない政策課題も多いわけでございますけれども、時間が限られておりますので、いつもながら足早に聞かせていただきますが、御了承いただきたいと存じます。  まず、麻生外務大臣にお伺いしたいと思います。  一年半前に、かつて小泉総理のことについて単語の絶対量が不足していると外務大臣が御発言になった。そのときに、一年半前の本予算委員会において、私が、麻生大臣の場合はむしろ単語の絶対量が多過ぎるんじゃないかと、このような御指摘をしたことがございますが、以来、一年半たってもなかなか改善の兆しが見られないんじゃないかと、このように思うわけでございます。  最近も、某国での会議中に葬式になると意味がないとか、天皇陛下の靖国参拝が一番だとか、北方四島の生活水準は低いとか、日本が義務教育をもたらしたおかげで旧植民地の教育水準が上がったとかいう発言がありまして、政府内でも、外務大臣発言にはいつもはらはらさせられると、無用な摩擦を招く発言は控えてほしいという指摘があるようでございますし、私もそのように思っておりますが、このような指摘をどのようにお受け止めになっていらっしゃるでしょう。
  267. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、丁寧に答弁をした方がよろしいのか、短く答弁をした方がよろしいのかによって大分説明の仕方が……(発言する者あり)長く、あっ、そう。長くということでございますんで、それでは。  今四つほど伺いましたんで、まず中国の話だと思いますが、あの中国の経済発展に関しましては、これは脅威ではなく好機であると記者クラブで正式に発表しておりますんで、そこの点はアジアの戦略演説においてそのように説明をいたしておりますんで、その部分はまず普通の人は聞いておられませんので、そこに関連をして出てきたところだと思っております。  軍事力の面につきましては、近代化の面やら、また増大を続けております国防費、仮に、よく言われます、四兆円とよく額が言われますけれども、四兆円をまあ年率一〇%で十七年間続けますと二十兆円になりますんで、今年は一四・七%まで行っておりましたんで更に大きなものになりますんで、そういったものの内容をやっぱり透明性を持たせないと、非常な勢いで脅威の観念が周辺国にも増大していくのではないかと申し上げたところで、その一部分だけ取られて脅威という話になったというのが経緯だと思っております。  それから、天皇陛下の話のことも思って言いましたけれども、私としては、天皇陛下のことを思って亡くなられた方々にとりまして、祭られている側の気持ちから想像をいたしますと、私どもとしては天皇陛下の参拝があってほしいと望んでおられるであろうと。そして、私としては、今このような状況で今上陛下にしゃにむに参拝をということを申し上げていることではないんであって、少なくとも隣国からとか、またいろいろな形でごちゃごちゃ言われるような話ではなく……(発言する者あり)ごちゃごちゃ言われておるわけですから、国内からも。ですから、私はそのとおりだと思っておりますよ。  私どもとしては、こういったことに関しましては、少なくともいろんな形で国のために尊い命を投げ出した人たちに対して国家が最高の栄誉をもって祭るということを禁じている国などありません。したがって、そういった形でわだかまりなく祭れるような状況にするべきのが政治の責務として、天皇陛下の参拝があるように、含めてという問題提起をしたと申し上げております。  三つ目につきましては、教育水準の話だと思いますが、これはその場におられた、中国人の方々がおられましたので、その方々も聞いておられたかと思いますんで、中国本土の方々ですが。これは台湾の偉い方々から聞いた話ですが、いわゆる日本の統治が始まったときには、少なくともこの地域においていわゆる義務教育というのはありませんでしたので、義務教育を普及させるということに全統治予算の約四五%だか八%だかを使ったという記録も残っておりました、あるそうで、日本は先生を七人、外国、当時の外国帰りの先生を七人送って全員殺されておる、全部お祭りはしてあるけれども。そういった努力をして、続けてもらったおかげで今日の台湾があり、名古屋大学、大阪大学をつくる前に台湾大学を先につくってもらったんだと。  そういった例を引いて、感謝をしておるという話を、こういう例もあると申し上げたら、その分だけで、一部だけ取られて、日本のおかげでおまえらの教育水準は上がったじゃないかと。統治は正当化するような話になっておると。前後の脈絡が全然違うと思いますんで、当然のこととして私の方としては反論をさせてはいただいておりますけれども。  以上でありまして、長々時間をいただきましてありがとうございました。
  268. 辻泰弘

    辻泰弘君 まあ、いずれにいたしましても、外務大臣としてこういった弁解とか説明をせないかぬこと自体、大変情けないことだと私は率直に言って思うんですけれども、総理になった場合の靖国参拝について問われて、真の国益を考えたら個人の利益より国益が優先すると、こう答えられたということなんですけれども、それはやっぱり総理であろうとも外務大臣であろうとも同じじゃないんですか。
  269. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 同様の御質問は、去る十月の三十一日でしたか、外務大臣に就任をいたしましたときの記者会見で同様の質問をいただきました。そのときには、個人の信条と立場がいろいろあるんで、そのときになったら適切に判断をするとお答えをしておりまして、今も適切に判断しておると思っております。
  270. 辻泰弘

    辻泰弘君 私が申し上げたのはそのことじゃなくて、二月十九日のNHKで、総理になった場合の靖国参拝について、真の国益を考えたら個人の利益より国益を優先すると答えられたと、このことについてです。
  271. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ちょっとテレビで何言ったか、よく出さされますんで、どのテレビだかちょっとよく、二月の十九日というとNHKかな。
  272. 辻泰弘

    辻泰弘君 NHKです。
  273. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) NHKですかね、あれは。あの出たときの、靖国神社に関して、国益を、それは当然のことであって、個人立場と国家の立場といろいろありますんで、個の利益か国益かを考えたら、それは公の、公人の立場にありました場合は公の利益を優先する、当然のことを答弁したと記憶します。
  274. 辻泰弘

    辻泰弘君 いや、言っているのは、私はそのものは聞いていないんですけれども、総理になった場合そうだとおっしゃったというから、それが事実だとすれば、それは総理であろうと外務大臣であろうと一緒じゃないかということを言っているんです。
  275. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この四か月間の対応を見ていただけると御理解いただけると存じますが。
  276. 辻泰弘

    辻泰弘君 それを見て言っているつもりなんですけれどもね。  それで、先般の決算委員会での御発言がございました。無名なよりは悪名でも名前があった方がまだええというふうにおっしゃっているんですけれども、これは外務大臣としても、世界において無名であるよりも悪名でも有名であった方がいいという、そういうことをおっしゃっているんですかね。
  277. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 余り記憶力がないんで、記憶力が良けりゃ東大ぐらい行けていたんでしょうけれども、記憶力が余り良くないものですから、ちょっと今、谷垣さんに伺ったら、委員会の答弁だったそうですけれども。どなたか沖縄の方の、沖縄の方の、沖縄の方……
  278. 辻泰弘

    辻泰弘君 三月三日ですよ。この間ですよ。
  279. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 三月三日、つい先月、いよいよアルツハイマーですな、三月三日に、悪名は無名より、ああ、あの例の沖縄の話。  ああ、沖縄の方が何か分からぬ言葉でいろいろ言われましたんで、これ何を言っておられるのかなと思ったら紙に書いてありましたんで、あれ見て、見てやっと分かった。見て、ああそういう意味かと思って分かったんですけれども。読まなきゃとても分からなかったとは思いますけれども、読んで、ああそういう意味かと思って、いきなり今度は質問が回ってきたものですから、とにかくいろいろなことを言われましたんで、何か、安倍官房長官谷垣財務大臣、それぞれえらくまともな話をぽっと言っておられましたんで、私の方も同じような話をするんで、まあ今風に言えばと申し上げて。  たしかあのときは、何か新聞に、とにかく私の、ちょっと正確な記憶はありませんけれども、毎日子供のときにおめえのじじいが死にゃあ日本良くなるよってこづき回されて育った子供の立場から言うと、新聞に褒められたら、けなされたやつの方が偉くなったというのは歴史として実感としているんで、余り褒められたらええことはないなというような話をしたと記憶するんですが。  その前に、悪名は無名に勝る、それは確かに選挙なんかでよく使われるせりふなんだと思いますけれども、全然だれと言われるよりは、一応名前が通っていて、悪名であっても悪人かどうかは別の話だと思っておりますので、そのようにお答え申し上げました。
  280. 辻泰弘

    辻泰弘君 いや、私は麻生さんが悪人だと思っているわけじゃないんですけれども。私が御質問しましたのは、外務大臣として、世界に無名であるよりは悪名でも有名だった方がいいということにつながるのかということを言っているわけです。
  281. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日本の外務大臣がだれであるか全然分からないよりは、一応、ああと言って、どういう評判かはともかく、全然記憶になくて、それこそパッシングよりは、一応名前がどこかにリメイン、とどまっている、記憶にとどまっている方がええかなとは思いますけれども、それは悪名よりはもっと名声の方がよっぽどいいとは思いますけれども、なかなかさようなわけにはいかぬというのが実態じゃないかなと、自分で不徳の致すところだと存じます。
  282. 辻泰弘

    辻泰弘君 まあ、はらはらするような感じがいたしますけれども。  外交演説で、一月二十日になさっているんですけれども、外交における言葉の重みというフレーズ、また、発言はますます重みを持ってきていますというフレーズ、私自身努力することをお約束と、このようにおっしゃいました。その意図を御説明ください。
  283. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、昨日もアフリカの大使、今、御存じのようにアフリカ五十四か国、三か国かあるんだと思いますが、昨日、アフリカの各在京大使と一緒に個別に、北アフリカ、南アフリカ、こう分けて、昨日、夕食会というのをやらせていただきましたけれども、少なくとも、あのアフリカの国々において日本に対する、TICADの話含めて日本に対する期待は極めて大きくなりつつあると思っております。昔とはもう全然違ってきたなと。  私、アフリカに三十数年前、二年ほどアフリカに住んでいたことがあるんですけれども、そのころとは全然状況が違って、今はかなりいろいろなってきておると思いますので、そういった状況を見ますと、日本からの発言とか日本のお金というものは、ODAでお金が行くと同時に、そこに働く人が一緒に付いてくるものですから、その付いてくる人のいわゆる労働とか勤勉とかいう哲学というものが付いてくるというところは、この間、平野先生の御質問のときでしたか、お答えしたと思いますが、インドの例を申し上げましたけれども、昨日会った大使も、七、八人でしたが、ほぼ同様なことを皆言っておりましたんで、やっぱりそういった意味では日本はこういうことをやってるんですという哲学を語らないで、たらたら沈黙は銀てなもんで、金というような感じでたらたら黙ってやったら、おまえ分かれと言ってもなかなか分かりませんので、きちんと説明をするとか言ってやるとかいうのは、余り日本人の得意とするところではないと思いますけれども、日本はこういう哲学でODAをやっている、こういった考え方で東アジア共同体をやろうとしているとか、そういったことはきちんとどこかで外務大臣として言うべき義務があるのではないかということを考えて申し上げさせていただきました。
  284. 辻泰弘

    辻泰弘君 残念ながら、外務大臣の御発言、言葉の重みというのを感じさせないように正直言って思ってしまいますけれども。  いずれにいたしましても、今までいろんな発言をされて、私もこの予算委員で取り上げるのは必ずしも本意ではございませんけれども、しかしまあ、もう問題発言とか放言をやめろというのはもう無理だというふうに私もあきらめざるを得ないように思うんですね。せめて、派手に外交演説で格好良く、外交における言葉の重みと、そのようなことはやめておいてもらいたいと思うんですけれども、それだけはお願いできませんか。
  285. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) こっちでも受けをねらってやっているわけじゃありませんので。言った発言がたまたまえらく反応を生むところなんで、なかなかこれは先生、私どももこう言えばこういう反応が出ると分かっていれば別に、もう少し別な言い方もするんだと思いますので。分かりやすい言葉でやろうとすると、何となく言葉が、センテンスが短くなりますので、短くなるとまたということだとなかなか難しいところだと思いますけれども、努力をさせていただきます。
  286. 辻泰弘

    辻泰弘君 麻生大臣はやっぱり総理まで目指されるお方なんですから、反応がやっぱり分かっているべきというか想定されているべきだと私は思います。そのことは申し上げておきたいと思います。  さて、次に問題点を変えまして、地方財政についてお伺いいたします。  総務大臣にお伺いいたしますが、中核市の問題でお伺いしたい。まず、中核市制度の概要について御説明ください。
  287. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 概要ということでございますけれども、社会的実態として一定以上の行政需要を踏まえて事務権限を強化する、それだけの人口規模等々の要件を満たしているかどうか、それで要件が決まってくるわけでございます。それにつきまして、いろいろ御議論を今までいただいてまいりましたけれども、面積要件を設けるかどうか等々についてもこれまでもいろいろ議論があったというふうに承知をしております。
  288. 辻泰弘

    辻泰弘君 私がお聞きしたのは、中核市制度そのものが何かということなんですけれどもね。まずその御説明からお伺いしてと思ったんですけれども。
  289. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 制度概要につきましては、例の政令指定都市が処理することができる事務のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理することが中核市が処理することに対して効率的な事務を除いて、中核市に対して移譲をするものである、一定の要件を満たしている、そういうものだということでございます。
  290. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、地方自治法の二百五十二条に面積要件があるんですけれども、これ、なぜこれがあったのか、それから今見直しをなさろうとしているわけですが、そのことについて御説明ください。
  291. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) どういう要件があったかということに関しましては、面積の要件、人口の要件とかあるわけでございますけれども、移譲される事務に関して、効率的かつ効果的な事務処理を行うために、ある程度の行政需要のまとまりと、一方で行政能力が必要であること。これらは人口及び面積に総合的に表現されるということから、人口、面積が要件とされて規定してきたというふうに承知をしております。
  292. 辻泰弘

    辻泰弘君 それを見直しをされようということで法律も出されているわけですが、その方向性をお示しください。
  293. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、一定の行政需要のまとまりと、そして能力がある程度求められるということでございますけれども、昨年の十二月九日、第二十八次の地方制度調査会から面積要件を廃止することが適当である旨の答申をいただいております。この答申を踏まえて、中核市の指定に係る面積要件の廃止等を内容とします地方自治法改正法案を昨日国会に提出させていただいたところでございますので、今後、何とぞ趣旨を体して御審議を賜りたいと思っております。
  294. 辻泰弘

    辻泰弘君 実は、私、三年前に総務委員会でこのことをお伺いして、当時、片山大臣だったんですけれども、そこから出発して三年掛かっているんです。実は、麻生さんが総務大臣のときも、二年前ですけど、この委員会でお伺いしたことございまして、非常に時間が掛かっているんですね。  結論的に言うと、審議会で非常に議論をするということを優先する余りに、本当に地方自治ということを考えるのであればもっと早くやるべきことをやってこなかったと、こういう歴史だと思っております。  それで、今回の適用対象の都市はどういうところでありますか。
  295. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 新たに中核市指定と、対象となる市は、現時点で十三市というふうになっているというふうに承知をしております。
  296. 辻泰弘

