○谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。
民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました
地球温暖化対策の推進に関する
法律の一部を改正する
法律案について質問をいたします。
冒頭、一言申し上げます。
小池環境大臣には、このたび元気で公務に復帰されましたこと、心からお喜び申し上げます。がしかし、小池大臣が第二次小泉改造内閣で環境大臣と
沖縄及び北方対策担当
国務大臣を兼務されたときから、ある
意味では相矛盾する任務と激務になることが予想され、昨年の本院環境委員会でも私はこの点を指摘をさせていただきました。もし、そうした働き過ぎが今回の御病気の一因だとすれば、それはその任をお引き受けになられたその時点からある程度はお覚悟があったことと言わざるを得ません。
いずれにしても、小池大臣、
是非御自分のお体を大切にして、御自分でできる範囲の
役割を演じることを心からお勧め申し上げます。環境大臣は、小池大臣、あなたお一人なのですから、あなたは今自分の置かれている立場を更に重大に受け止め、現職の大臣が長きにわたって公務から離れることのないように、十分に気を付けられるよう御忠告を申し上げ、早速質問に入りたいと思います。
我が国は、京都議定書を取りまとめた
議長国として、
世界に約束した温室効果ガスの六%削減目標は確実に達成しなければならない立場にあります。しかるに、
我が国の温室効果ガス排出量は、環境省の速報値によりますと、二〇〇四年度においては基準年の一九九〇年比で七・六%の増加となっており、六%削減目標を達成するためには、都合一三・六%もの削減が必要という現状にあります。そして、再来年には京都議定書の第一約束期間、二〇〇八年から二〇一二年が始まります。
そこで、現状ではこのように約束達成は極めて厳しいと言わざるを得ないのでありますが、果たして
政府は一体こうしたことについて本当に危機感を持っておられるでしょうか、お伺いいたします。
政府は、昨年四月に
閣議決定をした京都議定書目標達成
計画において京都メカニズムを本格的に活用する方針を打ち出し、今
国会でそのための法整備を図ろうとしています。しかし、この他国における温室効果ガス排出削減量等をクレジットとして自国の約束達成に利用できる京都メカニズムは、京都議定書上、国内対策に対してあくまで補足的でなければならないとされています。
京都議定書目標達成
計画でも、国内対策を基本として
国民各界各層が最大限
努力していくことが最も重要な
課題となっていますが、国内対策を加速するためには、第一約束期間の前年である来年度に行おうとしている京都議定書目標達成
計画の見直しは極めて重要な
課題だと言わざるを得ません。
そこで、その見直しについてどのような方針で臨まれようとしているのか、お伺いいたしたいと思います。
京都議定書目標達成
計画には、国内対策を講じてなお京都議定書の約束達成に不足する差分一・六%については、「補足性の原則を踏まえつつ、京都メカニズムの活用により
対応することが必要」と記述されています。しかし、一九九八年の
地球温暖化対策推進大綱策定以降、国内対策の見直しが行われてきているにもかかわらず、一・六%の数字だけは全く変わっていません。補足的と言いながら初めに一・六%ありきとする姿勢について、根本的矛盾はないのか、この点についての御
説明をいただきたいと思います。
環境税については、京都議定書目標達成
計画において真摯に総合的な
検討を進めていくべき
課題と位置付けられ、環境省では昨年、一昨年と二年続けて具体的な提案を行っているものの、経済産業省などの反対によって導入は見送られていると承知しています。
京都議定書の目標達成が極めて困難となっている中、環境税の導入は喫緊の
課題であり、民主党としても具体的な環境税の提案を行っているところであります。今や、環境税の導入の
是非を議論している
段階ではなく、どのように導入すべきかを議論する
段階と
考えます。
とりわけ、二階経済産業大臣は、環境大臣の臨時代理のときに環境省に赴き、経産省と環境省は一体となってこの問題を
解決するために具体的に
協力し合うべきだと
国会答弁をされております。
そこで、経済産業省と環境省は、
協議の場を設けて、環境と経済の両立の
観点から、産業界を説得しつつ環境税の制度づくりに積極的に取り組んでいくべきであると
考えますが、国内排出量取引制度の
早期導入と併せて、環境大臣並びに経済産業大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
京都メカニズムには、国際排出量取引、共同
実施、クリーン開発メカニズム、CDMの三つがあり、これらの活用はある程度の大きな
役割を示すものと
考えられます。そこで、この活用はどのように
考えておられ、進めようとしているのか、環境大臣にその方針をお伺いいたします。
また、先進国間での排出枠のやり取りを行う国際排出量取引についても、旧ソ連、東欧諸国におけるいわゆるホットエアの問題もあり、その活用には極めて慎重でもあるべきと
