○山本香苗君 私は、自由
民主党及び公明党を代表し、
建築基準法等の一部を改正する
法律案につきまして、
小泉総理並びに
北側国土交通大臣に
質問いたします。
質問に入る前に、五月二十七日、インドネシアのジャワ島中部で大規模な地震が発生し、既に五千人を超える尊い命が犠牲となっております。お亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。と同時に、被災された方々に対しまして心よりお見舞い申し上げます。
支援の手が遅れれば遅れるほど被害が拡大します。我が党は地震直後に
対策本部を立ち上げ、昨日から現地へ調査団を派遣しております。今回のジャワ島中部地震に対して、現地のニーズを踏まえ、迅速かつ十分な支援を行っていただきたいと強く要望いたしますが、この点、
総理の御見解をお伺いします。
また、一昨日、参議院災害
対策特別委員会として新潟県を視察してまいりました。新潟県中越地震から一年半以上がたった今なお、地震の残したつめ跡は被災された方々の
生活に色濃く残っております。一日も早く復旧できますよう引き続き
全力の支援をしていただきたいと思いますが、
総理の力強い御
答弁をお願いいたします。
本題に入ります。
建築物に対する
信頼を大きく揺るがした
耐震強度偽装事件発覚から半年以上が過ぎました。現在、ようやく
関係者の逮捕や処分が行われておりますが、なぜ
耐震偽装が行われ、多くの危険な
建物ができてしまったのか、だれにどのような
責任があるのか、まだ明らかになっておりません。
そこで、まず
総理にお伺いします。
総理は、この問題をどうとらえておられるのか、
総理の基本
認識を伺います。併せて、
再発防止に向けた
取組を今後どう進めていかれるのか、任期中にそれなりの道筋を付けようというお考えがあるのかどうか、
総理の御決意をお伺いします。
また、今回の
事件の
被害者救済については、昨年末に当面の対応策を素早く取りまとめていただきました。しかし、現在、住民の皆様は重い追加負担を前に手詰まりの状態となり、再建は進んでおりません。他方、家賃補助は二年間と、時間との闘いもあります。二重ローンの問題等々もあり、国交省だけでは対応し切れない問題も出てきております。
今後、どう
被害者を救済していくのか、
被害者の皆様が希望を見いだせるような
答弁を
小泉総理にお願いいたします。
以下、順次、
北側国土交通大臣に
質問いたします。
まず最初に、確認
検査制度について伺います。
構造設計は難しいプロの仕事で、プロにしか評価できないものであったにもかかわらず、
民間確認検査機関にも
行政側にも
構造設計の実務経験を持つ担当者がほとんどおらず、形式的な
チェックしかできていなかったと言われております。今回の法案では二重
チェックするための
第三者機関の新設が盛り込まれておりますが、今の
検査体制の中に創設すると
民間確認検査機関と役割がダブるのではないか、新たな天下り先になるのではないか、また、コンピューターによる複雑な
構造計算を
第三者機関が本当に
チェックできるのかといった懸念がなされております。
新たな
第三者機関による
検査は具体的にどのようにして行われるよう
制度設計されるのでしょうか。様々な懸念を払拭するような明快な御
答弁を求めます。
現行の確認
検査制度の最大の問題は、
建築確認に不備があった場合、だれが
責任を負うべきかあいまいであることだとの
指摘がございます。今回新たに創設される
第三者機関も含め、建築主、
設計者、
施工者、
確認検査機関、また
確認検査機関を指定した国や都道府県が
検査結果にどれだけ法的
責任を負うことになるのか。この点、今回の
法改正でどう明確になるのか、併せてお答えいただきたいと思います。
今回の確認
検査制度の改正に当たっても、
大臣認定
プログラムを使用することが前提となっております。
大臣認定
プログラムは
設計の手助けにはなりますが、これだけできちんとした
構造設計ができるというものではありません。にもかかわらず、
大臣認定
プログラムで計算したと言えば、間違っているはずがないと過度に依存されておりました。
耐震偽装事件の発端もこの
大臣認定
プログラムから始まっております。
そこで、改めて
大臣に
質問します。
大臣認定
プログラムの内容、
利用の仕方については、もう一度
専門家の意見をよく聞いて
検討を加えるべきではないかと思いますが、
大臣のお考えを伺います。
次に、自治体の
監督権限
強化について伺います。
今回の
法改正において、自治体の
検査機関への
監督権限
強化が盛り込まれております。
監督するということは、
監督される側よりも高度な能力を持っていなければなりません。しかし、昨今、東横インの不正改造問題や九州で相次いで見付かった非姉歯問題などで、地方自治体の
監督能力を疑わせる
事態が相次いでおります。
今後、国として、自治体の
監督能力の
向上をどう支援し、
確保していこうとお考えなのでしょうか。具体的な
答弁を求めます。
次に、
中間検査について伺います。
中間検査は、
平成十年の
建築基準法改正のときに
導入され、今回の法案では三階建て以上の
共同住宅について全国一律に義務付けることになっております。
建築確認で見逃したとしても、工事現場できちんと
検査をすれば、おかしいと気付くはずです。そういう意味で、
中間検査は極めて効果的であると思います。しかし、今回の
事件でイーホームズは
中間検査を行ったと主張しております。とすると、
建築確認でも
中間検査でも
偽装は見逃されたわけです。たとえ
中間検査を義務付けたとしても、今の形だけの
検査では意味がありません。
せっかく
導入するのであれば、ただ単に義務付けるというだけではなくて、
中間検査の仕方や内容について海外の例を
参考にして充実
強化を図るべきだと考えますが、北側
大臣の御所見をお伺いいたします。
今回の
法改正で
建築士等の
業務の
適正化及び
罰則の
強化等が行われることとなっておりますが、幾ら規制を
強化しても、
構造というものを軽視する風土が変わらなければうまく機能しないのではないかと思います。西欧では、
専門家の仕事は競争になじまないとして、建築家の
団体が
構造設計料など報酬を
一定程度コントロールしているそうです。我が国においても同様の
考え方が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
最後に、新たな
保険制度について伺います。
住宅品質
確保法は、十年間の
瑕疵担保責任を
売主などに負わせておりますが、
売主が倒産してしまえば無意味な
規定であることが今回の
事件で明らかになりました。今回の法案では、
住宅販売時に
保険加入の
有無について
説明することを義務化しましたが、実際、
保険に加入している
物件はわずかです。
安心して
住宅を購入できるようにするためには新たな賠償
保険制度の創設が必要だと思います。今回の法案には盛り込まれず、引き続き
検討すべき
課題となっておりますが、一刻も早く具体的な案を取りまとめていただけますよう、北側
大臣の力強い御決意をお伺いしたいと思います。
以上の
質問につきまして、
小泉総理並びに
北側国土交通大臣の明快な
答弁を求めて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小泉純一郎君
登壇、
拍手〕