    辻泰弘君 一応言ってください。
  297. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 申し上げます。  千葉県市川市、兵庫県西宮市、尼崎市、沖縄県那覇市、千葉県松戸市、東京都町田市、神奈川県藤沢市、埼玉県川口市、埼玉県所沢市、埼玉県越谷市、大阪府豊中市、吹田市、枚方市でございます。
  298. 辻泰弘

    辻泰弘君 実は、私、地元の西宮はそれに当てはまるんですけれども、実は、御承知かと思いますけれども、国土地理院が百平方キロというのを出しているところでないとその要件に当てはまらないということであって、九十九・九六だというふうな見方、それから埋立てしたから百超えているという見方があるけれども、近隣の芦屋、神戸、宝塚と画定がしていないので、係争しているもんだから、それで決められないと。国土地理院が出したものというのが法律に書いてあるもんですからね、がんじがらめになったんで指定できなかったと、西宮みたいな大きなところもですね、それがここにかかわってたんですね。  そんなことで、とにかくやはり地方自治というのはやっぱりやる気があるところ、能力がある都市にやっぱりしっかりと地方分権を進めてもらおうということの趣旨だと思うんで、是非取り組んで、早めに指定をしていただきたいということを、やはりこれはもう本当に三年も掛かって、私も本当にやっと日の目を見たかと、そういう意味では感慨深いですけれども、これほど地方自治と言われながら、なぜこんなに時間が掛かるんだと思ってます。できるだけ早めに指定するということ、プロセスをお示ししておいてください。
  299. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 辻委員麻生当時総務大臣でいろいろ御議論されたことは私も承知をしております。  プロセスでありますけれども、地方自治法の百五十二条の二十四に規定されておりますが、順に言いますと、関係市議会の決議、関係都道府県議会の決議、総務大臣への指定の申出、そして政策立案、すなわち閣議決定でございます。
  300. 辻泰弘

    辻泰弘君 時間が掛かるのは常なんですけれども、どれぐらいの時間で、それは手を挙げてどれぐらいでやれるというふうに示しておいていただきたいんです。
  301. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは、事前の準備状況によりますので、明確には申し上げられませんけれども、これまでの例としてはおよそ一年ぐらいの期間というふうに承知をしております。
  302. 辻泰弘

    辻泰弘君 これからでも一年掛かるということですけれども、とにかく希望し、能力があるところは早く指定していただくようにお願い申し上げておきたいと思います。  それからもう一点、地方財政のことですけれども、個人住民税の現年課税化という問題がかねてからございました。私もこれは総務委員会、二、三年前から取り組んできたところでございましたけれども、このことを、どう現状なっているか、是非取り組んでいただきたいと思いますけど、いかがでしょう。
  303. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 原則としては、これは基本的な考え方としては、所得の発生時点と税負担の時点というのはできるだけ近い方が望ましいというのはもう間違いないと思います。一方で、個人住民税に現年課税の仕組みを導入しようとなりますと、年末調整の必要性等、つまり給与支払者の事務負担が非常に大きくなってくるということで、これはこれで、個人住民税の場合は所得税と異なりまして前年の所得を基準にする課税の仕組みになっているわけでございます。  ただ、雇用の形態が大きく変わってますし、IT化も進んでます。いろんな条件も変わっておりますので、このような状況変化、それと納税者の事務負担等に留意しながら、その可能性について我々としても研究をしてまいりたいと、検討をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  304. 辻泰弘

    辻泰弘君 これも三年前に私、国会で質問をして、三年たちますけれども、昨年の税調の小委員会において現年課税の可能性について検討すべきであるというのが出まして、これも私、やはり遅々として進まないとはいえども、進歩して、進んできているのかなと思っているわけです。やはりIT化の進展だとか雇用の流動化、雇用形態の多様化ということを考えますと、やはり国税、所得税における現年課税であり、住民税である前年度課税というのはやはりだんだんその時代に合わなくなってきているのじゃないかと思います。もちろん、その一年、最初の年どうするのというのはありますけれども、しかしとにかくその方向性で是非早急に取り組んでいただきたい、そのことを申し上げておきますが、まず決意を聞いておきたいと思います。
  305. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、省内でしっかり研究してまいりたいと思っております。
  306. 辻泰弘

    辻泰弘君 そのことは強く御要望申し上げておきたいと思います。  次に、金融問題、金融というか消費者金融の絡みのことをお聞きしておきます。  多重債務が自己破産や自殺など深刻な社会問題を招いている現実がございます、今日の朝刊等でも出ているわけですが。法制度がしっかりしているだけですべてが問題解決するわけではございませんけれども、やはり法制度の不備を是正し、あるべき姿を追求するのが政治の使命、行政の使命でもあろうと思うわけでございます。  まず、グレーゾーンとよく言われるわけですが、それが今どうなっているか、簡単に御説明ください。
  307. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) もう先生御承知のように、利息制限法と出資法の間では最高の利息のところにギャップがございます。このギャップにつきましては、契約時の任意性、支払時の任意性というものが要件になっております。
  308. 辻泰弘

    辻泰弘君 必ずしも沿革に触れた御説明ではございませんでしたけれども、まあそれはそれとして、いずれにいたしましても、先般、最高裁の判決が出ました、一月十三日ですけれども。これを簡単に御説明していただいて、それにどう対応されるか、お答えください。
  309. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 御承知のように、一つは書面要件、一つは任意性の問題でございまして、私どもとしては必要な内閣府令の改正案をパブリックコメントに今付しているところでございます。
  310. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、それは当面の内閣府令って、それは施行規則のことをおっしゃっているんですね。
  311. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 判決に対応した内閣府令の改正でございまして、一つは、貸金業者が弁済時に交付する書面について定めた貸金業規制法施行規則十五条第二項が法の委任の範囲を超え違法であるとされたことから、類似の条文と併せて削除することとし、内閣府令改正案をパブリックコメントに付しております。  また、金融庁としては、同判決に関連して、資金需要者が期限の利益喪失特約の適用について誤認をし、トラブルが生じることを防止するため、同特約について利息制限法の上限金利を超えない範囲において効力を有する旨の記載を義務付けることとし、この旨の内閣府令改正案についてもパブリックコメントに付したところでございます。
  312. 辻泰弘

    辻泰弘君 最高裁判決は二つあってですね、一つは、返済が滞った場合には全部即時返せと、それは任意性がないから駄目だよというのが一つと、もう一つは、簡易な書面でいいという部分と二つあって、その後者については今御説明いただいたと思うんですね。その前者のことはどうされるんですか。
  313. 小野清子

    委員長小野清子君) もう一度御説明を。
  314. 辻泰弘

    辻泰弘君 ちょっと、分かっているでしょう。言ってあげてください。
  315. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今御説明申し上げましたように、期限の利益喪失特約の適用について誤認をしないような措置をとらなければならないということで、内閣府令の改正案をパブリックコメントに付しているわけでございます。
  316. 辻泰弘

    辻泰弘君 じゃどっちも、二つのポイントがありましたけれども、どっちもパブコメでやっているということでいいんですね、そういうことですね。
  317. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) そういうことでございます。
  318. 辻泰弘

    辻泰弘君 そもそも利息制限法と出資法が昭和二十九年からあって、そのときから、最初からグレーゾーンがあったわけですね。最初は二〇%から一〇九・五%でしたかね、そこから出発しているわけですよね。それがずっと改善されてきたといえども、まだグレーゾーンというのがあるわけです。  法制度の中でグレーと言われるのがあること自体、やはり悲しいことだと思うわけですけれども、これはどっちも閣法でやってきているわけなんですね、政府提案で。どちらも、法律は。途中の貸金業法は議員立法でやってきていますけれども、やはりそもそも最初にグレーを許した閣法ですから、そういう意味において、そのグレーゾーンの解消というのはやっぱり私は政府が責任を持ってやるという責務を担っていると思うんです。だから、そのことについて決意を示していただきたい。
  319. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 平成十六年一月施行の貸金業規制法及び出資法の一部を改正する法律、いわゆるやみ金融対策法においては、その附則第十二条において、一つは、貸金業制度の在り方については、この法律の施行後三年を目途として、新貸金業規制法の施行の状況、貸金業者の実態等を勘案して検討を加え、必要な見直しを行う。第二には、出資法の上限金利については、この法律の施行後三年を目途として、資金需給の状況その他の経済金融情勢、資金需要者の資力又は信用に応じた貸付けの利率の設定状況その他貸金業者の業務の実態等を勘案して検討を加え、必要な見直しを行うこととされております。  このような検討条項の趣旨を踏まえ、金融庁では、昨年三月から貸金業制度等に関する懇談会を開催し、貸金業制度等をめぐる幅広い論点について勉強しているところでございます。この懇談会では、過剰貸付け防止のための規制の在り方や、いわゆるグレーゾーン金利を含む金利規制の在り方等、貸金業をめぐる幅広い論点が検討課題とされておりますが、金融庁としても、懇談会の議論の中で貸金業制度等をめぐる諸問題に対する議論を深めてまいりたいと考えております。
  320. 辻泰弘

    辻泰弘君 私がお聞きしたいのは、グレーゾーンがあるわけですけれども、今そういうことを、まあそれにつながることはおっしゃっているんですが、グレーゾーン自体をなくすことがやはり目的だと思われるかどうかです。
  321. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) グレーゾーンに関しましてはもう様々な意見がございまして、私の所属しております自民党の中あるいは与党の中でも今議論が進行中でございますので、こういう解決方法があるということをにわかに断定する御意見を申し上げられる状況ではございません。
  322. 辻泰弘

    辻泰弘君 私は、当面はすぐ解決するとは言いませんけれども、やはりグレーであるというものが法制度上あると。聞きますと、諸外国にそんなことはないんですね、金利を上限と決めているの二つあるというのね。まあダブルスタンダードといいますか。  そういう意味で、やはりいつかは一本化しなきゃいかぬと。いつかというか、私は早急だと思いますけれどもね。そのことに向けて取り組んでいただきたいと。まあ与党の検討もあるかもしれませんが、やっぱり政府、閣法でつくったグレーゾーンですからね、そのことについては政府の責任において解決する方向を見いだせと、このことなんです。
  323. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) これは法理論だけではなく、経済の実態を考えながら物事を判断していかなければならない問題だと私は考えております。
  324. 辻泰弘

    辻泰弘君 まあ法制度と運用と両方あるんですけど、運用については昨日方針出していらっしゃるようですね。それはさっきのパブコメの、そのことに尽きるのかな。
  325. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) このガイドラインは、過剰貸付規制に抵触するおそれのある事例を明確するなど、事務ガイドラインの改正案を昨日パブリックコメントに対して付したわけでございまして、別の問題でございます。
  326. 辻泰弘

    辻泰弘君 そういった意味では、運用もしっかりとやっていくと同時に、法制度においてもやはり、私はグレーという部分は法制度上やはり本来あるべからざるものだと思いますので、そういった方向でのお取り組みを求めておきたいと思います。  それで、関連して消費者金融絡みで、厚生労働大臣にお伺いしたいんですけれども、年金カードを導入するという話がありますけど、その方向でしょうか。
  327. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 年金カードの導入については、被保険者サービスの向上という観点からいろいろこれから検討を進めることになります。
  328. 辻泰弘

    辻泰弘君 そのときに、いわゆる年金を担保にした金融機関からの借入れの機能を組み込むべしというような議論があるやに聞くんですけれども、そもそもやはり今、年金担保融資というのが非常に民間でも問題になっている折柄、また政府としては独立行政法人の福祉医療機構でのみ認めているわけですけれども、やはりそれだけハードルを掛けているわけですね、年金が取られちゃうわけですから。そのことについてはしっかりと、まあはっきり言って、それはやるべきじゃないと、年金カードに組み込むべきじゃないというふうに私は思っていますけど、そのことについてはいかがお考えでしょう。
  329. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 一週間に一遍ぐらい実は新聞報道でびっくりさせられまして、朝見て、こんなことあるのかって尋ねると、全くありませんよという話が大体厚生労働省では一週間に一遍ぐらいございます。今回の話もそういったたぐいと受け止めていただいて結構でございます。  今お話ございましたように、福祉医療機構が行う公的年金担保保険以外は認められておりません。今委員が御懸念のようなことについては、正直言ってまだ議論も始まっておりませんし、我々の考え方に基本的にはないというふうにお考えいただいて結構でございます。
  330. 辻泰弘

    辻泰弘君 それはそういうことで、基本線で守っていただきたいと思います。  次のポイントですけれども、北側大臣にお見えいただいているわけですけれども、昨年も本予算委員会でタクシーの規制緩和のことをお伺いいたしました。お地元の大阪でも大変厳しい状況があるわけでございます。最低賃金さえ守れないような産業の在り方というのは根本的に問われるべきだと、このように思っているわけでございますけれども、昨年申し上げて、関係機関の連携とか協議会の設置とか方針を示していただいていたんですが、この一年間どのようにお取り組みいただいたか、教えてください。
  331. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) タクシー運転者の方々の適切な労働環境を確保していかないといけないということで、昨年来、厚生労働省と国土交通省との間で連携を取ってまいりました。  この二月の一日からは、これはまあタクシーだけではございませんけれども、一つは、原則無通告による監査の実施をしっかりやっていこうと、また新規参入事業者等に対しては早期監査の実施等の予防的な監査に重点を置いて、また行政処分のめり張りを付けるなど、監査方針及び行政処分等の基準を改正をいたしまして、二月の一日から実施をしているところでございます。  また、この四月からは厚生労働省と連携を更に強化をいたしまして、合同監査や監督、また相互通報制度の拡充等をやっていこうとしているところでございます。  また、昨年の十月から、交通政策審議会の自動車交通部会に設置しましたタクシーサービスの将来ビジョン小委員会というのを設置いたしまして、規制緩和後の実態把握、分析を行っていただいておりまして、今後の望ましいタクシーサービスの在り方、その実現のために必要な環境整備方策について御審議をいただいているところでございます。六月を目途に取りまとめをさせていただきたいと思っておりますが、輸送の安全と利用者の利便の増進をしっかり図ってまいりたいと考えております。
  332. 辻泰弘

    辻泰弘君 今おっしゃった二月からの無通告監査の件ですけど、もう実施されているわけですが、その状況はどうでしょうか。
  333. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) これは、規制緩和後の事後チェック体制をより確実なものとして安全な輸送サービスの提供の実現を図ろうということで見直しをさせていただきました。二月一日から、タクシーだけではございませんが、バスやトラックについても行わせていただいているところでございます。さらに、四月一日からは、新規の許可事業者に対しまして、許可書交付時における関係法令の遵守等についての講習の充実や強化、さらには、運転開始届出時における事業用施設等事業計画の確保状況の確認等を行うこととしておりまして、新規許可事業者に対しましては特に指導の充実を今図っているところでございます。
  334. 辻泰弘

