○松下新平君 私は、
民主党・新緑風会の松下新平でございます。
ただいま
趣旨説明のございました
地方自治法の一部を
改正する
法律案につきまして、会派を代表して質問いたします。
本題に入ります前に、小泉内閣の
政治姿勢について、内閣のスポークスマンであり、ポスト小泉の最有力候補として
国民的人気も兼ね備えた安倍内閣官房長官にお伺いいたします。
先日、靖国参拝の自粛等を求めた経済同友会の「今後の日中関係への提言」に対し、小泉総理は、商売と
政治は別とあっさり切り捨てました。経済界を商売と表現し、
政治とは関係ないと言い切り、口を挟むなと言わんばかりの態度は、
政治のおごり、
思い上がり以外の何物でもございません。
ここでは、単に靖国参拝の是非を取り上げようとしているものではありません。また、揚げ足を取るつもりもありません。
申し上げるまでもなく、
我が国は、資源の少ない、そして狭い国土でありながら、諸外国との交易により世界第二位の経済
発展を成し遂げました。貿易でここまで成長し、そして恩恵を受けてきたからこそ、
政治が、
外交においても自衛隊派遣やODAなどの国際協力もできるのです。
もちろん、
外交ですから、それぞれ思惑があることも承知しておりますが、今回の小泉総理の態度は、
我が国の経済的な
発展を支えてきた財界からの貴重な進言を無視したものであります。本来、経済
発展を支え、障害を取り除くよう努めるのが
政治の
基本的な役割のはずです。
これまで、小泉総理は
政府の重要な政策を決める
会議などに盛んに財界人を招き入れています。それは、経営の実務を通じて培われた識見や
指導力を
政治に生かしたいということではなかったのでしょうか。都合のいいときはそれらを引用し、都合が悪くなると切り捨てる手法は、一国の総理としてあるまじき行為であります。
そこで、安倍内閣官房長官にお伺いします。
安倍長官は、この提言が発表されました九日の記者会見で、コメントのしようがないと言及を避けられました。経済同友会は、退く小泉総理にはこの提言は不要との一部の意見もあったそうですが、次の首相にも求めるということで提言を押し通したそうです。ですから、このことについて正面から答えていただきたいのです。経済同友会が提出した今後の日中関係への提言に対しての御意見と、併せて今後重要なアジア
外交、とりわけ日中関係に対する御
見解もお伺いいたします。
また、簡素で効率的な
政府を目指すという触れ込みで、行政改革関連
法案がただいま本院で
審議されております。いわゆる小さな
政府それ自体は中央
政府のスリム化につながるものとして賛成ですが、行政改革の柱であるはずの地方分権について何ら触れられておりません。確かに、骨格を
規定するプログラム
法案でありますが、当然小さな
政府の推進は地方分権と一体であるはずであり、
法案として不十分であると
思います。
そこで、小泉
政治この五年間の総括と、行革と地方分権の位置付けについて、併せて安倍内閣官房長官の御
見解を伺います。
それでは、議案であります
地方自治法改正案についてお伺いいたします。
地方自治法は、戦後間もなくの
昭和二十二年制定され、
日本国憲法と同日に施行されました。現在まで随時
改正されておりますが、このたびの
改正案は、昨年の十二月に第二十八次地方
制度調査会が小泉総理あてに出された
答申を踏まえたものであります。
以下、本
法律案と地方分権に関する
基本的な
考え方についてお伺いいたします。
まず、
平成五年に、
衆議院、
参議院それぞれ、地方分権の推進に関する
決議がなされております。今から十三年も前のことであります。当時の議事録には、地方の時代と言われて既に十五年もたつが地方分権は遅々として進んでいないことを指摘しております。地方の時代と言われたのは今からもう二十八年も前のことになります。そこには、中央集権体制による弊害を指摘し、地方分権を積極的に推進するための法
制度を始め、抜本的な施策を総力を挙げて断行していくべきと
決議されております。
当時の村田
国務大臣は、一極集中を是正して国土の均衡ある
発展を図り、
生活大国をつくり上げていくために、また二十一世紀の
我が国のグランドデザインを
考えるに際しても、現在議論されている
政治改革、国会等移転に併せ、地方分権のより一層の推進が必要であると
考えていますと所信を述べられています。このとき、地方分権は既に待ったなしの
状況であったわけです。
しかし、十三年たった今日も、真の地方分権にはほど遠い
状況にあります。何が遅れた
原因だったのか、またそれをどのように克服してきたのか、また克服しようとしているのか、竹中総務
大臣に御
見解をお伺いいたします。
昨年一応の決着を見た三位一体の改革も、三年間で四兆七千億円の国庫補助
負担金改革が行われ、地方に三兆円規模の税源移譲がなされました。しかし、中身は、国庫
負担金が削減されたといっても、
義務教育国庫
負担金、児童扶養手当、児童手当の国庫補助率の単なる引下げなど、国の
負担を減らし地方の
負担を増やすだけのものが中心でした。地方六団体の国庫補助
負担金改革案と今回の結果を比較すると、達成率は一二・一%にすぎません。要するに、三兆円規模の税源移譲といっても、国庫補助
負担金削減に伴う経費等、地方に転嫁された
負担の穴埋めで大半が消えることになります。
三位一体改革と併せて、国から地方への
権限移譲や国の関与の縮減などが行われていれば地方行政の自由度も高まったわけですが、このような
改正も十分には行われなかったため、財政面でも政策の執行面でも地方の自主性は一向に高まらなかったと
考えられます。
