○清水嘉与子君
少子高齢社会に関する
調査会における
中間報告の概要につきまして御
報告申し上げます。
本
調査会は、第百六十一回国会に設置され、
調査テーマを「
少子高齢社会への対応の在り方について」と定め、二年目は「
少子高齢社会の課題と
対策に関する件」を
調査事項として、
調査を行ってまいりました。
調査会では、
政府からの説明及び参考人からの意見聴取、
調査会委員間の自由討議等を通じ、団塊世代の諸課題、人口減少
社会への対応、企業及び地域における子育て
支援の
取組、女性の健康、経済的
支援等について広範な議論を行い、その課題の把握に努めてまいりました。
このような
取組を経て、五本の柱、十七
項目から成る
少子高齢社会への対応の在り方についての提言を含めた
中間報告書を取りまとめ、去る六月七日、
議長に提出いたしました。
以下、提言の主な
内容について御
報告申し上げます。
平成十七年の
我が国の合計特殊出生率は一・二五と過去最低を記録し、人口減少も
政府の予測を上回る速さで進んでおります。もとより、結婚、出産、夫婦間の子どもの数は当事者間の自由な意思と選択に基づくものではありますが、結婚、出産、子育てを阻害する要因を早急に除去し、
社会として
支援していくことが現在求められている政策的対応と言えます。これまでの少子化
対策の中心は子育てをする親の視点に立ったものでありましたが、今後は、その
対策の更なる
充実に加え、子育ち、結婚・家庭形成の視点、さらには地方分権の
推進が強く求められるところであります。
提言の第一は、「結婚・家庭形成に向けての環境
整備」として、若者の安定した雇用機会の
確保、正規・非正規雇用者間の賃金格差の是正、多様な働き方や再挑戦を可能とするシステムの確立、家庭を築くことや子どもを育てることの重要性に対する
意識啓発、長時間労働の是正等、男女の出会いの機会
確保のための環境
整備等であります。
第二は、「男女の健康と出産」として、妊娠・出産適齢期についての健康教育の
推進、中絶を余儀なくされる若い世代の出産、子育てに対する経済的、
社会的環境の
整備、不妊治療の公費助成の拡充、不妊治療等で生まれた超未熟児の育ちについての
調査、長時間労働と不妊の関係についての総合的な
調査、助産師の
確保等による安全で女性が望む環境での出産のための
体制整備、小児科医、産科医の不足に対応するための医師の勤務条件の
整備や女性医師に対する子育てとの両立
支援等であります。
第三は、「子育てのための環境
整備」として、保育の質を
確保しつつ待機児童を解消する
取組の
推進、子育ての形態による不公平解消のための
対策の
推進、放課後児童
対策の更なる
充実、育児休業取得後の職場復帰や退職した女性への再就職
支援、採用上限年齢撤廃に向けた指導の強化、分割取得等を可能とする柔軟性の高い育児休業制度の実現、育児休業の父親割当て制度の導入の
検討、児童手当の支給
内容等についての税制や育児保険制度等その財源も含めた
検討、若年層に対する良質な居住環境の
確保、所得税における配偶者控除、扶養控除等の在り方や課税単位等についての多角的な
検討等であります。
第四は、「子どもの健やかな育ちの
確保」として、子どもを対象とする犯罪に対する地域全体の連携による対応の
推進、団塊世代を始めとする地域の人の持つ能力の積極的活用による新たな地域コミュニティの形成、子どもの養育環境による
法律的、
社会的な差別、不利益の解消に向けた
取組等であります。
第五は、「地方分権による少子化
対策の
推進」として、少子化
対策において地域の工夫や
取組が生かされるよう財源の移譲を含めた地方分権の積極的な
推進であります。
一・二五ショックとも言われる
平成十七年の合計特殊出生率を踏まえるなら、実効ある少子化
対策への
取組は一刻の猶予も許されないところであり、
政府はもとより、企業におかれましても、本提言の
趣旨を
理解され、これらの実現に努められるよう
要請するところであります。とりわけ、
政府においては、
平成十九年度において講ずべき少子化
対策に反映させていくことを強く期待するところであります。
以上、御
報告申し上げます。(
拍手)