    辻泰弘君 質問いたしましたのは、その二月やってもう一か月ちょっとたつんですけど、そのことの状況は把握できているかできていないか、そのことなんです。
  335. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) それでは、二月からの監査の状況を御報告いたしますが、これ、大臣から申し上げましたように、タクシーに限られませんで、バスやトラックも対象にして新しい方針で実施をしているものであります。特に二月、三月は新方針に基づく監査の実施ということもありまして、私どもの運輸局、運輸支局、全国の組織を使いまして強力に監査を行っているところでありますが、タクシーに関して申し上げますと、北海道運輸局から沖縄までのそれぞれの組織を使いまして、昨年の二月の実績より四割以上の多い出動監査の実績を今示しているところでございます。
  336. 辻泰弘

    辻泰弘君 やられてすぐでしょうから、まだ必ずしもできていないところもあるかもしれませんが、その監査というのは非常に意味があると思うんで、四月からの合同監査も含めてしっかりとやっていただくように、厚生労働省もまた併せて御要請しておきたいと思いますが、国土交通大臣、ひとつ、二月九日から緊急調整区域の指定要件見直しということになりましたけれども、その内容を簡潔に御説明いただき、またそれがどういうふうに適用されていくのか、お示しください。
  337. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) じゃ、私の方から御説明申し上げます。  今、辻委員御指摘のありました緊急調整措置でありますが、道路運送法の八条に定める特別の措置でございまして、特定の地域におきまして著しい供給過剰になり、輸送の安全や旅客の利便を確保することが困難となるおそれがあるような場合に、期間を定めまして当該地域を指定をいたしまして、新規参入や増車を停止をするという極めて権利制限の強い制度でございます。  そういったことから、緊急調整地域の指定につきましては、客観的な指標に基づきまして厳正に対処しているところであります。  今、辻委員御指摘の、指定要件の見直しのところでございますけれども、昨年九月に運輸審議会の答申におきまして、この制度実施後の状況を踏まえた指定基準の適正化を図るべきであるといった指摘がなされたことなどを踏まえまして、二月九日に指定基準の見直しを行いました。具体的には、従来の実車率に代えまして、より供給過剰の実態を反映できるような日車実車キロといった指標を採用したり、延べ実働車両数の増加といった指標を新たに追加するなどの見直しでございます。  なお、新しい基準に基づきます緊急調整地域の指定に関しましては、平成十七年度の輸送実績など、すなわち今年の三月末までの輸送実績などを把握した上で慎重に判断してまいりたい、このように考えております。
  338. 辻泰弘

    辻泰弘君 北側大臣は大阪がお地元でいらっしゃいますけれども、前にもお聞きしましたけれど、この一年たって大阪の状況をどう見ていらっしゃいますか。
  339. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 大阪においては大変厳しい状況であると思っておりますが、ただ、ここ最近は、例えばこの年末年始以降を見てみますと、一時期の大変厳しい状況から少しは改善の傾向が出ているのではないかというふうに思っております。
  340. 辻泰弘

    辻泰弘君 それが事実であればうれしいことですが、しかし現実に現場の声を聞きますと、なかなかそうはいっていないという状況だと思います。  昨年申し上げて以来、協議会をつくっていただいたりいろいろお取り組みいただいたことについては多としたいとは思いますけれども、しかし根本的にやはり規制緩和の当初からもっとしっかりとその部分を踏まえてやっていくべきだったんじゃないかと、このように思っております。  いずれにいたしましても、こういった合同監査も含めて、指定基準の見直しの適用対象の選定も含めてしっかりとお取り組みいただくように、国土交通省並びに厚生労働大臣にもお願いをしておきたいと思います。  次に、経済財政政策に移らしていただいて、御質問いたします。  まず、日銀の問題でございますけれども、ちょっと代表で与謝野大臣にお伺いしたいと思うんですけど、三月六日の夜に総理と日銀総裁ら経済財政諮問会議のメンバーが夕食会をされたというふうに聞くんですけれども、それは皆さん参加されたんでしょうか。
  341. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 夕食会がございまして、経済財政諮問会議に出ておりますメンバーが総理を囲んで夕食をともにいたしました。
  342. 辻泰弘

    辻泰弘君 その会の当初の目的と、時節柄、金融の量的緩和の是非に関する議論があったかどうか、このことについて御説明ください。
  343. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) これは、量的緩和とかそういうことと全く関係なく、前から企画をされてた夕食会でございます。
  344. 辻泰弘

    辻泰弘君 では、そういう議論はなかったということで理解していいですね。
  345. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) ほとんどその問題は議論をされませんでしたが、夕食会の最後に、その日に行われた国会でのやり取りと同じやり取りがございました。
  346. 辻泰弘

    辻泰弘君 なかなか意味深長でございますけれども、まあ、それはそれとして。  それでは、まず、今日、明日、金融政策決定会合には財務省並びに内閣府から出ておられると思うんですけど、どなたが行っていらっしゃるんでしょうか。
  347. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 財務省からは日銀の政策決定会合には副大臣ないし大臣官房総括審議官が出席をいたします。で、副大臣の御担当は赤羽副大臣ですが、今日はこの審議に参加しておられますので、総括審議官が今日は出ております。
  348. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 内閣府からは内閣議官中城吉郎が出席をいたします。
  349. 辻泰弘

    辻泰弘君 赤羽副大臣にはそちらに行かれるのをこっちに来ていただいて、申し訳なかったようにも思いますけれども。  いずれにいたしましても、その会議に出席されるに当たっては、やはりどういう方針でいくのかということを相談されると思うんですけど、どういう方針で臨まれてるんでしょうか。
  350. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 日銀からどういう提案があるかも私どもよく承知をしておりませんので、予断を持たずに真摯に臨もうと、こういうことでございます。
  351. 辻泰弘

    辻泰弘君 しかし、基本認識はやはり当然あるわけですよね。それがなかったら意見が表明できないわけですから。その辺はどうですか。
  352. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、日銀政策決定会合における発言等はしばらく発表まで時間を掛けることになっておりまして、そういうこともございますので、そして現在行われている最中でございますので、お答えは遠慮させていただきたいと存じます。
  353. 辻泰弘

    辻泰弘君 同じことになるかもしれませんけど、日銀法の十九条二項の規定に基づいて議決の延期を求める請求権があるわけですけれども、そういったことも視野に入れての打合せをされているという理解ですか。
  354. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) もちろんそういう権限を私ども持っておりますが、これはなかなか大だんびらでございます。そういうことも含めて予断を持たずに臨もうと、こういうことでございます。
  355. 辻泰弘

    辻泰弘君 次に、定率減税のことで一言ちょっと聞いておきたいと思います。  やはり、今までも言われておりますけど、やはりその当初やる、平成十一年のときでしたか、抜本的な見直しを行うまでの間、特例を定めるというふうな約束で法律上はできていて、当時の総理や大蔵大臣の答弁もそのような流れになっているわけですね。で、今回そのことを、抜本的な見直しを行わないままにやったということは、そのことにおいてやはり約束違反じゃないかと思いますが、どうですか。
  356. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 抜本的改革をするまでと、ちょっと文言は正確でありませんが、条文には確かにそのように書いてございます。  ただ、この性格は、当時の厳しい経済状況を税制からも底抜けがしないように支えようということでございましたので、経済情勢が好転してきたら、厳しい財政状況でございますから、それは廃止するということであろうと思っております。  その上で、抜本改革という点ではですね、基本的枠組みである、その個人所得課税につきましては基本的枠組みである税率構造あるいは人的控除などの見直しを行ってきておりまして、具体的には、平成十五、十六年度税制改正では、配偶者特別控除上乗せ部分の廃止であるとか、老年者控除あるいは公的年金等控除の見直しを行いました。また、平成十八年度、今年度、国会に出さしていただいている税制改革では、三位一体と一緒になりまして税源移譲をしようと、こういうことでございまして、所得税の税率構造にも抜本的な見直しを加えてお願いをしているところでございます。
  357. 辻泰弘

    辻泰弘君 それは勝手な解釈ですよね。やっぱり抜本的なものではないですよ、やっぱり。それは配偶者特別控除にしても公的年金等控除にしても老年者控除にしても、これはある意味で一つの、まあ部分とは言いませんけれども、本体のところじゃないわけですよね。それから、今回の税源移譲の問題にしても、これは税源移譲の中でのその率を変えただけであって、本来の所得税制の、あるいは本体の国税の抜本改革ではないわけですよ。だから、それでありながら、それをやったから、抜本改革をやったから約束を果たしたよって、その部分はやっぱり詭弁じゃないですか。
  358. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ここは衆議院でもまた随分議論がございましたし、また参議院におかれましてもいろいろ御議論がおありと思いますが、私どもは先ほど申し上げたような考え方でございます。
  359. 辻泰弘

    辻泰弘君 それともう一つは、恒久的な減税というのは、定率減税のみならず、最高税率の引下げとか法人課税の引下げも含まれていたわけですね。最高税率の引下げというのは、この税源移譲の関係ではやっているところもあるわけですけれども、しかし本来的な意味ではしているわけじゃないわけですね。  だから、本来なら、そこもやっていたらばそれは定率減税もとなるかもしれませんけれども、そこはやっていないわけですよね。そのことはどう御判断されておりますか。
  360. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、いわゆるこの定率減税を入れましたときに、委員がおっしゃいましたように、法人税、所得税の最高税率の見直しをやったわけでございますが、性格が大分違うというふうに私どもは考えております。  定率減税は、先ほど申し上げたように、当時の底の抜けそうな経済状況を税制から下支えするという目的でございました。それから、法人税の方は、国際競争力等々の観点から最高税率を見直す必要があると、こういうことでございましたし、国際並みにする必要があるということでございましたし、所得税の方は、勤労意欲や海外のフラット化というようなものに対応していこうということでございましたので、若干意味合いが違うと、こういうことだろうと思います。
  361. 辻泰弘

    辻泰弘君 まあ基本的に見解が相違するわけですけれども、いずれにいたしましてもかつての法律の立て方、そのときの国会答弁にも反するし、昨年の衆議院選挙における自民党のマニフェストにも反するものだと私どもは強く主張せざるを得ないです。そのことを申し上げておきたいと思います。  それで、財務大臣、ちょっと御見解をお伺いしたいんですけれども、幾つかおっしゃっています。まず一つ、日本の現状は低福祉で中負担だと、今後は中福祉中負担となるのではないか、あるいはなるべきじゃないかと、こういった報道がありますけれども、このことについて御見解をお示しください。
  362. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 財政演説で実はそのようなことを申し上げたわけでございまして、私の申し上げたのは、現在の日本は、日本は現世代が負担に比べて大きな便益を受けていると、その差を後の世代に先送りしているような状況だと、こういう意味において中福祉低負担だと、ともいうべき状態にあるのではないかと申し上げたわけであります。  こういう現状をどういうふうにしていくかということは、給付と負担の関係についてどういう在り方を目指すのかといったことを含めて、我が国の将来の在り方につながる問題だろうと思っておりますので、これから経済財政諮問会議の中の歳出歳入一体改革等々でできるだけ具体的な議論をしていきたいと思っております。
  363. 辻泰弘

    辻泰弘君 いや、私が言っているのは、その部分はもう私も見ていますけれども、そのことじゃなくて、一月十六日に講演をされて、今後は中福祉中負担となるのではないか、あるいはすべきじゃないかというのがあるんで、そのことなんです。だから、もうより踏み込んでおられます。
  364. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 中福祉低負担というような認識でおりますけれども、現状はですね、そこはやはりアンバランスがあるわけでございますので、中長期的に見ればそれを是正する必要があるだろう。そういうふうに考えますと、恐らく国民は、例えば医療においても国民皆保険制度というようなものをなくせというふうには思っておられない方がほとんどだというふうに私は認識しますので、恐らくそういうことを考えると、中福祉中負担というものになるのではないかというのが私の考え方でございます。
  365. 辻泰弘

    辻泰弘君 もう一点、今の改革が目指しているのは弱肉強食の世界という見方もあると、こういう発言もありますが、そういう御認識でしょうか。
  366. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) そういう見方があるという認識でございまして、改革の目的が弱肉強食であってよいと認識しているわけではありません。むしろ改革の目指すところは弱肉強食ではないんでありまして、そういう弱肉強食だという認識は間違っていると思いますし、またそうであってはならないと思っております。
  367. 辻泰弘

    辻泰弘君 ということは、今やっている構造改革なるものが弱肉強食性を持ってはいないということですか。
  368. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今やっておりますことはいろんな側面がございますけれども、人の体に例えれば内臓脂肪みたいなものをできるだけ取り除いていこうということでございますから、その過程でちょっと体にこたえるということはないとは言えないと私は思っておりますけれども、目指すところはやはり健全な体を目指すと、こういうことだろうと思います。
  369. 辻泰弘

    辻泰弘君 なかなか微妙な表現でございますけれども、次、行かせていただきますけれども、総務大臣にお伺いいたします。  経済財政諮問会議の改革への取組について、こういう発言がございました。  モメンタム、勢いが以前より低下していると、民間議員が出すペーパーが以前よりも控え目になっていると、こういった御発言が昨年十二月にございましたけれども、この件についての御所見をお伺いしたいと思います。
  370. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 十二月だったかどうだったか、民間議員が出されたペーパーで、資産の管理だったと思いますが、民間議員が以前お出しになったよりも大分後退していたペーパーがございました。そのことを取り上げて民間議員に頑張ってくださいという意味でそのように申し上げました。
  371. 辻泰弘

    辻泰弘君 勢いがやっぱり以前より低下しているという、そういう判断をされているんですね。
  372. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お尋ねが諮問会議の勢いかどうかということに関して申し上げれば、諮問会議はこれまでも構造改革の司令塔として大変重要な役割を果たしてきましたし、今もそのとおりでございます。  現実には、しかし改革が進めば進むほどその岩盤に突き当たって改革がますます難しくなっているということが事実でございますから、そういう状況の中で更にみんな頑張ろうと思っているということだと私は認識をしております。
  373. 辻泰弘

    辻泰弘君 すなわち、民間議員が出されるペーパーの勢いがなくなったと、このことをおっしゃっているんですね。
  374. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 全部ではありませんが、そういうペーパーがありましたので、民間議員の方頑張ってくださいというふうに申し上げました。
  375. 辻泰弘

    辻泰弘君 与謝野大臣にお伺いしますけれども、そういう御指摘もありましたけれども、経済財政諮問会議のそのことについて、どう御判断されていますか。
  376. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 民間議員の方々は、それぞれ自分の持っておられる信念や良心、知識、経験に基づいていろいろな御提案をされているわけでございまして、私はそれを全面的に信頼し、尊重をしております。
  377. 辻泰弘

