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山本保君 私は、公明党を代表しまして、ただいま
議題となりました
内閣提出の国の
補助金等の
整理及び
合理化等に伴う
児童手当法等の一部を
改正する
法律案について、
川崎厚生労働大臣に
質問いたします。
まず、
児童手当制度の
拡充についてお聞きします。
法案では、昨年の
与党合意に基づき、
子育て支援の柱である
児童手当支給対象年齢が現在の
小学校三年
修了までから小学六年
修了までに
拡大されます。
所得制限も、夫婦と
子供二人の
サラリーマン世帯の場合、年収約七百八十万円が八百六十万円に、また、自営業者の場合は約五百九十六万円から七百八十万円へと緩和されます。これにより、八五%の
支給率が九〇%に
拡大され、
支給対象児童数は新たに三百七十万人増え、千三百十万人に達します。
児童手当について公明党は、昨年の衆院選マニフェストの中で、
平成十八年度に
小学校六年生までの
対象年齢
引上げと
所得制限の緩和を訴えました。今回、
与党合意に基づき
拡大されることを高く評価いたします。さらに、マニフェストでは次の段階として
支給対象を中学三年生まで引き上げ、
支給額も第一子と第二子は一万円、第三子以降は二万円へと倍増を目指すことを明らかにしています。
厚生労働大臣、今回の
改正の
意味、
効果と今後の更なる
拡充の見通しについてお伺いしたいと思います。
少し経緯を申し上げますと、
児童手当制度は、昭和三十年代から自民党内閣もその
必要性を認め、早期実現を与野党一致して決議いたしております。公明党は当時野党でありましたが、昭和四十三年四月に、
児童手当制度の新設と早期実現を目指し、
児童手当法案要綱をまとめ、議員立法として提案しました。その間、東京都を始めとして、
地方議員の尽力により三百以上の自治体で先行実施されていたものです。
ようやく昭和四十七年に
制度化され、その後も四十年間、公明党は一貫して
拡充を主張、特に連立政権に参加してからは粘り強く
政府・自民党を説得してまいりました。その結果、
平成十二年度に
支給対象を
小学校就学前に
拡大、翌年に
所得制限を大幅に緩和、十六年度には
対象を
小学校三年
修了前までに引き上げ、今回は六年
修了前まで
拡充いたしました。この約七年間で
支給対象児童数は五・四倍にも
拡大されたことになります。
この場をおかりしまして、公明党は今後も
児童手当制度の
拡充に取り組む決意を申し上げます。
次に、
三位一体改革について伺います。
今回の
改革に伴い、国と
地方公共団体の
負担割合の
見直しと
負担金、
補助金の
廃止、
一般財源化が行われることになります。そこで、国の重要な
責任が
地方に移っていくことになるわけですが、
社会保障の分野においては質の低下はないだけでは
改革にならないと思います。
地方と
責任を分かち合うことで、これまで以上に細やかな
サービスにしなければなりません。
厚生労働大臣の覚悟のほどをお聞きします。
今回、最終的には
児童扶養手当等の
負担率の
引下げ等で決着をしたわけですが、その過程におきまして
生活保護費ですとか私立保育園運営費などが次々と俎上に上がり、何かお金の数字合わせの様相を呈したことは残念に思っております。
五千億円を割り振るということは
財政の論理です。それに対し、厚労省としての
社会保障
改革のプランを明確に示せなかったように感じます。国と
地方の
責任分担の
在り方や、
水準維持・向上の
責任の在りか、また
費用負担などについて、
社会保障政策の目指すべき将来計画と工程表にのっとった対応を示すべきではなかったのでしょうか。内部にいる専門家にとっては
改革は難しいという面があります。小泉首相のような方が数値目標だけを示す方法も有効だと思います。ただ、現場の専門家としては、その枠内で将来像と優先順位を普通の方に分かりやすく説明する
責任があります。今回について、またこれからの対応について、大臣の所感を伺います。
この際、
国民の関心の高い
介護保険料の
引上げに関連してお聞きしたい。
高齢化の進展による利用者の