さらに、地方交付税に関して、三年間で五・一兆円が削減され、厳しい財政
状況の下、行財政改革に取り組んでいる地方公共団体に追い打ちを掛ける結果となっています。
このように、三位一体改革は、真の地方分権の実現からはほど遠いものであり、国の
権限を維持したまま、国の財政再建を前提に地方に
負担を押し付けるものになったと
考えますが、竹中総務
大臣の御
見解を伺います。
上下主従の関係からようやく対等協力の関係になった地方分権一括法の制定は
平成十二年でした。私は当時、宮崎県職員として六年間、宮崎県議会
議員として五年間、地方に根差して活動してまいりました。
そのときの
状況はといいますと、一九九一年のバブル崩壊後、
政府は公共事業を中心に地方に手厚い景気対策を実施しておりました。自治体が交付税を当て込んで借金をし、その返済で交付税がどんどん膨らんでいきました。景気対策で公共事業をどんどんやりなさい、借金の返済分は後で交付税に上乗せするからと
政府に言われ、地方は競って公共事業をやり、借金まみれになりました。そこへ来て、交付税が大幅削減され、自治体は悲鳴を上げております。
後で全部面倒を見るなどといううまい話などあるはずがありません。できもしない約束をした
政府も悪いが、自治体もそこは愚かでした。私も、今更ながら無策を恥じ、もっと早く取り組んでおればと責任を痛感しております。
今、地方の
状況は、生き残れるかどうかの瀬戸際で切実であります。地域間の格差が広がり、財政難も深刻です。そうした中、地方自治体の主財源である地方交付税の更なる削減や配分の見直しが
政府の経済財政諮問
会議などで検討されています。もうこれ以上地方交付税が削減されると予算が組めないという悲鳴が聞こえます。
このような地方交付税の削減議論について、国の歳出削減策として交付税をやり玉に上げるのは言語道断である、まずは国が積極的に歳出削減を進めるべきだと地方から強く求められております。また、経済財政諮問
会議で竹中総務
大臣が示した地方交付税を人口と面積で算出する新型交付税案については、既に反対の
考えを示しています。
行政改革を断行し、歳出削減に
努力しているにもかかわらず、住民サービスが著しく低下せざるを得ないような削減はしないと明言していただけますか。竹中総務
大臣の答弁を求めます。
地方
制度調査会
答申については、主要な部分は盛り込まれず、今回の
地方自治法改正案として提出された
事項は残りの部分にすぎないのですが、法令、
制度における地方の自主性、自律性を高める施策として
答申に盛り込まれたものの中から、唯一
改正案として提出された長、
議長の
全国的連合
組織への情報提供
制度の創設については、実のあるものにするため重要と思われますので、伺いたいと
思います。
現在、長、
議長の
全国的連合
組織、いわゆる地方六団体による意見の申出
制度が
地方自治法で定められておりますが、地方がその事務や
運営、
組織に関係のある法令、
制度について、企画立案段階で事前に国に意見を提出し、それが反映されるようになれば、意見の申出
制度が有効に機能し、地方の自主性、自律性向上に資するものと思われます。
このような
考えから、パブリックコメントに類似する
制度として情報提供
制度の創設が提案されておりますが、これを有効に機能させていくためにはどの段階で情報提供されるかが重要であります。各府省の方針がすっかり決まった段階で申し訳程度に情報提供が行われても意見は反映されないことになり、意味がありません。
この点に関し、地方
制度調査会
答申では、地方公共団体がその意見を反映することができる適切な時期に通知すべきとされていましたが、本
改正案では情報提供を行うべき時期が明瞭にされておりません。竹中総務
大臣に、明瞭にされなかった理由を伺うとともに、どの府省が提出する
法案についても地方の意見を反映すべく適切な時期に情報提供が行われるようにしていくことについて、決意を伺いたいと
思います。
地方自治法改正案では、地方の自主性、自律性を高めるための唯一とも言える
改正内容でありますので、その
内容を十分に達成できるような法の運用を図っていくべきであると
思いますが、竹中総務
大臣に併せて
見解を伺いたいと
思います。
最後に、これまでは都市も地方も豊かになる国土の均衡ある
発展を目指してまいりました。これからは地域格差を前提にして地方は個別の生き残りを目指すべきなのでしょうか。竹中総務
大臣が主宰される地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の目指す地方分権の在り方の具体的なイメージはどのようなものなのでしょうか。ひょっとして、地方自治にも市場原理主義を導入しようとするおつもりなのではないでしょうか。御
見解をお伺いします。
人口減少社会の本格的な到来で、地方はかつてない厳しい
状況になることが予想されますが、そうだからこそ地方の役割も原点に立ち返って
考えてみる必要があります。
今、
日本社会がどうも異質になったと語られております。まじめに額に汗して働くことが古めかしいかのように取られたりしております。何か大切なものが崩れ掛けているのではないでしょうか。少子社会の受皿も
日本再生の受皿も緑豊かな地方にこそあります。地方にこそ子育ての環境があります。共生社会、人間が人間らしく
生活できる土台があります。
日本再生のかぎを握る地方に真の地方分権が実現され、だれもが真の豊かさを実感できる社会づくりのために邁進すべきである、このことを強く訴えて代表質問といたします。(
拍手)
〔
国務大臣竹中平蔵君
登壇、
拍手〕