    辻泰弘君 与謝野大臣の発言にこういうのがありました。楽器を演奏している最中に小うたを歌うつもりは全くないと、小泉交響楽団の指揮者は小泉首相ただ一人と、こういうことをその数日後におっしゃっているんですけど、それはどういう意味だったんでしょう。
  378. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私は、職務に忠実にやろうと思っておりまして、やはり小泉内閣の一員でございますから、小泉総理の意向を体して物事を進めていく、そのようなつもりでやりたいと思っております。
  379. 辻泰弘

    辻泰弘君 財政再建の中身のことをお伺いしたいと思いますけれども、石税制調査会長が自然増収による財政再建はあり得ないという発言をされておりますが、歳出削減と自然増収だけで財政再建ができるかどうかについて、財務大臣経済財政担当大臣それから竹中大臣、御所見をお願いいたします。
  380. 小野清子

    委員長小野清子君) では、どなたから。  谷垣財務大臣
  381. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) まず歳出削減に懸命に取り組まなければならないことはもちろんだと思っておりますが、現状、平成十八年度予算も公債依存率三七・六%でございますし、それから国、地方合わせて公債の発行残高がGDPの一五〇%に上るということは金利変動等に極めて弱い体質を持っているということでございますから、私は、歳出削減だけでこの財政改革を、財政再建を果たすのは、これは極めて至難の業であると思っております。
  382. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 財政再建を考える場合、自然増収も一杯欲しいと思いますし、歳出削減もできるだけたくさんやりたいと思いますけれども、最後はやはり増収措置というものを考えざるを得ない、そのようにも考えております。
  383. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私も全く同様に考えております。
  384. 辻泰弘

    辻泰弘君 まあ非常にハーモニーがいいわけですけれども、小うたじゃないですけどね。  それで、竹中さんが二月一日に、名目成長率四%は堅実な前提というペーパーを出されてますね。それで、この四%の名目成長をどうやって実現するかっていう具体的な政策が実は全く見えないんです。そこを教えてください。
  385. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 名目成長率というのは、実質成長率と物価上昇率を足したものでございますが、私は、実質成長率二%程度、名目成長率二%程度というのはこれは堅実な姿であろうというふうに思っております。  理由は、実質成長率は、今この時点、二%をかなり大きく日本既に上回っておりますし、まあ日本の潜在成長力、改革を続ければ二%程度はできると思います。改革をしないと成長率はもっと低いと思います。物価上昇率につきましても、まあOECD等々諸外国の平均を見ましても、二%程度のやはり緩やかな物価上昇率というのは普通でありますので、そういう普通の状況に持っていくことができればこれは可能であろうというような趣旨で申し上げております。
  386. 辻泰弘

    辻泰弘君 今、二%に持っていくことができれば可能だと言うけど、持っていけるかどうかのその部分ですよ。それで、金利は低位にしておきながら、その二%なり二・五%なり、消費者物価なのかデフレーターか分かりませんけど、とにかくそういう想定を取ることをどうやってやっていくのかというのが見えないんです。
  387. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いや、そのために改革をするんです。  要するに、物価につきましても、これは各国そのぐらいの物価上昇率を実現しておりますし、まあ、物価目標がいいかどうかはともかくとして、物価目標を持っている国というのは大体一%から三%というふうにやっている国が多いですね。つまり、二%程度がまあ普通だというふうに考えているんだと思います。それを実現するためには、政府、日銀、正に協力してしっかりと金融仲介機能が更に高まるようにしなければいけない。日銀はマネーサプライが伸びるようにしなければいけない。そういうことをこれはもう五年間ずうっと骨太の方針等々でもうたって、そのための改革を続けているわけでございます。
  388. 辻泰弘

    辻泰弘君 そのために改革をするとおっしゃいました。そうすると、二%の消費者物価あるいはデフレーター、それだとしても、とにかくそれを上げるための改革というのは何なんですか。
  389. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) そのために不良債権の処理をしてきたわけです。つまり金融仲介機能が不良債権によって低下をしてきたから、つまりマネーサプライが伸びなかったわけです。で、それがようやく最近になって不良債権が減って、銀行貸出しもようやく増え始めたわけです。これは正に改革の成果であります。  金融仲介機能が低下していたことを、低下、それを直したというのが正にこれは改革の成果でありますけれども、それと適切なマネーサプライ管理、これは中央銀行の役割になりますけれども、政府、日銀一体となってそのことを実現していくというのが、これは別にそんな特別なことではありません、どこの国でもやってきた普通の私は改革、政策運営であると思っております。
  390. 辻泰弘

    辻泰弘君 今まで金融をじゃぶじゃぶにしていて、今度ちょっと量的緩和を解除しようかと、縮小していく方向に今あるときにですよ、マネーサプライに依拠して、それが改革です、二%を実現できるんだというのは、それはよく論理的に分かんないですね。
  391. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 少し誤解があると思いますが、金融じゃぶじゃぶというふうにジャーナリズムではよく言うわけですけれども、これは時々二つの違った意味で使われていると思います。  つまり、中央銀行が出すいわゆるハイパワードマネーがたくさん増えているかという意味でと、それと、いわゆる我々が、市民がその手にするマネーサプライが増えているということは意味が違うわけですね。  ハイパワードマネー大分増えてきました。でも、それも伸び率は下がってきていると思いますけれども、マネーサプライ、M2プラスCDの伸び率は一・九%です、今も。私は、これはまだ低い状況であるというふうに思っております。この一・九%を見る限りじゃぶじゃぶなどとはとても言えないわけで、しかし、難しいのはハイパワードマネーが増えてもマネーサプライが増えない、つまり金融仲介機能が低下しているというところにあるわけで、そのためにこの五年間ずっと苦労して改革を続けてきて、それがようやく良い方向に今向かっているわけでございます。
  392. 辻泰弘

    辻泰弘君 結局、大臣がおっしゃっている四%名目可能というのはその金融政策に依拠すると、こういうことですね。
  393. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) そうではありません。政府は努力をして、金融仲介機能が高まるようにこれまでも努力をしてきました。今後更にそのための努力を続けなければいけません。で、金融政策は金融政策で重要です。だから、政府、日銀一体となってというふうに骨太方針でずっと言っているわけです。日銀だけでも駄目です。政府だけでも駄目です。これは政府、日銀一体となった努力を引き続き続けなければなりません。
  394. 辻泰弘

    辻泰弘君 政府、日銀一体はそれでいいんですけれども、今おっしゃったのは、結局、金融以外はないんじゃないですか。だから、そこのことなんですよ。
  395. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いや、ですから、先ほどハイパワードマネーとM2プラスCDの違いを申し上げたわけです。  ハイパワードマネーが増えてもM2プラスCDが増えない、つまり金融乗数が下がってきたわけで、金融乗数が下がったないしは低かった理由は不良債権にあったわけですから、そこについては、政府がやはり、つまり金融庁を中心とする銀行行政が大変重要な役割を担っていたわけでございます。そうした点についてのやはり政府、日銀一体となった役割を果たさなければいけない。  具体的に言いますけれども、この政府がやるべき不良債権の処理、まあ民主党の皆さん反対をされたわけですけれども、我々はそれを断行して、不良債権は着実に減ってきて、そして銀行貸出しはようやく増え始めたわけでございます。
  396. 辻泰弘

    辻泰弘君 いや、だから、金融以外にも何かあるという言い方をされたのは何があるんですか。
  397. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 金融というときにちょっといろんな意味があるかもしれませんけれども、日銀がコントロールするマクロの金融政策というのは一つ重要でございます。一方で、銀行を所管しているのは金融庁でございますから、そこの銀行がしっかりと金融仲介機能を果たすような仕組みをつくっていく、これは不良債権処理に象徴されるような、これは金融庁の仕事になります。  また同時に、これは一方で実物の需要がなければいけませんから、その実物の需要、正に経済の活性化そのものがマネーサプライを増やすという効果があるわけですから、その経済を活性化するための様々な構造改革の取組というのは全部これに含まれてまいります。正に、政府、日銀一体となってやらなければいけないわけです。
  398. 辻泰弘

    辻泰弘君 教授に対してできの悪い学生で申し訳ないんですけれども、そのどちらもやっぱり総じて金融じゃないんですか。
  399. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 実需を増やすという意味では実物があります。そして、金融、お金が更に増えるという意味では、広い意味での金融でございますけれども、その広い意味で、M2プラスCDが増えるためには、日銀が直接コントロールできる部分と、金融仲介機能を高めるという意味で政府が行う部分があるということを重ねて申し上げているわけでございます。
  400. 辻泰弘

    辻泰弘君 まあ、要は金融じゃないんですか、どっちも。そのことなんですよ。金融以外にあるとおっしゃるから、何かあるなら教えてほしい。金融そのことだけで二%行けるんだというなら、そういうふうにはっきり言っておいていただきたい。
  401. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 実物経済があるというふうに申し上げているわけです、実需があると。実需を増やすような政策が必要であって、現実にこれ貸出し政策が、今貸出金が増えているわけですけれども、なぜ増えているかというと、一つ金融面でこれは金融仲介機能が高まってきたということと、もう一つ経済が活性化された、経済活性化をさせるためには政府はもう一連の構造改革を行ってきたわけですけれども、その成果として実物経済、実物需要が増えてきたということを申し上げているわけです。これは、ですから、金融面と実物面が両方あります。繰り返しますが、金融面の中には政府がやる部分と日銀がやる部分があります。
  402. 辻泰弘

    辻泰弘君 金融のことは分かりました。じゃ、実需を増やす政策は何なんですか。
  403. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いろんな政策がありますが、最も重要な政策の一つは規制緩和であったというふうに思います。規制が緩和されたことによって新たな分野、需要の分野が開かれていって、それで、それによって実際、雇用も増えているわけですから、規制緩和が大きな需要であったと思いますけれども、これはもうそれだけではなくて、もちろん特区等々、様々な一連の構造改革がそのような実需を生み出したというふうに考えております。
  404. 辻泰弘

    辻泰弘君 今まで生み出したというのはそれは一つの見解かもしれませんが、今後二%上げていくのに金融とその規制緩和でやっていくと、そういう考え方なんですね。
  405. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ですから、簡素で効率的な政府をつくって、そして、それによって、民間に需要が移るわけですから民需も更に刺激をされて、これは、どういうふうにして経済を発展させていくかというのは正にこれまでずっと議論してきた、これはそのための政策金融の改革から、小さな政府をつくる、簡素で効率的な政府をつくる、もう一連のパッケージとして私たちは申し上げているわけでありますので、それによって現実に実物需要は増えてまいりましたし、これからもそういう改革を続けることによって実物需要を増やしていきたいというふうに考えております。
  406. 辻泰弘

    辻泰弘君 谷垣大臣と与謝野大臣にお伺いしたいんですが、名目成長率四%は堅実な前提という、これは明確に文章に書かれているわけです。この見解についてどう思われますか。
  407. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私はエコノミスト出身ではありませんので、この手の答弁は余り得意ではないんですが、私の所管をしている立場からいいますと、財政再建を成し遂げなければなりません。それで、それには努力目標をやはり高いところを我々は目指す、実質成長率を上げて日本の経済の元気をよくしていく、こういうことが必要だと思いますが、財政再建をする立場からいうと、その目標の設定は堅実であるべきだというふうに私は考えているわけでございます。
  408. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 日本の経済をしっかりさせるためには、潜在成長力を高めていくということだろうと思っております。実際、内閣府の試算と竹中大臣の違いというのはそんなに大きく実はございませんで、私どもが考えております名目成長率と竹中大臣が言っておられる成長率の差というのは、〇・数%というオーダーでございます。
  409. 辻泰弘

    辻泰弘君 私は、基本的にやはり堅実、正に堅実な前提でやはり描くべきだと思いますので、その点は申し上げておきたいと思います。  それで、もう一つ竹中さんにこういう発言がございました。昨年の十一月ですけれども、増税を先に行う一部の審議会の代表者のような方々は形を変えた抵抗勢力であると、こういう御発言がございましたけれども、これについての見解をお願いします。
  410. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、非常に大きな財政赤字を今後後世代に負担を残さないようにしていくためには、最終的に国民に負担を求めるということを真剣に議論をしなければいけないと思います。  これは経済財政諮問会議でも民間議員が報告しておりますけれども、多くの国で何度もこういう経験をして、そのたびに、しかし先に増税を行った国というのは結果的に失敗をしている。先に増税を行うのではなくて、先にしっかりと歳出削減を行って国民の信頼を得て、その上で増税をしたところが成功していると。これは民間議員のシミュも報告されているわけでございますので、そういう観点から、結局、増税増税というふうに先に言うと、やはりこれは改革がうまく進まない、国民の合意も得られない、結局、結果的に改革が進まなくなるというふうに私は懸念しておりますので、そういうふうな御発言は控えるべきであろうというふうに考えております。
  411. 辻泰弘

    辻泰弘君 これは、形を変えた抵抗勢力というのはどなたに対しておっしゃったんですか。
  412. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いろんな方がそういう発言をしておられますので、いろんな方に対して申し上げました。
  413. 辻泰弘

    辻泰弘君 その面もあるかもしれませんけれども、しかし大臣の会見では、審議会の代表者のような方はと、こうなっているんですよね。  それで、そのちょうど三日後に石税制調査会長が記者会見で発言されているんですよ。抵抗勢力と言われても、抵抗して守るべきものは何もない、既得権もない、この国が大変だ、赤字がどうなるかそれを議論している、滅私奉公だ、抵抗勢力との批判はけしからぬ、非常に失礼な話だと、こうおっしゃっていますが、これについてはどうですか。
  414. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 石先生、私の先生でもございますので、その発言そのものをちょっと今思い出せませんですけれども、いずれにしましても、私の趣旨は、結局、増税のことを先にやると結果はうまくいかないで改革は進まないと、改革に抵抗したことになると、これは今でも思っておりますので、そのような発言をしたわけでございます。
  415. 辻泰弘

    辻泰弘君 御記憶はないでしょう、税調の小委員会の後の記者会見でおっしゃっていることですからね。そういう御発言があったということはやっぱりしっかりと受け止めるべきだと思います。  それから、与謝野大臣、消費税の論議をすると歳出削減の努力が緩むという人は日本の財政の深刻さを認識していないと、こうおっしゃっていますが、この点についての御見解をお示しください。
  416. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私は、記者会見その他で増税とか消費税を上げるとかということは一度も発言をしておりません。  しかし、やはり最後は増収ということを考えざるを得ないというのは、やはり財政を少しは理解をすれば直ちに分かることでございまして、その取り組む順番はともかくとして、やはり最後にはそういうこともちゃんと考えるという気持ちを持っていなければならないと思っております。
  417. 辻泰弘