考えますが、この点についてもお伺いしたいと思います。
そして、京都メカニズムの中では、クリーン開発メカニズム、CDMにウエートを置いた
対応を
考えているようでありますが、これに過度に依存するべきではないと私は
考えます。CDMは先進国と途上国の間の共同プロジェクトで生じた削減量を当該先進国が獲得するものであり、しかも、それは結果として先進国の総排出枠を増やすことになりかねません。
そこで、途上国の持続可能な開発への貢献を主張するものであれば、それは環境ODAの増額によって具体的に
対応すべきものであると
考えるのでありますが、この点についても
政府の御見解をお伺いいたしたいと思います。
京都議定書目標達成
計画では、
我が国として、基準年比一・六%相当分、五
年間で約一億トンの二酸化炭素のクレジットを取得することを決定していますが、その確保の見通しとともに、取得のための
費用総額は一体どのくらいになると予想しているのか、次にお伺いいたします。
一方、温室効果ガスの削減に資するものであっても、例えば大規模なダムとか新規の石炭火力発電、あるいは発展途上国で
住民の反対運動が起きているような、別の角度から見た場合、自然環境や
地域社会を破壊するような事業からも安易にクレジットを取得するようなことになれば非常に問題だと言わざるを得ません。
そこで、こうしたことが起きないようにするためにガイドラインを
作成し、それに基づき取得を行うようにすべきではないかと
考えるのでありますが、この点について環境大臣と経済産業大臣にお伺いいたします。
経済産業省では、原油価格の高騰を始め
世界の厳しいエネルギー
情勢を踏まえ、エネルギー
安全保障を核とした新・国家エネルギー戦略の策定を進めており、三月の中間
報告を踏まえて、この五月を目途に
最終取りまとめを行うこととしています。その中間
報告によれば、戦略項目として省エネルギー推進、石油依存度低減、原子力推進などが挙げられており、
地球温暖化対策とは不可分の
関係にあります。
一方、我が民主党のエネルギー政策では再生可能エネルギーの開発、導入を積極的に推進し、天然ガス利用の普及
促進等により石油依存度の低減を図り、原子力政策は安全性を最優先に過渡的エネルギーとして慎重に推進するなどの主張をしています。そして、その上で、戦略的なエネルギー政策を推進するため、
国民の
意見を十分反映した国家エネルギー戦略を構築することとしています。
そこで、今回、新・国家エネルギー戦略を策定するに当たっては、
国民の
意見を十分に聞き、これを十分反映したものにするべく強く求めたいのでありますが、経済産業大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
政府は、二〇〇六年度までに二〇〇一年実績値に比べて二酸化炭素などの排出量を七%減らす目標を決定していますが、二〇〇四年度の実績を見るとまだ〇・八%の削減にとどまっています。その原因の一端には、各省庁の電力購入に際し入札が行われるようになり、その結果、価格は安いが発電
段階で排出される二酸化炭素がより多い電力が購入されるようになったことが挙げられております。そして、これにより一・七%も損をしているとの
政府推計もあります。これでは、この一・七%分を相殺するために、電力料金が安くなった分以上の
費用を掛けて省エネを進めなければなりません。
現在、
政府では、入札方式を環境に配慮したものに
改善する方針と聞いておりますが、入札方式の
改善となると行
政府だけでは決められない問題でもあります。そこで、私は議員立法も視野に入れて
検討すべきと
考えておりますが、その前に、
政府としてこの問題についてどのように具体的に
検討がなされようとしているのか、その状況をお伺いいたしたいと思います。
京都議定書の最大の
課題は、
世界最大の温室効果ガス排出国である
米国を復帰、
参加させることであります。そして、そもそも京都メカニズムは
米国の主張により京都議定書に導入された経緯があり、その
米国が
参加を拒否していること自体は極めて遺憾なことであると言わざるを得ません。そして、
政府としては引き続きあらゆる
機会をとらえて
米国を説得していくべきと
考えるのでありますが、今後どのように
米国に働き掛けていく方針なのか、お伺いいたしたいと思います。
また、京都議定書後の二〇一三年以降のことについては、京都議定書の
枠組みをベースとしつつ、批准していない
米国はもとより、具体的削減義務のない中国や韓国、インドなど途上国も実効的な
参加ができる
枠組みの構築に向けて国際的なリーダーシップを発揮していくべきだと
考えますが、
政府の対処方針をお伺いいたしたいと思います。
以上、結論を申し上げますと、京都議定書は温暖化対策の第一歩にすぎず、今後の温暖化に対しては、真の
意味での究極の目標に向けての長期的戦略を打ち立てる必要に迫られており、またその実行が求められているものと思っております。したがって、この大きな
課題についての
政府の明確な姿勢と強力な
取組の方針を承り、私の質問を終わりといたします。(
拍手)
〔
国務大臣小池百合子君
登壇、
拍手〕