拡大要因から、
介護サービス利用が増え、保険料が上がることは私もやむを得ないとは思いますが、私は現在の
介護保険
制度の問題点として、何でも金の風潮が定着しつつあるのではないかと心配しています。というのは、無料や低価格のボランティアさんなどが
介護の現場から締め出されているように感じるからです。
福祉というものは医療等と異なりまして、専門家による高額な
サービスとともに、一方、だれでも助け手になれる
制度のはずであります。私は、六年前、
介護保険法創設当時の質疑で、実際の
サービス費用とは無
関係のそれまで担当していた公務員給料が例えばヘルパー
費用の基準とされていることに強く反対し、その結果、
介護保険法第四十一条各号などに、
サービスの支払は実際に掛かった
費用を
基本とする、大臣の定める法定単価は支払の上限であると、こういうふうに定めています。ところが、この五年間、どこも法定単価に高止まり、果てはボランティアの締め出しすら行われています。
厚労省は、この法の
趣旨を自治体にきちんと周知すべきです。それを受け、自治体は
サービス価格の公開とボランティア等の振興に努めるべきだと主張します。大臣の所感をお聞きします。
最後に、
子育て支援の考え方について大臣のお考えを伺います。
現在の
子育て支援策は、
平成二年、一・五七ショックを受けた海部内閣が発表した「健やかに
子どもを生み育てる環境づくり」が
基本になっています。もっと
子供を産んでくださいという
人口政策に踏み込むのではなく、若い両親が楽しく豊かに子育てができ、将来の
安心を感じられる
社会環境をつくろうというものであります。余談ですが、私は、当時、厚生省の担当官として、この政策発表のとき初めて首相官邸に入りまして、海部総理の後ろで緊張して説明員として立っていたことを思い出します。つまり、産めよ増やせよのように、国や
社会のために
人口を増やそうという政策は一見正しそうですが、実は、これは
社会や国のために
人口を減らそうという政策と同じ根を持つものであり、国はこの政策を取ってはならないものであります。
この環境づくり政策は、その
意味で的を得たものと思いますが、私は何か一つ欠けているように思います。例えば、先日夜、地元のローカル線電車の中で若い御夫婦が小さな男の子を
中心に愛情あふれるやり取りをしているのを見ました。決して豊かなような外見ではありませんでしたけれども、かわいくて仕方がないというその姿に心がじいんといたしました。思わず、この幸せをいつまでもと願いました。また、障害を持った
子供さんを持つお母さんが、当初はなぜ自分だけがこんなふうに、そういう気持ちをだんだん乗り越え、力強く本当に豊かな人生を歩んでいる姿に胸を打たれるわけであります。
確かに、多くのアンケート調査の結果は
経済的な
負担の軽減を求めている人が多いことを示しておりますけれども、例えばそのお金で何をしたいのかまで調査されているのだろうかと気掛かりであります。保育所をつくっても子育ての放棄を助長するにすぎないという意見、それにどう反論すればいいのだろうか。
子供が生まれたら何百万円あげればいいというような
施策、意見はどこかおかしいのではないだろうか。
そこで、大臣、子育てのいろいろな理想像や体験などをもっと強力に訴えてみたらどうでしょうかと御提案したいのです。
本来、厚生
行政は文教
行政と違いましてお説教はしない役所であります。お年寄りや大人を相手に、
対象とするのですから当然であります。ですから、
施策の
基本が条件
整備であり、イコール環境づくりなわけであります。
しかし、私は、子育てについてはもっと発言してよいのではないかと思うのであります。
児童の権利条約にも、
子供はより良い
家庭環境の中で育つという、その権利を持つと定めております。お説教にならないよう、子育ての奥深さ、献身の美しさ、充実感を訴えるキャンペーンをしようとお考えになりませんでしょうか。
私の、
子供の福祉への心の思いの一端をお話しいたしまして、
質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣川崎二郎君
登壇、
拍手〕