    辻泰弘君 財政再建についてはプライマリーバランスという目標を持っておられた、国、地方を通じての、SNAベースですけれども、それを今度一般会計のプライマリーバランスというふうな言い方にも変えてこられて、だんだん手に届くような感じが出てきたことは、私、この委員会でいろいろ言ってきていますけれども、それに沿ったものだというふうにそれなりに思っています。やはりしっかりと分かりやすいものにしないと、GDP比で国、地方を通じたプライマリーバランスがという、はるか先の雲をつかむような話で、なかなか実感わきませんので、その点については今後とも明示していただくように申し上げておきたいと思います。  残った時間少しですけれども、「改革と展望」の参考試算について申し上げておきたいと思います。  ここで、基礎年金の国庫負担割合の引上げというものを、これまで税で賄うという方針で試算されてきたんですが、今度は変えておられるんですね。その点について御説明ください。
  418. 齋藤潤

    政府参考人(齋藤潤君) お答えいたします。  本年の参考試算におきましては、歳出歳入一体改革の議論が今後本格化することを念頭に置きまして、具体的な内容が決定されていない施策については、あえて特定の仮定を置くことはしておりません。このため、基礎年金の国庫負担の引上げのための財源の在り方についても、現段階で具体策が未決定であることから、あえて特定の仮定を置かずに、二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支黒字化のために必要となる、全体としての追加的改善努力に含めております。  なお、その追加的改善努力の大きさにつきましては、裁量的経費の削減で表現しているところでございますけれども、これは今後どれだけの追加的な改善努力が必要かについて、できる限り恣意性のない形でお示しするためでございまして、実際に追加的改善努力がどういうふうに行われるかということにつきましては、今後の歳出歳入一体改革の中で歳入面を含め詳細に検討されるものと思っております。  以上でございます。
  419. 辻泰弘

    辻泰弘君 財務大臣厚生労働大臣にお伺いしておきますけれども、基礎年金国庫負担の二分の一への引上げは、安定した税制の抜本改革を行った上でやると、この法律、これは守られるんですね。
  420. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 十六年度の年金改正附則の十六条でそのような旨が記されております。  今後、この法律の規定を踏まえて、財源の在り方も含めて検討していくということでございます。
  421. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今回の予算案の中に、国庫負担割合三分の一、二・五%を加えて三五・八に引き上げる、財務大臣と最終、昨年の暮れ、決着をいたしました。二十一年度には二分の一に引き上げるという前提で話合いを行っているという認識を持っております。
  422. 辻泰弘

    辻泰弘君 財務大臣に確認します。これは当然義務的経費ですね。
  423. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 義務的経費義務的経費、法律に決められておりますので、ただ、法律に決められているといいましてもその手だてを講じなければなりませんので、その議論をしていかなければならないという意味でございます。
  424. 辻泰弘

    辻泰弘君 将来のことですけど、現実に考えたら、裁量的か義務的経費かといえば義務的経費ですよね。
  425. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 法律でこれだけ出しなさいと、例えばこういう年金に関してはこれだけ払いなさい、こういう社会保障に関してはこれだけ払いなさいと決められているという意味の義務的経費とはちょっと違うと思います。
  426. 辻泰弘

    辻泰弘君 そしたら、この試算においては義務的経費と裁量的をどう分けているんですか。
  427. 齋藤潤

    政府参考人(齋藤潤君) 試算におきます裁量的経費というのは、社会保障関係費それから人件費以外でございます。参考試算においてはそのように定義しております。
  428. 辻泰弘

    辻泰弘君 だから、義務的経費に入っているんでしょう。
  429. 齋藤潤

    政府参考人(齋藤潤君) 社会保障関係費は義務的経費に入っております。
  430. 辻泰弘

    辻泰弘君 だから、引上げ経費は義務的経費なんですよ。大臣、どうですか。
  431. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この義務的経費かどうかっていろんな形で議論されますね。ですから、委員のおっしゃっていることの意味が私、もうひとつとらえられてないのかもしれませんが、従来、実際その義務的経費を減らせとか、そういった意味の義務的経費とはちょっと違うんだろうと思っております。
  432. 辻泰弘

    辻泰弘君 参考試算をちょっと御存じないんだろうと思いますけれども、要はこの今の三分の一から二分の一への引上げの経費は、裁量的経費の削減の努力で賄うんだと、こういう想定に立っているんですよ。だから、義務的経費部分を裁量的経費のところで見ていることになるんですよ。だから、それがおかしいという意味なんです。
  433. 齋藤潤

    政府参考人(齋藤潤君) 裁量的経費で賄う形にしましたのは、これは便宜的な仮定でございまして、この中身についてはこれから歳出歳入一体改革の中で議論されるというふうに理解しております。
  434. 辻泰弘

    辻泰弘君 だから、その便宜的というのはおかしくて、十四年度の最初の試算のときからずっと税制改正でやってきたんですよ。見込んできているんです、試算ではね。で、この年だけ、十四、十五、十六、十七はずっと税制改正でやると、途中からは消費税、前半は所得税、後半は消費税でやると、こういったことも明示してやってきたんですよ。それなのに、今年になってその財源は裁量的経費の追加的改善努力でやりますよということを言っているのは、これはおかしいじゃないかということなんです。
  435. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは内閣府の試算でございますから私が答弁するのは適切でないかもしれませんが、一つの仮定の置き方として、裁量的経費の努力でやるというふうに決められたというだけのことでございまして、そのことが今後、先ほどの十六年年金改正の附則にどう影響を及ぼしていくかということは直接関係がございません。
  436. 辻泰弘

    辻泰弘君 しかし、政府方針がはっきりしていてですよ、法律で決まっていることを尊重しないで形になっているじゃないですか。
  437. 齋藤潤

    政府参考人(齋藤潤君) 裁量的経費の形で表現いたしましたのは、これからどれだけ追加的改善努力が必要かというその規模を示すためでございまして、これはあくまでも便宜的な仮定でございます。その中身につきましては、歳入面も含めてこれから検討されるというふうに理解しております。
  438. 辻泰弘

    辻泰弘君 じゃ、去年以前も同じ状態であったのになぜ変えたんですか。
  439. 齋藤潤

    政府参考人(齋藤潤君) 昨年はまだ歳出歳入一体改革についてはっきりとした方針が決まっておりませんでしたので、便宜的に、去年の場合には裁量的経費について項目別にある程度仮定を置いて削減率を想定いたしました。しかし、その後昨年の骨太もありまして、歳出歳入一体改革の方針が決まりましたので、今回はそういう考え方で参考試算を作ったということでございます。
  440. 辻泰弘

    辻泰弘君 私は、非常にこれは作為的な作り方だと思うんです。ですから、今までの、従来型のやつをしっかり踏まえた試算を作って、それも併せて提示すべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。
  441. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 実際の話と歳出歳入一体改革を考えていることと、まあ二通り分けて考えていただきたいと思います。法律では、基礎年金部分の税の投入を二分の一にするということは法律に書いてあるわけでございます。これは、規模も二兆円を超える規模でございますし、これは一時期の財源ではなくて安定的な財源をもって充てなければならないということで、これから谷垣大臣がいろいろ考えなければならないことであります。    〔委員長退席、理事市川一朗君着席〕  で、もう一方では、私どもは歳出歳入一体改革をやるときにどこまでいろいろな支出項目を削減できるかということを考える、そういう中でいろいろな仮定を置いて計算しているわけでございまして、そのことと、法律で書いてあって財務大臣が考えなければならないこととは、一応別にお考えをいただきたいと思っております。
  442. 辻泰弘

    辻泰弘君 私は、中期経済財政運営のやり方がいいと思っているんです。ただ、政府が決めた方針はやっぱりしっかりと前提として踏まえなければ駄目だと思うんです。  与謝野さんは堅実な前提を基礎としてリアリズムに徹した議論を行っていくとおっしゃっているんですから、そのことをしっかり貫徹していただくように申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
  443. 市川一朗

    ○理事(市川一朗君) 以上で辻泰弘君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  444. 市川一朗

    ○理事(市川一朗君) 次に、渡辺孝男君の質疑を行います。渡辺孝男君。
  445. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  最初、ちょっと専門的な言葉なんですけれども、脳脊髄液減少症、低髄液圧症候群とも言われておりますけれども、この研究促進と、それから早期保険適用について質問をさせていただきます。  まず最初に、自賠責の関係で、自賠責の支払状況について質問をいたします。  種々の対策によりまして、自動車事故による死亡者は減っていると、昭和四十五年のピーク時の一万六千七百六十五人に比べまして平成十七年は六千八百七十一人、約六割も減っている状況であります。これに関連しまして、自賠責保険の支払件数と支払額の近年の動向について国土交通省にお伺いをいたします。  また、この中でいわゆるむち打ち症と言われるものに対する支払件数と支払額について調査が行われていれば、それについてもお伺いをしたいと思います。
  446. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) まず、最近の自賠責保険の保険金の支払状況について御説明を申し上げます。  平成十六年度の実績でございますけれども、支払件数が約百二十六万件、支払金額は約九千三百五十億円でありまして、この十年間で支払件数が約二〇%、支払金額が約六%増加をしております。これを、十六年度の支払内容を損害別に見てみますと、死亡につきましては約八千件、金額で約千九百億円でございます。それから、傷害が約百二十万件で、支払金額約四千八百億円、後遺障害が約六万二千件で、支払金額が約二千七百億円となっております。  で、この十年間で、支払件数で見ますと、死亡が約三〇%減少しているのに対しまして、傷害が約一九%増加し、後遺障害が約五六%増加しております。また、支払額では、死亡が約二八%減少しておるのに対しまして、傷害が約一五%増加、後遺障害が約三三%増加という状況でございます。  なお、渡辺委員から御質問がありましたむち打ち症の支払の状況につきましては、今ちょっと手元で分かりませんので、お答え申しかねます。
  447. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 資料の中では、最近四年ぐらいの間では支払金額も支払の数も、件数も減っているんじゃないかと思いましたが、その点いかがですか。
  448. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 支払件数のピークが平成十五年度でありまして、百二十八万件強になっております。それから、支払額につきましては、同じく平成十五年度の九千七百二十億円というのがピークでございます。
  449. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 いわゆるむち打ち症の調査資料がないということで残念なんですけれども、このむち打ち症の原因の一つとして最近注目されているのが脳脊髄液減少症です。これは低脊髄圧症候群とも言われることがありますけれども、その病態は、脳や脊髄の周囲あるいは脳室という、脳の中にあるところがあるんですけれども、そういうところを脳脊髄液というのが循環をしておりまして、これが外傷によりまして、それを包んでいる硬膜というのがありますけれども、硬膜から持続的にその脳脊髄液が漏れ出していると。それによって頭痛とか首、腰の痛み、目まい、吐き気なんかが起こってくるということであります。  自賠責保険関係で、交通事故後の症状や障害の原因としてこの脳脊髄液減少症と認定されたケースがこれまでどの程度あったのか、また認定を申請されたけれども認められなかったケースというものがどれぐらいあるのか、その場合の理由がどのようなものであったのかを国土交通省にお伺いをしたいと思います。
  450. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 私ども、今、渡辺委員が御指摘になりました脳脊髄液減少症あるいはその治療法としてのブラッドパッチと呼ばれる治療法があることは認識をしておりますが、現在のところこの専門家の中でもこういった症状あるいは治療法について医学的見解は必ずしも確立されていないということで、健康保険の扱いにおきましてもブラッドパッチといった治療法はまだ保険給付の対象になってないというふうに承知しております。  御質問の自賠責保険の関係でありますが、これは委員御承知のように交通事故被害者の救済が目的でございます。一定の額の範囲内におきまして加害者の損害賠償を保障するという制度でありますから、交通事故によって傷害や後遺障害を負ったということが明らかで、その結果として治療を受けたあるいは身体の一部に痛みなどの神経症状が残っているということであれば、それが脳脊髄液減少症の診断を受けているかどうかということにかかわりなく、あくまでもそういう神経的な症状があるということに着目をいたしまして、治っておれば傷害、後遺障害となるならば後遺障害としての自賠責保険金を払っているということであります。ただ、交通事故との相当因果関係が医学的に明らかにされてないような症状あるいは治療法につきましては、自賠責保険の支払の対象とすることは適当でないと考えております。  御質問のケースにつきまして、私どもその具体的な件数については残念ながら詳細を把握しておりません。
  451. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 近年、交通事故と本症の因果関係をめぐって、あるいは損害賠償をめぐって司法の場で争いが起こっておりまして、福岡地裁行橋支部それから鳥取地裁で交通事故と本症の因果関係を認める判決が出ております。  また、近年の医学関係の論文もいろいろ出てきておりまして、症例の集積もなされつつあるわけであります。医学界においても本格的にこの問題を研究していこうという、そういう機運も盛り上がりつつあるという状況でございまして、早期にこの本症の全国的な調査を行いまして、またどういう実態になっているのか、そういうものを把握して、あとそれからやはり原因、病態の解明並びに診断とか治療法、そういうものを確立するための研究というものをやはり厚生労働省そして文部科学省で推進すべきではないか、私はそのように考えているわけですけれども、この件に関しまして川崎厚生労働大臣そして河本文部科学大臣にお伺いをしたいと思います。
  452. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 委員御指摘のように、脳脊髄液減少症については、関係学会において既に診療の実態についての調査の実施や診断基準の策定等に向けた検討作業に着手されていると承知しております。  厚生労働省においては、今後、脳脊髄液減少症に関して、厚生労働科学研究費補助金事業を通じて、関係学会の取組と連携した応募等に適切に対応してまいりたいと考えております。
  453. 河本三郎

    ○副大臣(河本三郎君) 脳脊髄液減少症につきましての研究でありますが、科研費への応募などがありましたら、あらゆる角度から検証、審査して適切に対応してまいります。
  454. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 なかなか、交通事故の被害者の方で脳脊髄液減少症という診断を受けても、その因果関係が分からないということでなかなか大変、治療とかその後の生活で苦労されている方が多いものですから、こういうものをしっかり研究していただきたいと、そのように思うわけであります。  そしてまた、調べていくと患者さんが意外と多いんじゃないかという、そういう推定もございますので、こういう診断法とか治療法が確立されたならば速やかに医療保険の適用とすべきであろうと、そのように考えております。先ほどのブラッドパッチの治療法というものも提案されているわけですが、この点に関しまして川崎厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  455. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 新たな医療技術を保険適用するに当たっては、科学的な根拠に基づく有効性等の評価が必要であります。学会等からの希望書に基づき、専門的な組織において医療技術の評価を行うこととしております。  脳脊髄液減少症の診断法や治療法についても、今も御指摘ございましたけれども、まずは科学的根拠に基づく有効性等の評価のための知見の収集、蓄積がまず第一でございます。その有効性が確立したものとして学会等から希望書が提出されれば、医療技術の評価を行う専門的な組織において適切に検討を行っていただくよう努力してまいりたいと考えております。
  456. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 こういう脳脊髄液減少症の場合は、いろんな原因で起こることが考えられますけれども、交通事故あるいはいろんな労働災害でも起こる可能性があるわけです。そういう意味で、この脳脊髄液減少症ということをしっかり把握して、そういう関係の保険適用があればそれをしっかり適用していただきたいと、そのように思うわけですけれども、北側国土交通大臣、そして川崎厚生労働大臣にこの点を確認したいと思います。
  457. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今の脳脊髄液減少症、業務をやっていて、そこに起因して起こったということが認められれば、当然、労災という形で労災補償で認定になります。その場合は、当然、労働基準監督署において的確に処理をしてまいります。
  458. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 自賠責の関係でございますけれども、先ほど自動車交通局長が答弁しましたとおり、被害者の症状が交通事故に起因している症状か否かが大事でございまして、脳脊髄液減少症と診断されたか否かにかかわらず、被害者の症状について交通事故と相当因果関係がある限り自賠責保険の対象となります。  ただ、今後、この脳脊髄液減少症に関して、先ほど来委員がおっしゃっておりますように、専門家の間で研究が進みまして、医学的見地から共通認識が醸成されることは非常に期待されるところでございまして、治療法が確立されることなどがありましたならば、被害者の症状と交通事故との相当因果関係が的確に評価されるなど、自賠責保険金の円滑な支払に資する観点から大変に望ましいと考えております。
  459. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 交通事故、それからそのほかのスポーツ外傷等でも、むち打ち、いわゆるむち打ちですね、首痛いと、長く続いていると、難治性のむち打ち症というのは比較的多くあるわけです。ただそれが、それによってこういう脳脊髄液減少症になっている方が多いとすれば、これをしっかり研究していかないと、その原因の追求に資することにならないということですので、まずは研究をしっかりやってもらいたいと、そういうことですので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、食品リサイクル関係の質問をさせていただきます。  循環型社会を目指す我が国にとりまして、大量に発生している食品廃棄物を肥料や飼料などへ再生利用することなどは喫緊の課題でありまして、その促進を図るために食品リサイクル法が平成十二年に成立をいたしまして、十三年五月から施行されました。この法律によりまして、食品の製造、流通あるいは外食等の産業にかかわっている業者の方々は、平成十八年度までに再生利用等の実施率二〇%を目指して努力しているわけであります。  これら、食品関係事業者の食品再生利用等の実施率目標二〇%の最近の達成状況について、農林水産省にお伺いをしたいと思います。
  460. 岡島正明

    政府参考人(岡島正明君) お答え申し上げます。  平成十七年十月に公表されました食品循環資源の再生利用等実態調査から試算いたしますと、平成十六年度におきます再生利用等実施率は食品産業全体で四五%となっております。これを業種別に見てみますと、食品製造業では七二%と高水準に達しているのに対しまして、廃棄物の発生量が小規模で分別の手間を要する食品小売業や外食産業では、それぞれ二八%、一七%と伸び悩んでいるところでございます。
  461. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今もまだ目標を達成していない分野の業界もあるということでございまして、その達成のために農林水産省としてどのような対応を今後していくのか、その点について、岡島局長の方にお伺いをしたいと思います。
  462. 岡島正明

    政府参考人(岡島正明君) 食品リサイクル法に基づきます再生利用等の義務を履行しない者が存在している場合には、制度の適正な運営や公平性の確保に支障が生じるばかりではなくて、政府、国民が一体となって取り組む循環型社会の構築が図られなくなるおそれがございます。  このため、農林水産省といたしましては、平成十四年度以降、全国各地に所在しております農政局、農政事務所の職員が事業者の事業所などに出向きまして、大規模排出事業者を中心に再生利用等の取組状況について調査、点検をし、必要に応じて口頭での改善指導を行ってきたところでございます。再生利用等実施率の目標年度でございます平成十八年度においても未達成である事業者に対しまして重点的な改善指導を行うなどを通じまして、少しでも多くの事業者が二〇%という目標値を達成するよう働き掛けを強めてまいりたいと考えております。
  463. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 事業所の食品廃棄物を適正に分別しまして、適正な生ごみの処理機というのがございますけれども、そういうもので処理をして、まあ、一次生産物を例えば肥料用の資源として、これは廃棄物ではないと、そのように食品リサイクル法で明確化して、廃棄物処理法によらず、その後の再生利用施設への広範囲でそしてスムーズな収集、運搬ができるように、この食品リサイクル法の特例の範囲を拡大すれば、そういう小規模で未達成の外食産業分野の方々も食品再生利用等を進めやすくなるんではないかと、そういう現場の声があるわけでございますけれども、この点を食品リサイクル法の見直しのときの検討事項にしてはどうかと、そのように考えるわけですけれども、この点に関しまして、所管の中川農林水産大臣及び小池環境大臣にお伺いをしたいと思います。
  464. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 渡辺委員御指摘のように、今事務からも答弁ありましたように、まだまだばらつきがある、これを推し進めていかなければいけないということは政府の大きな責務だというふうに思っております。そういう意味で、小規模事業者のリサイクルを円滑に進めるという観点から、広域的に収集し、例えば堆肥化にするということは、御指摘は非常にこれ重要な課題であるというふうに農林水産省としても認識をしております。  御指摘のように、五月に五年が経過をいたしまして見直しの時期を迎えます。現在、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会食品リサイクル小委員会でリサイクルを一層推進するための課題について議論をしているところでございまして、重要な論点であるというふうに認識をしております。そういう観点から、関係者、幅広い御意見を聞きまして、環境省とともにこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  465. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 御指摘ございましたように、食品リサイクル法、今は国の登録を受けました適正なリサイクル業者に食品廃棄物を運搬する場合、運搬先の市町村での許可を要らないという特例を設けさせていただいているところでございますが、御質問のございました観点からの特例を更に拡大した場合はどうかということでございますけれども、発生元の市町村における許可も不要にしてしまいますと、地域内の一般廃棄物の処理に関して処理計画を作成して必要な監視、そして監督を行っているのが市町村でございます。その市町村の責任が果たせなくなるのではないかといった点で困難ではないのかなと思っております。    〔理事市川一朗君退席、委員長着席〕  ただ、それでは身もふたもございません。やはり何よりも廃棄物、食品廃棄物をまず減らしていくということが重要でございますので、食べ残しであるとか売れ残りを減らしますリデュース対策の促進であるとか、リサイクル品としての堆肥、飼料などの利用拡大の問題を総合的に検討する必要があると考えております。そこで、こういった専門家の方、食品関連事業者などの方々にお集まりいただきましてリデュース、リサイクルの観点での検討会を設けて、ただいま議論をしているところでございます。  御指摘の点なども踏まえまして、食品廃棄物をしっかりと適正にリサイクルしてまいりたいと考えております。
  466. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 やはりこの食品リサイクルに事業者として参加する方のメリットがないとなかなか進まないということで、まあ一般廃棄物の中の食品廃棄物の場合には、その市町村の枠を超えられないと、やはりこの食品リサイクル法で言う登録事業者の方になっていかなければいけないと、そういう特例を認めてもらってやっていかなければいけないんですが、なかなかこの広域にですね、市町村の枠を超えたり県を越えてやるような、そういう小規模の外食の店舗を持っているような方の場合は、一々その事業所ごとに、事業所というか店舗ごとにそういう食品の生ごみを集めていって許可をそれぞれ取るというのは非常に大変な作業なので、なるべく特例でそういうのをやりやすいように、そういう仲介の事業者も参加できやすいように特例を拡大していただければと、そのように思っております。  それから、一番やはり問題になるのは、大量に食品廃棄物が出る大都市部でこの食品関係業者の食品再生利用が進むことが大事だと、そのように思っておりまして、この大都市部での食品再生利用の現状と今後の改善策について、農林水産省の岡島局長にお伺いをしたいと思います。
  467. 岡島正明

    政府参考人(岡島正明君) 委員御指摘のとおり、大都市におきまして食品小売業や外食産業から大量の食品廃棄物が発生するということでございますけれども、一方、人口密集地でございますことから、住民合意の取付けに時間を要するとか、あるいは悪臭の発生防止のために多額の投資を要するなど、食品リサイクル法に基づく登録再生利用事業者に限らず、リサイクル設備の設置が進みにくい状況にあることも事実でございます。  一方、全国的に見ますと、登録再生利用事業者は年々増加しておりまして、現在八十二社が登録されておりまして、食品リサイクルを進めるに当たっての重要な受皿となっているところでございます。  登録再生利用事業者における事業内容として、これまで肥料、飼料化が中心でございましたけれども、電力を供給するという観点から、大都市にも向いたメタン化事業を行う事業者も登録されてきたという傾向にございます。  今後、このような事業者の登録を一層推進するために、リサイクル業者への支援や働き掛けを図ってまいりたいというふうに考えております。
  468. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 都市部での登録、その事業者を増やすためには、やはりいろいろな規制といいますか、そういう法律上の規制等も緩和をしていただけるような、そういう見直しをしていただければと思っているところでございます。  次に、循環型社会を推進するためには、まず模範を示すべき各省庁の職員食堂等における生ごみのリサイクルの推進状況について、小池環境大臣にお伺いをしたいと思います。
  469. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) まあ何でも政府が音頭を取りながらやっていないということは、範を垂れていないということになりますので、今、ちなみに環境省の方では暖房を止めております。大変寒いかと思ったら、意外と、もう春も来ているようでございまして、何とかやっております。  それで、生ごみのリサイクルでございますけれども、循環型社会の構築を図る取組として重要な課題であるということからも、政府としてもリサイクルを率先して進めるということから、各省庁の庁舎の食堂から出る生ごみについてリサイクルの取組の拡大を図っております。既にほとんどの省庁におきましてリサイクルが実施されておりまして、平成十八年度には一府十三庁すべてで実施される予定でございます。現在、会計検査院がまだできておりませんといいましょうか、ただいま建築中でございますので、そのために今申し上げたような状況であるということでございます。
  470. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 じゃ、しっかり全部ができるようにしていただきたいと思います。  次に、この食品廃棄物を堆肥化する場合の製品の品質の向上が、これが大事だと思いますけれども、それと、購入、利用する農家の確保など、こういう循環のネットワークをやはり強固にしていかなければ進まない。そしてまた、食品リサイクルを通して都市部住民とそして農業者との交流を進めていくことも必要だと、そのように考えております。  こういう点で、どのような方針で今後やっていかれるのか、中川農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。
  471. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 今、渡辺委員御指摘のように、大都市で大量に出る食品廃棄物、これを有効利用すると。特に、堆肥等で再利用するということは都市と農村の共生という観点からも我々強く推進をしているところでございますが、距離的な問題とか、あるいはまた再利用をする上での効率面の問題とか、まあいろいろな問題点が現在あるわけでございます。しかし、これはやっていかなければならないわけでございますので、食品廃棄物からリサイクルされた肥料や飼料を用いて生産された農畜産物、食品を食品廃棄物の排出者が購入、利用する食品リサイクルループという形成を推進することとしておりまして、優良事例を第三者機関が認証する仕組みを平成十八年度予算で、今御審議をいただいておりますこの場で所要額を計上さしていただいているところでございます。  リサイクルの輪構築に向けて、農林水産省だけでなく、政府全体として取り組んでいきたいと思っております。
  472. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 それから、やはり学童に対しても循環型社会に対する理解を深めてもらうということが大変大事だと、そのように思っておりまして、この食品リサイクル法の改正に当たっては、教育的観点から学校給食もその対象に加えることを検討してはどうかと、そのように考えているわけですけれども、この点に関しまして三浦農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。
  473. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 御指名いただきましてありがとうございました。  渡辺委員にお答えをいたしたいと思います。  現行の食品リサイクル法におきましては、対象事業者を飲食にかかわる事業を営む者に限定をいたしております。教育の一環として行われる学校給食を実施する者は対象といたしておりません。  しかしながら、委員御指摘のとおり、教育現場におけます食品廃棄物を資源として再生利用する取組は、教育的観点からあるいは食育的観点からも重要であります。今後は、食料・農業・農村政策審議会総合食料分科会食品リサイクル小委員会、ちょっと長い名前の小委員会でございますが、そこでの議論等も踏まえまして関係府省とともに検討してまいりたいと考えております。
  474. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 学校の給食で、本来は全部食べていただければ一番よろしいわけですが、どうしてもそのときの状況で余るようなこともあると。そういうものを子供さんたちがリサイクルをして、そしてそれが肥料になって、それがまた学校に戻ってきて花壇等で使われる、あるいはそれが農家さんの方で野菜とかお米になって返ってくる、それを学校で給食に出すとか、そういう循環ができていけば、子供さんたちもよくこの農業の重要さ、重要性あるいは食品のリサイクルということに対して理解が深まると思いますので、これは是非とも推進をしていただきたいと、そのように考えます。  それから、これは追加でちょっと質問をさせていただきたいんですが、循環型社会ということで、リサイクルを進めるということで関係があるんですけれども、最近大変注目をされております電気用品安全法に関してですけれども、これが五年の猶予期間が設けられておりまして、しかし今、なかなか周知が徹底されていない。しかし、その期限が、四月一日から施行されようとしているわけであります。  リサイクルが当たり前の世の中になってきておりまして、そのリサイクルがなかなかそのとおりまかり通らないというようなことになれば、いわゆるもったいないという精神に反するものではないかと、あるいは場合によっては不法投棄を招くんではないかと、そのように考えられているわけですけれども。また大事なことは、音楽関係者が、芸術家にとって命と言われるそういう電気楽器とか音響機器などを利用する場合に中古市場を活用できないというようなことも懸念をされているわけでありまして、この点、どういうふうにこれを推進をしていくのか、小池環境大臣に御所見をお伺いをしたいと思います。
  475. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) このPSE、電気用品安全法は、経済産業省、二階大臣の御所管でございますけれども、循環型社会構築という観点から一言お答えさせていただきたいと思っております。  確かに、大変もったいないという精神が大切であるということは日々PRをさせていただいております。それから、循環型社会の構築ということを申し上げているところでございます。一方で、人の安全を直接確保するということは極めて重要な観点でございます。  いずれにいたしましても、このPSE、電気用品安全法を行うことによってリデュースであるとかリユースのそういった考え方に制約を受けることがないように、また消費者が安全に安心してリユースできるようにしっかりとしたPRをお願いをしたいと、このように思っているところでございます。  また一方で、平成十三年の四月に御承知のように家電リサイクル法が施行されておりまして、それが間もなく見直しの時期に入ってくる、その準備をこれからもうしなければならないというところでございますけれども、この対象、このPSE法の対象となりますテレビなどの家電製品のリユースの促進についても総合的に検討してまいる必要があるのかなと思っております。  いずれにいたしましても、四月一日からの施行ということでございますので、しっかりとPRをお願いしたい旨、経産省とともに進めてまいりたいと思っております。
  476. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 芸術家の方も心配をされておりますので、スムーズに施行できるように検討をしていただきたいと思います。  それから、三番目のテーマでございますけれども、配偶関係別に見た心疾患、脳卒中、脳血管の疾患の死亡の統計調査結果というのが出ておりまして、それの結果によりますと配偶者別の、配偶者の有無あるいは未婚、離婚、死別等の影響が心疾患、脳血管の死亡率に及んでいるというような調査でございまして、例えば男女ともに有配偶者より未婚、離婚、死別の方の方が心疾患、脳血管疾患の死亡率が高くなっていたと、そういう結果であります。それから、女性よりも男性の方が配偶関係による差が大きくなっていた。これがどういう意味を持つのか、この点、赤松厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  477. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 渡辺委員御指摘の点について要因として何が考えられるかということですが、極めて常識的な答えになってしまうんですけれども、配偶者のいる方は栄養バランスがいい、そういう食事ができる、あるいは規則正しい生活リズムで良好な生活習慣を保つことができる、こういうふうなことが考えられます。また、配偶者がいることによって、まあ例外もあろうかと思いますけれども、良好なメンタルヘルスの保持とか、あるいはより早期に医療機関へ受診することができる、こういったことを、健康問題に対する的確な対処行動が取りやすい、こういうことが考えられようかと思います。  一方、今御指摘の未婚、死別、離別、いずれにしても、お一人でお住まいになっているようなケースの場合は、配偶者のいる方に比べて必ずしもそういった状況が整わない場合もあるんじゃないか、こんなふうなことが考えられる、そんなふうに思っております。  以上です。
  478. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 この結果について、なぜそうなったのかというのはまだまだ調査が進んでないということですので、調査結果によってこうしたら予防ができる、対策が取られるということになれば一番有り難いわけでありますけれども、このデータが平成十二年までしか調べておりませんので、最近はどうなっているのか、この点につきまして、赤松厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  479. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 御承知のように、平成十二年は国勢調査が行われた年でございまして、十二年の後は昨年の平成十七年に国勢調査を行いました。それを踏まえて、平成十八年の秋ぐらい、今年の秋ぐらいにその結果がはっきり出るわけですけれども、その後に今御指摘の点についての状況、新しいものが発表できるだろうと、こんなふうに考えております。  以上です。
  480. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 やはり配偶者の方がお元気で、お二人あるいは子供さんたちと一緒に生活をしていくという中で、健康状態が優れなければ本人が自覚してなくても周りの方が、家族の方がいろんなチェックをしてくださると、そういうことが一つの予防につながっていくのかなと思うんですけれども、川崎厚生労働大臣、この結果をどのような今後の予防対策につなげていくのか、お考えがありましたらお伺いをしたいと思います。
  481. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今回は心疾患と脳血管疾患、二つだけの病気でございますので、問題は他の疾患とこういう世帯構成というものを、どういう因果関係あるかと、やはりしっかりデータつかみながら対策を打たなきゃならぬなと思っております。  ただ、ここにあります生活習慣病は、運動と、今、赤松副大臣からお話ありましたように、食生活、また喫煙等の問題がございます。そういった意味で、今年、医療制度改革の中で予防というものに特に力を入れたい。その中で、やはりふだんの生活習慣というものをしっかりしていくように努力をしていかなければならないと思っております。  一方で、単身者がこれからどんどんどんどん増えてくる可能性がある、かつ高齢者であると、そこへどういう目配り、気配りをするかと。各地域でボランティアや住民相互の助け合いが行われておりますけれども、一方で民生委員等の活動もしっかりやっていかなければならないなと。委員からも御指摘いただいておりますけれども、今民生委員は地域の要援護者に対する様々な相談援助、訪問活動、年間延べで四千二百万件という報告になっております。そういった意味では、各地域で民生委員の皆さん方が正にボランティアとして活動をいただいているなと思っております。  一方で、老人クラブ、これは八百四十万人の会員がおりますので、この中でお互いに注意し合うということも大事だろうと、また、今度郵政公社から変わりますけれども、郵便局なんかでも手紙を届けているときに単身のところへは声を掛けるというようなことで、社会全体でこういう方々に目配り、気配りをしていくということが大事だろうと考えております。
  482. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今もお答えいただきましたけれども、私たちも勤務で一人で生活していることもあるわけですね。そういう場合に、もし本当に具合悪くなったときにどう、だれに連絡を取ってその具合の悪いことを知らせて適切な治療を受けるかというのは人ごとではないんじゃないかなと、そのように思っております。  これから長寿化の、日本は世界一の長寿国でありまして、単身で生活される方も多いと。また、仕事の分野も、家族それぞれ違う場所で生活される方も多いということで、そういう単独で生活するような場合にどう健康管理をしていくか、これが非常に大事になってまいりますので、更にこういういろんな角度から調査を進めていただいて、いいアドバイス、いい健康管理の方法等があればそういう方々にお知らせしていただいて、健康で長く社会で活躍していただけるようにしていただきたいと、そのように思っております。  以上で質問を終わります。
  483. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で渡辺孝男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  484. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、紙智子君の質疑を行います。紙智子君。
  485. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  私は、BSEの調査で先ごろ米国に行ってまいりました。米農務省と会談し、そして関係者、関係団体との聞き取り、そして日本に問題となった危険部位を輸出してきたニューヨークにありますアトランティック社にも行ってまいりました。この中で、米国農務省の食品安全局のBSEの違反記録というのを入手いたしました。それがここに今日積んでありますものです。  それで、お聞きしますけれども、川崎厚生大臣、そして中川農水両大臣は、この文書について御存じでしょうか。
  486. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) ノンコンプライアンスレコードというやつでよろしゅうございますか。
  487. 紙智子

    ○紙智子君 はい。
  488. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 米国政府によると、屠畜場等の施設に常駐する農務省食品安全検査局の検査官が施設の衛生管理を検証し、連邦規則に適合していない事例を発見した場合には、施設側に対し問題を指摘し必要な処置を講ずることを指示した上で違反内容の改善処置の検証を行っており、これらの内容を文書として保管をしている、それがノンコンプライアンスレコードだと承知しております。  このノンコンプライアンスレコードについては、昨年米国側に確認したところであり、二〇〇四年一月から二〇〇五年五月までの間に、六千か所の屠畜場や食肉処理施設場において累計千三十六件のBSE関係規制への不適合の指摘がなされ、指摘を受けた施設等では改善処置が適切にとられたと考えておりますし、六施設が取消しになったと承知しております。
  489. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 私は、既に国会で何回も答弁を申し上げておりますが、このレポートについては承知をしております。中身は、今厚労大臣の認識と同じでございます。
  490. 紙智子

    ○紙智子君 これは八月に出されているものなわけですけれども、これを日本はいつ米国から入手をされているのか、そして食品安全委員会にはその原本を提示して議論はされたんでしょうか。
  491. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今のノンコンプライアンスレコードは、昨年の八月十七日に米国農務省がその概要を公表いたしました。私ども厚生労働省においては、翌八月十八日に在京米国大使館を通じて概要を入手、八月二十三日に外務省を通じて個票を入手いたしました。  食品安全委員会に対しては、昨年八月二十四日に開催されたプリオン専門調査会において、米国農務省が公表した概要に基づき、違反の確認から改善処置がとられるまでの記録であるというノンコンプライアンスレコードの性格や一千三十六件の内容を説明いたしました。個票に基づき、個票を全部お示ししたわけではありませんけれども、個票に基づきながら千三十六件の具体的な内容について御説明申し上げました。
  492. 紙智子

    ○紙智子君 議論はされましたか。
  493. 寺田雅昭

    政府参考人(寺田雅昭君) 今大臣がおっしゃいましたように、このノンコンプライアンスレコードにつきましては、八月二十四日のプリオン専門調査会で厚生労働省からその概要につきまして報告を受けまして、そのこと、内容自身につきましては議論はしておりません。  九月の、その次のプリオン専門調査会には、私ども更に資料を管理機関を通じまして米国に要求をいたしまして、そのときにより詳しい、そんな詳しいものじゃございませんけれども、詳しい資料と説明を受けました。その場合も審議をいたしませんでしたが、米国における管理状況全般に関しましてこの資料も含めまして議論をいたしまして、その結果につきましては評価報告書の中にもこの数も含めましてきちっと書いてございます。  以上です。
  494. 紙智子

    ○紙智子君 なぜ議論をされなかったのかと思うわけですけれども、つまりその概要は報告をされていると。しかし、原本は示されていないので、実際にはリアルなこのアメリカの食肉処理の実態が、皆さんちゃんと把握されていたんでしょうか。
  495. 寺田雅昭

    政府参考人(寺田雅昭君) この資料だけじゃございませんで、膨大な資料、その場で直接議論はしなくても、それぞれ持って帰ってそれを読んで、疑問点は次のプリオン専門調査会で質問するとか、そういう形で議論を進めていますので、このこと自体に関して審議をしなかったからといってアメリカの管理情勢をきちっと把握していないということにはならないと思いますし、今大臣がおっしゃいましたように、この千三十六の違反事項に関しましては、これは管理機関から通じてお聞きしたことでございますけれども、是正をしたということであります。  以上です。
  496. 紙智子

    ○紙智子君 これは、御本人はお読みになられていますか。それから、これは厚生大臣、農水大臣、中身はお読みになっていますか、原本は。
  497. 寺田雅昭

    政府参考人(寺田雅昭君) 原本は読んでおりません。私どもに手に入りました資料は、最初のファクトシートみたいな一枚のものと、それから、その後アメリカの農務省から出ました概要四ページのものだったと思います。  以上です。
  498. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) あの概要については見させていただいております。  千三十六件の不適合事例、カット施設においてHACCPプランどおりに実施されていないもの四百五件、SRMを取り扱ったナイフの洗浄や従事者の手洗い、脊髄の除去が不十分なもの四百六十七件、SRM除去や研修などに関する記録の不備など記録の保存に関するもの百六十四件。いずれにせよ、これは不適合を指摘し改善等の措置がとられた記録であり、この結果、BSE関係規制が適切に遵守され、食品の安全性は、アメリカにおいては、アメリカのルールですね、アメリカのルールとしては確保されているものと考えております。
  499. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 六千か所の全文、今初めて今遠くから拝見をしておりまして、膨大な資料だと思います。概要については報告を受けております。
  500. 紙智子

    ○紙智子君 私は、なぜこれ自体のことが議論にならなかったのかというのが非常に不思議なわけです。実は、こんな重要な資料をちゃんとこう原本として出さなかったというのはこれはなぜなのかなと思うんですよ。  今日、皆さんにお配りしている資料は、実はこの中のごく一部、それも日本に向けた工場、日本に出す工場ということで、五つの工場をピックアップしてこれは訳したものなんです。これ読んで、非常に私は驚きました。  大臣は、前回の農水委員会のときにも、日本向けのプログラムさえ守られていれば、ほかの工場がどうでも構わないというようなことをおっしゃっていたわけですけれども、その日本向けの指定食肉処理場においても、何度も何度もこれ同様のBSE違反が行われているわけです。  それで、ちょっとパネルにしましたけれども、ごらんいただきたいんですけれども、(資料提示)このように、上はカーギル・ミート・ソリューションというところですね。違反のあった日が六回ですよ。結局、これは危険部位を除去しなければならない三十か月齢以上の年齢確認がされないまま処理されている事例がこのうち五件あるわけです。一度間違ったら二度間違えないということが担保されてないということなんですね。是正されないで繰り返されているということを示すものなんです。  この下のネブラスカ・ビーフ、ここは危険部位の脊髄の除去不徹底で何度も違反が繰り返されていると。このお配りした資料の最後の方にも書いてあるんですけれども、この記録においても、同種の違反が、途中抜きますけれども、過去に記録されていると。同社の以前の防止対策及び是正対策は、違反の再発を防止するために適切に実施されておらず、非効果的、また不適切であると、そういうふうに書かれているわけですね。  ですから、その場その場で是正されても同じ間違いを繰り返していると。このような言わば常習的な違反行為を行っている企業が日本向け指定食肉処理として指定をされているということなんですよ。  中川大臣御存じでしたか。
  501. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) その六千件のうち千三十六件ですか、の指摘があったということは、先ほど申し上げたように報告を受けております。そしてまた、それらについては是正措置が取られた。今、紙委員からいただいた資料にもそういうふうに書いてあるわけでございます。  我々は、あくまでもリスク評価に基づいたリスク管理機関として、EVプログラム違反にならないということを前提にリスク管理行政を行っているところでございます。
  502. 紙智子

    ○紙智子君 これのどこが是正されたって言えるんですか。繰り返されているんですよ。
  503. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今回のこの千三十六件、対日輸出認定施設に係る発行状況整理中でありますけれども、最大でありましたのが十二件、最小で零件、ゼロ件となっております。  御指摘の違反発見は、三十か月齢以上の牛の頭部の不適切な取扱い、繰り返し六件、背割りのこぎりの洗浄が不十分なもの一件、SRMのレンダリングが不適切なものが一件と承知しております。  なお、これは、二〇〇四年に何回も指摘を受けて、二〇〇五年以降は適正に運営されておるというふうに私ども承知しております。
  504. 紙智子

    ○紙智子君 プリオン専門委員会でも、検討する資料がまだまだ少ないという意見が出てたわけです。そこにきちっとこういうリアルな中身で報告もされて提出されていたら、当然議論になっていたし、これ出た結論も違っていたんじゃないかと。そうじゃありませんか。
  505. 寺田雅昭

    政府参考人(寺田雅昭君) まあ、仮定の問題でございますけれども、私ども結論のところに書いてありますように、科学的にはきちっとした評価はできないということ、そういうことを含めて言ってあるわけでありまして、前提条件としてEVプログラムがきちっと行われれば差は非常に少ないと。  だから、それを含めての話でございまして、今先生がおっしゃったようなこと、たとえあったとしても、あの結論には変わりはなかったと思っております。
  506. 紙智子

    ○紙智子君 私は、こんな重大なことを概要だけで、リアルな全貌も示さないで、それでこういう形で輸入再開を急いだ政府の責任というのは非常に大きいと思いますよ。  やっぱり私はこれ、輸入の再開を判断したということ自体が誤りだったんじゃないかと。違いますか、農水大臣
  507. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 十二月の八日、昨年、食品安全委員会からのリスク評価の答申をいただいた上で、厚生労働大臣、川崎大臣輸出再開を決定したところでございます。
  508. 紙智子

    ○紙智子君 非常にそっけない返答なんですけれども、なかなかお認めにならないようですけれども。  大臣自身が、今回の米国の報告を受けて、特異な例というふうに思わない方がいいというふうに言われているようですけれども、そのとおりなんですよ。この違反記録は、二月に米国農務省の監査局が発表している監査報告書、オーディットレポートってありますよね、これとも内容が共通しています。それから、その前に食品検査支部全国評議会の議長が告発をしている、これとも、その中身を裏付けるものでもあるわけです。つまり、流れは一緒なんですね。  ですから、違反行為が常習的に繰り返されているということが、これ浮き彫りにするものじゃないですか、そう思いませんか。
  509. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 私が特異な例とは思わないというふうに申し上げたのは、アメリカ側が、報告書の中に書いてありますように、こういうふうに検査官もあるいは処理業者も知らなかった、だから特異な例だという指摘が、発言がアメリカ側からあったわけでございますけれども、私としては、特異か特異でないかというのはアメリカ側の判断かもしれませんけれども、現にEVプログラム違反がはっきりしていたということについては、特異も特異じゃないもなく、これは違反であるという意味で申し上げたわけであります。
  510. 紙智子

    ○紙智子君 まだ、実はこれだけじゃないんですね。  違反が起きないように歯止めになるべき米国食品安全検査局、検査官ですね、これが十分な事実確認をしないまま署名をする事例が少なからずあるという実態もあるわけです。  それで、今日お配りしている資料に付いていますニューズウイークでも報道されています。これは、大臣御存じですか。
  511. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 私は、たまたまニューズウイーク日本版を毎週読んでおりますので、ここのところ何回かこれに関する報道があったことは、一購読者としてもまず知ったわけであります。
  512. 紙智子

    ○紙智子君 今回、米国で私は直接、この中に登場してまいります全米連邦獣医官協会の法律顧問ウィリアム・ヒューズさんから直接証言をいただいたんです。  それで、彼は、これまで輸出証明書の署名に必要な条件を満たしていないと拒否したことが理由になって処分をされた何人かの獣医官を弁護しています。彼の証言というのは、問題は、中には、検査官が回ってきた文書について、批判的にチェックして点検するというんじゃなくて機械的に署名すればいいというところもあるという問題があると。ちょっと途中省きますけれども、時には、署名する文書が余りにも多くて獣医官は自分では要件を確認できない、他人が作成した輸出証明書その他の文書に署名せざるを得ないと、農務省は職員のすべてにこのことを知らせる必要があるんだというふうに彼は言っているわけですね。  今回のジョハンズ長官が出した報告書、この報告書の中を見ても同じようなことが言われているわけですよ。公衆衛生獣医務官の裏付ける証言がある。つまり、現場を見ないで、商品を見ないでこれはサインをしていると。検査官の署名の信頼性そのものが問われる事態だというふうに思いますよ。これで本当に安全な確保ができるんでしょうか。いかがですか。
  513. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) このレポートに、ノンコンプライアンスレコードにつきまして、私ども、十一施設、昨年十二月十三日から二十四日まで視察に行っております。そのときに、対日輸出施設の監督状況輸出証明プログラムが規定する品質管理プログラムの文書化の状況、特定危険部位の除去の実施状況、二十か月月齢以下の月齢証明書の遵守状況、あわせて、直近のこのノンコンプライアンスレコードについて出されたか、そしてきちっと改善をされたのかということに基づいて聞かしていただいて、その問題をクリアをして報告をさせていただいております。  なお、食の輸入に当たって、食品衛生法第九条二項の規定に基づき、輸出国の政府機関が発行する証明書の添付を義務付けております。この証明書の記載事項については、特段の規定は設けておりません。あくまで輸出政府の責任においてなされるものと、こう考えております。
  514. 紙智子

    ○紙智子君 とにかく、やはりまともにこの問題をきちっと議論もしない。そして、米国がクリアされたと言えばそのとおり信じて、きちっと調べもしない。そういう中で輸入再開をやってきたという日本政府のやっぱりずさんさに対しては、私は本当に責任を問うてこの質問を終わらせていただきます。
  515. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で紙智子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  516. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  517. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  一九七一年、沖縄返還協定が調印されました。ところで、これについて、協定とは違う合意があったという公文書がアメリカからたくさん出ています。土地の原状回復費として四百万ドルを、アメリカが払うのではなく、実際は日本が払ったというものです。また、吉野文六さんの事実を認める証言があります。  吉野文六さんは、当時、どのような役職で、どんな仕事をしてらしたんでしょうか。
  518. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  吉野局長は、沖縄返還当時、アメリカ局長の職にあったというふうに承知しております。
  519. 福島みずほ

    福島みずほ君 どんな仕事をしていたかというのを聞きました。どんな仕事をしていたか。
  520. 小野清子

    委員長小野清子君) もう一度お答えください。どんな仕事をしていたか。
  521. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) アメリカ局長の職にあり、日米関係に関連する仕事に従事をしていたというふうに承知しております。
  522. 福島みずほ

    福島みずほ君 吉野さんのオーラルヒストリーの文書、一九九九年の中でも彼は認めてます。私も先日、吉野さん自身にお会いをして、きちっと話を聞いてきました。アメリカの公文書の言うとおり、吉野さんの言うとおりでしょうか。
  523. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のあったアメリカ局長の発言の内容につきましては、私ども承知はいたしておりません。  いずれにいたしましても、沖縄返還国会というのは、昭和四十六年、四十七年ぐらいだったと存じますけれども、そのときの外務大臣はどなただか、ちょっと正確な記憶はありませんけれども、歴代外務大臣がこの種のことに、これに関しましては説明をいたしておるとおりでありまして、沖縄返還の際にいわゆる支払われます日米間のいわゆる合意に関しましては沖縄返還協定がすべてであって、それ以外のいわゆる密約というものはございません。
  524. 福島みずほ

    福島みずほ君 当時と事情が変わりました。今日お配りしていますが、アメリカからたくさん公文書が出ています。また、当時の担当者が合意外の、協定外の合意があったと認めているわけです。  アメリカの公文書が本物かどうか、調査しましたか。
  525. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  御指摘の資料でも配っていただいております文書につきまして、その性格に関しては政府としては承知しておらないということで、その内容も含めてコメントする立場でないということでございます。
  526. 福島みずほ

    福島みずほ君 何言ってるんですか。アメリカ側があると言って認めている。当時の日本の担当者も認めている。それが違うというんなら、どういう調査をしたんですか。なぜ否定できるんですか。
  527. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 先ほど麻生外務大臣からもお答え申し上げましたとおり、政府といたしましては、昭和四十六年、四十七年の沖縄返還国会当時から一貫して御説明を申し上げているとおり、沖縄返還に際する支払に関連する日米の合意というのは沖縄返還協定がすべてであるというのが立場でございます。
  528. 福島みずほ

    福島みずほ君 アメリカの公文書はガセネタですか。
  529. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  御指摘のアメリカの文書については、先ほども申し上げましたとおり、政府としてはその性格について承知していないというのが立場でございます。
  530. 福島みずほ

    福島みずほ君 吉野さんになぜ問い合わせをしないんですか。
  531. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) これは、繰り返しの答弁になって申し訳ございませんけれども、御指摘のその沖縄返還に係る経費につきましては、一貫して政府が繰り返し答弁しているとおりでございまして、日米間の合意は沖縄返還協定がすべてであると、密約というのは一切存在してないということでございますので、改めて吉野元アメリカ局長に問い合わせをする必要は、確認をする必要はないという立場でございます。
  532. 福島みずほ

    福島みずほ君 完璧な証拠があります。アメリカ側の公文書、日本側の担当者、両方が、両方があったと言っているんです。それをなぜ否定できるのか、根拠を示してください。国民の税金がどう使われたか、国会に対して、国民に対してうそをついていたかどうかの問題ですから、調査すべきです。どういう調査をされているかも含めて答えてください。
  533. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 繰り返しの答弁になりまして誠に申し訳ございませんけれども、先ほどから申し上げておりますとおり、政府が一貫して説明しているとおり、沖縄返還協定がすべてであって、それ以外の密約は存在してないというのが基本的立場でございます。  また、沖縄返還に関する、関連するファイルというものを念のため調査はいたしましたけれども、密約を存在する文書は見付かっておりません。
  534. 福島みずほ

    福島みずほ君 政府の基本的態度を疑うような公文書がたくさん出てきた。当事者も、あなたたちのOBが、担当者、本人のサインがあるんですよ。自分のサインだと認め、事実を認めています。  ファイルは幾つあって、どういう調査をされたか、どういう分類になっているか、教えてください。
  535. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  沖縄に関連するファイルというのは約千冊ございます。このうち沖縄返還協定に関連するファイルというのが三百、約三百五十冊ということでございます。
  536. 福島みずほ

    福島みずほ君 全部出してくださいよ。私たち、調査しますから。
  537. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 必要が、可能なものについては既に情報公開に基づいて提出をしているということでございます。
  538. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本とアメリカで合意をしている。日本の担当者のサインがある。だけど、アメリカ側は公文書を出している、アメリカにはある、でも日本にはない。じゃ、だれかが捨てたんですか。大変な問題ですよ。当時の担当者に当たって、捨てたかどうかの調査をしてください。いかがですか。
  539. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 先ほども御説明したとおり、当省にある関連するファイルというのは念のため調査を既にいたしました。その中に関連する文書は見付かってないと、密約を示唆する文書は見付かってないというのが事実でございます。
  540. 福島みずほ

    福島みずほ君 ファイルを全部出してください。本当にないのかどうか。アメリカにあって、なぜ日本にないのか。それから、なぜアメリカに対してこの調査をしないんですか。
  541. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 先ほど、繰り返しの答弁になりますけれども、政府の本件についての立場、考え方というのは、昭和四十六年、七年の沖縄返還国会当時以来から繰り返し御説明しているとおりでございまして、沖縄返還協定がすべてであると、それ以上の密約というものは存在してないというのが政府の確固たる立場でございまして、これ以上そのアメリカの文書の一々を確認する必要はないという考え方でございます。
  542. 福島みずほ

    福島みずほ君 吉野さん、うそついているんですか。
  543. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答えいたします。  吉野局長の、元局長の御発言についていろんな報道をされているということは承知しておりますけれども、その発言の個々の内容については我々は承知しておりません。  いずれにいたしましても、政府が申し上げているとおり、沖縄返還協定がすべてであって、密約は存在してないということでございます。
  544. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は本人にお会いをしました。  なぜ調べない。重要なことが、日本政府だけ、あなただけ否定しているんですよ。日本政府だけ、外務省だけ否定しているんですよ。あとは全部認めています、アメリカ側も、当時の人も。うそついているのはだれかって本当に聞きたいですよ。なぜ聞かないんですか。吉野さんになぜあなたは事実を、当時どうだったんですかとなぜ聞かないんですか。
  545. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 繰り返しの答弁になりますけれども、密約は存在しないというのが政府の確固たる立場でございまして、これ以上、吉野元局長に確認する必要はないというのが考えでございます。
  546. 福島みずほ

    福島みずほ君 密約、協定外合意はなかったのが基本的立場は分かります。それを覆すたくさんの公文書と当事者の証言が出てきた。揺らいでいます。調査すべきです。
  547. 小野清子

    委員長小野清子君) どなたに。
  548. 福島みずほ

  549. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) たしか河野外務大臣のときにも似たような話があって、一回本人に聞いたと思うんですね。そのときの答えは、なしと、そういうものはないと当時お答えになった。  それから何年たったか忘れましたけれども、今に至って今度はあると、自分が署名したと。河野外務大臣のときはないと答えられて、今度はあると答えられておられますので、私どもは、ないというお話を一回きちんと外務大臣として聞いておられますので、今回、何かどう変わられたんだか知りませんが、あると言われても、私どもは一回ないというお答えを基にして答弁をさせていただき、それで一貫、昭和四十七年以後ずっと一貫して答弁をさせていただいておりますので、今、河相の申し上げた以上の答弁のしようはございません。
  550. 福島みずほ

    福島みずほ君 アメリカ公文書の吉野さんのサインは、これ偽物ですか。
  551. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 先ほども申し上げましたとおり、アメリカの公文書、公文書館から発出された文書については、その性格を私どもとしては承知する立場にございませんので、コメントは差し控えさせていただきます。
  552. 福島みずほ

    福島みずほ君 河野外務大臣はどのような調査をされたんですか。
  553. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私の伺ったところでは、本人に直接電話をされて確認をされたら、ないということだったそうであります。
  554. 福島みずほ

    福島みずほ君 事情が変わりました。アメリカから公文書が出て、本人は証言されました。私は、その文書を基に本人に何時間か掛けて確認をいたしました。状況が変わりました。  外務省は、いったん決めたらうそはつき続かなくちゃいけないというのでは、政府への信頼がなくなります。この予算が思いやり予算や現在につながるから、今質問をしているのです。在日米軍基地の今の再編についても、どんな合意が、協定外合意があるか分からないじゃないですか。アメリカが全部書類を出している、たくさん公文書がある、担当者が認めている。何で外務省だけないと言うんですか。
  555. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私どもはないからであります。
  556. 福島みずほ

    福島みずほ君 三百あるファイルを是非出してください。また、なぜアメリカや、現時点において状況が変わった段階で吉野さんに問い合わせをしないのか、改めてお聞きします。  合意、協定外合意がないという立証は政府側にあります。それを、なぜ私たちが納得いくような説明がないんでしょうか。
  557. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  先ほどから御説明しているとおり、四十六年、四十七年の沖縄国会当時以来から、事情についてはいろいろ御質問を受け、その中で政府としては一貫して説明をしてきているということでございます。
  558. 福島みずほ

    福島みずほ君 大臣、お願いします。(発言する者あり)状況が変わったんですよ。当時は分からなかった。でも、アメリカの公文書が出て、当事者が発言している。アメリカと日本側が合意をしているわけです。  麻生大臣、これについて調査をお願いいたします。
  559. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 繰り返しの答弁で恐縮ですが、今申し上げましたとおり、昭和四十六年、四十七年のことに関しまして、以来、一貫して答弁を申し上げておりますし、同様の問題は河野外務大臣のときに一回既に似たような話がありましたときにも外務省として調査をした上での答弁。今回は事情が急に変わったと言われても、アメリカの公文書を見られて、私どもの方の公文書にはございませんので、私どもとして改めて調査する気はございません。
  560. 福島みずほ

    福島みずほ君 アメリカの公文書が偽物だという理解はこちら分かりません。両当事者がやったわけですから、調査を要求します。  柏木・ジューリック秘密覚書があります。これは財務省のものです。財務省にこの文書ありますか。
  561. 井戸清人

    政府参考人(井戸清人君) 財務省にその文書はございません。
  562. 福島みずほ

    福島みずほ君 今後、アメリカに公文書があり、日本の担当者が認めて、日本政府だけいったんうそをついたらうそをつき続けなければならないというのでは、国会に対して、国民に対してうそをついていることになります。財政民主主義の観点から大問題があるということで、今後も追及していきます。
  563. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会